新たな世界目標「ネイチャーポジティブ」とは? ビジネスへの影響を解説!  

書いてあること

  • 主な読者:自社敷地内に遊休地がある経営者、新しいトレンドワードが気になる経営者
  • 課題:ネイチャーポジティブが何なのか、企業として何に取り組むべきかが分からない
  • 解決策:生物多様性の「回復」に重きを置いた概念。23の具体的な取組目標(ターゲット)を押さえる。自社敷地内に自然がある場合、動植物の調査、公表などから始める

1 新たなトレンドワードに? 「ネイチャーポジティブ」とは

今、「ネイチャーポジティブ」という言葉が世界的に注目を浴びています。SDGsと同じく地球環境を良くするための経済的な世界目標の一つで、簡単に言うと、

企業・経済活動によって生物多様性を維持するだけでなく、回復させる

というものです。2022年12月のCOP15(国連生物多様性条約第15回締約国会議)で世界目標として合意され、日本も2023年3月に、ネイチャーポジティブ実現に向けたロードマップとして「生物多様性国家戦略2023-2030」を閣議決定しました。

SDGsと同様、企業の経済活動に大きな影響をもたらすとされ、その経済効果は2030年時点で125兆円に及ぶ(ビジネス機会の創出が47兆円、サプライチェーン(供給網)への波及効果が78兆円)と推計されています(環境省「第4回ネイチャーポジティブ経済研究会(2023年3月6日)」)。

ただ、ネイチャーポジティブという言葉自体がまだ登場して間もなく、現状では事例などもあまり集まっていないため、「聞いたことはあるけど、具体的なイメージが湧かない」「企業(特に中小企業)にどんな影響やメリットがあるのか分からない」という人は少なくありません。

そこで、この記事では、書籍「自然再生をビジネスに活かすネイチャーポジティブ 企業成長につなげる環境世界目標」を上梓した日刊工業新聞記者・松木喬(まつきたかし)氏に、ネイチャーポジティブの中身や経営面についてインタビューしました。主に次のようなことが分かりましたので、以降で詳しく解説していきます。

  • ネイチャーポジティブは、SDGsの目標14(海の豊かさを守ろう)と目標15(陸の豊かさも守ろう)との関係が深く、23の具体的な取組目標(ターゲット)がある
  • 23のターゲットのうち、「情報開示」など企業に影響の大きいものが3つある
  • 企業の先進事例として、自社敷地内の自然を回復させたものなどがあるが、いきなり大きなことをやろうとせず、敷地内の動植物の調査、公表などから始めてもよい

2 気になるネイチャーポジティブの中身は?

前述の通り、ネイチャーポジティブは、

自然を減らさない「保護」や「配慮」は当然のものとして、さらに「回復」を企業活動の前提として求める

という概念です。もう少し具体的に解説すると、

SDGsの目標14(海の豊かさを守ろう)と目標15(陸の豊かさも守ろう)について、2030年までに達成すべき23のターゲットを掲げ、達成に向けた行動を企業に求めていく

というものです。日本自然保護協会が23のターゲット内容を簡略化したものが次の図表です。

画像1

実は、SDGsの17目標は2030年を達成期限としていながら、目標14と目標15については2020年までの目標しか定められていません。2010年のCOP10で合意された愛知目標がベースになっているからです。そこで前述したCOP15で「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が新たに合意され、2030年までに達成すべき23のターゲットが掲げられたのです。

次章では23のターゲットのうち、松木氏への取材を基に、特にビジネスへの影響が大きいと考えられる重要なものだけを取り上げて、その中身を解説します。23のターゲット全てについて詳しく知りたい場合、下記ウェブサイトの環境省仮訳をご確認ください。

■昆明・モントリオール生物多様性枠組(環境省仮訳(2023.3))

https://www.biodic.go.jp/biodiversity/about/treaty/gbf/kmgbf.html

3 ビジネスへの影響が大きいターゲット15、18、19

1)企業にとって最もキツい? ターゲット15「情報開示」

ターゲット15は、ビジネスによる生物多様性への影響を低減するため、大企業や金融機関に

  1. 生物多様性への依存や影響を定期的に評価し、透明性をもって開示する
  2. 持続可能な消費パターンを推進するために消費者に必要な情報を提供する
  3. 該当する場合は、アクセスと利益配分の規則や措置の遵守状況について報告する

の3つの取り組みを求めるものです。2023年9月には国際組織「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」により、情報開示のフレームワーク(最終版)が公開されました。開示は義務ではないものの、今後世界的に広まることで、企業は生物多様性に関する情報開示を迫られ、投資家や消費者に選別される時代がやってくると考えられます。

「雨の少ない地域で水を使い過ぎたり汚れたまま排水したりしていないか、希少種がいる森林を強引に伐採して工場を建設していないか、取引先の海外企業が河川や海を汚染しながら操業していないかなど、サプライチェーン全体で環境に配慮しているかを投資家や消費者が、投融資や消費行動の一つの目安として判断する時代になるかもしれません。特に金融機関は、法令違反がなくても社会から批判され、信用が失墜するレピュテーションリスクを気にしています。そして今後は『自然を回復しています』と開示する企業が、金融機関からの優遇を受けやすくなるといった流れが来るのではと予想しています」(松木氏)

情報開示は国際的なグローバル企業や一部上場企業が特に求められるという流れはありそうですが、中小企業も無関係ではありません。SDGsと同様、大企業のサプライチェーン上にある下請け企業や、大企業と取引をしている中小企業にも開示が推奨される可能性があります。

また、これまで企業でもサステナビリティ推進部や環境部といった専門部署しか知らなかったネイチャーポジティブという言葉が、財務部門にも認知されるようになるとみられます。

2)特に気になるお金の問題 ターゲット18「補助金」と19「資金動員」

ターゲット18は簡単に言うと、

生物多様性に有害な補助金を5000億ドル削減する

というものです。企業としては「有害な補助金」が何を指すのかが気になるところでしょう。松木氏は、「生物多様性は対象が明確ではないが」と前置きをしつつ、次のように述べています。国際社会の動きや日本政府の判断を注視する必要があるでしょう。

「大型漁船を建造する補助金が、魚介類の乱獲を助長するものとして有害となるかもしれないし、これに対する金融機関からの融資や損害保険会社の保険サービスも有害な補助金とみなされるかもしれない」(松木氏)

ターゲット19は簡単に言うと、

生物多様性の保全のため、少なくとも官民合計2000億ドル以上の資金を動員する

というものです。官民連携の取り組みですが、関連する企業はまだ明確になっておらず、こちらも日本政府の判断を注視する必要があります。

現時点では、環境省「第3回ネイチャーポジティブ経済研究会(2022年11月24日)」の資料(下記URL)が参考になります。同資料では、「ネイチャーポジティブなビジネスモデルに従事する機会」として、世界経済フォーラム(2020)が68種特定したもの(日本版では51種を対象として算定)を紹介しています。エコツーリズムや代替肉、食品廃棄物の利活用、住宅シェアリングなど、すでに日本政府が事業再構築補助金などを通じて推し進めている産業分野なども含まれています。

■環境省「第3回ネイチャーポジティブ経済研究会(2022年11月24日、資料5参照)」■

https://www.env.go.jp/nature/business/nature_positive_council/01_00003.html

4 具体的にネイチャーポジティブ経営とは何をするの?

