(小売業)夏休み需要 体験型イベントで集客 8月LOBO調査【経営者とっておきニュース】

日本商工会議所が発表した2026年8月の「商工会議所早期景気観測(LOBO調査)」によると、全産業合計の業況DIはマイナス20.2となり、前月比で1.0ポイント改善しました。この改善を力強く牽引したのが、夏休み需要に沸いた小売業やサービス業です。

小売業では、お盆期間を中心とした帰省客の増加や、各地で開催された地域イベント・催事の効果により客足が伸び、景況感が改善しました。物価高による消費者の節約志向が定着する一方で、体験イベントなどの「コト消費」に対する強い引き合いが、店舗への集客を後押ししています。

小売業で景況感が改善に転じた背景には、「季節的な人流の増加」と「体験型アプローチの奏功」があります。

長引く物価高や円安の影響により、消費者の財布の紐は全体として堅い状況が続いています。しかし、夏休みの帰省や旅行といった季節行事、さらには地域独自のイベントや催事に対しては、消費意欲が大きく高まりました。特に、単なる商品の販売にとどまらず、来店客が楽しめる体験型イベントを企画した店舗では、全て満員となるなど大きな反響を呼び、顧客満足度の向上や若年層への認知拡大に成果を上げています。

一方で、店舗経営を圧迫する課題も顕著です。慢性的な人手不足や交通インフラの制約が営業機会の損失につながる懸念があるほか、仕入コスト高への対応も引き続き求められています。また、地域の製造業や卸売業ではコスト高や自然災害による供給網の滞りで景況感が悪化しており、サプライチェーン全体の不安定さや地域経済の基盤低下には注意が必要です。

先行きの見通しDIはマイナス20.1と横ばい傾向であり、慎重な見方が続いています。高水準の賃上げや秋の行楽シーズンの到来による消費回復が期待される一方、金利上昇や継続する物価高が重荷となっています。

こうした環境下で、小売業の経営者が明日から意識すべき視点は、「『単なるモノ売り』から『顧客体験(コト消費)』へのシフトとファン形成」です。

消費者の節約志向に対抗するには、価格以外の価値を提供することが欠かせません。自社の強みを活かした体験イベントや催事を戦略的に展開し、若年層をはじめとする幅広い層へアプローチしていくことが、価格競争に巻き込まれない強固な経営基盤をつくります。


【ご注意点】この記事は生成AIを活用して作成したものです。文章の正確性は保証されておらず、誤りが含まれる場合があります。詳細については参照URLの情報を必ずご確認ください。
■日本商工会議所「LOBO調査(2026年8月調査結果)」■
https://cci-lobo.jcci.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/LOBO202608.pdf

以上(2026年9月作成)

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画像:terovesalainen-Adobe Stock

(サービス業)国内観光需要と災害リスクの対応策 8月LOBO調査【経営者とっておきニュース】

日本商工会議所が発表した2026年8月の「商工会議所早期景気観測(LOBO調査)」によると、全産業合計の業況DIはマイナス20.2となり、前月比で1.0ポイント改善しました。この改善を力強く牽引したのが、夏休み需要が追い風となったサービス業や小売業です。

サービス業においては、お盆期間を中心とした観光客や帰省客の増加により、各地で客足が大きく伸びました。一方で、九州地方などを中心に熊本地震などの自然災害に伴う予約キャンセルや会合の自粛傾向も発生しており、回復傾向の裏で局所的な影響が残っています。

サービス業で景況感が改善した背景には、「国内回帰の需要高まり」と「季節イベントの本格化」があります。

継続する円安などの影響により、夏休み期間中に海外ではなく国内で過ごす旅行客が増加したことが、各地の飲食店や宿泊施設に大きな追い風となりました。お盆期間を中心に人出が大幅に増加し、地域経済に活気をもたらしました。

しかし、手放しで喜べない課題も浮き彫りになっています。特に九州地方の旅館や飲食店では、熊本地震の影響によって一時的に宿泊予約のキャンセルが急増しました。8月以降は支援目的の来訪者が増えたことで客室稼働率は回復傾向にありますが、依然として企業の会合等には自粛傾向がみられます。また、今後の風評被害への懸念や、他地域での自然災害による人流の停滞も懸念材料です。

さらに、製造業や卸売業では原材料高や価格転嫁難から景況感が悪化しており、仕入コストの上昇や地域全体の購買力低下には引き続き警戒が必要です。

先行きの見通しDIはマイナス20.1と横ばいであり、慎重な見方が強まっています。高水準の賃上げによる消費マインドの回復や秋の行楽シーズンが期待される一方、金利上昇や物価高によるコスト増加が重荷となっています。

こうした環境下で、サービス業の経営者が明日から意識すべき視点は、「一時的な需要の波に甘んじない、リスク分散と顧客のファン化」です。

観光や季節需要による短期的な集客にとどまらず、災害や風評被害などの不測の事態にも耐えうる多様な集客ルートの確保と、一度訪れた顧客を確実につなぎ留める高品質なサービス提供が、今後の不確実な環境を勝ち抜く鍵となります。


【ご注意点】この記事は生成AIを活用して作成したものです。文章の正確性は保証されておらず、誤りが含まれる場合があります。詳細については参照URLの情報を必ずご確認ください。
■日本商工会議所「LOBO調査(2026年8月調査結果)」■
https://cci-lobo.jcci.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/LOBO202608.pdf

以上(2026年9月作成)

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画像:terovesalainen-Adobe Stock

【入社1年目の『教科書の教科書』】損益計算書の読み方編

新入社員には、良くも悪くも「社会人の常識」が通用しません。例えば、

  • 営業で得た利益がそのまま会社の利益になっているんだろうな
  • 売上が大きければ大きいほど調子が良い会社なんだろうな

など、会社のお金について少しズレた理解をしてしまっていることもあります。

そこで、先輩社員の皆さん向けに

新入社員が「損益計算書」をスムーズに理解するための指導のコツ、事前に押さえておきたい会計の基礎知識など

を「入社1年目の『教科書の教科書』」としてまとめました。


この「入社1年目の『教科書の教科書』」シリーズは、新入社員向けに社会人の基礎をまとめた「入社1年目の教科書」シリーズを、先輩社員向けに再編したものです。

新入社員用はこちら!

指導で参考になりそうなコンテンツはこちら!

以上(2026年8月作成)

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画像:Mariko Mitsuda

【2026年9月最新】プライベートで事故に遭った場合の健康保険などの給付一覧!

1 プライベートでの事故などに対応する保険給付は?

社員がけがや病気をすると、医療費や仕事を休んでいる間の生活費など、さまざまな出費がかさみます。けがや病気が重くて障害が残った場合は、より手厚い生活保障が求められますし、亡くなった場合は、社員の遺族に対する保障も必要になってきます。

会社の制度(見舞金や弔慰金)や民間の保険などの「備え」をする会社もありますが、まず押さえておきたいのが、法律で定められた保険給付(社会・労働保険の給付)です。

この記事では、プライベートでの事故など(労災認定されなかった業務中や通勤中の事故などを含む)が起きた場合に支給されるものとして、

健康保険と国民年金・厚生年金保険の給付(傷病、障害、死亡に対するもの)

を紹介します。「療養が必要か」「休業が必要か」など、給付の特徴に注目したチャート図も載せているので、「保険給付って何だか種類が多くて苦手……」という人もぜひご一読ください。

なお、この記事の社員は、65歳未満で健康保険、国民年金・厚生年金保険の加入要件を満たしている人です(保険料の未納もなし)。健康保険の保険者は、全国健康保険協会(以下「協会けんぽ」)とします。

また、労働災害(業務上の事由または通勤途上により発生した事故など)による傷病、障害、死亡に対する給付については、こちらをご確認ください。

(注)以降で紹介する給付の内容は2026年9月時点のもので、将来変更される可能性があります。

2 傷病に対する主な給付(プライベート編)

