個人データを第三者に渡しても良い?【かんたん個人情報保護法(6)】

1 個人データの第三者提供には、あらかじめ本人の同意が必要

一般の事業会社が、あらかじめ本人の同意を得ないで個人データを第三者に提供できるのは、次のような場合です。

  1. 法令に基づく場合
  2. 人の生命、身体または財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき
  3. 公衆衛生の向上または児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき
  4. 国の機関もしくは地方公共団体またはその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき

なお、そもそも「第三者への提供」自体が利用目的である場合などには、所定の事項をあらかじめ本人に通知するか、本人が容易に知り得る状態に置いた上で、個人情報保護委員会へ届け出れば、「オプトアウト」の形で個人データを第三者に提供できます。

オプトアウトとは、あらかじめ本人の同意を得ることなく、個人データを第三者に提供すること(本人から求めがあった場合に、求めに応じて第三者提供を停止することが条件)

です。

注意が必要なのは「要配慮個人情報」を第三者に提供する場合です。

要配慮個人情報とは、不当な差別や偏見などの不利益が生じないよう、取り扱いに特に配慮を要する個人情報のこと

です。具体的には、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実、心身の機能の障害があること、医師等により行われた健康診断の結果などが該当します。要配慮個人情報をオプトアウトの形で第三者に提供することは禁止されており、法令に基づく場合などの例外を除いて、必ず本人の同意を得なければなりません。

実務上、社員の健康情報(健康診断の結果や病歴など、健康に関する個人情報)を健康保険組合に提供する場合などがありますが、健康情報の多くは要配慮個人情報に該当し、そうでない場合も機微な情報が含まれ得ることなどから、要配慮個人情報に準じて取り扱うことが望ましいとされています。あらかじめ利用目的を通知し、社員の同意を得ておくとよいでしょう。

■個人情報保護委員会「雇用管理分野における個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項」■

https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/ryuuijikou_health_condition_info/

2 外国にある第三者への提供は制限されている

個人データを外国にある第三者に提供する場合、あらかじめ外国にある第三者への提供を認める旨の本人の同意を得なければならず、その際、

  • 当該外国の名称
  • 適切かつ合理的な方法により得られた当該外国における個人情報の保護に関する制度
  • 当該第三者が講ずる個人情報の保護のための措置

に関する情報を、本人に提供しなければなりません。

この他にも押さえるべきポイントは多岐にわたります。そのため、ガイドライン(通則編)とは別に「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(外国にある第三者への提供編)」が定められています。興味のある方は確認してみてください。

■個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(外国にある第三者への提供編)」■

https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_offshore/

3 第三者提供については記録を残す

個人データを第三者に提供したとき、または第三者から個人データの提供を受けるときには、次の事項の確認および記録の作成を行わなければなりません(保存期間は原則3年)。

(図表)【個人データの第三者提供に係る確認・記録の事項】
個人データを第三者に提供したとき 第三者から個人データの提供を受けたとき
・提供した年月日
・当該第三者の氏名
・本人を特定するに足りる事項
・当該個人データの項目
・提供を受けた年月日
・当該第三者の氏名
・本人を特定するに足りる事項
・当該個人データの項目
・当該第三者による当該個人データの取得の 経緯
(出所:個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)を基に作成)

この他にも押さえるべきポイントは多岐にわたります。そのため、ガイドライン(通則編)とは別に「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(第三者提供時の確認・記録義務編)」が定められています。興味のある方は確認してみてください。

■個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(第三者提供時の確認・記録義務編)」■

https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_thirdparty/

以上(2026年7月更新)

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画像:日本情報マート

経営のヒントとなる言葉(吉田松陰)

「飛耳長目(ひじちょうもく)」(*)

出所:「吉田松陰の実学 世界を見据えた大和魂」(PHP研究所)

冒頭の言葉は、

「何事に対しても、アンテナを高く張って多くの情報を集め、長期的な視点で思考し、自分自身の考えによって判断を下さなくてはならない」

ということを表しています。

松陰が講義を行っていた松下村塾(しょうかそんじゅく)は、封建制度の下の教育機関としては画期的なものでした。長州藩には「明倫館(めいりんかん)」という藩校がありましたが、明倫館に入学できるのは藩士の子弟のみでした。しかし、松下村塾は、身分を問わず誰でも入塾することができました。このため、足軽などの下級武士や農民、商人の子弟など、さまざまな身分の子どもが一緒に学んでいました。

また、当時の寺子屋や私塾などでは、先生が生徒に対して講義を行うことが一般的でしたが、松陰は生徒に対して「先生」ではなく「同志」として接しました。一方的に教えるのではなく、「自分自身も塾生たちと一緒に学ぶ」という姿勢をとったのです。

さらに、松下村塾の大きな特徴として、「情報を非常に重視した」という点が挙げられます。松下村塾には、「飛耳長目(ひじちょうもく)」というノートがありました。これは、江戸や長崎から伝わる国内外の最新の情報を整理してまとめたものです。

松陰は、生涯を通じて、常により多くの情報に接するよう努めました。1850年、松陰は講義をしていた明倫館を辞職して九州遊学に旅立ち、以降は江戸や東北など、日本中を旅して多くの書籍を読み、各地でさまざまな人々と対話し、多くの情報を得ました。その後、旅先の江戸で黒船来航の報に接すると、「日本を守るためには、西洋の新しい知識を学ばなくてはならない」と考え、1854年に再度黒船が来航した際には、深夜に小舟で乗り付けて米国への密航を企てました。そして、このことにより萩の野山獄に投獄されると、約1年間で約600冊もの書籍を読破したといわれています。

こうして得た多くの情報を基に、松陰はさまざまな問題を正しく判断し、門下生にもその考え方を説きました。松陰が松下村塾で講義をしていたのはわずか数年間でしたが、その間に松下村塾で学んだ門下生は、この考え方を身に付け、松陰が亡くなった後に大きくはばたき、明治維新を成立させて近代国家日本の礎を築いていきました。

後に、松陰は次のような言葉を遺しています。

「成し難きものは事なり、失ひ易きものは機なり。機来り事開きて成す能はず、座してこれを失ふものは人の罪なり」(**)

この言葉は、「事を成し遂げることは難しく、成し遂げるための機会は失いやすいものである。それ故、事を成す機会が訪れた際にそれを生かせないのは罪である」ということを表しています。

