【朝礼】新チャレンジするあなたに送る3つの秘訣

今年度の第1四半期がもうすぐ終わります。「4月から新しいチャレンジをスタートさせたが、なかなかうまくいかない。それどころか、ミスやトラブルを引き起こしてしまった」。そう落ち込む人も出てきている時期です。そこで今日は皆さんに、新チャレンジの際に押さえておくとよい3つの秘訣をお伝えします。内容の大小にかかわらず大事なことなので、ぜひ実践してください。

まず1つ目は「丁寧にやる」です。新しいこととは、「今までやった経験がない」「慣れていない」ことでもあります。特に、仕事の進め方をガラッと変えたり、全く新しいツールを導入したりする場合は、ミスが出やすいものです。そう思っていつも以上に丁寧に進めてください。新しいことにチャレンジしてミスが出るのは仕方がなく、むしろそれを恐れて何もしないほうがよくありません。ただし、ビジネスですから、「リスクを考慮して丁寧に進めたかどうか」が問われるのも事実です。

2つ目は「声を大にする」です。新しいことにチャレンジすることを、周りにしっかり宣言してください。そうすることで、まず周りが応援してくれます。これは大いに力になります。さらに言うと、「あの人はそこに労力を割くのだな」ということが周りに分かるので、仕事の振り方、回し方なども変わってくるでしょう。むしろ、周りにいる管理職には、それを考慮した仕事の振り方、回し方を心掛けてもらいたいところです。

また、周りに宣言するに当たっては、「なぜチャレンジするか」「どのような効果が期待できるか」を明確に伝えることが大切です。これは応援や協力をしてくれる周りへの最低限の礼儀でもあります。理由や効果を明確に伝えるのは、1つ目の「丁寧にやる」にも通じます。周りに対して、「丁寧に伝える」ことに他ならないからです。

そして最後の3つ目は「やり切る」です。あえて強く言いますが、ミスやトラブルに決してめげてはいけません。新しいチャレンジは「こうしたい」「こうなりたい」という「あるべき姿」に向けてスタートしたはずです。ならば、そのチャレンジは、ぜひ成し遂げてください。やり切るのです。ただし、ミスやトラブルが起きたなら、その原因を突き止めて改善すべき点は改善することも必要です。「やり切る」とは、とにかく方法を曲げずに進めることではなく、臨機応変に軌道修正しつつ、「あるべき姿」を達成することだと私は思います。

皆さん、いかがでしょうか。新しいチャレンジがうまくいかないと落ち込んでいた人は、何を改善すべきかイメージできますか? また、次の第2四半期に新しいことをやろうとしている人は、今日私がお話しした3つのことが理解できたでしょうか。私はいつも、皆さんの新チャレンジを心から応援し、そしてチャレンジに感謝しています。一つひとつの新チャレンジが、当社の明日をつくっていくことになるのですから。

以上(2021年6月)

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画像:Mariko Mitsuda

意思決定時に欠かせない「機会コスト」と「埋没コスト」/経営者のためのファイナンス講座(4)

書いてあること

  • 主な読者:将来の意思決定に役立つファイナンス思考を身に付けたい経営者
  • 課題:機会コストや埋没コストは、コストとは付くものの、新たな支出を伴うものではないため、とっつきにくい
  • 解決策:意思決定に迷った際、機会コストが何かを明確にすること、埋没コストがあれば無視をすることが大切

1 機会コストで確認。「できるけど、やらない方がいいこと」

今回は、ファイナンスで必ず押さえておきたい「機会コスト」と「埋没コスト」について解説します。

まず、機会コストとは、

2つの案がある場合に、一方の案を選んだことで失ってしまった、もう一方の案から得られた収益

のことです。オポチュニティコスト、機会費用とも言います。ここから学ぶべきことは、

自社の社員でできることであっても、外部に頼んだ方がいい場合もある

ことです。シリーズ第3回(「人」と「コスト」のファイナンス的考え方/中小企業経営者のためのファイナンス講座(3))で、主に人件費コストの割高さに注目して、そうお話ししました。

これがまさに「機会コスト」です。社員に訓練期間が必要のない単純作業をお願いした場合、他の大事な仕事ができなくなってしまいます。このケースにおける機会コストは、その社員だからこそできる高度な業務が当たります。

2 残業削減がうまくいかないのは、機会コストも一因

残業削減は経営の重要テーマですが、経営者や人事部門がいくら訴えても、なかなか減らない会社がほとんどです。これは、社員個人の機会コストの面から考えても、当然といえます。なぜなら、残業しない場合、これまで残業することで得られていた収入(残業手当)が得られなくなってしまいます。つまり、この場合の残業手当分の収入は、残業しない場合の機会コストとみなされたのです。

このように、多くの人はすでに意思決定時における機会コストの使い方を、無意識に習得しています。

残業が掛け声だけではなかなか減らなかったのは、多くの人が機会コストを意思決定時において正しく使えたからといえます(もちろん、機会コストによる意思決定だけでなく、業務上どうしても残業が必要だという人もいると思いますが、ここではあくまでファイナンスの視点で述べています)。

では、残業削減に成功した会社はどのようにしたのでしょうか。一部の会社では減った残業時間に対して、残業削減手当を支給しました。残業削減手当を支給すれば、損する金額が減りますので、残業しなくてもいいかという判断につながったのです。

3 ギャンブルや投資には、埋没コストのワナが潜んでいる

もう1つ紹介したいのは、「埋没コスト」です。埋没コストとは、

2つの案がある場合に、どちらの案を選んでも共通してかかるコスト

のことです。サンクコスト、埋没費用とも言います。

埋没コストの例には、ギャンブルの埋没コストがあります。パチンコや宝くじなど、負け続けると「次は勝つ気がする」「これまでの損を取り返さなくては」と、泥沼にはまるケースが多いようです。

これまでに使ったお金が、まさに埋没コストです。冷静に考えれば、ここでギャンブルをやめても続けても、返ってこないコストです。よって、続けるかどうかを決めるのに本当は考慮してはいけません。しかし、理性ではそう分かっても、私たちの感情は別です。「そろそろ当たるはず」「このままでは悔しい」という感情に左右されてしまいます。

