制度があっても女性が辞めてしまうのはなぜ?/大門あゆみ弁護士の女性活躍ナビ(2)

1 その配慮は違法かもしれない

「女性の活躍推進」が叫ばれて久しいですが、多くの経営者がその重要性を認識し、様々な取り組みを進めていることでしょう。しかし、良かれと思って行った配慮が、実は法律に抵触し、女性のキャリアアップを阻む「落とし穴」になっているケースが少なくありません。例えば、

  • 「女性は家庭との両立が大変だろう」と責任の重い業務から外す
  • 「育児中の女性に転勤は酷だ」と本人の意向を確認せずに配置を決める

といった具合です。こうした一見「配慮」に見える行為が、実は差別(男女雇用機会均等法違反)と見なされるリスクをはらんでいるのです。

今回は、経営者が知らず知らずのうちに陥りがちな法的な落とし穴と、真に女性が活躍できる職場環境を構築するためのポイントを解説します。

2 男女雇用機会均等法違反のリスクと「無意識の偏見」

男女雇用機会均等法は、労働者が性別によって差別されることなく、その能力を十分に発揮できる職場環境の整備を目的としています。具体的には、募集・採用、配置、雇用形態の変更、昇進、降格、教育訓練、退職・解雇など、雇用管理のあらゆる段階で性別を理由とする差別を禁止しています。

これに違反する企業の措置は無効とされたり、不法行為として損害賠償請求の対象となったりする可能性があります。さらに、厚生労働大臣からの報告要求に虚偽の報告をすれば過料が科されます。また、厚生労働大臣からの助言・指導・勧告に従わない場合、厚生労働省ウェブサイトで企業名が公表されることもあり、そうなれば企業の社会的信用は大きく損なわれます。

問題なのは、

多くの差別が「意図せず」に行われている点です。その背景には、「無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)」

があります。例えば、

  • 管理職は男性の仕事
  • 女性には補助的業務が向いている

といった固定的な性別役割分担意識がそうで、こうした意識が評価や登用の機会に影響を与えているのです。実際に、コース別人事制度を導入した企業で、

総合職が全員男性、一般職が全員女性という運用実態から、女性に対する差別的な取り扱いが問題視され、裁判で違法と判断されたケース

もあります。

また、あるIT企業が開発したAI採用システムが、過去の応募者データ(ほとんどが男性)を学習した結果、女性を差別する判定を下すようになった事例があり、データに基づいた客観的な判断でさえも、元となる環境に偏りがあれば差別を生み出してしまう危険があります。

3 ハラスメント防止と「女性が辞めない職場づくり」

ハラスメントは、個人の尊厳を傷つけるだけでなく、被害者の休職や退職、職場全体の意欲や生産性の低下を招き、最終的には企業の貴重な人材の喪失と社会的信用の失墜につながる、極めて重大な経営リスクです。特に、セクシュアルハラスメントや、妊娠・出産・育児休業などを理由とするハラスメント(マタニティハラスメント等)は、女性が安心して働き続ける上で深刻な障壁となります。

セクハラ、パワハラといったハラスメントについて、法(男女雇用機会均等法、労働施策総合推進法)および厚生労働省の指針は、事業主に対し、職場におけるハラスメントを防止するため、以下の雇用管理上の措置を講じなければならないとしています。中小企業の経営者であっても、以下の対応が必要となります。

1)方針の明確化と周知・啓発

トップが「ハラスメントは断じて許さない」という明確なメッセージを発信し、社内報やポスター、研修などを通じて全社員に徹底します。経営者が直接語りかけることが、中小企業では特に高い効果を持ちます。

2)相談窓口の設置

社員が安心して相談できる窓口を設置し、その存在を周知します。プライバシー保護への配慮も必要です。

3)厳正な対処・再発防止

職場におけるハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応など、ハラスメントの相談があったときは、速やかに事実確認をし、被害者への配慮、行為者への処分等の措置を行い、改めて職場全体に対して再発防止のための措置を行います。

