ビジネスで差がつく「花の贈り方」~自分を売り込むチャンス!

1 「花」はオフラインメディアである

誰もが知っている大企業勤めならいざしらず、中小企業の場合、社長も一介の営業担当者も、まずは相手に「自分」を覚えてもらうことからビジネスが始まります。正方形の名刺、個性的な服装、つかみのトークなど、これらは全て「個」として自分を覚えてもらうための工夫です。

筆者は以前、1日に何件もアポイントが入る地方銀行系シンクタンクの名物執行役員に、一度で顔と名前を覚えてもらい、何度も連絡を取り合う仲になりました。残念ながら自社のビジネスにはつながりませんでしたが、代わりに多くの人を紹介したり、紹介してもらったりしましたし、通常は知り得ない金融機関の裏話も聞けました。

また、知人が東京の赤坂でカラオケスナックを開店したとき、ほとんど店に行けなかったにも関わらず、とても感謝され「あなたの開店祝いが一番良かった!」と絶賛されたことがあります。

どちらのケースも、私が一体何をしたかというと、

花を贈った。ただそれだけ

です。ポイントは相手のことを考え、ちょっとだけ工夫したことです。さて、ここでクイズです。私がしたちょっとした工夫とは、次の3つのうちどれだと思いますか?

クイズ1.「地方銀行系シンクタンク」向けの工夫は?

  • 自分をアピールするために、10鉢の胡蝶蘭を贈った
  • ストーリー性を持たせるために、自分で新幹線に乗って胡蝶蘭を運んだ
  • あえて「立札(送り主の名前が記された札)」を付けなかった

答えを知りたい人はこちらをクリック(ログイン後)

クイズ2.「赤坂でカラオケスナック」向けの工夫は?

  • サプライズとして、開店時間ぴったりに胡蝶蘭を届けた
  • 空間演出ができるよう、香りの強い花を贈った
  • 小さなプリザーブドフラワーを3基贈った

答えを知りたい人はこちらをクリック(ログイン後)

花は一定期間、空間に飾られて視覚的に強い印象を残しますし、

立札に自社名を記せば「オフラインメディア」のような宣伝効果

が期待できます。4月は開業・開店、異動や昇進などが重なる時期ですから、花を贈って自分を覚えてもらう絶好の機会です!

この記事では、ビジネスで花を贈る際の基本マナーや、一歩進んだ「印象に残る贈り方」を紹介しています。花を贈って新年度の営業に弾みをつけましょう!

花の贈り方

2 【シーン別】花の贈り方の基本マナー

ビジネスで花を贈るシーンを想定し、予算やタイミングなどをまとめます。予算などは相手との関係によりますので、その辺りはうまく調整してください。

(図表)【花の贈り方の基本マナー】

シーン 予算の目安 贈るタイミング 贈る場所 注意点・マナー
開業・開店 1万~5万円 オープン前日~当日朝 店舗・事務所 赤い花やラッピングは「火事」を連想させるため避けたほうが無難。開店時は多忙なので世話がかからない花が理想的
移転祝い 1万~3万円 移転完了後~2週間以内 新事務所・新店舗 先方の片付けが落ち着く大安などの吉日を選ぶのが理想的。あえてタイミングをずらすと印象に残りやすいことも
栄転・昇進 5千~3万円 辞令公表後~1週間以内 勤務先または自宅 人事のことなので慎重に進め、必ず正式な辞令が出てから贈ること。会社に届ける際はサイズに注意
退職・送別 3千~1万円 送別会当日・最終出勤日 送別会場・勤務先 持ち帰る際の負担にならないサイズとし、持ち帰り用の袋を用意すると丁寧。定年退職には華やかな花束が良い
お見舞い 3千~5千円 入院後、容体が安定してから 病院(許可が必要) 鉢植えは「根付く=寝付く」を連想させるため厳禁。香りが強い花、落ちる花も避けるのが通常
お悔やみ 1万~2万円 お通夜・告別式まで 斎場・自宅 宗教により花の種類が異なること、斎場の広さによって受け入れられる献花に限りがあるため、必ず葬儀社に確認する

(出所:日本情報マート作成)

3 筆者が行った小さな工夫

ここからは「印象に残る花の贈り方」を紹介します。といっても、その方法はさまざまで、

  • ワントーンにアレンジしたり、季節の花を加えたりして目立たせる
  • 鮮やかなプリザーブドフラワーを送り、世話をせずに鑑賞できるようにする
  • 小型の盆栽を贈って、鑑賞だけではなく育てることも楽しんでもらう
  • QRコード付きカードで、読み込むと動画メッセージが観られるようにする

などが考えられます。どういった方法がいいかは、相手の状況によって変わってきます。

つまり、

お決まりの行為として花を贈るのではなく、いかに相手のことを知り、その状況に合わせて工夫するか

が大切になります。冒頭でお出ししたクイズの答えもまさにこれに通じます。答えは以下の通りです。

クイズ1.「地方銀行系シンクタンク」向けの工夫は?

