【規程・文例集】「役員報酬規程」のひな型

1 役員報酬規程作成時の留意点

1)役員報酬決定の手続き

「役員報酬」は一般的な呼称であり、会社法では「取締役(会計参与、監査役)の報酬等」、法人税法では「役員給与」とされています。この記事では役員報酬と記述しています 。

役員報酬決定の手続きは会社法に定められています。具体的には、定款に役員報酬の額または具体的な算定方法を定める場合は、その定めに従って役員報酬の額を決定します。しかし、定款に定めを置く例はほとんどなく、多くは株主総会の決議によって決めることとしています。株主総会で個々の取締役の報酬の確定額を決議することもできますが、実務上は、株主総会では取締役全員の報酬総額の最高限度のみを決議し、取締役会に個々の取締役の報酬額の決定を委任するケースが多いです。

2)役員報酬の支給方法・支給額を決定する際の留意点

役員報酬は税務上の扱いにも注意が必要です。法人税法では、一定の要件を満たす役員報酬についてのみ損金算入を認めています。具体的には「定期同額給与」「事前確定届出給与」「一定の業績連動給与」などを定めています (法人税法第34条第1項)。ただし、一定の業績連動給与を損金算入できるのは、有価証券報告書提出会社に限られるので、多くの企業では定期同額給与や事前確定届出給与とする必要があります。

詳細は省略しますが、定期同額給与は、支給時期が1ヵ月以内の一定期間ごとであり、支給時期ごとの支給額が同額であるもの、および継続的に供与される経済的な利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるもの(法人税法施行令第69条第1項)などをいいます。

また、事前確定届出給与は、事前に支給時期と支給額を確定させて、納税地の所轄税務署長に届け出を行ったものをいいます(同族会社に該当しない国内の会社では、定期給与を支給しない役員(非常勤役員等)に対し支払う年俸等の臨時給与は、届け出を行わなくとも、事前確定届出給与に当たるものとして損金算入できます(法人税法第34条第1項第2号イ))。

支給額に関しては、不相応に高額な役員報酬(過大役員給与)は、高額に当たるとされる部分は損金算入できません(法人税法第34条第2項)。不相応に高額な部分は、当該役員の職務内容、会社の収益、会社の使用人に対する給与の支給状況、同業種・類似規模の他社の役員に対する給与の支給の状況などと比較して判断されます(法人税法施行令第70条)。

役員報酬規程は、役員に対して役員報酬額の算定基準や支給時期などを明確にするという役割を持つと同時に、会社法や法人税法などの関連法令に関する遵守事項を明文化する意味でも重要な規程です。

2 役員報酬規程のひな型

以降で紹介するひな型は、一般的な事項をまとめたものであり、個々の企業によって定めるべき内容は異なってきます。実際にこうした規程を作成する際には、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることをお勧めします 。

【役員報酬規程のひな型】

第1章 総則

第1条(目的)

本規程は、株式会社○○の役員の報酬および賞与の支給基準などについて定めるものである。

第2条(役員の定義)

本規程における役員とは、株主総会で選任された取締役および監査役のことをいう 。

第2章 報酬

第3条(報酬の体系)

役員報酬は、月額報酬および役員賞与として支給する。

第4条(月額報酬の決定方法)

1) 取締役の月額報酬は、株主総会で決議された報酬総額の範囲内において、取締役会が本規程に従ってこれを決定する。

2) 監査役の月額報酬は、株主総会で決議された報酬総額の範囲内において、監査役の協議で本規程に従ってこれを決定する。

第5条(月額報酬の支給基準)

役員の月額報酬は、次の事項を参考にしながら、役員の職位ごとにこれを決定する。

  • 従業員の給与の最高額
  • 役員報酬の世間一般的な水準
  • 会社の業績

第6条(常勤役員の支給基準)

常勤役員の月額報酬は、原則として従業員の給与の最高額を基準 (1.0) とし、次の各号に掲げる区分により、職位別にこれを決定する。

  • 取締役会長:○.○程度
  • 取締役社長:○.○程度
  • 取締役副社長:○.○程度
  • 専務取締役:○.○程度
  • 常務取締役:○.○程度
  • 取締役:○.○程度
  • 監査役:○.○程度

第7条(非常勤役員の支給基準)

非常勤役員の月額報酬は、当該役員の会社への貢献度、社会的地位などを総合的に勘案した上、第5条所掲の事項も参考にして決定する。

第8条(報酬の改定)

役員報酬は、当該役員の職務内容、職務遂行状況、成果、株主総会決議の内容などを総合的に勘案して、原則として毎年度見直しを行うものとする。

第9条(報酬の減額措置)

役員報酬は、会社の業績その他必要に応じて、臨時に減額することができる。この場合、取締役の役員報酬については取締役会の協議により、監査役の役員報酬については監査役の協議によりそれぞれ決定した内容に従い役員報酬を減額する。

第10条(通勤手当)

通勤手当は、役員報酬とは別に、別途定める「賃金規程」 (省略) 第○条~第○条の定めに準じて支給する。ただし、役員のうち、社有車で送迎を行う者については、通勤手当は支給しない。

第3章 報酬の支給方法など

第11条(支給方法)

役員の月額報酬(使用人兼務役員の使用人部分給与を含む) および通勤手当は、毎月○日に役員本人の指定する金融機関の口座に振り込むことで支給する。

第12条(控除)

役員報酬を支給するに際しては、次の各号に掲げるものを控除する。

  • 所得税その他の源泉徴収税
  • 住民税
  • 社会保険料
  • その他、本人からの申し出があった立て替え金、貸付金、前払い金等

第4章 報酬に関するその他の事項

第13条(長期欠勤者の報酬)

病気療養など、やむを得ない事情により長期欠勤者の役員報酬は、原則として、任期中の減額は行わない。

第14条(就任・退任または解任時の報酬の取り扱い)

1) 月の途中に就任・退任し、または解任された場合の役員報酬は、月額報酬を基に日割り計算を行う。

2) 月額報酬の支給計算の期間は当月1日から末日までとする。

第5章 賞与

第15条(賞与の決定方法)

会社の業績が良好なときは、株主総会による決議を得て、役員に賞与を支給することができる。ただし、賞与の金額は、月額報酬と合計して、株主総会で決議された報酬総額の範囲内で決定しなければならない。

第16条(賞与の配分)

各役員への賞与の配分は、各役員の職務内容、職務遂行状況、成果などを総合的に勘案して、取締役の賞与は取締役会で、監査役の賞与は監査役の協議でそれぞれ決定する。

第17条(賞与の支給方法)

役員賞与は、取締役会がその都度決定した支給日において、役員本人の指定する金融機関の口座に振り込むことで支給する。

第6章 雑則

第18条(改廃)

本規程の改廃は、取締役会において行うものとする。

附則

本規程は、○年○月○日より実施する。

以上(2026年2月更新)
(監修 有村総合法律事務所 弁護士 栗原功佑)

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画像:ESB Professional-shutterstock

【入社1年目の教科書】仕事の情報は慎重に取り扱う。迷ったら言わないのが正解!

