【かんたん消費税(5)】海外と取引する際に必要な消費税の知識

1 輸出と輸入では全く違う消費税の取り扱い

海外取引をする会社が知っておきたいのは、輸出と輸入とで消費税の取り扱いが全く違うということです。

  • 輸出:消費税が課されない
  • 輸入:消費税が課される

このような違いがあるのは、「消費税は日本国内の消費に対して課する」という考えがあるためです。つまり、

  • 物を海外に輸出したら、その物の消費地は「海外」になるので消費税は課されない
  • 物を日本に輸入したら、その物の消費地は「日本国内」になるので消費税が課される

ということです。

このように輸出と輸入では消費税の取り扱いが全く違うのに、その理解を誤ると、物を輸出した際に得意先に消費税を請求してしまうなどのトラブルが発生します。この記事では、輸出取引と輸入取引に対する消費税の取り扱いの概要と注意点を解説します。

2 輸出した際の消費税の取り扱い

1)輸出の考え方

物を輸出した場合は消費税が課されません。これを、

「免税取引(輸出免税)」

と呼びますが、同じように消費税が課されない取引として「非課税取引」があります。両取引は「消費税が課されない」という点で共通していますが、消費税の「納税額」を計算する際の取り扱いは全く違います。

具体的には、

  • 非課税:本来は課税対象だけど、例外的に課税しないこととしている
  • 免税:消費税は課税されているが、税率が0%(=免除)になっている

と考えるのです。つまり、「消費税が課税されない(=非課税)」のか「消費税は課税されているが、結果としてゼロになる(=免税)」のかということです。そして、このちょっとした違いが、納税額の計算方法に大きな影響を与えます。この点の詳細は後述します。

2)免税となる輸出の範囲と注意点

免税となる「輸出」の代表例は、「物の輸出」です。

免税となる輸出の範囲と注意点

「物の輸出」は輸出免税とされる典型的な例ですが、この場合でも、

輸出許可証(税関長が証明した書類)を保存

しておかないと輸出免税として取り扱われません。税務調査では、この輸出許可証の提示を求められることがあるので注意しましょう。

また、「物の輸出」以外にも、非居住者に対して工業所有権(特許権や意匠権など)を貸し付けて貸付料を受け取ったり、「非居住者」に対するコンサルティングなどの役務提供を行って対価を受け取ったりする取引も輸出免税として取り扱われます。目に見えないサービスを海外に輸出していると考えるためです。

輸出免税

この場合、輸出許可証などの保存は必要ない代わりに、次の事項が記載されている契約書その他の書類を保存しておかなければなりません。

  1. 役務の提供等をした側(つまり読者の皆さん)の氏名又は名称及び住所
  2. 取引を行った年月日
  3. 役務の提供等の内容
  4. 対価の額
  5. 相手側の氏名又は名称及び住所

なお、「非居住者」の詳細は、「外国為替及び外国貿易法(外為法)」という法律で定められています。その内容は多岐にわたりますが、主に、

取引相手先の事務所がどこにあるか

が判断の目安になるので、海外に事務所を構えている相手先に役務提供を行ったら輸出免税となります。ただし、外国法人でも、その法人の日本支店への役務提供は輸出免税にはなりません。

3)輸出免税がある場合の消費税計算の注意点は?

先ほど、非課税取引と免税取引との違いは、「消費税が課税されない(=非課税)」のか、「消費税は課税されているが、結果としてゼロになる(=免税)」のかの違いであるとお伝えしました。実はこのちょっとした違いが、消費税の納税額の計算方法に大きな影響を与えます。

具体的には、

仕入税額控除の金額が変わってくる

のです。

仕入税額控除とは、

預かった消費税(仮受消費税)から支払った消費税(仮払消費税)を差し引くこと

です。

仕入を行ったときに支払う消費税は、どんなときでも仕入税額控除が取れるわけではなく、

課税される売上に対応する仕入に掛かった消費税しか仕入税額控除は取れない

のです。そのため、

売上が非課税の場合、その仕入に掛かった消費税で仕入税額控除は取れない

ことになります。

仕入税額控除

「免税取引」なのに、誤って「非課税取引」として処理した場合、本来は消費税が還付されるべきなのに、還付される消費税がゼロと計算されてしまいます(図表3の計算に置き換えると、仮払消費税が0円となってしまうため)。

経営者の方は消費税の細かい計算方法まで理解する必要はありませんが、同じ「消費税が課されない取引」であっても、

「免税取引」と「非課税取引」の区分を誤ると納税額(還付額)に大きな影響が出る

ということをしっかり理解しておきましょう。

3 輸入した際の取り扱い

1)輸入の考え方

海外で商品を購入しても、その時点で日本の消費税は課されません。しかし、その商品を日本国内に輸入する際は消費税が課されます。具体的には、

保税地域から商品を引き取った際に消費税が課される

ことになります。保税地域とは、

税関の輸入許可がまだ下りていない外国貨物を一時的に保管する場所

のことです。

海外で購入した商品を自由に日本国内に持ち込むことはできないため、まずは保税地域で保管されます。この商品を最終的に引き取る(日本国内に持ち込む)までの一般的な流れは次の通りです。

  1. 関税及び消費税の計算を行い、税関に対して「輸入申告」を行う
  2. 計算した関税及び消費税を納付する
  3. 税関より「輸入許可通知書」が発行される
  4. 商品を引き取る

2)輸入消費税がある場合の消費税計算の注意点は?

輸入申告を行った際に納付する消費税を、一般的に「輸入消費税」と呼びます。この輸入消費税も、日本国内で仕入をした際の仮払消費税と同様に、

仕入税額控除の対象

となります。ただし、仕入税額控除を取るには、

「輸入許可通知書」を保存しておく必要

があります。商品を引き取ったからといって書類を廃棄せずに保存しておきましょう。

なお、日本国内で仕入を行う際は、仕入価格に税率(10%)を掛ければ消費税額が計算できますが、輸入消費税の計算は少し複雑で、単に仕入価格に税率を掛けても計算はできません(具体的な計算方法は割愛)。そうしたこともあり、輸入取引について会計処理を行う際は、

一般的な仮払消費税と輸入消費税は別の勘定科目を使用する

ようにすると、消費税の申告作業時に必要な数値を集計したりするのに便利です。

以上(2025年11月更新)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 税理士 森浩之)

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画像:kai-Adobe Stock

【規程・文例集】株式交付計画書のひな型

1 株式交付計画書に定めるべき内容

株式交付は、2021年3月に施行された改正会社法によって認められた比較的新しいスキームということもあり、中小企業のM&Aのスキームとしてまだあまり採用されているケースは見受けられません。もっとも、今後、

  • 買収したい会社の経営者が、引き続き、一部の株式を持ち続けたいという希望を持っている状況で当該会社を子会社化していきたい場合
  • 自社株を用いて、譲渡会社を子会社化したい場合

に株式交付のスキームが採用されることもあるのではないかと思われます。なお、類似のスキームとして株式交換というスキームがありますが、このスキームは株式すべてを交換し取得されることを想定していますので完全親子会社化が前提になります。そのため、株式の一部取得にとどまることが可能な株式交付とは異なるものといえます。

株式交付を行うときには、株式交付計画書を作成する必要があり、次の事項(法定記載事項)を定めなければなりません(会社法第774条の3)。なお、新株予約権を発行している場合などには別途追加で定めるべき事項がありますが、この記事では省略します。

  • 株式交付子会社の商号および住所(第1条)
  • 株式交付親会社が株式交付に際して譲り受ける株式交付子会社の株式の数(第2条)
  • 株式交付子会社の株式の譲渡人に対して交付する対価の内容等および割当てに関する事項(第3条)
  • 効力発生日(第7条)

2 株式交付計画書のひな型

以降で紹介するひな型は一般的な事項をまとめたものであり、個々の企業によって定めるべき内容が異なってきます。実際に就業規則を作成する際は、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

【株式交付計画書のひな型】

株式会社○○(以下「甲」という。)は、甲を株式交付親会社、株式会社○○(以下「乙」という。)を株式交付子会社とする株式交付(以下「本株式交付」という。)を行うにあたって、次のとおり株式交付計画(以下「本計画」という。)を作成する。

第1条(株式交付子会社の商号及び住所)

乙の商号及び住所は、次のとおりである。

商号:○○

住所:○○

第2条(株式交付親会社が本株式交付に際して譲り受ける株式交付子会社の株式の数の下限)

甲が本株式交付に際して譲り受ける乙の普通株式の数の下限は、○○株とする。

第3条(本株式交付に際して株式交付子会社の株式の譲渡人に対して交付する株式及び金銭並びにそれらの割当て)

1)甲は、本株式交付に際して、乙の普通株式の譲渡人に対して、当該普通株式の対価として、その譲渡する乙の普通株式の合計数に○○を乗じて得た数の甲の普通株式を交付する。

2)甲は、本株式交付に際して、乙の普通株式の譲渡人に対して、その譲渡する乙の普通株式1株につき、甲の普通株式○○株を割り当てる。

3)前二項の規定に従い、甲が乙の普通株式の譲渡人に対して交付する甲の普通株式の数に1株に満たない端数があるときは、甲は、会社法第234条その他関係法令の規定に従い、処理する。

第4条(株式交付親会社の資本金及び準備金の額)

本株式交付により増加すべき甲の資本金及び準備金の額は以下のとおりとする。

1.資本金の額 金0円

2.資本準備金の額 会社計算規則第39条の2に従い甲が別途定める額

3.利益準備金の額 金0円

第5条(株式交付子会社の株式の申込みの期日)

乙の普通株式申込みの期日は、○○年○○月○○日とする。

第6条(株式交付計画の承認決議)

甲は、効力発生日の前日までに、本計画の承認及び本計画に必要な事項に関する機関決定を行う。

第7条(本株式交付がその効力を生ずる日)

本株式交付が効力を生ずる日(以下「効力発生日」という。)は、○○年○○月○○日とする。ただし、本株式交付の手続進行上の必要性その他の事由により必要がある場合には、甲は、これを変更することができる。

第8条(本計画の変更及び本株式交付の中止)

本計画作成日から効力発生日までの間において、本株式交付の実行に重大な支障となる事象が生じたこと等により本株式交付の目的を達成することが困難となった場合には、甲は、本計画の内容を変更し又は本株式交付を中止することができる。

第9条(株式交付計画の効力)

本計画は、第6条に定める甲の適法な機関決定が得られないときは、その効力を失うものとする。

第10条(規定外事項)

本計画に定める事項のほか、本株式交付に関する事項は、本株式交付の趣旨に従って、甲がこれを決定する。

○○年○○月○○日

株式会社○○

代表取締役 ○○

以上(2025年9月作成)
(執筆 リアークト法律事務所 弁護士 松下翔)

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【2025年最新】 仕事中に事故に遭った場合の労災保険などの給付一覧!