(答え)3.あえて「立札(送り主の名前が記された札)」を付けなかった

今回の場合、オフィス移転といっても、近隣のテナント入居先から銀行本体の一室に移動するというものでした。私は、たまたま執行役員から移転のことを聞いていましたが、私以外の外部の人間で知っている人はほとんどいないとのことでした。
移転のお祝いに胡蝶蘭を贈ったのですが、あえて立札はつけませんでした。なぜかというと、

取引関係にない私が、なぜ、移転のことを知っていて、花まで贈ってくれるのか?(執行役員はこの相手に便宜を図るつもりか?)

とつまらない詮索を受けて、執行役員に迷惑をかけたくなかったのです。

結局、届いた花は私が贈った1鉢だけだったとのことで、それなりに目立ったようです。また、これは想定外だったのですが、立札がないため、執行役員が花の送り主である当社のことを説明してくれて、会社名と私の名前が内部で広まりました。もちろん、健全な関係であることも内部で理解されました。

このこともあり、執行役員との仲が深まっていきました。執行役員曰く「自分の立場に配慮した私の姿勢」を評価してくれたとのことでした。

クイズ2.「赤坂でカラオケスナック」向けの工夫は?

(答え)3.小さなプリザーブドフラワーを3基贈った

カラオケスナックをオープンした知人はビジネススクールの学友で、開店のことは事前に相談されていました。出店場所やお店の広さは聞いていましたし、ワンオペで回すということも知っていました。開店祝いの花といえば胡蝶蘭が定番ですが、恐らく飾っておくスペースがないですし香りも気になります。また、ワンオペで店を回すとなると、花の世話もできないと考えました。

そこで私は、カウンターにおける大きさでテイストの異なるプリザーブドフラワーを3基贈ることにしました。なぜなら、

3基のプリザーブドフラワーを順番に飾るだけで、手間をかけずに雰囲気を変えられる

と思ったからです。

当時、私は仕事が忙しくて、ほとんど店に行けなかったのですが、「店内が明るくなって、変化も出せる」と、とても感謝されました。

花の贈り方

2つのケースで共通するのは、

事前に相手の状況を把握できていた

ことです。花を贈るとインパクトがありますが、一方ではスペースが必要だったり、飾る順番について相手に気を遣わせたり、世話をしなければならなかったりという側面もあります。状況はそれぞれですが、事前の情報でこうしたマイナス要因を排除すれば相手は喜び、印象に残りやすいのだと思います。

以上(2026年3月作成)

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画像:日本情報マート

4月開始「自転車の青切符」 スマホ使用や放置駐車にも反則金が?

1 2026年4月から「青切符」導入、自転車の規制はどうなる?

自転車の交通違反があった場合、指導警告のほか、これまでは

いわゆる「赤切符」の交付などの刑事手続き(有罪となった場合は前科がつく)

により処理されていました。

ただ、赤切符による処理は、反則金を納めれば刑事罰が免除される「交通反則通告制度」(いわゆる「青切符」)が導入されている自動車の交通違反と比べて時間的・手続き的な負担が大きく、検察に送致されても不起訴とされるケースが少なくありませんでした。そこで、悪質・危険な交通違反を迅速かつ適切に処理できるよう、

2026年4月から、自転車の交通違反についても、自動車と同じく「青切符」による取り締まりが行われる

ことになりました。

2 青切符を切られるケースと反則金の一覧

青切符は2026年4月以降、

  • 16歳以上の全ての自転車利用者(自動車運転免許の有無は問わず)を対象に、比較的軽微な交通違反を犯した場合に交付されます。
  • 違反行為に応じた反則金を納付した場合、刑事罰が免除されます。

「反則行為」という軽微な違反行為(信号無視、一時不停止など)については、交通反則通告制度(青切符)で対応されることになります。一方、「非反則行為」という重大な違反行為(酒酔い運転など)については、これまで通り赤切符での対応になります。