ファイナンスの観点から、

埋没コストの正しい使い方は無視すること

です。こちらは機会コストと逆に、「感覚に従ってはいけない」と、しっかり覚えておいてください。これは一般に、「埋没コストのワナ」と呼ばれています。株などの投資も、損切りが最も難しいといわれるのは、同じ話ですね。

4 多額な投資ほど、誤った意思決定をしやすい

会社に当てはめて考えると、設備投資や研究開発にすでに要した費用が埋没コストの代表例です。

かつて超音速旅客機として期待されたコンコルドですが、短命に終わったのは、

燃費が悪いなど採算が合わないことに開発途中で分かっていたのに、巨額の開発費をすでにかけていたことから、後戻りできなかったから

という話を聞いたことがあります。

液晶パネルの生産工場も同じです。工場の建設途中で市場の状況が変わってきたものの、そのまま建設を続行したという話があります。工場は完成したものの、予定していたほどの稼働ができずに、稼働するほど赤字が出る状況が続いてしまいました。

巨額な費用をかけていればもったいないと思うのは当然です。しかし、大きな案件であるほど、投資を続けてしまうことで、さらに大きな損失が発生するものです。冷静に開発費用は埋没コストと割り切って、意思決定をするのが重要です。

大手企業の役員でも、感情に引っ張られて、正しく意思決定ができないケースがあるのが、この埋没コストの恐ろしさです。お金だけではありませんが、過去は変えることができません。変えられるのは将来だけということに注目して、埋没コストは無視すべきということを押さえてください。

5 悪役ではなく、ビジネスチャンスを生むことも

埋没コストを悪役のように思われた方もいるかもしれませんが、実はビジネスチャンスとして活かすこともできます。埋没コストは、2つある場合に、どちらの案を選んでも共通してかかるコストなので、追加で費用が発生しないと捉えることもできます。

例えば、朝と夜で異なるオーナーやメニューの飲食店がそうです。家賃を埋没コストと捉えて、定休日や空き時間に別の人に貸せば、その分時間貸しの家賃が得られます。つまり、

すでに支払いを済ませた、一部空いているものを活用する

というふうに考えると、色々なアイデアが考えられます。

在宅勤務が増えた最近では、カラオケ店が個室をテレワーク用に提供したり、ホテルがデイユースプランを用意したりしています。個人の空間という特性に注目し、従来と用途を変更することで活路を見いだそうとしています。すでにある設備は埋没コストに当たりますので、ファイナンス的にとてもいいアイデアといえます。

今回ご紹介した機会コストや埋没コストは、コストとは付くものの、新たな支出を伴うものではないので、とっつきにくいと思う方もいるかもしれません。しかし、どちらも意思決定のときには必ず押さえなくてはいけない大事な考え方です。

ぜひ、ご紹介した例とともに意味を理解し、意思決定に正しく使えるようにしてください。

以上(2021年6月)
(執筆 管理会計ラボ 代表取締役 公認会計士 梅澤真由美)

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けがや病気で、経営者が働けなくなるリスクに備える。経営者327人のアンケートから見える実態と具体策

書いてあること

  • 主な読者:けがや病気で働けなくなるリスクに備えたい経営者
  • 課題:どのような備えをしておけばよいか分からない
  • 解決策:労災保険への特別加入、民間保険への加入、経営陣の補強と後継者育成を検討する

1 企業の存続にも関わる経営者の就業不能リスク

皆さんは「就業不能」リスクについて考えたことがありますか? 就業不能リスクとは働けなくなるリスクであり、

けがや病気によって入院が長期化したり、障害が残ったりして、長い間働けなくなってしまうこと

です。全ての人に関係することですが、特に経営者の場合、会社経営に重要な影響を及ぼすことになります。

【経営者個人の生活に関する影響】

  • 治療などにかかる負担(入院費・治療費・介護費、家族の介護負担)
  • 収入減少による負担(住宅ローンの返済、生活費)
  • 自身・家族の人生設計の見直し(子どもの進学) など

【企業経営に関する影響】

  • 経営業務の停滞(各種決済、経営者がけん引するプロジェクトなどの停滞)
  • 経営計画の見直し(取引先との関係、金融機関からの融資などへの影響)
  • モチベーションが低下した従業員の離職、追加人員の補充のための人件費増加 など

就業不能リスクは、

50歳を超えるとその傾向が顕著だといわれ、けがや病気によって1年以上の長期入院となった人のうち、50歳以上が約89%を占める

というデータもあります(厚生労働省「患者調査」(2017年))。特に高齢の経営者にとって就業不能リスクは他人事ではないわけですが、「自分は大丈夫!」と考えている経営者もいるでしょう。では、世の経営者が就業不能リスクについてどう考えているのでしょうか。全国の経営者327人に対して行った独自アンケート(2021年5月実施)の結果を紹介します。

2 経営者327人に聞いた就業不能リスクへの不安と備え

1)就業不能リスクへの不安

就業不能リスクについては、経営者の約79%が「不安を感じている」と答えています。

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2)就業不能リスクへの備えの状況

就業不能リスクへの備えの状況については、経営者の約37%が既に備えを進めており、約45%は今後備える予定と答えています。

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3)就業不能リスクへの具体的な備え

図表2で、「既に備えていることがある。もしくは、備え始めている」と答えた経営者の具体的な備えは次の通りです。

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回答のうち、「その他」は、貯金・貯蓄や不動産活用、そもそも就業不能にならないための健康管理など、経営者によってさまざまです。以降では、労災保険の特別加入や就業不能保険といった民間保険など、主な備えについて解説していきます。

3 労災保険への特別加入(中小事業主等の場合)

原則として、経営者は労災保険には加入できません。しかし、所定の要件を満たす場合は「労災保険への特別加入」が認められます。中小企業の経営者のケースで紹介します(一人親方の場合などがありますが、ここでは割愛します)。

1.中小企業の範囲

  • 金融業・保険業・不動産業・小売業:50人以下
  • 卸売業・サービス業:100人以下
  • 上記以外の業種:300人以下

2.特別加入者の範囲

  • 経営者やその他の役員
  • 経営者の事業に従事する役員や、労働者と見なされていない経営者の家族従事者

3.加入の一般的要件

次の2つの要件を満たし、所轄都道府県労働局長の承認を受ける(労働保険事務組合を通じて所轄労働基準監督署経由で所定の申請書を提出)