今日の商談は大成功。うれしい私は先輩とのランチで商談のことを話しすぎちゃった。「今訪問した○○社はいい感じですね。部長のAさんも乗り気だし、1000万円の商談が成立するかも!」って。そうしたら、それを聞いた先輩が大慌てで、「しぃ〜〜! そんなことを声に出したらダメでしょ!!」と私の話を遮ったんだよな……。あれって、何がまずかったんだろう?

1 情報の取り扱いには細心の注意が必要

電車やカフェなどで、隣の人が会社名や個人名、取引条件などを出しながら仕事の話をしていることがありますが、これはやってはいけません。仕事をしているとたくさんの情報を取り扱いますが、

どんな情報も慎重に取り扱い、相手の会社や個人、取引内容を特定できるような情報は話さない

というのが基本です。「これは話しても大丈夫か?」と迷ったら、話さないほうが正解です。情報が漏洩してしまう原因の多くはヒューマンエラーですが、電車やカフェなどのちょっとした会話もその一つなのです。

ですから、皆さんは、日々、次の6つに注意して行動してください。

  • 電車やカフェでの会話に注意する
  • チャットやSNSでの発言に注意する
  • 会社の許可を得ずに個人名義のファイル共有サービスなどを利用しない
  • 一斉メールの送り先に注意する
  • クラウドサービスの共有範囲に注意する
  • デスクの整理・施錠を徹底する

関係者と「隠語」を決めておくのもよいです。例えば、相手が東京都中央区日本橋にある会社なら、会社名ではなく「日本橋」と言う感じです。

2 個人情報は特に慎重に取り扱う

特に慎重な取り扱いが求められるのが個人情報です。個人情報は「個人情報保護法」で定義されていて、具体的には次のような情報が該当します。

  • 本人の氏名
  • 生年月日、連絡先(住所・居所・電話番号・メールアドレス)、会社における職位または所属に関する情報について、それらと本人の氏名を組み合わせた情報
  • 防犯カメラに記録された情報など本人が判別できる映像情報
  • 本人の氏名が含まれるなどの理由により、特定の個人を識別できる音声録音情報
  • 特定の個人を識別できるメールアドレス
  • 特定の個人の身体の一部の特徴を電子計算機のために変換した符号(顔、指紋・掌紋、虹彩、手指の静脈、声紋、DNAなど)
  • 対象者ごとに異なるものとなるように役務の利用、商品の購入または書類に付される符号(マイナンバー、旅券番号、運転免許証番号、基礎年金番号、健康保険証番号など)

相手が個人の場合はもちろん、法人の場合もその窓口担当者の名刺に記載の情報、会社の連絡網に記載の同僚の情報などは個人情報となります。会社では、個人情報を記載した書類は施錠できるキャビネットで保管するなど、取り扱いのルールを決めているはずですから、必ず守ってください。

3 個人情報以外にも注意すべき情報

個人情報以外にも、次のような情報は会社の営業上重要で、社外には公開したくない情報なので注意が必要です。

  • 研究開発情報(実験データ、試作品情報など)
  • 製造関連情報(製品図面、テストデータ、製造プロセス、工場設備・レイアウトなど)
  • 顧客情報(顧客リスト、クレーム情報、顧客別製品情報など)
  • 取引先情報
  • 市場関連情報(市場分析情報、競合先分析情報など)
  • 価格情報(仕入れ値、製品価格、利益率など)

上記の情報以外にも、会社独自で慎重な取り扱いを求める情報があると思います。上司や先輩に確認しておきましょう。

4 生成AI(ChatGPTなど)を使うときの注意点

最近は、仕事で生成AIを使う機会が増えています。ChatGPT、Gemini、Claude、Copilotなど便利なツールがたくさんありますが、

入力した情報が学習データなどに利用されることがある(=他の人が生成AIを使った際に、自分が入力した情報が、正確または不正確な形で出力されてしまう可能性がある)

ので、取り扱いには十分な注意が必要です。一度入力した情報は取り消せませんから、次のような情報は絶対に入力しないでください。

【入力してはいけない情報】

  • 個人情報:顧客や取引先、同僚などの氏名、住所、電話番号、メールアドレスなど、特定の個人を識別できる情報全て
  • 機密情報・社外秘情報:営業秘密やノウハウ、顧客または取引先に関する未公開の情報、社内限定で共有されている情報
  • 著作権で保護されている情報:他人の著作物(記事、画像、プログラムコードなど)
  • 不適切・違法な情報:差別的、暴力的な内容や、違法行為を助長するようなプロンプト

ファイルを生成AIにアップロードする場合も同じです。例えば、

  • プロンプトに「今日の会議の議事録を要約して」と入力し、顧客名や商談内容が含まれた議事録(ワード、PDFなど)をアップロードする
  • プロンプトに「この顧客リストを分析して」と入力し、顧客情報のCSVをアップロードする

といった使い方は絶対にしてはいけません。どうしても業務データを使いたい場合は、

個人を特定できる情報を削除(匿名化)したり、内容を抽象化したりする

など、情報漏洩リスクを最小限に抑える工夫が必要です。

例えば、プロンプトを入力の仕方を次のように変えることで、情報漏洩のリスクを減らすことができます。

  • (例1)「○○社への提案書を作成して」→「新規顧客への提案書の構成を教えて」
  • (例2)「1000万円の案件の見積書の書き方を教えて」→「大型案件の見積書を作る際の注意点を教えて」

以上(2026年1月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

過去と未来どっちに行きたい? 経営者に「もしも」を聞いてみた

1 もしも、タイムスリップできるとしたら……

もしも、現代を離れて未来か過去にタイムスリップできるとしたら……?

未来の景色を先取りしたいか、あるいは過去の歴史を追体験したいか。時代を選ぶ視点・発想はまさに人それぞれ。

今回は、中小企業の経営者214人に、そんな「もしもの話」についてアンケートを実施し、

  • もし、過去と未来のどちらかに行けるなら、どちらに行ってみたいですか?(「どちらも行きたくない」も回答可)
  • 行ってみたい・行きたくない理由を教えて下さい

という2つの質問をしました。経営者の素顔や価値観が垣間見える結果が集まりましたので、この記事で個性豊かな回答をご紹介します。

アンケートは2025年8月に、インターネットを通じて行いました。回答の中で、明らかに誤字と思われる表記などは修正しています。

2 もしも過去と未来、どちらかに行けるとしたら?