2026年4月以降、自転車で交通違反があった場合の流れ

具体的には、図表2の反則行為が、反則金を支払うことで刑事罰を免除されることになります。

2026年4月以降の反則金一覧

自転車への青切符導入については、警察庁から基本的な交通ルールと警察の交通違反の指導取締りの基本的な考え方についてとりまとめた自転車ルールブックが発表されています。警察庁「自転車ポータルサイト」からダウンロードできますので、こちらも併せてご確認ください。

■警察庁「自転車ポータルサイト」■
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/portal/rule.html

3 自動車の運転時にも注意が必要

自動車等が自転車等の右側を通過する場合(追い越す場合を除く)に十分な間隔がないとき、自転車等はできる限り道路の左側端に寄って通行しなければなりません。これに違反した場合、図表2の「被側方通過車義務違反」に当該します。

一方、自動車等は、自転車等との「間隔に応じた安全な速度」で進行しなければなりません。警察庁から、この場合の「間隔に応じた安全な速度」について、

  • できる限り間隔を空ける(少なくとも1m程度間隔を空ける)
  • 自転車と1m程度の間隔を確保できない場合には、時速20kmから30km程度で運転する

という目安が示されています。これに違反した場合、3カ月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金、反則金(普通車7000円)、違反点数2点が課せられる恐れがあります。

具体的な走行状況、道路状況や交通状況により異なりますが、自動車を運転していて、自転車の右側を通過する場合、これまで以上に注意が必要です。

4 参考:自転車事故の予防と備えを忘れずに

1)「自転車指導啓発重点地区・路線」を確認しよう

警察庁によると、自転車関連事故(自転車が第1当事者または第2当事者となった交通事故)の件数は減少傾向にありますが、2024年の事故件数は約6万7531件と、依然として多くの事故が起きている状況にあります。

■警察庁「自転車は車のなかま~自転車はルールを守って安全運転~」■
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/info.html

警視庁および各道府県警察は、管内の交通量が多い道路や、生活道路などで自転車が関係する違反や事故が多いエリアを「自転車指導啓発重点地区・路線」として、ウェブサイト上で公表しています。日常生活で自転車をよく利用する社員に、居住地や会社周辺の「自転車指導啓発重点地区・路線」を確認するよう、周知するのも自転車事故防止につながるでしょう。

2)ヘルメット着用を検討しよう

2023年4月1日に施行された改正道路交通法によって、全ての自転車利用者に対し、乗車用ヘルメット着用が努力義務化されました。

自転車乗用中の交通事故で死亡した人の約5割が、頭部に致命傷を負っています(2020年から2024年の合計)。

ヘルメット着用はあくまで努力義務であり、罰則はありませんが、自転車乗用中の交通事故において主に頭部を負傷した死者・重傷者の割合では、

ヘルメットをしていなかった人の割合は、ヘルメットをしていた人と比べ約1.7倍

にも膨れ上がります。社員にヘルメットの着用を勧めることで、「もしものとき」の大きなケガを防ぐことができます。

■警察庁「頭部の保護が重要です~自転車用ヘルメットと頭部保護帽~」■
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/toubuhogo.html

3)自転車向けの損害保険の加入も検討しよう

自転車で交通事故を起こした場合には、運転者に刑事上の責任も問われます。さらに、重大な過失によって人を死傷させた場合には、「重過失致死傷罪」に問われる恐れもあります。被害者に対しては、民事上の損害賠償責任も発生します。

交通ルールをしっかり守って運転しなければならないことを、いま一度、社員に徹底させましょう。また、自転車向けの損害保険の加入も検討するとよいでしょう。

■日本自動車連盟「[Q]自転車で道交法違反をした場合は?」■
https://jaf.or.jp/common/kuruma-qa/category-accident/subcategory-traffic-violation/faq286
■日本損害保険協会「自転車事故と保険」■
https://www.sonpo.or.jp/about/useful/jitensya/

以上(2026年4月更新)

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画像:日本情報マート

【PDFで印刷可能】総務のお仕事 12カ月 一目で分かる「月別実務リスト」

人事部、経理部、法務部など、バックオフィス専門の部署がないことが多い中小企業では、経営者や管理職も例外なくこうした実務を行います。しかし、不慣れな上に、片手間で処理することが多いので、どうしても抜け漏れが生じがちです。