1 業務中や通勤中の事故などに対応する保険給付は?

会社は日ごろから、社員が労働災害(業務上の事由または通勤途上により発生した事故など)に遭わないよう、目を光らせる必要があります。それでもけがや病気のリスクをゼロにすることはできませんから、「万が一」に備え、社員が働けなくなった場合の生活保障や、亡くなってしまった場合の遺族に対する保障などについて、事前にしっかりと考えておく必要があります。

会社の制度(見舞金や弔慰金)や民間の保険などの「備え」をする会社もありますが、その前に押さえておきたいのが、法律で定められた保険給付(社会・労働保険の給付)です。

この記事では、労働災害(業務上の事由または通勤途上により発生した事故など)が起きた場合に支給されるものとして、

労災保険と国民年金・厚生年金保険の給付(傷病、障害、死亡に対するもの)

を紹介します。「療養が必要か」「休業が必要か」など、給付の特徴に注目したチャート図も載せているので、「保険給付って何だか種類が多くて苦手……」という人もぜひご一読ください。

なお、この記事の社員は、65歳未満で国民年金・厚生年金保険の加入要件を満たしていて(保険料の未納もなし)、労災保険の適用事業の会社に勤務しているものとします。

また、プライベートで起こした事故など(労災認定されなかった業務中の事由や通勤途上により発生した事故など)による傷病、障害、死亡に対する給付については、次の記事をご確認ください。

(注)以降で紹介する給付の内容は2025年10月時点のもので、将来変更される可能性があります。

2 傷病に対する主な給付(労働災害編)

1)給付の種類を整理しよう

社員が労働災害により傷病を負った場合、労災保険の給付を受けられます。社員が受けられる主な給付は図表1の通りです。なお、傷病がもとで障害を負った場合の給付については第3章を、亡くなった場合の給付については第4章をご参照ください。

給付の種類

なお、労災保険の給付は、業務災害(業務上の事由によって発生した事故など)の場合と通勤災害(通勤途上に発生した事故など)の場合とで名称が変わります。

  • 業務災害:療養補償給付、傷病補償年金、介護補償給付(名称に「補償」がつきます)
  • 通勤災害:療養給付、傷病年金、介護給付

また、以降では「治癒」という言葉が頻繁に出てきますが、

  • 「治癒」という言葉には、「傷病が完治した」という意味の他に、「症状が固定された(症状の回復・改善が期待できなくなった)」という意味もあります

ので、ご注意ください。

2)給付の支給要件、支給額、支給期間を知ろう

1.療養(補償)給付

社員が診察、薬剤等の支給、治療などを受けた場合に支給されます。

通常は現物給付なので、支給額という考え方はありません。社員は労災病院や労災保険指定医療機関・薬局等(以下「指定医療機関等」)にて、

療養の給付(無料の診察、薬剤等の支給、治療など)

を受けられます。ただし、やむを得ない事情により指定医療機関等以外で療養を受けた場合は、

療養費(療養にかかった費用)

が支給されます。その場合、一旦窓口で全額払いをし、後日、還付される流れとなります。

支給期間という考え方はなく、傷病が治癒するまで、診察、薬剤等の支給、治療などを受けるたびに支給されます。

2.休業(補償)給付

社員が療養のために働けず、3日以上(連続しなくても可。公休日等を含む)休んだ場合、4日目以降から支給されます。なお、業務災害の場合、最初の3日間については、会社が補償しなければなりません(副業中の業務災害や通勤災害の場合については、補償義務はありません)。

休業(補償)給付をはじめ、労災保険の給付の多くは、支給額の算定に「給付基礎日額」を用います。給付基礎日額は、原則として次のように算定されます(実際は、賃金水準の変動などによって金額が調整されることがあります)。なお、副業により、複数の事業場で就業する社員の場合は、原則として各事業場の賃金額を基に給付基礎日額が算出されます。

給付基礎日額=算定事由発生日(注)以前の直近3カ月間の賃金総額(賞与等を除く)÷算定事由発生日以前の直近3カ月間の総日数 ※最低保障額は4250円

(注)算定事由発生日とは、事故が発生した日や診断によって疾病の発生が確定した日のことです。賃金締切日が定められている場合は、その直前の賃金締切日を起算日とします。

支給額は、休業(補償)給付の場合、次のように算定されます。

支給額(日額)=給付基礎日額×0.6

なお、実際は休業(補償)給付だけでなく、これに係る特別支給金として、

休業特別支給金(日額):給付基礎日額×0.2

が上乗せ支給されます。

支給期間の制限はありません。傷病が治癒するなど、支給要件を満たさなくなるまで支給されます。ただし、社員が療養を開始してから1年6カ月が経過し、後述の傷病(補償)年金の支給を受けるようになった場合は支給が停止されます。

3.傷病(補償)年金

社員が療養を開始してから1年6カ月が経過し、傷病が治癒しておらず、障害の程度が労災保険の傷病等級1~3級に該当する場合に支給されます。

支給額(1年当たりの額)は、労災保険の傷病等級に応じて、給付基礎日額を基に、次のように算定されます。

(1級)支給額(年額)=給付基礎日額×313日分

(2級)支給額(年額)=給付基礎日額×277日分

(3級)支給額(年額)=給付基礎日額×245日分

なお、実際は傷病(補償)年金だけでなく、これに係る特別支給金として、傷病等級に応じた

傷病特別支給金(一時金):(1級)114万円、(2級)107万円、(3級)100万円

傷病特別年金(年金、算定基礎日額×右の日数分):(1級)313日分、(2級)277日分、(3級)245日分

が上乗せ支給されます。「算定基礎日額」は給付基礎日額と似ていますが、こちらは算定事由発生日以前の1年間に支払われた特別給与(ボーナスなど)をベースに算定するものになります。なお、副業により複数の事業場で就業する社員の場合については、給付基礎日額の算定方法と同じく各事業場の特別給与額を基に算出されます。

支給期間の制限はありません。支給開始日から傷病が治癒する、あるいは社員の傷病の程度が労災保険の傷病等級3級に満たなくなるなど、支給要件を満たさなくなるまで支給されます。

4.介護(補償)給付

社員が前項の傷病(補償)年金または後述の「障害(補償)年金」の受給権者で、一定程度の障害に該当し、常時または随時介護が必要な場合に支給されます。ただし、病院や障害者支援施設などに入院・入所している場合は支給されません。

支給額は、親族等に介護を受けているか、介護サービスを利用しているかなどによって、次のように算定されます。

【親族等による介護なし、介護サービスの利用あり】

常時介護が必要)支給額(月額)=介護サービスの費用 ※上限は18万6050円

(随時介護が必要)支給額(月額)=介護サービスの費用 ※上限は9万2980円

【親族等による介護あり、介護サービスの利用なし】

(常時介護が必要)支給額(月額)=8万5490円

(随時介護が必要)支給額(月額)=4万2700円

【親族等による介護あり、介護サービスの利用あり】

(常時介護が必要)支給額(月額)=8万5940円(注)

(随時介護が必要)支給額(月額)=4万2700円(注)

(注)介護サービスの費用が8万5940円(4万2700円)を超える場合は、その費用が支給されます。ただし、常時介護を要する場合は18万6050円、随時介護を要する場合は9万2980円が上限です。

支給期間の制限はありません。ただし、社員が傷病(補償)年金または障害(補償)年金の受給権者でなくなった場合や、常時または随時介護が必要な状態でなくなった場合、病院や障害者支援施設に入院・入所した場合は、支給されません。

3 障害に対する主な給付(労働災害編)

1)給付の種類を整理しよう

社員が労働災害により障害を負った場合、労災保険、国民年金・厚生年金保険の給付を受けられます。主な給付は図表2の通りです。

主な給付

なお、労災保険の給付は、業務災害の場合と通勤災害の場合とで名称が変わります。

  • 業務災害:障害補償年金、障害補償一時金、介護補償給付(名称に「補償」がつきます)
  • 通勤災害:障害年金、障害一時金、介護給付

また、同一の事由により、労災保険給付と障害厚生年金や障害基礎年金を受給できる場合、併給調整により、労災保険給付が一部減額となります(一時金は減額の対象外とされています)。詳しくは、お近くの労働基準監督署にお問い合わせ下さい。

