ヒント2[採用2]:会社が“目指すこと”、“大切にしたいこと”を明示する/武田斉紀の『人が辞めない会社、10のヒント』(3)

1 “自社を必要以上に大きく見せる”ことなく、採用したい人に応募してもらう

今シリーズの狙いは、経営者、人事担当者、現場の皆さんのお悩みである「社員を採ってもすぐに辞めてしまう上に、そもそも採れない」という課題を解決することです。

『人が辞めない会社、10のヒント』と題して、「時系列」で毎回1つずつご紹介しています。

「社員を採ってもすぐに辞めてしまう上に、そもそも採れない」という課題の原因と解決策は会社によってさまざまです。

今回ご提示するヒントが皆さんの抱える原因に明らかに当てはまらない場合は、読み飛ばしてくださって結構です。ですが、ヒントの1~9までが該当しなくても、10が当てはまるかもしれません。

全社共通の原因もあれば、部署ごとの固有の原因も存在することでしょう。原因が1つだけというケースは少ないので、何回分か読んでいただければ「これはうちにも当てはまるな」というものを見つけていただけるのではと思います。

前回、ヒント1として社員の入り口となる採用について触れました。募集時に“自社を必要以上に大きく見せていませんか?”と、皆さんに疑問を投げかけました。

社員が早期退職してしまう事例として、「普通に募集しても応募者が集まらないから」「もっと優秀な人を集めたいから」と、募集段階で“自社を必要以上に大きく見せてしまう”ケースが後を絶ちません。

募集広告の内容を信じて応募し入社した本人が、「聞いていた話と違う」となって、早期退職につながってしまうのです。

“だって自社を大きく見せないと、うちみたいな会社には応募者が来てくれないじゃないか”という声が聞こえてきそうです。

そこで今回と次回で、本人が「聞いていた話と違う」となることなく、「自社が本当に採用したい人に応募してもらう」方法を、事例と合わせてご紹介します。

2 会社の「求める人材像」が明確で、採用基準となっていますか?

採用に関わったことのある人であれば、「求める人材像」という言葉はご存じでしょう。文字通り「会社がどんな人材を求めているか、その条件を定めたもの」です。

あなたの会社の「求める人材像」は明確ですか。「求める人材像」を基準に募集や面接を進めて、採用者を決定できていますか。できていないとすれば、それが「社員を採ってもすぐに辞めてしまう上に、そもそも採れない」ことの原因の1つである可能性が高いです。

「求める人材像」という言葉を初めて聞いたという人は、「そんなものを提示したところで、会社が採用したいのは、学生でいえば偏差値の高い大学の出身者や、働く意欲や向上心の高い学生なのではないか」と考えるでしょうか。

一方、「求める人材像」を定めているという会社でも、それを基準に採用活動ができているとはいえない。そもそも採用基準にすることに懐疑的なところも少なくないようです。

理由として、先ほどのように「定めてはいるけれど、他社と大差ないと思うので結局はあまり意識せず採用している」や「人事レベルでは採用基準としているが、最終判断する役員や社長が意識しているとは思えない」など、いろいろな状況があるようです。

「求める人材像」なら知っているよという方に聞きます。「求める人材像」にはどんな要素が含まれるでしょうか。

何かの法則のように明確に定義されているわけではないのですが、さまざまな文献や専門家の意見、私の実感も含めて整理すると、大きくは「(1)適性」と「(2)意欲」に分けられるようです。それぞれには次のような要素を含んでいると考えられます。

(1)適性 ①価値観/資質・性格  ②経験/スキル(知識・能力)
(2)意欲 ③興味関心 ④将来像

先に申し上げておくと、(2)意欲①興味関心については、本人がすでに持っている部分はあるものの、会社からの情報提供により仕事や会社への理解が進むにつれて高まっていくものといえます。

同じく(2)意欲④将来像についても、本人が具体的な将来像を描けているか、それが会社の求めるものと一致するかは、仕事や会社への理解次第でしょう。

すなわち、(2)意欲については、会社の求める(1)適性との一致を確認した後で、“会社からの働きかけ次第”でいかようにも変えられる部分なのです。

ということで(1)適性のほうを掘り下げてみましょう。

3 企業が応募者に求める資質やスキルは共通? では価値観はどうか

2022年に経団連がまとめた「採用と大学改革への期待に関するアンケート」結果によれば、「採用の観点から、大卒者に特に期待する資質・能力・知識」として、次のような点が挙げられています。

上記(1)①に含まれる「資質」として特に期待するのは「主体性」「チームワーク・リーダーシップ・協調性」で、回答企業の約8割が指摘しています。次に変化の激しい人生100年時代を迎えて、「学び続ける力」も4割近くが求めています。

上記(1)②に含まれるスキルの「知識」として最も期待するのは、「文系・理系の枠を超えた知識・教養」。「能力」の上位は、「課題設定・解決能力」「論理的思考力」「創造力」とのことです。

多くの企業で新卒採用での「求める人材像」(1)の①資質・性格や②スキル(知識・能力)が似通っている点は否めません。

ちなみに、これらの項目は、ここ数年でもあまり変化していないようです。

これから就職活動を始める学生さんや若手社員の皆さんには、これらの「資質」「知識能力」を意識して鍛えていただければと思います。ただ会社側にも知っておいていただきたいのは、①資質・性格は簡単ではないですが、

少なくとも②スキル(知識・能力)は入社後でも十分に鍛え得るという点です。

少し想像すれば分かりますが、これらの条件を全て満たしている学生など、ほんの一握りでしょう。

一定基準では満たしていてほしいところですが、採用時点で多くを求めれば求めるほど自社の採用の可能性を狭めてしまいそうです。

では、残った(1)①の「価値観」についてはどうでしょうか。皆さんの会社が社員に求めている「価値観」とは何ですか?