1)給付の種類を整理しよう

社員がプライベートの事故などで傷病を負った場合、健康保険の給付を受けられます。主な給付は図表1の通りです。なお、傷病がもとで障害を負った場合の給付については第3章を、亡くなった場合の給付については第4章をご参照ください。

傷病に対する主な給付(プライベート編)

2)給付の支給要件、支給額、支給期間を知ろう

各給付の支給要件、支給額、支給期間は次の通りです。

1. 療養の給付
支給条件 診察・薬剤の支給・治療などを受けた場合に支給
支給内容 通常は現物給付。社員は保険医療機関等に一部負担金(原則として費用の3割)を支払う。やむを得ず自費受診した場合は療養費(基準額から一部負担金を引いた額)を後日還付
支給期間 診察・薬剤等の支給・治療などを受けるたびに支給(期間制限なし)
2. 傷病手当金
支給条件 療養のため連続3日以上休んだ場合、4日目以降から支給(公休日・有給休暇取得日等を含む)
支給額 日額 = 支給開始日以前直近12カ月間の各月の標準報酬月額の平均 ÷ 30日 × 2/3
支給期間 支給開始日から通算最大1年6カ月
※出勤等で不支給となる期間を除いて通算1年6カ月。1年6カ月を超えると支給停止
※障害厚生年金・障害手当金の支給を受けるようになった場合、全部または一部が支給停止
3. 入院時食事療養費
支給条件 保険医療機関に入院した場合、入院中の食費について支給
支給額 (1食につき)厚生労働大臣の算出基準による食事療養費-標準負担額
※標準負担額:原則550円/食。社員は標準負担額のみを入院先に支払う(給付は入院先の医療機関に直接支給)
支給期間 入院して食事の提供を受ける期間
4. 入院時生活療養費
支給条件 65歳以上の社員が医療療養病床(長期療養が必要な患者のための病床)に入院した場合、食費・居住費について支給
支給額 (1食または1日につき) 厚生労働大臣の算出基準による生活療養費-標準負担額
※標準負担額:食費は原則550円/食(管理栄養士等がいない病院では510円/食)、居住費は原則430円/日。社員は標準負担額のみ支払う
支給期間 入院して食事の提供などを受ける期間
5. 保険外併用療養費
支給条件 「評価療養」(先進医療など)または「選定療養」(特別の療養環境など)を受けた場合、通常の治療と共通する部分の医療費について支給
支給額 通常の治療と共通する部分の医療費-その部分の一部負担金(原則として3割)
※通常の治療と共通しない部分(先進医療費用等)は全額自己負担。
支給期間 評価療養または選定療養を受けるたびに支給(期間制限なし)
6. 高額療養費
支給条件 同じ月(1日~月末)に支払った医療費の自己負担額が自己負担限度額を超えた場合に支給
※自己負担額は世帯で合算可(70歳未満は21,000円以上のものに限る)
支給額 月額= 同じ月に支払った医療費の自己負担額-自己負担限度額
※自己負担限度額は年齢・所得に応じて細かく区分
※3カ月以上高額療養費の支給を受けた場合、4カ月目から「多数回該当」で限度額が軽減
※【2026年8月改正】月ごとの自己負担額が積み上がっても、年間上限額(新設)に達した場合、それ以上の医療費については、保険者から還付を受けられる
※【2026年8月改正】70歳未満の自己負担限度額(月額)、年間上限額(新設)、2026年8月~2027年7月まで(2027年8月にも別途改正あり)

区分ア(標準報酬月額83万円以上):
・自己負担限度額(月額):270,300円+(総医療費-901,000円)×1%(多数回該当:140,100円)
・年間上限額:1,680,000円

区分イ(標準報酬月額53万~79万円):
・自己負担限度額(月額):179,100円+(総医療費-597,000円)×1%(多数回該当:93,000円)
・年間上限額:1,110,000円

区分ウ(標準報酬月額28万~50万円):
・自己負担限度額(月額):85,800円+(総医療費-286,000円)×1%(多数回該当:44,400円)
・年間上限額:530,000円

区分エ(標準報酬月額26万円以下):
・自己負担限度額(月額):61,500円(多数回該当:44,400円)
・年間上限額:530,000円(標準報酬月額15万円以下の場合は410,000円)

区分オ(住民税非課税):
・自己負担限度額(月額):36,900円(多数回該当:24,600円)
・年間上限額:290,000円

支給期間 同一月に支払った自己負担額が自己負担限度額を超えるたびに支給(期間制限なし)

高額療養費については、2026年8月1日以降、大きな手術や入院をした場合に1カ月に支払う医療費の上限額(自己負担限度額)が引き上げられています。また、新たに「年間上限額」が設けられ、月ごとの自己負担額が積み上がっていっても、年間上限額に達した場合、それ以上の医療費については、保険者から還付を受けられるようになっています。

高額療養費制度の見直しは2段階で行われる予定で、2027年8月1日からは住民税非課税世帯を除く年収区分がさらに細分化されます。

3 障害に対する主な給付(プライベート編)

1)給付の種類を整理しよう

社員がプライベートで起こした事故などで障害を負った場合、国民年金・厚生年金保険の給付を受けられます。主な給付は図表2の通りです。

障害に対する主な給付(プライベート編)

なお、以降では「治癒」という言葉が頻繁に出てきますが、

「治癒」という言葉には、「傷病が完治した」という意味の他に、「症状が固定された(症状の回復・改善が期待できなくなった)」という意味もあります

ので、ご注意ください。

2)給付の支給要件、支給額、支給期間を知ろう

各給付の支給要件、支給額、支給期間は次の通りです。

1. 障害厚生年金
支給条件 初診日から1年6カ月が経過した日(それまでに治癒した場合はその日)の時点で、厚生年金保険の障害等級1~3級に該当する場合
※初診日時点で厚生年金保険に加入し、保険料納付要件を満たしていること
支給額 等級 年金額(年額)
1級 報酬比例部分の年金額 × 1.25 + 配偶者加給年金額(243,800円)
2級 報酬比例部分の年金額 + 配偶者加給年金額(243,800円)
3級 報酬比例部分の年金額 
※最低保障額:635,500円
(※)配偶者加給年金は、配偶者が老齢厚生年金等の受給権を持つ場合や障害年金受給中は支給停止になることがあります
支給期間 支給要件を満たす間、継続(期間制限なし)
※障害等級3級に満たなくなった場合は支給停止
※社員が「老齢厚生年金」など他の年金の支給も受けられるようになった場合は、どちらの年金を受け取るかを選択しなければならないケースがある
2. 障害基礎年金
支給条件 初診日から1年6カ月が経過した日(それまでに治癒した場合はその日)の時点で、国民年金の障害等級1~2級に該当する場合
※初診日時点で国民年金に加入し、保険料納付要件を満たしていること
支給額 等級 年金額(年額)
1級 1,059,125円 + 子の加算
2級 847,300円 + 子の加算
※子の加算は、第2子までは子1人につき243,800円、第3子以降は子1人につき81,300円が加算されます。子は18歳到達年度末日以前、または20歳未満で障害等級1~2級に該当する子に限ります
支給期間 支給要件を満たす間、継続(期間制限なし)
※障害等級2級未満になった場合は支給停止
※社員が「老齢厚生年金」など他の年金の支給も受けられるようになった場合は、どちらの年金を受け取るかを選択しなければならないケースがある
3. 障害手当金
支給条件 初診日から5年以内に傷病が治癒し、障害等級3級よりやや軽い障害が残った場合
※初診日時点で厚生年金保険に加入し、保険料納付要件を満たしていること
支給額 支給額(一時金)= 報酬比例部分の年金額 × 2
※最低保障額 1,271,000円
支給期間 1回のみ支給

4 死亡に対する主な給付(プライベート編)

1)給付の種類を整理しよう

社員がプライベートで起こした事故などで亡くなった場合、健康保険、国民年金・厚生年金保険の給付を受けられます。主な給付は図表3の通りです。

死亡に対する主な給付(プライベート編)