4)不利益な取扱いの禁止

相談者・行為者のプライバシーを保護するための必要な措置や相談したこと等を理由とする解雇その他不利益な取扱いをされない旨を就業規則等で定めます。

4 まとめ―「知らなかった」では済まされない時代に―

女性活躍を阻む差別やハラスメントは、「知らなかった」「そんなつもりはなかった」という言い訳が通用しない、重大なコンプライアンス違反です。ひとたび問題が顕在化すれば、損害賠償や行政処分といった直接的なコストだけでなく、企業の評判やブランドイメージの低下という、事業の存続を揺るがしかねない間接的な損害をもたらします。

重要なのは、制度を「作る」だけでなく、「機能させる」ことです。就業規則に立派な規定を盛り込んでも、社員が読んでいなければ意味がありません。相談窓口を設置しても、形骸化していては誰も利用しません。経営者は、制度が適切に運用されているか、現場の実態を定期的に確認する必要があります。例えば、管理職へのヒアリングを通じて実態を把握したり、ハラスメント研修を定期的に実施したりすることが有効です。また、単に「支援する」という掛け声だけでなく、育児中の社員がいる部署の人員を補充するなど、具体的な業務改善策を伴わせることが、制度を実質的なものにします。

経営トップ自らが強い意志を持って差別やハラスメントの根絶を訴え続け、制度の構築とその実効性ある運用の両輪を回していくこと。それこそが、多様な人材が定着し、企業の持続的な成長を支える「本当に強い職場」をつくるための鍵となるのです。

以上(2025年11月作成)
(執筆 法律事務所UNSEEN 弁護士 大門あゆみ)

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画像:法律事務所UNSEEN 弁護士 大門あゆみ

お金のやり取りがなくても税金が? 「みなし贈与」の落とし穴

1 「みなし贈与」とは何か?

通常の贈与は、一方が財産をあげて、もう一方が財産をもらうという当事者間の合意によって行われるやり取りをいいます。ただし、税金面では、

当事者間の合意がなくても「実質的に財産をタダまたは格安でもらった」とみなされて課税される

ケースがあります。これが「みなし贈与」です。重要な点は、当事者の「意図」ではなく、取引の「経済的な実態」に焦点が当てられることです。

みなし贈与は当事者間に「贈与のつもりがない」ケースが多く、税務調査で指摘されるまでその存在に気づかず、予期せぬ追徴課税が発生してしまうことがあります。取引の種類によっては追徴課税が多額になり、会社の経営を圧迫する事態に陥るケースもあります。

2 なぜ会社にとって重要なのか?

贈与と聞くと、個人間の取引をイメージする人が多いかもしれませんが、実は「みなし贈与」は個人と会社の間、あるいは関連会社間の取引においても広く適用されます。

中小企業では、経営者個人の資産と会社の資産が密接に関わっていたり、資金繰りの都合で関連会社間で融通し合ったりすることが少なくありません。例えば、次のような取引も見受けられます。

  • 創業者が会社の資金繰りを助けるために個人資産(土地や建物など)を安く譲渡する
  • 長年、社長個人が会社に貸し付けていた債務を免除する
  • グループ会社間でサービスを無償で提供する
  • 個人資産を会社に(第三者との取引に比べて)低価格で貸し付ける

いずれも会社を存続させたり、事業を円滑に運営したりするための「良かれと思って」の行為なのですが、こうした行為が税務上は「経済的な利益をタダで、または低額で渡された」とみなされてしまうのです。ちなみに、みなし贈与と呼びますが、贈与税が課されるわけではありません。みなし贈与は経済的な利益を受け取った側の所得となり、

  • 会社が利益を受け取った場合は法人税など
  • 個人が利益を受け取った場合は所得税など

が課されます。

3 会社で起こり得る「みなし贈与」の具体的なケース

1)会社への資産の低額譲渡

株主や役員、あるいは関連会社が、土地、建物、株式、知的財産などの資産を、その市場価格よりも著しく低い価格で会社に売却した場合に発生します。会社が市場価格と比べて安く資産を取得できた場合、その差額が会社にとっての経済的な利益「受贈益」とみなされます。

例えば、社長が個人的に所有する土地(市場価格5000万円)を、自身の会社に1000万円で売却したとします。この場合、会社は4000万円の経済的利益を得たことになり、この4000万円が受贈益として会社の利益に加算され、法人税の課税対象となります。