  • 雇用する労働者について保険関係が成立していること
  • 労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託していること

特別加入者した経営者は、所定の給付を受けることができます。ただし、補償の対象となる範囲(労災保険給付を受けられるケース)や、労災保険給付(一部)の算定基礎となる「給付基礎日額」などについては独自のルールがあるため、詳細は厚生労働省「特別加入制度のしおり(中小事業主等用)」をご確認ください。

4 就業不能保険などの民間保険への加入

就業不能リスクへの備えとして、

最も多くの経営者が実施しているのが「民間保険への加入」

です。具体的には、就業不能状態となった際に一定期間、所得の一部を補償する就業不能保険や、企業の運転資金の一部を補うことができる法人向け医療保険などが該当します。

労災保険の給付は手厚く、労災保険に特別加入すれば安心ですが、これだけで全ての生活費などを補うには難しいケースもあります。私傷病の場合に支給される傷病手当金(健康保険)なども同様です。

こうした理由から就業不能保険などの民間保険に加入する経営者が多いのでしょうが、保険会社によって、給付の対象となる傷病の種類や要件、給付期間などが異なるので注意が必要です。

5 経営陣の補強や後継者の育成

その他の備えとして、経営陣の補強や後継者の育成などがあります。経営者が経営を続けられなくなった場合に、自分の代わりとなる人材を育て、スムーズとはいえなくても、引き継ぎができるような準備は必要かもしれません。

これは、就業不能リスクへの対策であると同時に、事業承継対策でもあります。事業承継対策をいつから始めればよいのか分からないという経営者は少なくありませんが、就業不能リスクへの対策という別の切り口から検討してみることも重要です。

以上(2021年6月)

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【朝礼】登る山を決める。そして、いつか山になる

ソフトバンクの孫正義さんは、社員と接するとき、よく「登る山を決める」というフレーズを使うそうです。私なりの解釈は、ものすごく努力をしなければ登れないほどの高い山を目指すのか、楽をして登れる低い山を目指すのか、その心持ちによって既に勝敗は決しているということです。

会社に入ることを、同じ船やバスに乗ると表現することがあります。しかし、私はこのニュアンスには同意できません。なぜなら、船もバスも運転するのは経営陣であり、社員は乗っているだけの印象があるからです。今の時代は、まさに一緒に登る山を決めて、互いに高め合うことが求められると思うのです。そうした意味からも、孫さんのフレーズは、私にとって共感できるものです。

そもそも私たちは、常に登る山を決めています。仕事とは関係ありませんが、私は50歳手前でピアノを始めました。この年齢から楽器を始めることは結構難しいことのようで、周囲は「すごいな」「勇気あるね」などと言ってきました。しかし、私は全く気にしていませんでした。むしろ私の関心は、ベートーヴェンの『エリーゼのために』を弾きたいということだけでした。YouTubeを見て練習しましたし、ピアノ教室の先生にもそのことを伝え、いきなり両手で練習を始めました。教本は使わず、私が弾きたいと思う曲を課題曲として先生に教えてもらうようにしました。先生が私のレベルに合わせて、曲をアレンジしてくれることもあります。

セオリーで考えたとき、この方法が正しいかどうかは分かりません。ただ、「何を弾きたいか」は私の自由ですし、「練習方法がむちゃくちゃで上達が遅い」ことに気付いたのなら、そこで軌道修正すればよいだけです。登山でいえば、今の体力や装備では無理だと思うのなら、一度下山して、体を鍛え、装備も整えた上で再チャレンジすればよいのです。山はなくならないわけですから。

そして、今の私の目標はショパンの『ノクターン』の1曲に変わりました。今は『ノクターン』のほうに、より強く引かれるようになったためですが、いずれも押しも押されもせぬ名曲であり、「良いものは良い。名曲を弾けるようになりたい」ということに関して、「私が登る山」は変わっていません。

さて、話を仕事のことに戻します。仕事の上で私が皆さんと一緒に登りたい山は、「山になること」という山です。あの山に登ってみたいと目標にしてもらえる会社、「あの人を追い越したい」と目標にしてもらえる人。高い山だと分かっていますが、私たちはそんな集団でありたいのです。

その山に登るには、皆さんの力が欠かせません。それに、私たちは同じ会社で働くチームですから、チームで登ったほうが楽しいと思います。しかも、疲れて動けなくなったとき、仲間はそっと皆さんの荷物を持ってくれます。「頑張ろう。あと少しだ!」と応援もしてくれるでしょう。皆で一歩一歩、力強く登っていきましょう。

以上(2021年6月)

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雨の季節の車の点検(2021/06号)【交通安全ニュース】

活用する機会の例

  • 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
  • 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
  • マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など

雨天時の1時間当たり事故件数は、晴天時の約4倍になります。(下図参照)
運転は、認知・判断・操作の繰返しですが、判断のための情報は、その90%を「見ること」から得られるといわれます。
雨天時は視界が悪くなるため、事故の危険が高まります。

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※首都高速道路株式会社 首都高ドライバーズサイト
http://www.shutoko.jp/use/safety/driver/rain/ (2021.5.19閲覧)に掲載の2019年度統計値を基に当社作成

雨の多い季節への備えとして、雨が運転に与える悪影響を理解し、車の日常点検や整備をしっかり行うことが大切です。
本号で雨天に備えた取組みを確認しましょう。

1.雨天時の危険性と運転のポイント

雨天時の運転には、次のような危険があります。

①歩行者や自転車あるいは他の車などの発見が遅れがちになります。一方、歩行者や自転車も雨に気を取られ、車の接近に気が付かないケースも想定されます。

②エアコンをつけた直後など外気との温度差でフロントガラスが曇ったり、サイドミラーやリアウインドウに水滴が付着したりして、周囲が見えにくくなることがあります。

③雨で路面が濡れると制動距離(ブレーキを踏んでから車が完全停止するまでの距離)が伸びたり、スリップを起こしやすくなります。特に降り始めは、道路表面の土埃や砂で最も滑りやすい状態になります。

