中小企業等を支援する国や自治体の補助金・助成金事業では、雇用・人材開発・IT補助・コロナ支援など幅広いジャンルの支援があります。
本レポートでは、おすすめの補助金・助成金について支援の内容や対象条件、申請方法等についてわかりやすく紹介します。
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中小企業等を支援する国や自治体の補助金・助成金事業では、雇用・人材開発・IT補助・コロナ支援など幅広いジャンルの支援があります。
本レポートでは、おすすめの補助金・助成金について支援の内容や対象条件、申請方法等についてわかりやすく紹介します。
政府は令和6年度税制改正大綱を閣議決定した。様々な改正が実施されることになるが、マクロ経済目線では、①企業向け減税の新設を筆頭に「新しい資本主義」で掲げる“官民一体投資重視”の姿勢を継続、②短期的にはデフレ脱却を優先する形で減税措置が中心に、③一方で、所得・住民税における扶養控除の縮小、中長期的な法人増税の示唆、防衛増税など、中長期的には増税によって減税・歳出先行のバランスを整える、といった考えのもとで改正が志向されていると整理できる。
11月決定の総合経済対策でも示されていた通り、24年6月から家計向けに所得税・個人住民税の定額減税(計4万円、扶養家族がいる場合には一人当たり4万円増額)が実施される。納税のない住民税非課税世帯への給付金(補正予算で措置済み)のほか、納税額が減税額に満たない世帯についても1万円単位での給付金を予備費で措置する方向だ。
また、定額減税については所得制限の実施有無が論点となっていた。所得1805万円超(給与所得者なら年収2000万円超)の際には定額減税の対象外とすることとされた。源泉徴収の給与所得者について、月の源泉徴収額が減税額に満たない場合には翌月以降から残額を減税する形となる。扶養家族が多い場合などは減税額全てを開始月の2024年6月に引ききることができず、7月以降に減税完了が遅れるケースが生じてくることになる。一定の前提を置いて終了時期を試算したものが資料1だ。ある程度の所得があっても扶養家族が多い場合には減税額が大きくなり、6月に引ききれないケースが生じる。所得・住民税の定額減税規模は3.5兆円程度だが、一部については時期が後ずれすることから、所得減税による消費押し上げ効果に関しても時期が散ることになりそうだ。
既に指摘されているように、家計向け還元策は定額減税と非課税世帯や低所得世帯への給付を組み合わせた複雑な制度設計となっている。足もとで個人消費の低迷がみられる中、消費の下支え策を打つことには一定の理があるものの、定額減税の効果は24年6月以降に散る形となりタイミングは遅れる。政策目的がデフレ脱却をより確かにするための消費喚起、であったのならば、一律給付金が迅速性、制度簡素化の双方の観点でベターだったように思われる。
法人課税では新たに「戦略分野国内生産促進税制」が新設される。企業に重要物資への設備投資を促すものだが、従来の設備投資減税と異なるのは減税額を計算する際のベースが「投資」ではなく「生産」である点だ。投資時のみでなく生産に対しても減税措置を設け、重要物資の国内供給を促す。対象となる物資は電気自動車等(蓄電池)、半導体、環境負荷の少ない鉄鋼・基礎化学品・航空燃料。減税期間を10年間の長期に設定している点も大きな特徴だ。
もう一つ新設となるものが「イノベーションボックス税制」だ。24年度以降に取得した特許などの知的財産権の譲渡・貸付によって得た所得について30%の所得控除(損金算入)を認める。2025~2032年度までの7年間で行われ、こちらも期間が長期にわたる点が特徴である。従来から政府は財政政策の単年度主義の弊害是正を掲げ、政策スパンを長くとることで企業の予見可能性を高め、これを民間投資喚起の呼び水とすることを目指してきた。そうした路線に沿った2つの新税制である。
賃上げ減税(所得拡大促進税制)については3年延長(2024~2026年度)したうえで、大企業分を対象に適用要件を厳格化する。この税制は給与増加額の一定割合を税額控除できるものだ。資料2の通り賃金増加率(継続雇用者給与等支給額の増加率)に応じてより大きく控除率が変動する枠組みとし、企業に対してより高い賃上げを促す。また、中小企業分については5年間の繰越欠損の仕組みを設け、赤字を繰り越せるようにする。中小企業の多くが欠損法人(赤字)であり法人税納税がなく、減税効果が及ばない点に対応したものだ。黒字/赤字の波がある企業には有効だが、恒常的に赤字計上を続ける企業には効果が及ばない点は変わらない。
また、従来からある教育訓練の実施した際の控除率上乗せ措置に加え、女性活躍、子育て環境整備の要件(プラチナえるぼし、プラチナくるみん認定)を満たした場合の上乗せ措置が追加される。賃金以外にも教育訓練の充実や働く環境整備に対してインセンティブのある制度となる。
少子化対策として高校生期に児童手当の拡充が行われることに対応して、高校生期の扶養控除の縮小が明記された。所得税の控除を38万円から25万円に、住民税の控除を33万円から12万円に縮小する。控除を廃止した場合には、児童手当の増加を扶養控除廃止による増税が上回る世帯が高所得層において発生するが、児童手当の増額分をいずれの収入層でも上回らないように増税幅を抑えた形である。児童手当の拡充が少子化対策として行われることに配慮したものだが、児童手当増額分を減殺することにはなる。高所得者への恩恵が大きくなる控除から一律の手当へ、という方向性に沿ったものだが、結果として子育て世帯間での所得再分配の性格が強まり、少子化対策としての性格は薄れる形になっている。開始は2026年分以降の所得税(27年度分以降の住民税)とすることが想定されている。改正内容が明示される一方で、本決定は次回の税制改正に持ち越されることとなった。