アンケートの結果

アンケートの結果、

  • 「過去に行ってみたい」と答えた人は、51.9%
  • 「未来に行ってみたい」と答えた人は、29.9%
  • 「どちらも行きたくない」と答えた人は、14.0%

でした。

次章では、「過去に行ってみたい」派、「未来に行ってみたい」派、そして「どちらも行きたくない」派のそれぞれの意見を紹介していきます。

3 過去に行ってみたい経営者たち

過去に行ってみたい経営者たち

過去に行ってみたい経営者たちの、「行ってみたい理由」は次の通りです。

見てみたいもの・体験したいことがある

「文化がなかった頃の世界を堪能したい」「原始時代に行って恐竜を見てみたい」「エジプトのピラミッドを作っている現場を見てみたい」「熊本城などの石垣を人力で積み重ねている所を見てみたい。織田信長の建てた安土城を見てみたい」「戦国時代に行ってみたい」「徳川家康の死亡の真相を究明したい」「江戸時代の庶民の暮らしを体験したい」「幕末を見てみたい」「自分の子供の頃を覗きたい」

会ってみたい人がいる

「聖徳太子と話をしてみたい」「織田信長に会いたい」「織田信長の行動を見てみたい」「父に会ってみたい」「あの時の自分や両親に会いたい」「昔の彼女のその後が知りたい」「好きな人ともう一度巡り合いたい」

人生でやり直したいことがある

「過去の自分の考え方を直したい」「人生の転機として間違えた年に行って修正したい」「後悔していることを当時に戻ってやり直してみたい」「後悔の多い人生だったので、やり直したい」「勉強を初めからやり直したい」「自分の人生の選択ミスを取り戻したい」

現代の知識を役立てたい

「現在の記憶や知識をもって、過去へ繰り出せたらどのくらいの範囲に影響を与えられるのか試してみたい」「先を知っているので何かと有利に働きそう」「知識を活かしておカネを儲ける」「明治の黎明期に、思い切り役立つ事をしたい」「現代の知識を駆使して時代を発展させてみたい」「三億円強奪事件の現場にいて犯人を強請るか、ド田舎だった渋谷村の大地主になってセレブになりたい」

4 未来に行ってみたい経営者たち

未来に行ってみたい経営者たち

未来に行ってみたい経営者たちの、「行ってみたい理由」は次の通りです。

科学技術の進歩を見たい

「30年後のスマホとパソコン、自動車が見てみたい」「文明の進化を見たい」「技術の進歩を見てみたい」「テクノロジーの進展で世の中がどのようになっているか」「どのように進歩しているか関心がある」

人類の行く末が気になる

「未来の株価や流行を知って、現代に戻って大儲けしたい」「未来のヒット商品を見て、今のビジネスのヒントにしたい」

知り得ないことを知りたい

「昔のことは知ってるけど、未来のことは知らない」「未来のほうに夢を感じるから」「未来は未知だから」「知ることのできない未来がどのようになっているのか見てみたい」「おそらく全く状況に対応できないと思うが、それがまた楽しみでもある」「嬉々として知識を得たい」「知らない未来について興味がある」

5 どちらも行きたくない経営者たち

どちらも行きたくない

どちらも行きたくない経営者たちの意見は次の通りです。

自分らしく生きたい

「今を精一杯生きたい」「今が楽しい」「本当の事は知らずに想像してるほうが楽しい」「自分の人生がそれによって変わるかどうか分からないし、自分の人生を、今の自分の考え方で決めて行きたいから」

過去や未来に行くメリットがない、またはデメリットがある

「過去に行っても未来に行っても現在が変わらないのであれば行く意味を感じない」「過去を振り返っても意味は無いし、未来を知ったら失望するかやる気をなくすかしそうだから」「過去を見るともう戻れないと悲しくなるし、未来は自分がもういなければ、それまでに消えていると現在に戻ってきても未来に希望が持てなくなるから」

以上(2026年2月作成)

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画像:日本情報マート

【役員報酬】役員報酬の決定手続きと損金算入するための要件

1 役員報酬は重要な経営判断

中小企業にとって、役員報酬の決定は経営判断の中でも特に重要なテーマです。会社法では「取締役等の報酬」、法人税法では「役員給与」と定義されますが、いずれの場合も、役員報酬は

損益計画・税務・資金繰りのすべてに直接影響を与える要素

であり、適切な手続きと期限を守って決定しなければなりません。

特に中小企業では、

株主総会で総枠を決め、取締役会で具体的な支給額を定める「定期同額給与」を採用するケースが一般的

で、これを誤ると思わぬ税負担や資金繰りの悪化を招きかねません。

この記事では、経営者が押さえておくべき役員報酬決定の手続きと、損金算入のための要件についてわかりやすく解説します。

2 役員報酬を決定するための手続き

一定の権限を持つ役員が自身の役員報酬を自由に決めると、いわゆる「お手盛り」の懸念があります。そこで報酬の支給については、

定款に定めるか、株主総会の決議が必要

です。

ただし、金額などを変更する際の手続きが煩雑なので定款に定める会社は少なく、多くは株主総会の決議を採用しています。この場合、単年度ごとに支給額を決定する方法の他、

役員報酬の総額の上限を決め(取締役報酬と監査役等報酬は別々)、個別の支給額は取締役会等の決定に委ねる

こともできます。さらに、取締役会の決議により、各取締役の報酬の配分を社長に一任することも可能です。

役員報酬の総額の上限を株主総会決議で決定した場合、上限額に変更がない限り翌年度以降の株主総会決議は不要です。上限額を変更する場合は、取締役会での決議を経て、株主総会でも決議します。

なお、定時株主総会における議案例は次の通りです。

第●号議案 取締役の報酬等の額改定の件

現在の取締役の報酬額は、20XX年6月20日開催の第▲期定時株主総会において年額8000万円以内とご承認いただき今日に至っておりますが、役員報酬体系を見直し、取締役の報酬額を年額1億2000万円以内、監査役の報酬額を年額1500万円以内に改定させていただきたいと存じます。また、現在の取締役の員数は4名、監査役の員数は1名です。

3 役員報酬を損金算入するための要件

1)基本的な考え方

役員報酬を支払えば会社の利益は減少するので、法人税法で経費として認められる範囲で役員報酬を増やせば、法人税等の負担を抑えられます。一方、役員報酬には所得税等が課税されるため、役員報酬を増やせば役員の所得税等は増加します。また、税金ではありませんが、役員報酬に応じて社会保険料(健康保険料や厚生年金保険料)が発生します。社会保険料は労使折半です。

さて、税法上、損金に算入できる役員報酬は次の3種類だけです。

  • 定期同額給与
  • 事前確定届出給与
  • 業績連動給与

ただし、「3.業績連動給与」は適用規定が複雑で、同族会社には適用が認められていないことから、実質的に上場企業等だけ認められている制度です。また、「1.定期同額給与」 「2.事前確定届出給与」であっても、役員の職務などに照らして不相当に高額であると判断された場合、高額とされた部分(適正額を超える部分の金額) は損金に算入できません。

2)定期同額給与

定期同額給与とは、

支給時期が1ヵ月以下の一定の期間ごとの給与で、その事業年度の支給額が同額のもの

です。一度決定したら、原則として事業年度内に変更できません。そのため、利益が予想より多く出そうなので事業年度内に役員報酬を増額した場合、当初決定した月額報酬のみが損金として認められ、増額部分は損金に算入できません。

3)事前確定届出給与

事前確定届出給与とは、

「いつ、誰に、いくら」支給するかを事前に所轄税務署長に届け出て、その通りに支給するもの

です。いわゆる「役員賞与」も、事前に届け出ていれば損金に算入できます。ただし、支給日や支給額が届け出の通りでなければ、全額が損金に算入できません。

なお、届け出の期限は、原則として以下のいずれか早いほうです。

4 (参考)代表的な役員報酬の種類・スキーム

コーポレートガバナンス・コードの適用もあり、上場企業を中心にさまざまな種類の役員報酬が導入されているので、参考として紹介します。

  • 金銭報酬:基本報酬、賞与、退職慰労金、業績連動報酬、株価連動型報酬
  • 株式報酬:ストック・オプション、リストリクテッド・ストック、パフォーマンス・シェア