2)給付の支給要件、支給額、支給期間を知ろう

各給付の支給要件、支給額、支給期間は次の通りです。

1. 埋葬料(埋葬費)
支給対象 社員により生計を維持されていた人で埋葬を行う者
上記に該当する人がいない場合、埋葬を行った者
支給額 社員により生計を維持されていた人で埋葬を行う者 → 埋葬料(5万円)
上記に該当する人がいない場合、埋葬を行った者 → 埋葬費(埋葬に要した費用、上限5万円)
支給期間 1回のみ支給
2. 遺族厚生年金
支給条件 社員により生計を維持されていた配偶者・子 ・父母・ 孫・ 祖父母に支給(受給権者となる順位は次の通り)
①子のある配偶者
②18歳到達年度末日以前、または20歳未満で障害等級1~2級の子
③子のない配偶者(夫の場合は55歳以上)
④55歳以上の父母
⑤18歳到達年度末日以前、または20歳未満で障害等級1~2級の孫
⑥55歳以上の祖父母
支給額 支給額(年額)= 報酬比例部分の年金額 × 3/4 + 中高齢寡婦加算額635,500円(妻のみ)
※中高齢寡婦加算は要件を満たす妻に40歳~65歳の間加算
支給期間 受給権者に該当する間、継続(原則として期間制限なし)
※子のない30歳未満の妻は5年間のみ。夫・父母・祖父母の受給開始は60歳から
※【2028年4月改正】60歳未満は原則5年間の有期給付、60歳以上は無期給付(男女共通)に変更(20年かけて段階的に引き上げ)
3. 遺族基礎年金
支給条件 亡くなった社員の収入によって生計を維持していた「子のある配偶者」または「子」に支給
※子:18歳到達年度末日以前、または20歳未満で国民年金の障害等級1~2級に該当する子
支給額 支給額(年額)= 847,300円 + 子の加算
※第1・2子は子1人につき243,800円、第3子以降は子1人につき81,300円が加算
※子が受給する場合は第2子以降が加算対象
支給期間 受給権者に該当する間、継続(原則として期間制限なし)
※配偶者または子が死亡した場合、子が18歳到達年度末日を迎えた場合などは支給停止
※【2028年4月改正】子に生計を同じくする父または母がいる場合でも、要件に該当すれば受け取れるようになる

遺族厚生年金については、少し先の話にはなりますが、2028年4月以降に支給ルールの改正があります。上記の通り、現行のルールでは、子のない配偶者が遺族厚生年金を受け取る場合、

  • 妻:配偶者の死亡時、30歳未満である場合は5年間の有期給付、30歳以上は無期給付
  • 夫:配偶者の死亡時、55歳未満である場合は給付なし、55歳以上は原則60歳から無期給付

というルールがありますが、女性の就業率向上など社会的変化に加え、男女差をなくすために

どちらも60歳未満は原則5年間の有期給付、60歳以上は無期給付

という運用に変わります。夫の場合は改正法の2028年4月から、妻の場合はまず40歳未満までを2028年4月から有期給付の対象とし、以後20年かけて段階的に年齢の引き上げを行います。

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また、子の遺族基礎年金に関する要件が緩和され、

生計を同じくする父または母がいても、一定の条件下で子が遺族基礎年金を受給できる

ようになります。

以上(2026年9月更新)

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画像:ChatGPT

【2026年9月最新】仕事中に事故に遭った場合の労災保険などの給付一覧!

1 業務中や通勤中の事故などに対応する保険給付は?

会社は日頃から、社員が労働災害(業務上の事由または通勤途上により発生した事故など)に遭わないように細心の注意を払っていますが、万一の備えとなるのが労災保険と国民年金・厚生年金保険の給付です。給付の種類は多岐にわたりますが、この記事では、労働災害(業務上の事由または通勤途上により発生した事故など)が起きた場合に支給されるものとして、

労災保険と国民年金・厚生年金保険の給付(傷病、障害、死亡に対するもの)

について紹介します。なお、この記事で対象とする社員は、65歳未満で国民年金・厚生年金保険の加入要件を満たしていて(保険料の未納もなし)、労災保険の適用事業の会社に勤務しているものとします。

また、プライベートで起こした事故など(労災認定されなかった業務上の事由や通勤途上により発生した事故など)による傷病、障害、死亡に対する給付については、次の記事をご確認ください。

(注)以降で紹介する給付の内容は2026年9月時点のもので、将来変更される可能性があります。

2 傷病に対する主な給付(労働災害編)

1)給付の種類を整理しよう

社員が労働災害により傷病を負った場合、社員が受けられる労災保険の主な給付は図表1の通りです。なお、傷病がもとで障害を負った場合の給付については第3章を、亡くなった場合の給付については第4章をご参照ください。

傷病に対する主な給付(労働災害編)

なお、労災保険の給付は、業務災害(業務上の事由によって発生した事故など)の場合と通勤災害(通勤途上に発生した事故など)の場合とで名称が変わります。

  • 業務災害:療養補償給付、傷病補償年金、介護補償給付(名称に「補償」がつきます)
  • 通勤災害:療養給付、傷病年金、介護給付

また、以降では「治癒」という言葉が頻繁に出てきますが、

「治癒」という言葉には、「傷病が完治した」という意味の他に、「症状が固定された(症状の回復・改善が期待できなくなった)」という意味もあります

ので、ご注意ください。

2)給付の支給要件、支給額、支給期間を知ろう

各給付の支給要件、支給額、支給期間は次の通りです。

1. 療養(補償)給付
支給条件 診察・薬剤の支給・治療などを受けた場合に支給
支給内容 通常は現物給付(無料の診察・薬剤等・治療)。指定外医療機関を利用した場合は療養費(実費)を後日還付
※労災病院または労災保険指定医療機関・薬局等での受診が原則
支給期間 傷病が治癒するまで、受診のたびに支給(期間制限なし)
2. 休業(補償)給付
支給条件 療養のため3日以上休んだ場合、4日目以降から支給(連続不要・公休日含む)
※業務災害の最初の3日間は会社が補償義務。副業中の業務災害・通勤災害は補償義務なし
支給額 給付基礎日額 = 直近3カ月の賃金総額(賞与除く) ÷ 直近3カ月の総日数
  ↓
休業(補償)給付(日額) = 給付基礎日額 × 0.6
  ↓
+ 休業特別支給金(日額) = 給付基礎日額 × 0.2
  ↓
【合計(日額)= 給付基礎日額 × 0.8】 ※手取りの目安
※給付基礎日額の最低保障額:4,350円。副業等の場合は各事業場の賃金額を合算して算定します
支給期間 支給要件を満たす間、継続(期間制限なし)
※療養開始から1年6カ月経過後に傷病(補償)年金を受け始めた場合は支給停止
3. 傷病(補償)年金
支給条件 療養開始から1年6カ月経過後も傷病が治癒せず、傷病等級1~3級に該当する場合
支給額 等級 年金額(年額) 傷病特別支給金(一時金)
1級 給付基礎日額 × 313日分 114万円
2級 給付基礎日額 × 277日分 107万円
3級 給付基礎日額 × 245日分 100万円
※上記に加え、傷病特別年金(算定基礎日額×各等級の日数分)も上乗せ支給されます
算定基礎日額 = 事故発生日(または疾病確定日)以前1年間の特別給与総額÷ 365日
支給期間 支給要件を満たす間、継続(期間制限なし)
※傷病が治癒した場合、傷病等級3級に満たなくなった場合などは支給停止
4. 介護(補償)給付
支給条件 傷病(補償)年金または障害(補償)年金の受給権者で、常時または随時介護が必要な場合
※病院・障害者支援施設等に入院・入所中は不支給
支給額 介護の状況 常時介護(月額) 随時介護(月額)
サービス利用あり・親族介護なし 実費(上限 186,050円) 実費(上限 92,980円)
親族介護あり・サービス利用なし 90,790円 45,400円
親族介護あり・サービス利用あり 90,790円(※) 45,400円(※)
※サービス費用がこの額を超える場合はその費用が支給(上限:常時186,050円・随時92,980円)
支給期間 支給要件を満たす間、継続(期間制限なし)

