【朝礼】ロミオとジュリエットから学ぶ私の「役」

今日は、最近私がプライベートで「面白い」と思ったことについて話します。先日、私は「ロミオとジュリエット」のミュージカルを見に行きました。普段あまりミュージカルは見ないのですが、好きな俳優さんが出ると聞いて興味が湧き、劇場に足を運んでみたのです。

ロミオとジュリエットは、16世紀にウィリアム・シェイクスピアが手がけた、イタリアの都市ヴェローナを舞台にした恋愛悲劇です。モンタギュー家の一人息子ロミオとキャピュレット家の一人娘ジュリエットが恋に落ちるも、お互いの家が敵同士だったために結ばれず、両家の争いが激しくなる中で2人は悲劇的な最期を迎えます。しかし、それによってモンタギュー家とキャピュレット家は争うことの愚かさを知り、長年の憎しみを捨てて和解するというストーリーです。

有名な話なのでご存じの方も多いでしょうし、私自身も過去に映画でロミオとジュリエットを見たことがあります。しかし、先日見たミュージカルには、映画にはない、まさに舞台劇ならではの印象的な役が存在していました。

それが「死」です。黒い帽子と黒いコートに身を包み、肌を白く塗った、死神のような風貌の役。「死」はモンタギュー家とキャピュレット家が争うシーン、ロミオとジュリエットが秘密裏に結婚式を挙げるシーンなど劇中の至るところに登場し、終盤はロミオのそばに立ち続け、彼がどのような結末を迎えるかを観客に予感させます。

「死」は人間ではなく、抽象的な概念を観客に見えるよう具現化した役なので、せりふは一切なく、どの登場人物にもその存在を認識されることはありません。ですが、気付けば必ず舞台のどこかに立っていて、しかも最初は遠くからロミオを見ているだけだったのが、ストーリーが進むごとにロミオとの距離を詰めていくので、いい意味で不気味な存在感がありました。

私がこのミュージカルを見て改めて思ったのは、「ストーリーに彩りを与えるのは、主役だけではない」ということです。主役はもちろんロミオとジュリエットですが、「死」という役の存在によって、終始ストーリーに緊張感があり、2人の悲劇性が一層際立っていました。

会社での仕事に置き換えると、私はバックオフィスの担当で、製造に携わったり、直接お客さまに接したりする機会は少ないです。会社の活動を、売り上げと利益を上げつつ社会に貢献するストーリーと置き換えるなら、私にとってこのストーリーの主役は、製造に携わったり、直接お客さまに接したりしている人たちです。ですが、その人たちが主役を演じきるためには、彼らが仕事をしやすいように支える私たち「脇役」の存在もまた不可欠なのだと改めて思いました。私がロミオとジュリエットを「いいミュージカルだった」と感じたように、お客さまから「あの会社はいい会社だね」と言ってもらえるよう、私の「役」をしっかり演じきりたいと思います。

以上(2021年8月)

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画像:Mariko Mitsuda

【与信管理】取引先の信用力を調査する

書いてあること

  • 主な読者:経営環境の変化が激しい現在、与信管理をこれまで以上に徹底したい経営者
  • 課題:与信管理として具体的に何をしたらよいのか分からない
  • 解決策:取引開始後も与信管理を継続し、必要に応じて外部機関の情報も参考にする

1 取引先との良好な関係を築くために信用力調査を行う

取引の始まった頃は、あんなにも良好な関係だったのに、時間の経過とともに、少しずつ関係が悪化してしまうことがあります。ビジネスの条件について折り合わないような場合は仕方ないですが、売掛金の回収ができないなどとなると話は別です。

「何となく大丈夫だろう」と思っていたのに、実際に取引を始めてみると、取引先の経営状況が思った以上に悪く、早々に弁済猶予を求められてしまったなどということも珍しくありません。また、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、オンラインでしか話したことのない相手と取引することもあります。取引開始時に取引先の信用力調査を、これまで以上に十分に行っておかないと、後で痛い目を見るのは自社であることを肝に銘じて、取引先と良好な関係を築いていくために、信用力調査を怠らずに行っていきましょう。

この記事では、取引先の信用力調査としてどのようなことを行えばよいのかを説明します。

2 取引開始前に行っておきたい取引先調査について

取引を開始するに当たって、今後良好な関係で取引を行っていくために行っておきたい調査事項として、以下のようなことが挙げられるでしょう。

1)取引先の代表者と面談し、会社の経営方針・取引先などを確認する

特に中小企業においては、代表者に実権が集中し、資金繰りなどを含む会社の経営実態を正確に把握しているのは代表者だけであることも少なくありません。そのため、会社の代表者と実際に面談し、経営方針や沿革・理念などを確認しながら、自社が継続的に取引をしていく会社として適切かどうかを見極めるとよいでしょう。