④先行車や対向車がはねあげる水しぶきを受け、視界を遮られることがあります。

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<雨天時の運転のポイント>

雨の日は、速度を落とし、細心の注意を払って運転しましょう。また昼間でも自車の存在を知らせるためにヘッドライトをつけることも有効です。
ドライバーは状況に合わせ、意識して運転を変えることが大切です。

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2.雨天時の運転に備えた車両の点検・整備

雨天時の運転に備え、日ごろから車両の点検・整備を行いましょう。
以下に雨天での視界確保やスリップ抑制等に向けたチェックポイントをご案内します。

□ ウインドウガラス

  • 外側はもとより、内側が汚れていると曇りの原因となり、視界が妨げられます。
  • 日頃からクロスで汚れを拭きとり、きれいな状態を維持しましょう。

□ ワイパーブレード

  • 正常に作動するか、「ビビリ音」がしないか、ウォッシャー液を吹きかけワイパーの効果状況(拭きむらの有無)を確認します。ウォッシャー液の量も十分か確認しましょう。

□ サイドミラー(サイドガラス)

  • 汚れていると水滴がつきやすくなり、視界が妨げられます。
  • 必要に応じて撥水等の水滴対策を行うことをお勧めします。

□ ヘッドライト・ランプ類

  • ヘッドライト、スモールライト、ブレーキランプ、テールランプ、ウインカーなどが正常に点灯・点滅するか確認します。ヘッドライトレンズがくすんだり、白濁していると照射光が少なくなり、もしくは分散して有効照射距離が短くなることがあります。
  • 雨が降り始めたら、ヘッドライト・ランプ類を早めに点灯し、対向車や歩行者に自分の車の存在を「知らせる」ようにしましょう。

□ タイヤ

  • タイヤに傷・ヒビ割れがないか、タイヤの溝が十分あるか(スリップサインが現れていないか)、溝に石などが挟まっていないか、空気圧(タイヤの接地部分のたわみ)は適切かを確認します。
  • 雨で路面が濡れると滑りやすくなり、タイヤが摩耗していたり、空気圧が適正でないと、スリップがさらに起きやすくなり、制動距離も伸びるので危険な状態になります。

□ エアコン

  • 雨の日のエアコンは必須アイテムです。曇り止めや除湿機能が正常に作動するか、エアコンフィルターが汚れていないかを確認しましょう。

以上(2021年6月)

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【朝礼】私がなりたい50歳の姿を考えてみた

私は最近、自分があと20年くらいたって50歳になったときに、どうなっていたいかを考えるようになりました。けさはそのことについて、私なりの考えをお話ししてみますので、皆さんから忌憚(きたん)のないご意見やアドバイスをいただければと思います。

私が50歳の自分の姿について考え始めたきっかけは、プライベートで参加しているスポーツサークルの大会中止が相次いだことです。

私がそのサークルに参加したのは、今から5年前です。当初は、仲間との交流や健康づくりのために参加したのですが、練習を重ね、市民大会にも出場するうちに、「地区大会でベスト8に入る」という目標が生まれました。私の実力からすると「野望」に近い目標なのですが、知らず知らずのうちに、「上達して、地区大会ベスト8に入りたい」という思いが強くなり、練習日数を増やしたり、上手な人のプレーを勉強したりするようになりました。すると、サークルのメンバーも、この「野望」に近い目標を応援してくれるようになり、私はますます練習に打ち込むようになりました。

ところがコロナ禍で、ここ1年ほど大会が開催されなくなったことで、私の練習に打ち込む意欲が下がった気がします。目標があるのとないのとでは、モチベーションに大きな違いがあると気付きました。特に長期の大きな目標は、一歩一歩前に進んでいくための励みになります。山の頂上を見て意気込む登山者と同じかもしれません。

そう考えると、会社員としての私も同じなのではないかと感じました。今の仕事のモチベーションを高めるためには、将来の自分のなりたい姿を考えることがプラスになると思ったのです。これまでも、目の前の仕事の成果を出す、という小さな目標は常に考えてきました。ですが、私のような怠け心のある人間にとっては、それだと目の前の仕事さえできればいい、という考えに陥りがちでした。ですが、「自分を理想の姿に引き上げる」という気持ちになると、「将来のために、今もっとできることはないか」と考えて仕事に取り組めるようになりました。私より若い人たちも、50歳の自分の姿を考えてみてはどうでしょうか。

ちなみに、私がなりたい50歳の姿は、実力があって指導力もある、元プロ野球選手のイチローさんのような人です。イチローさんのように、大きな記録を残し、チームを引っ張れる人になっていたいです。具体的な目標は2つあって、1つは、私の後輩たちが新入社員に仕事の説明をするときに、「この仕事は、○○さん(私のこと)が開拓した仕事です」と言われるような成果を残すことです。もう1つは、今お付き合いしている全ての取引先に、「□□会社の○○さん」ではなく、「○○さんの□□会社」と言われるようになることです。皆さんの前で話すのは少し恥ずかしいですが、20年くらい先の話なので、先輩の方々も後輩の皆さんも、私のこれからの成長を長い目で見ていただければと思います。

以上(2021年5月)

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画像:Mariko Mitsuda

たった1つの質問で分かる。現場で交渉できる社員は誰だ?

1 ほとんどの条件は交渉可能

意外と気付いていない人が多いのですが、

実は相手が提示してくるほとんどの条件は交渉可能

です。これを知っている一部の人は、後手に回ることがないように先んじて相手と交渉します。そして、互いに少しずつ譲歩し合いながら落としどころを探ります。交渉が進むほど積み上げられる合意事項も増えていくので、後から覆すことは難しくなってきます。

ですから、早い段階から社員が現場で交渉をしてくれたら、自社にとってもっと有利な条件を引き出せる可能性が高くなります。にもかかわらず、ほとんどの社員は現場で交渉をしません。そもそも、交渉するという意識がなく、

社長や上司から言われたことを相手に伝え、相手から言われたことを社長や上司に報告するだけ

というケースがほとんどです。

では、どうすれば現場で交渉できる社員を育てることができるのでしょうか。その点をこの記事で明らかにしていきます。大切なのは、

ビジネスの目的を共有して成功の定義を社員に伝え、権限を与えて何度も交渉させること

です。

2 魔法の質問。これ1つでだいたい分かる

次のグラフを見せながら、社員に、

売り上げが欲しい。3つの事業のどれを選ぶ?