こうした世界目標は内容が抽象的なのが特徴で、中小企業が経営面で何をすべきなのかは不明瞭なことが多いのが常です。そこで、この章では、先進事例をベースに「ネイチャーポジティブ経営」として評価される取り組みとして、次の3つを紹介します(1.が最もハードルが高く、3.が最もハードルが低くなります)。

  1. 自社の遊休地や敷地内の自然を回復させる。その土地本来の動植物を保全・再生しつつ、イベントなどを通して近隣住民や自治体と連携し、地域活性化にもつなげる
  2. 自社の遊休地や敷地内の自然に、どういう動植物がどの程度いるのかを把握して公表する
  3. 原材料や事務用品の調達について「自然を回復させている」「生物多様性に配慮している」企業のものを優先的に調達するようにする

1)自社の敷地内で自然を回復させた事例

まずは、自社工場の広大な敷地内に里山を復活させた実践事例を紹介します。資本的余裕のある大企業でないとハードルが高いと思われるかもしれませんが、中小企業も参考にできる部分があるのでご確認ください。

パナソニック草津拠点(滋賀県草津市)には、52万平方メートルの広大な敷地内に、840種の動植物が生息する1万4000平方メートルの緑地「共存の森」があります。従業員が2011年から整備し、半世紀前の地元に広がっていた自然風景を再現させました。

整備前は外来植物が多く、生物多様性の質が高い場所とはいえませんでした。そこで専門家の助言を得ながら外来植物を伐採し、代わりに鳥が運んできた種が発芽した苗を栽培。拠点内に自生するコナラからドングリを採り、自宅で育ててから移植する「森の里親活動」に参加するボランティア社員も募ったといいます。

そうした取り組みの結果、当初580種だった動植物は2016年には840種まで回復し、生物多様性の豊かな場所となりました。

「共存の森」が特徴的なのは、管理が最小限に抑えられているという点です。これは同社が滋賀県内の環境関連の企業に協力を仰いだ結果です。例えば、三東工業社(滋賀県栗東市)は将来の成長も織り込んだ森の造成工事などを行っています。また、生物多様性コンサルタントのラーゴ(滋賀県近江八幡市)は専門的なモニタリングによる動植物の識別・同定、データ化に大きく貢献しており、これらが面倒な管理を省く結果につながっています。

このように、敷地内の自然回復は自社だけでなく、近隣の企業を巻き込んだ取り組みとなります。さらに同社は近隣の小学校に環境学習の場を提供しており、環境保全に取り組む企業姿勢を地域全体に伝えることができています。

松木氏によると、こうしたネイチャーポジティブの取り組みは「担当社員がすごく楽しそう」なのが大きな特徴だといいます。

「従来のCO2削減のための節電などは、実際に成果が見えるのは総務部くらいのものです。しかしネイチャーポジティブは自然、木や動物を増やす取り組みなので、誰もが『見える』というのが大きい。『CO2を減らす』は我慢だが、『緑を増やす』は目に見えるのです。取り組みも分かりやすいので多くの従業員も参加でき、それが大きなモチベーションにつながっているようです」(松木氏)

また、「共存の森」などの取材を通して見えてくる可能性として松木氏は、「地場の造園業」への影響を挙げています。

「共存の森のような取り組みには、他企業や専門家の協力が欠かせません。地元にもともと植生していた木を植える際には、地域の造園業者に依頼するケースが多いのではないかと思います。造園業者は潜在植生の専門家なので、『この木は外来種でもともと地域にあった木じゃないから他に移したほうがいい、切ったほうがいい』といったアドバイスをしてくれます。もしかしたらネイチャーポジティブで最も直接的に影響を受ける中小企業は、造園業者かもしれません」(松木氏)

「共存の森」の取り組みは、大企業の資本力だからこそできると捉えられがちですが、

「このパナソニック草津拠点単体を地域の地場工場と捉えれば、地方の中小企業でも応用可能ではないか」(松木氏)

とのことです。地域活性化につなげやすいこの取り組みは、さらに企業の宣伝・ブランディングにも寄与します。例えば同じ性能・価格帯の商品がある場合、「自然を回復させている企業のほうが良さそう」といった新たな指標、価値・評価基準が生まれつつあります。

2)まずは自社敷地内の動植物を調査、公表する

自社敷地内の自然を回復させる取り組みの前段階ですが、敷地内の動植物を調査し、どういう木が何本あり、鳥や花はどんな種類があるのかを可視化して数で示すという取り組みもあります。これも立派なネイチャーポジティブ経営といえます。

頻度も、例えば年に一度数えるだけでもよく、もし植林や自然回復の取り組みなどを行うのであれば、「木が何本から何本に増えました」「外来種を何本から何本に減らしました」といった報告も可能になります。

そこまでいかなくても、定期的に自社敷地内の自然をモニタリングすることは、それだけで「生物多様性に配慮している企業」として評価されやすく、地域や世間に対して大きなアピールになるでしょう。

3)原材料や事務用品の調達でネイチャーポジティブ経営の企業を選ぶ

松木氏は、「一番ハードルの低いネイチャーポジティブ経営は調達」だと言います。

「自社内に余った敷地や緑地がなくても、例えば工場で使う備品をプラスチックから木材に変えたとか、紙は輸入パルプではなく国産材を使っているとか、そういったレベル感でも十分といえます。『国内の森林保全のために〇〇社から調達しています』などと表明することでも、十分にネイチャーポジティブ経営をしている企業とみなされるでしょう」(松木氏)

この章で紹介した3つの取り組みを読んで、もしかしたら「自社はすでにネイチャーポジティブ経営に取り組んでいる」「まだ取り組んでいないが、自社で実践可能かもしれない」と思った人もいるかもしれません。どこかイメージしにくかった「ネイチャーポジティブ」が、実は意外と身近なものだと気付いていただけたのなら幸いです。

松木喬(まつき たかし)
1976年生まれ、新潟県出身。松木喬
2002年、日刊工業新聞社入社。2009年から環境・CSR・エネルギー分野を取材。著書『SDGs経営 社会課題解決が企業を成長させる』『SDGsアクション〈ターゲット実践〉インプットからアウトプットまで』『自然再生をビジネスに活かす ネイチャーポジティブ』(すべて日刊工業新聞社刊)。日本環境協会理事、日本環境ジャーナリストの会会長、元新潟市産業振興財団技術「見える化」支援事業専門家、eco検定(環境社会検定試験)、環境プランナーベーシック合格

以上(2023年12月作成)

pj10076
画像:beeboys-Adobe Stock

経営者550人に聞きました 今年の忘年会は飲む? 飲まない? ジワリと広まる「ソバーキュリアス」

書いてあること

  • 主な読者:忘年会、新年会シーズンになり、たくさんの飲み会を控えている経営者など
  • 課題:飲みすぎると翌日のパフォーマンスが落ちるが、飲み会で飲まないというのも……
  • 解決策:シーン(相手や会食の重要度など)によって「飲む量」を使い分ける

1 お酒を飲まない経営者が増えている?

2023年も残すところあとわずかになりました。2023年はコロナ禍で自粛していた忘年会を復活させる会社も多く、年が明ければお正月や新年会などお酒を飲む機会が増えます。

大いに盛り上がりそうな年末年始です!

宴会好きにはたまらないシーズンですが、最近、お酒を飲めるけれど、量を控えたり、あえて飲まなかったりする人が増えてきていることをご存じですか。そうしたライフスタイルを「ソバーキュリアス」と呼び、今では若者だけではなく年配の人にも広まってきています。皆さんのまわりにも、飲み会でお酒は最初の1杯だけにしたり、全く飲まなかったりする人はいないでしょうか?

ソバーキュリアスが増えている背景にはどのような価値観の変化があるのか、実際に経営者はお酒を飲まなくなったのかを見ていきましょう。

2 ソバーキュリアスとは?