また、昨年の大綱では防衛増税(所得税・法人税・たばこ税)の内容が明示され、実施時期を2024年以降のタイミング、としていた。今回大綱では「適当な時期に必要な法制上の措置を講ずる趣旨を令和6年度の税制改正に関する法律の附則において明らかにする」として、開始時期具体化は見送られた。所得税の定額減税を実施する一方で、所得税を含む恒久増税を実施すれば、定額減税が増税のためのバーターに映ってしまう点などを考慮したためと考えられる。
今回の税制改正の特徴としては、短期的には家計向けの所得・住民税減税や企業向けの設備投資減税など減税措置が実施される一方で、中長期的には防衛増税や扶養控除の廃止などの増税措置が据えられている点である。
さらに今回大綱で、「今後、法人税率の引き上げも視野に入れた検討が必要」として中長期的な法人増税が明示されている点はインパクトがある。さらに「近年の累次の法人税改革は意図した成果を上げてこなかったと言わざるを得ない」と強いトーンで従来の法人減税路線を否定している。法人税増税の根拠として、①各種の租税特別措置と合わせ、投資や賃上げ還元に消極的な企業へのディスインセンティブを強化する観点、②世界的な法人税引き下げ競争の回避の潮流の下で、海外諸国が官民投資促進策の財源として法人税増税を選択している点などが挙げられている。財政当局としては、岸田政権の下で「新しい資本主義」を掲げ、脱炭素、防衛、少子化対策といった施策が歳出先行で進められるもと、法人税増税を財源確保のオプションとして据えたい意図があるのだと考えられる。将来に向けた地ならしであろう。基幹3税のうち、所得税は賃上げを求める中で明確な増税路線を示すことは難しいほか、消費税は社会保障財源としての紐づけを行ってしまったため、他政策の財源としては打ち出しにくい。消去法的な側面もあるが、法人税に対する風当たりは強まっていく可能性が高そうだ。
法人税率の引き上げが進む場合、租特の影響を除いても賃金還元を増やしうる要素は確かにある。人件費は企業会計では損金なので、人件費を増やせば最終利益が減って納める法人税は減る。法人税率引き上げは納税額を抑えるために利益を減らすインセンティブを高めることから、損金である賃金還元を増やす側面がある。しかし、企業が将来のキャッシュフローの減少を見込むことで賃金還元に対する慎重姿勢を強める面もあると考えられ、どちらが勝るのかは定かではない。一方で、素直に法人税増税がマイナス要因となるのは株価であろう。税引き後の当期純利益から拠出される配当の減少要因となる。教科書的なモデルでは株価は将来分も含めた配当総額の割引現在価値である。
11月の経済対策の議論の中で、野党からブラケット・クリープへの対応を求める声が挙がった。所得税や住民税は名目額で税率の境目が設定されており、インフレ進行のもとでは限界税率の上昇に伴う手取り額の実質的な目減りが進みやすくなる。今回改正で議論があるか注目していたが、盛り込まれなかった。
インフレ調整は、物価指数に対するスライドの仕組みを取り入れている公的年金給付などでは問題にはならないが、所得税のブラケットや児童手当の支給額など、名目額で「XX円」と決まっている制度の場合にはインフレに合わせて適当なタイミングで額を見直す必要が出てくる。長年、明確な物価上昇が生じなかったためこの点はさして問題にはならなかったが、物価上昇が今後定着するならば税・財政の各種制度のインフレ調整が改正議論の俎上に載ってくる可能性は高いと考えられる。
以上(2024年1月)
(執筆 第一生命経済研究所 経済調査部)
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画像:Camera Papa-Adobe Stock
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所調査研究本部経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
「何でこんなことも分からないの?」。意図した通りに部下に指示が伝わらず、イライラすることはありませんか? 上司と部下でありがちなこの問題。解決のコツは、
部下が求める内容を、部下が理解できるレベルに合わせて伝えること
にあります。こう言うと、
上司が部下に合わせたらレベルが下がるだけ
と指摘されそうですが、これは勘違いです。上司の皆さんは長い経験を積み、勉強もしてきたわけですから、その時点で部下とはビジネスパーソンとしての実力が大きく違います。実力が離れた上司の指示を受け入れている部下は、よほど優秀なのか、部分的に理解しているのか、分かったふりをしているのかのどれかでしょう。
上司が上司の言葉で伝えても伝わらないのは、ある意味で当たり前のことです。ですから、上司は、部下にとって分かりやすい指示とは何かを考え、実践する必要があるのです。
部下が求める内容を、部下が理解できるレベルに合わせて伝えるために、上司は「自分ならこう考えるのに、何で部下は……」「自分ならこう動くのに、何で部下は……」という、自分基準で部下を減点していくのをやめましょう。その上で部下を認めます。具体的には、
部下は部下なりに上司の指示を解釈し、工夫した結果、上司の指示と異なる進め方になったのかもしれない
というようにです。そして、穏やかに、部下の言動で改善すべきところを伝えていきましょう。
たったこれだけのことで、見違えるほど上司と部下のコミュニケーションが良くなることを実感できると思います。ただ、こうしたコミュニケーションを取るためには、上司にも相応の時間がかかります。改善前は、