機会を生かすためには、物事を正確に判断する必要があります。そのためには、情報が必要です。より多くの情報を集め、それらを総合的に分析して判断しなくてはなりません。多くの情報に惑わされることなく、それらの中から確かなものを見抜き、自分自身で判断することが重要なのです。

【本文脚注】

本稿は、注記の各種参考文献などを参考に作成しています。本稿で記載している内容は作成および更新時点で明らかになっている情報を基にしており、将来にわたって内容の不変性や妥当性を担保するものではありません。また、本文中では内容に即した肩書を使用しています。加えて、経歴についても、代表的と思われるもののみを記載し、全てを網羅したものではありません。

【経歴】

よしだしょういん(1830~1859)。長門国(現山口県)生まれ。私塾「松下村塾」で講義を行い、高杉晋作(たかすぎしんさく)や伊藤博文(いとうひろぶみ)氏などの門下生を育成。

【参考文献】

(*)「吉田松陰の実学 世界を見据えた大和魂」

(木村幸比古、PHP研究所、2005年6月)

(**)「【ひとすじの蛍火.吉田松陰 人とことば】(78)冬編(4)間部要撃策

(産経新聞 東京朝刊(2007年4月4日付))」(産経新聞社、2007年4月)

「日本の名著 31」

(吉田松陰(著)、松本三之介(責任編集)、中央公論社、1984年6月)

以上(2026年5月更新)

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画像:日本情報マート

ビジネスで使う住所を7桁英数字でデジタル化。中小企業DXの第一歩に

「法人の住所情報の品質は、ある意味、その企業の活動の品質とイコールです」

日本郵便でビジネスデジタルアドレスを推進する担当者は、インタビューの中でこう語ってくれました。住所情報の品質=企業の活動の品質。印象的なフレーズです。

住所が「1丁目1番1号」「1-1-1」と人によって違う表記で書かれ、移転のたびに営業・経理・物流の各システムを手作業で更新する……この光景、どの中小企業にも覚えがあるはずです。

これを解決するべく日本郵便が2026年3月19日に提供を開始した「ビジネスデジタルアドレス」は、住所を7桁の英数字に置き換え、企業情報をまとめて管理できるサービスです。

住所を管理しやすくなるので、一番分かりやすいのは物流におけるメリットだと思いますが、それ以外にも、中小企業のDXの第一歩としての可能性を、日本郵便への取材から探ります。

1 【地味な不便】が削っている、日本企業の競争力

ビジネスデジタルアドレスは日本郵便が提供しているもので、企業や個人事業主が住所を「ABC-1234」のような7桁の英数字に置き換え、企業名・電話番号・ホームページのURL・法人番号などをまとめて紐付けられるサービスです(2026年6月時点では、1社につき1つのビジネスアドレスを無料で取得できます)。

日本郵便が2025年5月に提供を開始した個人向け「デジタルアドレス」の法人版にあたります。個人と比べて法人はパブリックな情報が多いので、個人向けよりも実はデジタル化しやすいという側面があります。

日本郵便でビジネスデジタルアドレスを発案し進めてきた担当者は、今回の法人向けリリースの背景を次のように話してくれました。この話は、どの職場でもよくあることだと思います。

「法人の住所情報というのは、企業活動においてとても大事なものなのに、情報を正しく収集・更新できていない。掘れば掘るほど住所の不便はたくさんあります。取引先の移転情報が速やかに反映されない、東京駅や大学、工場のように広い場所でも住所は一つしかないため、正確な配達場所がわからず手間や時間がかかる、といった具合です。

でも、こうした住所に関連する不便さは、仕事を進める上で現場が【ちょっと我慢】すればなんとかなってしまうものです。そのため、現場が【人力で】頑張ってなんとかしてきています。その【地味な不便】の積み重ね、円滑じゃない何かがもたらしている経済活動の損失はとても多く、日本はそこの競争力が低いのではないかと思います。他国にはこんな住所問題はありません。日本特有です」

これまで現場の地道な努力で支えてきた住所管理を、デジタルで根本から変える。それがこのサービスの本質です。

ビジネスデジタルアドレスとは

(出所:日本郵便のウェブサイトより)

2 なぜ中小企業DXの第一歩になりうるか

ビジネスデジタルアドレスが、なぜ中小企業にとって「DXの第一歩」と言えるのか。それは、ビジネスデジタルアドレスを取得して自社の情報を紐付けることが、自社に関する正しい情報を広く伝えることになるからです。日本郵便の担当者は、こう語ります。

「正しい取引先の情報を取得すること自体がそもそも難しい。加えて、自社の移転や異動があったとしても、取引先側では窓口である営業担当と請求書を発行する経理とアフターサービス担当者など、全部署、全社の中で情報共有できていない。実はそれぞれで違うシステムやツールを使っていて、情報が分断されているのが実情ではないでしょうか。そっちの部署・担当者では更新されているが、こっちでは更新されてないということが多々あります」

この「情報のサイロ化」は、中小企業にこそ重い問題です。部署が明確に分かれていない中で担当者間で伝え合って情報共有するという、現場の人手でなんとかしてきているからです。テレワークなどもあって、「あのクライアントは請求書の送り先が変わった」という情報の伝達漏れが、請求書の遅れや再発行の手間につながるなど【地味な不便】は今日もどこかできっと発生しています。

今回のビジネスデジタルアドレスは、そこに対して、次のような変化をもたらします(2026年6月時点では未実装で、今後対応予定の内容も含みます)。

ビジネスでの住所にまつわる課題に対応

(出所:日本郵便のウェブサイトより)

日本郵便によると、ビジネスデジタルアドレスに関する中小企業のメリットは、次のように整理できます。

中小企業にとって最大のメリットは、「住所」をきっかけに、社内外に散らばった情報を整理・統一しやすくなる点です。

中小企業では、営業・経理・配送などで別々に顧客情報を管理しているケースも多く、取引先の移転や担当変更が各部署に十分共有されず、請求書の再送や配送ミスなどにつながることがあります。