と質問してみてください。お気付きと思いますが、この質問はとても曖昧です。きちんと答えるためには、社員が自ら仮説を立てて、一定の前提条件を設定しなければなりませんが、まさにここが非常に重要なポイントです。

3つの事業

この質問の答えによって、社員はおおむね3つのグループに分けられます。

グループ1 グループ2 グループ3
社員の目的 叱られないこと。 回答すること。 会社の目的に合った事業を進めること。
社員の心中 事業1と答えたら単純すぎるだろうか?でも、社長は強気な性格だから、やはり正解は事業1か? 事業1は赤字なので論外。社長が示した範囲内で考えることが前提なので、数字は変えられない。 事業1を黒字化するのが理想。黒字化までの期間や他事業とのシナジーなどを質問しよう!
答えの例 事業1だと思いますが、他も一長一短です。社長の一押しはどれですか? この質問だけではすぐに答えを出せません。少し時間をください。 事業1の黒字化を検討してみたいです。もっと詳しく教えてください。

(出所:日本情報マート作成)

グループ1は、自分が叱られないことしか考えていないので論外です。取り繕っているだけで、自主性がありません。

グループ2は、「雇われ」の立場に慣れていて、自分で考えられなくなってきています。しかし、実力を備えていることもあり、教育する価値があります。

グループ3は理想です。ポイントは、

  • 与えられた情報が全てではないこと
  • 自ら切り開こうとしていること

です。ただ、グループ3に該当する社員は既に現場で交渉しているはずですから、教育の対象となるのはグループ2の社員です。

3 「雇われ」の呪縛から解放する

グループ2の社員は、指示通りに動くことに慣れている、あるいはそうするように指示され、その指示に従っているだけです。つまり、「雇われ」の立場に慣れているのです。ここから一皮むけてもらうために、「言われたことだけをやる」「失点したくないのでチャレンジしない」といった意識を変える必要があります。

そのために経営者が行うべきことは、

  • 目的を丁寧に共有すること
  • 成功を定義すること
  • 権限を与えること

です。

まず、ビジネスの目的を丁寧に共有しましょう。前述した事業の選択の場合、「投資家に成長を印象付けるために売り上げが必要」「中期経営計画の中で、次世代の事業の柱を構築する」といったように伝えます。

目的を伝えても、「雇われ」の立場に慣れた社員は何をすればよいのか分からず、指示を待つだけです。そこで、成功を定義してあげましょう。例えば、「顧客Aとの取引を中期的に拡大し、売り上げを2倍にする。利益率が5%落ちても構わない」といった感じです。こうすることで、社員は自分がどこに向かい、具体的にどのような条件を勝ち取るべきかが分かります。

最後に、実行するための権限を与えます。そして、交渉することも社員の役割であることを教え、実際に交渉をしてもらいます。交渉に慣れていないと、自分の意見を押し通そうとするだけで局面が作れず、結果として物別れになります。この問題は経験を積むことでしか解決できないので、

失敗してもいいので交渉を続けさせる

ことが不可欠です。ただし、「失敗してもいい」といっても無制限ではありません。事前に「この条件だけは譲れない」というボトムラインを社員と共有しておくことが大切です。例えば、「利益率○%を下回る条件は受け入れない」「納期は○週間以上確保する」といった具合です。こうした守るべきラインを明示しておくことで、経営者は安心して権限を委ねられますし、社員も「どこまで動いていいか」が分かり、自信を持って交渉に臨めます。

また、経営者が交渉する席に同席させることも効果的です。交渉後には、必ず簡単な振り返りを行いましょう。振り返りでは、次の点を社員自身に言語化させるのがポイントです。

  • 自分はどんな提案をしたか
  • 相手はどう反応したか(受け入れた・断った・条件を変えてきた)
  • どの場面で詰まったか、次はどうするか

上司が答えを教えるのではなく、社員が自分の言葉で整理することで、次の交渉に活かせる「自分なりのパターン」が蓄積されていきます。最初は口頭で構いません。慣れてきたら簡単なメモとして残す習慣をつけると、社員の成長が目に見えて分かるようになります。

こうした育成をする中で社員に自主性が芽生え、自ら行動するようになっていくでしょう。

以上(2026年6月更新)

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画像:pain au chocolat-Adobe Stock

【朝礼】“常識”を疑え、そして覆せ!

おはようございます。皆さん、今日の朝食は何でしたか。私はけさ、マクドナルドでハンバーガーを食べました。ハンバーガーを頬張ると、子どもの頃に初めて食べたときの思い出がよみがえるようで、とても懐かしい気分になりました。

マクドナルドが日本で初めてオープンしたのは今から50年前、1971年のことでした。マクドナルドのハンバーガーは、なぜ50年もの間、日本人に愛され続けてきたのでしょうか。その理由を探るため、今日は、日本マクドナルドの創業者である藤田田(ふじたでん)氏の話をします。

日本マクドナルドの創業前、本場米国のマクドナルドのリーダー、レイ・クロック氏の下には、日本の大手商社などから、チェーン展開の依頼が多く寄せられていました。大手商社などの中には、ハンバーガー・ビジネスを、自社が手掛ける事業の1つぐらいにしか考えていないところも多く、クロック氏はこれらの依頼を全て断っていました。しかし、藤田氏と出会い、「彼ならこのビジネスに本気で取り組んでくれる」と確信したクロック氏は、日本でのチェーン展開を自ら依頼します。これが、日本マクドナルド誕生のきっかけです。

藤田氏がハンバーガー・ビジネスをやると言い出した頃、藤田氏の周りでは「パン食の習慣がない日本人に、ハンバーガーは受け入れられない」という考え方が主流でした。藤田氏がすごいのは、この“常識”を、真っ向から覆した点です。