自分の考えを示す
という、いわば一方通行のコミュニケーションでしたが、改善後は、
自分の考えを示し、相手の言動を理解し、差分を整理して伝える
ということになるからです。ですから、ある程度、部下の性格や成長に応じて接し方を変えていく必要があるでしょう。
上司は、部下に5W2Hの報連相を要求しますが、同様に上司も5W2Hで指示を出しましょう。5W2Hとは、次のことを指します。
その上で、部下の理解度を確認するために、部下に指示の内容をメモ帳やホワイトボードに書き出し、説明してもらいます。書き出して説明してもらうことで、誤解や、理解が不十分な部分が明らかになります。
また、業務の内容によっては言葉で表現するのが難しかったり、伝わりにくかったりするものがあります。そこで、見本や参考になる資料を用意して、「資料Aに掲載されているデータを最新版に更新してほしい。グラフの体裁は資料Bと同じにしてほしい」などのように、部下とイメージを共有します。
以上(2024年2月更新)
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画像:Nuthawut-Adobe Stock
厚生労働省が公表した「令和3年度 労働者派遣事業報告書」によると、派遣労働者数は約209万人(前年度比8.6%増)となっており、派遣労働者の需要はますます増えているように見えます。
昭和60年に法制化された「派遣」という働き方は、現在では、企業、派遣労働者のそれぞれから広く認知され、世間に十分に浸透しました。
本稿では、厚生労働省が令和5年11月24日に発表した「令和4年 派遣労働者実態調査」の結果を紹介しながら、労働者派遣の現状や今後の見通しについて考察してまいります。
厚生労働省が公表した「令和3年度 労働者派遣事業報告書」によると、派遣労働者数は約209万人(前年度比8.6%増)となっており、派遣労働者の需要はますます増えているように見えます。
昭和60年に法制化された「派遣」という働き方は、現在では、企業、派遣労働者のそれぞれから広く認知され、世間に十分に浸透しました。
本稿では、厚生労働省が令和5年11月24日に発表した「令和4年 派遣労働者実態調査」の結果を紹介しながら、労働者派遣の現状や今後の見通しについて考察してまいります。
令和4年10月1日現在、派遣労働者が就業している割合は12.3%となっています。また、就業している派遣労働者数は「1~4人」(68.1%)、「5~9人」(16.8%)、「10~19人」(7.3%)といった分布となっており、全労働者数に対する派遣労働者の割合は4.0%となっています。
産業別にみると、「サービス業(他に分類されないもの)」が11.5%と最も高く、次いで「情報通信業」9.5%、「製造業」7.8%となっています。
また、派遣労働者を就業させている主な理由は、「欠員補充等必要な人員を迅速に確保できるため」が最も高くなっています。
(厚生労働省「令和4年派遣労働者実態調査」)
派遣労働者について、派遣労働者として働いている理由(複数回答)をみると、「自分の都合のよい時間に働きたいから」が30.8%、「正規の職員・従業員の仕事がないから」30.4%の割合が高くなっています。
これを性別にみると上位2つは、女性は全体と同様となっているが、男性は「正規の職員・従業員の仕事がないから」31.0%、「専門的な技能等をいかせるから」23.3%となっています。
(厚生労働省「令和4年派遣労働者実態調査」)
労働者派遣という形態は、企業、派遣労働者ともに労働のタイミングをコントロールできるという面で、評価されていることが見て取れます。
いわゆる同一労働同一賃金の改正法により、派遣社員についても正規社員との間の「不合理な待遇差」の是正が進められました。このように派遣労働者を保護し、制度を健全に進展させる動きも断続的に進められています。
少子高齢化が加速している中、多くの企業が直面する深刻な人手不足の解消策の一つである労働者派遣。この制度がさらに発展していくには、派遣労働者でも業務に応じて納得できる賃金や待遇が得られ、業務に対して必要なスキルアップの機会が与えられることが、重要だと言えるでしょう。
※本内容は2023年12月14日時点での内容です。
(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)
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画像:photo-ac
意外と気付いていない人が多いのですが、
実は相手が提示してくるほとんどの条件は交渉可能
です。これを知っている一部の人は、後手に回ることがないように先んじて相手と交渉します。そして、互いに少しずつ譲歩し合いながら落としどころを探ります。交渉が進むほど積み上げられる合意事項も増えていくので、後から覆すことは難しくなってきます。
ですから、早い段階から社員が現場で交渉をしてくれたら、自社にとってもっと有利な条件を引き出せる可能性が高くなります。にもかかわらず、ほとんどの社員は現場で交渉をしません。そもそも、交渉するという意識がなく、
社長や上司から言われたことを相手に伝え、相手から言われたことを社長や上司に報告するだけ
というケースがほとんどです。では、どうすれば現場で交渉できる社員を育てることができるのでしょうか。その点をこの記事で明らかにしていきます。大切なのは、
ビジネスの目的を共有して成功の定義を社員に伝え、権限を与えて何度も交渉させること
です。
次のグラフを見せながら、社員に、
売り上げが欲しい。3つの事業のどれを選ぶ?