「求める人材像」の(1)①「価値観」が明確ではないという方は、次の質問を自社に問うてみてください。

Q.会社が「これだけは譲れない」と大切にしてきた価値観は何ですか

経営トップが「こういう社員を大事にしたい」「こういう社員は許さない」と繰り返し求めていれば、それも会社として「大切にしたい価値観」の1つといえるでしょう。以上を含めて複数ある場合は、優先順位をつけて並べてみてください。

「大切にしたい価値観」が10も20もたくさんあるという会社もあるかもしれませんが、求める数が増えるほど採用できる対象者がどんどん少なくなってしまいます。

また、あらゆる価値観が一致する同質な人材だけを集めても、会社の強みや魅力は広がりませんし、世の中の変化にも対応できなくなります。

理想としてはこれだけは譲れないものを、優先順位の高い順にできれば3つ程度、せいぜい5項目くらいまでに絞ってみてください。他社は必ずしも優先しなくとも、自社としては優先的に採用したい価値観を共有できる人材が集まってくれる可能性が高いでしょう。

会社と価値観を共有できている人材は、入社してから簡単には辞めません。

4 “目指すこと”、“大切にしたいこと”の明示が、人を強く引き寄せる!

会社が“大切にしたいこと”=価値観が明確になったら、同時に会社が“目指すこと”=目的も、併せて言葉にしてみましょう。

会社が目指す目的は、企業理念を言葉にまとめている会社であれば、その中に書いてあるはずです。会社が目指す理想の姿としてどうなりたいのか、それが目指す目的です。

最近よく耳にする「パーパス(英語で目的、そこから派生して存在意義と訳しているケースもあります)」はこれに当たります。社会的存在としての目的のようにいわれていますが、自社が本気で目指していることであれば社会的存在としての云々でなくとも私はいいと捉えています。

さて、本人が「聞いていた話と違う」となることなく、「自社が本当に採用したい人に応募してもらう」方法の1つは、採用時に会社が“目指すこと”、“大切にしたいこと”を明示することです。

そんなものを明示したところで、応募者を引きつけられるものだろうか。中小企業や不人気の業界に応募者が増えるのだろうかと、不安に思われるでしょうか。

身近な例で考えてみましょう。あなたに“推し”たい(大好きな)対象がいて、でもすごくマイナーな存在だったとしましょう。

ジャンルは皆さんが趣味としているもので構いません。アーティストやアイドル、スポーツ選手やチーム、アニメや漫画のキャラ、敬愛する歴史上の人物、昔のクルマやバイク。何でもいいので世の中としてはマイナーな“推し”を、1つ(1人)思い浮かべてみてください。

マイナー過ぎて公言することには気後れしていたかもしれませんが、ここは思い切ってSNSでカミングアウトしてみましょう。SNSの素晴らしさは、一瞬で世界中の人とつながれることですよね。すると、同じように「こんな対象を“推す”人なんていないだろう」と思っていた人があなたを見つけて反応してくれます。

彼らからすればどうでしょう。「やった、同じ目的や価値観を共有できる仲間が見つかった!」となるはずです。世界中のあまたの人の中に、自分にとって本当に心を許せる友を見つけたような喜び。その人にとって、こんなに魅力的なことがあるでしょうか。

それらの“推し”は、ある意味で知る人ぞ知る中小企業(ほとんどの人は知らない)と同じです。「うちの会社の目的や価値観は、かなり特殊だから」と心配でしょうか。むしろそれくらいでいいのです。だからこそ強烈に共感して“推し”てくれる人材が見つかります。

5 上場後に幹部が一斉退職したA社を救ったのは、価値観を共有して入社した若手だった

私がかつて採用をご支援したA社の事例を紹介します。

A社はB社長が創業したレストランチェーンで、まだ店舗数も限られた中小企業でした。数年以内には株式上場を果たし、一気に規模も大きくしたいということで、まとまった数の新卒採用を成功させたいとのことでした。

私は取材を進めながら、オーナーであるB社長が“目指すこと”、“大切にしたいこと”を打ち出して、共感してくれる学生を集めましょうとご提案しました。

例えばこんな感じです。価値観はまずまず独特ですよね。

・目的/誰もが楽しめて感動できるレストランを作る
・価値観/結果次第で社長の給料さえ超えられるが、降格もある
 価値観/自分で手を挙げない限り昇給も昇格もできない
 価値観/会議では社長も店長も同じ1票
 価値観/上司を見るより、お客様を見ろ

これらの考え方を分かりやすく解説した冊子を用意して、広告やホームページで告知し、読んで共感した人は社長宛に手紙を書いて送ってほしいという形で募集をかけました。その代わり、送ってくれた全員に社長が直接会うという約束をして。

結果、学生の売り手市場の中、予想を大きく上回る数の熱い気持ちのこもった手紙が集まりました。社長は約束通り全員と会って話を聞き、その中から特に共感してくれた学生を中心に採用を決めました。