藤田氏は、日本人の米の消費量が年々減少しているという統計から、食の西欧化がさらに進むことを予見し、国内で店舗を急速に展開します。さらに、子どもにターゲットを絞ることで、「彼らが成人して親になったとき、日本人の食習慣にハンバーガーが定着する」というプランを立て、この思惑を見事に的中させます。藤田氏は、「パン食の習慣がない日本人に、ハンバーガーは受け入れられない」という“常識”を疑ってかかっただけでなく、自分が思い描く未来を“常識”にしてしまったわけです。

さて、私は日ごろから皆さんに対し、会社の新しいビジネスについて、積極的に意見を出してほしいとお伝えしています。幸い意見を出してくれる人が多く、そのことには感謝しているのですが、私が「このビジネスをやろうと思った根拠はある?」と質問すると、言葉に詰まってしまう人がほとんどです。もしかしたら、「何か新しいことをやらなければ……」という焦りだけが先走っているのかもしれません。まずは、自分や会社、顧客や市場を取り巻く状況について、見落としている情報がないかチェックしてみましょう。客観的なデータがあれば、何が会社にとって必要なのかが分かるはずです。そして、何かビジネスチャンスを見つけたら、今度はそれを確実な未来にするためのプランを考えてみてください。難しいとは思いますが、“常識”を疑うだけでなく、覆すまでを私は皆さんに期待しているのです。

以上(2021年5月)

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画像:Mariko Mitsuda

まだ日本で語れる人の少ない「iPaaS」を実現している会社。これからのビジネスを大きく変える「RPAの民主化」の原点には「思い」と「出会い」があった/岡目八目リポート

年間1000人以上の経営者と会い、人と人とのご縁をつなぐ代表世話人杉浦佳浩氏。ベンチャーやユニークな中小企業の目利きである杉浦氏が今回紹介するのは、嶋田 光敏さん(BizteX(ビズテックス)株式会社の代表取締役CEO)です。

今、盛んに注目されているDX(デジタルトランスフォーメーション)。嶋田さんが取り組まれていることは、いわば「究極のDX」「DXのあるべき姿」と言えるかもしれません。嶋田さんが法人向けにご提供されているRPAは、「誰もが簡単に自動化を実現できて、本業のスピードアップが図れるようにするもの」であり、ビジネスの進め方を大きく変えていく可能性を秘めているからです。

以降では、嶋田さんが取り組まれてきた「RPAの民主化」やiPaaS(アイパース。異なるアプリケーション同士を連携させるクラウドサービス)のサービス、それらをご提供するにいたる「思い」などをご紹介していきます。

1 「RPAの民主化」にチャレンジし続ける

嶋田さんが創業したBizteX社は、BtoBでRPAをご提供されています。同社のミッションや主な事業は、嶋田さんの言葉や同社資料をお借りすると次の通りです。

●BizteX株式会社でやっておられること(嶋田さんより)
当社は「オートメーションテクノロジーで新しいワークスタイルを実現する」をミッションに、国内初のクラウドRPA「BizteX cobit」、複数のシステムを連携しデータ統合/自動化を実現するiPaaS「BizteX Connect」を大手企業様にご提供しDXの推進を行っています。

BizteX社のプロダクト説明の画像です

(出所:嶋田さんご提供のBizteX社資料)

ここ数年でRPAは広く知られるようになりました。ただ、まだ「なんだか難しそう」「とてもコストがかかりそう」といったイメージがあるかもしれません。それに対して嶋田さんは、「誰でもすぐに安価で簡単に使えるRPAの実現=RPAの民主化」にチャレンジし続けておられます。その原点には、「RPAをもっと手軽に簡単に使えるようにすれば、多くの人の役に立つ」という思いがあるからです。

こうした思いを大切にして、形にされてきた嶋田さん。2017年からクラウドRPA「BizteX cobit」を始められ、リリース3年で作られたRPAのロボットは約3.7万台、約2000種類のクラウドサービスの自動化を行ってこられました。かなりすごい実績をお持ちです。「誰でもすぐに簡単に使える」というお考えはUIにも生かされており、グッドデザイン賞をはじめさまざまな賞も受賞されています。「難しいものを、誰でもすぐに簡単に使えるものに」は非常に大切な考え方だと思いますし、またそれを実現し続けておられるのは、本当に素晴らしいことですね。

嶋田さんの「RPAの民主化」はさらに進化してきています。今回、特に注目したいのは2020年5月リリースのiPaaS「BizteX Connect」です。この「BizteX Connect」はさまざまなアプリケーションと連携して自動化を図れるもので、「誰でもすぐに簡単に」をこれまで以上に進化させており、社会を大きく変えていく力を持つサービスだと感じます。すでに導入されている大手企業もおられます。

●BizteX Connectのサービスページ
https://service.biztex.co.jp/connect/

●ニュースリリース
iPaaS「BizteX Connect」、株式会社サイバーエージェントへ導入~iPaaS+クラウドRPAでSaaS連携や更なる業務効率化を支援~(2021年3月)
https://www.biztex.co.jp/posts/2021-03-17-233-news/

クラウドRPA「BizteX cobit」そして今回のiPaaS「BizteX Connect」を実現した背景には、嶋田さんのこれまでの歩みから築かれた「思い」と、素晴らしき仲間などとの「出会い」がありました。次章では、そのあたりを振り返ってみたいと思います。

2 「思い」と「出会い」。嶋田さんの起業までのストーリー

1)超原点は幼少のころの思い

今回、嶋田さんは、これまでの歩みを振り返るお話を色々とお聞かせくださいました。四国は香川県ご出身の嶋田さん、「やりたいことができずにモヤモヤした幼少期を過ごしたことが、今振り返れば起業につながる原体験です」と語ります。誰もが知る超有名なサッカー漫画を読んでサッカーを始めますが、小学校・中学校当時は、通っている学校にサッカー部がなかったのだそうです。サッカーがやりたいのに部活がない! まさに「モヤモヤした思い」です。

高校はサッカー強豪校に入り、今までやれなかったサッカーに取り組めた嶋田さん。最初はサッカー素人だったのでグラウンドのはじっこでリフティングするところからスタートし、高校3年生ではなんと副キャプテン&ベンチ入りするまでになったというから驚きです。この体験から「何もないところからチャレンジして上り詰める」「ゼロイチ」が好きになり、自信もついたとのこと。これぞ起業家精神の原点、とても貴重なお話です。