3 障害に対する主な給付(労働災害編)

1)給付の種類を整理しよう

社員が労働災害により障害を負った場合、労災保険、国民年金・厚生年金保険の給付を受けられます。主な給付は図表2の通りです。

障害に対する主な給付(労働災害編)

なお、労災保険の給付は、業務災害の場合と通勤災害の場合とで名称が変わります。

  • 業務災害:障害補償年金、障害補償一時金、介護補償給付(名称に「補償」がつきます)
  • 通勤災害:障害年金、障害一時金、介護給付

また、同一の事由により、労災保険給付と障害厚生年金や障害基礎年金を受給できる場合、併給調整により、労災保険給付が一部減額となります(一時金は減額の対象外とされています)。詳しくは、お近くの労働基準監督署にお問い合わせ下さい。

2)給付の支給要件、支給額、支給期間を知ろう

各給付の支給要件、支給額、支給期間は次の通りです。

1. 障害(補償)年金
支給条件 傷病が治癒し、障害等級1~7級に該当する場合
支給額 等級 年金額(年額) 障害特別支給金(一時金)
1級 給付基礎日額 × 313日分 342万円
2級 給付基礎日額 × 277日分 320万円
3級 給付基礎日額 × 245日分 300万円
4級 給付基礎日額 × 213日分 264万円
5級 給付基礎日額 × 184日分 225万円
6級 給付基礎日額 × 156日分 192万円
7級 給付基礎日額 × 131日分 159万円
※上記に加え、障害特別年金(算定基礎日額×各等級の日数分)も上乗せ支給されます
支給期間 支給要件を満たす間、継続(期間制限なし)
※障害等級7級に満たなくなった場合は支給停止
2. 障害(補償)一時金
支給条件 傷病が治癒し、障害等級8~14級に該当する場合
支給額 等級 一時金 障害特別支給金(一時金)
8級 給付基礎日額 × 503日分 65万円
9級 給付基礎日額 × 391日分 50万円
10級 給付基礎日額 × 302日分 39万円
11級 給付基礎日額 × 223日分 29万円
12級 給付基礎日額 × 156日分 20万円
13級 給付基礎日額 × 101日分 14万円
14級 給付基礎日額 × 56日分 8万円
※上記に加え、障害特別一時金(算定基礎日額×各等級の日数分)も上乗せ支給されます
支給期間 1回のみ支給

4 死亡に対する主な給付(労働災害編)

1)給付の種類を整理しよう

社員が労働災害により亡くなった場合、労災保険・国民年金・厚生年金保険の給付を受けられます。社員の遺族等が受けられる主な給付は図表3の通りです。

死亡に対する主な給付(労働災害編)

なお、労災保険の給付は、業務災害の場合と通勤災害の場合とで名称が変わります。

  • 業務災害:葬祭料、遺族補償年金、遺族補償一時金
  • 通勤災害:葬祭給付、遺族年金、遺族一時金

また、同一の事由により、労災保険給付と遺族厚生年金(遺族基礎年金)を受給できる場合、併給調整により、労災保険給付が一部減額となります。詳しくは、お近くの労働基準監督署にお問い合わせ下さい。

2)給付の支給要件、支給額、支給期間を知ろう

各給付の支給要件、支給額、支給期間は次の通りです。

1. 葬祭料(葬祭給付)
支給対象 葬儀を執り行う者(通常は遺族。遺族がおらず、会社が社葬を行った場合は会社も対象)
支給額 ① 給付基礎日額 × 30日分 + 330,000円
② 給付基礎日額 × 60日分
※①と②のいずれか高いほうを支給
支給期間 1回のみ支給
2. 遺族(補償)年金
支給条件 社員により生計を維持されていた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹(受給権者となる順位は次の通り)
①妻または60歳以上か一定の障害状態にある夫
②18歳到達年度末日以前または一定の障害状態にある子
③60歳以上か一定障害の父母
④18歳到達年度末日以前または一定の障害状態にある孫
⑤60歳以上か一定障害の祖父母
⑥18歳到達年度末日以前または一定の障害状態にある兄弟姉妹
⑦55歳以上60歳未満の夫
⑧55歳以上60歳未満の父母
⑨55歳以上60歳未満の祖父母
⑩55歳以上60歳未満の兄弟姉妹
支給額 受給遺族の人数 年金額(年額)
1人 給付基礎日額 × 153日分(※)
2人 給付基礎日額 × 201日分
3人 給付基礎日額 × 223日分
4人以上 給付基礎日額 × 245日分
※55歳以上または一定の障害状態にある妻の場合は175日分。上記に加え、遺族特別支給金300万円(一時金)と遺族特別年金(算定基礎日額×各人数分)が上乗せ支給
支給期間 受給権者に該当する間、継続(期間制限なし)
※受給権者が亡くなった場合等は次順位者へ「転給」されます
3. 遺族(補償)一時金
支給条件 死亡当時、遺族(補償)年金を受ける遺族がいない場合に配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹に支給(受給権者となる順位は次の通り)
①配偶者
②死亡当時、社員により生計を維持されていた子・父母・孫・祖父母
③その他の子・父母・孫・祖父母
④兄弟姉妹
支給額 遺族(補償)一時金 = 給付基礎日額 × 1,000日分
  ↓
+遺族特別支給金300万円(一時金) + 遺族特別一時金(算定基礎日額×1,000日分)
すでに遺族(補償)年金が支給されていた後に受給権者が途絶えた場合:
・遺族(補償)一時金:給付基礎日額×1,000日分-すでに支給された遺族(補償)年金の総額
・遺族特別支給金(一時金):なし
・遺族特別一時金(一時金):算定基礎日額×1000日分-すでに支給された遺族特別年金額
支給期間 1回のみ支給

遺族厚生年金、遺族基礎年金は、国民年金・厚生年金保険の給付で、労災の場合もプライベートの事故などの場合もどちらでも利用できます。

給付の内容については、こちらの記事の「4 死亡に対する主な給付(プライベート編)」をご確認ください。

以上(2026年9月更新)

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「経費」「費用」「損金」とは? 似ているけど決定的に違う意味

1 理解していますか? 「経費」で落とすことの大切な意味

「この支払いは経費で落ちる?」

経営者や社員が経理・会計担当者によく聞く内容ですが、この質問の意図は立場によって大きく違います。

社員がこの質問をするのは、「会社のお金で経費を精算できるか」、つまり自腹を切らずに済むかを確かめたいからでしょう。一方、経営者の場合は、社員と同じように経費精算できるかを聞く意味合いもありますが、それ以上に「1円でも多くのお金を設備投資や人材採用に使いたい」という思いがあります。

では、なぜ支払いが経費で落ちると事業のために使える資金が増えるのでしょう?

経費で落ちるということは、会社のお金で支払うということですから、逆に事業で使えるお金は減りそうなものです。

このカラクリは会計制度の違いからきていて、経営者は「税務会計」を意識して質問をしています。

一体、どういうことなのか。詳しく見ていきましょう。

2 中小企業の会計は税務会計が基準

会計には「財務会計」「税務会計」「管理会計」の3つがあり、目的や作成される書類などが違います。

3つの会計の比較表

3つの会計の関係性を示すと、次のようになります。

3つの会計の目的や関係(イメージ図)

一般的な中小企業には、上場会社のように財務諸表を広く外部に公表する義務がありません。一方、納税の義務は会社の規模に関係なく生じます。そのため、

中小企業の会計は税務会計が中心になる

ことになります。

なお、管理会計は社内の意思決定のために行うものなので、実施するか否かは任意ですし、納税額の計算にも直接的な影響はありません。

会計の種類とそれぞれの役割がお分かりいただけたと思います。ここからは、財務会計と税務会計という、2つの制度会計を中心に説明していきます。

3 「経費」「費用」「損金」の正しい定義とは?