また、その際に、取引先にどのような属性(業種、会社規模など)の会社が多いのかなどを確認してその信用力を調査するとともに、債権の焦げ付きの可能性や支払いサイトがどのようになっているかなどもそれとなく把握できるとより良いでしょう。

2)営業担当者間で連絡を取る方法を確認しておく

些細な違和感が大きな問題の氷山の一角であることも少なくありません。そのため、気になることをすぐに確認できるように、会社の外線や直通番号だけでなく、営業担当者の携帯電話番号やSNS、LINEのアカウントなども確認しておくとよいでしょう。なお、会社によっては、業務上のやり取りをSNSやLINEで行うことが禁止されている場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

3)信用調査サービスやインターネット上の情報から企業情報を取得する

会社の代表者との面談や営業担当者とのやり取りを通じて、ある程度は取引先の情報を取得することはできますが、例えば、取引金額が大きく、債権が焦げ付いてしまうと自社への影響が大きいため、信用調査に万全を期したいといった場合には、信用調査サービスを利用して企業情報を取得してみるとよいでしょう。これにより、会社の代表者との面談や営業担当者とのやり取りでは分かりにくい第三者から見た会社の現況や健全度が分かることがあります。

また、インターネットで会社名や会社所在地、代表者の名前などをGoogleなどで検索したり、会社登記簿を取得することによっても、会社の代表者との面談や営業担当者とのやり取りからは知り得なかった事実が分かるかもしれません。様々調べてみて、再度気になることを会社に確認してみるとよいでしょう。

3 取引継続を検討するために確認しておきたい取引先の信用力

 

会社の経営状況は日々変わります。そして、その変化は、小さな変化の積み重ねによって、やがて大きな変化になるということも少なくありません。

そのため、日ごろの取引先の担当者とのやり取りなどを通じて、取引先にどのような変化が起きているかなどを感じ取って、取引継続に支障が生じていないかを確認する必要があります。参考までに、以下のような事情があるかどうかは取引先の変化を察知する一つのきっかけになると思いますので、参考にしてください。

  • 日ごろ、担当者とは円滑に連絡が取れているか
  • 担当者が突然変わったり、定期的に退職者が出ていたりすることはないか
  • 取引先を訪問した際に、会社の雰囲気が変わっていないか
  • 納品や支払いが理由なく遅れることがないか
  • 取引先の事業計画、経営方針が大きく変わったりしていないか

4 取引先の信用力は定期的に調査しなければ意味がない

上述の通り、会社の経営状況は、社会情勢などにより日々大きく変わり得るものですので、取引先の信用力も、現在と6カ月前、6カ月後で大きく変わっている可能性があります。

そのため、取引開始時にきちんと調査をしたから当面大丈夫だろうと思っていても、例えば、大口の取引先の債権が焦げ付いて、一気に財務状況が悪化することもあります。こういったことをいち早くキャッチして、今後も取引先への支援という意味合いも込めて、取引を継続するのか、それとも取引を抑えたり、停止したりするのかを検討する必要があるでしょう。

このように、取引先の信用力の調査は一度行うだけでは意味がなく、取引を継続している間は定期的に行う必要があります。売り上げや取引が増加しても、その代金をきちんと支払ってもらわなければ、意味がありませんので、取引先の信用力を開始前から継続的に調査をしながら取引を行うことを心掛けるようにしましょう。

以上(2021年9月)
(執筆 竹村総合法律事務所 弁護士 松下翔)

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画像:Mariko Mitsuda

早期帰宅や避難の判断材料となる防災気象情報とは?/中小企業のためのBCP

1 適切な行動を取るために把握すべき災害情報

洪水、高潮、崖崩れ、地すべりなど、気象や防災に関して収集すべき情報はさまざまあります。「注意報」や「警報」などの警戒レベルに応じて、取るべき行動も異なります。経営者は、こうした情報や警戒レベルを正しく理解し、早期帰宅や避難、自宅待機などの指示を迅速かつ的確に出さなければなりません。

オフィスや工場、営業拠点などが、被災しやすい地域にあるのかを事前に把握しておくことも欠かせません。オフィスの近くに河川や海がある場合は洪水や高潮が起きやすいのか、オフィスが山間部にある場合は崖崩れや地すべりが起きやすいのかなどを把握します。被害が起きそうな地域を地図で可視化した「ハザードマップ」を使い、想定される被害状況を踏まえておくのが望ましいでしょう。