ビジネスデジタルアドレスは、7桁の英数字を共通キーとして企業情報を扱えるため、住所や企業情報の更新・共有をシンプルにし、入力ミスや表記ゆれも減らせます。

大規模なシステム投資をしなくても始められるため、「まずは情報を整える」という中小企業のDXの入り口として活用いただけると考えています。

具体的に見ていきましょう。

1)自社の顧客にとってもメリットがある

中小企業にとっては、自社の顧客にとっても、申込書や登録フォームへの住所入力の手間が減り、誤入力による差し戻しもなくなります。請求書・納品書の送付先確認のやり取りも削減できます。

また、日本郵便では今後、地方銀行や信用金庫と連携し、融資先のDX支援としてビジネスデジタルアドレスの取得を促していく予定です。

「中小企業にとっては、ビジネスデジタルアドレスを取得することがDXの第一歩になると思います。取引先の正しい情報を取得すること自体も難しい現状で、一気にデジタル化するきっかけになるかもしれません」

と担当者は期待をあらわにしています。しかも、ビジネスデジタルアドレスは、フリープランなら1社につき1つまで無料で取得できます(2026年6月時点)。新たなシステム投資も、専門のIT人材も必要ありません。「最も手軽で、しかし確実なDXの第一歩」。その実体が、このサービスにあるのです。

2)取引先情報の入力・更新作業が、ほぼなくなる

取引先がビジネスデジタルアドレスを取得していれば、システムに7桁の英数字を入力するだけで、社名・社名カナ・住所・電話番号・ホームページのURL・法人番号がまとめて反映されます(※)。「株式会社」と「(株)」の違いや、「1丁目1番1号」と「1-1-1」のような表記ゆれによる名寄せの問題や修正対応も、根本からなくなります。

「住所をはじめとする取引先の情報は、正確に把握したい。入力する人によって株式会社が前株に略されるということもなく、正しい情報で。かつ、その情報が正確に早くアップデートされている世界をつくりたい」

日本郵便の担当者が見据える、理想の姿です。

(注)「郵便番号・デジタルアドレスAPI」をご利用いただく必要がございます。

3)部署(担当者)ごとに分散していた顧客マスタが統合できる

営業が把握している顧客住所と、経理が請求書を送っている宛先と、物流が納品先として登録している住所……別々にエクセル管理していてバラバラだった情報が、ビジネスデジタルアドレスという共通のキーでつながります。取引先の移転や担当変更があっても、ビジネスデジタルアドレスに紐付いた情報が最新化されていれば、社内の各担当者に同じ情報が行き渡る仕組みを作ることができます。

4)自社の拠点情報も一元管理できる

将来的に、支社・支店・営業所・倉庫など、自社が複数の拠点を持つ場合、それぞれに別のビジネスデジタルアドレスを持たせることができるようになります。移転や新設のたびに、社内外の関係者に最新情報を共有する負担が大幅に減ります(複数のビジネスデジタルアドレスを持つ際は、費用がかかる場合があるため、日本郵便の「ビジネスデジタルアドレス」公式サイト(https://lp-biz.da.pf.japanpost.jp/)にてご確認いただくことをおすすめします)。

ビジネスデジタルアドレスを活用することで、

「『人力で何とかしていた情報管理』をデジタル化する第一歩になり得る」

といえるでしょう。

活用メリット

(出所:日本郵便のウェブサイトより)

3 【ここが大事】業種別・シーン別で見る、現場の変化

ビジネスにおける住所課題は、業種ごとあるいはシーンごとに特徴があります。例えば、農業分野では、ビニールハウスごとに違った肥料を配送(納品)してほしいというニーズがあるそうです。広大な農地における各ビニールハウスに肥料を納品する必要があったものの、住所だけでは特定できず、結局電話対応等のやりとりが発生して負荷がかかっている、とのことでした。

ビニールハウス単位でビジネスデジタルアドレスを持てるようになれば、配送先をより細かく特定できるため、誤配送や確認作業の削減につながる可能性があります。

つまり、「これまで曖昧だった配送先をデジタルで整理できる」といえます。

そのほか、インタビューでは、ビジネスデジタルアドレスを活用する業種やシーンごとのメリットとして、次のような点が挙げられました。

1)物流・配送業界 ベテラン依存からの脱却

物流では「2024年問題」に象徴される労働力不足が深刻で、ベテランの「勘」に頼った配送には限界があります。これを大きく改善できると担当者は言います。

「全くその土地に土地勘がない、あるいは配送を経験したことがないという人に対しても、そのエリアの情報や置き配(おきはい)の場所などが分かりやすくなります。労働力不足や経験値不足を補う一つの存在として、物流・配送の現場で役に立つと考えています」

新人の配達担当者あるいは外国人労働者でも、正確な地点にたどり着ける。そうした未来が見えてきます。

2)飲食・美容・小売業界 情報の「一括アップデート」

飲食店や美容院などでは、新規開業や移転のたびに、Googleマップ、SNS、予約サイトなど各種媒体への登録・修正をするのが大変な手間になっています。

「ビジネスデジタルアドレスを飲食店が取得してくれて、かつそれが各社(媒体)で導入されていれば、移転等による情報変更を一気に全部反映できる」

また、日本郵便の担当者いわく、店舗の営業時間(平日休日の通常営業時間のほか、年末年始やGWなどイレギュラーな営業時間も)、クレジットカードの使用可否、個室の有無、喫煙室の有無といった店舗固有の情報をビジネスデジタルアドレスに付帯し、APIで連携できるようにする構想もあります。そうすれば、インバウンドの旅行者がタクシーで7桁の英数字を見せるだけで、目的の店舗にスムーズにたどり着けるようになりますし、知りたい情報を一気に確認することができます。

3)高齢者対応 「書く」ストレスからの解放

法人に限った話ではありませんが、シーン別で言えば、高齢者にとってもうれしいという側面があります。郵便局の窓口では、住所の記入や入力が困難な高齢の方も少なくありません。7桁の英数字を書くか示すだけで済むようになれば、申込書や届出書の負担が大幅に軽減されます。

4 Salesforceとの連携もスタート

2025年5月26日に郵便番号とデジタルアドレスの両方を住所に復号できるAPIとして「郵便番号・デジタルアドレスAPI」がスタートしています。加えて、ビジネスデジタルアドレスのサービス開始と同日の2026年3月19日には、SalesforceのAppExchange上で「郵便番号・デジタルアドレス for Salesforce」の提供も始まりました。SFA・CRM上でビジネスデジタルアドレスや郵便番号を入力するだけで、住所・企業名・電話番号・法人番号などがレコードに直接反映できる仕組みです。すでにSalesforceを利用している中小企業であれば、AppExchange上のアプリを追加するだけで使えるようになります。