一方、こうした実務は法令で定められたものが多く、放置しておくと思わぬペナルティを受けることがあります。

これを避けるために、

「人事労務」「会計・税務」 「法務・その他総務」の主なお仕事を月別にリスト化した「月別実務リスト」

を作成しました。下記からPDFでダウンロードできますので、印刷してご活用ください。


こちらからダウンロード

なお、このPDFは次のコンテンツを再編したものです。興味のある月の業務だけを知りたい場合、こちらをご確認ください。

以上(2026年4月作成)

pj00815
画像:日本情報マート

総務のお仕事 12カ月 一目で分かる「月別実務リスト」

1 実務の抜け漏れを防止するには?

人事部、経理部、法務部など、バックオフィス専門の部署がないことが多い中小企業では、経営者や管理職も例外なくこうした実務を行います。しかし、不慣れな上に、片手間で処理することが多いので、どうしても抜け漏れが生じがちです。

一方、こうした実務は法令で定められたものが多く、放置しておくと思わぬペナルティを受けることがあります。これを避けるために、この記事では「3月末決算の中小企業」を対象に、

「人事労務」「会計・税務」 「法務・その他総務」の主なお仕事を月別にリスト化

しました。

また、印刷してお使いいただけるPDF版も用意していますので、よろしければこちらもご活用ください。

2 総務のお仕事リスト(対象:3月末決算の中小企業)

以降では、4月から順にリストを紹介しつつ、重要な実務 (各リストの赤字部分)については別途ポイントを説明します。なお、リストの内容は中小企業における一例です。また、便宜上、社会保険の保険者は全国健康保険協会(協会けんぽ) とします。

1)4月のお仕事

4月のお仕事

1.入社手続き (4月入社の場合)

社員が入社したら、「労働条件通知書の交付」 「社会保険や雇用保険の資格取得手続き」「雇入時健康診断の実施」などの手続きが必要です。なお、全国健康保険協会における保険料率が変更になる可能性がありますので、必ず確認するようにして下さい。

2.決算書の作成

1年分の取引に関する仕訳に、決算整理仕訳(売上原価の算定、収益費用の見越し・繰延べ、減価償却の計上など)を加えて集計し、それぞれの勘定科目を決算日時点の数値に確定します。確定した数値を基に、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュフロー計算書(中小企業の場合、作成は義務ではありません)、個別注記表を作成します。

3.3月決算法人の税務申告書の作成

2. で作成した決算書などの数値を基に、法人税 (地方法人税を含む)、法人住民税、法人事業税、消費税(地方消費税を含む)の「税務申告書」を作成します。

法人税と消費税の申告書の作成が中心となります。法人税については、決算書の利益から法人税法上の所得を計算するので、さまざまな調整や税額計算が必要です。消費税については、消費税が課税されている売上・仕入かどうかなど、消費税独自の税額計算を行います。

2)5月のお仕事

5月のお仕事

1.3月決算法人の確定申告

原則事業年度終了の日から2カ月が経過する日 (3月末決算の場合は、5月31日)までに、作成した「確定申告書」を、各提出先に提出します。「国税電子申告・納税システム (e-Tax)」や「地方税ポータルシステム (eLTAX)」を利用していれば、システム上での電子申告が可能です。

2. 確定申告による法人税等および消費税の納付

原則事業年度終了の日から2カ月が経過する日までに、1.で申告した納税額を、各納税先に納める必要があります。e-TaxやeLTAXを利用していれば、ダイレクト納付 (口座振替) やインターネットバンキングなどを利用した電子納税が可能です。

3)6月のお仕事

6月のお仕事

1.夏季賞与の支給、被保険者賞与支払届の提出

社会保険(健康保険・厚生年金保険)の被保険者に賞与を支給した場合、支給日から5日以内に、「被保険者賞与支払届」を所轄の日本年金機構事務センターに届け出ます。支給予定であるにも関わらず支給しなかった場合についても、「賞与不支給報告書」を同じく所轄の日本年金機構事務センターに届け出ます。

なお、賞与保険料は、通常の給与の社会保険料と併せて支給月の翌月末に納付します。賞与を年2回または3回支給している場合、支給のたびに同じ手続きが必要です(年4回以上支給している場合は対象外)。