2)会社への債務免除

株主や役員、あるいは関連会社が、会社が負っている債務を免除した場合に発生します。債務が免除されると、会社は返済義務がなくなるため、その分だけ負債が減少し、会社の財務状況が改善されます。この債務の減少分が会社にとっての経済的な利益「債務免除益」とみなされます。

例えば、創業者個人が資金繰りに苦しむ会社に3000万円を貸し付け、後にその3000万円を会社の経営改善のために全額免除したとします。この場合、3000万円は債務免除益として扱われ、法人税の課税対象となります。

3)個人への債務免除

会社が、役員、従業員、または株主が会社に対して負っている債務を免除した場合に発生します。債務が免除されることで、個人は返済義務から解放され、その分だけ経済的な利益を得たとみなされます。

例えば、会社が従業員に500万円の社内融資を貸し付け、後にその従業員の功績をたたえて免除したとします。この場合、500万円は従業員にとって経済的な利益となり、所得税の課税対象となります。

4)個人への資産の低額譲渡・無償供与

会社が、役員、従業員などに対して、会社所有の資産(社用車、不動産、製品など)を市場価格よりも著しく低い価格で売却したり、あるいは無償で提供したりした場合に発生します。この場合、資産を受け取った個人が経済的な利益を得たとみなされます。

例えば、会社が所有する市場価格4000万円のマンションを、役員の1人に1000万円で売却したとします。この場合、役員は3000万円の経済的利益を得たことになり、この3000万円が役員の所得として、所得税の課税対象となります。

5)無償で役務提供

会社が個人や関連会社にサービスを無償で提供したり、逆に個人が会社に重要なサービスを無償で提供したりした場合も、「みなし贈与」の対象となる可能性があります。

例えば、役員が個人で別途経営する個人事業会社が会社から報酬を受け取らずに、市場価値に見合うような経営サービス(本来、委託手数料などが発生する業務)を提供し続けた場合などが考えられます。この場合、その役務の対価相当額が、役員への報酬として認定されたり、会社への寄付金とみなされたりして、法人税の課税対象となることがあります。

4 「みなし贈与」で損をしないための実践的対策

1)取引は必ず「時価」で行う

「みなし贈与」の課税は、原則として市場価値などの時価と実際の取引価額の差額に対して行われます。従って、この差額を発生させないことが、みなし贈与を回避する最も基本的で、最も重要な対策となります。

あらゆる資産(土地、建物、株式、機械設備、知的財産など)の譲渡、サービスの提供、貸付金の利息設定など、会社と株主、役員、従業員、あるいは関連会社との間で行われる全ての取引において、「時価」を意識し、その時価に基づいた適正な対価を設定することが大切です。

特に、不動産や非上場株式など、時価の算定が難しい資産については、専門家(不動産鑑定士、税理士など)による評価を事前に取得し、その評価額に基づいて取引を行うようにしましょう。評価の過程と結果は、税務調査に備えて詳細に文書化しておくことも大切です。

2)関連会社間取引の厳格化

複数の会社を経営している場合や、グループ会社が存在する場合、関連会社間での資金や資産、サービスのやり取りは頻繁に発生します。これらの取引も「みなし贈与」の対象となり得るため、第三者との取引と同様に厳格さをもって管理する必要があります。

具体的には、関連会社間であっても、全ての取引について正式な契約書を作成し、詳細な請求書を発行し、市場価格に基づいた適正な価格設定を行うようにしましょう。

3)債務免除は慎重に

会社が資金繰りに窮した際、株主や役員が会社への貸付金を免除することは、会社を救うための有効な手段となり得ます。しかし、前述の通り、これは会社にとって「債務免除益」となり、法人税の課税対象となります。

債務免除を検討する際には、その税務上の影響を十分に理解し、代替案も検討することが重要です。例えば、債務を株式に転換する「デット・エクイティ・スワップ(DES)」など、税務上より有利な選択肢がないかを、事前に税理士などの専門家と相談するようにしましょう。