金銭報酬としては、

  • 業績連動報酬:業績指標に連動して金額が変わる報酬
  • 株価連動型報酬:会社の株価に連動して金額が決定される報酬

の導入が見られます。

また、株式報酬を導入する企業も増えています。ストック・オプションに加え、

  • リストリクテッド・ストック:譲渡制限付株式。金銭報酬債権を役員に付与し、本債権による現物出資で譲渡制限付株式を取得させるスキーム
  • パフォーマンス・シェア:業績連動型株式報酬。目標の達成度合いに連動した自社株を付与するスキーム

といった、自社株を報酬とする制度が広まりつつあります。

これらは上場企業ないし上場準備企業でなければ現実的ではありませんが、最近の動向として押さえておくとよいでしょう。

以上(2026年2月更新)
(監修 辻・本郷税理士法人 税理士 安積健)

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画像:hanack-Adobe Stock

2026年法改正で中小企業の 「内部通報窓口」はどう変わる?

1 内部通報とハラスメントの対策はセットで!

公益通報者保護法により、

社員301人以上の企業には、内部通報窓口の設置など内部通報の体制を整備することなど

が義務付けられています。一方、社員300人以下の企業は努力義務となっています。

にもかかわらず、内部通報窓口を設置している社員300人以下の企業の割合は、2016年度(26.3%)から2023年度(46.9%)にかけて、20.6ポイントも上昇しています。これは、

どの中小企業にも、「ハラスメント防止窓口」を設置するなどの義務があり、どうせハラスメント相談窓口を設置するなら、そこに内部通報窓口の機能も持たせたほうが、社員の声を幅広く拾いやすい

という理由からだと思われます。

この記事では、

公益通報者保護法の概要と、内部通報とハラスメント相談の窓口の一元化

について解説します。また、

2026年12月1日からは公益通報者保護法が改正され、「公益通報者の範囲拡大(フリーランスが追加)」など、いくつかの変更点がある

ため、併せて紹介します。

2 公益通報者保護法の概要

1)公益通報者保護法とは

そもそも公益通報とは、

一定の要件を満たす者が会社の「通報対象事実」 (一定の法令違反行為)について通報すること等

を指します。通報対象事実とは、公益通報者保護法に定められた一定の法律に違反する行為のうち、犯罪行為や最終的に刑罰に繋がる行為などをいい、例えば、横領や食品偽装などが含まれます。

また、通報先には次のような種類があります。

  • 内部通報:社内の窓口に通報
  • 外部通報(行政通報・事業者外部への通報):行政機関・報道機関・消費者団体などに通報

公益通報者保護法は、法律の要件を満たした公益通報を行った人を保護するためのもので、図表1のように対象者と保護の内容が定められています。

公益通報者保護法の対象者と保護の内容

2026年12月1日からは公益通報者保護法改正により、対象者と保護の内容について次の改正が行われます。

1.フリーランス(特定受託業務従事者)の追加

従来の社員、派遣社員、役員に加え、新たにフリーランスも保護の対象に含まれます。

2.不利益取扱いの「推定」規定の新設

公益通報(または事業者が通報を知った日)から1年以内に行われた解雇または懲戒は、公益通報を理由としたものと「推定」されるようになります。これにより、裁判等で企業側が「通報とは無関係である」ことを立証する必要があります。

3.役員の解任に対する損害賠償

役員が通報を理由に解雇(解任)された場合、事業者に対して解任によって生じた損害の賠償を請求できるようになります。

2)求められる体制の整備

公益通報者保護法では、

内部通報に適切に対応するために必要な体制を整備すること

が求められています。具体的に必要な対応は次の2つです。

  • 内部通報の担当者(以下「公益通報対応従事者」)を定める
  • 「部門横断的な公益通報対応業務を行う体制」 「通報者を保護する体制」 「内部通報の対応を実効的に機能させる体制」を整備する

1.公益通報対応従事者

公益通報対応従事者とは、内部通報の受付、通報を受けての調査、是正措置に関する業務などを行う者のことです。この公益通報対応従事者には、罰則付きの守秘義務が課されます。公益通報対応従事者に課される守秘義務とは、

正当な理由なく、通報対応で知り得た事項であって通報者を特定する情報を漏らさないこと

です。故意に情報を漏洩した場合、公益通報対応従事者本人に30万円以下の罰金が科されます。

企業には次のような対応が求められます。

  • 公益通報対応従事者を定める際に、本人に守秘義務が課されていることを十分に説明する
  • 公益通報対応従事者を対象に、教育や研修を充実させる

2.体制の整備

体制の整備に当たって必要な措置としては、図表2のようなものがあります。

体制の整備に当たって必要な措置に含まれるもの

3.罰則

ここまで紹介した体制の整備義務等に違反した場合、行政による報告徴収、助言、指導、勧告を受けることになります。勧告を受けても従わないと、企業名公表の対象になるので注意が必要です。報告をしない場合や行政に虚偽の報告をした場合、20万円以下の過料が科されます。

なお、2026年12月1日からは、罰則のルールは次のように変わります。

  • 通報を理由に解雇や不利益な取扱いを行った場合、6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金という刑事罰が新たに科されます。また、両罰規定として企業にも3000万円以下の罰金が科されます。
  • 体制の整備義務等に違反した場合、これまでの勧告に従わない場合に加え、是正を命じることができる「命令」が出せるようになります。
  • 行政からの命令に違反した場合や、虚偽の報告をした場合、立ち入り検査を拒否した場合には、30万円以下の罰金が科されます。
  • 必要に応じて、行政による事務所への立ち入り検査が行われるようになります。

3 内部通報とハラスメントの窓口を一元化

冒頭で紹介した通り、

内部通報窓口とハラスメント相談窓口を一元化して、幅広いリスク情報を受け付ける

ことができるかもしれません。ただ、このような窓口の一元化は、上記のようなメリットがある一方、根拠となる法律が違うため、通報対象範囲や保護の範囲などが異なります。一元化するときは、特に図表3の赤字部分に注意してください。

内部通報窓口とハラスメント相談窓口の比較

以上(2026年3月更新)
(監修 TMI総合法律事務所 弁護士 池田絹助)

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画像: ijeab-Adobe Stock

【入社1年目の教科書】ビジネス文書は誠実さの証し。何が必要か、ビジネスの流れで考えてみよう

取引先との商談は順調で、何だかうまくいきそうだぞ。商談は先輩がやってくれているけど、私もオンラインミーティングの設定とか、議事録の作成とかで貢献している。ところで、今回のビジネスではうちも設備投資が必要で、「稟議(りんぎ)書」を書かないといけないそうだ。初めて聞く書類の名前だけど、何を書けばいいのかな……。

1 (質問)ビジネス文書の「並べ替え」ができますか?