2 防災気象情報と警戒レベルとの対応

「避難情報に関するガイドライン」(内閣府(防災担当))では、「自らの命は自らが守る」意識を持ち、自らの判断で避難行動をとるとの方針が示され、この方針に沿って自治体や気象庁等から発表される防災情報を用いて、取るべき行動を直感的に理解しやすくなるよう、5段階の警戒レベルを明記して防災情報が提供されることとなっています。政府では、警戒レベル5の状況は安全に避難できない状態であり、警戒レベル5の発令を待つのではなく、警戒レベル4までに必ず避難することとしています。

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3 主要な防災向けウェブサイト

災害が起きやすい地域などを確認できる防災向けウェブサイトを紹介しています。BCPを策定するときの参考にしてください。

1)国土交通省「ハザードマップポータルサイト」

洪水・土砂災害・高潮・津波のリスク情報、道路防災情報、土地の特徴・成り立ちなどを地図や写真に自由に重ねて表示できる「重ねるハザードマップ」、各市町村が作成したハザードマップを検索できる「わがまちハザードマップ」が掲載されています。

■国土交通省「ハザードマップポータルサイト」■
https://disaportal.gsi.go.jp/

2)気象庁「キキクル(危険度分布)」

大雨による災害発生の危険度が地図上で確認できます。危険度は、「極めて危険」(濃い紫色)、「非常に危険」(うす紫色)、「警戒」(赤色)、「注意」(黄色)、「今後の情報等に留意」(無色)の5段階で色分けされ、10分ごとに情報が更新されます。「土砂災害」「浸水害」「洪水害」の危険度を切り替えて確認できます。

■気象庁「キキクル」■
https://www.jma.go.jp/bosai/risk/

以上(2021年9月)

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画像:Maslakhatul Khasanah-Shutterstock

これからはチャット上手の上司がもてる?

書いてあること

  • 主な読者:テレワークなどでチャットを使っているが、部下とうまくコミュニケーションがとれない上司
  • 課題:すぐに返信がこないことにイラつくし、意図が正確に伝わらない
  • 解決策:これからはチャットが中心になると心得え、自身のコミュニケーションをバージョンアップする

1 チャットが苦手で……

「何で誰もリアクションをしないのだ!」。中堅社員のAさんはいら立ちを隠せません。グループチャットを使って複数の部下に一斉に指示を出したのに、“数分”待っても、誰からも何の返信もないのです。しばらくして、Aさんの上司であるB本部長が、同じようにグループチャットで部下に指示を出しました。すると間髪入れずに部下が反応し、コミュニケーションが成立したのです。この違いの理由は、役職の違いだけなのでしょうか。

あるとき、AさんはB本部長に愚痴をこぼしました。「私がチャットで指示を出しても、皆のリアクションが悪くて本当に困ります。B本部長のときとは大きな違いですよ。私は軽く見られているのでしょうか……」。するとB本部長は、次のように返しました。

「Aさんが軽く見られているわけではないよ。ただ、チャットには対面はもちろん、メールとも違う独特の雰囲気があるから、それを理解しないといけないね。それからチャット以外の、日ごろのコミュニケーションが大事なんだよ」

2 広がるチャットツール

最近はチャットツールがビジネスの連絡手段として定着しています。リモートワークなど、離れた場所にいる複数の人がコミュニケーションを取る手段として、チャットは便利です。しかし一方で、チャットのコミュニケーションの問題が出ている企業も少なくありません。

例えば、チャットツールはテキストのやり取りが中心で、相手の表情が分かりません。電話やメールも同じですが、電話なら声が聞けます。また、メールは誤解が生じないように丁寧過ぎるくらい、固い表現で書く人が少なくありません。対してチャットは「手軽さ」を重視します。相手の表情が分からず、また声も聞けない状態ですが、いきなり要件に入ります。メールのように、「いつもお世話になっております」などの前置きもありません。

この雰囲気に慣れていないと、チャットなのに堅苦しくなったり、逆にはしょり過ぎて意味が通じなくなったりします。受け手も同様です。手軽だからこそすぐに返すのが礼儀ですが、「チャットだからいいか」と、ついつい返事を先送りにしてしまいがちです。

3 日ごろからイライラしない

いろいろと難しい面のあるチャットですが、だからこそ上司にとってはコミュニケーションの訓練になります。例えば、対面や電話だとつい余計なことまで話して時間を浪費しがちですが、チャットならば必要最低限の言葉で正確に伝えようと努めます。