早速、財務会計と税務会計でもうけを計算する仕組みを確認してみましょう。

財務会計と税務会計で儲けを計算する仕組み

財務会計では「利益」「収益」「費用」、税務会計では「所得」「益金」「損金」の関係になります。これは言葉の違いだけではありません。多くの項目はほぼ同じ取り扱いではあるものの、一部、取り扱いが違うものがあり、それこそが「税務調整」の対象となります。

具体的には、税務計算では財務会計上の収益・費用に一定の調整(税務調整)を加えて、益金・損金とし、所得を計算する流れになります。

このあたりの詳細は、以下の記事で紹介しているので、ご確認ください。

ところで、皆さんは疑問に感じませんか?

財務会計にも税務会計にも「経費」という言葉が出てきません。実は、

経費とは、財務会計上の費用の一部を指す会計用語

なので、先のもうけの計算では登場しなかったのです。ただし、個人の場合は所得税法上の用語として経費という言葉が使われます。確定申告をしたことがある方にはなじみが深いでしょう。

経費と費用と損金の関係を示すと、次のようになります。

経費と費用と損金の関係(イメージ図)

まとめると、次のようになります。

「経費」「費用」「損金」の違い

経費とは、一般的に財務会計上の費用の一部を指す会計用語で、費用のうち販売や管理目的で支払われる支出を指すことが多い。

費用とは、財務会計上の利益を計算する上で、マイナス項目となる支出のこと。

損金とは、税務会計上の所得を計算する上で、マイナス項目となる支出のこと。

ここで冒頭の質問に戻ります。経営者は税務会計を意識して、「この支払いは経費で落ちる?」と聞いているわけですが、その真意は次の通りです。

税務会計を意識した経営者の意図

経費が増えると費用が大きくなる。その中で損金に算入できるものがあれば、税務会計上の損金も大きくなって所得が小さくなり、税金負担が軽減される。その分、会社により多くのお金が残るので事業に使える。

法人税は、前述した「所得」に税率を乗じて計算するので、所得が小さければ税額は減少するのです。ただし、経費が増えれば「必ず」税負担が減少するわけではなく、損金になるものは限られています。

次章で、損金に算入できるか否かの判断に迷いやすい代表的な費用として、福利厚生費、交際費、備品などの購入費、減価償却を取り上げます。

4 福利厚生費、交際費、備品などの購入費、減価償却の損金算入

1)福利厚生費

福利厚生費とは、社内のコミュニケーションの円滑化や社員のモチベーション向上のために行われるイベント開催費や物品購入費などです。

基本的に、福利厚生費は全額を損金に算入できます。ただし、支出の目的が曖昧だったり、金額が一般的に見て高額すぎたりする場合には、福利厚生費として損金に算入できません。福利厚生費の詳細は、次の記事を参照ください。


2)交際費

交際費とは、取引先など社外の人との飲食費や、贈り物をした場合の物品購入代などです。

交際費は、原則として損金に算入できません。ただし、飲食費については、参加者1人当たりの代金が1万円以下(2024年3月31日以前のものは5000円以下)であれば、交際費ではなく、会議費などとして損金に算入できます。

また、資本金が1億円以下である中小企業の場合、社外の人との飲食費の50%までの金額(飲食費の金額を問わない。社内飲食費は除く)、もしくは飲食費に限らず年間800万円までの交際費のどちらか一方を選択し、損金に算入できる特例があります。交際費と会議費の詳細は、次の記事を参照ください。

3)備品などの購入費

備品などの購入費は、金額の大小や、どのくらいの期間使い続けられるものかなどによって考え方が変わってきます。

例えば、使用可能期間が1年未満、または取得価額が10万円未満のものであれば、消耗品費として、全額をその物品を使い始めた日に損金に算入できます。この他にもさまざまなルールがあるので、備品などの購入費の詳細については、次の記事を参照ください。

4)減価償却

減価償却とは、資産計上される備品など(以下「固定資産」)の損金処理の方法です。

会社の成長・発展のためには設備投資が欠かせず、数千万や数億円を使うこともあります。このように高額な固定資産については、使用の実態に合わせて、少しずつ損金処理していくルールがあり、それが減価償却です。

固定資産の減価償却は、種類・仕様・用途など、さまざまな要素ごとに細かく減価償却方法や償却期間(耐用年数)が決まっていて、その通りに計算しなければなりません。

ややこしいのは、財務会計では認められるが、税務会計では認められない方法などがあるため、税務会計の限度額を超えて減価償却費を計上してしまうことがあります。しかし、税務会計の限度額を超えた部分については損金に算入できないので注意が必要です。減価償却の詳細については、次の記事を参照ください(備品などの購入費のところで紹介しているのと同じ記事です)。

5 「経費・費用」と「損金」と経営者に必要な視点

いかがでしたか。普段何気なく使っている「経費」「費用」「損金」という言葉には、明確な違いがあることをお分かりいただけたと思います。

そして、「この支払いは経費で落ちる?」という質問には、単に会社から経費分のお金が戻ってくるということだけではなく、「それが損金に算入できたら税務会計上の所得が減り、税負担の減少につながる」という意味もありました。

一方、税負担を減らすという点だけに重きを置きすぎことは危険です。確かに損金に算入できれば税負担は減少します。しかし、そもそも備品などを購入するために支払った費用が会社に戻ってくるわけではないので、当たり前のことですが、会社の成長に効果のないお金の使い方、つまり無駄遣いはしてはいけません。

事業に必要な費用は使わなければなりませんが、何が必要で、何が不要なのかを判断するのは経営者です。しかも、その基準は会社の経営ステージによって変わります。経営者の計数感覚が試されるところです。

以上(2026年8月更新)
(監修 税理士 谷澤佳彦)

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損金の計算で重要な「減価償却」の肝は取得価額と使用可能期間

1 固定資産を取得などした場合に有利な選択をする

企業の成長過程では、さまざまな設備投資が必要です。例えば、取引が大きくなると製造機械や装置の刷新・増設、人材が増えるとオフィスの拡大、さらにオフィス機能を充実化するための備品調達などです。

設備投資に要した支出は、損金(税務上の費用)に算入できますが、そのルールは複雑で次のような分岐があります。

固定資産を取得した場合の基本的な処理の流れ

また、固定資産は取得だけではなく、修理・改良や廃棄・売却をした際の取り扱いにも注意が必要です。さらに、一定の設備投資をした際は、投資額の一部について税額控除などの優遇を受けられる優遇税制もあるので、検討したいところです。

この記事では、有形固定資産を「取得、修理・改良や廃棄・売却」した場合の損金算入に関する基本的なルールと、中小企業の設備投資に係る主な優遇税制を紹介します。

2 「少額減価償却資産」は支出した年に全額を損金に算入できる

1)「少額減価償却資産」とは

「10万円までなら一括で落とせるよね?」。経営者同士でこんな会話がされることがあります。これは「少額減価償却資産」の話題です。

少額減価償却資産とは、「使用可能期間が1年未満」または「取得価額が10万円未満」のいずれかに該当する固定資産です。そして、少額減価償却資産の取得価額は、事業のために使い始めた年に全額を損金に算入できるので、「一括で消耗品費などの経費として落とせる」ということです。

この場合、固定資産として計上しないので減価償却は不要です。また、少額減価償却資産は、取得価額の全額を損金として処理しなければならず、一部だけを資産計上することはできません。

2)1事業年度で総額300万円まで使える「少額減価償却資産の特例」とは

少額減価償却資産は取得価額が10万円未満までですが、青色申告を行う中小企業者等(資本金の額などが1億円以下で一定の法人)には特例があります。少額減価償却資産の特例と呼ばれるもので、「取得価額が40万円未満(2026年3月31日以前取得分は30万円未満)」の固定資産を少額減価償却資産として処理し、事業のために使い始めた年に、全額を損金に算入できます。これにより、その事業年度の課税所得を減らすことができるのがメリットです。