ビジネスでは、さまざまな文書が登場します。ビジネス文書を作成したり、保管したりするのは面倒ですが、

ビジネス文書は、誠実にトラブルなくビジネスを進めるために必要なもの

です。例えば、「請求書」は法律で保管が義務付けられていますし、会社が架空請求などルール違反をしていないことを示します。また、設備投資などの場合は「稟議書」を作成して決裁者の承認を得ます。会社のお金を使う以上、しっかりと関係者の承認を得ないといけないわけで、それを稟議書で行っているのです。

となると、皆さんは代表的なビジネス文書を覚えなければなりません。以下は代表的なビジネス文書ですが、これらをビジネスの流れに沿って並べ替えることができるでしょうか? ビジネス文書が何のために必要なのかを意識していれば、すぐに並べ替えられるようになります(答えは最終章にあります)。

納品書、提案書、検収書、注文書(発注書)、支払通知書、注文請書(受注書)、領収書、請求書、見積書、契約書

2 何のために必要なのかを考える

ビジネス文書が面倒に感じるのは、フォーマットが分かりにくく、独特の言い回しがあるからでしょう。また、稟議書などは、「毎月、◯日が締め切りで、それまでに提出しなければ来月にならないと承認されない」といった不自由さもあります。

ただ、フォーマットや表現は慣れの問題ですし、スケジュールも先輩に質問すればよいだけです。それよりも皆さんは、

そのビジネス文書は、何のために作成されるのか?

を把握するようにしましょう。ビジネス文書がなぜ必要なのかが理解できれば、訳も分からず作成することはなくなります。一般的なビジネス文書は次の通りです。会社によって名称などは異なりますが、まずは「何のために」をざっくりと把握しておけば十分です。

ビジネス文書

もう少しざっくり言えば、ビジネス文書の目的は

  • トラブルを防ぐため
  • お互いの認識を合わせるため
  • 記録を残すため
  • 法的な義務を果たすため
  • 会社の信用を守るため

といったところでしょうか。いずれにせよ、「誠実にビジネスを進める」ための大切なツールなのです。

3 紙からデータへ、フォーマットから平文へ

今どきは、ビジネスを支援するさまざまなツールが登場していて、契約書や領収書などのビジネス文書もデータでやりとりされるようになってきています。紙の場合と勝手が違うところもあるので、先輩に教えてもらいながら、きちんとツールを使えるようになりましょう。

また、テレワークをしている会社の場合や注文金額が小さい場合などは、正式なフォーマットではなくメールの平文で発注をもらい、その返信で受注の意思表示をすることもあります。後々トラブルにならないように、形の残る方法でやりとりすることが不可欠です。

4 (答え)ビジネスの流れと必要なビジネス文書

冒頭で示した質問の答えは次の通りです。もうお分かりですよね。

ビジネスの流れと必要なビジネス文書

以上(2026年1月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

2026年法改正! 男女の賃金差異、 どこからが違法な「男女差別」?

1 常時101人以上の会社では、男女の賃金差異の公表が義務化

2026年4月1日から、女性活躍推進法が改正され、

社員数が常時101人以上の会社では、自社が雇用する「男女の賃金差異」を、事業年度ごとに公表することが義務化(社員数が常時100人以下の場合、公表は任意)

されます。具体的には、新年度の開始からおおむね3カ月以内に、図表の赤字の内容(前年度の実績)を、厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」などで公表する必要があります。

【男女の賃金差異の算出方法】

  • まず、雇用形態別に「女性の平均年間賃金(円)」「男性の平均年間賃金(円)」を算出する
    平均年間賃金(円)=前年度に支払った賃金の総額÷社員数(各月の在籍者数の平均など)
  • 雇用形態別に「男女の賃金差異(%)」を算出し、公表する
    男女の賃金差異(%)=女性の平均賃金(円)÷男性の平均年間賃金(円)

男女の賃金差異の算出方法

男女の賃金差異が生じる理由はさまざまで、「男女の平均年齢の違いから、年功給の平均額に差異が出る」など、やむを得ないケースもあります。一方で、確実に対処しなければならないのが、違法な「男女差別」による賃金差異です。主なものは、次の3つです。

  • 性別の違いだけを理由に賃金に差を付ける(労働基準法)
  • 性別の違いだけを理由に職務に差を付ける(男女雇用機会均等法)
  • 産休などを取った女性の賃金を極端に下げる(男女雇用機会均等法、育児・介護休業法)

これらに該当すると、社員とのトラブルに発展し、民法の損害賠償請求を受ける可能性があります。特に1.については、労働基準法違反の罰則(6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金)もあります。

「令和の時代に、こんな露骨なことをする会社があるのか」と思うかもしれませんが、まだ法整備が進んでいない頃に作られた社内規程が見直されないまま、知らず知らずのうちに「男女差別」に当たる運用をしてしまうケースなどもあります。次章以降でポイントを紹介しますので、念のため確認しておきましょう。

なお、この記事のテーマからは逸れますが、2026年4月1日からは男女の賃金差異と併せて

「女性管理職比率(管理職に占める女性の割合)」を公表することも義務化/strong>

されます。ここでいう管理職とは、「課長級」と「課長級より上位の役職(役員を除く)」の合計です。なお、「課長級」とは、

  • 事業所で通常「課長」と呼ばれている者であって、その組織が二係以上からなり、若しくは、その構成員が10人以上(課長を含む)のものの長
  • 同一事業所において、課長の他に、呼称、構成員に関係なく、その職務の内容及び責任の程度が「課長級」に相当する者(ただし、一番下の職階ではないこと)

のいずれかに該当する者をいいます。

(注)一般的に「課長代理」や「課長補佐」については、「課長級」に該当しません。

2 ケース1:性別の違いだけを理由に賃金に差を付ける

労働基準法には、「性別の違いだけを理由に賃金に差を付けてはならない」というルールがあります。「賃金に差を付ける」ケースに当たるのは、例えば、

  • 男女で基本給の額が異なる
  • 特定の手当を男性にだけ支給し、女性に支給しない
  • 男女別の賃金表を設けており、勤続年数に応じて昇給額が異なる

などです。

労働基準法では、「性別の違いだけを理由に賃金に差を付けている」の具体的な判断基準が明示されていませんが、過去の裁判(東京地裁平成4年8月27日判決)では、

男女の「職務内容・責任・能力が同じ」で「勤続年数や年齢も比較的近い」場合、賃金に差を付けるのは違法(性別の違いだけを理由に差を付けていると判断できる)

という考えが示されています。つまり、「男女の働き方が同じなら、賃金も男女平等にしなければならない」ということです。

なお、労働基準法では、

賃金について、女性を男性よりも「不利に扱う」だけでなく「有利に扱う」のもNG

です。例えば、「育休期間のうち、最初の○日間は有給とする」という制度を設ける場合、「女性の育休は有給とするが、男性の育休は無給とする」といった運用はできません。女性が働きやすい環境づくりは大切ですが、制度設計は男女平等に行う必要があります。