2)全国で営業ナンバーワンを達成していた時代

アパレルでの営業やサッカーコーチなどを経て、嶋田さんは「J-PHONE(当時)」で、地元四国にて中小企業向けに携帯電話などの通信商材を営業する仕事に就きます。この法人営業の経験で、「中小企業の働き方を変えること」「お客さまの役に立つこと」に喜びを感じるようになったといいます。その後、会社がVodafone、ソフトバンクに買収されていく中で、国内企業→外資企業→ベンチャー企業という変遷を、転職せずに辿ることができたことも嶋田さんにとっては良い経験になったようです。

Vodafoneがソフトバンクに買収されたのが、ちょうど嶋田さんが30歳のタイミングだったそうです。当時の嶋田さん、なんと営業成績で全国ナンバーワン! 300名くらい営業担当者がいた中での第一位ですので本当にすごいことだと思います。こうして自分で売上を作れるようになったことが自信につながり、嶋田さんは「将来自分も経営者になりたい」と思うようになりました。そこから、孫さんのような素晴らしい経営者の下で経営を学びたいと、自ら志願して東京へ転勤することとなるのです。東京では、起業につながる出会いが、嶋田さんを待っていました。

3)起業につながった大きな出会い

嶋田さんは東京で、孫さん主催のソフトバンクアカデミア、それからグロービス経営大学院でビジネスや帝王学などを学びます。ここでの「2つの出会い」がのちの嶋田さんの起業に大きく関わっています。

●出会いその1:孫さん、グロービス学長・堀義人さんの「名言」との出会い
・嶋田さんが特に好きな孫さんの名言

「自分の登る山を決めろ」
孫さんの込めた意味「自分がこの先、命を懸けて、人生を懸けて登る山を見つけられたら、半分成功したようなものだ」

・嶋田さんが特に好きな堀さんの名言

「志を語れ」
堀さんの込めた意味「学んだ知識を勉強で終わらせるのではなく、世の中でどう使うのかが大事だから、自分の課題感や、やりたいことをちゃんと語ることが大切」

嶋田さんは、孫さんの「登る山」と堀さんの「志」は同じものだと感じ、自分でも「登る山=志」を決めて歩いていこうと強く思ったそうです。起業に向けた決意が固まってきた背景には素晴らしい名言の後押しがあったということですね。今、起業を考えられている多くの方々にも非常に参考になる言葉だと思います。

●出会いその2:厳しく、そして熱く背中を押してくれた人物との出会い

嶋田さんの起業ストーリーを語るにはどうしても欠かせない1人の人物がいます。それは、株式会社ZENKIGENの代表取締役、野澤 比日樹さんです(以前、この「岡目八目リポート」でもご紹介させていただきました)。嶋田さんと野澤さんの出会いはソフトバンクアカデミアで、野澤さんは1期生で外部から入られ、嶋田さんは内部からの2期生として入っておられました。

2014年に40歳のタイミングでグロービス経営大学院を卒業された嶋田さんは、2015年には起業したいと思っていましたが、なかなか踏み切れずにいたとのこと。そこで登場するのが野澤さんです。2015年4月、嶋田さんは野澤さんから、

「嶋田さんはもう会社を辞めろ」

と言われたのだそうです。「嶋田さんは勉強もしているし、将来やりたいことを語っているが、1ミリもそれに向かって本気で行動していない。本気で行動するんだったら退路を断って(会社を辞めて)、もう起業したほうがいい。そうすると本当の意味で前に進める新しい扉が開く」と続けたという野澤さん。それを受けて、その場で「分かった、(同2015年の)6月までに辞める」と宣言した嶋田さんがまたすごいです……。

実際には、(2015年の)6月に上司に気持ちを伝え退職したのは同年10月だったそうですが、野澤さんの厳しくも熱い一言が、嶋田さんの初めの一歩、大きな決断につながったのは間違いありません。素晴らしいご関係ですね。どういうコミュニティにいて、どういう人と一緒に学び行動しているか。こうしたことが、起業家や経営者にとってとても重要なのだと改めて感じるエピソードです。

3 高い技術力の背景にも、大切な仲間との出会いがありました

起業以来、「RPAの民主化」に取り組まれてきた嶋田さんですが、最初は仲間を探すことからのスタートでした。嶋田さんいわく、「RPAはお客さまのシステムをレコーディングして自動化するもの。それは技術難易度の高い領域」です。BizteX社が高い技術力のもとに進化し続けられるのは、嶋田さんのやりたいことを形にできるエンジニアの方との出会いがあったからでしょう。

BizteX社の立ち上げ当初、嶋田さんは「エンジニアのナンパ」もしていたそうです。カフェに行き、隣でMacを開いてプログラミングしているエンジニアに「何のコードを書いてるの?」と話しかけたり……。全く知らない人、しかも自分とは得意な領域が明らかに違いそうな人に声をかけるのはかなり勇気がいると思いますが、そこはさすが、とにかく「方法を問わず、目的に向かってどんどんやっていく」タイプの嶋田さんです。

こうして嶋田さんは、現在取締役兼CTOをやっておられる袖山さんと当時の顧問をしてくださっていた方からのご紹介で出会います。嶋田さんが袖山さんと一緒に仕事をしたいと思ったのは技術力もさることながら、考え方が素晴らしいと思ったのだそうです。そのことがうかがえる袖山さんのエピソードを一つご紹介します。「CTOって何が大事だと思う?」という議論に対して、袖山さんが答えていた内容は下記の通りだったそうです。

    ●袖山さんの答えていた内容

    「(CTOに大事なことは)3つある。1つは技術力。2つ目はエンジニアが活躍する文化を作れること。3つ目が自分より優秀なエンジニアをハイアリングする力だ」

逆に、袖山さんは嶋田さんについて、次のようにおっしゃっているそうです。

    ●嶋田さんが、袖山さんから言われた「嶋田さんと組んだ理由」

    • 初めから壮大なことを言いつつ、事業計画や企画書をしっかり作っていたので、その両方があったことがとても良かった
    • (うまくいかないことも)いろいろあるけど、当時の4年前から言っていることが変わらないよね