これは“アバウトに伝える”ことに慣れている上司にとっては、意外と難しいことです。チャットでは、「あれ、これ、それ」などの指示語の多い文はとても分かりにくいので、具体的かつ簡潔に示さなければなりません。

また、日ごろからイライラしないことも重要です。なぜなら、いつもイライラしている上司からのチャットに返信する勇気のある部下は少ないからです。関わったら最後、矢継ぎ早にチャットが入り、少しでも返信が遅いと叱られそうだと思うはずです。

自分のチャットに返信がないのは、自分自身の日ごろのコミュニケーションに問題があるケースも考えられます。また、チャットを送った側は即座の対応を求めますが、受け取った側にも事情がありますので、返信をせかしたいところを少し我慢しましょう。

また、チャットは手軽なので、つい休日にも送りがちです。送る側の上司の意図は、「忘れないうちに伝えておきたい」というものですが、今どきは休日に仕事の連絡を取るのもはばかられます。就業時間後や休日のチャットを禁止している企業も少なくありません。

4 「あれ、どうなった?」は通用しなくなる

「(上司)あれ、どうなった?」「(部下)あれって何ですか?」「(上司)何で分からないんだ。あれだよ、あれ!」。このような上司と部下のやり取りは、今後ますます減っていくのでしょう。

これから組織を率いる人は、その場に居合わせなくても、適時、適切なコミュニケーションが取れる組織を作らなければなりません。そうした意味では、“チャット上手”が上司の絶対条件になっていくかもしれません。

以上(2021年9月)

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画像:George Rudy-shutterstock

【事業承継】本気の事業承継で大切な後継者育成の考え方

書いてあること

  • 主な読者:自らの子供に事業承継をしたい経営者
  • 課題:自身の子息・子女に何を教育すべきか迷っている。そもそも、経営者の器なのかも見極めたい
  • 解決策:自身の子息・子女といってひいきせずに、長い時間をかけて見極める

1 経営者が押さえておくべきこと

自身の高齢化が進み、事業承継が差し迫った課題になっている経営者は少なくないはずです。事業承継では、自社株式の承継など「資産の承継」と、後継者育成など「経営の承継」が車の両輪となりますが、より重要なのは経営の承継といえます。従来に比べて減ってきてはいますが、中小企業では依然として経営者の子息・子女を後継者とするケースが多いです。

「後継者育成には時間がかかるものだ」と漠然と考えるのではなく、期間や内容を明確に決めなければなりません。この記事では、自身の子息・子女を後継者とすることを想定し、後継者に求められる資質などを紹介しています。

2 子息・子女でも例外ではない後継者に必要な3つの資質

1)マインド

後継者には、いかなる困難に直面しても必ず乗り越えてみせるという強いマインドが必要です。経営者の責任や果たすべき役割は、その質や重要性という点で他の従業員とは一線を画します。経営者の意思決定は、企業の業績や存続は言うまでもなく、従業員や取引先などとの関係にも多大な影響を及ぼすからです。

また、経営者として過ごす日々は決して順風満帆ではなく、困難の連続です。重責に耐えながら困難に立ち向かい、企業を維持・発展させていくためには、強いハートが求められます。これは、経営者としての前提条件といえます。

2)実務能力

経営者に常に求められるのは成果です。どれほど素晴らしい目標を掲げ、熱意を持って取り組んでも、収益の向上、新規事業の立ち上げなど具体的な成果を残していかなければ、経営者としては失格です。

また、後継者は周囲の信頼を獲得しなければ経営者として活動することができません。従業員や取引先をはじめとした利害関係者から認めてもらうためには、「この人が経営のかじ取りを行うのであれば企業の行く末は安心」と評価してもらえる成果が必要です。

3)知識

後継者には、経営戦略・マーケティング・財務など経営に関する広範な知識が求められます。中小企業の経営者は、実務を通じて習得した独自のノウハウや経営感覚を重視して経営しています。そのためか、経営に関する知識を机上の空論としてそれほど重視しない傾向があるようです。

しかし、経済環境が変化する中で、従来の考え方や手法だけでは通用しなくなってきていることを経営者が最も痛感しているはずです。この点を素直に受け止め、積極的に学ぶ姿勢がなくてはなりません。

3 後継者育成における経営者の役割

1)企業の根幹を成す「企業の理想・価値観」を伝える

経営者には、「どのような企業にしたいか」という理想や、大切にしたい価値観があります。こうした理想・価値観は、経営上の意思決定において最も基本的かつ重要な指針であり、短期的に見直すものではありません。