少額減価償却資産の特例の限度は、1事業年度で総額300万円までです。総額ですから、例えば、30万円のパソコンを10台調達した場合(300万円=30万円×10台)に全額を損金の額に算入することができます。

3 取得後、数年間にわたって損金に算入する減価償却

1)通常の減価償却資産

少額減価償却資産に該当しない固定資産については、減価償却が必要です。減価償却とは、取得価額を耐用年数にわたって適正に配分(減価償却費として計上)することであり、これにより正しく期間損益計算を行うことが会計上の目的です。ただし、土地のように使用や時間の経過で価値が減少しないと考えられているものは、減価償却の対象にはなりません。

経営者から見ると、減価償却費はキャッシュアウトを伴わない費用であり、タックスプランニングを含めた損益計算において無視できない重要な制度です。前述した「少額減価償却資産の特例」を使うことで、その事業年度の法人税の支払いを抑えることができるでしょう。

では、具体的に減価償却はいつから、どれくらいの期間行うのでしょうか。

まず、減価償却は事業のために使い始めた日から計算するため、基本的には取得時に減価償却方法や耐用年数を判断しなければなりません。この耐用年数が減価償却の期間であり、税務上の耐用年数は法令で定められています。固定資産の種類・仕様・用途などさまざまな要素ごとに細かく規定されており、それぞれの固定資産の特徴を踏まえて決定します。実務上は、国税庁のホームページなどで確認し、対応する耐用年数を決定することになります。

■国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」■
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf

2)定額法と定率法の違い

主な減価償却方法には定額法、定率法、生産高比例法がありますが、生産高比例法は対象資産が限定されているため、説明を省略します。

定額法と定率法の比較は次の通りです。

定額法と定率法の比較

なお、定額法と定率法のどちらを選択した場合でも、耐用年数を通して見れば減価償却費の合計額は同じです。例として、期首に車両(500万円、耐用年数5年)を取得した場合の定額法と定率法の減価償却費の推移を紹介します。

定額法と定率法の減価償却費の推移(車両500万円、耐用年数5年の場合)

3)一括償却資産

一括償却資産とは、取得価額が20万円未満の減価償却資産のことで、3年間の均等償却ができます。つまり、

機械装置や工具器具備品などについて、個々の耐用年数を把握し、固定資産として計上して通常の減価償却をするのではなく、一括償却資産として計上し、3年間の均等償却をする

という選択肢があるわけです。通常の減価償却の耐用年数は3年を超えるものが多く、一括償却資産を選択すれば短期間で損金に算入できます。

4 まとめ:固定資産を取得した場合の取り扱い

ここまで、固定資産の取り扱いとして「少額減価償却資産」「少額減価償却資産の特例」「通常の減価償却資産」「一括償却資産」について説明してきました。改めてそれぞれの特徴を整理すると次のようになります。

固定資産を取得した場合の取り扱い(中小企業のケース)

5 固定資産を修理・改良した際の支出は損金に算入できるか?

長年使用してきた固定資産が故障してしまった場合、修理・改良(以下「修理等」)が必要です。この場合の選択は、修理等のための支出を、

修繕費などとして損金に算入するか、新たな固定資産の取得とみなして資産計上するか

となります。固定資産として計上しなければならない修繕費を、税務上「資本的支出」と呼びます。

まとめると、固定資産の修理等のうち、「通常の維持管理または原状回復のための支出」は修繕費、「固定資産の価値や耐久性を高めたと認められる支出」は資本的支出として処理することになり、資本的支出の場合は減価償却が必要となります。

例えば、資本的支出に該当するのは、次のようなものです。

  • 建物の避難階段の取り付けなど、物理的に付加した部分に係る費用の額
  • 用途変更のための模様替えなど、改造または改装に直接要した費用の額
  • 機械の部品を特に品質または性能の高いものに取り替えた場合のその取り替えに要した費用の額のうち、通常の取り替えの場合にその取り替えに要すると認められる費用の額を超える部分の金額

ただし、これだけでは判断できないことがほとんどなので、実際は図表5で示した修繕費と資本的支出の判定フローチャートを参考にしながら検討することになります。

修繕費と資本的支出の判定フローチャート

6 固定資産を廃棄や売却したら損金に算入できるか?

長年使用して老朽化したり、新モデルが開発されて陳腐化したりした固定資産を廃棄・売却した場合、その時点における固定資産の帳簿価額と売却価額の差額を、固定資産除却(売却)損益として損金(または益金)に算入します。

このあたりは簿記の話となりますが、要するに売却価額が帳簿価額を下回れば損金、上回れば益金となります。なお、廃棄・売却の際に、運送費や廃棄手数料などの付随費用が生じたときは、その金額は固定資産除却(売却)損益に含めて処理します。

以上が基本ですが、一括償却資産の場合は異なります。

3年間の償却期間中に一括償却資産を廃棄(売却)した場合、その除却(売却)損に相当する額は損金に算入できない

というルールがあります。そのため、廃棄(売却)した年も、引き続き3年均等償却をしなければなりません。実務上は、一度、固定資産除却(売却)損を計上し、税務申告書上で調整をするという、少々面倒な手続きをすることになります。

また、廃棄せずに保有している固定資産であっても、次の場合は固定資産除却損として損金に算入できます。

  • その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産
  • 特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、当該製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性のほとんどないことがその後の状況等から見て明らかなもの

7 中小企業が設備投資で使える有利な優遇税制

ここまで、固定資産について取得、修理・改良、廃棄・売却した場合の取り扱いについて紹介してきました。いずれも中小企業が有利な選択をするための一助となる情報です。最後に紹介する優遇税制も、大切な内容ですので、ぜひ、ご確認ください。

1)中小企業投資促進税制

中小企業投資促進税制とは、生産性の向上を目的に一定の設備投資やソフトウエアを購入した場合に、その投資額の一部を税額控除か、特別償却(通常の減価償却費のかさ増し)のいずれかを選択して適用(資本金3000万円超の中小企業については特別償却のみ)できる制度です。

中小企業投資促進税制の概要

例えば、生産性向上を目的に300万円の機械装置を購入して、税額控除を選択した場合、21万円(300万円×7%)を法人税額から控除できます(法人税額の20%限度内である場合)。

なお、購入する設備ごとに購入金額や重量などに下限が決められているため、注意が必要です。また、一部の業種(電気業、水道業、鉄道業、航空運輸業、銀行業、映画業を除く娯楽業など)は対象外とされているため、自社の業種が指定事業に含まれているか確認するようにしましょう。

この税制を受けるためには、事前の申請などは必要なく、法人税の申告の際に、確定申告書に一定の書類を添付することで適用を受けることができます。

中小企業投資促進税制を利用する際に必要な書類

2)中小企業経営強化税制

中小企業経営強化税制とは、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づいて新たな設備投資をした場合に、税額控除か即時償却(購入時に全額を損金に算入)のいずれかを選択して適用できる制度です。

要件は4つのタイプ(A・B・D・E類型)に分かれており、それぞれに定められた要件を満たす必要があります。また、法人税の申告の際に、確定申告書に一定の書類(別表や適用額明細書)を添付することで適用を受けられます。

なお、以前は「デジタル化設備(C類型)」もありましたが、2025年4月1日をもって廃止され、代わりに売上高100億円超を目指す中小企業向けの「経営規模拡大設備(E類型)」が新設されています。

中小企業経営強化税制の概要

中小企業経営強化税制の税制措置の内容

例えば、100万円のシステム投資を行って税額控除を選択した場合、7万円(100万円×7%、資本金3000万円以下の場合は10万円)を法人税額から控除できます(法人税額の20%限度内である場合)。

なお、中小企業投資促進税制と同様、購入した設備ごとに購入金額の下限が決められているため、注意が必要です。また、一部の業種(電気業、水道業、鉄道業、航空運輸業、銀行業、映画業を除く娯楽業など)は、対象外とされているため、自社の業種が指定事業に含まれているか確認するようにしましょう。

この税制を受けるためには、事前に経営力向上計画を作成し、国から認定を受けなければなりません。申請準備から認定までおおよそ3カ月はかかるといわれているので、早めの相談が必要です。また、法人税の申告の際に、確定申告書に一定の書類(認定計画の申請書および認定書の写しや、別表、適用額明細書)を添付しなければなりません。なお、この制度の適用期限は2027年3月31日までです。

以上(2026年8月更新)
(監修 税理士 石田和也)

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6枚の「年収の壁」、税金や社会保険料の負担はどこから変わる?