4)役員・従業員への利益供与は適正に

会社が役員や従業員に対して、福利厚生やインセンティブとして経済的な利益を供与する場合も、曖昧な形で行うのではなく、その性質を明確にし、給与や賞与、あるいは適正な福利厚生費として適切に会計処理し、個人の所得税申告に正確に反映させるよう、本人への周知も忘れずに行いましょう。

5)専門家への早期相談

最も実践的で効果的な対策は、複雑な取引や関連会社間の取引を行う前に、必ず税理士や弁護士などの専門家に相談することです。

専門家であれば、「みなし贈与」のリスクを事前に特定し、時価の適切な算定方法についてアドバイスし、税務上最も効率的でリスクの低い取引スキームを提案することができます。また、万が一税務調査が入った場合でも、専門家の助言を受けて行った取引であれば、その正当性を主張しやすくなります。

以上(2025年10月作成)
(監修 税理士 谷澤佳彦)

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画像:ChatGPT

【かんたん消費税(2)】対応しないと損をする「インボイス制度」を今一度確認しよう

1 インボイス制度の影響

「インボイス(正式名称は「適格請求書」)制度」とは、

適用される税率や消費税額を請求書にきちんと記載し、適切に相手に知らせる

というものです。経営者が知っておくべきポイントは、

こちらがインボイス制度に対応しないと、取引相手で仕入税額控除が受けられず、取引先の消費税負担が重くなってしまうことです。これとは反対に、取引相手がインボイス制度に対応しないと、自社が損をする

ことになります。

インボイスには「適格請求書発行事業者の登録番号」を記載しますが、登録番号は自動的に発行されるものではなく、

適格請求書発行事業者の登録申請が必要

です。登録には、申請書を税務署に提出し、通知を受けます。登録番号の通知が来るまでに2週間~1カ月程度の時間がかかります。申請書を1枚提出すればよいだけの簡単な手続きなので、必要な場合には今すぐ申請しておきましょう。

2 インボイスが発行できるのは「課税事業者」のみ

適格請求書発行事業者の登録申請は、消費税の「課税事業者(納税義務がある事業者)」しかできません。もし貴社が「免税事業者(納税義務がない事業者)」であれば、

課税事業者になり、登録申請するか否かを検討

しなければなりません。免税事業者が課税事業者になると、確定申告の手間が増えます。また、納税額が増えることもあるので、税理士などに相談して慎重に判断しましょう。

3 経理の業務を売手側と仕入側で整理

1)売手側の場合

商品等を販売した相手先から求められた際は、

消費税法で決まっている項目を記載したインボイスを交付すると同時に、その写しを保存

しなければなりません。

インボイスにはどの請求書にも記載されている事項(貴社の社名や取引日、取引金額など)に加え、

  • 税率ごとの対価の合計額(税込または税抜)
  • 税率ごとの消費税額および適用税率
  • 適格請求書発行事業者の登録番号

などを記載しなければなりません。つまり、

インボイス制度に対応したフォーマットを作成する

必要があります。例えば、次のようなフォーマットです。

フォーマット

2)仕入側の場合

売手から請求書を受領したら、

適格請求書として必要な事項が全て記載されているか

を確認し、抜け漏れがあれば再発行を依頼します。

大事なことなので繰り返しますが、

インボイス制度が導入された後の取引(2023年10月1日以後の取引)については、仕入税額控除は適格請求書に「記載」されている仮払消費税しか控除できない

ことになります。つまり、適正な適格請求書を入手していない場合や、インボイスを発行できない取引先(免税事業者や適格請求書発行事業者の登録申請を行っていない取引先)からの仕入れについては、原則、仕入税額控除が認められません。

4 インボイス制度の特例

1)一部省略できる「適格簡易請求書」

インボイスには、取引相手の氏名や名称を記載します。しかし、例えばスーパーなどの場合、レジで消費者に名前を聞いて記入することは非現実的です。このように、業種によっては適格請求書に必要事項の全てを記載することが難しいこともあるため、以下に示す特定の業種については、記載事項を一部省略した「適格簡易請求書」が発行できます。