企業の理想・価値観は、経営理念のように明文化されているものばかりではなく、暗黙のうちに組織内で共有されているものもあります。こうした企業の理想・価値観を、後継者にしっかりと伝えることも経営者の大切な役割です。

2)「アドバイス」「サポート」を通じて後継者を側面から支援する

後継者が経営者として成長していく過程で経験する不安や悩みは数え切れません。「今回の意思決定やプロジェクトの進め方は正しかったのか」という業務上の問題はもちろん、「自分は経営者としてふさわしいのか」という根本的な点でも悩みます。

経営者は「経営者」という立場としてはもちろん、後継者の性格や心情を理解できる「肉親」という立場からも、後継者の相談に乗ってあげましょう。ただし、適度な距離感は保ちます。後継者を常に見守りつつも、基本的にはアドバイスやサポートは後継者から相談を受けたときのみ行うといった姿勢がちょうどいいかもしれません。

3)企業を支える「人的ネットワークの承継」を行う

経営を進める上では、従業員・取引先・金融機関をはじめとした社内外の利害関係者との良好な関係が欠かせません。とはいえ、経営者が長年にわたって培ってきた信頼関係は、後継者という立場だけで自動的に引き継がれるわけではありません。それなりの時間をかけ、自分の力で利害関係者と信頼関係を構築しなければなりません。

経営者は、後継者と利害関係者とのコミュニケーションを深める場をセッティングするようにしましょう。例えば、社内については、経営者が頼りにしている幹部と一緒に仕事をさせます。また、社外については、金融機関や他社の経営者などとの会談・会合に後継者を同席させるとよいでしょう。

4 本当に後継者としてふさわしいのか?

経営者が後継者育成で悩むのは、

後継者は、経営者としてふさわしい人材なのか?

という根本的な問題です。

できるなら、自分の子息・子女に継がせたいと考えるのは、経営者の当たり前の心情です。しかし、経営者という役割は誰にでもこなせるものではありません。自分の子息・子女が経営者としてふさわしい人材か否かということを、経営者は客観的に考えなければなりません。

近年は、M&Aやビジネスマッチングの一環で親族外承継をサポートするサービスもあります。経営者は企業の行く末を考え、私情に流されることなく、冷静な選択をすることが求められます。

以上(2021年9月)

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画像:Mariko Mitsuda

こびない上司が部下に伝えたいこと

書いてあること

  • 主な読者:次世代のリーダーとして、過去にとらわれずに組織を率いる中堅リーダー
  • 課題:本人の意図とは別に、周囲に悪影響を与えてしまうことがある
  • 解決策:自分の志を周囲に示し、賛同する仲間を募る

1 とがった人は格好いい?

中堅社員のAさんは、他部署の上司であるBさんに憧れています。たまにしか会うことがなく、一緒に仕事をしたこともないBさんに憧れを抱くのには幾つかの理由があります。Aさんは、上の者にも臆せず“かみつく”Bさんを格好いいと思っています。また、他の上司とは明らかに雰囲気の違い、服装もオシャレだと感じています。そうしたBさんのとがった姿に、Aさんは旧態依然とした組織への反抗のシンボルを重ねているのです。

あるとき、AさんはBさんに言いました。「Bさんは本当に頼りになりますね。上の人にも平然と“かみつく”のですから。格好いいです。それに引き換え、今の自分の上司は“腰巾着”みたいで情けないです」。するとBさんは、次のように返しました。

「Aさんには私が“かみついている”ように見えるのか。だったら私を反面教師にしたほうがいい。私は目指すべき理想を実現するために、上とディスカッションをしているだけだ!」

2 本人と周囲とのギャップ

組織では、Bさんのような存在に対する評価が大きく分かれます。ある評価は「上との衝突もいとわない『勇気ある変革者』」、別の評価は「これまでの秩序を乱す『礼儀知らずの無法者』」といったものです。大切なのは、表面的な言動だけで判断しないことです。大人がとがるのには、それなりの理由があるからです。

実際、周囲からはとがっているように見えても、当の本人は自分が信じる理想に向かって進んでいるだけです。上に意見できない風潮を変えるために、自ら率先して意見しているだけであり、単に反抗しているわけではないのです。

これは、服装でも同じです。真面目といわれる職業でさえネクタイを外す時代。Bさんは、自由な雰囲気を醸し出すための手っ取り早い方法として、カジュアルな服装を選択しているだけで、自分の趣味を押し通すためではありません。

また、とがっている人は一生懸命に仕事をしますし、勉強もします。上に意見を言い、時には理想を掲げるわけですから、日々努力をして実力をつけないと、「口だけの存在」として無視されてしまうからです。この結果、とがっている人の多くは会社の上層部の理解を得ます。上層部から見て、「言うだけのことはある。何かやってくれそうだ!」と期待するに足る存在に見えるからです。