ソバーキュリアスとは、

「sober(しらふ)」と「curious(好奇心あふれる)」の造語で、お酒を飲めるけれど、あえて飲まない(量を控える)ライフスタイル

のことです。諸説ありますが、日本では2021年ごろから注目され始めたとされています。禁酒や断酒と似たイメージがあるかもしれませんが、両者は似て非なるものです。禁酒や断酒は、お酒が好きなのに健康のためなどそうせざるを得ない事情があってするわけですが、ソバーキュリアスはポジティブに自ら選択するライフスタイルです。

なぜ、今ソバーキュリアスが増えているのか。それは、次のようなメリットがあるからです。

1)健康への関心

まずは何といっても健康への関心の高まりです。アルコールが健康に与える影響はさまざまで、過剰摂取すればさまざまな問題を引き起こす恐れがあります。メンタルヘルスについても同様です。ストレスや不安を和らげるために過度にアルコールを摂取するのはよくありません。それに、飲酒は睡眠の質を落とすともいわれます。こうした問題を避けるために、あえて飲まない選択をしているのです。

2)時間の有効活用

「タイパ(タイムパフォーマンス)」という言葉があるくらい、現代はいかに有効に時間を使うかを重要視します。酔って寝てしまったり、翌日に二日酔いでパフォーマンスが落ちたりするくらいなら、お酒を飲まず、しらふで時間を有効に使いたいという価値観が広まっています。

3)お金の節約

お酒を飲むと、それなりにお金がかかります。忘年会や新年会のシーズンはなおさらで、2次会、3次会と続くと出費がかさみます。飲んだ後にお腹が減り、シメにラーメンやパフェを食べることも。家で飲む場合も同じでしょう。その点、お酒を飲まなければ、出費を抑えられます。

4)ノンアルコール飲料の浸透

今ではノンアルコール飲料の種類が豊富で、居酒屋などでも何らかのノンアルコール飲料が置いてあることが多いです。それに、何と言ってもおいしくなっていますので、お酒のようなテイストを楽しむことができます。

5)お酒をめぐる価値観の変化

以上、ソバーキュリアスが増えている理由をいくつか紹介しましたが、

根底には、お酒をめぐる価値観の変化

があります。飲み会を例にとれば、かつては「飲み会でお酒を飲まないなんて言語道断」という雰囲気がありましたが、今ではお酒を勧めすぎると「アルハラ」と呼ばれる時代です。あるいは、多少酔っていても「無礼講」でコミュニケーションをとることが親密な証しだった雰囲気も変わり、今ではしらふで相手に配慮しながら話せるスマートさのほうが大切だと考える人が増えているようです。

これは、どちらが良いか悪いかということではなく、個人の選択です。ソバーキュリアスも完全にお酒を飲まないとは限らず、これまで週5日飲んでいたところを週1回にするとか、会社での飲み会では飲まないようにするなど、さまざまな選択が考えられます。ある意味で、ソバーキュリアスはお酒に対する選択肢を増やし、個人の自由度を高めるものであるといえるため、世代を超えて広まりを見せつつあるのでしょう。

3 【経営者アンケート】飲む選択と飲まない選択

では、実際のところ経営者にソバーキュリアスは広まっているのでしょうか。お酒を飲める経営者550人を対象に独自アンケートを行いました(実施期間は2023年11月29日から11月30日まで)。その結果は次の通りです。

1)お酒を飲む頻度

お酒を飲む頻度については、「変わらず、飲んでいる」という経営者が51.6%と過半数なのに対し、「飲まなくなった」という経営者は8.0%にとどまります。一方、「会食の重要度によって、量を減らしたり、飲まなかったりする」という経営者が26.0%いることから、飲む量を使い分けている経営者が少なくないようです。

お酒を飲む頻度について

2)お酒を飲む理由

次にお酒を飲む理由について聞いてみました。「お酒が好きだから」という納得の理由を示す経営者が71.8%と、最も多くなっています。注目したいのは、「多少、酔ったほうが会話も弾んで楽しいから」という経営者が47.5%いることです。場を盛り上げるなどの目的で、あえてお酒を飲むというケースもあるのでしょう。

お酒を飲む理由

3)お酒を飲まない理由

逆にお酒を飲まない理由の上位は拮抗(きっこう)していて、「健康のため」が46.0%、「会食も仕事であり、会話に集中したいから」が44.4%、「次の日のパフォーマンスが良いため(二日酔いなどがないため)」が44.4%となっています。

お酒を飲まない理由

4)お酒の量を減らす、または飲まないシーン

前述した通り、飲む量を使い分けている経営者は少なくありません。具体的には、「大切なクライアントとの会食」でお酒の量を減らしたりする経営者は51.9%となっています。逆に「部下との1対1の会食」では、お酒の量を気にする経営者が少ないようです。

お酒の量を減らす、または飲まないシーン

5)ソバーキュリアスを知っているか

最後に、ソバーキュリアスという言葉を知っているか質問してみました。

すると、「ソバーキュリアスという言葉を知っている」という経営者は13.1%にとどまっていました。経営者は、ソバーキュリアスに関係なく、ビジネスシーンに応じて、既に飲む量を使い分けているということでしょう。

ソバーキュリアスを知っているか

いかがだったでしょうか。年末年始の飲み会シーズンの気になる話題を紹介しました。

2023年の忘年会、2024年のお正月や新年会。

皆さんは飲みますか? 飲みませんか?

いずれにしても健康第一!

2023年はお疲れさまです。2024年も頑張りましょう!

以上(2023年12月作成)

pj10077
画像:Mariko Mitsuda

【社長のモノサシ】会社の幹部が遅刻するのは本当に問題か?

書いてあること

  • 主な読者:遅刻を繰り返す幹部に他の社員が不満を覚えていて、会社の雰囲気が悪いことに悩んでいる会社の社長
  • 課題:社長としては、やることさえやってくれていれば、遅刻を理由に幹部を叱るつもりはない
  • 解決策:「なぜ、遅刻する幹部を叱らないのか?」 社長の考えを社員に伝える

1 【提案】社長のモノサシを社員に伝える

会社にはさまざまなルールがありますが、ある意味それらのルールの在り方を決定づけているのが「社長のモノサシ」です。社長のモノサシとは、

会社経営における社長の価値観や行動基準

であり、日々の判断はこのモノサシを基準に行われます。さて、皆さんの会社に遅刻を繰り返す幹部がいたとします。一般的に遅刻はいけないことですから、注意すべきでしょう。しかし、社長のモノサシで測れば、必ずしも常識通りにはなりません。例えば、

幹部なのだから、やることさえやっていれば多少の遅刻は問題ない

と考える社長も多いはずです。社長が自分の価値観に基づいて判断したなら、それが会社での「正解」なわけですが、社員がついて来られるかは別の問題です。次の事例で考えてみましょう。

ある会社に、遅刻を繰り返す幹部がいました。その姿を見た社員は、「幹部のくせに怠慢だ!」と強い不満を覚え、「それなら自分たちも好きにする」とサボりがちになっていきました。会社の雰囲気は悪くなり、退職する社員も出てきました。

一方、社長は「幹部なのだから、細かく管理しなくても、やることさえやっていればよい」と考えていました。しかし、その考えが社員に全く伝わっていませんでした。社員は、何も言わない社長を見て「問題幹部を放置している!」と不信感を抱きました。

社長の価値観はミッション・ビジョン・バリューといった言葉に置き換えられますが、概念的なため、なかなか日々の社長の判断と結び付けて考えることができません。そのため、社長が社員目線とは異なる判断をすると、社員はその理由が分からずに不満を覚えます。判断が“ブレない”ようにするためにも、社長は自分のモノサシに自信を持つべきですが、それを基準にスムーズに会社運営をするには、モノサシの尺度をしっかり社員に伝える必要があります。

2 「千里の道も一歩から」の千里は何キロメートル?