小売店業、飲食店業、写真業、旅行業、タクシー業、駐車場業(不特定かつ多数の者に対するものに限る)、これらの事業に準ずる事業で、不特定かつ多数の者と取引をする事業

2)インボイスを発行しなくてよい取引

例えば電車に乗る際は切符を購入しますが、都度、公共交通機関が利用者にインボイスを発行するのは非現実的なので、インボイスの発行が免除されます。この他に、以下に示す一定の取引についても、インボイスの発行が免除されます。

  • 3万円未満の公共交通機関(船舶、バス又は鉄道)による旅客の運送
  • 出荷者等が卸売市場において行う生鮮食料品等の販売
  • 生産者が農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等に委託して行う農林水産物の販売
  • 3万円未満の自動販売機及び自動サービス機により行われる商品の販売等
  • 郵便ポストに投函された郵便物及び荷物

3)免税事業者との取引について認められている経過措置

インボイス制度を導入したことによる影響の緩和措置として、インボイスが発行できない免税事業者(あるいは適格請求書発行事業者の登録をしていない事業者)との取引でも、一定期間は仕入税額控除を認める経過措置(移行期間)があります。ただし、経過措置期間中でも消費税の全額について仕入税額控除が認められるわけではなく、期間ごとに控除できる範囲が変わります。

経過措置期間中に認められる仕入税額控除の金額は次の通りです。

  • 2023年10月1日〜2026年9月30日:消費税額の80%まで控除可
  • 2026年10月1日〜2029年9月30日:消費税額の50%まで控除可
  • 2029年10月1日以降:控除不可

4)免税事業者が課税事業者を選択した場合の2割特例

免税事業者が、インボイス制度導入に伴って課税事業者を選択した場合、

納税額を、売上に係る消費税(仮受消費税)の2割とする制度

が導入されます。制度の適用にあたって、事前の届け出は必要ありません(確定申告書上で2割特例を選択する)。

なお、この制度の趣旨は「インボイス発行事業者の登録によって課税事業者になってしまう小規模事業者の負担を軽減するもの」となるため、適用できるのは、「インボイス制度のせいで仕方なく課税事業者になってしまった人」ということになります。そのため、たとえ小規模事業者であっても、以前から課税事業者を選択していた事業者などについては適用されません。

また、この制度は、2023年10月1日から2026年9月30日までの日の属する課税期間について期間限定で適用されます。

以上(2025年10月更新)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 税理士 森浩之)

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先着28社限定の「販路拡大」チャンス!~お早めにご確認ください!!

日頃よりとくぎんサクセスクラブをご愛顧いただき、誠にありがとうございます。

とくぎんサクセスクラブと香川ニュービジネスクラブが展開するビジネスマッチングサービス『TOMONY Business Information』が、今回からウェブ掲載に完全移行することになりました!

先着28社の会員さまの情報を、『TOMONY Business Information』に無料で掲載いたしますので、募集要項などをご案内させていただきます。

販路拡大や仕入先発掘などに、ぜひお役立ていただけますと幸いです。

前回の『TOMONY Business Information』は、こちらからご覧ください!

以下のリンクより、お早めのお申し込みをお待ちしております!!

お申し込みはこちらから!

募集要項

1.名称 TOMONY Business Information
2.目的 とくぎんサクセスクラブ会員さまの販路拡大・仕入先発掘等を目的とします。
3.募集社数 28社で先着順とします。(1会員1枠とします。)
【申込期限】令和7年11月21日(金)
4.掲載方法 徳島大正銀行ホームページおよび、とくぎんサクセスクラブnavi、また、香川銀行ホームページとKNBC(香川ニュービジネスクラブ)ポータルサイトへの掲載
5.掲載日 令和8年1月を予定
6.費用 無料
7.原稿について ①原稿はWebでご提出いただきます。
②原稿に添付できる写真の容量は1枚5MBまでです。それ以上の容量のものは添付できません。
③完成後の原稿は、今回よりカラーでの掲載になります。
④入稿期限は、令和7年11月28日(月)です。
⑤本サービスの趣旨にそぐわない内容のものはお断りする場合がございます。

その他ご不明な点は、事務局までご連絡ください。
連絡先:088-623-3111
担当:窪内

事務局一同、皆さまのご応募を心よりお待ちしております!