2)給付の支給要件、支給額、支給期間を知ろう

1.障害(補償)年金

社員の傷病が治癒し、労災保険の障害等級1~7級に該当する場合に支給されます。

支給額は、労災保険の障害等級に応じて、給付基礎日額を基に、次のように算定されます。

(1級)支給額(年額)=給付基礎日額×313日分

(2級)支給額(年額)=給付基礎日額×277日分

(3級)支給額(年額)=給付基礎日額×245日分

(4級)支給額(年額)=給付基礎日額×213日分

(5級)支給額(年額)=給付基礎日額×184日分

(6級)支給額(年額)=給付基礎日額×156日分

(7級)支給額(年額)=給付基礎日額×131日分

なお、実際は障害(補償)年金だけでなく、これに係る特別支給金として障害等級に応じた

  • 障害特別支給金(一時金):(1級)342万円、(2級)320万円、(3級)300万円、(4級)264万円、(5級)225万円、(6級)192万円、(7級)159万円
  • 障害特別年金(年金、算定基礎日額×右の日数分):(1級)313日分、(2級)277日分、(3級)245日分、(4級)213日分、(5級)184日分、(6級)156日分、(7級)131日分

が上乗せ支給されます。

支給期間の制限はありません。ただし、社員が労災保険の障害等級7級に満たなくなった場合は支給が停止されます。

2.障害(補償)一時金

社員の傷病が治癒し、労災保険の障害等級8~14級に該当する場合に支給されます。

支給額は、労災保険の障害等級に応じて、給付基礎日額を基に、次のように算定されます。

  • (8級)支給額(一時金)=給付基礎日額×503日分
  • (9級)支給額(一時金)=給付基礎日額×391日分
  • (10級)支給額(一時金)=給付基礎日額×302日分
  • (11級)支給額(一時金)=給付基礎日額×223日分
  • (12級)支給額(一時金)=給付基礎日額×156日分
  • (13級)支給額(一時金)=給付基礎日額×101日分
  • (14級)支給額(一時金)=給付基礎日額×56日分

なお、実際は障害(補償)年金だけでなく、これに係る特別支給金として障害等級に応じた

  • 障害特別支給金(一時金):(8級)65万円、(9級)50万円、(10級)39万円、(11級)29万円、(12級)20万円、(13級)14万円、(14級)8万円
  • 障害特別一時金(一時金、算定基礎日額×右の日数分):(8級)503日分、(9級)日391日分、(10級)302日分、(11級)223日分、(12級)156日分、(13級)101日分、(14級)56日分

が上乗せ支給されます。

支給期間という考え方はなく、1回のみ支給されます。

3.介護(補償)給付

第2章をご参照ください。

4.障害厚生年金

5.障害基礎年金

6.障害手当金

障害厚生年金、障害基礎年金、障害手当金は、国民年金・厚生年金保険の給付で、労災の場合もプライベートの事故などの場合もどちらでも利用できます。ただし、障害手当金については、労災保険から障害(補償)年金や障害(補償)一時金を受給できる場合、支給されません。

給付の内容については、こちらの記事の「3 障害に対する主な給付(プライベート編)」をご確認ください。

4 死亡に対する主な給付(労働災害編)

1)給付の種類を整理しよう

社員が労働災害により亡くなった場合、労災保険・国民年金・厚生年金保険の給付を受けられます。社員が受けられる主な給付は図表3の通りです。

主な給付

なお、労災保険の給付は、業務災害の場合と通勤災害の場合とで名称が変わります。

  • 業務災害:葬祭料、遺族補償年金、遺族補償一時金
  • 通勤災害:葬祭給付、遺族年金、遺族一時金

また、同一の事由により、労災保険給付と遺族厚生年金(遺族基礎年金)を受給できる場合、併給調整により、労災保険給付が一部減額となります。詳しくは、お近くの労働基準監督署にお問い合わせ下さい。

2)給付の支給要件、支給額、支給期間を知ろう

1.葬祭料(葬祭給付)

社員が亡くなった際、葬儀を執り行う者に支給されます。一般的には、葬儀を執り行う遺族に支給されますが、遺族がなく会社が社葬を行った場合には会社に支給されることもあります。

支給額は、亡くなった社員の給付基礎日額を基に、次の2つの方法で算定され、高いほうの額が支給されます。

  • 支給額(一時金)=給付基礎日額×30日分+31万5000円
  • 支給額(一時金)=給付基礎日額×60日分

支給期間という考え方はなく、1回のみ支給されます。

2.遺族(補償)年金

社員が亡くなった際、社員により生計を維持されていた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹に支給されます。妻以外については、原則として次の要件を満たす必要があります。

  • 子・孫:18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していないこと、または一定の障害の状態にあること
  • 夫・父母・祖父母:60歳以上であること、または一定の障害の状態にあること
  • 兄弟姉妹:18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していないか、60歳以上であること、または一定の障害の状態にあること

上記に該当する遺族がいない場合でも、夫・父母・祖父母・兄弟姉妹が55歳以上60歳未満であれば受給権者になることができます。

なお、該当する遺族が複数いる場合、受給権者となる順位が決められており、上の要件を満たす遺族同士の場合、妻の優先順位が最も高くなります。

支給額は、支給を受ける遺族と、その遺族と生計を同じくする遺族(上の要件を満たす者)の合計人数に応じて、次のように算定されます。

  • (1人)支給額(年額)=給付基礎日額×153日分(注)
  • (2人)支給額(年額)=給付基礎日額×201日分
  • (3人)支給額(年額)=給付基礎日額×223日分
  • (4人以上)支給額(年額)=給付基礎日額×245日分

(注)遺族が、55歳以上の妻または一定の障害の状態にある妻の場合は175日分となります。後述の遺族特別年金も同じです。

なお、実際は遺族(補償)年金だけでなく、これに係る特別支給金として遺族数などに応じた

  • 遺族特別支給金(一時金):300万円
  • 遺族特別年金(年金、算定基礎日額×右の日数分):(遺族が1人)153日または175日分、(遺族が2人)201日分、(遺族が3人)223日分、(遺族が4人以上)245日分

が上乗せ支給されます。

支給期間の制限はありません。支給を受ける遺族が亡くなった場合や、一定の年齢または一定の障害の状態に該当しなくなった場合など、受給権者に該当しなくなったときは、その者に対する支給はされなくなりますが、次順位の受給資格者が受給権者となります(これを「転給」といいます)。

3.遺族(補償)一時金

社員の死亡当時、遺族(補償)年金を受ける遺族がいない場合、配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹に対して支給されます。

該当する遺族が複数いる場合、優先順位が決められており、配偶者の優先順位が最も高くなります。

支給額は、社員の給付基礎日額を基に、次のように算定されます。

支給額(一時金)=給付基礎日額×1000日分

なお、実際は遺族(補償)年金だけでなく、これに係る特別支給金として遺族数などに応じた

  • 遺族特別支給金(一時金):300万円
  • 遺族特別一時金(一時金):算定基礎日額×1000日分

が上乗せされます。支給期間という考え方はなく、1回のみ支給されます。

また、なかには次のようなケースもあります。社員の死亡当時、遺族(補償)年金の支給を受ける遺族がいたが、その遺族が遺族(補償)年金の受給権を失い(亡くなった場合など)、結果として支給を受ける遺族がいなくなった場合、次のように算定し支給されます。

支給額(一時金)=給付基礎日額×1000日分-すでに支給された遺族(補償)年金の総額

  • 遺族特別支給金(一時金):なし
  • 遺族特別一時金(一時金):算定基礎日額×1000日分-すでに支給された遺族特別年金額

4.遺族厚生年金

5.遺族基礎年金

遺族厚生年金、遺族基礎年金は、国民年金・厚生年金保険の給付で、労災の場合もプライベートの事故などの場合もどちらでも利用できます。

給付の内容については、こちらの記事の「4 死亡に対する主な給付(プライベート編)」をご確認ください。

以上(2025年10月更新)
(監修 人事労務すず木オフィス 特定社会保険労務士 鈴木快昌)

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【2025年最新】プライベートで事故に遭った場合の健康保険などの給付一覧!

1 プライベートでの事故などに対応する保険給付は?