社長のモノサシがあるように、社員にも「社員のモノサシ」があります。ただ、2つのモノサシの尺度は全く違うので、互換性を持たせなければなりません。

「千里の道も一歩から」といいますが、千里とは何キロメートルでしょうか? 古く日本で用いられていた尺貫法に基づけば、1里は約3.9キロメートルなので、千里は約3900キロメートルとなります。現在は、長さを表す単位は国際的にメートル法に統一されているので混乱はありませんが、この「里」のような独特の尺度は、世界のあらゆる所で用いられています。

社長のモノサシと社員のモノサシの尺度は、里とキロメートルのように違いますから、これをすり合わせなければなりません。基本的に、社長が社員のモノサシに近い判断をすればもめません。つまり、社長が「幹部であっても遅刻は問題である!」と判断すれば、社員も「その通り!」と納得するでしょう。しかし、社員のモノサシと違う判断をすると前述した事例のようになりかねません。

そこで、次章では幹部の遅刻が問題にならない理由の例を紹介します。

3 幹部の遅刻が問題にならないケース

1)幹部の立場

まず押さえておきたいのは法令のルールです。次のようなルールを知らない社員がいるかもしれないので、しっかりと伝えておきましょう。

詳細は割愛しますが、遅刻を繰り返す幹部が、

  • 会社法上の「取締役」
  • 労働基準法上の「管理監督者」

に該当するなら、労働時間などの規制を受けないので、基本的に遅刻を指摘する必要もありません。これらの立場にある社員は文字通りの幹部であり、通常の社員とは求められていることが違います。毎朝、決まった時刻に出社することよりも、会社の発展のために資する成果を求められているということです。

2)幹部の働きぶり

また、幹部が取締役や管理監督者ではなかったとしても、次のように、細かく労働時間を管理しないケースがあります。

1.昼夜問わず、激務をこなしている

働き方改革が進む昨今ですが、リアルのビジネスでは、「昨夜は遅くまで得意先を接待していた」「サービス開始前の準備で、昨夜はほぼ徹夜だ」というケースがあります。このように働かざるを得なかった幹部が次の日に遅刻したとしても、細かく指摘する必要はないかもしれません。

2.既に十分な結果を出している

既に十分な結果を上げている場合も同様でしょう。例えば、計画1000万円のところ、既に2000万円を達成した幹部の遅刻をやり玉に挙げるのは酷かもしれません。先ほどの激務の場合もそうですが、しっかりと働いている幹部なら、より働きやすいように環境を整えてあげることが経営者の役目です。

3.幹部候補としての教育期間である

あえて指摘せずに幹部としての自覚があるかどうかを試すケースもあるかもしれません。幹部候補になって管理されなくなった状態で、どのように自分を律するのかをみて、本当に将来の幹部にするかを決めるということです。このケースであれば、遅刻癖が直らなければ幹部候補から外すという選択もあり得るでしょう。

4 日本の縦断距離と千里はどちらが長い?

ここまでお話しした「幹部の遅刻が問題にならないケース」はあくまでも例ですが、そういうことは社員に伝わっていなければ意味がありません。そして、伝え方にも工夫が必要です。

前述した通り、千里は約3900メートルですが、そう言われてもその長さにピンときません。遠そうだとは感じますが、具体的なイメージが湧かないのです。そこで、「日本の縦断距離(最北端と最南端の直線距離)は約2700キロメートルだから、千里はざっくりとその1.5倍」と言われたらどうでしょう。こちらのほうがイメージしやすいはずです。

社員が分かりやすいように、身近な例を使ったり、具体的な数字を使ったりして伝えるとよいでしょう。例えば、幹部が取締役であれば、

私(社長)と同じ取締役なので、何時間働いたかではなく、どれだけ成果を上げたかに対する責任が求められている

と伝えます。「社長と同じ」といわれれば、社員も納得するでしょう。

また、幹部が激務をこなしている場合、

Aさん(幹部)は、2000万円のプロジェクトを成功させるため、連日深夜まで働いている

といったように伝えます。「2000万円」という具体的な数字を示されれば、社員はプロジェクトの大きさを実感でき、幹部をサポートするようになるかもしれません。

この他、幹部にフレックスタイム制やみなし労働時間制といった自由度の高い働き方を適用して、制度的な裏付けをすることも一策です。

5 丁寧に伝えるが変える必要はない

社長の価値観や行動基準は、会社らしさの源泉です。社長のモノサシが理由で社員が不満を覚えることもあるでしょうが、それが社長の信じる方向ならば変える必要はありません。ただ、組織のいらぬ混乱を避けるために、社長のモノサシの尺度については、丁寧に社員に伝えるなどして浸透させる必要があります。そうすることが、それが社長の信じる道に組織を率いていきやすいベースを作ることにつながります。

以上(2024年1月)

pj10075
画像:Elnur-Adobe Stock

冬道への備え(2023/12号)【交通安全ニュース】

活用する機会の例

  • 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
  • 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
  • マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など

今シーズンは「暖冬」と言われています。

とはいえ、季節は冬。路面の積雪や凍結が生じやすい季節です。突然の大雪で車が走行できなくなったり、急に気温が下がって路面が凍結し、スリップ事故を起こしたりするリスクがあります。

突然の積雪等に慌てないよう冬道への備えを行いましょう。

冬道への備え

1.暖冬と走行リスク

今シーズンは暖冬の予想ですが、一時的に大雪となる可能性もあると言われています。また暖かい日が続くと冬道を走行する準備が遅れたり、気が緩んだりして事故につながるおそれもあります。

◆突然、大雪になった場合

夏タイヤでは、タイヤが雪にとられて前に進めない、坂道を登れない、脱輪するなど立ち往生するリスクがあります。幹線道路で立ち往生すると大渋滞を起こし、レッカー等の救援も期待できません。

立ち往生実績

出典:国土交通省「直轄国道における降雪による通行止め及び立ち往生実績(平成27年度)」
から当社作成

暖冬だった2020年は、12月に関越自動車道で2,000台超の大規模な立ち往生が発生しました。大雪の場合は、冬タイヤでも立ち往生するリスクがあり、チェーンを装着する必要があります(図1)。なお、立ち往生に関しては渋滞に長時間巻き込まれるリスクも想定する必要があります。

◆急な気温低下で路面凍結した場合

暖冬で比較的暖かい日が続くと油断しがちになるため、路面凍結に気が付かないでスリップ事故を起こすというリスクがあります。

凍結した路面は乾燥した路面より何倍も滑りやすくなります。(図2)

冬道走行とタイヤ

注)摩擦係数とは、タイヤと路面間の摩擦力の大きさを表す指数をいい、指数が小さいほど滑りやすいことを意味しています。

出典:一般社団法人日本自動車タイヤ協会「冬道走行とタイヤ」から当社作成
https://www.jatma.or.jp/tyre_user/winterroaddrivingandtyres.html

スリップ事故が多いのは交差点ですが、橋の上、トンネルの出入口付近、日陰で乾きにくい場所などは路面凍結に気が付かないことがあるので注意が必要です。

2.冬道の走行準備

積雪や路面凍結した道路の走行に向けて、早めのタイヤ交換やタイヤチェーンの携行が大切です。また、冬用タイヤやタイヤチェーンの摩耗状態や使用期限等にも留意することが必要です。

◆タイヤ交換の時期

初雪の1か月前が目安

「霜・雪・氷結の初終日の平均値」出典:気象庁「過去の気象データ検索」
https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php

◆タイヤの点検

  • 溝の深さ 1.6mmまで
  • 使用期限 3~5年間
  • 空気圧  車両指定空気圧

タイヤの点検

◆タイヤチェーンの携行時の状態確認

  • 摩耗状態 1/2まで
  • 使用期限 金属製 5~10年間
         ゴム・ウレタン製 5年間

◆タイヤチェーンの装着

チェーン規制情報が出たら早めの装着が重要

タイヤチェーンの装着

出典:国土交通省「チェーン規制Q&A」
https://www.mlit.go.jp/road/bosai/fuyumichi/tirechains.html

急な気温低下でエンジンがかからないといった事態に備え、バッテリー等の点検も必要です。

また、突然の大雪で立ち往生に巻き込まれるといった不測の事態も想定しておくとよいでしょう。

◆バッテリーの点検

電圧測定、バッテリー液の補充

バッテリーの点検

◆エンジンオイルの点検

粘度や汚れ具合の確認、補充、交換

◆不測の事態に対して準備するもの

スコップ、長靴、軍手、けん引ロープ
アイススクレーパー、解氷スプレー
食料、水、防寒具、携帯トイレ

準備するもの

3.事前の情報収集

冬道の運転には、事前の情報収集も大切です。

全国の道路における積雪や路面状態、閉鎖道路などの情報を下記のリンクから確認できます。

また、全国のライブカメラ映像も配信されているので、天候・積雪情報をリアルタイムで閲覧できます。

事前に情報収集することで、危険回避の判断や急な天候の変化に対してより適切な判断ができるようになります。冬道での事故やトラブルを回避するためにも、事前の情報収集を徹底しましょう。

事前の情報収集

オススメ!国土交通省 「冬の道路情報 雪みち情報リンク集」
https://www.mlit.go.jp/road/fuyumichi/fuyumichi.html

以上(2023年12月)

sj09098
画像:amanaimages

【朝礼】今年、あなたは何を学びましたか?