と質問してみてください。お気付きと思いますが、この質問はとても曖昧です。きちんと答えるためには、社員が自ら仮説を立てて、一定の前提条件を設定しなければなりませんが、まさにここが非常に重要なポイントです。
この質問の答えによって、社員はおおむね3つのグループに分けられます。
グループ1は、自分が叱られないことしか考えていないので論外です。取り繕っているだけで、自主性がありません。グループ2は、「雇われ」の立場に慣れていて、自分で考えられなくなってきています。しかし、実力を備えていることもあり、教育する価値があります。グループ3は理想です。ポイントは、
です。ただ、グループ3に該当する社員は既に現場で交渉しているはずですから、教育の対象となるのはグループ2の社員です。
グループ2の社員は、指示通りに動くことに慣れている、あるいはそうするように指示され、その指示に従っているだけです。つまり、「雇われ」の立場に慣れているのです。ここから一皮むけてもらうために、「言われたことだけをやる」「失点したくないのでチャレンジしない」といった意識を変える必要があります。
そのために経営者が行うべきことは、
です。
まず、ビジネスの目的を丁寧に共有しましょう。前述した事業の選択の場合、「投資家に成長を印象付けるために売り上げが必要」「中期経営計画の中で、次世代の事業の柱を構築する」といったように伝えます。
目的を伝えても、「雇われ」の立場に慣れた社員は何をすればよいのか分からず、指示を待つだけです。そこで、成功を定義してあげましょう。例えば、「顧客Aとの取引を中期的に拡大し、売り上げを2倍にする。利益率が5%落ちても構わない」といった感じです。こうすることで、社員は自分がどこに向かい、具体的にどのような条件を勝ち取るべきかが分かります。
最後に、実行するための権限を与えます。そして、交渉することも社員の役割であることを教え、実際に交渉をしてもらいます。交渉に慣れていないと、自分の意見を押し通そうとするだけで局面が作れず、結果として物別れになります。この問題は経験を積むことでしか解決できないので、
失敗してもいいので交渉を続けさせる
ことが不可欠です。経営者が交渉する席に同席させることも効果的です。こうした育成をする中で社員に自主性が芽生え、自ら行動するようになっていくでしょう。
以上(2024年2月)
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年間1000人以上の経営者と会い、人と人とのご縁をつなぐ代表世話人杉浦佳浩氏。ベンチャーやユニークな中小企業の目利きである杉浦氏が今回紹介するのは、関根 朝之(せきね ともゆき)さん(株式会社マインドフルネス 代表取締役、株式会社hu-ReVo 代表取締役)です。
「身体が変われば、心も変わり、人生も変わった」
こうお話ししてくださった関根さん。関根さんはご自身のこの体験から、「まさにこれは【人間革命=ヒューマンレボリューション】だ」と感じ、ヒューマンレボリューションを略して「ヒューレボ(hu-ReVo)」という会社を立ち上げています。
関根さんは元プロキックボクサーです。現在はパーソナルトレーナーをしつつ、「株式会社マインドフルネス」を2022年8月に立ち上げ、自分自身の心に集中して向き合い続ける「マインドフルネス」を世に広めています。マインドフルネスを実践することで仕事のパフォーマンスが上がっただけではなく、人生との向き合い方も変わったという経営者がいます。また、社員の福利厚生にマインドフルネスを取り入れている例もあり、生産性の向上や離職率の低下などにつながっているそうです。
この記事では、関根さんがどのようにマインドフルネスで人生が変わったか、今後どのように広めていこうとしているかなどをまとめます。新しい年の初めに、すべての悩める経営者の方、自分を変えたい方、社員に元気になってもらいたい方に少しでもお役に立てればと思います。
関根さんがマインドフルネスを広めるために行っている活動は、セミナーや講演会、執筆、パーソナルジムの運営、ライフコーチなどさまざまです。関根さんの活動はとても幅広く、これは多くの人から必要とされていることの表れだといえます。
株式会社マインドフルネスのホームページでは、「マインドフルネス」とは、スポーツ選手が極めて高い集中力を発揮している「ゾーン」のような状態に入るためのトレーニング方法の1つ、と紹介されています。同社のホームページには、マインドフルネスがどのように効果をもたらしてくれるかが記載されています。
●「マインドフルネスとは」がまとめられている株式会社マインドフルネスのホームページ
(出所:株式会社マインドフルネスホームページ)
マインドフルネスを実現するための1つの方法が「超呼吸法」です。関根さんが提唱し、自ら実践しているもので、著書「1日中、最高のコンディションが続く! 脳を鍛える超呼吸法」も出ています。
実際に関根さんに呼吸法を教えてもらった経営者に聞くと、とても簡単、かつ実際に気持ちが落ち着き、フラットな意識になれるということでした。毎朝、起きてすぐに実践したり、自分がイライラしていると感じたら実践したりと、人によって取り組み方はさまざまです。「超呼吸法」はとても簡単で、今日からでも取り組めます(マインドフルネスと呼吸について、関根さんが教えてくださったことを後半に改めてご紹介します)。
●関根さんの著書
https://www.amazon.co.jp/dp/4046058277
(出所:株式会社マインドフルネスホームページ)
ところで、なぜ、関根さんはマインドフルネスにたどり着いたのか。それを次章で振り返ってみたいと思います。
●関根さんのプロフィール
(出所:株式会社マインドフルネスホームページ)
元プロキックボクサーである関根さん。自身の原点は「幼少期にいじめられっ子だったこと」だと振り返ります。
関根さん曰く、小学生のころは内気でいじめられっ子だったそうです。さらに、進学した中学校は先生が心の病になってしまうほど荒れていて、関根さんは当時の不良から目をつけられていじめにあいます。今では考えられませんが、右手の中指に鉛筆を刺され、それが刺さりっぱなしで今も残ったままになっているそうです。
辛い日々が続き、中学2年のころには眠れない、学校へ行きたくないという状態で頭痛も止まず、1カ月入院したこともあるそうです。「もう、生きていたくない……」とまで思い詰めますが、仏教徒の先輩に出会い、その言葉に救われ、なんとか前を向きます。
高校に進学した関根さんは、「強い自分になりたい」という一心で柔道を始めます。ただ、その思いが強すぎて、腕立て伏せ2000回、睡眠4時間という無茶なトレーニングをします。そんな生活を続けるうちに体が悲鳴をあげ、右腕が伸びなくなってしまったそうです。この経験から関根さんは、筋肉や睡眠について学ぶようになります。