以上(2025年10月作成)

山中伸弥氏のノーベル賞受賞は、挫折を助走にした飛躍だった

高く飛ぶためには思いっきり低くかがむ必要があるのです

山中伸弥(やまなかしんや)氏は、iPS細胞の研究により、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した研究者です。

冒頭の言葉は、山中氏がノーベル賞受賞後に発表した書籍の中で語ったもの。「挫折や停滞は次の飛躍のための準備段階である」という意味が込められています。この言葉は、山中氏の研究人生における経験から生まれたものでもあります。

山中氏は大学を卒業後、整形外科の研修医として医療の現場に立っていました。しかし山中氏は、通常20分で終わる手術に2時間もかかるほど手先が不器用であることから、医師の先輩たちからは「ジャマナカ」と呼ばれていたそうです。また、自分より優れた医師でも救えない患者に何度も出会い、医療そのものの限界に打ちのめされます。ですが、山中氏は、今は治せないけがや病気でもいつか治せるようになりたいと、挫折を原動力に、研究者の道へ進む決意を固めます。

しかし、その後も苦難続き。山中氏は米国に留学し、最先端の研究技術などを学んで帰国しますが、日本の研究環境に直面すると米国との違いに失望感が募り、精神を病んでしまいます。そんな山中氏は、どん底にあって活路を見いだそうと手にした2冊の書籍によって、研究に向き合う姿勢を根本から変えることになります。1冊はがん研究に心血を注いだ黒木登志夫氏の書籍「がん遺伝子の発見」、もう1冊は名だたる大企業の成功に関するデイル・ドーテン氏の書籍「仕事は楽しいかね?」でした。黒木氏の本によって研究に対する情熱を思い出し、ドーテン氏の本から失敗の中にチャンスがあるという考えを学んだ山中氏は、「思い通りにならなくても結果を楽しみ、チャンスだと捉えよう」と決意。そこから心機一転、粘り強く研究を重ね、2006年に世界でも例のないiPS細胞を発見し、2012年にはノーベル賞を受賞するという偉業を成し遂げたのです。

山中氏の成功の陰には、医師としての挫折や研究環境への失望といった、「かがむ」経験がありました。多くの経営者にとっても、計画が思うように進まなかったり、事業でつまずいたり、人材育成で悩んだりすることは、誰しも経験し得るものですが、大切なのはその失敗や挫折の受け止め方です。失敗や挫折に悲観的になるのではなく、「自分は今、高く飛ぶためにかがんでいるのかもしれない」と意識することで、それらが次の挑戦の糧になります。行き詰まりや後退に感じる瞬間も、視点を変えれば未来の可能性を育む貴重な時間です。かがむ時間を恐れず、むしろ次の飛躍に向けて力をためる意識こそ、組織や事業の成長を後押しします。

山中氏は、学生へ向けた講演の中で、自分の「かがむ」経験を包み隠さず伝えています。高く飛んだ彼自身がそれを示すことで、挑戦する勇気や諦めない心の大切さを伝えているのです。

「山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた」(山中伸弥・緑慎也著、講談社、2012年)

以上(2025年10月作成)

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画像:yu_photo-Adobe Stock

マネジメントの父・ドラッカーが世界最高と絶賛した「日本の小説」とは?

今年はマネジメントの父、ピーター・F・ドラッカー没後20年を迎えます。そのマネジメント論は現代でも深く息づいています。
「マネジメントの基礎を身につけたい」
「リーダーとして、どうメンバーに接したらいいのかわからない」
「管理職として仕事をしてきたけど、うまくいっていない気がする」
「ドラッカーは難しそうだから、今まで触れてこなかった」
そのような悩みを解決するヒントが詰まった書籍『かの光源氏がドラッカーをお読みになり、マネジメントをなさったら』が発売されます。本書は、これまでドラッカーを知らなかった人でも物語の中でその本質を学べる1冊です。
本記事では、著者の吉田麻子氏にドラッカーの魅力を伺いました。

この記事は、こちらからお読みいただけます。

なぜメール全盛の今、あえて「紙のDM」を送ると驚くほど効くのか?

「ワインが好き」――ただそれだけの想いを胸に、安定した職を捨てた一人の男。しかし、彼を待っていたのは“1年半もの無収入”という過酷な現実だった。絶望の淵から、いかにして彼は大逆転を遂げたのか?