おはようございます。早くも12月になり、今年も終わりに近づいています。そろそろこの一年を振り返ってみましょう。ということで、皆さんにいくつか質問をします。

皆さんは、今年、何か新しいことにチャレンジしましたか? あるいは、「今年はこれを成し遂げた!」と自分で思えることはありますか? 昨年よりも今年、自分が進化したと感じることは何ですか?

いかがでしょうか? おそらく、すぐに答えられる人も、そうでない人もいると思います。これらの質問を通して私が皆さんに考えてもらいたいのは、

「自分は今年、何を学んだか?」

ということです。皆さんも実感していると思いますが、時の流れはとても速いものです。自分で意識して学ぼうとしなければ、何も変わらず前にも進まず、一日一日が、一年一年があっという間に過ぎ去ってしまいます。

一方、どこにいても、どれほど忙しくても、「学ぶ気」さえあれば、人は学ぶことができます。新しい知識を得る、訓練して習得する、初めてのことにチャレンジしてみる。そうして何かを学ぶことで、何歳になっても成長し、世界を広げ続けられると私は思います。そして、これが一番大事なことですが、学ぶことで、日々が楽しくなります。自分の毎日を楽しくすることができるのは、自分自身なのです。

フォード・モーターの創設者、自動車王のヘンリー・フォードはこう言っています。「20歳だろうと80歳だろうと、学ぶことをやめた者は老人である。学び続ける者は若くいられる。人生で一番大切なことは、若い精神を持ち続けることだ」。もし、今年を振り返っても、何も学んだことがないという人は、来年は何を学ぶか、何にチャレンジするか、今のうちから考えてみてください。

できれば、誰かの何かを読んだり聞いたりするだけでなく、自分で行動すること、経験することをテーマにするのがいいと思います。それも、楽にクリアできない、ちょっと苦労するぐらいの内容のほうが自分の血肉になるでしょう。

私は今年、新しく2つのことにチャレンジしました。体を鍛えることと、私たちの会社について動画で配信することです。体を鍛え始めたら筋肉の付き方が学べましたし、筋トレの時間をつくるため、より仕事の効率を考えるようになりました。動画配信では、「簡潔で相手に伝わる言葉選び」を学びましたが、これが大変でした。どうしたら相手に伝わるか、脳みそに汗をかくくらい考えなければならず、最初は独りよがりになってしまい、5分の動画を作るのにも撮り直しの連続でした。今は少しマシになりましたが、ここで満足せず、来年は、動画と当社のノウハウを組み合わせた新商品開発にチャレンジするつもりです。

皆さんは今年、何を学びましたか? そして来年は、何を学びますか?

以上(2023年12月)

pj17163
画像:Mariko Mitsuda

『傾聴』するだけで相手の心は開く/武田斉紀の『次世代リーダーに必須のコミュニケーション習慣』(5)

書いてあること

  • 主な読者:会社経営者・役員、管理職、一般社員の皆さん
  • 課題:最近話題のZ世代(1990年代後半以降生まれで会社においては20代前半くらいまで)だけでなく、それ以前の平成生まれ(30代前半くらいまで)の世代と、現在経営や管理職を担っている昭和世代との世代間ギャップが注目されています。それは価値観の違いやコミュニケーションの違いとして表れ、変化や多様性が求められる昨今、日本企業において深刻な経営の足かせとなりつつあるようです。
  • 解決策:まず会社においてZ世代を含む平成生まれと昭和生まれの世代背景を整理しながら、ギャップを埋めるための「価値観の変化」を明らかにします。その上で、筆者が多くの講演や企業研修で紹介してきた『次世代リーダーに必須のコミュニケーション習慣』を実践的に指南します。

1 『傾聴』には“姿勢”と“技術”が必要

今シリーズでは、ここ10年ほどで“真逆”と言えるほどに変化しているビジネス上の価値観を取り上げています。

それは30代後半~50代の昭和生まれ世代の管理職と、現場を任されている平成生まれ、とりわけ「Z世代」とのギャップであり、同時に「世界とのギャップ」として表れています。

シリーズでは、社内で現在リーダーを担っている皆さん、今後担っていくであろう皆さんが、このギャップを埋めるための必須のコミュニケーション習慣をご提案しています。

前々回より習慣その1として『傾聴』を取り上げています。「傾聴である」と「傾聴でない」状態を比較し、

傾聴の基本“姿勢”は、相手の話を真剣に聞こうとしている姿を見せることであるとご紹介しました。

姿勢1)相手のほうに体を向け、適度に視線を合わせながら聞く

姿勢2)最後まで聞こうとする(途中で遮る、決めつける、まとめたがる、結論を急がせるなどはNG)

前回、『傾聴』には“姿勢”と“技術”が必要と申し上げました。

今回は“技術”のほうを詳しく見ていきましょう。

2 『傾聴』の反応は、相手に届いてこそ価値がある

『傾聴』の“技術”の基本は「相手の話に反応する」ことです。

重要なのは、こちらがいくら真剣に聞いていたとしても、それが反応として相手に伝わらなければ相手はそう思えないという点です。

互いにとってストレスでしかなく、実にもったいない状態ですよね。

あなたの『傾聴』の気持ちは、反応を通して相手に届いてこそ価値があるのです。

もちろん、ただ反応すればよいのではなく、相手の話の内容によって対応を変えながら反応してこそ、『傾聴』は相手に届きます。内容によって時に大きく、時に小さく反応する。相手の気持ち、相手が感じてほしい気持ちに寄り添って反応することです。

相手の話の内容によって対応を変えながら反応することによって、相手は「この人は私の話を真剣に聞いてくれている。ならばもっと話して聞いてもらおう」という気持ちになれるのです。

反応の仕方は、次の3段階に分けられるでしょう。

1)頷(うなず)き・相槌(づち)

2)承認

3)共感

順に解説していきましょう。

1)頷き・相槌

対面であれば、相手の話のリズムに合わせて首を縦に振る(=頷く)だけで、相手への反応になります。さらには声に出して(=相槌)の反応をしてみましょう。

相槌は相手の話の間に「はい(関係性によっては、うん、ふむなど)」「なるほど」「そうですか」などを軽く差し込むのが基本ですが、より感情を込めた表現としては「へえー」「ほー」「うー(む)」などもあります。

部下や友だちなら「へえー」「ほー」でもいいけれど、上司や目上の人に「へえー」「ほー」と返したら怒られるのではないかと思われるでしょうか。そこは声の出し方です。

文字でお伝えするのはやや難しいのですが、話を聞いて思わず声が漏れてしまったように「へえー……」とか、同じく消え入るように「ほー……」と言えば失礼には当たらず、話の内容に動かされた思いがより相手に伝わるはずです。事前に自分で発声して確認してみてください。

あるアナウンサーの方は「は・ひ・ふ・へ・ほ」で反応するとよいとおっしゃっていました。「はー」「ひー」「ふー」「へー」「ほー」と驚いた、びっくりした、聞いてよかったといった気持ちを伝えられるというのです。

相槌の語源は、刀や農具を作るための鍛冶(かじ)屋で2人の職人が、金属を強くするためにカンカンと交互に打つタイミングを合わせることだそうです。会話での相槌もリズムよく打ち合えるといいですね。