2.定時株主総会の開催

中小企業の多くは「非公開会社 (全株式の譲渡について会社の承認が必要となる旨を定款に定めている会社)」です。非公開会社は、定時株主総会開催の1週間前までに、「招集通知」を株主に送付します。ただし、議決権を行使できる全株主が同意した場合は省略できます。

また、総会後は、「議事録の作成」 「決議通知書の発送」 「計算書類の公告」などの他、取締役の変更などがあった場合、2週間以内に、所轄の法務局に「変更登記の申請」をします。

4)7月のお仕事

7月のお仕事

1.算定基礎届の提出

毎年7月10日までに、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の被保険者の4、5、6月支給給与額を記載した「算定基礎届」を、所轄の日本年金機構事務センターに届け出ます。これにより9月分以降の社会保険料が改定されます(定時決定)。社会保険料は翌月末に納付するのが原則ですので、定時決定で標準報酬月額が変わった場合は、10月に支給する給与から社会保険料の控除額を変更します。

なお、定期昇給などで固定給が変わり、標準報酬月額が2等級以上変動した社員がいた場合、その社員については、変動月から起算して4カ月目から社会保険料が改定されます(随時改定)。例えば、給与が毎月末日締め、翌月払いの会社が、4月に定期昇給(昇給が反映された給与を支払うのは5月から)を行った結果、2等級以上の変動があった社員がいた場合、5、6、7月の給与支払い後、速やかに「月額変更届」を所轄の日本年金機構事務センターに届け出ます。この場合、随時改定が定時決定に優先し、昇給月から起算して4カ月目である8月から標準報酬月額が変わり、社会保険料の控除額を9月支給の給与から変更します。

算定基礎届の記載に当たり、支払基礎日数が17日未満の月は算定対象から除外されます(短時間労働者は11日未満で除外)。4~6月に欠勤が多かった社員がいる場合、ミスが起きやすいポイントなので注意しましょう。

2.労働保険年度更新申告書の提出

毎年7月10日までに、「労働保険年度更新申告書」を所轄の労働基準監督署に届け出ます(労働局への提出や電子申請も可能)。この申告書には、労働保険(雇用保険・労災保険)の前年度の確定保険料と当該年度の概算保険料を記載します。

また、当該年度の概算保険料も原則7月10日までに納付します(前年度に納付した概算保険料と確定保険料との間に過不足があれば、過不足を調整した額を納付します)。ただし、事前に保険料の口座振替の申し込みをしている場合、9月6日(土日祝の場合は翌営業日) に引き落とされます。なお、労働保険料は「概算保険料が40万円以上」など所定の要件を満たす場合、3回まで分割納付が可能です。

5)8月のお仕事

8月のお仕事

1.夏季休暇などの取得予定の確認

夏季休暇は法令で定められた休暇ではなく、会社が就業規則等で独自に設定する「特別休暇」の1つです。例えば、「7、8、9月の3カ月間で3日まで取得可」といった具合に定めるのですが、業務が多忙だと、周囲に遠慮して社員がなかなか休暇を取れないケースがあります。そのため、会社のほうから各社員に取得予定を確認するなどの配慮をするとよいでしょう。

2.建物、設備、社有車などの点検

夏季休暇などで休みを取る社員が増える間、建物、設備、社有車などの点検がおろそかにならないよう注意します。特に、建築基準法、電気事業法、道路運送車両法などで定められている「法定点検」については、所定の期限までに必ず実施します。

6)9月のお仕事

9月のお仕事

1.定期健康診断、ストレスチェックの実施 (9月実施の場合)

社員を雇用する全ての会社は、定期健康診断を1年以内に1回以上実施します。社員数が常時50人以上の場合、ストレスチェックの実施義務もあり、こちらも1年以内に1回以上実施となります(注)。

なお、社員数が常時50人以上の会社は、定期健康診断実施後に「定期健康診断結果報告書」を、ストレスチェック実施後に「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」を、すみやかに所轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。

(注)ストレスチェックについては、2025年5月14日から3年以内に政令で定める日より、50人未満の会社にも実施義務が課せられます。

2.防災訓練の実施、BCPや備蓄の確認など

9月1日の「防災の日」に防災訓練をする会社は多いです。テレワークをしている会社も、災害伝言板やSNSを使った安否確認訓練を実施するなどして、緊急時に備えましょう。また、BCP(事業継続計画)の内容が古くないか、災害用品の備蓄 (水・食料、ヘルメット、救急セットなど)に問題がないかなども、併せて確認しましょう。