社員がけがや病気をすると、医療費や仕事を休んでいる間の生活費など、さまざまな出費がかさみます。けがや病気が重くて障害が残った場合は、より手厚い生活保障が求められますし、亡くなった場合は、社員の遺族に対する保障も必要になってきます。

会社の制度(見舞金や弔慰金)や民間の保険などの「備え」をする会社もありますが、まず押さえておきたいのが、法律で定められた保険給付(社会・労働保険の給付)です。

この記事では、プライベートでの事故など(労災認定されなかった業務中や通勤中の事故などを含む)が起きた場合に支給されるものとして、

健康保険と国民年金・厚生年金保険の給付(傷病、障害、死亡に対するもの)

を紹介します。「療養が必要か」「休業が必要か」など、給付の特徴に注目したチャート図も載せているので、「保険給付って何だか種類が多くて苦手……」という人もぜひご一読ください。

2028年4月施行の「遺族厚生年金」「遺族基礎年金」の支給ルール改正

についても第4章で触れています。

なお、この記事の社員は、65歳未満で健康保険、国民年金・厚生年金保険の加入要件を満たしている人です(保険料の未納もなし)。健康保険の保険者は、全国健康保険協会(以下「協会けんぽ」)とします。

また、労働災害(業務上の事由または通勤途上により発生した事故など)による傷病、障害、死亡に対する給付については、こちらをご確認ください。

2 傷病に対する主な給付(プライベート編)

1)給付の種類を整理しよう

社員がプライベートの事故などで傷病を負った場合、健康保険の給付を受けられます。主な給付は図表1の通りです。なお、傷病がもとで障害を負った場合の給付については第3章を、亡くなった場合の給付については第4章をご参照ください。

主な給付

2)給付の支給要件、支給額、支給期間を知ろう

1.療養の給付

社員が診察、薬剤等の支給、治療などを受けた場合に支給されます。

現物給付なので、本来、支給額という考え方はありません。通常、社員は保険医療機関や保険薬局に、

一部負担金(原則として療養に要した費用の3割)

を支払います。ただし、やむを得ない事情により自費で受診した場合などは、

療養費(健康保険の基準で計算した金額から一部負担金に当たる額を引いた額)

が支給(申請に基づき後日還付)されます。

支給期間という考え方はなく、診察、薬剤等の支給、治療などを受けるたびに支給されます。

2.傷病手当金

社員が療養のために働けず、連続3日(公休日や有給休暇取得日等を含む)以上休んだ場合、4日目以降から支給されます。

支給額は、標準報酬月額(月例賃金などの「報酬月額」を区切りの良い幅で区分したもの)を基に、原則として次のように算定されます。

支給額(日額)=支給開始日以前直近12カ月間の各月の標準報酬月額の平均÷30日×2/3

支給期間は、最大で支給開始日から通算1年6カ月です。「通算」なので、出勤などで傷病手当金が不支給となる期間があっても、その期間を除いて1年6カ月間支給されます。1年6カ月を超えると、支給が停止されます。また、後で説明する「障害厚生年金」や「障害手当金」の支給を受けるようになったときは、傷病手当金の全部または一部が支給停止となります。

3.入院時食事療養費

社員が保険医療機関に入院した場合、入院中の食費について支給されます。

支給額は、厚生労働大臣の算出基準による食事療養費と、「標準負担額」(原則として1食につき510円)を基に、次の計算式で算定されます。この給付は入院先の保険医療機関に支給されるので、社員は標準負担額のみを入院先に支払います。

支給額(1食につき)=厚生労働大臣の算出基準による食事療養費-標準負担額

支給期間は、入院して食事の提供を受ける期間です。

4.入院時生活療養費

65歳以上の社員が医療療養病床(長期療養が必要な患者のための病床)に入院した場合、入院中の食費、居住費について支給されます。

支給額は、厚生労働大臣の算出基準による生活療養費と、「標準負担額」(原則として食費は1食につき510円、居住費は1日につき370円)を基に、次の計算式で算定されます。この給付は入院先の保険医療機関に支給されるので、社員は標準負担額のみを入院先に支払うことになります。

支給額(1食または1日につき)=厚生労働大臣の算出基準による生活療養費-標準負担額

支給期間は、入院して食事の提供などを受ける期間です。

5.保険外併用療養費

社員が健康保険の対象外となる診療のうち、「評価療養」(先進医療など)または「選定療養」(特別の療養環境など)を受けた場合に、そのうち通常の治療と共通する部分(診察、薬剤等の支給など)の医療費については、一般の保険診療と同様に扱われ、保険給付として支給されます。

支給額は、次のように算定されます。

支給額(1回の支払いにつき)=通常の治療と共通する部分の医療費-通常の治療と共通する部分の医療費の一部負担金(原則として医療費の3割)

評価療養または選定療養のうち、通常の治療と共通しない部分の医療費(先進医療、特別の療養環境など)については給付の対象とならず、全額自己負担になります。

支給期間という考え方はなく、評価療養または選定療養を受けるたびに支給されます。

6.高額療養費

社員が同じ月(1日から月末まで)に支払った医療費の自己負担額が、一定の額(自己負担限度額)を超えた場合に支給されます。なお、自己負担額は世帯で合算できます(70歳未満の場合は2万1000円以上のものに限る)。

支給額は、次のように算定されます。

支給額(月額)=同じ月に支払った医療費の自己負担額-自己負担限度額

自己負担限度額は、年齢(70歳未満か70歳以上75歳未満か)と所得(標準報酬月額または報酬月額がいくらかなど)によって、細かく区分されています。例えば、70歳未満で標準報酬月額が28万~50万円の場合、自己負担限度額は「総医療費」(保険適用される診察費用の総額)を基に次のように算定されます。

自己負担限度額(月額)=8万100円+(総医療費-26万7000円)×0.01

なお、診療を受けた月以前の1年間に、3カ月以上の高額療養費の支給を受けたことがある場合、「多数該当」といって4カ月目から自己負担限度額が軽減されます。標準報酬月額が28万~50万円の場合、多数該当の自己負担限度額は「4万4400円」です。

自己負担限度額は年齢、所得に応じて変わりますが、協会けんぽのウェブサイト(下記参照)でその一覧を確認できます。

支給期間という考え方はなく、同一月に支払った医療費の自己負担額が、自己負担限度額を超えるたびに支給されます。

■協会けんぽ「高額な医療費を支払ったとき」■
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3030/r150/

高額療養費は、医療機関などの窓口で支払った医療費が高額となった場合に、後から申請することで自己負担限度額を超えた額が還付される制度です。例えば、長期入院や手術など、医療費が高額になることが分かっている場合には、あらかじめ申請しておくことで、医療機関などでの支払いを自己負担限度額に抑えられる制度(限度額適用認定)があります。

この制度を使えば、窓口での支払い額を抑えられますし、後から高額療養費の申請をする必要もなくなります。

3 障害に対する主な給付(プライベート編)

1)給付の種類を整理しよう

社員がプライベートで起こした事故などで障害を負った場合、国民年金・厚生年金保険の給付を受けられます。主な給付は図表2の通りです。

主な給付

なお、以降では「治癒」という言葉が頻繁に出てきますが、

「治癒」という言葉には、「傷病が完治した」という意味の他に、「症状が固定された(症状の回復・改善が期待できなくなった)」という意味もあります

ので、ご注意ください。

2)給付の支給要件、支給額、支給期間を知ろう

1.障害厚生年金

社員が初診日から1年6カ月が経過した日(それまでに傷病が治癒した場合はその日)の時点で、厚生年金保険の障害等級1~3級に該当する場合に支給されます。ただし、初診日の時点で、社員が厚生年金保険に加入していて、保険料納付要件を満たしている必要があります。

支給額は、厚生年金保険の障害等級に応じて、報酬比例部分の年金額と配偶者加給年金額(生計を維持されている65歳未満の配偶者がいる場合に加算)を基に、次のように算定されます。

(1級)支給額(年額)=報酬比例部分の年金額×1.25+配偶者加給年金額(23万9300円)

(2級)支給額(年額)=報酬比例部分の年金額+配偶者加給年金額(23万9300円)

(3級)支給額(年額)=報酬比例部分の年金額 ※最低保障額は62万3800円

(注)配偶者加給年金は、配偶者が老齢厚生年金や退職共済年金の受給権を持っている場合や、障害年金を受け取っている間は、支給停止されることがあります。

支給期間の制限はありません。ただし、社員が亡くなった場合や、障害の程度が厚生年金保険の障害等級3級に満たなくなった場合は支給が停止されます。また、障害厚生年金の支給を受けている社員が、「老齢厚生年金」など他の年金の支給も受けられるようになった場合は、社員がどちらの年金を受け取るかを選択しなければならないケースがあります。

2.障害基礎年金

社員が初診日から1年6カ月が経過した日(それまでに傷病が治癒した場合はその日)の時点で、国民年金の障害等級1~2級に該当する場合に支給されます。ただし、原則として初診日の時点で、社員が国民年金に加入していて、保険料納付要件を満たしている必要があります。

支給額は、国民年金の障害等級に応じて、子の数を基に、次のように算定されます。ただし、子は、社員に生計を維持されていて、年齢が18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない、または20歳未満で、かつ国民年金の障害等級1~2級に該当している必要があります。

(1級)支給額(年額)=103万9625円+子の加算(注)

(2級)支給額(年額)=83万1700円+子の加算(注)

(注)第2子までは子1人につき23万9300円、第3子以降は子1人につき7万9800円が加算されます。

支給期間の制限はありません。ただし、社員が亡くなった場合や、障害の程度が国民年金の障害等級2級に満たなくなった場合は支給が停止されます。また、障害基礎年金の支給を受けている社員が、「老齢基礎年金」など他の年金の支給を受けられるようになった場合は、社員がどちらの年金を受け取るかを選択しなければならないケースがあります。

3.障害手当金

社員が初診日から5年以内に傷病が治癒し、障害等級3級よりやや程度の軽い障害が残ったときに支給されます。ただし、初診日の時点で、社員が厚生年金保険に加入していて、保険料納付要件を満たしている必要があります。

障害手当金は、報酬比例部分の年金額を基に、次のように算定されます。

支給額(一時金)=報酬比例部分の年金額×2 ※最低保障額は124万7600円

支給期間という考え方はなく、1回だけ支給されます。

4 死亡に対する主な給付(プライベート編)

1)給付の種類を整理しよう

社員がプライベートで起こした事故などで亡くなった場合、健康保険、国民年金・厚生年金保険の給付を受けられます。主な給付は図表3の通りです。

主な給付

2)給付の支給要件、支給額、支給期間を知ろう

1.埋葬料

社員が亡くなった際、社員により生計を維持されていた人(親族関係になくても可)で埋葬を行う人に支給されます。埋葬料の支給を受ける人がなく、例えば会社などが埋葬を行った場合には、埋葬を行った人に「埋葬費」が支給されます。