3 ケース2:性別の違いだけを理由に職務に差を付ける

男女雇用機会均等法には、「性別の違いだけを理由に、次の内容について差を付けてはならない」というルールがあります。

  • 配置転換(業務の配分、権限の付与を含む)、昇進、降格、教育訓練
  • 住宅資金の貸付けなどの福利厚生の措置
  • 職種、雇用形態の変更
  • 退職勧奨、定年、解雇、労働契約の更新

第2章の労働基準法のルールだけを見ると、「男女で職務が違う場合、賃金差異があっても違法ではない」と考えてしまいそうですが、この男女雇用機会均等法のルールがあるため、

合理的な理由もなく、男女で就くことのできる職務に差を付け、その結果、男女の賃金差異が生じる場合は違法

になります。

過去の裁判(東京地裁平成14年2月20日判決)では、「総合職」「一般職」のコース別人事を設けていた会社が、賃金の高い総合職には男性ばかりを、賃金の低い一般職には女性ばかりを当てはめていて違法と判断されたことがあります。社内規程上は男女双方に開かれたポストであっても、実際にそのポストに就いている社員(過去に就いていた社員を含む)の性別が極端に偏っている場合、配置の見直しが必要かもしれません。

なお、個人の経験や能力の違いによって職務に差を付けることは問題ありませんが、その裏で「会社として、職務に就くために必要な能力を身に付ける教育訓練を実施しているが、教育訓練の対象を男性に限定している」といった運用がされている場合は、違法になります。

4 ケース3:産休などを取った女性の賃金を極端に下げる

男女雇用機会均等法と育児・介護休業法には、「妊娠や出産をしたり、産休や育休を取ったりしたことを理由に、不利益な取扱いをしてはならない」というルールがあります。賃金に関する不利益な取扱いの例としては、

  • 基本給を引き下げる
  • 賞与支給額や昇給額の一部または全部をカットする

などが挙げられます。不利益な取扱いが禁止されているのは、産休や育休などの制度の利用を妨げないためです。

ただし、賞与支給額や昇給額のカットについては、少し判断が複雑です。例えば、賞与の査定期間中に産休を取った女性がいる場合、

その女性は、休業しなかった他の社員よりも査定期間中の仕事量が少なくなるため、その点を賞与支給額に反映しないと、他の社員にとって不公平になる

という問題があります。

過去の裁判(最高裁第一小法廷平成15年12月4日判決)では、ある学校が「賞与の査定期間の90%以上を勤務しない場合、賞与は支給しない」というルールに基づき、査定期間中に産休を取った女性の職員に賞与を支給せず、トラブルになったケースがあります。裁判では、

  • 賞与の査定期間の出勤すべき日数に、産休の日数を算入することは、法令で認められた休業制度の意義を失わせるので違法である
  • 賞与支給額を、産休による欠勤日数の分だけ減額すること自体は違法でない

という判断がされています。つまり、

女性が査定期間中に産休や育休を取っていても、出勤した分の仕事については評価して賞与を支給しなければならない

ということです。

5 (補足)違法ではないものの、見直しが必要なケース

ここまで「賃金差異が違法なケース」を紹介してきましたが、これ以外に「違法ではないものの、見直しが必要なケース」というものもあります。

例えば、第1章で紹介した「男女の平均年齢の違いから、年功給の平均額に差異が出る」というケースは、賃金制度の運用と直接関係がなく違法とはいえません。しかし、その裏に「男性に比べて女性の平均勤続年数が明らかに短い」という事情がある場合、見直しが必要です。

女性が定着しない会社によく見られるケースとしては、次のようなものがあります。

  • 産休や育休などの制度は整備されているものの、「職場が常に忙しく、妊娠や出産を歓迎する雰囲気がない」などの理由で、制度を利用しにくい
  • 女性の管理職が少なく、キャリアアップが見込めない雰囲気がある

対策としては、

  • 会社として女性の活躍推進に積極的に取り組みたい旨を、経営者が進んでPRする
  • 産休や育休などの制度の存在を、定期的に社内に周知する
  • 産休や育休を取る社員には、出産・育児の妨げにならない範囲で、職場の状況などを共有する機会を設け、休業終了後にスムーズに職場復帰できるようにする
  • 社員とキャリア形成に関する面談を定期的に実施し、キャリアアップの希望を聞く

などが挙げられます。なお、一番最後の「キャリア形成に関する面談」については、女性自身がキャリアアップを希望しないケースもありますが、それが本人の生活事情や価値観によるものなのか、あるいは「女性は○○職に就けない」などの誤解をしているからなのかは、慎重に確認する必要があります。

上のようなケースは、「賃金差異が違法なケース」に比べると対処の優先度は低く、また是正にもそれなりの時間を要しますが、冒頭でも触れた通り、世間全体が男女の賃金差異に注目している状況ですので、やはり計画的に是正に取り組む必要があります。

以上(2026年3月更新)

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【役員退職金】役員退職金を損金算入するために重要な3つのポイント

1 役員退職金の決定過程を明確にすることが基本

中小企業(特に同族企業)の経営者は、自分で自身や他の役員の役員退職金の支給額を決められます。自身はもちろん、経営に貢献してくれた役員に多くの役員退職金を支給したいものですが、その支給額の決定基準が曖昧だと税務調査で問題が指摘されることがあります。そうならないために、

  • 役員退職金が損金に算入できるタイミングを知る
  • 役員退職金の決定過程を明確にして規程で定める
  • 役員退職金を支給された役員は職務から完全に離れる

ことが必要です。

この記事では、税務の視点から役員退職金を解説します。補足として、役員退職金の支給を受けた役員の所得税についても触れます。

2 役員退職金が損金に算入できるタイミングを知る

役員退職金が損金に算入できるタイミングは次の2つです。

  • 株主総会において役員退職金の支給を決議し、金額が確定した事業年度
  • 実際に役員退職金を支給した事業年度

このタイミングさえ守っていれば、

利益が大きく出そうな事業年度に役員退職金を支給して、損金に算入すること

ができます。一方、株主総会の決議がされる事業年度より前の事業年度に、役員退職金の支給額を内定しておき、未払金として計上しても損金に算入できません。

3 役員退職金の決定過程を明確にして規程で定める

会社法上、役員退職金はいくら支払っても問題ありません。しかし、税務上はそうはいきません。高額過ぎる役員退職金は過大な退職給与となり、過大とされる部分は損金算入できません。気になるのは「高額」の基準ですが、この点は、

  • 法人の業務に従事した期間
  • 退職の事情
  • 業種や規模などが類似する会社の役員給与の支給状況

などから総合的に判断されます。ただ、「総合的に判断」というのは曖昧で、実際は「功績倍率法」を採用するのが一般的です。功績倍率法とは、

役員退職金を「退任時月額報酬×役員勤続年数×功績倍率」によって算出し、それを税務上の上限とみなす方法

です。例えば、退任時月額報酬が100万円、役員勤続年数が20年、功績倍率が3倍の場合は「6000万円(100万円×20年×3)」となります。なお、この金額はあくまでも税務上の上限であり、満額を支給する必要はありません。