大学に進学した関根さんは、キックボクシングを始めます。大学3年生のときにアマチュア・フェザー級と、ライト級の2階級でチャンピオンになり、その後もプロキックボクサーとして活躍し、日本2位にまでなります。華々しい活躍ですが、ある試合で瀕死の重傷を負ってしまいます。なんと肋骨2本、眼窩底(がんかてい)、鼻、頬骨を骨折。こんな状態でも、「死んでも勝つ」という思いで試合に臨み、一回もダウンせず、結局、判定で引き分けになります。
試合後、関根さんは意識を失い、ICUで目を覚まします。死を意識したそのとき、関根さんは次のように考えたそうです。
「そうして死を考えたときに、そのときの僕はキックボクシングっていう夢中になれるものもある。応援してくれる家族や仲間もいる。充実していたけれど、本当は何がしたいのだろう、と。
そう考えたときに、昔はいじめにあって、本当に辛くて死にたかった。生きていてつまらなかった。でも、そんな僕を励まし続けてくれた仏教徒の先輩がいた。僕は、そういう人になりたいと思ったんです」
これが一つのきっかけとなり、「ヒューレボ(hu-ReVO)」を立ち上げるに至ったのです。
ここまで関根さんの凄まじい歩みを振り返ってきましたが、ご本人はとても穏やかです。自分自身の辛い経験を乗り越え、自分で心と身体も強くしてきた「本物の強さ」を感じずにはいられません。関根さんは次のように語っています。
「心技体というように、身体や技術だけではなく、心も大事。そうして色々と勉強して行き着いたのがマインドフルネスです。
『世界中の億万長者がたどりつく「心」の授業』という本の中でも言われていますが、地位も名声も富も得た世界の大富豪やハリウッドスターなどが、継続的な幸せにたどり着けない。そこで一部の人がインドへ修行に行き、出会う、それがまさにマインドフルネスです」
次章では、こうしてたどり着いたマインドフルネスと呼吸法について、関根さんが教えてくれたことを紹介します。
「マインドフルネスは、教育・ビジネス・医療の場面で認められています。医療・脳科学・心理学・神経医学のエビデンスもあるものです」と関根さん。
実際、マインドフルネスは世界的に広まっています。
関根さんは次のように言います。「ビジネスでも、ウェルビーイングの観点から、マインドフルネスを取り入れるシリコンバレーの企業がある。一方、日本では小中高生を含め自殺が多い。もし、家庭でのDVによって社会的健康、精神的健康が損なわれていることが原因であるなら、家族のメンタルや脳の状態を良くしないと子どもをケアできない。また、原因不明の頭痛に悩まされている経営者の方がいて、人間ドックでも病院でも何も問題ないと言われる。そこで自律神経の状態を計測したら、ものすごく乱れていた。マインドフルネス呼吸瞑想は、これらの状況の改善にも役立つ」
交感神経や副交感神経、内臓器官などは、人間が自分でどうにかしてコントロールできるものではありません。
「ただ、唯一、呼吸は自分でコントロールできます。呼吸にアプローチすることで、脳も身体も、心もリラックスできるのです。呼吸を意識することで、さまざまなことを解決できると確信しています」
と語る関根さん。呼吸について、次のように教えてくれました。
「自律神経は、日中は脳が活性化されて交感神経が優位、夜になると副交感神経が優位に切り替わってリラックスモードに入るというのが、本来の状態です。
これが、夜まで仕事をしていたりストレスが高い状態が続いていたりすると、夜でも交感神経が優位なままになってしまいます。寝ていても交感神経が優位で、脳が休まっていない。寝ていても途中で目が覚めてしまったりして睡眠の質も悪い。
日本人は、睡眠偏差値(睡眠の質×時間で計測)が低い傾向にあります。そうすると、精神的不調、身体的不調をきたし、パフォーマンスも下がってしまいます。
しかし、寝る前にマインドフルネス呼吸瞑想をすれば、それだけで副交感神経を優位にすることができるのです。
例えば、サウナもある意味マインドフルネスといえるでしょう。スマホもないし脳を休められる。ただ、サウナはお金がかかります。一方、呼吸はその場で簡単にできます」
今、心身の健康のために睡眠の質の向上が注目されていますが、そのためにも呼吸法が大事なことが分かります。
また、実際に始業の5分前や会議の5分前にマインドフルネス瞑想呼吸の時間を取り入れている企業もあるそうです。たった5分の取り組みで社員の気持ちが落ち着き、ストレスが緩和され、離職の防止につながるかもしれません。何より、社員が毎日楽しくイキイキと働けるようになれば、これほど素晴らしいことはありません(呼吸法のやり方は、関根さんの著書「1日中、最高のコンディションが続く! 脳を鍛える超呼吸法」に載っています)。
関根さんは、「脳のケガ」という言い方をします。
「うつ病やパニック障害といった精神的な病は、『脳のケガ』だと僕は思っています。その人が弱いとかそういうことではなく、脳のケガなので、誰でもなるものなんです」
「脳のケガ」という言い方には、とても救われる思いがします。ケガをしたら、呼吸を意識することで、自分でコントロールしてリカバリーを試みる。そういう方法があると知っておくだけでも、安心につながるのではないでしょうか。
マインドフルネスと、それを実践する呼吸法を広めようと、セミナーや研修、執筆、インタビューなど幅広く活動されている関根さん。そこからさらに一歩進み、新たな試みがスタートします。それは、「マインドフルネスの資格をつくる」こと、「マインドフルネス認定講師育成講座」です。
「日本ではまだまだマインドフルネスが普及していないのが実情です。これまで、僕はマインドフルネスを日本で広めるためにセミナー開催など日本全国で活動してきましたが、1人でできることには限界があります。
身体のことも含め、マインドフルネスを複合的に教えられる人材は不足していると感じています。今、人的資本経営が盛んに求められているので、そういう意味でも、ウェルビーイングの観点から身体的・精神的・社会的健康、この3つの健康について話せる人を増やすために、資格をつくり、仲間をつくっていこうと考えています」
「マインドフルネス認定講師育成講座」を学ぶと、マインドフルネスを人に伝える先生になることができます。長年、定性的にも定量的にも研究を重ねてきた関根さんのノウハウをすべて学べる、これはすごいことです。誰かの役に立ちたいと思っている方は、もしかしたらマインドフルネスを通じてそれが実現できるようになるかもしれません。
●株式会社マインドフルネスの「マインドフルネス認定講師育成講座」について