5 【補足】仕組みと既存の「番号系サービス」との違い

ビジネスデジタルアドレスは住所に紐付いたユニークな7桁の英数字です。個人向けは住所のみを紐付けるシンプルな仕組み(いわば「住所の短縮URL」)。法人向けのビジネスデジタルアドレスは、これに会社名・電話番号・URL・法人番号、さらに将来的には搬入口や受付の場所など様々な付帯情報が紐付けられるようになります。

補足情報として、マイナンバーや法人番号といった既存の番号系サービスとの比較をまとめてみました。

(図表)【マイナンバー、法人番号との比較】

項目 マイナンバー 法人番号 ビジネスデジタルアドレス
発行主体 国(J-LIS) 国(国税庁) 日本郵便
発番方法 自動発番 自動発番 ユーザーの申請に基づき発番
対象 住民票を持つ個人 設立登記法人等 法人・個人事業主 ※デジタルアドレスは個人でも取得できます。
主な用途 行政手続き・税・社会保障 行政の効率化・データ活用 配送・営業・顧客管理・民間取引
情報の柔軟性 固定 登記情報に基づく ユーザーが追加・更新可能
詳細地点情報 住所地まで 本店所在地まで 搬入口・受付の場所まで(拡張予定)

(出所:日本情報マート作成)

マイナンバーや法人番号と、ビジネスデジタルアドレスの最大の違いは、民間の経済活動に特化し、ユーザー(企業)自身が情報を更新できる「動的なインフラ」であることです。2026年6月時点では、プランは1社につき1つ無料で取得できる「フリープラン」がスタートしているほか、今後、複数アドレスが取得できる「ビジネスプラン」、好きな英数字を選べる「エンタープライズプラン」の2種類を追加でリリースする予定です。

6 住所の「主権」がユーザーにある世界線

インタビューの終盤、日本郵便の担当者から、印象的な「未来の概念」が語られました。住所の「ポータビリティ」と「主権」の話です。

「今回の住所のデジタル化は、電話の進化と似ています。昔は自宅の固定電話でしたが、今は携帯電話、スマホになってポータブルできている。デジタルアドレスは【住所のポータビリティ】みたいなもの。これまでの住所はもともと決められているもので、その中に自分がいる、という感覚。しかしデジタルアドレスは、個人や企業が7桁の英数字の所有権を持って、その所有権に対して住所を紐付けさせる。いわば主権が住所側ではなく、ユーザー側に来る、今までとはまったく違う世界です」

「主従の逆転」がここにあるといいます。

「役所や病院でも住所を書くケースはかなり多いです。住所は長かったり難しかったりする。見る側が読めないこともあります。それを、もう7桁の英数字を出せばそれで済むよねくらいの形に持っていきたいと思っています。

この仕組みの先行事例は、電子決済です。キャッシュレス(電子決済)が実現できるなんて、以前は想像もしなかったですが、今では電子決済が普通になっています。

ビジネスデジタルアドレスも社会全体で管理できる企業のユニークIDのような感じになっていって、他社との連携ができるオープンなソースになっていくと思っています。経済活動に貢献できるレベルまで持っていくのが理想です」

クレジットカードや電子マネー、QRコード決済が普及した今、現金一辺倒の生活には戻りにくくなっているように、ビジネスデジタルアドレスも同じ位置づけになり得るインフラだと日本郵便の担当者は語ります。

一方、ビジネスデジタルアドレスは、日本郵便への問い合わせ自体は増えているものの、まだ普及しはじめたばかりというのが実態です。自社も取引先も、ビジネスデジタルアドレスを取得して互いに7桁の英数字で管理し合えるのが望ましい姿です。

日本郵便が4年の歳月をかけて作り上げたこの仕組みは、2026年6月時点の今は、フリープランなら1社につき1つまで無料で取得できます。中小企業にとって、とても手軽、しかし確実なDXの第一歩になるのではないでしょうか。

【ご参考 ビジネスデジタルアドレス取得の流れ】

ビジネスデジタルアドレス取得の流れ

(出所:日本郵便のウェブサイトより)

7 住所の「デジタル化」における、日本郵便ならではのポイント

最後に、この「住所のデジタル化」について、日本郵便だからこそできたことを聞いてみました。コメントは次の通りです。

【デジタル化における日本郵便ならではのポイント】

住所は単なる文字列ではなく、「実際に荷物を届けるための社会インフラ」です。

日本郵便は、全国の住所・郵便番号データを長年運用し、日々の配送業務を通じて住所の変化や現場課題と向き合ってきました。

だからこそ、

  • 表記ゆれ
  • 同一住所問題
  • 搬入口が分からない
  • 新築や移転への追随
  • ベテラン依存

といった、現場で起きている“住所の不便”を深く理解した上で、設計できたのが特徴です。

単にコードを発番するだけではなく、「実際に届くこと」を前提に、住所と物流・企業活動をつなげている点が、日本郵便ならではだと考えています。

■法人向け ビジネスデジタルアドレスのサイト■
https://lp-biz.da.pf.japanpost.jp/
■個人向け デジタルアドレスのサイト■
https://lp.da.pf.japanpost.jp/

以上(2026年7月作成)

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画像:日本郵便

「うちは揉めない」が一番危険!事業承継における法的リスクと備え

事業承継とは、ただでさえ難しい事業の存続を成し遂げた経営者が、成功の果てに遭遇する最後の課題です。また、数代に亘り続く伝統企業においては、その歴史のバトンを未来へつなぐ一大事業(そしてそれは、その伝統企業の経営者にとっての実は最大の事業)でもあります。以下では、そんな「事業承継」について、具体的な論点と対処法とを考えてみることにしましょう。

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経歴詐称や犯罪歴の秘匿をした社員が入社してきたらどうする?