3 「共感」≠「同意」という気付き

2)承認

「承認」とは文字通り、相手を認めることです。相手の話の中に出てくる事実や気持ちを、相手に伝わるように認めてあげればよいのです。

反応としては先ほどの「頷き・相槌」で出てきた「なるほど」「そうですか」をより丁寧に「なるほどー」「そうですかー」と返すのでもいいのですが、さらに一歩踏み込んで言葉を添えてみましょう。

相手「その時、私は思わず走り出してしまったんですよ」 → あなた「そうですかー。思わず走り出してしまったんですね」

相手の話し言葉をそのまま繰り返すことを「オウム返し」と呼びます。相手の言葉を繰り返すことであなたが今の話をちゃんと聞いてくれたことが伝わり、「承認」してくれたと感じられるのです。

「オウム返し」といっても、単に棒読みのように相手の言葉を繰り返すだけではダメです。

相手の気持ちに寄り添った「オウム返し」かどうかは相手に伝わります。相手のその時の気持ちを想像しながら繰り返してみましょう。

3)共感

「共感」は「承認」よりさらに一歩踏み込んだ反応です。例えば、

相手「その時、私は思わず走り出してしまったんですよ」 → あなた「そうですかー。思わず走り出してしまったんですね。そういう気持ちのとき、思わず体が動いてしまうことってありますよね」

ここで勘違いしがちなのが、

「共感」≠「同意」ということです。「共感」と「同意」は異なります。心の中では「同意」できていなくても、「共感」の気持ちを示すことはできます。

話を聞いていて「自分ならそこで絶対に走り出してしまったりしない」と思う人もいるでしょう。その思いに反して「そういう気持ちのとき、思わず体が動いてしまうことってありますよね」と声にすることには抵抗を覚えるかもしれません。

嘘をついてまで反応しましょうと言っているのではありません。言葉では「そういう気持ちのとき、思わず体が動いてしまうことってありますよね」と口にしても、心の中で「でも自分なら走り出さずに別の行動を取るだろうな」と思っていればいいのです。後で「気持ちは分かったけれど、自分はそうしないと思った」と説明することができるからです。

かくいう私も相手に合わせて自分に嘘をついたり、お世辞すらもろくに言えない性格です。けれど「共感」≠「同意」という事実に気付けたことで、相手に「共感」の姿勢を示すことに抵抗がなくなりました。「共感」を示すことで、相手もその先を話しやすくなって心を開いてくれるのであれば、互いにとってプラスではないでしょうか。

改めて相手から「あなたならどうしましたか?」と聞かれたり、相手に伝えたほうがよいと思えば、「あなたのその時の気持ちは分かったけれど、私なら違う行動をしたかもしれない」と話すでしょう。特に必要でなければ、心の中にしまっておきます。もし自分が同じような状況に置かれた際は、自身の信念に従って行動すればいいだけです。

4 「頷き・相槌」「承認」「共感」を使い分け、2~3割増しで反応する

『傾聴』の“技術”として、1)頷き・相槌 2)承認 3)共感の3つの反応の仕方を紹介してきましたが、これらの使い分けはどう考えればよいでしょう。

相手がより「聞いてくれている」と感じるのは、1)<2)<3)といえますが、相手の話には抑揚があります。ただ事実を伝える部分と、気持ちを分かってほしい部分では聞く側も反応を変えたほうが相手に気持ちを届けやすくなります。

従って基本“姿勢”から相手の話をよく聞くことを前提に、話の内容によって1)~3)を適宜変化させて反応したほうが、より高いレベルの『傾聴』が実現できるでしょう。

話を聞き始めた時点ではまだ内容がよく分からないわけですから、1)頷き・相槌から入り、次第に相手の気持ちが動いた瞬間だなと思ったら2)承認の反応を示す、さらにはここが山場だなと判断したら思いっきり3)共感の反応を示すのです。

もしも山場がこちらが思っていたところと違っていても構いません。後でもっと山場が訪れたら、さらに高い3)の共感を示せばいいでしょう。

反応を示す際には、私の経験上のアドバイスとして、「2~3割増しで反応する」ことを心がけてください。

聞く側は相手の話に1)~3)で反応しているつもりでも、意外と相手は気付かないものです。異なる人間の間で気持ちを伝えることは容易ではありません。こちらが反応している“つもり”の「2~3割増しで反応する」ことで、ようやく相手に届くと思ってください。

「2~3割増しで反応する」のは、最初は少し大げさに感じて照れくさいかもしれません。けれども「通常」と「2~3割増し」を試して、後者のほうが明らかに相手の反応が違うと知ることで「2~3割増しで反応する」ことの大切さが体感できるでしょう。

『傾聴』の“技術”はご紹介した1)~3)の他にもあります。例えば「メモを取る」のも有効です。

皆さんが上司に解決してほしいことを相談した際に、上司がメモを取らずに「分かった」と言うのと、メモを取った上で「分かった」と言うのではそれぞれどう感じるでしょうか。後者の方が、「この人は私の話を聞いてくれている。ちゃんと対応してくれそうだ」とより思えるのではないでしょうか。

5 『傾聴』時のNGな反応

『傾聴』の“技術”を紹介してきましたが、NGという意味での“技術”もあります。基本“姿勢”の2)でお話しした「途中で遮る、決めつける、まとめたがる、結論を急がせる」などがNGである以外に次のような反応もNGです。

×「はい、はい、はい」「で、で、で」とせっかちに迫る

これは「結論を急がせる」にもつながりますが、相手はとても話しづらくなります。

基本的には相手の話のペースを尊重すること。相手の話のリズムに合わせて反応して『傾聴』することでどんどん話も進み、結果的に深い話を早く聞き出せることになります。

×軽々しく「分かります」と反応する

友人同士の茶飲み話であれば、「分かる、分かるー」もいいでしょう。しかしその人ならではの深い体験や複雑な気持ちを簡単に分かろうはずもありません。話す本人の側もそこまでは期待していません。軽々しく言われると「あなたに分かるはずないでしょう」と反発を招く可能性さえあるでしょう。話はその先に続かなくなります。

ご紹介してきた“技術”は『傾聴』に有効ですが、まず基本“姿勢”が重要です。ただそれ以前に大前提として最も重要なことは、相手の話を聞くことは相手のためだけでなく自分自身のためであると知ることです。

相手が部下であれば、本人のやる気を引き出すのはもちろん、本人の成長、部署としての課題解決や業績向上にもつながるでしょうし、何より共に楽しく働けるようになるはずです。

相手がプライベートにおける大切な存在であれば、『傾聴』でより良い関係を築くことが互いにとってどれほど価値があるかは申し上げるまでもありません。

最後に……相手の話を一度真剣に聞いたくらいでは、相手の心はまだ十分に開かないかもしれません。

そこで「こっちはあなたのためにこんなに努力したのに」と不満を覚えてはいけません。あなたが相手の立場だったとして、これまでずっと『傾聴』してくれなかった相手が急にしてくれるようになったとしても、にわかには信じられないでしょう。

一度や二度であきらめないで、ひたすら『傾聴』してみてください。

遠くないうちに、「この人は私の話を真剣に聞いてくれるように変わったんだ」と伝わって、互いの関係性も変わっていくことでしょう。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。次回は、『次世代リーダーに必須のコミュニケーション習慣』その2に入ります。

<ご質問を承ります>

ご質問や疑問点などあれば以下までメールください。※個別のお問合せもこちらまで

Mail to: brightinfo@brightside.co.jp

以上(2023年11月作成)
(著作 ブライトサイド株式会社 代表取締役社長 武田斉紀)
https://www.brightside.co.jp/

pj90254
画像:PureSolution-Adobe Stock

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金のご紹介

中小企業等を支援する国や自治体の補助金・助成金事業では、雇用・人材開発・IT補助・コロナ支援など幅広いジャンルの支援があります。本レポートでは、おすすめの補助金・助成金について支援の内容や対象条件、申請方法等についてわかりやすく紹介します。

この記事は、こちらからお読みいただけます。pdf


経営者が知っておきたい 従業員退職金制度の導入・規程作成のポイントと相場と税務

従業員向けの退職金について、初めて導入する際の手順、退職金規程の作成ポイントについて解説します。また、現在の退職金制度を見直す場合の注意点もお伝えします。

この記事は、こちらからお読みいただけます。pdf

異業種からの新規参入も活発化! 成長が続くメンズコスメ市場の動向

書いてあること

  • 主な読者:成長するメンズコスメ市場でビジネスチャンスを探している経営者
  • 課題:薬機法の規制もあって自社が参入できるのか分からない
  • 解決策:自社生産にこだわらず、OEMによる新規参入も検討する

1 メンズコスメ需要が増加、その理由は?