この記事は、こちらからお読みいただけます。

「休日にダラダラ過ごす人」のメンタルが悪化する意外な理由

「休む=何もしない」と思っていないだろうか。じつは、休日のダラダラはかえって疲れが残るケースもあるという。重要なのは、心身を回復させるために正しく休むこと。産業医・吉田英司氏は休息の質を見直す必要性を指摘する。集中とリカバリーを繰り返して持続的に働くための休み方改革とは?

この記事は、こちらからお読みいただけます。

死亡リスクが「78%下がるジョギング」と「97%上がるジョギング」の違い

健康のためにジョギングをする、山に登る……中高年やシニアの体力作りや健康維持に良さそうな習慣が、思わぬ死を招くことがある。法医学者として多数のご遺体を解剖してきた高木徹也氏は、登山やジョギング、山菜採りといったアクティブな行動の裏に、意外なリスクが潜んでいると指摘する。趣味を続けるために、知っておくべきポイントとは?

この記事は、こちらからお読みいただけます。

【外国人雇用】自社が雇用できる外国人労働者は? ~複雑な区分を解説

1 押さえるべきは「在留資格」

日本で働く外国人の数は、2024年には過去最多の230万2587人となりました(厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況」)。外国人雇用を検討する会社は今後ますます増えるでしょうが、注意が必要なのが「在留資格」です。

在留資格とは、

外国人の住所地を管轄する地方出入国在留管理官署(出入国在留管理庁の地方支分部局、以下「入管」)に申請すると取得できる資格で、日本で行える活動と在留期間を示したもの

です。在留資格ごとに就労できる職種や在留期間が違うので、これを正しく押さえておかないと不法就労などのトラブルになりかねません。足元では2024年6月21日から3年以内に、

会社が外国人の不法就労に加担する「不法就労助長罪」の罰則が、「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科可)」から「5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金(併科可)」に引き上げ

られることが決まっているので特に注意が必要です。

大切なのは、

  • 職種の制限:制限があるかないか
  • 在留期間の期限:制限があるかないか(一部は無期限)
  • 労働時間の上限:日本人と同じか否か

を確認することです。

まずは、日本で就労する外国人の区分を見てみましょう。

日本で就労する外国人の区分

ざっくりとまとめると、多くの外国人は、

  • 職種の制限:あり
  • 在留期間の期限:あり
  • 労働時間の上限:日本人と同じ

となります。ただし、就労できる職種や在留期間の細かいルールは在留資格ごとに異なります。以降で、図表1の区分ごとに、在留資格の概要を紹介するので、確認していきましょう。

2 身分に基づき在留する者

活動内容に関係なく日本に滞在する外国人が該当します。

身分に基づき在留する者

就労に関する特徴は次の通りです。

  • 職種の制限:なし。単純労働なども可
  • 在留期間の期限:永住者は無期限。その他の者は期限あり
  • 労働時間の上限:日本人と同じ

どの在留資格も職種の制限がなく、労働時間の上限も日本人と同じなので、在留期間にさえ注意しておけば問題ありません。永住者の場合は在留期間も無期限なので、基本的に日本人と同じように雇用できます。

3 就労目的で在留が認められる者

特定の知識・スキルを活かした職業に就く外国人が該当します。

就労目的で在留が認められる者

就労に関する特徴は次の通りです。

  • 職種の制限:それぞれの在留資格で認められた範囲内でしか活動できない
  • 在留期間の期限:高度専門職2号は無期限。それ以外の者は期限あり
  • 労働時間の上限:日本人と同じ

基本的にどの在留資格も在留期間に期限がありますが、例外は高度専門職2号です。高度専門職とは、高度な知識・スキルによって日本経済に貢献することなどを期待され、ポイント制による一定の評価を受けた外国人のための在留資格で、研究者やプロ経営者が該当します。

  • 最初は高度専門職1号(在留期間の上限は5年)からスタート
  • 高度専門職1号として3年以上の活動など一定の要件を踏まえ、ポイント制による評価を満たすことで高度専門職2号になり、在留期間が無期限になる