その後、A社は無事に株式上場を果たします。ところが、とんでもない事態が起こります。事前に経営幹部にも会社の株の一部を持ってもらっていたところ、彼らのほとんどが、株を売って独立し、会社を去ってしまったのです。一国一城の主を目指す人たちが集まる業界とはいえ、上場してこれからというタイミング。B社長は頭を抱えました。

すると、その姿を見ていた若手の店長たちが、B社長のところに来てこう言ったそうです。「社長、僕らは辞めません。社長の考え方に強く共感してこの会社を選んだのですから。大丈夫ですよ、僕らに任せてください!」彼らはあのときに採用した新卒たちでした。

その後若手の店長たちは幹部が抜けた穴を見事に埋め、成長しながら危機を乗り切ってくれたそうです。

ネットやSNSの時代には、会社が“目指すこと”=目的と“大切にしたいこと”=価値観を分かりやすく明示できれば、本当に共感してくれる人材に届けることができます。彼らは自分の目的と価値観に一致する会社を見つけて、「ここしかない」と思って応募してくれるはずです。

第3回を最後までお読みいただきありがとうございました。

ご紹介するヒントを参考にしながら、自社を退職する一人ひとりの「辞める理由」と、働いている一人ひとりの「辞めない理由」を丁寧に拾ってみましょう。見えてきた自社ならではの“課題”を解消し“強み”を活かせれば、『人が辞めない会社』へと変われるはずです。

次回も引き続き『人が辞めない会社、10のヒント』をご紹介していきます。

<ご質問を承ります>

ご質問や疑問点などあれば以下までメールください。※個別のお問合せもこちらまで

Mailto:brightinfo@brightside.co.jp
https://www.brightside.co.jp/

※武田が以前上梓した書籍『新スペシャリストになろう!』および『なぜ社長の話はわかりにくいのか』(いずれもPHP研究所)が、ディスカヴァー・トゥエンティワンより電子書籍として復刻出版されました。前者はキャリア選択でお悩みの方に、後者はリーダーやトップをめざしている方にお薦めです。

『新スペシャリストになろう!』
https://amzn.asia/d/e8GZwTB
『なぜ社長の話はわかりにくいのか』
https://amzn.asia/d/8YUKdlx

以上(2025年9月作成)
(著作 ブライトサイド株式会社 代表取締役社長 武田斉紀)
https://www.brightside.co.jp/

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【賃金データ集】 退職金のモデル支給額

【賃金データ集】シリーズとは?

【賃金データ集】シリーズは、基本給や諸手当など賃金の主要な構成要素ごとの近年のトレンドを、モデル支給額を中心とした関連データとともに紹介します。経営者や実務家の方々が賃金支給水準の決定や改定を行う際の参考としてご活用ください。なお、モデル支給額などのデータを紹介する際は、基本的に出所に記載されている用語を使用するものとします。また、データは公表後に修正されることがあります。

この記事で取り上げるのは「退職金」(退職給付等の費用)です。

退職給付等の費用

なお、以降で紹介する図表データのExcelファイルは、全てこちらからダウンロードできます。

こちらからダウンロード

1 退職金の位置付けと退職金制度の概要

1)退職金の位置付け

退職金とは、在職中の従業員の功労に対する報償や賃金の後払いといった意味合いで、企業が退職した従業員に支払う金銭です。退職金制度は、支払い形態、算定の考え方、掛け金の積立形態などによって幾つかの種類に分類されます。退職金制度の導入は企業の義務ではないものの、多くの企業が実施しています。

2)退職金制度の概要

主な退職金制度の種類は次の通りです。

退職金の位置付け

1.支払い形態

支払い形態は、次のように大別されます。

  • 退職一時金:退職金を一括で支給
  • 退職年金:退職金を年金として支給(「企業年金」とも呼ばれる)

2.算定の考え方

退職一時金の算定の考え方は、次のように大別されます。

  • 基本給連動型:算定基礎額(退職金を計算する基礎となるもの)を基本給とする制度で、一般的には、「退職時の基本給×勤続年数別係数×退職事由別係数(会社都合退職と自己都合退職)」によって退職金を算定するもの
  • 基本給非連動型:算定基礎額を基本給以外とする制度で、代表的なものは「ポイント制退職金制度」や「別テーブル方式(第二基本給)」など

 退職年金の算定の考え方は、「確定給付型:あらかじめ将来の年金支払額が決まっている制度」と、「確定拠出型:あらかじめ掛け金の額が決まっている制度」に大別されます。

3.積立形態

積立形態はさまざまで、それぞれ特徴があります。

積立形態

2 退職金制度の潮流

1)退職金制度の3つの機能

退職金制度は功労に対する報奨や賃金の後払いといった機能を持ちながら、終身雇用・年功序列の人事制度に組み入れられ、定着してきました。

現在有力とされている退職金制度の機能を整理すると次の3つになります。

  • 功労報奨:従業員の長年の勤務を慰労する
  • 賃金後払い:若年時の低い賃金を補償する
  • 生活保障:退職後の労働者の生活を援助する

2)これからの退職金制度

かつての退職金制度は、年功主義の下で賃金の後払い機能を持ち、従業員の定着率向上に寄与しました。しかし、定年まで1社に勤め続ける従業員が減った昨今では、こうした考え方は必ずしも実情に合わなくなってきており、実際、退職金制度の見直し(廃止も含む)を実施・検討している企業が少なくありません。