7)10月のお仕事

10月のお仕事

1.年次有給休暇の付与 (4月入社の場合)

労働基準法により、「入社後6カ月以上勤務し、全労働日の8割以上出勤した社員」には、年次有給休暇(以下「年休」)を付与します。例えば、4月1日入社の正社員の場合、10月1日付で10日の年休を付与します。以降1年ごとに労働基準法に基づく日数を付与しますが、年休は付与日から2年を経過すると時効により消滅するので、日数の管理に注意しましょう。また、10日以上の年休が付与される社員については、年5日以上の年休取得義務が課されますので、付与をする際にそのルールを共有化しておくのも重要です。

2.地域別最低賃金(毎年10月改定)の確認

最低賃金には、都道府県ごとに定められる「地域別最低賃金」、特定の産業について定められる「特定最低賃金」があり、このうち地域別最低賃金が毎年10月に改定されます(特定最低賃金は不定期改定)。地域別最低賃金は年々引き上げられていて (2025年10月時点で、全国加重平均で1121円)、社員(特にパート等)がこれを下回らないよう注意します。

8)11月のお仕事

11月のお仕事

1.長時間労働の実態把握、改善

厚生労働省では毎年11月に「過重労働解消キャンペーン」を実施していて、キャンペーン中は労働基準監督署による長時間労働に対する監督指導が強化されます。長時間労働の改善は本来、継続的にやるべきものですが、特に11月は「勤怠打刻と実際の労働時間が乖離 (かいり)していないか」などをしっかり確認しましょう。

2.中間申告による法人税等および消費税の納付

確定申告時の税額が一定額以上である場合などは、期中に複数回の納付が発生します。これを「中間申告・納付」といいます。税金ごとに、制度が異なります。

法人税、法人住民税、法人事業税については、その事業年度が6カ月を超えるとき、原則、その事業年度開始の日から6カ月を経過した日より2カ月以内(例えば、3月末決算法人の場合は11月末まで)に、中間申告・納付をします。

消費税については、確定申告時の消費税額によって中間申告の回数(なし、年1回、3回、11回)が変わってきます。この記事では、年1回のケースをモデルとしているため、11月末に消費税の中間申告・納付が必要です。

9)12月のお仕事

12月のお仕事

1.年次有給休暇の取得推進

年末年始を休業とする会社は多いですが、仮に本来の予定よりも仕事納めを前倒しできそうであれば、前倒しする日数分、社員に年休の取得を推奨するのもよいでしょう。法律上、年10日以上の年休が付与される社員(主に正社員)については、社員の意見を尊重した上で、会社が時季を指定して年5日の年休を取得させます。業務が多忙で年休取得が滞っている社員については、この時季にまとまった日数を取得してもらうよう働きかけます。

2.年末調整

年末調整は、社員の源泉所得税の最終調整を行うものです。社員全員に

  • 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書
  • 給与所得者の保険料控除申告書
  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(扶養控除等申告書)

を提出してもらい、その年分に受けられる所得控除などを社員ごとに集計し、正確な源泉所得税の金額を算定します。すでに源泉徴収している金額と差額がある場合、12月または1月支給給与で精算します。

10)1月のお仕事

1月のお仕事

1.法定調書の提出

毎年1月31日までに、前年(1~12月)に行った一定の支払いごとの金額や内容を記載した「法定調書」を所轄の税務署に提出します。法定調書は全部で60種類あります。例えば、社員に支払った給与については「給与所得の源泉徴収票」、税理士など特定の人に支払った報酬については「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」などがあります。

2.償却資産の固定資産税の申告

毎年1月31日までに、当該年の1月1日時点で所有している償却資産について記載した「償却資産申告書」を各市区町村に提出します。償却資産とは、土地・建物以外の事業に使用するための資産で、法人税の計算上、減価償却の対象となる資産をいいます。

11)2月のお仕事

2月のお仕事

1.賃上げに関する情報収集

毎年2月ごろになると春闘が始まり、賃上げ(定期昇給やベースアップ)に関する話題を耳にする機会が増えます。他社の動向に注視しつつ、自社の人件費負担なども考慮して、最終的にどの程度賃上げに取り組むのかを判断します。待遇の改善は、人材確保の観点からも重要な要素の1つです。