一般的な功績倍率は1.5~3倍ですが、税務上の明確な決まりはありません。功績倍率を明確にするためにも、役員退職金規程を作成しましょう。

4 役員退職金を支給された役員は職務から完全に離れる

役員退職金を支給された役員は、役員としての職務から完全に離れるのが原則です。

例外は、職務分掌の変更で役割が著しく変わったために支給される役員退職金です。例えば、常勤役員が代表権のない非常勤役員になる、取締役が監査役になるなどのケースであり、そこで支給される役員退職金は損金に算入できます。

いずれにしても「退職」の実態が必要です。逆に、形式上は役員を退任しているが、実質は変わっていない(代表取締役から顧問になったが、常勤し実質的に経営に関与し続けているなど)と判断されたら、役員退職金は「役員に対する臨時的な給与」として損金に算入できません。当然、役員退職金を受領した役員の所得税等も高くなります。

5 役員退職金を支給された役員の所得税

役員退職金は高額になりやすいので、支給された役員の所得税についても考えなければなりません。役員退職金が支給されたら、所得税及び復興特別所得税、住民税(以下「所得税等」)が源泉徴収されます。所得税等は、原則として、次の算式で計算した「課税退職所得」の金額に、税率を掛けて計算します。

(収入金額-退職所得控除額)×1/2=退職所得の金額

この計算式で示す退職所得控除額は次の通りです(2カ所以上で受給するなど一定の場合を除く)。

  • 勤続年数が20年以下:40万円×実際の勤続年数(80万円に満たない場合は80万円)
  • 退職の事情
  • 勤続年数が20年超:800万円+70万円×(実際の勤続年数-20年)

所得税等の面で役員退職金は優遇されています。ただし、

役員の勤続年数が5年以下の場合、先の計算式の「2分の1」の措置は適用されないので、退職所得が2倍となって所得税等の負担も重くなる

ことになります。この勤続年数の考慮についてはミスが多い論点ですので留意しましょう。

また、

勤続年数5年以下の一般社員についても退職所得が300万円を超える部分は同様の取り扱い

になっています。

以上(2026年2月更新)
(監修 辻・本郷税理士法人 税理士 安積健)

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【役員退職金】これだけ押さえれば大丈夫。役員退職金の基本ルールを簡単解説

1 中小企業経営者は特に注意! 役員退職金のルール

中小企業にとって、役員退職金の取り扱いは経営上の重要テーマの1つです。役員退職金は、退任した役員のこれまでの功労に報いるためのものですが、その支給には、法務・会計・税務の3側面でそれぞれルールが定められています。

  • 法務:支給には株主総会の決議などが必要
  • 会計:支給時に一括で費用処理するか、有税積立(引当金)をして支給時に充当する
  • 税務:基本的に損金となるが、代表取締役の功績倍率の目安は「3倍」

特に、オーナー企業や税務に詳しい担当者が社内にいない中小企業においては、経営者本人が自身の退職金の決定に直接関与することになるため、ルールを理解していないと「どれだけ支給できるのか」「いつ決めるべきか」「税務リスクはないか」といった重大な判断を誤る恐れがあります。

2 役員退職金の法務

1)基本的な考え方

一定の権限を持つ役員が自身の役員退職金を自由に決めると、いわゆる「お手盛り」の懸念があります。そこで役員退職金の支給については、

役員退職金を含む役員報酬等について定款に定めるか、株主総会の決議が必要

です。ただし、定款に定めると金額を変更する際などの手続きが煩雑になるのでこうする会社は少なく、多くは株主総会の決議で役員退職金を支給しています。その際、株主総会では

支給対象者だけを開示し、支給額などは取締役会に一任する旨を決議

するのが一般的です。この決議を受け、取締役会で役員退職金規程に基づいて金額、支給の方法、時期などを決定します。こうした方法を「内規一任型」などと呼びます。

当然ですが、株主総会で否決されれば、役員退職金は支給されません。株主にとっては、役員退職金も役員報酬の一部であり、株主の利益と相反する部分があるのです。

株主総会の招集通知の記載例や、その後の取締役会での決議は以下の通りです。

2)「定時株主総会招集通知」の記載例

決議事項

第○号議案 退任取締役に対し退職慰労金贈呈の件

3)「議決権の行使についての参考書類」への記載例

第○号議案 退任取締役に対し退職慰労金贈呈の件

本総会終結の時をもって退任されます取締役 日本太郎氏に対し、その在任中の功労に報いるため、当社所定の内規に従い、相当額の範囲内で退職慰労金を贈呈することとし、その具体的金額、支給の方法、時期などは取締役会にご一任願いたいと存じます。

退任取締役の略歴は、次の通りです。

画像1

4)取締役会決議

役員退職金規程に基づき、役員退職金の金額、支給の方法、時期などを決定します。

3 役員退職金の会計と税務

まず会計についてです。役員退職金は支給時に一括して費用処理する場合もありますが、

役員退職金規程があり、支給実績がある場合、役員退職金引当金として有税積立(いわゆる「一時差異」で、後に損金となる)をしておき、支給時に充当するのが通常

です。

次に税務についてです。役員退職金は損金に算入できます。そのタイミングは次の2つです。

  • 株主総会において役員退職金の支給を決議し、金額が確定した事業年度
  • 実際に役員退職金を支給した事業年度

役員退職金を年金として支給する場合もありますが、その場合も支給した事業年度に支給した額を損金算入します。

なお、役員退職金の全額が無条件で損金に算入できるわけではありません。「役員退職金が高額過ぎる!」と判断されてしまうと、高額とされた部分(適正額を超える部分の金額)は損金に算入できません。

そこで、多くの会社は「功績倍率法」を採用しています。功績倍率法とは、

役員退職金を「退任時月額報酬×在任年数×功績倍率」によって算出し、それを税務上の上限とみなす方法

です。功績倍率によって金額が大きく変わりますが、この点については、

代表取締役の功績倍率は「3倍」が一般的で、これを超えると過大となる恐れがある

ことを覚えておいてください。

4 役員退職金の問題点

役員退職金は株主の利益と相反する部分があります。「退任時月額報酬×在任年数×功績倍率」で役員退職金を算出する場合、勤続年数が長い役員の役員退職金は高額ですが、その者が本当に会社に貢献したかは疑問です。さらに、その役員が会社に貢献して業績が良くなったとしても、その時期と役員が退任する時期にはズレが生じることもあります。現在の業績が低迷しているのに、過去の栄光で多額の役員退職金を支給することについて、意見が分かれるわけです。

このような理由から、株主総会における「退職慰労金贈呈の議案」に反対票を投じる株主もいますし、役員退職金を廃止する会社も少なくありません。

以上(2026年2月更新)
(監修 谷澤佳彦)

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【2026年度版】 社員に関する法定義務の一覧表

1 まずは全企業共通の法定義務から押さえる

「人」に関するルールは複雑で、10人以上で就業規則の作成義務、50人以上でストレスチェックの実施義務などのように決まっています。抜け漏れなく行うために一覧表で確認しましょう。この記事では各種労働法に基づく人事労務の法定義務の内容を、

  • 全企業共通のもの
  • 業種や事業形態(法人、個人)などによって変わるもの

に分けて一覧表で紹介します。

2 人事労務の主な法定義務など(2026年4月1日時点)