例えば、企業の負担軽減という視点で、前述の確定給付企業年金と確定拠出年金について考えてみましょう。確定給付企業年金は企業(基金)が将来の給付額を加入者に約束するという仕組みです。仮に予定通りの運用ができなかった場合、企業は追加拠出をして加入者を保護する必要があります。一方、確定拠出年金ではあらかじめ掛け金は決まっていますが、将来の年金給付額は運用期間中の従業員の運用成績によって決まるため、運用成績に対する企業の責任が軽くなります。退職金に係る企業の負担を軽減したいと考えている企業にとっては、確定拠出年金のほうが適しているといえるかもしれません。

また、従業員の多くは、「退職後の生活のために、ある程度の資産が欲しい」と少なからず考えています。退職後の生活を考えるためには、退職金の具体的な支給額を知りたいところですが、実際の退職金制度は、退職時まで支給額の実態が分からないなど、制度内容がブラックボックス化しているケースが少なくありません。こうした場合は、確定拠出年金のように、従業員が在職中に自らの裁量で利用して、資産を運用できる退職金制度にするのも1つの方法です。

ちなみに、退職金制度ではありませんが、従業員が自分で掛け金を決めて運用する「個人型確定拠出年金」(通称「iDeCo(イデコ)」)には、従業員の掛け金に追加して、企業が掛け金を拠出することができる「中小事業主掛金納付制度」(通称「iDeCo+(イデコプラス)」)という制度があります。退職金に充てる原資の一部を企業が拠出する掛け金に充てることなどで、従業員の資産形成のサポートが可能になります。

3 厚生労働省の統計資料によるモデル支給額

厚生労働省の統計資料によるモデル支給額

厚生労働省の統計資料によるモデル支給額

厚生労働省の統計資料によるモデル支給額

厚生労働省の統計資料によるモデル支給額

厚生労働省の統計資料によるモデル支給額

厚生労働省の統計資料によるモデル支給額

4 日本経済団体連合会等の統計資料によるモデル支給額

日本経済団体連合会等の統計資料によるモデル支給額

5 東京都労働相談情報センターの統計資料によるモデル支給額

東京都労働相談情報センターの統計資料によるモデル支給額

東京都労働相談情報センターの統計資料によるモデル支給額

東京都労働相談情報センターの統計資料によるモデル支給額

東京都労働相談情報センターの統計資料によるモデル支給額

東京都労働相談情報センターの統計資料によるモデル支給額

東京都労働相談情報センターの統計資料によるモデル支給額

東京都労働相談情報センターの統計資料によるモデル支給額

東京都労働相談情報センターの統計資料によるモデル支給額

東京都労働相談情報センターの統計資料によるモデル支給額

東京都労働相談情報センターの統計資料によるモデル支給額

東京都労働相談情報センターの統計資料によるモデル支給額

東京都労働相談情報センターの統計資料によるモデル支給額

6 情報インデックス(この記事で紹介したデータの出所)

この記事で紹介した統計資料は以下の通りです。調査内容は個別のURLからご確認ください。なお、内容はここ数年の公表実績に基づくものであり、調査年(度)によって異なることがあります。

■就労条件総合調査■
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/11-23.html

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■退職金・年金に関する実態調査結果■
https://www.keidanren.or.jp/policy/index09.html

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■中小企業の賃金・退職金事情■
http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/toukei/koyou/chingin/

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以上(2025年8月更新)

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画像:ChatGPT

「内輪差・外輪差」を意識した安全運転(2025/9号)【交通安全ニュース】

活用する機会の例

  • 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
  • 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
  • マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など

日ごろの車の運転で「内輪差・外輪差」を意識していますか。例えば左折する際は、車両の左後方を走る二輪車の巻き込みや縁石への乗り上げなどに注意することが「内輪差」も意識した運転になります。

車が曲がる時の「内輪差・外輪差」を理解し、事故を起こさないための安全運転について考えます。

内輪差・外輪差

1 「内輪差・外輪差」とは

「内輪差・外輪差」とは、図1に示すように、車両が曲線を描くときの前輪と後輪の走行半径の差です。

図1.内輪差・外輪差

「内輪差・外輪差」は、計算ができます。ある乗用車を例に「内輪差」を計算すると次のようになります 。

ホイールベース:2.6m、トレッド:1.5m、最小回転半径:5mの場合、内輪差は、約1.03mとなります。

実際に運転をしているときの「内輪差」の目安は、ホイールベースの1/3といわれています。ホイールベースが2.6mであれば、内輪差は、約0.9mとなります。このように乗用車であっても、内輪差は1m程度あり、内側に二輪車が走行している場合には、空間を塞ぐ幅となります。

≪右振り左折に注意≫

「内輪差」を意識するあまり、生活道路などの狭い道で、図2のように、車の頭を右側に振って左折をするドライバーを見かけます。このような運転は、対向車との衝突や後続車からの追突のリスクがあります。

図2.右振り左折

2 駐車場での事故例

狭い駐車場は「内輪差・外輪差」に起因する事故が発生しやすい場所となります。

駐車出庫

バック入庫

次の点に注意して運転操作をしましょう。

  • スピードをしっかり落とす
  • 適切な位置まで前進・後進し、ハンドルをしっかり切り小回りをする
  • 左右のドアミラーも活用しながら周囲を確認する(巻き込み・外側突出部分の接触)