https://mind-fulness.jp/service3/
ちなみに関根さんは、地元が埼玉県の戸田市だそうですが、戸田市長も関根さんのセミナーを聞いて戸田市の教育にウェルビーイングの観点からマインドフルネスを導入していこうと考えているそうです。
これまでも関根さんは、ボランティアで教育現場向けにマインドフルネスのセミナーをしてきています。
「教育機関では、僕は子どもよりも親や先生の脳や心の状態を良くしたほうがいいと思っています。ですので、教育機関でセミナーをやるときには、必ず保護者の方へお声がけくださいと言っていますし、子どもたちよりも、保護者の方々や先生に向けて(セミナーを)やっている面があります」
と関根さん。「こうして、企業などビジネスの現場と、教育の現場の両方にマインドフルネスを浸透させられたら、心の病や自殺が減ると思いますので」と続けます。また、セミナーをやる際には(関根さんは医師ではないので)、医学博士や東大准教授など呼吸器官の専門家、プロフェッショナルな方に内容を監修してもらったりもしているそうです。
関根さんは、筋トレもヨガもキックボクシングもでき、身体も心も両方ケアできるパーソナルジムの運営も行っています。
そんな関根さんに今後の展開を伺ったところ、次のように話してくれました。
「マインドフルネスの資格、セミナー、パーソナルジム。そしてボランティアとして話をする教育現場。身体の面については自分よりも知識のある先生方に協力していただきながら、ウェルビーイングの観点から、マインドフルネス、身体的・精神的・社会的健康を多くの人に伝えていけたらと思っています」
強くて温かい関根さん。お話をお伺いしているだけで前向きで爽やかな気持ちになれます。これからの時代、関根さんの活動が、本当にますます多くの場所で求められることと実感します。お話、有り難うございます!
以上(2024年1月作成)
運転者は、さまざまな道路標識を見ながら運転しています。安全運転にはそれら道路標識について正しく理解している必要があります。もしも運転中に道路標識を見落としたり、その意味が分からなかったりすると、交通違反をしてしまったり、交通事故を起こしてしまうといったことに繋がる可能性があります。
そこで、今回は道路標識について考えたいと思います。
道路標識には本標識4種類と補助標識があります。
案内標識は、地名や距離などを示して通行の便宜を図ります。警戒標識は、道路上の危険や注意すべき状況などを運転者に知らせて注意を促します。規制標識は、特定の交通方法を禁止、または指定します。指示標識は、特定の交通方法や道路交通上決められた場所などを指示します。
そして、補助標識は、本標識と合わせて取り付けられ、規制等が適用される時間や区間、自動車の種類などを特定し、規制内容を補足します。
道路上には多種多様な道路標識があり、歩行者や車が道路を安全かつ円滑に利用するうえで重要な役割を担っています。
したがって、運転者一人一人が道路標識を意識し、その意味を正しく理解して交通ルールを守ることが大切です。
一見、似ている道路標識でも意味が異なります。例えば、以下の道路標識などは間違いやすいと言われている標識です。
道路標識を間違って理解していたり、運転中に標識を見落としたりすると、交通違反や交通事故の原因となる可能性があります。標識の意味が分からない時は交通教本等で確認することが大切です。
運転中は道路標識に意識を向けるようにして、安心・安全・快適なドライブを楽しみましょう。
全日本交通安全協会 「わかる 身につく 交通教本」https://www.jtsa.or.jp/about/teaching.html
国土交通省 「道路標識一覧」https://www.mlit.go.jp/road/sign/sign/douro/ichiran.pdf
以上(2024年1月)
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画像:amanaimages
皆さん、あけましておめでとうございます! 新しい年を迎え、皆さんの明るい表情を見ることができてとてもうれしく思います。
さて、皆さんは今年の目標を決めていますか?今日は、私から皆さんに「今年はこういう人になってほしい」とお伝えしますので、目標をもう決めている人も、まだこれからの人も、ぜひ一度考えてみてください。
今年、皆さんに目指してほしいのは
「見つけられる人」になること
です。これは、「目に見えないことに気付ける人」という意味です。具体的には、今から言う3つのことを「見つけられる人」になってほしいと思っています。
1つ目は、「ありがとうを見つけられる人」です。これは、私の尊敬する経営者の方が心掛けていると教えてくれました。とても共感しています。
人は誰しも、自分一人で生きているわけではありません。周りの人の支えがあってこその毎日です。電車や飛行機、車で移動できるのも、ご飯を食べられるのも、毎日仕事があるのも、パソコンを使って仕事を進めることができるのも、全て周りの人、もっと言えば自分以外のあらゆる人の支えがあるからです。コーヒー飲料の有名なキャッチコピーで「世界は誰かの仕事でできている」というものがありますが、まさにそれです。そうした目に見えない周りのありがたさに気付き、感謝できるようになりましょう。
2つ目は「楽しさを見つけられる人」です。どのような仕事にも「楽しさ」はあります。それを見つけられるかどうかは、自分次第です。楽しさを見つけるには、夢中で取り組むこと、そして進化するよう工夫することです。昨日より今日と、何か一つでも進化できるよう、夢中になって工夫してください。そうすれば楽しさに気付けます。
私は昔、ひたすら毎日、大量の数字データを入力するという仕事をしたことがあります。そのとき、より速く進められるようにしたいと思い、自動化する仕組みをつくりました。毎日試行錯誤でしたが、とても楽しく、本当に夢中でした。今もその姿勢は変わっていません。
そして3つ目は「チャンスを見つけられる人」です。「こういう商品があればお客さまに喜ばれるのではないか」「こういうところにニーズがあるのではないか」といったチャンスです。お客さまとの会話、社内外の人とのやりとり、世の中の動き、日々のニュース一つとっても、アンテナを張っていれば、新商品を生み出す、新市場を開拓する、営業するチャンスにつながります。あらゆるところにチャンスはあると気付いてください。
「ありがとう」「楽しさ」「チャンス」。皆さんはイメージできたでしょうか? 今年は、この3つを見つけられる人に、ぜひなってほしいと思います。「見つけられる人」になれば、毎日が今より豊かになるのは間違いありません。今日から、「見つけられる人」を目指しましょう!