という仕組みになっています。

4 技能実習

技能実習制度の技能実習生が該当します。技能実習制度とは、技能実習生が日本で実習を行う会社(実習実施者)の下で働き、母国では得がたい技能の修得などを図るための制度です。

技能実習

就労に関する特徴は次の通りです。

  • 職種の制限:技能実習2号、3号に移行が可能な職種・作業は省令で定められている
  • 在留期間の期限:あり
  • 労働時間の上限:日本人と同じ

技能実習制度は、まず技能実習1号からスタートし、所定の試験を受けることで2号、3号へと移行していくシステムです。ただし、2号、3号に移行が可能な「職種」と各職種にひもづく「作業」が、省令で細かく定められています。例えば、

「耕種農業」という職種には、「施設園芸」「畑作・野菜」「果樹」という作業がひもづくといった具合に、2025年3月7日時点で91の職種と168の作業(下記URL参照)

が定められています。1号には職種・作業の制限はありませんが、技能の修得などに関係ない業務(単純労働など)に従事させることはできません。

厚生労働省「技能実習計画審査基準・技能実習実施計画書モデル例・技能実習評価試験試験基準」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/global_cooperation/002.html

なお、技能実習制度については、技能の習得という本来の制度趣旨に反して、「会社が技能実習生に、技能の習得に関係ない単純労働をさせる」などの問題が頻発していることに加え、日本の労働環境においても、団塊世代の大量離職などによる将来的な人材不足が深刻さを増している状況を鑑み、

2024年6月21日から3年以内に技能実習制度に代わり、新たに「育成就労制度」が開始

されることになっています(具体的な施行日については、現時点では未定)。

育成就労制度は、「育成就労」という在留資格を設け、外国人を原則3年間で一定以上の技能を持つ「特定技能」に育成する制度です。技能実習制度と似ていますが、

  • 技能実習制度は、外国人が日本で習得した技能を、将来母国に持ち帰ることを想定した「国際協力」のための制度(特定技能への移行も可能だが、制度上は「帰国」が原則)
  • 育成就労制度は、外国人が技能の習得後も、日本企業の戦力として活躍することを想定した「人材確保」のための制度(帰国せず、日本に「在留」することが原則)

であり、目的が異なります。また、その他にも「技能実習制度とは、対象としている産業分野・職種が違う」「就労開始前の日本語教育が必須」といった特徴があります。

出入国在留管理庁「育成就労制度」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/index_00005.html

5 資格外活動

就労するための在留資格を持っていないものの、法務大臣から資格外活動(在留資格の範囲外の活動)の許可を与えられた外国人が該当します。

資格外活動

就労に関する特徴は次の通りです。

  • 職種の制限:本来の在留資格に属する活動を阻害しない範囲であれば、基本的になし。ただし、風俗営業等への就労は不可
  • 在留期間の期限:あり
  • 労働時間の上限:日本人より短い(原則1週28時間まで)

労働時間については、日本人の場合、原則1日8時間、1週40時間が上限ですが、資格外活動を行う外国人の場合、原則1週28時間までとされています。

1日当たりの上限は特に定められていませんが、どの曜日から起算しても1週28時間以内になるようにしなければならない

ので、注意が必要です。ただし、

例外として、在留資格の本来の活動に影響がない期間に限り、労働時間の上限が1日8時間、1週40時間まで延長

されます。留学生のアルバイトを例にして考えるならば、勉強の妨げになりにくい大学の夏休み期間などがそれに該当します。

6 特定活動

特定活動(法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動)を行う外国人が該当します。

特定活動

就労に関する特徴は次の通りです。

  • 職種の制限:在留資格に該当しない活動を行う場合、法務大臣から個々の指定を受ける必要がある。なお、ワーキング・ホリデーの場合は、風俗営業等以外であれば制限なし
  • 在留期間の期限:あり
  • 労働時間の上限:日本人と同じ

特定活動の場合、外国人のパスポートに添付される「指定書」という書類に、「活動類型」(ワーキング・ホリデー、EPAなど)が記載されており、その内容に応じて就労できる職種が変わってきます。

以上(2025年10月更新)
(監修 有村総合法律事務所 弁護士 小出雄輝)

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