3 周囲を走る大きな車を意識した気配り

車体が大きい車は、図3に示す「オーバーハング」(バンパーや荷台など、タイヤからはみ出した車体の部分)が、曲がる際に周囲と接触するリスクがあります。

オーバーハング

そのため、車体が大きい車の周囲を走るときは、走行の妨害になったり、接触したりしないように気配りをすることが大事です。注意すべき事項を次に例示します。

交差点停止時

交差点直進時

カーブ走行時

大きな車を意識した周囲への気配りが、事故を起こさないための安全運転となります。

以上(2025年9月)

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画像:amanaimages

【書籍ダイジェスト】『すらすら読める新訳 自由論』

本書は、1859年にジョン・スチュアート・ミルが発表し、日本では『自由論』として知られる『On Liberty』の新訳。平易な現代語で翻訳されており、現代にも通じる「社会において個人の自由はどこまで許されるか」の本質的な議論が伝わりやすい書になっている。
「人は他人に危害を加えない限り自由だ」という主張が柱であり、それに関する歴史的な事例や、想定される反論とそれへの回答を交えながら、論を展開する。

書籍ダイジェストは、こちらからお読みいただけます。pdf

SNSの「いいね」がトラブルに? ソーシャルハラスメントの6類型

1 SNS上で引き起こされる「ソーシャルハラスメント」

今やSNSは社会インフラ。ビジネスにおいても社員同士の連絡や採用広報、マーケティングなど、さまざまな用途でSNSが活用されています。一方、そうした状況の中、社員による「悪口・誹謗中傷に当たる投稿をする」「SNSのフォローや『いいね』を強要する」など、

SNSに関するさまざまなハラスメント、「ソーシャルハラスメント」(以下「ソーハラ」)

が問題になっています。

ソーハラは、個人の尊厳を深く傷つけるだけでなく、会社のレピュテーションリスクや法的リスクにも直結する、看過できない課題ですが、法務・労務体制が十分でない中小企業では、ソーハラへの対応が後手に回りがちです。

そこで、この記事では、中小企業の経営者や労務担当者の皆様が、ソーハラの実態を理解し、具体的な防止策と対応策を講じるための実践的な情報を提供します。

2 具体的にどのような行為がソーハラになる?

ここでは、ソーハラの主なパターンをご紹介します。

1)悪口・誹謗中傷

匿名性や拡散性の高いSNSの特性を利用し、特定の個人や会社、商品に対して事実無根の悪口や根拠のない誹謗中傷を投稿する行為です。名誉毀損や侮辱罪に該当する可能性があり、会社イメージの著しい低下を招くこともあります。

2)不適切な写真・動画の投稿、拡散

酒席での不適切な行動や、業務とは関係のないプライベートな写真・動画を本人の許可なく撮影し、SNSに投稿・拡散する行為です。特に、身体的特徴や性的な内容を含む場合は、セクハラに該当することがあります。

3)「いいね」やフォローの強要

主に上司が部下に対し、自身の投稿への「いいね」やアカウントのフォローを執拗に求めたり、それらを業務評価に結びつけたりする行為です。部下は上司の意向に反する行動を取ることで不利益を被ることを恐れ、精神的な負担を感じるようになります。

4)プライベートの詮索・晒し

SNSに投稿された写真や情報から、社員のプライベートを執拗に詮索したり、本人の許可なく晒したりする行為です。個人のプライバシーを侵害するだけでなく、ストーカー行為に発展する可能性も孕んでいます。

5)オンライン上での監視・つきまとい

社員のSNSアカウントを密かに監視し、業務時間外の投稿内容を業務に関連付けて指摘したり、批判したりする行為です。また、特定の社員のSNSアカウントに頻繁にコメントやメッセージを送ったり、ライブ配信などに執拗に参加したりすることも含まれます。

6)業務時間外の連絡・業務指示

緊急性がないにもかかわらず、深夜や休日にSNSのメッセージ機能を通じて業務連絡や業務指示を行う行為です。社員は常に業務から解放されないというプレッシャーを感じ、心身の健康を損なう恐れがあります。

次章からは、上記のパターンごとに具体的な事例を挙げ、それが法的にどのような問題になり得るのか、またどのように対応すべきかについて解説します。ただし、対応策は一例ですので、実際に同様の事案が起きた場合、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

3 悪口・誹謗中傷

1)上司を逆恨みして誹謗中傷する若手社員

若手社員のAさんは、仕事のミスが多いことを理由に、上司のB課長からよく叱られます。鬱憤がたまっていたAさんは、SNSに「ウチのBって上司、マジで使えない」「Bはハラスメントをしている」といった投稿を度々行いました。B課長はその投稿を目にして、精神的に深く傷つき、会社に行きたくないと感じるようになりました。

2)法的にどのような問題になり得るのか?

Aさんの行為は、パワハラ6類型の「精神的な攻撃」に類似するハラスメント行為であり、B課長の人格権を侵害する不法行為となる可能性が高いです。。精神的な攻撃とは、侮辱、名誉毀損、ひどい暴言などがこれに当たります。会社が適切な対応を怠ると、会社の安全配慮義務違反につながり、B課長の精神的苦痛について、会社の責任が問われる可能性があります。

3)対応策は?