1 経歴詐称で入社してきた社員でも簡単には解雇できない

採用ではミスマッチがつきものですが、

「学歴・職歴」「健康状態」「犯罪歴・処分歴」などについて嘘をついたり、都合の悪い事実を隠したりして入社してくる社員

がいたら、さすがに見過ごすわけにはいきませんよね。

とはいえ、ちょっと理不尽に感じるかもしれませんが、いったん採用してしまうと、たとえ経歴を偽って入社した社員であっても、そう簡単には解雇できません。解雇が認められるのは、「解雇されても仕方ない」といえる程度に、客観的で合理的な理由があり、社会通念に照らして相当と判断される場合に限られるからです。

こうした「秘密を抱えた社員」には、次のように段階を踏んで対応していくことになります。

  • 面接の段階で見抜き、採用しない
  • 試用期間中に見抜き、本採用をしない
  • 本採用してしまった後は、配置転換などで雇用継続の道を探る
  • それでもダメなら解雇する

この記事では、上の4段階の対応について詳しく説明した後、「学歴・職歴」「健康状態」「犯罪歴・処分歴」といった秘密の内容に応じたポイントを紹介します。

2 秘密を抱えた社員への対応は4段階で考える

1)面接の段階で見抜き、採用しない

採用してから解雇するのはハードルが高いですが、採用する前であれば、会社には「採用の自由(誰を、どのような条件で採用するかの自由)」があります。ですから、面接の時点で求職者の秘密を見抜き、そもそも採用しないというのが、一番確実な対策です。

面接での質問の仕方次第で、「何か秘密を抱えていそうか」をある程度見極められる可能性があります。例えば「はい」「いいえ」で終わってしまう質問ではなく、求職者自身に説明してもらう質問を投げかけてみましょう。「○○の業務を担当することになったら、あなたは何ができますか?」と聞いて、じっくり答えてもらうのです。受け答えに違和感を覚えたら、その部分をさらに深掘りして、考え方や能力レベルを確認していきます。

2)試用期間中に見抜き、本採用をしない

採用の段階で秘密を見抜けなかった場合、次のチャンスは「試用期間」です。試用期間中に業務への適性などをしっかり確認し、社員として必要な能力が備わっていないと判断できれば、本採用を見送るという選択肢があります。

「本採用を見送る=解雇」ということにはなりますが、試用期間はもともと本採用前に適性を判断するための期間なので、本採用後に比べると解雇が認められやすい面があります。例えば実務経験を条件に採用した場合は、面接の時点で担当できる業務とその遂行力を確認した上で、試用期間中に実際にこなせているかをチェックします。その上で、面談時点で想定していた能力等がないと判断すれば、本採用の拒否を検討することになります。

なお、試用期間満了に伴う本採用拒否は「退職に関する定め」に当たるため、就業規則などに「試用期間中に不適当と認めた者は、解雇することがある」といった規定をあらかじめ設けておきましょう。

3)本採用してしまった後は、配置転換などで雇用継続の道を探る

本採用した後に秘密が発覚した場合は、やはり簡単には解雇できません。例えば、ドライバーとして採用した社員に、本採用後、運転に支障が出る病気が見つかり、運転を任せるのが難しいと分かったようなケースでは、まずは別の仕事への配置転換を検討するなど、雇用を継続する方向で対応していくのが基本です。

なお、配置転換をするためには、就業規則などに「業務上の必要がある場合には、配置転換を命ずることができる」といった規定を定めていることが前提になります。

4)それでもダメなら解雇する

配置転換などを試みても社員が力を発揮できない場合、ここでようやく解雇を検討する段階に入ります。解雇には、能力不足などを理由とする「普通解雇」と、詐称や秘匿へのペナルティ(懲戒処分)としての「諭旨解雇・懲戒解雇」があります。

とはいえ、会社は、自由に解雇できるわけではありません。

  • 客観的に合理的な理由がある
  • 社会通念上相当と認められる

という2つの要件を満たさなければ、解雇は無効になってしまいます。一般的には、実務上、解雇が有効と認められるハードルは高いですが、3)の段階で雇用継続の道をきちんと探っていれば、万が一解雇後に社員とトラブルになっても、会社側が解雇の要件を満たしていると認められる可能性は高まります。

3 学歴・職歴に秘密がある社員の対処

1)会社にどのような影響がある?

学歴・職歴の詐称や秘匿には、例えばこんなケースが当てはまります。

  • 最終学歴が高卒なのに、大卒であると嘘をつく
  • 資格者でないのに、資格者であると嘘をつく
  • 前の会社に在籍していた期間を、実態よりも長く偽る

専門知識が必要な業務に就かせる予定がある、あるいは将来的にそうした業務を任せたいと考えて採用する場合、学歴・職歴は重要な判断材料になります。ですから、そこに詐称や秘匿があると、会社が描いていた計画が狂いかねません。

2)入社前の段階で秘密を見つけ出すには?

求職者に求める能力の水準がはっきりしているなら、知識や教養、技術力を確認できるテストを実施するのも一つの方法です。よく知られているのは、語彙力・読解力・計算力といった基礎的な能力を測る「SPI」です。特定の資格が必要な業務を任せる予定があるなら、その資格試験の過去問を解いてもらうのもいいでしょう。

また、履歴書と他の書類を突き合わせて学歴・職歴を確認する方法もあります。例えば雇用保険被保険者証には前職での被保険者資格取得日が、源泉徴収票には前職の会社名や年収などが記載されているので、詐称や秘匿がないかをチェックする材料になります。

さらに、内定を通知する段階で、提出書類や面接での説明内容に嘘がないことを求職者自身に確認してもらう「誓約書」を取得しておく方法も効果的です。誓約書には、内定から入社までの間に会社が経歴確認(リファレンスチェック)を行うことへの同意も盛り込んでおくと、後で詐称が発覚した際、内定取消しや本採用拒否を含む解雇を裏付ける事実関係を収集しやすくなる可能性もあります。

3)採用してしまったら?