以上(2024年1月)
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画像:Mariko Mitsuda
「オーラルケア」とは、
歯や歯茎だけではなく、口の中(口腔)全体をケアし、虫歯や歯周病などを予防・治療すること
です。オーラルケアによって脳や心臓の病気、糖尿病などのリスク低減につながるとされているので、歯科医師による「歯科健診」を実施することをお勧めします。
この記事では、東京都向島歯科医師会 おおくぼ歯科医院(東京都墨田区)の院長を務める、歯学博士の大久保勝久(おおくぼかつひさ)氏からお聞きした、オーラルケアや歯科健診のポイントを紹介します。お伝えしたいことは次の通りです。
口の中の環境は、カラダのさまざまな疾患と関係しています。
虫歯や歯周病は歯や歯茎が痛むだけでなく、脳や心臓の病気につながる恐れがありますし、糖尿病とも関連性が深いとされています。
「歯の1本1本には血管が通っています。虫歯や歯周病になると、歯や歯茎から菌が入って血管から全身に運ばれます。例えば、菌が心臓の膜にこびりつくと、動脈硬化が進んで狭心症や心筋梗塞の原因になります。他の臓器でも同じような現象が起こり得ます。
また、歯や歯茎から入る菌の中には、血糖値をコントロールするインスリンの働きを妨げるものがあり、これが糖尿病の原因になります。ちなみに、これを逆手に取って患者の歯石(歯垢(しこう)が硬くなったもの)を除去し、血糖値を下げるという治療法もあります」(大久保氏)
舌や喉のケアも大切です。歯科医師が注目しているのは、
物をうまく食べられなくなったり、飲み込めなくなったりする「嚥下(えんげ)障害」
です。嚥下障害は、嚥下機能(噛(か)んだり、飲み込んだりする機能)が、加齢などで衰えることによって起こります。
「嚥下機能が衰えると、食べ物や飲み物でむせやすくなり、放置しておくと、それらが肺に入って誤嚥性(ごえんせい)肺炎を起こす恐れがあります。特に高齢者は、誤嚥性肺炎により亡くなるケースが少なくありません」(大久保氏)
図表2は、東京都歯科医師会が「口腔機能の向上」が必要な特定高齢者を選別するために使用しているリーフレットです。
高齢者向けの内容ですが、仮に「最近、固いものが食べにくくなった」「お茶や汁物等でむせることがある」など思い当たる節があったり、口の中がリーフレットの写真と似たような状態にあったりするなら、早めに歯科医師に相談したほうがいいでしょう。
「例えば、嚥下障害は加齢だけでなく、脳梗塞を患ったり口腔にがんができたりして起きることもあります。逆にいうと、口の中に違和感があると思ったタイミングで歯科医師に診てもらえば、そうした疾患を早期に発見し、重篤化を防げる可能性があります」(大久保氏)
逆に異常があるのに放置しておくと、症状は時間とともにさらに悪化します。
「30~40代の頃は、歯に物が挟まったり歯茎から血が出たりするぐらいだった人が、50~60代になって、歯がグラグラするようになり物が噛めなくなるケースなどがあります。オーラルケアは『症状が軽いうちから』が基本です。ですから、定期的に『歯科健診』を受け、口の中をこまめに歯科医師にチェックしてもらうことは、とても大切です」(大久保氏)
歯科健診は、正しくは「歯科健康診査」といい、主に虫歯・歯周病の予防と早期発見・治療のために、歯の健康状態を確認するプログラムのことを指します。要は「口の中の健康診断」で、
定期健康診断などと同じように、定期的(年1回など)に実施するのが望ましい
とされています。
日本では、乳幼児(1歳半・3歳)から高校生までは、自治体や学校による歯科健診の実施が義務付けられていますが、成人については義務付けられていません(例外として、一部の有害な業務に従事する社員については、会社による歯科健康診断の実施が義務付けられています)。
ただ、オーラルケアがカラダ全体の健康に影響することから、政府は歯科健診の重要性に注目していて、2023年の骨太の方針でも「生涯を通じた歯科健診(国民皆歯科健診)」に向けた取り組みなどを推進していくと表明しています。
日本歯科医師会では、歯科健診の主な内容として、次の7つを挙げています。基本的には歯や歯茎のケアが主体になりますが、「7.歯科相談」では嚥下機能などにも焦点を当て、口の中全体のケアを行います。
歯科健診を実施するのは歯科医師です。どこの歯科医師に頼めばいいか分からない場合、ひとまず定期健康診断の実施先の医療機関に相談するのがよいそうです。
「定期健康診断の実施先で、法定項目以外のオプション検査を設けている医療機関はたくさんありますが、歯科健診をオプションにしているという話はあまり聞きません。ですが、こうした医療機関の多くは、同じ地域の歯科医師会とつながりがあるので、『歯科医師を紹介してほしい』と頼めば、応じてくれる可能性が高いです」(大久保氏)
社員に歯科健診を受けさせたい場合、定期健康診断と時期を合わせて、年1回など定期に実施するとよいでしょう。ただし、歯科健診を受けさせるためには、事前に「就業規則等に、歯科健診の受診を義務付ける規定を設ける」か「本人の同意を得る」必要があります。