埋葬料は5万円、埋葬費は埋葬に要した費用(上限5万円)が支給されます。

2.遺族厚生年金

社員が亡くなった際、社員により生計を維持されていた家族に支給されます。優先順位は

子のある配偶者・子 > 子のない配偶者 > 父母 > 孫 > 祖父母

で、最も優先順位の高い家族が受け取れます。なお、各家族は原則として次の要件を満たす必要があります。

  • 子・孫:18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していないこと、または20歳未満で国民年金の障害等級1~2級に該当すること
  • 夫・父母・祖父母:死亡当時に55歳以上であること

支給額は、報酬比例部分の年金額を基に、次のように算定されます。

支給額(年額)=報酬比例部分の年金額×3/4+中高齢寡婦加算額62万3800円(妻のみ)

中高齢寡婦加算額は、妻が次の要件を満たす場合、40歳から65歳までの間、加算されます。

  • 夫の死亡時、妻が40歳以上65歳未満で、生計を同じくしている子(前述の遺族厚生年金の支給要件を満たす子)がいない場合
  • 遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻が、子が18歳到達年度の末日(3月31日)に達した(障害の状態にある場合は20歳に達した)等のため、遺族基礎年金を受給できなくなった場合(40歳に達した当時、遺族基礎年金を受給していた場合に限る)

支給期間の制限は原則としてありません。ただし、子のない30歳未満の妻は5年間だけの受給です。加えて、夫・父母・祖父母の受給開始は60歳からとなります。ただし、子のない夫の場合は遺族基礎年金を受給できる場合に限り、60歳未満であっても受給できます。

なお、支給を受ける遺族が亡くなった場合は、支給されなくなります。また、遺族厚生年金の支給を受けている社員が、「障害厚生年金」など他の年金の支給も受けられるようになった場合は、社員がどちらの年金を受け取るかを選択しなければならないケースがあります。

さて、遺族厚生年金については、少し先の話しにはなりますが、2028年4月以降に支給ルールの改正があります。上記の通り、現行のルールでは、子のない配偶者が遺族厚生年金を受け取る場合、

  • 妻:配偶者の死亡時、30歳未満である場合は5年間の有期給付、30歳以上は無期給付
  • 夫:配偶者の死亡時、55歳未満である場合は給付なし、55歳以上は原則60歳から無期給付

というルールがありますが、女性の就業率向上など社会的変化に加え、男女差をなくすために

どちらも60歳未満は原則5年間の有期給付、60歳以上は無期給付

という運用に変わります。夫の場合は改正法の2028年4月から、妻の場合はまず40歳未満までを2028年4月から有期給付の対象とし、以後20年かけて段階的に年齢の引き上げを行います。

遺族厚生年金の見直し

詳細についてはこちらをご確認ください。

■厚生労働省「遺族厚生年金の見直しについて」■
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00020.html

3.遺族基礎年金

社員が亡くなった場合、亡くなった社員の収入によって生計を維持していた子のある配偶者・子に支給されます。なお、「子」とは、18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子、または20歳未満で国民年金の障害等級1~2級に該当する子を指します。

支給額は、子の数を基に、次のように算定されます。

支給額(年額)=83万1700円+子の加算

第1子・第2子は子1人につき23万9300円、第3子以降は子1人につき7万9800円が加算されます。子が支給を受ける場合は、第2子以降が加算の対象となります。

支給期間の制限は原則としてありません。ただし、遺族基礎年金を受け取る配偶者または子が死亡した場合や、子が18歳になった年度の3月31日に到達した場合や子の障害の程度が国民年金の障害等級2級に満たなくなった場合などは支給が停止されます。

また、遺族基礎年金の支給を受ける社員が、「障害基礎年金」など他の年金の支給を受けられるようになった場合は、社員がどちらの年金を受け取るかを選択しなければならないことがあります。

さて、遺族基礎年金についても、改正があります。現行のルールでは、子に生計を同じくする父または母がいる場合、その子には遺族基礎年金が支給されませんが、2028年4月からは、生計を同じくしていても要件に該当した場合は、受け取れるようになります。

遺族基礎年金の見直し

以上(2025年10月更新)
(監修 人事労務すず木オフィス 特定社会保険労務士 鈴木快昌)

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画像:ChatGPT

【朝礼】 「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」

【ポイント】

  • 川端康成氏の「雪国」は、出来事や登場人物の心情をぼかして書いている
  • 代わりに、情景や人物の所作の描写がとても丁寧で、“温度”が感じられる
  • 小さな兆しを“観る”ことのできる人は、事故やクレームを未然に防ぐことができる

皆さん、おはようございます。11月に入り、冬の兆しが見えてきましたね。今日は、川端康成氏の小説「雪国」をテーマに話をします。雪に閉ざされた温泉町を舞台に、都会から来た男性・島村と、雪国の芸者・駒子の関わりを、澄んだ空気と静けさの中に描いた物語です。

島村は冬の温泉町で駒子と出会い、季節をまたいで通いながら、互いに近づいたり離れたりを繰り返します。町にはもう1人、葉子という女性もいて、それぞれの思いが交錯する中、最後は冬の闇を裂くような火事の場面へ。雪の白さ、夜の暗さ、炎の赤さが対照的に描かれ、島村はただ見上げることしかできない。結末の多くは語りませんが、ざっくりお伝えするとこんなストーリーです。

「雪国」は、例えば「2人はこうなった」「こう思っていた」など、出来事や登場人物の心情をあまり直接的に書きません。その代わり、何が起きたのかを読者に想像させる仕掛けが至る所にちりばめられています。例えば、「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」で有名な冒頭のシーン。列車の窓の反射、雪明かり、ガラス越しの視線など、情景の描写がとても丁寧です。登場人物の所作も、衣(きぬ)擦れの音、楽器の稽古、身の回りの整え方に至るまで、細かく描写されています。

出来事や登場人物の心情をぼかした文章は、人によっては「分かりにくい」と敬遠したくなるかもしれませんが、そう思う人こそ、ぜひ一度、「雪国」を読んでみてください。内容は決して派手ではありませんが、雪の光、息づかい、指先の所作までを丁寧に“観(み)る”ことで、人の心の揺れや距離が浮かび上がってきます。月並みな言い方ですが、“温度”が感じられるのです。

ビジネスでは「分かりやすく」「簡潔に」という点ばかりが重視されがちですが、「分かりにくい」ものに目を向けることもとても大切です。例えば、お客さまの表情、同僚の疲れのサイン、機械のかすかな違和感――小さな兆しを“観る”ことのできる人は、事故やクレームを未然に防ぐことができます。

冬は雑音が少ないぶん、本質がよく見える季節です。「雪国」に学び、私たちも観る力と丁寧さで、年末の仕事の質を一段上げていきましょう。

以上(2025年11月作成)

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画像:Mariko Mitsuda

投資評価に必要なコストの考え方/設備投資の成果チェック(3)

1 見落としてはいけない投資評価特有のコスト

投資の判断を誤る原因の1つに、

「お金を集め、利用することにかかるコスト(以下「資金調達コスト)」を意識せずに計画を立ててしまう

ことがあります。同じ1000万円の設備投資であっても、その資金をどのように調達したかによって、実際の採算性は大きく変わります。銀行から借りた資金であれば利息が発生し、株主からの出資であれば配当が必要になるように、資金を調達する方法によってコストの内容が変わってくるからです。

投資評価は、「この設備を導入すれば売上が増えるか」という一面的な判断ではありません。

資金調達コストを正しく把握し、その分を差し引いても利益を生むかどうかを見極める

ことが大切です。

今回は、投資評価の判断において欠かせない「資金調達コスト」の考え方やその具体的な計算方法と、資金調達コスト以外に投資評価やファイナンスで使う独特のコストである「機会コスト」「埋没コスト」を解説します。

2 資金調達コストはどのように使われるのか

投資案件の採算性を評価する際、問題となるのが、

  • 将来その投資から得られるキャッシュ・フロー
  • 現時点で投資のため支払われるキャッシュ・フロー

とで、時点(将来と現時点)が異なる点です。なぜなら、現在の100万円は、利息や配当が発生することで、1年後に受け取る100万円に比べ、その価値が高くなるからです。

この問題を解消するために、「将来その投資から得られるキャッシュ・フロー」を「現時点の価値」に換算する必要があります。この「将来のお金の価値を現時点の価値に換算すること」を「現在価値に割り引く」といいます。

資金調達コストは、将来のキャッシュ・フローを現在価値に調整する際に用いる率(割引率)として使われます。また、それ以外にも投資利益率、内部収益率を使った具体的な投資の評価方法で投資案件を採択するかどうかの判断基準として使われます。

3 資金調達コストの具体的な計算方法

事例として、

  • 投資額は100万円
  • 資金調達コストは10%
  • 投資案件はA案(利益率は15%)、B案(利益率は8%)、C案(利益率は17%)の3案

とした場合で、投資案件にかかる5年間のキャッシュ・フローの推移を見てみましょう。

5年間のキャッシュ・フローの推移

この投資案件を選ぶ際に、B案は選ぶことはまずありません。なぜなら、投資するための資金を集めてくる資金調達コスト(10%)よりも利益率(8%)が低いので、予定通りいったとしてもマイナス2%(=8%-10%)になってしまい、やらないほうがマシだからです。