1 年収によって生じる6枚の壁

年収の壁とは、

税金や社会保険料の負担が変わる境目の年収

です。2025年および2026年の相次ぐ制度改正により、年収の壁の金額が大幅に変わっています。2026年8月時点の年収の壁は次の通りです。

年収によって生じる6枚の壁(2026年8月時点)

年収の壁についてざっくりとしたイメージはあったかもしれませんが、このように表にすると、複数の制度にわたっていて複雑であることが分かります。

年収の壁は、

  • 従業員個人にとっては、本人、配偶者、子供の働き方次第で手取りが変わってくる要因
  • 会社にとっては、パート等のシフト調整や勤怠管理をする際に考慮すべき一定の基準

になりますので、きちんと理解をしましょう。この記事を従業員に読んでもらうのも、有益な情報提供になるでしょう。

2 税制上の壁:110万円、169万円、178万円、207万円

1)110万円の壁

110万円の壁は、住民税が課税されるか、されないかの境目となる壁です。年収が110万円を超えると、住民税が課税されます。住民税は前年の所得を基に計算されるので、実際に納税(給与を受け取っている人は給与から徴収)するのは、110万円を超えた翌年6月以降です。

住民税は、都道府県民税と市町村民税に分かれ、それぞれ「均等割(均等に一定額が課される)」と「所得割(その人の所得を基に課される)」によって計算されます(東京23区内の法人都民税は、法人市町村民税分を分けず、合わせて計算されます)。標準税率は、

  • 均等割:都道府県民税が1000円、市区町村民税が3000円の合計4000円(2024年度より森林環境税が1000円課税されます)
  • 所得割:都道府県民税が4%、市町村民税が6%の合計10%

です。標準税率とは、地方税法で定められた税率のことです。各自治体が一定の範囲内で標準税率と異なる税率(制限税率)を定めることができるため、お住まいの自治体によって税率が異なる場合があります。

2)178万円の壁

178万円の壁は、所得税が課税されるか、されないかの境目となる壁です。年収が178万円を超えると、所得税が課税されます。実際は、月給が10万5000円以上だと、支給される給与から所得税が差し引かれます。もし、年収が178万円以下の年に、たまたま月給10万5000円以上の月があるときは、年末調整(年末時点の年収から正確な所得税を計算し、精算する処理)または確定申告をすることで、差し引かれる必要のない所得税を返してもらえます。また、178万円の壁を基準とした源泉徴収の反映は2027年1月以後の給与支払いからとなるため、2026年の年末調整または確定申告で精算が必要です。

所得税の税率は所得額に応じて異なり、所得額(年収から控除額を控除した金額)の区分別に5~45%で、所得額が高くなるにつれて税率が上がります。最小の税率(5%)は、所得1000円~194万9000円までの区分に適用されます。

178万円という金額は給与を支給される人(一定の人を除く)が受けられる控除である、

  • 基礎控除の104万円
  • 給与所得控除の74万円(給与所得が220万円以下の場合受けられる控除の最低額)

の2つの控除の合計額(178万円=104万円+74万円)です。控除額の合計額が178万円以内の年収であれば、所得は0円扱いとなり所得税が掛からないというわけです。

年収 178万円-給与所得控除額 74万円-基礎控除額 104万円=所得額 0円

3)169万円の壁と207万円の壁

169万円の壁は、配偶者特別控除の満額である38万円を受けられるか、受けられないかの境目となる壁です。配偶者特別控除は、一定の所得範囲の配偶者がいる納税者が受けられる控除です。

納税者本人(扶養者)をA、その配偶者をBとします。配偶者Bの年収が169万円を超えると、控除額は段階的に減少し、納税者Aの税負担が増えていきます。また、納税者Aの収入金額によっても控除額が異なり、原則1195万円(所得金額が1000万円)を超えると、配偶者Bの所得に関係なく、配偶者特別控除は受けられません。

配偶者と控除を受ける納税者の収入で変わる配偶者特別控除額(令和8年分)

207万円の壁は、配偶者特別控除が受けられるか、受けられないかの境目となる壁です。配偶者Bの収入金額が207万円を超えると、配偶者特別控除が受けられず、納税者Aの税負担が増えます。

3 社会保険上の壁:106万円、130万円

1)106万円の壁(2026年10月に撤廃)

106万円の壁は、一定の規模以上の会社における社会保険(健康保険、厚生年金保険)への加入義務が発生するか、しないかの境目となる壁です。2026年8月時点では、パート等は「週の所定労働時間または月の所定労働日数が、正社員の4分の3未満」であれば社会保険には加入しませんが、次の1.から5.を全て満たす場合については、被保険者(社会保険の加入者)になります。

1.会社規模:勤務先の従業員数(厚生年金保険の被保険者数)が常時51人以上(注)

2.給与収入:所定内賃金が月額8万8000円以上(8万8000円×12カ月≒106万円)

3.労働時間:週の所定労働時間が20時間以上

4.雇用期間:継続して2カ月を超えて使用される見込み

5.適用除外:学生でない

(注)1年のうち6カ月間以上、厚生年金保険の被保険者の総数が基準を超えることが 見込まれる場合を指します。

これらの要件のうち、2.の給与収入が「106万円の壁」ですが、

年金制度改正法により、2026年10月に「106万円の壁(賃金要件)」が撤廃

されます。

なお、1.の会社規模についても、2027年10月より「常時51人以上」の部分が「常時36人以上」に引き下げられ、以後段階的に縮小、2035年10月には、一部の個人事業所を除く「全ての会社」が対象となります。つまり、最終的には、3.の労働時間、4.の雇用期間、5.の適用除外の要件を満たすパート等が全員、社会保険に加入することになります。

2)130万円の壁

130万円の壁は、社会保険の扶養に入れるか、入れないかの境目となる壁です。被扶養者である方の年収が130万円(60歳以上または障害者の場合は180万円、19歳以上23歳未満(配偶者を除く)の場合は150万円)以上となると、原則として配偶者等の扶養から外れ、勤務先の社会保険の加入要件を満たす場合は加入し、満たさない場合は国民健康保険および国民年金に加入することとなります。

なお、近年、壁を越えないように働く時間を調整する人が多く、これが人材不足に拍車をかけていると指摘されています。そこで、130万円の壁への対応として、2026年4月より被扶養者認定において次の要件を両方満たす場合には、原則として被扶養者に該当するものとして取り扱われることになっています。

  • 労働条件通知書や労働契約書に基づく年収が130万円未満
  • 他の収入が見込まれず、主として被保険者の収入によって生計を維持していると認められる

以上(2026年9月更新)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ)
(監修 社会保険労務士法人AKJパートナーズ)

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画像:ChatGPT

【管理会計】赤字の注文でも変動費が低ければ利益が出る~「限界利益」を覚える

1 質問:製造原価よりも安い注文はお断りするべきか?

自社の商品(自社工場で製造)が百貨店バイヤーの目に留まり、新規で10万個の注文がありました! 現在、その商品は取引先20社に提供していて、すべて販売単価は700円、製造原価は550円です。

ところが、百貨店の条件は厳しく、

販売単価を500円に値下げしてほしい

と値引きを要請してきました。自社工場の生産能力には余力があって10万個の追加製造は引き受けられそうですが、販売単価が安い。

さて、ここで問題です。単純に、

原価割れで、赤字だ!