投稿内容がAさんのものであることが明らかな場合、Aさんに即投稿を削除するよう指示します。投稿が匿名であっても、B課長に対する誹謗中傷であることが明らかな場合、情報流通プラットフォーム対処法にのっとり、大規模プラットフォーム事業者(プロバイダ等)の削除申出窓口から、書き込みの削除を請求することが可能です。

投稿者がAさんであることが特定できた場合、どのような意図があったのかなどの事実確認をした上で、本件がハラスメントに該当することを説明し、再発防止のための指導を行います。悪質な場合や指導をしても投稿をやめない場合は、就業規則に基づき懲戒処分も検討します。

被害者であるB課長に対しては、精神的ケアを行い、必要であれば産業医面談やカウンセリングの機会を提供します。

3 不適切な写真・動画の投稿、拡散

1)悪ふざけで女性社員の動画を許可なくSNSに投稿した同僚

Cさんは、会社の飲み会で、居酒屋の店員に扮した同僚の女性社員Dさんが、酔った勢いで男性社員に抱きつかれている様子をスマートフォンで撮影し、本人の許可なく会社のSNSグループに投稿しました。Dさんは「セクハラ被害を受けた」と晒されたことで深く傷つき、会社を辞めたいと考えるようになりました。

2)法的にどのような問題になり得るのか?

この事例は、「環境型セクハラ」に該当する可能性が高いです。環境型セクハラは、性的な言動により就業環境が害され、社員の能力の発揮に悪影響が生じることを指します。性的な言動により、Dさんの就業環境が著しく害されたと判断されます。また、本人の許可なく動画を撮影し、拡散したことは、人格権を侵害するハラスメントに該当します。

3)対応策は?

まずはCさんに即座に動画を削除させ、拡散を防止します。さらに、Cさんにどのような意図があったのかなどの事実確認をした上で、本件がハラスメントに該当することを説明し、再発防止のための指導を行います。悪質な場合や指導をしても投稿をやめない場合は、就業規則に基づき懲戒処分も検討します。

被害者(Dさん)が安心して働けるよう、必要に応じて配置転換なども検討しますが、基本的に配置転換させる対象は行為者(Cさん)です。被害者を配置転換してしまうと、被害者はハラスメントだけではなく、仕事の内容についても被害を受けることになりかねません。

4 「いいね」やフォローの強要

1)部下に「いいね」やフォローを強要する上司

E課長は、自身のSNSアカウントで日常の出来事や趣味に関する投稿を頻繁に行っています。E課長は部下のFさんに対し、業務時間中に「私の投稿に 『いいね』ついてないよ、早く押しといてね」「なんでフォローしてくれないの?」などと繰り返し発言し、露骨に「いいね」やフォローを強要しました。Fさんは、E課長との人間関係を悪化させたくない一心で、仕方なく「いいね」やフォローをしましたが、そのことでSNSの利用が苦痛になりました。

2)法的にどのような問題になり得るのか?

この事例は、E課長が、優越的な関係を背景として、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動をすることで、Fさんの就業環境が害されたとして、パワハラに該当する可能性があります。

3)対応策は?

E課長に対し、SNS活動は個人の自由であることを説明し、部下への干渉、「いいね」やフォローの強要を行わないよう指導します。悪質な場合や指導をしても改善が見られない場合は、就業規則に基づき懲戒処分も検討します。

なお、本件は上司から部下に対するソーハラですが、例えば会社の公式アカウントについて、「いいね」やフォローをするよう業務命令を出すのも、基本的には避けたほうがよいです。SNSは本来、個人がプライベートで自由に使用するものです。そこに業務命令が介入する余地がどの程度あるかは疑問の残るところです。

5 プライベートの詮索・晒し

1)部下のSNS投稿について執拗に質問し、周囲に言いふらす上司

営業部の女性Gさんが、業務時間外に友人と旅行に行った写真を個人のSNSに投稿しました。数日後、上司のH課長がGさんに対し、業務中に「この前の旅行、楽しかったみたいだね。彼氏と行ったの?」「写真の背景、〇〇だよね?どんな店だった?」などと執拗に質問してきました。さらに、H課長は、GさんのSNS投稿を他の社員に見せながら、「彼女にもついに彼氏ができたらしいぞ」などと吹聴しました。

2)法的にどのような問題になり得るのか?

この事例は、パワハラ6類型の「個の侵害」に該当する可能性が高いです。「個の侵害」とは、私的なことに過度に立ち入る言動を指します。また、性的な要素が含まれる場合や、職場環境を害するような場合は「環境型セクハラ」に該当する可能性もあります。

3)対応策は?

まずはH課長に対し、個人のプライベートな情報に不必要に立ち入らないように注意し、業務に関係のない質問や情報共有を行わないよう指導します。悪質な場合や指導をしても投稿をやめない場合は、就業規則に基づき懲戒処分も検討します。

なお、被害者がハラスメントを受け流して意思をはっきりと伝えない場合があります。そして、このような場合に加害者を頭ごなしに叱責すると、「セクハラだと思わなかった。嫌なら嫌と言ってくれなければ分からないじゃないか」と反発してくることがあります。ですので、いきなり頭ごなしに叱責するのは得策とはいえないケースがあります。

6 オンライン上での監視・つきまとい

1)部下のSNSをフォローし、休日の過ごし方などを執拗に聞く上司

I課長は、部下のJさんのSNSアカウントをフォローし、業務時間外に投稿した内容(例えば、休日の過ごし方や趣味の活動など)について、職場で全て把握しているかのように話しかけてきます。「週末は〇〇に行ってきたんだね。仕事の疲れは取れた?」など、一見気遣うような言葉も、Jさんにとっては監視されているようで常に不快でした。

2)法的にどのような問題になり得るのか?