では、その他の案はどうでしょうか。A案、C案については、どちらも利益率が資金調達コスト(10%)を上回っており、どちらを選ぶかは会社の経営状況次第です。この事例では、A案のように「投資後初期(1~3年目)からある程度リターンが見込めるのがよいのか」、C案のように「最初は少ないリターンで耐える期間は長いものの5年目の総額が大きいキャッシュ・フローを得られるほうがよいのか」といった判断になります。

4 資金調達コストの具体的な中身と計算方法(WACC)

それでは、資金調達コストの中身を見てみましょう。資金調達コストは、資金調達の方法により異なるため、貸借対照表に注目します。

貸借対照表

貸借対照表は、企業の財政状態を表しています。左側(借方)が、資金の利用状況を、右側(貸方)は利用している資金の調達方法を表しています。資金調達コストは、貸方の資金の調達方法ごとに決まっています。

買掛金などの営業活動にかかる項目は、企業間の信用で得られた資金なので資金調達コストはかかりません。そのため、計算でも考慮しません。

次に、金融機関からの借入金は、支払う利息が資金調達コストです。例えば、年利2.0%なら、借入金の資金調達コストは2.0%になります(詳細な解説は後述)。昨今、この金利は上がっていく傾向にあるので、今後借入金に係る資金調達コストは高くなっていくというのが、現在の一般的な見方ではないでしょうか。

ただし、支払利息は税金計算上の費用(損金)になるため、節約効果があります。そのため、実際の資金調達コストは、

支払利息-税金の節約効果(利息×税率)

で考えます。ただし、税金の節約効果を考慮しなければならないのは、利益が出て税金を払っている会社だけです。

一方、資本(株主の出資に内部留保を加え、株主資本と呼ぶ)は、支払う配当金が資金調達コストです。配当金は損金にならないため、配当金の全額が資金調達コストになります。

それでは、実際に計算例を使って資金調達コストを算出してみましょう。投資評価では、会社全体で資金の調達方法を加重平均した資金調達コストを用います。これを「加重平均資本コスト」といいます。英語ではweighted average cost of capital、頭文字をとってWACC(ワック)と世間では呼ばれ、次の算式で計算されます。

WACC=借入利率×(1-実効税率)×負債シェア+資本金配当率×株主資本シェア

例えば、借入金4000万円、資本6000万円、借入利率5%、資本金配当金10%、実効税率30%の場合は次のようになります。

7.4%=5%×(1-30%)×0.4(注1)+10%×0.6(注2)

(注1)負債シェア0.4=4000万円/(4000万円+6000万円)

(注2)株主資本シェア0.6=6000万円/(4000万円+6000万円)

5 中小企業における資金調達コストの考え方

中小企業の場合、配当を支払うことは稀です。なぜなら、経営者と株主が同じであることが多いため、株主の資本に対して資金調達コストを要求されないケースが多いからです。このような場合に、筆者は、

借入金による資金調達コストをベースに考えるのがよい

と考えています。中小企業では、会社に資金を残すか、経営者兼株主に還元していくかは比較的自由であり、その状況に応じて資金調達コストを変えていくのは現実的ではないためです。

無借金経営の場合はどうでしょうか。この場合も、

一般的な借入金の利息、または、安全な運用利回りとして定期預金などの利息を参考に資金調達コストを考える

ようにしましょう。資金は資本金、内部留保を使えばよいだけですが、少なくとも預金で置いておくよりも利益率は高くないと事業をする意味がないからです。

もちろん、資金調達コストは判断をする上での最低限の基準なので、定期預金などの利息をそのまま資金調達コストとして設定するのではなく、一定の+α(上乗せ幅)を乗せて目指すべき目標とすることになります。

6 投資評価時に必要な「機会コスト」と「埋没コスト」

投資評価の場面では、機会コストと埋没コストという考え方も大切です。

まず、機会コストとは、

ある案を選択した場合に「他の選択肢を選べば得られたはずの利益や収益」のこと

です。例えば、新しい製造ラインに1000万円の投資をすることを決めたとします。しかし、その同じ1000万円で不動産投資に回していれば年間で5%の利益が見込めたかもしれません。この場合、新しい製造ラインへの設備投資の機会コストは、不動産投資をしなかったために得ることのできなかった5%の利益です。このように、得られなかったメリットをコストと考えます。

機会コストは、実際には支出をすることがないイメージ上のコストであり、何かの意思決定、選択をすると必ず何かを失っているということを強く意識するためのコストといえます。ぜひ、皆さんの判断の際には気にしてみましょう。

次に、埋没コストとは、

投資によって、どの案を選んだとしても「変わらない費用」のこと

です。例えば、新店舗を出店するかどうかを検討する際に、本社の管理部門の費用(本社の人件費や賃料など)は出店してもしなくても発生するため、埋没コストに該当します。

また、「ここまで資金を使ってしまったのだから、途中でやめるのはもったいない」と考えてしまう心理も、埋没コストに関係します。途中まで進めた段階で、そこまでに払った資金は戻ってきません。大切なのは、その案件を継続するかどうかは、これからの収入と費用を冷静に比較して考えることです。例えば、ギャンブルで、こんなに時間とお金をかけたのだから、当たるまでやらないともったいないと考え続けてしまうケースがあるようです。この“こんなにかけた時間とお金”が埋没コストです。続けても、やめても変わらないコストです。経営判断でも同じで、過去の支出に引きずられないという考え方が、正しい意思決定を行う上で非常に重要です。

以上(2025年11月作成)

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2026年1月、下請法が改正され「取適法」へ! 新たな禁止行為や取引内容は?

1 取引の適正化に向け、下請法は「取適法」へ

2026年1月1日、下請代金支払遅延等防止法(下請法)が改正され、「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(中小受託取引適正化法=取適法(とりてきほう))になります。この法改正は、発注者と受注者の対等な関係づくりを促し、人件費や原材料費、エネルギーコストの上昇を反映できる適正な価格交渉につなげる狙いがあります。

まず、注目されるのが法律名と内容から「下請け」という用語がなくなることです。これは、「下請け」という用語自体が取引の実態にそぐわなくなってきていることもありますが、発注者が上で受注者が下という従属的なイメージを払拭するという意味合いがあります。

今回の法改正の内容は多岐にわたりますが、まず押さえておきたいのは、

  • 発注者がやってはいけない「禁止行為」が追加される
  • 適用対象となる「取引の範囲」が広がる

ということです。以降で詳しく見ていきましょう。

(注)この記事では便宜上、下請法(取適法)の用語である親事業者(委託事業者)を「発注者」、下請事業者(中小受託事業者)を「受注者」、下請代金(製造委託等代金)を「代金」と呼びます。

2 取適法で追加された新たな禁止行為とは?

取適法では、下請法でも禁止されてきた発注者による「受領拒否」「代金の支払い遅延」「代金の減額」「返品」「買いたたき」などに加え、

  • 協議に応じない一方的な代金決定の禁止
  • 手形による代金支払いの禁止

という、新たな禁止行為が定められています。

受注者の了解を得ていても、発注者に悪意がなくても、禁止行為に及べば法令違反

です。これまでの取引慣行が違法とみなされるリスクもあり、早期の対応が不可欠といえるでしょう。

1)協議に応じない一方的な代金決定の禁止

発注者が一方的に代金を決定し、受注者の利益を不当に害する行為は禁止されます。例えば、次のようなものが禁止行為に該当します。

  • 受注者が代金の額の引き上げについて協議を求めたにもかかわらず、発注者が無視する、拒否する、回答を先延ばしにするなどして応じない
  • 発注者が代金の額の引き下げを要請する場合に、受注者が説明を求めたにもかかわらず、具体的な理由の説明や根拠となる資料の提供をしない

発注者にとって重要なのは、

  • 代金について価格交渉の機会を確保すること
  • 交渉材料として必要なデータ(原価データなど)を整えておくこと

です。「これまでそうだったから」という屁理屈は通用しませんし、代金の決定プロセスが不透明な場合、優良な受注者は取引に応じず離れていってしまう恐れがあります。

2)手形による支払いの禁止

代金の支払い手段として手形を用いることで、受注者に資金繰りの負担を強いる商習慣が続くことが問題視され、取適法では、

  • 代金の支払い手段として手形(紙の手形)を用いることは全面禁止
  • 電子記録債権や一括請求方式(ファクタリング等)についても、支払い期日までに、代金に相当する金銭(手数料等を含む満額)を得ることが困難なものは使用禁止

となります。

これまで、代金の支払い手段として手形を用いてきた発注者は、

振込などによる支払いの増加に備えて、資金を確保しておかなければならない

ことになります。発注者は、物品等の受領後、60日以内で定められている支払い期日までに、代金を支払わなければ支払い遅延となるからです。なお、紙の手形は2026年度末(2027年3月末)までに廃止される予定であり、代替の支払い手段への移行が必要です。

3 対象となる取引の範囲も広がる?