男性用化粧品(以下「メンズコスメ」)の需要が急増していることをご存知でしょうか? メンズコスメは、肌や髪の毛に関する男性ならではの悩み(女性よりも肌に厚みがあり、油分が多い、水分が少なく乾燥しやすい)を解決するために作られた商品で、次のようなものがあります。

画像1

富士経済のプレスリリースによると、メンズコスメの市場規模は2015年の1099億円から拡大傾向にあり、2023年は1622億円まで拡大すると予測されています。こうした市場拡大の背景には次のようなものがあるようです。

  • オンライン会議の普及で自分の容姿を確認する機会が増え、美的意識が向上した
  • コロナ禍が明けてマスクを外すようになり、身だしなみに気を配るようになった
  • SNSやメディアを通じて商品レビューなどの情報収集が容易になった
  • 通販やECサイトで人目を気にせずに商品を購入しやすくなった。また、実店舗でも、ドラッグストアやコンビニなどで手軽に購入できる商品が増えた

こうした中、女性用化粧品を販売する大手企業がメンズコスメのブランドを新たに立ち上げて販売を始めたり、男性タレントを宣伝に起用して、元々は女性用化粧品として販売していた商品を、男女問わず使える商品としてアピールしたりするようになってきています。

化粧品は大手企業が市場をけん引しており、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下「薬機法」)の規制から新規参入が難しいとされていますが、昨今では、異業種でもOEM生産(メーカーが自社ではないブランドの製品を製造すること)を活用して新規参入する動きもあります。

この記事では、メンズコスメ市場への新規参入を図る企業の事例と、参入に当たって注意が必要な規制などを紹介します。新事業の立ち上げ、業態転換を検討する際のヒントとしてご活用ください。

2 異業種からも! メンズコスメ市場への参入事例

新規参入を検討する場合は、自社開発にこだわらず、化粧品製造のノウハウを持つ企業との共同開発や、OEM生産も視野に入れてみましょう。

ここで紹介する事例は、「同業・類似業種からの参入/異業種からの参入」と、「他社との協業で参入/自社開発で参入」の2軸で、次のポジショニングマップのようにまとめることができます。

画像2

1)婚活用の写真撮影サービスの企業がメンズコスメを取り扱い:アルファブル(東京都新宿区)

恋活・婚活専門のプロフィール写真撮影や男性向けの結婚相談所などを手掛ける同社では、メンズコスメブランド「MULC(ムルク)」を立ち上げ、フェイスパウダーやアイブロウペンシル(眉毛の形を整えるための化粧品)などの化粧品を販売しています。

写真撮影サービスの利用者から、「コンプレックスを解消たい」「見た目の印象をより良くしたい」など、メイクへの関心の高さが見られたことがブランド立ち上げのきっかけだったといいます。

販売している化粧品は、パッケージのデザインがシンプルで持ち歩きがしやすくなっています。また、例えば、アイブロウペンシルでは、女性用の商品よりも固めの芯を使うことで男性の強い筆圧でも折れにくいように配慮されています。

画像3

2)日本酒とバイオマス素材を配合したハンドバーム:高砂酒造(北海道旭川市)

高砂酒造は、美容室の経営や化粧品の製造販売を手掛けるMARVELOUS(北海道旭川市)と製紙業の日本製紙(東京都千代田区)と共同で「酒ハンドバーム 国士無双」を製造・販売しています。

高砂酒造の清酒「国士無双」、MARVELOUSの化粧品製造ノウハウ、日本製紙のセルロースナノファイバー「セレンピアR」のコラボレーションによって製造された商品です。特に、「セレンピアR」の持つ「しっとり潤うのに、ベタつかない」特性がポイントとなっており、ハンドバームによるベタつきが気になる男性にとっても使いやすいとしています。

3)薬局のグループ会社がスキンケアブランドを立ち上げ:日本ファーマ(熊本県熊本市)

熊本県で調剤薬局やドラッグストアを運営する下川薬局(熊本県熊本市)のグループ会社となる日本ファーマでは、スキンケアブランド「MONONOFU」を立ち上げ、ECサイトで化粧水を販売しています。製造は、化粧品OEMを手掛けるホウリン(福岡県筑前町)、販売を日本ファーマが担っています。

洗顔後に顔になじませることで保湿や肌の引き締めなどのケアができる商品で、添加物をそぎ落とすことで肌が弱い人でも安心して使うことができるとしています。もともとは男性の毛穴対策にアプローチして開発されたものでしたが、現在は夫婦や家族での利用としても販売されています。

4)メンズコスメの取り扱いを強化:ホシケミカルズ(東京都千代田区)

化粧品、医薬部外品、健康食品のOEM生産を手掛ける同社では、「メンズコスメシリーズ」として、洗顔料や化粧水といったスキンケアからベースメイク商品に至るまで15品目を取りそろえ、メンズコスメの商品化を拡充しています。ジェンダーレス志向に鑑み、「パートナーとの化粧品の共有」や「女性向け化粧品を使っている男性への訴求」も想定して商品ラインナップを取りそろえていることが特徴です。

同社ウェブサイトによると、ヘアサロン、エステサロン、アパレルメーカーや食品メーカーなど化粧品会社以外からも商品化の相談があるといいます。また、商品化の打ち合わせ後、試作品完成までの納期は最短で3週間程度となっています。

5)小ロットのOEM生産に対応:LOTTZ(大阪府大阪市)

化粧品、健康食品のOEM、ODM(自社ではないブランドの製品をメーカーが開発段階から協業して生産すること)生産を手掛ける同社では、化粧水・美容液などの基本的なスキンケア用品は100個の小ロットでの作成が可能です。

メンズコスメの商品化実績として、プロサッカー選手の川瀬浩太氏と提携して立ち上げたスキンケアブランドの「QTOC(キュートック)」があります。同ブランドでは、普段使いに限らず、スポーツやレジャーで日光に当たった後の肌の保湿も考慮して商品開発がされていることが特徴です。商品はスキンケアローションとリッチクリーム(ローションを塗った後の保湿用クリーム)の2種類をAmazonで販売しています。

同社ウェブサイトによると、試作品の納期は10~14日間、費用は化粧品を100個作成する場合で15万~30万円となっています。

3 新規参入で注意が必要な許可・規制

化粧品の製造・販売には、薬機法をはじめとした許可・規制に注意が必要です。

1)化粧品製造業許可

化粧品を製造するための許可です。製造にかかる全工程を許可する一般区分と、包装・表示・保管のみを許可する包装・表示・保管区分の2種類に分かれています。自社では製造のみを行い、販売を他社が行う場合に必要なものです。包装・表示・保管区分は、輸入化粧品に日本語でラベルを付けるといった場合に必要になります。

2)化粧品製造販売業許可

化粧品を販売するための許可です。他社に委託して製造した化粧品を自社商品として販売するために必要です。

自社で化粧品を製造し、自社商品として化粧品を販売する場合には化粧品製造業許可(一般区分)と化粧品製造販売業許可の両方の取得が必要になります。

また、他社に委託して製造した化粧品に新たにラベルを付けるなどの包装を行う場合は、化粧品製造業許可(包装・表示・保管区分)の取得が必要です。

3)化粧品に使用できない成分について

化粧品に使用できない成分については、厚生労働省「化粧品基準」(平成12年9月29日厚生省告示第331号)で示されています。また、配合量の制限がある成分もありますので、自社生産を検討する際には、あらかじめ確認が必要です。