この事例は、業務とは無関係な私生活への過度な干渉「であり、部下が当惑や不快の念を示したのにやめないような場合は、パワハラ6類型の「個の侵害」に該当する可能性が高いです。上司としては部下との雑談のつもりであっても、部下のプライベートに必要以上に踏み込むのは避けるべきです

3)対応策は?

 基本的な対応は「5 プライベートの詮索・晒し」と同じです。

7 業務時間外の連絡・業務指示

1)深夜や休日でもおかまいなしに連絡を入れる上司

K課長は、部下のLさんに対し、休日や深夜でもSNSのメッセージ機能で業務に関する連絡や指示を頻繁に送ってきます。例えば、夜11時に「明後日までにこの資料を修正しておいて」とメッセージを送ったり、休日に「〇〇の進捗ってどうなってる?」と聞いたりします。しかも、メッセージへの返事が遅いと叱るので、Lさんは気持ちが休まりません。

2)法的にどのような問題になり得るのか?

この事例は、パワハラ6類型の「過大な要求」に該当する可能性があります。「過大な要求」とは、業務上明らかに不要なことや遂行不可能なこと、あるいは業務とは関係のないことを強制することです。業務時間外の過度な連絡や指示は、社員の心身の健康を害し、過重労働につながる恐れがあります。

3)対応策は?

まずK課長に対し、業務時間外の連絡・指示を控えるよう指導します。

その上で、就業規則等で「原則、勤務時間外には連絡しない(緊急の案件などを除く)」などのルールを定め、社内に周知します。SNSの通知についても、勤務時間外では通知をオフにすることを推奨し、社員が安心してプライベートを過ごせるよう配慮します。

以上(2025年8月作成)
(監修 弁護士 坂東利国)

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画像:Robert Kneschke-Adobe Stock

経営状態を見える化する 「予実管理」の手引き(2025年9月号)

先が見通せないVUCAの時代に、企業が生き残り持続的な成長を遂げるために、「予実管理」を行なう必要性が高まっています。また、生成AIや各種ITツールの発達を追い風に、中小企業においても、正確かつ効果的な予実管理が可能になってきています。本冊子を教材として社内教育に活用したり、各事業部門の実務担当者に読んでもらったりして、予実管理の精度を高めましょう。

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【朝礼】「実るほど頭を垂れる稲穂かな」の精神を大切に!

【ポイント】

  • 会社はチームであり、成果が出たときこそ、謙虚な姿勢を忘れてはならない
  • 謙虚さとは、自分の現状に満足せず、常に学び続け、高みを目指す姿勢の表れでもある
  • 謙虚さを忘れなければ、会社全体の稲穂もより一層豊かに実っていく

おはようございます。この9月は、私たちにとって上期の総決算、つまりこの半年間の努力の成果を振り返り、下期へとつなげる大切な1カ月です。さて、この実りの秋にちなんで、今日皆さんと共有したいことわざがあります。それは、「実るほど頭(こうべ)を垂れる稲穂かな」です。稲が実れば実るほどその重みで穂が垂れ下がる様子から転じて、「学問や徳が深まり、人間として大きく成長した人ほど、自らを誇示することなく、謙虚な姿勢でいるものだ」という教えを示しています。

私たちもこの上期、さまざまな目標を掲げ、日々業務に励んできました。それぞれが困難に直面しながらも、知恵を絞り、工夫を凝らし、時には協力し合いながら、多くの成果を上げてきたことと思います。企画が形になったこと、お客様に喜んでいただけたこと、プロジェクトを成功させたことなど、一人ひとりの努力が実を結び、会社としても着実に成長できた半年間だったと思います。

まさに、私たちの努力の「稲穂」が豊かに実った時期といえます。しかし、ここで大切なのが、この「実るほど頭を垂れる稲穂かな」の精神です。成果が出たときこそ、私たちは謙虚な姿勢を忘れてはなりません。例えば、皆さんのプロジェクトが成功したとします。その成功は、個人の能力だけでなく、チームメンバーの協力、他部署のサポート、あるいは上司の適切な指示、そして何よりもお客様からの信頼があってこそ成り立ったものです。自分一人の力ではない、という感謝の気持ちを持つことが、さらなる成長への第一歩となります。

ただ、謙虚さとは、単に控えめであればよいのではありません。それは、自分の現状に満足せず、常に学び続け、高みを目指す姿勢の表れでもあります。上期に素晴らしい成果を出せたからこそ、私たちはその成功体験から何を学び、何を改善できるのかを冷静に見つめ直す必要があります。課題や反省点と真摯に向き合うことで、下期にはさらに大きな実りを得られるはずです。

私たち一人ひとりが、自分の「実り」をしっかりと受け止めつつも、決しておごることなく、常に学びの姿勢を持ち続けること。そして、周囲への感謝を忘れず、互いに協力し合うことで、会社全体の稲穂もより一層豊かに実っていくことでしょう。