取適法では、適用対象となる取引の範囲を、「取引の内容」と「資本金基準」(資本金の額あるいは出資の総額)または「従業員基準」(常時使用する従業員の数)によって定めています。

「法律の対象取引」=「取引の内容」+「資本金基準」または「従業員基準」

「取引の内容」については、下請法の「製造委託」「修理委託」「情報成果物作成委託」「役務提供委託」の他に、「特定運送委託」が新たに追加されました。特定運送委託とは、

販売する物品、製造を請け負った物品、修理を請け負った物品、作成を請け負った情報成果物(例:作成を請け負ったデザインに基づいて製造されたペットボトル)が記載されるなどした物品の引き渡しに必要な運送を、他の事業者に委託すること

です。

「従業員基準」は、今回の法改正で新たに追加されたもので、

従業員数が多く事業規模が大きいものの、減資等により資本金額が少額となっていた事業者を適用対象とする

ことで、より多くの取引関係における不公正な慣行を是正しようという目的があります。

具体的な考え方は図表の通りです。黒字が「資本金基準」、赤字が「従業員基準」で、適用対象となる取引の発注者がどちらか1つでも該当する場合、取適法の適用を受けます。

適用対象

基準を満たす事業者を「優先的地位にある」ものとして取り扱うことで、取引に係る発注者の不当な行為を、より迅速かつ効果的に規制することが狙いです。

なお、詳しくは触れませんが、取適法とフリーランス・事業者間取引適正化等法のいずれにも違反する行為については、原則としてフリーランス・事業者間取引適正化等法を優先して適用することとされています。

4 参考

公正取引委員会・中小企業庁は、2026年1月1日の改正法施行までに広く十分な周知を行うため、適用対象となる事業者をはじめとする関係者を対象に説明会を開催しています(一部地域では既に開催が終了しています)。

2026年1月施行!~下請法は取適法へ~改正ポイント説明会の実施について
https://www.jftc.go.jp/event/kousyukai/toriteki.html

また、中小企業庁は、「適正取引支援サイト」を通じて、基本的な知識とともに、法改正のポイントを重点的に学ぶ無料のオンライン講習会を開催しています(受講には参加申し込みが必要です)。

中小受託取引適正化法(下請法)講習会
https://tekitorisupport.go.jp/shitauke/

上記のオンライン講習会に加え、中小企業庁は、「みんなのパブリックレッスン」を通じて、下請法・取適法の内容や価格交渉についての無料のeラーニングも提供しています(利用規約に同意の上、新規利用登録が必要です)。

みんなのパブリックレッスン
https://minpub.learning-ware.jp/login

以上(2025年11月作成)
(監修 三浦法律事務所 弁護士 磯田翔)

pj60375
画像:ChatGPT

2026年から「約束手形」が一部禁止 資金ショートしない代替案

1 2026年1月から、下請取引での約束手形(紙)の使用は不可!

約束手形とは、

手形の「振出人」が、約束の期日までに定められた金額を支払うことを「受取人」に約束する有価証券

です。手形自体は江戸時代から続く決済手段で、卸売業などでも利用が多くなっています。

ただ、この約束手形について、2027年3月末をめどに紙を廃止し、全て電子化する方針が示されています(注)。「ペーパーレス化」が社会的に進む中で、紙の手形や小切手もデジタル化して、作業負担の軽減や効率化を図ることが求められるようになったためです。

(注)内閣官房「成長戦略実行計画(2021年6月18日)」において「5年後の約束手形の利用の廃止に向けた取組を促進する」旨が、全銀協(全国銀行協会)ウェブサイトにおいて「政府方針をもとに、2027年3月末までに紙の手形・小切手の交換が廃止となる」旨が明記されています。

さらに廃止に先んじて、2026年1月からは下請法改め取適法(中小受託取引適正化法)により、

下請取引において、代金の支払い手段として手形(紙の手形)を用いることが全面禁止

されるため、各社における支払い業務の見直しは急務となっています。

約束手形廃止のスケジュール

以降で次の内容を紹介するので、支払い業務の見直しの参考にしてください。

  • 約束手形の廃止で事務負担や資金繰りはどうなるのか?
  • 約束手形に代わる決済手段は何か?
  • 約束手形を廃止するためには?

また、2026年1月施行の取適法の内容については、次のコンテンツをご確認ください。

2 約束手形の廃止で事務負担や資金繰りはどうなるのか

約束手形を廃止すると、振出側・受取側ともに事務負担やコストが減る一方、資金繰りでは振出側にはマイナスの、受取側にはプラスの影響が出ます。

1)振出側の影響

1.事務作業などの負担やコストが減る

手形帳や印紙の購入コストがなくなります。また、手形の作成や発送事務などの実務負担がなくなります。

2.支払期日の短縮で資金繰りが悪化?

2024年11月以降、約束手形の支払期日は「交付日から60日以内」と決められていますが、約束手形を廃止した場合、それよりも短い期日での支払いを求められる可能性があります。例えば、少し古いデータになりますが、2020年度の中小企業庁の調査によると、銀行振込の平均支払期日は約50日とされています(中小企業庁「約束手形をはじめとする支払条件の改善に向けた検討会報告書(2021年3月)」)。

支払期日が短くなるということは、資金繰りに影響が出やすくなるということです。ですから、手元資金を確保する計画をしっかり立てておく必要があります。

2)受取側の影響

1.事務作業の負担やコスト、紛失・盗難リスクが減る

振出側から受け取った約束手形は、受取側が支払期日まで管理する必要があります。その管理や支払期日になってから行う取立などの事務負担、取立手数料や領収書の印紙代などのコストが低減されます。また、約束手形を管理している間の紛失や盗難のリスクもなくなります。

2.支払期日の短縮で資金繰りが改善する

支払期日が短縮されれば、資金繰りが改善されます。また、支払期日前に割り引いて手形を買い取ってもらう「手形割引」や、手数料を支払うことで、期日前に債権を買い取ってもらうなどの「ファクタリング」を利用せずに済みます。

3 約束手形に代わる決済手段は何か

約束手形に代わる決済手段として代表的なものは、銀行決済(インターネットバンキング)、電子記録債権、クレジットカードなどです。

1)銀行決済(インターネットバンキング)

インターネットバンキングは、銀行決済をインターネットで行うものです。パソコンやスマートフォンを使い、銀行窓口やATMに行かなくても振込手続きが行えます。法人口座を開設すれば、複数の振込先に一括で振込手続きができるので、事務負担を軽減できます。また、振込手数料が発生する場合もありますが、同一金融機関内での振込であれば無料、もしくは低コストで済むケースもあります。

代表的な支払期日は「月末締め翌月末払い」で、締め日から30日前後の入金となります。

2)電子記録債権(でんさい)

電子記録債権は、例えば、手形の作成・保管などのコストの低減や売掛債権の二重譲渡リスクなどの回避を可能とする新たな金銭債権で、電子債権記録機関で記録(振出)、譲渡(支払)ができます。

国内最大規模の電子債権記録機関が、でんさいネット(全銀電子債権ネットワーク)で、都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合、JAなど国内490の金融機関が参加しています(2025年10月23日時点)。でんさいネットが取り扱う電子記録債権を「でんさい」といいます。

でんさいは、取引金融機関のインターネットバンキングなどを通じて、でんさいネットに「発生記録請求」を行うことで振出となり、支払期日になると受取側の決済口座に振り込まれます。

ただし、振出・受取の双方がでんさいネットを利用している必要があります。支払期日は、発生日(銀行営業日)から起算して3〜7銀行営業日を経過した日以降、最長で10年後までです。

なお、前述した取適法により、2026年1月からは

電子記録債権や一括請求方式(ファクタリング等)についても、支払い期日までに、代金に相当する金銭(手数料等を含む満額)を得ることが困難なものは使用禁止

となりますので、注意が必要です。

3)クレジットカード

多数の取引先に対して、少額のサービスや商品を提供する会社にとって便利です。代金はクレジット会社が立て替え、後から支払請求が来る決済手段です。クレジット会社によって引き落としや入金の時期が異なります。

4 約束手形を廃止するためには

1)約束手形を廃止するための手続き

振出側・受取側で手形決済のメリット・デメリットが異なるため、双方での調整が必要です。双方がやるべきことの流れを紹介します。

約束手形を廃止するためには

2)約束手形の廃止が進まない場合は、公正取引などに相談を

約束手形は業界の取引慣行として長年利用されてきたため、「やめにくい事情」があります。万が一、振出側が難色を示したら、いったん引き下がり、公正取引委員会「相談・申告等の窓口」や、中小企業庁「下請かけこみ寺」などに相談するのも一策です。

公正取引委員会「相談・申告等窓口」
https://www.jftc.go.jp/shitauke/madoguti.html
中小企業庁「下請かけこみ寺」
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/kakekomi.html

以上(2025年11月更新)
(監修 弁護士 田島直明)

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【高齢者雇用】法改正で変わる高齢社員の働き方、どうマネジメントする?