3 とがる人の義務

繰り返しになりますが、とがっている本人の意識と周囲の見方には大きなギャップがあります。組織に対してある程度の影響力を持つようになったら、そのギャップを解消していかないと、Aさんのように誤解する人が出てきます。

自分が周囲とは違う言動をとる理由を理解してもらう努力は、組織でとがる人の義務だといえます。そして、この行動はまさに中堅社員がこれから学ぶべきリーダーシップの本質であるともいえるでしょう。目指すべき理想が明確であれば、それを正しく理解して賛同してくれる人が出てきます。そうした人たちは、これから中堅社員が組織を率いていく際のかけがえのない仲間になることでしょう。

以上(2021年8月)

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画像:Damir Khabirov-shutterstock

【朝礼】相手を思いやる努力を惜しむな

今日は、皆さんに「思いやり」について考えてもらうために、1つの質問をしたいと思います。

ハンカチが必要なときに、会社の同僚が消毒済みのハンカチを貸してくれたとします。あなたはどのようにハンカチを返すべきでしょうか? ちなみに、ハンカチはそれほど高価には見えないものとします。私が4つ選択肢を出すので、自分ならこうすると思う方法を選んでください。

  • ハンカチを使った後、そのまま返す
  • 急いで別のハンカチを買って渡す
  • 後日、借りたハンカチを洗濯して返す
  • 後日、もっと上質なハンカチを買って渡す

どうでしょうか。私は、考えれば考えるほど難しいと感じる質問をしたつもりです。なぜなら、ハンカチを貸してくれた人の状況や性格、あなたとの関係性などによって、正解が変わるからです。

よほど気心の知れた、付き合いの長い同僚であれば、1番でもよいでしょう。ですが、そこまでの関係性のある同僚は少ないかもしれません。

もし、貸してくれた人が、その日にハンカチが使えずに困ることを気遣うのであれば、2番を選ぶのが妥当でしょう。

ものを大切にする人や、「借りたものは返すべき」という思いの強い人、あるいは貸したハンカチそのものに思い入れがある人に対しては、借りたハンカチ自体を返すことが重要ですから、3番が正解ということになります。

これはまれなケースかもしれませんが、もし、ハンカチを貸してくれた人がかなりの潔癖性で、「ハンカチを返してもらっても使えない」と考えるような人だったら、4番が無難にも思えます。

3番と4番の両方をすればいいと思った人もいるでしょう。ですが、「ハンカチ1枚のために色々してもらうのは、逆に申し訳ない」と感じる人もいるかもしれません。「だったら貸した本人に聞けばいい」のでしょうか。貸した人が遠慮がちなタイプなら、「『返して』とも言いにくいから、『あげるよ』と答えよう」と考えてしまいかねません。

というわけで、この質問に絶対的な正解はありません。私が知りたかったのは、この質問の答えを、自信をもって簡単に出したのか、悩んだ末に「強いて挙げれば」で出したのか、なのです。

皆さんに戒めてほしいのは、相手の気持ちを思いやることなく、“独り善がり”や“何となく”で方法を決めてしまわないことです。どうすれば相手が喜ぶかを、きちんと考えてほしいのです。

それをビジネスに当てはめるなら、自社のサービスやその提供方法は、お客さまにとって本当に最適なのか、常に考えることです。お客さまのことを思いやり続けることは、相手との関係性を深め、新しいサービスを生むことにつながります。結果的に選択を誤ったとしても、「実はこのように考えまして」と説明すれば、こちらの誠意は受け取ってもらえます。相手を思いやる努力は、決して無駄になりません。

以上(2021年8月)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】「現場感」は思いやりから生まれる

ビジネスは「現場感」を持って進めなければなりません。現場感に対する解釈は人それぞれですが、私の考えはこうです。「現場感とは、携わる人の喜びや悩みを踏まえて、仕事の意義や仕組みを理解する感覚」。

現場感のない思考は机上の空論にすぎず、そのような発言をすれば、「この人はビジネスが分かってない」と厳しい評価を受けます。先日、当社にマーケティング施策を提案してきたコンサルタントも現場感がありませんでした。そのコンサルタントの提案は、大企業並みの豊富なリソースがなければ着手できない施策ばかりだったのです。また、実務はマーケティング担当者に任せて、経営者は社長室にどっしりと構えていればよいと言っていました。このコンサルタントは、中小企業にはマーケティング担当者がいないケースが多いことや、中小企業の経営者は“社長業”だけではなく、それこそマーケティングからちょっとした事務まで、組織運営に関することは何でもやるという実態が分かっていなかったのです。

何事も経験しなければ分かりません。そうした意味では、中小企業の“社長業”を経験していなければ、中小企業の経営者の本音が分かるはずはありません。しかし、このレベルで終わっているうちは現場感が身に付きません。大切なのは、自分は中小企業のことが分かっていないということを認識し、“無知の知”の状態になって、現場感を持つための努力をすることなのです。

皆さん、改めて考えてみてください。皆さんには現場感がありますか?