学歴・職歴を詐称した社員を解雇し、会社と社員が争いになった裁判例(大阪地裁平成6年9月16日決定)では、次のような理由から解雇は有効と判断されました。

  • 学歴の詐称については、会社が過去に高卒未満の学歴の人も採用していて、学歴重視で採用活動をしていたとまでは言えないため、就業規則にある「重要な経歴を偽り採用された場合」には当たらない
  • 職歴の詐称については、採否や適性の判断を誤らせるものなので、就業規則にある「重要な経歴を偽り採用された場合」に当たる

また、労働者派遣事業を営む会社が、「経営コンサルタント業務の経験がある」と職歴を偽って入社した社員を解雇し、争いになった裁判例(東京地裁平成22年11月10日判決)では、

仮に本当のことを話していたら会社が雇用しなかっただろうと認められる場合は、会社に具体的な損害がなくても「重要な経歴を偽り採用された場合」に当たる

として、解雇は有効と判断されました。

さらに、中途採用の選考で、過去にトラブルがあった前職2社での在籍実績や離職の経緯を記載しなかった社員について、会社が内定を取り消した裁判例(東京地裁令和6年7月18日判決)では、

中途採用では、前職でのトラブルや短期離職の事実は、業務遂行能力や従業員としての適格性を評価する上で重要な判断材料であり、会社がその事実を把握していれば採用しなかった可能性が高い

として、解雇は有効と判断されました。

学歴・職歴の詐称や秘匿が解雇の理由になるかどうかは、会社のこれまでの採用実績や、詐称・秘匿が業務や会社の秩序にどれくらい影響を与えるかなどによって判断されるようです。

4 健康状態に秘密がある社員の対処

1)会社にどのような影響があるか?

病気などの詐称や秘匿には、例えばこんなケースが当てはまります。

  • 病気にかかっているのにそれを隠す、あるいは「治った」と嘘をつく
  • 特定の業務を控えるよう医師に言われているのに、それを隠す

会社は社員の健康状態を踏まえて担当業務を決めるので、病気などについて詐称や秘匿があると、予定通りに人員を配置できなくなる恐れがあります。

2)入社前の段階で秘密を見つけ出すには?

健康状態が業務に大きく影響する場合は、面接で求職者に健康状態を確認しますが、質問できるのはあくまで業務への適性を判断するために真に必要な範囲にとどまります。また、病歴は「要配慮個人情報」という、扱いに特に注意が必要な個人情報なので、取り扱いは慎重に行いましょう。

3)採用してしまったら?

ガソリンスタンドなどを経営する会社が、視力障害を隠して入社し、重機運転手の業務に就いた社員を解雇し、争いになった裁判例(札幌高裁平成18年5月11日判決)では、

視力障害は社員の総合的な健康状態に影響するレベルのものではなく、重機運転手として不適格とまではいえないこと

に照らし、解雇は無効と判断されました。

病気などの詐称や秘匿が解雇の理由になるかどうかは、それが社員の心身の安全や業務にどれくらい影響を与えるかによって判断されるようです。

5 犯罪歴・処分歴に秘密がある社員の対処

1)会社にどのような影響があるか?

犯罪歴・処分歴の詐称や秘匿には、例えばこんなケースが当てはまります。

  • 過去に犯罪を行って刑罰を受けたのに、そのような事実はないと嘘をつく
  • 前職で不祥事による懲戒解雇を受けたことについて、その事実を秘匿する

過去に犯罪を行っていたとしても、更生していれば業務に支障はないかもしれません。ただ、周りの社員は不安に感じることもあるでしょう。

2)入社前の段階で秘密を見つけ出すには?

犯罪歴の詐称や秘匿を防ぐために、求職者には賞罰欄のある履歴書を提出してもらいましょう。賞罰の「罰」とは「一般に確定した有罪判決(前科)」のことで、会社から特に言及しない限り、起訴猶予事案などの犯罪歴(前歴)は含まれません。賞罰欄のある履歴書を指定すれば、求職者は少なくとも前科について会社に申告する義務が生じます。

ただし、古い前科について申告を求める際は注意が必要です。過去に強盗罪で懲役刑を受けたことなど、前科・前歴を採用時に申告しなかった社員を解雇し、会社と社員が争いになった裁判例(仙台地裁昭和60年9月19日判決)で、次のように判断されているからです。

  • 履歴書の中に賞罰欄がある場合、求職者は真実を記載しなければならない
  • ただし、刑法第34条の2(注)により刑が消滅した前科については、特段の事情(前科が労働力の評価に重大な影響を及ぼすなど)がない限り、労働者に告知する義務はない

(注)刑法第34条の2では、拘禁刑以上の刑の執行が終わって10年が経過した場合などは、刑の言い渡しは効力を失う(法律上は刑を受けたことがないものとして扱われる)とされています。

この他、犯罪歴・処分歴の詐称や秘匿を見つける方法としては、身元保証書や退職証明書を提出してもらうことも考えられます。

身元保証書は、求職者が入社後に本人の故意や重大な過失で会社に損害を与えた場合、本人と身元保証人が連帯して責任を負うという書類です。犯罪歴・処分歴に限らず、過去に何らかの問題があった求職者は身元保証人を見つけにくいため、提出をためらうこともあります。

退職証明書は、前職を退職したことを証明する書類です。退職理由が記載されているため、懲戒解雇を隠していないかを確認する材料になります。

3)採用してしまったら?

2)の裁判例では、履歴書の賞罰欄に犯罪歴を記載しなかったことが争点となりましたが、

社員の犯罪歴はすでに刑が消滅したもので、こうした前科に会社が言及することは、労働者の更生を妨げかねない

として、解雇は無効と判断されました。

これを踏まえると、会社に求められているのは、犯罪歴・処分歴ではなく、社員の「今の」就業態度や能力によって処遇を決めることだと言えるでしょう。

なお、犯罪の経歴(前科や犯罪行為をした事実)や、本人が被疑者・被告人として刑事事件の手続きを受けたことなどは「要配慮個人情報」に当たります。前述の病歴などと同じく、取り扱いには細心の注意を払いましょう。

以上(2026年8月更新)
(監修 TMI総合法律事務所 弁護士 池田絹助)

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あなたの会社も対象に!? 社会保険適用拡大で変わるパート・アルバイトへの影響

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その福利厚生、まさか誰も使っていない!? 採用難時代を乗り切る福利厚生制度と助成金

福利厚生は、何のために導入するのでしょうか。会社は何か、仕事にプラスになることを期待していると思います。しかし、会社が意味を感じている制度と、従業員がありがたみを実感する制度。この二つは、しばしばすれ違います。

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人材育成・社員の定着を支援 キャリア形成・リスキリング推進事業の紹介

労働者を取り巻く環境が急速に変化し、職業人生の長期化・多様化が進むなかで、必要とされるスキルや労働需要の変化に対応しながら、自らのキャリア形成を図っていくリスキリングの取組みが重要性を増しています。厚生労働省では、リスキリングの重要性・必要性についての理解を広げるとともに、労働者がキャリアコンサルティングを受ける機会の提供や、従業員のキャリア形成支援に取り組む企業等への支援を推進しています。