■厚生労働省「化粧品・医薬部外品等ホームページ」(「基準、関連通知」の中に「化粧品基準」のリンクがあります■
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/keshouhin/index.html

4)誇大広告の規制

薬機法では、化粧品の名称、製造方法、効能、効果または性能に関して、明示的、暗示的を問わずに、虚偽または誇大な記事を広告、記述、流布してはならないとしています。併せて、医師、歯科医師、薬剤師、美容師、理容師が効能、効果を保証したと消費者が誤解する恐れがある広告を出すことも規制しています。

また、日本化粧品工業会が発行している「化粧品等の適正広告ガイドライン」では、化粧品の効能または効果の範囲と、避けるべき表現の具体例が示されています。

■日本化粧品工業会「化粧品等の適正広告ガイドライン」■
https://www.jcia.org/user/business/advertising/

参考:メンズコスメ購入に関するデータ

ここでは、リクルート ホットペッパービューティーアカデミーの「美容センサス データブック」から、「アイテム別メンズコスメの購入率」と「マスクを外したときに力を入れたい場所」を紹介します。

画像4

洗顔料の購入率が最も高く、化粧水、乳液・クリームと続いています。このため、メンズコスメの中でも、スキンケア商品の需要が高いことが窺えます。

画像5

ひげ剃り跡がマスクを外したときに力を入れたい場所として1番の割合となっており、ひげ剃りによるカミソリ負けといった肌のケアに関心が高いといえそうです。

以上(2023年11月)

pj50534
画像:Pixel-Shot-Adobe Stock

【資金繰り】自社に必要な運転資金の計算方法と余裕のある資金繰りの心得

書いてあること

  • 主な読者:感覚も大事だが、より定量的に資金繰りをしていきたい経営者
  • 課題:資金繰りでは運転資金が大事だが、自社に必要な運転資金の計算方法が分からない
  • 解決策:自社に必要な運転資金は「売掛金+棚卸資産-買掛金」で計算する。各項目の詳細まで分析し、それを改善する活動に落とし込む

1 入出金のズレを賄うのが運転資金

経営者なら、売上や利益以上に資金繰りが気になるはずです。なぜなら、

利益が上がっていても、資金がショートすれば会社は倒産してしまう

からです。利益は「売上-費用=利益」という関係で導かれますが、「売上=入金、費用=出金」といったように、入金も出金も即時ならば資金繰りに困ることはありません。しかし、現実には、「末締め翌月末払い」のように即時決済とはならないのが通常です。そこで登場するのが運転資金です。運転資金とは、

売上の入金、費用の出金のタイミングのズレをカバーする資金

です。

資金繰りにおいて、大きな設備投資をしたような場合なら、その影響に注意するでしょう。難しいのは、こうした大きな要因ではなく、

日常的な運転資金が資金繰りに影響している

場合があることです。運転資金は資金繰りにおいて非常に重要なので、この記事で分かりやすく解説していきます。

2 運転資金はいくら必要なのか?

経営者が最も気になるのは、

結局、自社に必要な運転資金はいくらなのか?

ということでしょう。

その1つの答えは、

御社に必要な運転資金=売掛金+棚卸資産-買掛金

となります。なお、より正確にいうと、売掛金は受取手形も含む「売上債権」で、買掛金は支払手形も含む「仕入債務」となります。

画像1

上記の図は、その時点の状況を示していますが、資金繰りではその先の入出金のタイミングに注意しなければなりません。入金と出金のどちらが先かによって、状況は大きく変わります。

画像2

例えば、売掛金は20日に入金され、買掛金は月末に支払う場合、先に入金される売掛金を買掛金の支払いに回せます。ですので、月末に売掛金、棚卸資産の合計と買掛金の差額だけ運転資金を準備すれば大丈夫です。

逆に、買掛金は20日に支払い、売掛金は月末に入金される場合、先に買掛金を支払わなければなりません。そうすると、売掛金と棚卸資産の合計の全てが運転資金として必要になります。

以上から分かるポイントは、「入金は早く、支払うのは遅く」ということです。なお、運転資金は、会社にある現預金で賄ってもよいですし、銀行から借りてもよいですが、いずれにしても自社に必要な運転資金をシミュレーションしておくことが不可欠です。

資金繰りでは、運転資金の中身である売掛金、棚卸資産、買掛金の残高を確認することが重要なので、個別に説明していきます。

3 売掛金の残高分析

売掛金は貸借対照表の資産の項目です。そして、同じ資産の項目にある現預金(資金)とはトレードオフの関係にあります。つまり、売掛金が増えれば資金は減り、売掛金が減れば資金は増えます。

売掛金の残高分析として、まずは、前期末(または、前月や前年同月)と比較をしましょう。これにより、前年と違う今年のトレンドを把握することができます。さらに、売掛金を月商で割ることで、売掛金が月商の何カ月分たまっているのかを確認します。その際に利用するのが、売掛金の回転期間という指標です。

売掛金の回転期間=売掛金の月末残高/1カ月の売上高

計算をしたら、増えたり減ったりした原因を具体的な事業活動に落とし込んでいきましょう。例えば、特定の取引先からの売掛金が未収のために売掛金が増えているのであれば、その取引先と入金時期を交渉したり、今後の取引条件の見直しを検討したりすることができます。

なお、取引先との関係もありますが、売掛金の回収はなるべく早くしたほうが、自社の資金繰りに余裕が出ます。

4 在庫の残高分析

製造業、卸売業、小売業に在庫はつきものです。すぐに売れればよいですが、製造や仕入れから販売までにはタイムラグがあり、その間は在庫となります。建設業にも「未成工事支出金」という在庫があります。期末に仕掛かり中の工事の売上は翌期になるため、費用も未成工事支出金として翌期に持ち越すのです。

さて、在庫も売掛金と同じ貸借対照表の資産の項目です。そして、現預金(資金)とはトレードオフの関係になります。つまり、在庫が増えれば資金は減り、在庫が減れば資金は増えます。なお、在庫には材料費、外注費、人件費、経費といった、仕入れや製造などにかかる費用が漏れなく含まれます。材料費や外注費など社外に支払うものは分かりやすいのですが、人件費は忘れがちなので注意しましょう。

在庫の残高分析として、売掛金と同じように、前期末(または、前月や前年同月)との比較をしましょう。これにより、前年と違う今年のトレンドを把握することができます。さらに、在庫を月次の売上原価で割ることで、在庫が月次の売上原価の何カ月分たまっているのかを確認します。その際に利用するのが、在庫の回転期間という指標です。

在庫の回転期間=月末在庫/1カ月の売上原価

計算結果を具体的な事業活動に落とし込んで検討することも、売掛金で説明した通りです。

5 買掛金の残高分析

買掛金は貸借対照表の負債の項目です。ですので、売掛金や在庫と違い、買掛金が多いほうが現預金(資金)に余裕ができます。支払いを待ってもらう間、手元には資金があることをイメージしてください。

これまでと同じように、買掛金の残高分析として、まずは、前期末(または、前月や前年同月)と比較をしましょう。これにより、前年と違う今年のトレンドを把握することができます。さらに、買掛金を月次の仕入高で割ることで、買掛金が月次の仕入高の何カ月分たまっているのかを確認します。その際に利用するのが、買掛金の回転期間という指標です。

買掛金の回転期間=買掛金の月末残高/1カ月の仕入高

これまでと同じように、計算結果を具体的な事業活動に落とし込んで検討します。取引先との関係もありますが、買掛金の支払いはなるべく遅くしたほうが、自社の資金繰りに余裕が出ます。

以上(2023年11月更新)

pj35110
画像:rogerphoto-Adobe Stock