この質問に答えるためには、「皆さんの『現場』」を定義する必要があります。こう言うと、ほとんどの人は自分が働いている場所が現場であると定義しますが、それだけでよいでしょうか。製造担当者であれば工場、販売担当者であれば店舗が現場であることは間違いありません。しかし、会社全体ということで考えれば、工場も店舗も現場です。つまり、製造担当者は工場だけではなく、店舗も自分の現場であると認識しなければならないのです。さらに付け加えれば、お客様が当社の製品を使って活動する場所も、私たちにとっての現場であるわけです。これが分からなければ、先のコンサルタントのように、現場感のない的外れな提案をすることになってしまいます。

現場感を持つためには、相手に聞くしかありません。相手が社内の人であっても、社外の人であっても同じです。相手の今抱えている課題を聞き出し、思いを共有するのです。

ただし、特に社外の人から現場の話を聞き出すことは簡単ではありません。そこで常日ごろから、相手を思いやる気持ちを示し、「この人に話せば、何か力になってくれるかもしれない」と信頼してもらわなければならないのです。こうした努力をした人だけが、現場感のあるビジネスをすることができます。現場感は相手を思いやることで身に付くものです。忘れないでください。

以上(2021年8月)

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画像:Mariko Mitsuda

飲酒運転の根絶に向けて(2021/08号)【交通安全ニュース】

活用する機会の例

  • 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
  • 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
  • マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など

飲酒運転による交通事故は、2006年に福岡県で幼児3名が死亡する重大事故が発生するなど大きな社会問題となりました。その後、飲酒運転の厳罰化・行政処分強化などにより、飲酒運転による交通事故は年々減少しているものの、近年では下げ止まり傾向にあり、依然として飲酒運転による悲惨な交通事故は後を絶ちません。

飲酒運転は悪質・危険な犯罪です。
私たち一人ひとりが、「飲酒運転を絶対にしない、させない」という強い意志を持ち、飲酒運転を根絶しましょう。

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※ 警察庁Webサイト 「飲酒運転による交通事故件数の推移」
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/img/insyu_03.pdf (2021.7.13閲覧)

1.飲酒運転での死亡事故事例

飲酒運転は、絶対に許されません。被害者も加害者も あまりに多くのものを失います。

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2.飲酒の影響

アルコールの影響について理解を深めましょう。

①体内からアルコールが抜けるまでの時間

リスクの低い飲酒の目安として1日純アルコール20グラム(=1単位)以内と示されており、1単位のアルコールが体内で分解されるには、個人差はありますが約4時間かかります。2単位では約8時間となり、3単位では約12時間かかります。

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※特定非営利活動法人ASK Webサイト「アルコールが体から抜けるまでの時間」
https://www.ask.or.jp/article/8502 (2021.7.13閲覧)

②少量の飲酒でも危険

アルコールが認知・判断・動作に与える影響は、酒に強いか弱いかに関係なく、同じ飲酒量であれば同程度という検証結果もあります。しかし、酒に強い人ほど酒による酔いの自覚症状が出にくいため、酔いの程度を低く評価する傾向があります。少量の飲酒だから酔っていないだろうと思っても、アルコールによる「脳の麻痺」は始まっています。

※警察庁Webサイト 科学警察研究所交通安全研究室「低濃度のアルコールが運転操作等に与える影響に関する調査研究」
https://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/insyuunten/kakeiken-kenkyu.pdf  (2021.7.13閲覧)

3.飲酒運転を根絶しましょう

飲酒運転に対する社会的制裁は非常に大きいものです。

<飲酒運転をしないために>

  • ・翌日に運転予定がある場合は、飲酒を控えましょう。
    翌朝アルコールが残っていると「飲酒運転」になります。
  • ・飲酒習慣のあるドライバーは、自身のアルコール依存度を把握しましょう。アルコール依存症の疑いのある方は専門医に相談しましょう。