1 法改正の動向を押さえつつ、自社の方針を決めよう

日本の65歳以上人口は、1950年には総人口の5%にも満たなかったものの、その後はどんどん増加し、2024年10月時点では29.3%に達しています。一方で総人口は減少局面に入り、2056年には1億人を下回ると予測されています(内閣府「令和7年版高齢社会白書」)。

こうした少子高齢化の進行により、多くの会社が深刻な人手不足に直面しています。実際、製造業や建設業、運輸業などではその傾向が顕著で、長年の経験や技術を持つベテラン人材は、単なる「戦力の穴埋め」ではなく、若手の育成や品質の安定に欠かせない存在になっています。

会社にとって「高齢社員をどのように雇用し続けるか」は、今や避けて通れない経営課題。特に2025年・2026年は高年齢者雇用・給付制度において重要な節目を迎えています。すでに施行済の内容も含め、押さえておきたいものは次の3つです。

  • 1.高年齢者雇用確保措置の経過措置が終了(2025年3月31日)
  • 2.高年齢雇用継続給付の縮小(2025年4月1日)
  • 3.在職老齢年金の支給停止調整額の見直し(2026年4月1日)

これらの制度改正は相互に影響し合うため、就業規則・処遇制度の見直しや社員への説明を怠ると、誤解や不満がトラブルに直結するリスクがあります。まずは3つの改正点について、詳しく見ていきましょう。

2 高年齢者雇用確保措置の経過措置が終了(2025年3月31日)

会社は高年齢者雇用安定法により、社員を65歳まで雇用するために

  • 定年の引き上げ(65歳まで)
  • 定年制の廃止
  • 継続雇用制度(65歳まで)の導入

のいずれかの措置を実施する義務があります。このうち、継続雇用制度(65歳まで)については、以前は労使協定(2012年度以前に締結されたものに限る)により、例えば、「希望者のうち62歳以上のみを継続雇用の対象とする」といった基準を設けることが認められていました。

しかし、2025年3月31日をもってこの経過措置は終了し、

定年後も働くことを希望する社員は全員、継続雇用(65歳まで)の対象

になりました

経過措置の流れ

3 高年齢雇用継続給付の縮小(2025年4月1日)

高年齢雇用継続給付とは、

賃金が「60歳時点の75%未満」に低下した状態で働く場合に支給される雇用保険給付

です。雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある、60歳以上65歳未満の社員が対象です。

社員を定年後に再雇用すると、定年前と比べ賃金がガクッと下がることがあります。こうした場合に、社員の仕事へのモチベーションが下がらないよう、高年齢雇用継続給付が減った分の賃金を補填するわけです。

この高年齢雇用継続給付は、以前は賃金低下率に応じて最大15%が支給されていましたが、

2025年4月1日以降に60歳になった新規受給者からは、最大給付率が「10%」に引き下げ

られています(2025年3月31日以前に60歳になった人の給付率は最大15%のまま)。

高年齢雇用継続給付

例えば、60歳時点の賃金が月額40万円、再雇用後が月額24万円(60歳時点の60%)の場合、

  • 改正前の給付額:3.6万円給付(24万円×15%)
  • 改正後の給付額:2.4万円給付(24万円×10%)

となり、月額1.2万円、年額14.4万円もの差が出てしまいます。

高年齢雇用継続給付の縮小により、60歳以降の社員は従来よりも実質収入が下がる可能性があります。社員のモチベーション低下を防ぐためには、会社としては「給付ありき」の賃金設計を避け、職務給・役割給の導入や評価制度の見直しなどを検討する必要があります。

4 在職老齢年金の支給停止調整額の見直し(2026年4月1日)

在職老齢年金とは、

年金を受け取りながら働くと、賃金が一定以上の場合、年金の一部がカットされる制度

です。厚生年金保険に加入しながら年金をもらう60歳以上の社員が対象で、賃金(ボーナスを含む)と年金の合計額が「支給停止調整額」というボーダーラインを超えると、十分な収入があるとみなされ、老齢年金の一部または全額が支給停止となる仕組みです。

ただ、「せっかく働いても年金が減ってしまうのは困る」という声が多く寄せられているのに加え、近年の賃金上昇の影響もあって、支給停止調整額は段階的に引き上げられています。

2026年4月1日からは、支給停止調整額は「51万円→62万円」になる予定

です。簡単に言うと、

  • 賃金(ボーナスを含む年収の1/12)と、老齢厚生年金の合計額が月62万円以下の場合、年金は全額支給される
  • 合計額が月62万円を超える場合、超えた分の1/2の額が年金から差し引かれる

という仕組みになります。なお、支給停止を受けるのは年金のうち老齢厚生年金(厚生年金保険)だけで、老齢基礎年金(国民年金)は対象になりません。具体的には次のようなイメージです(図表3の「50万円」は2024年度の金額です)。

在職老齢年金

5 これからの高齢者雇用をどう考える?

制度改正の内容を踏まえた上で、企業は「高齢社員をどのような形で雇い続けるか」という方針を検討する必要があります。代表的な視点をいくつか紹介します。

1)70歳までの雇用機会をどう確保するか

高年齢者雇用安定法では、65歳までの雇用確保は義務ですが、70歳までは「努力義務」とされています。とはいえ、単なる「努力」ではなく、実際に具体的な措置を検討・導入することが求められています。例えば、

  • 定年を70歳に延長する
  • 継続雇用制度の対象を70歳まで広げる
  • グループ会社や他社での再就職を支援する
  • フリーランスや業務委託での就業機会を設ける

などの方法が考えられます。70歳までの就業機会をどう設計するかは、今後の人材戦略に直結する大きなテーマです。

高齢者雇用の基本的な考え方については、次の記事をご確認ください。

2)高齢社員の待遇はこのままでよいか

定年後の社員を再雇用する場合、賃金は定年前よりも下がるのが一般的ですが、

「パートや嘱託だから」というだけで賃金を下げるのは、同一労働同一賃金違反

です。仕事内容や役職、労働時間、責任、ノルマなどが定年前とどう変わるのかを考慮した上で、待遇を決めるようにしないといけません。

特に、2025年4月1日以降は高年齢雇用継続給付が新規受給者から縮小されているため、「給付で差額を補う」従来型の設計では社員の不満が残りやすくなります。今後は、職務や責任に応じた合理的な賃金制度へ移行し、処遇に納得感を持たせる人事制度を整えることが重要です。

在職老齢年金にも注意しましょう。法改正でボーダーライン(支給停止調整額)が段階的に引き上げられているとはいえ、高所得であればあるほど老齢年金のカット幅が大きくなるのは変わりません。カットされた分の年金は退職後も戻ってきませんから、賃金設計を考える際は確認が必要です。

高齢社員の待遇については、次の記事をご確認ください。

3)シニア労災をどう防ぐか?

厚生労働省「令和6年 労働災害発生状況について」によると、労働災害による休業4日以上の死傷者のうち、60歳以上の割合は30.0%に上ります。いわゆる「シニア労災」が深刻化しており、とくに転倒や骨折といった事故が増加傾向にあります。

シニア労災

高齢社員の多くは、「自分はまだ若い」と思っているケースが少なくないので、健康診断や体力テストで自分の体の状態を正しく理解してもらうことが大切です。また、時短勤務やフレックスタイム制、在宅勤務制度、あるいは労働時間の枠にとらわれないフリーランスなど、加齢に合わせて自分のペースで稼働できる働き方を提案してみるのもよいでしょう。

高齢社員の健康を考慮した働き方については、次の記事をご確認ください。

以上(2025年10月更新)

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経営者が「なってみたいキャラクター・歴史上の人物」、1位はあの戦国武将!

1 もしも、自分が◯◯だったら……

もしも、自分が〇〇(憧れのキャラクターや尊敬する歴史上の人物)になって会社を経営するとしたら? キャラクターや人物を選ぶ視点・発想はまさに人それぞれ。それは、経営者1人1人の理想とするリーダー像の表れかもしれません。

今回は、中小企業の経営者214人に「なってみたいキャラクター・歴史上の人物」についてアンケートを実施し、

  • もし、自分以外のキャラクター・歴史上の人物などになって経営を行えるとしたら、試してみたいと思いますか?
  • なれるとしたら、誰・何になってみたいですか?
  • 前問で答えたキャラクターや歴史上の人物になりたい理由を教えて下さい。

という3つの質問をしました。経営者の素顔や価値観が垣間見える結果が集まりましたので、この記事で個性豊かな回答をご紹介します。

アンケートは2025年8月に、インターネットを通じて行いました。回答の中で、明らかに誤字と思われる表記などは修正しています。

2 自分以外の誰かになって経営を行えるとしたら?

自分以外の誰かになって経営を行えるとしたら?

アンケートの結果、

「誰かになって経営をしてみたい」と答えた人は、計44.9%

でした!

また、

「なってみたいキャラクター/歴史上の人物が思いつく」と答えた人は、21.5%

でした。次章からは、実際に経営者がどんな人物になって経営を行ってみたいのか、その理由を紹介していきます!

3 歴史上の人物になってみたい経営者たち

歴史上の人物になってみたい経営者たち

歴史上の人物で、経営者に一番人気だったのは、

誰もが知る戦国武将で三英傑の1人、織田信長

でした! ちなみに次に票が多かったのは、同じく三英傑の1人で、戦国の世の最終勝利者となった徳川家康です。

織田信長、徳川家康になってみたい経営者たちの、「なってみたい理由」は次の通りです。

織田信長

「奇抜な発想・行動がどこまで実現可能か試してみたい」「豪胆さ」「自分にはない個性の持ち主」「決断力」「天才的な経営者になれるから」

徳川家康

「戦略家としての思想を学びたいから」「数百年先を見越した治世」「忍耐力がすごいから」「長期ビジョン」

その他の人物を挙げた経営者たちの回答は次の通りです。

空海

「死してなお影響力を持つ」

楠木正成

「我国の伝統護持」

豊臣秀吉

「農民から武士として出世する能力が素晴らしい」「天下統一」

上杉鷹山

「日本を立て直したい」「藩の財政等を再建したから」

坂本龍馬

「革新的な考え方と人を巻き込む力」

土方歳三

「非常に行動力もあるが冷静で適応力が高い」

西郷隆盛

「敬天愛人」

大久保利通

「変化の時代を感じたい」

渋沢栄一

「複数の会社の起業に取り組みたい」

秋山真之

「知力、胆力が素晴らしい」

4 あのキャラクターになってみたい経営者たち

あのキャラクターになってみたい経営者たち

また、歴史上の人物と比べると少数派ですが、漫画やドラマのキャラクターになってみたい経営者たちも。回答は次の通りです。

江戸川コナン(漫画「名探偵コナン」)

「頭が良さそう」

古代進(アニメ「宇宙戦艦ヤマト」)

「憧れ」

猛やん(ドラマ「どてらい男」)

「商いをうまくやりたい」

以上(2025年10月作成)

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