お聞きしていると、ちょっと胸が熱くなりますね。やはり、経営がしっかりされていると仲間も盤石になっていくということなのだと改めて感じます。

4 今、BizteX社の注目は「iPaaS」という新しい分野のクラウドサービス

さて、こうして「思い」や「出会い」が源泉となっている嶋田さんたちBizteX社、すごいところはいくつもありますが、やはり「誰でもすぐに簡単に使える」にこだわっているところが大きな特徴です。この点について、同社の2つのメーンプロダクト、クラウドRPA「BizteX cobit」とiPaaS「BizteX Connect」それぞれに関して、嶋田さんは次のように言っておられます。

    ●嶋田さんによる2つのプロダクトの特徴

    1.クラウドRPA「BizteX cobit」:

    • このクラウドRPAを着想した当初の課題感としても、当時のRPAはオンプレミス型(社内で構築するようなタイプ)で、その分構築期間も長くて、(金額も)高くて、難しいというものでした。
    • それを誰でも使える「民主化」に持っていきたいと思ったので、クラウド型のサービスにして、URLからアクセスしたらすぐ利用が可能で、低コストで、UIも簡単で使いやすいというポジショニングを取りました。

    2.iPaaS「BizteX Connect」:

    • iPaaSは「Integration Platform as a Service」の略で、システムの持っているAPIを活用するものです。
    • 例えば、顧客情報がSalesforceに入っていて、その顧客情報を使ってクラウド会計のfreeeにログインして請求書を発行する、という業務があったとします。両方ともAPIがあるので、APIでこれらを連携しようとすると、エンジニアの方が早くても2~3週間かけてコードを書く必要があります。
    • しかし、これをiPaaS「BizteX Connect」を利用すればプロダクト上であらかじめSalesforceとfreeeのAPIを繋いでおくと、あとはBizteX Connect上でポチポチとクリックすれば両者のシステムを繋ぐことができる。
      そういうプロダクトです。

iPaaS「BizteX Connect」については、

「エンジニアが3週間くらいかかってコードを書いてAPI連携させるものが、BizteX Connectを使うと、エンジニアではない人でも10~15分でできる」

と表現するのが一番分かりやすいかもしれません。このすごさ。生産性が向上するどころではありません。ビジネスの進め方、かかわるプレーヤーなどが大きく変わる可能性があります。

iPaaS「BizteX Connect」は非常に技術レベルの高いプロダクトで、日本国内のスタートアップ界では、BizteX社ともう1社の合計2社しか持っていない技術なのだそうです。

iPaaSを説明した画像です

RPAとiPaaSの違いを説明した画像です

BizteX Connectを説明した画像です

(出所:いずれも嶋田さんご提供のBizteX社資料)

5 RPA業界の現状と今後

現在BizteX社では、さまざまなパートナー企業と組んで「どのお客さまに、どういう業務の自動化をご提供できるのか」を具体的に提示する取り組みを始めておられます。そのほうが、RPAや自動化という言葉だけを聞くよりも、お客さまが具体的に活用方法をイメージできるからです。こうして具体的な活用イメージが分かるようになり、大手企業だけでなく地方の中小企業などにも広く導入されていくようになれば、日本全体の生産性向上に大きく貢献していくことでしょう。

海外と日本のRPA業界の現状と今後について嶋田さんにお尋ねしたところ、次のようなご回答をいただきました。

    ●嶋田さんによる海外と日本のRPA業界の今後

    【海外】

    • 海外では、RPAの領域は日本よりかなり進んでいて、10年ほど前からRPAの会社が出てきています。
    • 特に欧米を中心に、RPAだけでなくSaaSも日本より早く広がっているので、それらのシステム間連携にAPIを使ったほうがいいのではないかというところで、日本よりも6~7年ほど早くiPaaSの領域に広がっています。

    【日本】

    • 日本では、ここ数年RPAが注目されていますが、BizteX社で手掛けている領域で言うと、今後3~5年くらいにかけてとても盛り上がると予想されています。特に地方の中小企業に関しては、これからというところだと思います。
    • 日本でも(海外と同様に)RPAが広がった後はiPaaSが広がってくるでしょうし、SaaSが広がれば広がるほど、API連携の必要性というものも出てくると思っています。
    • また、日本の状況をマクロで見た時に、「労働人口が減っている」「働き方を改善しなければいけない」「DXしなければいけない」となった時に、エンジニアのリソースというのがとても貴重な時代になります。このとき、iPaaSの領域(エンジニアがコードを書くことなく、誰でも10分でRPAが実現できる世界)が非常に重要になるでしょう。

日本ではまだあまり語れる人のいないiPaaSのお話などは、とても勉強になります。そして嶋田さんのお話をお聞きしていると、言葉だけが独り歩きをしがちなRPAやDXなどの本来の意味、「働くすべての人の効率化を図り、意欲的に気持ちよく働ける環境を実現する」ということが、とても腹落ちする気がします。

6 BizteX社が実現したい世界

最後に、嶋田さんに改めて「BizteX社がこれから実現したい世界」を聞いてみました。

    ●嶋田さんのご回答

    BizteX社はオフィスワークの定型業務をRPAで補い、貴重なエンジニアのリソースをiPaaSで補うことができるので、人が本当に時間と労力を使うべき「企画やアイデア」のところ、そしてエンジニアも本来やるべき「自社のサービスを創ること」に時間を割けるようになります。私たちはそれをお支えしたいし、これからその重要性が増してくると思っています。

時代を先読みし、それに加えてお客さまのやっていることも把握し、適したサービスをご提供してお客さま、ひいては日本全体の生産性向上に貢献していかれる。素晴らしいですね。今回、改めてこれからの時代を見据えた新しい仕組みの重要性・必要性を実感しましたし、これからの世の中に非常に役に立つ、世の中のためになることを率先して推し進められている嶋田さんたちを、心から応援したいと思います!

以上(2021年6月作成)

労働判例の読み方 社会福祉法人・青い鳥事件(正職員だけの産前・産後休暇の延長、有給制等の不合理)

(日本法令ビジネスガイドより)
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