と考えるのは正しいのでしょうか。こうしたシーンに直面することはよくあるので、判断の基準をご紹介します。

2 「限界利益」という感覚を持つ

前述した百貨店の案件は、数字だけ見ると原価割れです。しかし、原価の内訳を確認すると評価が変わるかもしれません。仮に、その商品の原価は次の通りとしましょう(話を単純化するため、ここでは、材料費と人件費以外を考慮しないものとします)。

  • 変動費:450円。販売個数に応じて増える材料費など
  • 固定費:100円。販売個数に関係なく生じる人件費など

例えば、すでに別で生産している売上で固定費が賄われている状態にあり、現在の生産能力で10万個の増産に耐えられるなら(固定費が増えないなら)、商品を1個販売するごとに増える原価は材料費の450円だけです。つまり、百貨店提示の販売単価でも、1個販売するごとに50円(500円-450円)もうかります。これを管理会計の分野では「限界利益」と呼びます。

限界利益=売上高-変動費

この限界利益で固定費を賄うことができれば収支トントンであり、これを「損益分岐点」と呼びます。

3 「損益分岐点」をマスターする

改めて整理すると、

商品の売上高から変動費を引いたものが限界利益で、この限界利益が固定費を上回れば利益が出る

ということです。そして、限界利益と固定費がイコールになるポイントが損益分岐点です。図で確認すると分かりやすいでしょう。

損益分岐点のイメージ

固定費を限界利益率(売上高に占める限界利益の割合)で割れば、損益分岐点になる売上高が分かります。

損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率

=固定費÷(1-変動比率)

=固定費÷(1-(変動費÷売上高))

これにより、「この商品が、どのくらいもうけを出しているか」が分かるので、百貨店の注文を受けるか否かについて根拠を持って決められるようになります。念のため補足をすると、販売価格が同じであれば、限界利益率の高いほうが利益を出しやすくなります。

4 練習問題

(問題1)

販売単価が1000円(変動費400円、固定費400円)の商品を、合計で5000個販売しました。この場合の限界利益はいくらですか? また、限界利益率はどのくらいですか?

(問題1の回答)

答え:限界利益300万円、限界利益率60%

販売単価の1000円から変動費400円を引くと、1個当たりの限界利益は600円です。その商品を合計で5000個販売しており、商品全体の限界利益は600円×5000個で、300万円となります。また、限界利益率は売上高に占める限界利益の割合なので、60%となります。

(問題2)

販売単価が1000円、製造単価が800円の商品があります。製造を外注した場合、外注単価は570円です。この商品を外注するか否かを検討する際に、どのような情報が必要ですか? また、どのような条件の場合に外注しようと思いますか? なお、外注費は全て変動費として取り扱います。

(問題2の回答)

答え:必要な情報は製造単価の変動費と固定費の内訳。外注を検討するのは、自社の変動費が570円超の場合。

製造単価800円は変動費と固定費を合算したものであるため、単純に「外注570円<製造単価800円だから外注が有利」とは言えません。判断の核心は、「自社の変動費が外注費570円より高いかどうか」です。

以上(2026年9月更新)
(監修 税理士 谷澤佳彦)

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画像:pixabay

経営のヒントとなる言葉(丹下健三)

「前やったものと同じものをつくろうとは決して思いませんからね。前のものを踏み台にして、常に新しい試みをしていく」(*)

出所:「丹下健三 時代を映した“多面体の巨人”日経アーキテクチュア\r\n     1975―2005」(日経BP社)

冒頭の言葉は、

「自分の仕事に満足することなく、過去に培った経験を生かしながら、新たな挑戦をし続ける」

ということを表しています。

丹下氏は広島平和記念資料館、東京オリンピックの会場として使用された国立屋内総合競技場(現国立代々木競技場)など、後世に残る多くの仕事を手掛けたその華々しいキャリアから、「天才」と称されることがあります。しかし、その仕事ぶりは天才の呼び声とはかけ離れたものでした。

丹下氏は1枚の図面を何度も描き直したり、模型の細部にこだわるなど妥協を許さない仕事ぶりで知られました。そこには、過去に手掛けた作品で得た経験を生かし、それに更なる修正を加えて、より良いものを生み出していこうという丹下氏の考えが反映されていました。この、丹下氏の妥協なき仕事ぶりは、晩年になっても変わることはなかったといいます。

例えば、1986年、丹下氏が73歳のとき、東京都の新都庁舎を建設するためのコンペが開催されました。コンペには丹下氏のほかにも、槇文彦氏や黒川紀章氏などの日本の著名な建築家が参加し、世間からは「他の参加者に比べて丹下氏が有利だろう」との見方を占めていました。

一方、丹下氏は並々ならぬ決意でこのコンペに臨んでいました。丹下氏の子息で、丹下氏とともにこのコンペに臨んだ建築家の丹下憲孝(たんげのりたか)氏は、このときの様子について、「丸の内の旧都庁舎を建てたのも父である。時代に合う形で、新しくつくりたいという思いが父にはあった。また、日本の首都に、シンボリックな建物がないというのが、父のかねてよりの不満だった」と述べています。

そのため、丹下氏はスタッフ全員を新都庁舎のコンペに集中させ、一時は100体近い模型が事務所内に並ぶほど、全員が力を入れて多くのアイデアを出し合いました。その中から、最終的な候補となったのは丹下氏が考案した、先端が2つに割れたタワーのデザインでした。このとき、他のスタッフはそのデザインを見て、素直に負けを認めたといいます。そして、丹下氏の案を基に事務所を挙げてコンペ直前まで模型や資料作りなどにいそしみました。丹下氏は高齢であったにもかかわらず、コンペの2、3日前は徹夜を続け、自ら先頭に立って細かなチェックを重ね、本番に挑みました。

そして、丹下氏は世間からの勝って当然というプレッシャーや、強力なライバルを退けて見事コンペに勝ち、新都庁舎の設計を手掛けることになりました。

こうした丹下氏の妥協なき姿勢は次の言葉にも表れています。

「人間は、一つのことを七十二時間考え続けられなければだめだ」(**)

この言葉通り、丹下氏は物事を長時間にわたって多面的に考え抜かなければ、良いものはできないという信念のもと、妥協なき姿勢を貫きました。

建築家は、高い専門性と同時に広い視野を求められる職業です。そうした中にあって、丹下氏は常に第一線に立ち、活躍し続けました。その活躍の裏には、過去のものよりも、さらに良いものを作るために、あらゆる角度から多面的に物事を考え抜くという行動の繰り返しがありました。

時間やコスト、経営資源など、ビジネスにはさまざまな制約があります。このような中、妥協を許さない姿勢を貫くことは容易ではありません。しかし、だからといって初めから安易な妥協に甘んじてしまうなら、それ以上の成長は望めないでしょう。

数々の制約の中にあっても妥協を許さず、試行錯誤を重ねてベストの答えを出す。こうした挑戦を続けていくことが、自身を大きく成長させるのです。

【本文脚注】

本稿は、注記の各種参考文献などを参考に作成しています。本稿で記載している内容は作成および更新時点で明らかになっている情報を基にしており、将来にわたって内容の不変性や妥当性を担保するものではありません。また、本文中では内容に即した肩書を使用しています。加えて、経歴についても、代表的と思われるもののみを記載し、全てを網羅したものではありません。

【経歴】

たんげけんぞう(1913~2005)。大阪府生まれ。東京大学工学部建築学科卒。広島平和記念資料館(1955年)、東京カテドラル聖マリア大聖堂(1964年)、東京都庁舎(1991年)などを設計。

【参考文献】

(*)「丹下健三 時代を映した“多面体の巨人”日経アーキテクチュア 1975―2005」(日経BP社、2005年9月)

(**)「七十二時間、集中しなさい。父・丹下健三から教わったこと」(丹下憲孝、講談社、2011年2月)
「一本の鉛筆から」(丹下健三、日本経済新聞社、1985年8月)

以上(2026年8月更新)

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画像:日本情報マート