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<飲酒運転をさせないために(職場での取り組み)>

  • ・日頃から過度の飲酒とならないよう、お互いに気を付けましょう。
  • ・飲酒習慣のあるドライバーに対しては、運転前のアルコール残量チェックを行いましょう。
  • ・従業員の健康管理の一環で、習慣飲酒やアルコール依存の状況を把握し、必要に応じて健康指導を行いましょう。

≪飲酒運転防止の取り組みの参考≫

日本損害保険協会のサイト「飲酒運転防止マニュアル」https://www.sonpo.or.jp/report/publish/bousai/trf_0003.html

以上(2021年8月)

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画像:amanaimages

基本をおろそかにした仕事をするな! ~「バック・トゥ・ベーシックス」の大切さを確認する~

書いてあること

  • 主な読者:入社3〜5年目でさらに成長したい中堅社員
  • 課題:「基本」の大切さは分かっているが、忙しいと疎かになってしまうことがある
  • 解決策:忙しいからこそ、難しいからこそ「基本」を判断のよりどころにする

1 ルールを守らなかったら……

「リモートワーク中なのだから、いつも以上に確認しないと駄目じゃないか。もう一度、確認して!」

現金出納帳と実際の現金残が一致していないことを報告した経理課の中堅社員Aさんは、課長に大目玉を食らいました。Aさんの会社では、毎日、17時に現金出納帳への記載や帳簿と実際の現金残の確認をする決まりです。最近は、リモートワークが導入されて環境が変わったので、2人で確認することがルール化されたのですが、Aさんはそれを守らなかったのです。

「失敗したな……」としょんぼりとしながら、改めて現金残などの確認をするAさんでした。

2 基本を徹底することの難しさ

中堅社員になると業務は多様になり、難しい決断も迫られます。業務量も増えるので、慌ただしい中で多くの仕事をこなさなければなりません。そんな中堅社員だからこそ、大切にしなければならないのが「基本」です。基本とは、「ルールや手順を守る」「時間を守る」「お客様を優先する」といったもので、中堅社員にとっては「今さら何を……」と思うようなことです。

しかし、業務上のミス、お客様からのクレームなど、身近な問題だけでなく、マスコミで報じられるような世間を騒がす大きな不祥事も、その原因を探ると、「基本をおろそかにしている」という点にあることが少なくありません。

成長が期待され、また、日々、より難易度の高い業務への対応が求められる中堅社員の目は、より高い方に向けられがちです。しかし、そうしたときだからこそ、謙虚な姿勢で、いま一度、基本を重視することの大切さを認識することが大切なのです。

3 今、基本を再認識することの3つの意義

1)難易度の高い業務に向かう基礎作り

中堅社員に求められる難易度の高い業務の多くは、非定型的な意思決定を伴うものです。端的な例を挙げると「決まった手順を覚えて、特定の業務をこなせるようになる」といったことから、

その特定の業務を、より効率的に進めるためには、どのように改善すべきか。また、その改善案の実現は、どのように進めていくか

といったイメージです。

非定型的な意思決定を行う際は、さまざまな状況を考慮しますが、基本に従うことは最低条件です。例えば、コスト削減を進めていても、サービスの質の低下などお客様に悪い影響が及ぶ恐れがあれば、そのまま採用することはできないはずです。このように、基本は、意思決定の大切なよりどころであり、それをないがしろにしては、質の高い意思決定はできません。

2)部下への指示・指導

部下への指示・指導という点では、基本にのっとった指示・指導は、部下の納得性を高めるために不可欠です。

部下も人間です。上司の指示・指導だといっても、自身が理解・納得できないことに対しては、反発心を覚えます。また、実践しようとしても、上司の意図通りのパフォーマンスを発揮することはできません。

しかし、基本にのっとった指示・指導であれば、部下は理解・納得できるものです。仮に、理解・納得できなくとも、基本にのっとったものであることを説明すれば、指示・指導の意図を納得させる際の一助となります。

3)周囲からの信頼の獲得

基本にのっとった仕事に対する姿勢や、部下に対する指示・指導を続けることは、周囲からの信頼を獲得する上でも効果的です。常に基本を意識して業務に当たることで、自身の言動にブレがなくなり、一貫性が生まれます。そうした姿は、周囲から信頼を得るためには大切になります。

4 「基本に忠実に」の難しさ

「基本に忠実に」と言うと、「何をいまさら」と言う人もいるでしょう。しかし、こうしたことが言われるのには、それなりの意味があります。それは、「当たり前のことだが、実践し続けることが難しい」ということです。

そうした意味では、これからさらなる飛躍が期待される中堅社員だからこそ、いま一度、その大切さをかみしめることが必要なのです。

以上(2021年8月)

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