前述した通り、成人に対する歯科健診の実施義務はありませんが、各自治体(市区町村)では
特定の年齢に該当する成人が、無料または安価で歯科健診を受けられる「成人歯科健診」
を実施しています。例えば、東京都墨田区の成人歯科健診の内容は次の通りです。
特定の年齢に該当しなくても歯科健診は受けられますが、その場合は費用が発生します。
「医療機関によって異なるので一概にはいえませんが、費用負担が発生する場合、1人当たり8000円ぐらいになると思います」(大久保氏)
歯科健診後は、歯科医師から本人に対し、保健指導が行われます。保健指導の内容は、
など、さまざまです。なお、オーラルケアに関わるのは歯科医師だけでなく、口の中の健康状態に応じて、理学療法士や管理栄養士がサポートに入ることもあるそうです。
「例えば、嚥下障害の場合、嚥下機能の回復訓練が必要なら理学療法士に、専門的な栄養指導が必要なら管理栄養士に相談するケースがあります。かつてのオーラルケアは、歯科医師だけしか関与しない、ある意味閉鎖的な側面があったのですが、今はさまざまな職種の人を巻き込んで、地域全体でオーラルケアに取り組もうという流れに変わってきています」(大久保氏)
歯磨きは、自分では磨けているつもりでも、実は一部の歯に歯ブラシがちゃんと届いていないケースが多いです。歯磨きのポイントはたくさんありますが、まずは「鏡を見つつ、奥歯から磨くこと」が大切です。
「前歯以外の歯は、基本的に自分がイメージするより、さらに奥にあります。ですから鏡を見つつ、奥歯から磨くようにすると、磨き残しが少なくなります。また、利き手の関係で歯ブラシが届きにくい箇所が出てきますから、奥歯から磨くのと併せて『一度右側から磨いたら、今度は左側から磨いてみる』など、歯磨きのルートを変えてみることも大切です」(大久保氏)
なお、自分に合った歯の磨き方は、「親知らずが生える途中か」「歯に詰め物があるか」「喫煙しているか」など、歯の状況や生活習慣によって変わります。日本歯科医師会ウェブサイトに、年齢や性別を選択した上でいくつかの質問に答えると、自分に合った正しい歯の磨き方を教えてくれるページがあるので、気になる人はのぞいてみてください。
■日本歯科医師会「あなたにピッタリな歯のみがき方を探してみよう!!」■
https://www.jda.or.jp/hamigaki/
水分が不足すると口の中に汚れが残りやすくなり、虫歯や歯周病の原因になります。ですから、日ごろから水分はこまめに摂ることが大切です。ただ、飲み物を飲む嚥下機能は加齢とともに落ちていいきます。そのため、高齢になったら、
など、飲み方に気を付けましょう。
「夜も口の中に汚れがあると、寝ている間にそれが喉に入り、誤嚥性肺炎を起こす恐れがあります。夜、酒を飲んで帰宅するときなどは、歯磨きを忘れたまま寝てしまいがちですが、うがいをするだけでも最低限の効果はあるので、忘れないようにしましょう」(大久保氏)
嚥下機能の衰えは、訓練次第である程度抑えることができます。例えば、
口を最大限に開き、10秒間その状態を保持する動きを、1日5回×2セット
やってみてください。「開口訓練」といいますが、これを繰り返すことで、食道の入り口部分の面積が広がるなどして、食べ物が喉に詰まりにくくなります。この他、有名なものとして、
などがあります。日本歯科医師会ウェブサイトで、「オーラルフレイル対策のための口腔体操」として紹介されているので、気になる人はのぞいてみてください。
■日本歯科医師会「オーラルフレイル対策のための口腔体操」■
https://www.jda.or.jp/oral_frail/gymnastics/
一番大切なのは「口の中の自覚症状に敏感になること」です。例えば、毎日歯磨きをする中で、「歯肉の色が赤い、腫れている」「歯の間に物が挟まりやすい」などの違和感を覚えたら、早めに歯科医師に相談してください。
また、目から入ってくる情報だけでなく、口臭にも注意が必要です。
「例えば、毎日ちゃんと歯を磨いているのに口臭がきつい場合、内臓疾患の恐れがあります。実際に口臭が気になって受診してみたら、初期のがんであることが分かり、早めに対処できたケースもあります。繰り返しになりますが、日ごろから口の中をこまめにケアすることが、カラダ全体の健康を守ることにつながるのです」(大久保氏)
大久保勝久(おおくぼ かつひさ)
公益社団法人 東京都向島歯科医師会 おおくぼ歯科医院院長。
1985年に東京都墨田区で同医院を開業後、1992年に移転。以来、30年にわたって地域住民の口腔内の健康管理に積極的に取り組み、高齢者の訪問診療や介護予防にも注力。豊富な診療経験と、行政や多職種と連携した地域のネットワークを活かし、現在は子どもから大人まで生涯を通じての食事指導や災害時の食支援ネットワークにも携わっている。
以上(2024年1月)
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xavier gallego morell-shutterstock