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【税の勘所】押さえておきたい経営者のための税金の境界線(パーセンテージ編)

1 押さえておきたい税金の「パーセンテージ」

税金には、意識すべき数字(パーセンテージ)があります。例えば、

  • 55%、45%、15%
  • 95%未満

などです。これらは単なる数字ではありません。税金の種類ごとの最高税率や消費税の負担、税制優遇を受ける際の税率を表す重要な境界線です。

この記事では、中小企業経営者が押さえておくべき主な税金(法人税・所得税・消費税・相続税・贈与税)に関する「パーセンテージ」を整理します。

押さえておきたい税金の数字~パーセンテージ編~

2 95%未満:消費税

95%未満は、消費税の仕入税額控除が一部できなくなる課税売上割合です。

課税売上割合とは、全体の売上高のうち、課税売上高(消費税が課される売上高)が占める割合で、消費税の仕入税額控除の計算などに使用されます。消費税の仕入税額控除の計算方法には、

  • 全額控除方式:課税仕入れ等に係る消費税額の全額を控除
  • 個別対応方式:課税仕入れ等に係る消費税額の一部を控除
  • 一括比例配分方式:課税仕入れ等に係る消費税額の一部を控除

の3つがあります。

全額控除方式を適用することができるのは、課税期間における課税売上割合が95%以上で、かつ課税売上高が5億円以下の事業者に限られます。そのため、課税期間における課税売上割合が95%未満の場合、または課税売上高が5億円超の場合は、個別対応方式か一括比例配分方式のいずれかを利用することになり、課税仕入れ等に係る消費税額が一部控除できなくなります。

3 55%:相続税、贈与税

55%は、相続税と贈与税の最高税率です。

1)【相続税】相続税の最高税率

相続税の税率は、次の通り8段階に区分されており、最高税率は55%です。

相続税の税率

2)【贈与税】贈与税の最高税率

2015年以降の贈与税の税率は、次の通り「一般贈与財産」と「特例贈与財産」に区分されましたが、いずれのケースも8段階に区分されており、最高税率は55%です。

贈与税の税率

4 45%:所得税

45%は、所得税の最高税率です。

所得税の税率は、分離課税(株式等の譲渡で生じた所得などと、他の所得を分離して計算)に対するものなどを除くと、次の通り7段階に区分されており、最高税率は45%です。

所得税の税率

5 30.64%:法人税

30.64%は、法人実効税率(外形標準課税適用法人)です。

法人実効税率とは、法人税だけでなく、地方法人税、法人住民税、法人事業税の税率を考慮した、実際に法人が負担する税率です。法人実効税率は次の算式で計算されます。

法人実効税率の計算式

標準税率を適用した場合の今後の法人実効税率は次の通りとなります。

法人実効税率の推移

6 15%(17%または19%):法人税

15%(17%または19%)は、法人税の軽減税率です。

普通法人で資本金が1億円以下の法人(中小法人)の場合、年800万円以下の所得金額部分については、通常よりも低い税率(軽減税率)が適用されます。ただし、資本金が1億円以下でも、資本金が5億円以上の法人と完全支配関係にある場合、軽減税率が適用されません。

法人税の税率と軽減税率

以上(2026年8月更新)
(監修 税理士法人アイ・タックス 税理士 山田誠一朗)

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【税の勘所】押さえておきたい経営者のための税金の境界線(金額編)

1 押さえておきたい税金の「金額」

税金には、超えてはいけない、または活用すべき数字(金額)があります。例えば、

  • 売上1000万円
  • 売上5000万円
  • 所得800万円
  • 資本金1億円

などです。これらは単なる数字ではありません。消費税の負担や税制優遇の適用可否を左右する重要な境界線です。

この記事では、中小企業経営者が押さえておくべき主な税金(法人税・所得税・消費税・相続税・贈与税)に関する「金額」を整理します。

押さえておくべき主な税金

2 5億円超:消費税

5億円超は、消費税で一部の仕入税額控除が認められなくなる課税売上高です。

消費税の納税額は次のように計算されます(簡易課税制度の場合を除く)。

消費税の納税額

課税売上げに係る消費税額から、課税仕入れ等に係る消費税額を差し引くことを仕入税額控除といいます。消費税の仕入税額控除の計算方法には、

  • 全額控除方式:課税仕入れ等に係る消費税額の全額を控除
  • 個別対応方式:課税仕入れ等に係る消費税額の一部を控除
  • 一括比例配分方式:課税仕入れ等に係る消費税額の一部を控除

の3つがあり、全額控除方式を利用できるのは、

課税期間における課税売上割合が95%以上で、かつ課税売上高が5億円以下の事業者

に限られます。課税売上割合とは、全体の売上高のうち、課税売上高(消費税が課される売上高)が占める割合です。

そのため、課税期間における課税売上割合が95%未満の場合、または課税売上高が5億円超の場合は、個別対応方式または一括比例配分方式のいずれかを利用することになり、課税仕入れ等に係る消費税額が一部控除できなくなります。

3 1億6000万円:相続税

1億6000万円は、配偶者に相続税がかからない取得財産の金額です。

配偶者が財産を相続する場合、同一世代間における財産の移転の場合が多いことや、配偶者は被相続人の遺産形成に貢献していること、また、被相続人が死亡した後の配偶者の生活水準を保つなどの理由から、相続税を軽減する措置が設けられています。

そのため、配偶者が財産を相続した場合、その財産の額が次のいずれか多い金額までは配偶者に相続税はかかりません。

  • 1億6000万円
  • 配偶者の法定相続分相当額(相続人が配偶者と子の場合は、遺産の2分の1相当額)

4 1億円以下:法人税

1億円以下は、法人税の優遇措置を利用できる中小企業者等の判定に関する金額です。

法人税には、中小企業者等が利用できるさまざまな優遇措置があります。主な優遇措置は次の通りで、いずれも資本金が1億円以下でなければ利用できません。

  • 法人税の軽減税率
  • 交際費等の損金不算入制度における定額控除限度額(年800万円)
  • 欠損金の繰越控除
  • 欠損金の繰戻還付
  • 貸倒引当金の法定繰入率
  • 特定同族会社における留保金課税の不適用
  • 少額減価償却資産の取得価額の損金算入
  • 賃上げ促進税制(中小企業向け)の適用