以上(2025年9月作成)

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画像:Mariko Mitsuda

商品開発×人財開発×デザインで挑む! 徳島発・新商品開発プロジェクト


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徳島県産業国際化支援機構(以下「機構」)は、県内中小企業の競争力強化と県産品の販路拡大を目的に、「徳島セレクト商品開発実践業」を展開します。

事業では、商品開発・人財開発・デザインの専門講師を迎え、魅力的な加工品の創出と国内外へのプロモーションを支援。ヒット商品を手がけてきた講師の助言を受けながら、新商品の開発や既存商品のリニューアルにも取り組みます。

売れる商品づくりに本気で挑戦したい事業者さまにとって、絶好の機会です。ご興味のある方はぜひご参加ください。


【開催概要】

問合わせ先
公益社団法人徳島県産業国際化支援機構 販路開拓・海外進出課
TEL:088-676-3001
FAX:088-676-3040
E-mail:yamamotog@tokushima-bussan.com

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以上(2025年8月作成)

教育訓練休暇給付金 10月スタート

今年10月1日、教育訓練休暇給付金がスタートします。従業員が業務に必要な知識・技術を身につけるため無給の休暇を取って学ぶ場合に、雇用保険から従業員に給付金が出る制度です。従業員が給付金を受け取るには、会社が就業規則を整備し、書類などの手続きを行わなければなりません。本稿では、教育訓練休暇給付金のしくみや、会社がやるべきことについてお伝えします。

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教育訓練休暇給付金 10月スタート

今年10月1日、教育訓練休暇給付金がスタートします。従業員が業務に必要な知識・技術を身につけるため無給の休暇を取って学ぶ場合に、雇用保険から従業員に給付金が出る制度です。従業員が給付金を受け取るには、会社が就業規則を整備し、書類などの手続きを行わなければなりません。本稿では、教育訓練休暇給付金のしくみや、会社がやるべきことについてお伝えします。

1 無給休暇を連続30日以上

給付金の対象は、雇用保険の一般被保険者です。65歳未満で、正社員または1年以上の雇用が見込まれるパート従業員が該当します。就業規則等に基づき、会社からの業務命令ではなく本人が自発的に希望し、連続30日以上、教育訓練を受けるため無給の休暇を取ることが条件です。

教育訓練にあてはまるのは、①学校教育法に基づく大学、大学院、専修学校等での勉強、②教育訓練給付金の指定講座を行う法人が提供する教育訓練等、③司法修習、語学留学、海外大学院での修士号の取得など職業安定局長が定めるもの――です。

さらに、①休暇開始前2年間に12か月以上、雇用保険の被保険者期間がある、②休暇開始前に5年以上、雇用保険の加入期間がある――という要件もクリアする必要があります。

給付日数は、雇用保険の加入期間に応じて異なります。給付金の日額は原則、休暇開始前6か月の賃金日額に応じて計算されます。

○給付日数

給付日数

○支給額のイメージ

支給額のイメージ

※給付月額は、給付金の日額×30日

2 就業規則等を整備

従業員が教育訓練休暇給付金を受け取るためには、まず、会社が、教育訓練休暇について就業規則や労働協約などに定め、従業員に周知する必要があります。規定する内容は、対象となる教育訓練、休暇の長さ、休暇取得の手続きのほか、休暇を与える対象者に勤続年数などの基準を設けるか、休暇を賞与や退職金の算定期間に入れるかなどです。

厚生労働省は、規程例をパンフレットで公表しています。ハローワークや、各都道府県の働き方改革推進支援センターでも相談に応じています。

○手続きの流れ

手続きの流れ

就業規則に基づき、従業員から教育訓練休暇を取りたいと申し出があったら、会社と従業員の間で休暇を取ることについて合意します。会社は合意後、従業員から提出された教育訓練休暇取得確認票に必要事項を記載し、休暇開始日から起算して10日以内に賃金月額証明書を作り、管轄のハローワークに提出しなければなりません。その際、教育訓練休暇が定められた就業規則等、賃金台帳、出勤簿の写しも添付します。

ハローワークから、賃金月額証明書、教育訓練休暇給付金支給申請書が交付されたら、速やかに従業員に渡してください。一連の流れは、離職票の交付手続きに似ています。

教育訓練に専念してもらうため、教育訓練休暇中に、会社が出勤を求めることはできません。また、解雇や雇止め、休業を予定している従業員は、教育訓練休暇給付金の支給対象にならないので、注意してください。

3 さいごに

教育訓練休暇を導入するかどうかは、各企業の裁量に任されています。さらに、教育訓練休暇給付金は、就業規則等に基づき会社と従業員が合意したうえで休暇を取ることが前提となっています。会社が休暇取得を拒み、合意しなければ、給付金は支給されません。

人員体制や繁忙の状況によっては、教育訓練休暇を導入するのが難しいケースもあるでしょう。無給とはいえ、連続30日以上の休暇を与えるのは、中小企業にとってハードルが高そうです。その一方で、従業員のスキルアップや資格取得を後押しする手段として、この給付金の活用を前向きに検討してみるのもよいでしょう。

※図表はすべて、厚生労働省のパンフレット「教育訓練休暇給付金のご案内」より

※本内容は2025年8月10日時点での内容です。

(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)

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画像:photo-ac