早速ですが、人事労務の主な法定義務など (2026年4月1日時点) は次の通りです。一覧表は社員数または該当者数の昇順となっており、社員数で見る項目には「●」印を、該当者数で見る項目には「○」印を付けています。また、2026年度に施行される項目は「赤字」にしています。

法定義務などの具体的な内容は、( )内の法令を参照してください。また、安衛法(労働安全衛生法)の「安全衛生管理体制」に係る法定義務については、対象業種を一部省略して記載しています。詳しくは、厚生労働省「職場のあんぜんサイト」などをご確認ください。

厚生労働省「職場のあんぜんサイト (安全衛生キーワード)」
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo_index01.html

(図表)【人事労務の主な法定義務など(2026年4月1日時点)】

社員数または該当者数 1.全企業共通のもの 2.業種や事業形態(法人、個人)などによって変わるもの
1人以上 ●労災保険、雇用保険の強制適用事業(労災法、雇用保険法)
●労働者名簿・賃金台帳・出勤簿の調製(労基法)
●36協定の締結・届け出(労基法。時間外労働などを命じることがある場合)
●派遣元・派遣先責任者の選任(派遣法。派遣社員1人以上)(注3)
●ハラスメント防止措置の実施(男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、労働施策総合推進法、フリーランス・事業者間取引適正化等法。2026年10月からはカスハラ・就活セクハラについても防止措置が義務化
●健康保険、厚生年金保険の強制適用事業所(健保法、厚年法。法人)
●作業主任者の選任(安衛法。法定の危険・有害業務に従事する業種)
●化学物質管理者の選任(安衛法。リスクアセスメント対象物の製造・取扱い・譲渡提供をする場合)
●保護具着用管理責任者の選任(安衛法。リスクアセスメントに基づく措置として労働者に保護具を使用させる場合)
4人以下 ●労災保険の暫定任意適用事業(労災法。個人の農業・水産業)
●雇用保険の暫定任意適用事業(雇用保険法。個人の農業・林業・水産業)
●健康保険、厚生年金保険の任意適用事業所(健保法、厚年法。個人)(注4)
5人以上 ●多数離職届(高年法。1カ月以内に45歳以上70歳未満の者を5人以上解雇等する場合)
●障害者職業生活相談員の選任(障害者雇用促進法。障害者を5人以上雇用する場合)
9人以下 ●法定労働時間が1日8時間、1週44時間になる特例(労基法。商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業)
10人以上 ●就業規則の作成・届け出(労基法)
●安全衛生推進者(衛生推進者)の選任(安衛法)
●外国人労働者雇用労務責任者の選任(雇対法。外国人を10人以上雇用する場合)
11人以上 ●男女別の便所の設置義務(安衛法。10人以下の会社は、男女別の便所の設置が困難な場合、独立個室型の便所を設けることで足りる)
20人以上 ●店社安全衛生管理者の選任(安衛法。ずい道等の工事などを行う建設業(元請))
29人以下 ●1週間単位の非定型的変形労働時間制(労基法。小売業、旅館・料理店・飲食店)
30人以上 ●休養室の設置(安衛法。女性社員30人以上)
○再就職援助計画の提出(雇対法。事業規模縮小で、1カ月で常用雇用の社員が30人以上離職する場合)
○大量雇用変動届の提出(雇対法。自己都合退職以外で、1カ月で常用雇用の社員が30人以上離職する場合)
●統括安全衛生責任者、元方安全衛生管理者の選任(安衛法。ずい道等の工事などを行う建設業(元請))
●安全衛生責任者の選任(安衛法。ずい道等の工事などを行う建設業(下請))
40人以上 ●障害者雇用率制度の対象(障害者雇用促進法。2026年7月からは37.5人以上
50人以上 ●休養室の設置(安衛法)
●ストレスチェックの実施(安衛法)
●定期健康診断などの結果報告(安衛法)
●衛生管理者1人以上の選任(安衛法)
●産業医の選任(安衛法)
●衛生委員会の設置(安衛法)
●サイレンなど非常時の警報器具の設置(安衛法。屋内作業場)
●安全管理者の選任(安衛法。屋外産業、屋内工業)
●統括安全衛生責任者、元方安全衛生管理者の選任(安衛法。鉄骨造りなどを行う建設業(元請))
●安全衛生責任者の選任(安衛法。鉄骨造りなどを行う建設業(下請))
●安全委員会の設置(安衛法。屋外産業)
51人以上 ●パート等(一定の要件を満たす者)に関する健康保険、厚生年金保険の加入手続き(健保法、厚年法)
100人以下 ●障害者雇用報奨金の対象(障害者雇用促進法)
100人以上 ●総括安全衛生管理者の選任(安衛法。屋外産業)
●安全委員会の設置(安衛法。屋内工業)
101人以上 ●男性社員と女性社員の賃金差異の公表(女性活躍推進法。2026年4月から)
●女性活躍のための一般事業主行動計画の作成(女性活躍推進法)
●仕事と子育ての両立などに関する一般事業主行動計画の作成(次世代法)
●障害者雇用納付金の対象(障害者雇用促進法)
●障害者雇用調整金の対象(障害者雇用促進法)
201人以上 ●衛生管理者2人以上の選任(安衛法)
299人以下 ●労災保険の暫定任意適用事業(労災法。個人の林業。常時雇用はなく、かつ年間延べ労働者数が300人未満)
300人以上 ●総括安全衛生管理者の選任(安衛法。屋内工業)
●専任の安全管理者の選任(安衛法。有機化学工業製品製造業など)
301人以上 ●公益通報対応業務従事者の選任、内部通報の体制整備(公益通報者保護法。2026年12月からは行政命令に従わない場合、刑事罰の対象
●正規雇用労働者の中途採用比率の公表(労働施策総合推進法)
●男性社員の育児休業等の取得状況の公表(育児・介護休業法)
500人以上 ●専任の安全管理者の選任(安衛法。無機化学工業製品製造業など)
●専属の産業医の選任(安衛法。有害業務に常時500人以上が従事する業種)
501人以上 ●衛生管理者3人以上の選任(安衛法) ●専任の衛生管理者の選任(安衛法。有害業務に常時30人以上が従事する業種)
1000人以上 ●専属の産業医の選任(安衛法) ●総括安全衛生管理者の選任(安衛法。屋内非工業)
●専任の安全管理者の選任(安衛法。紙・パルプ製造業など)
1001人以上 ●衛生管理者4人以上の選任(安衛法)
●専任の衛生管理者の選任(安衛法)
2000人以上 ●専任の安全管理者の選任(安衛法。過去3年間に休業1日以上の死傷者数の合計が100人を超える林業など)

(出所:日本情報マート作成)
(注1)法令名は略称であり、正式名称ではありません。
(注2)社員数または該当者数2000人までを示していますが、これよりも大規模な企業を対象とした決まりもあります。
(注3)派遣元・派遣先責任者の選任義務は、派遣社員100人ごとに1人ずつ増えていきます。
(注4)個人経営である一部の業種は人数要件に関係なく任意適用事業所になります。

以上(2026年3月更新)
(監修 人事労務すず木オフィス 特定社会保険労務士 鈴木快昌)

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