ただし、注意点があります。上記1.~6.は、資本金が1億円以下でも、資本金が5億円以上の法人と完全支配関係にある場合は利用できません。

また、上記7.~8.については、資本金が1億円以下でも、大規模法人に発行済株式の2分の1以上を所有されている場合、または2以上の大規模法人に発行済株式の3分の2以上を所有されている場合などは利用できません。なお、大規模法人とは、資本金が1億円を超える法人、資本もしくは出資を有しない法人のうち、常時使用する従業員の数が1000人を超える法人、又は大法人(資本金が5億円以上である法人)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人をいいます。

5 5000万円以下:消費税

5000万円以下は、消費税の「簡易課税制度」が選択できる課税売上高です。

簡易課税制度は、事業の種類に応じ、課税売上高に一定割合を乗じて仕入税額控除を計算する方法で、

小規模事業者だけ

が利用できます。原則的な消費税の計算方法は複雑なので、簡易課税制度で小規模事業者の負担を軽減しています。簡易課税制度は、基準期間の課税売上高が5000万円以下で、「消費税簡易課税制度選択届出書」を事前に提出している事業者が利用できます。

6 2000万円超:所得税(確定申告)

2000万円超は、所得税の確定申告をしなければならない給与の年間収入です。

給与所得者は年末調整をするので、ほとんどの人は確定申告をする必要はありません。しかし、当該給与所得以外にも所得がある場合や給与の年間収入金額が2000万円を超える場合は、年末調整の対象外となるので、自身で所得税の確定申告をしなければなりません。

7 2000万円超:所得税(住宅ローン控除)

2000万円超は、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)が受けられない合計所得金額です。

住宅借入金等特別控除とは、個人が住宅ローンを利用して、マイホームの取得や増改築した場合に、その住宅ローンの年末残高を基に計算した一定額を住み始めた年分以後の各年分の所得税額から控除できる制度です。住宅借入金等特別控除は、適用する年の合計所得金額が2000万円を超える年分については対象外となります。

8 2000万円以下:贈与税

2000万円以下は、住宅取得資金贈与を受けるための受贈者の要件の1つとなる金額です。

投資や賃貸用ではなく、自身の住宅を取得するため、直系尊属である父母や祖父母などから贈与により金銭を取得した場合、一定の金額までは贈与税がかかりません。この特例を受けるには、贈与を受けた年の受贈者(贈与を受ける人)の合計所得金額が原則2000万円以下であるなどの要件を満たす必要があります。

9 1000万円以下:消費税

1000万円以下は、消費税の納税義務が免除される基準期間の課税売上高です。

事業者は、国内において行った資産の譲渡や貸付け、役務の提供について、消費税を納めなければなりません。ただし、基準期間の課税売上高が1000万円以下の場合、一定の場合を除き、消費税の納税義務が免除されます。

10 1000万円未満:消費税

1000万円未満は、基準期間が無い場合に消費税の納税義務が免除される資本金の額です。

新規に設立された法人は基準期間がありません。そのため、その事業年度開始の日における資本金が1000万円未満なら、一定の場合を除き、消費税の納税義務が免除されます。

11 850万円超:所得税

850万円超は、所得税の給与所得控除の上限となる収入金額(195万円控除)です。

給与所得の金額は、給与等の収入金額から給与所得控除額を差し引いて計算し、上限は195万円です。

給与所得控除額

12 800万円:法人税

800万円は、中小法人における交際費等の損金算入限度額の1つとなる金額です。

原則として交際費等は損金算入できませんが、資本金が1億円以下の法人(中小法人)は、特例として、年800万円(定額控除限度額)まで交際費等を損金算入できます。ただし、資本金が1億円以下でも、資本金が5億円以上の法人と完全支配関係にある場合は対象外です。

なお、交際費等のうち、接待飲食の費用の50%相当額は損金算入できるので、年800万円と比較して有利なほうを選択しましょう。

13 800万円以下:法人税

800万円以下は、中小法人が法人税の軽減税率を受けられる所得金額です。

普通法人の場合、各事業年度に適用される税率は次の通りです。中小法人の場合、年800万円以下の所得金額部分については、通常よりも低い税率(軽減税率)が適用されます。ただし、資本金が1億円以下でも、資本金が5億円以上の法人と完全支配関係にある場合、軽減税率が適用されません。

法人税の軽減税率

14 300万円以下:法人税

300万円以下は、中小企業者等が40万円未満の減価償却資産を全額損金算入できる限度額です。

中小企業者等が、取得価額が40万円未満である少額減価償却資産を取得した場合、取得価額の全額を損金算入できます。ただし、1事業年度に損金算入できる限度は300万円以下です。事業年度が1年未満の場合は、月数で按分します。

15 110万円以下:贈与税、相続税

110万円以下は、贈与税(暦年課税)および相続時精算課税の基礎控除額です。

贈与税は個人が個人から財産をもらったときに課される税金ですが、個人がその年の1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計が110万円以下なら贈与税はかかりません。これを「基礎控除」といいます。基礎控除は、贈与をした人ごとではなく、贈与を受けた人ごとに1年間で110万円となります。なお、死亡日以前7年間(2023年12月31日以前の贈与については3年間)の分については、基礎控除分であっても、相続財産に加えることになっており、相続税の対象になります。

また、2024年1月以降は、相続時精算課税(贈与税については2500万円までの特別控除が受けられるが、贈与した財産については相続時にまとめて相続税が課せられる制度)の適用を選択した場合でも、毎年110万円の基礎控除が設けられるようになりました。以前は、相続時に生前贈与した財産の全額が相続税の課税対象となっていましたが、2024年1月以降の贈与については、毎年110万円を控除した残額の合計が相続税の課税対象となります。

16 1万円以下:法人税

1万円以下は、交際費等から除かれる一定の飲食代の1人当たりの金額です。

飲食等の費用のうち、1人1万円以下までなら損金算入できます。1万円の判定は、法人が適用している消費税等の経理処理(税抜経理方式または税込経理方式)に応じて行われます。

なお、経営者や社員、その親族の接待で使った飲食代は、1万円以下でも損金算入できません。

以上(2026年8月更新)
(監修 税理士法人アイ・タックス 税理士 山田誠一朗)

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