2.新年度の予算編成

新年度の利益目標を定め、売上と費用に計上する金額を決めます。当年度業績の着地見込みや、経営者の意向、担当者からのヒアリングなどを基に具体的な数値に落とし込むとよいでしょう。作成した予算は全社で共有し、毎月の予算管理(目標達成度合いの把握や、予算と実績の差額分析など)を実施していきます。

12)3月のお仕事

3月のお仕事

1.退職手続き (3月退職の場合)

社員が退職した場合、健康保険法、労働基準法などにより「社会保険や雇用保険の資格喪失手続き」「退職証明書の交付(必要な場合)」といった手続きが必要です。制度がある場合は、退職金の支払いも必要です。

2.36協定の締結・届け出 (4月起算の場合)

会社が社員に時間外労働や休日労働を命じるには、過半数労働組合 (ない場合は過半数代表者)と労働基準法第36条に基づく労使協定(通称「36協定」)を締結し、所轄の労働基準監督署に届け出ます。36協定は、1月や4月を起算日として1年間の有効期間を定めるケースが多く、有効期間が切れた状態で社員に時間外労働や休日労働を命じるのは違法です。必ず有効期間が切れる前に内容を更新し、締結・届け出た上で、社員に周知しなければなりません。また、36協定で締結した内容を超える時間外労働や休日労働を命じる事も違法となりますので、協定内容を十分検討した上で締結する様にしてください。

3.期末棚卸の実施

期末時点の在庫を確定するため、帳簿記録に基づき調査を行う帳簿棚卸と、現物を実際にカウントする実地棚卸を実施します。期末棚卸をして、在庫を確定することで決算書に計上する売上原価が算定されます。

以上(2026年4月更新)
(監修 税理士 石田和也)
(監修 社会保険労務士 柴田充輝)

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画像:beeboys-Adobe Stock

経営のヒントとなる言葉(松下幸之助)

「雨が降れば傘をさす」(*)

出所:「功のために大切なこと 松下幸之助が直接語りかける」(PHP研究所)

冒頭の言葉は、

「ビジネスにおいては、その時々の状況に応じて、当たり前のことをしっかりと行うことが重要である」

ということを表しています。

あるとき、松下氏は、新聞記者から事業の成功の秘訣について尋ねられました。その際に答えたのが、この「雨が降れば傘をさす」という言葉です。

人間は誰でも、雨が降ってくれば傘をさし、寒くなれば厚着をするものです。こうした当たり前のことを、松下氏は「天地自然の法則」と呼んでいます。

これをビジネスに当てはめると、「仕入れた(もしくは製造した)商品に適正な利益を乗せて販売し、その代金を顧客から回収する」ということになります。しかし、ことビジネスとなると、この当たり前のことが行われていないこともしばしばみられます。

例えば、「売り掛けで商品を販売したものの、顧客がなかなか代金を支払わない」といった場合、「『代金の支払いを督促すると相手の機嫌を損ねてしまい、今後の取引によくない影響を及ぼすのではないか』と考えて支払いの督促をしなかった」「他社との競争に勝つために無理な値下げをした結果、企業としての体力を著しく消耗してしまった」といったケースは少なくありません。

こうしたことに対し、松下氏は、「自身がビジネスに対して強い信念を持っていれば、常に当たり前のことを行うことができる」と述べています。

一般的に、顧客に商品を買ってもらう企業は、顧客よりも弱い立場にあると考えられがちです。だからこそ、先に述べたように代金の督促をためらったり、顧客が他社に流れないように無理な値下げを行ったりします。

しかし、自身がビジネスに対して強い信念を持っていれば、「自社の商品やサービスを買うことによって、顧客にはこのようなメリットがある」ということを、顧客に対して自信を持って伝えることができます。つまり、ビジネスに確固たる信念があれば、顧客と対等な立場で、そして他社の動向を過度に気にすることなく、当たり前のことを行うことができるのです。

1929年、松下氏は松下電気器具製作所の経営理念を次のように定めました。

「産業人タルノ本分ニ徹シ社會(しゃかい)生活ノ改善ト向上ヲ圖(はか)リ世界文化ノ進展ニ寄與(きよ)センコトヲ期ス」(**)

すなわち、同社では、自社の役割は「生産・販売活動を通じて社会生活の改善と向上を図り、世界文化の進展に寄与すること」であるとしています。

その後、同社はパナソニック株式会社となりますが、現在に至るまで、常にこの考え方を基本に置いて事業を進めてきました。このような揺るぎない信念に基づき、当たり前のことをきちんと行っていくことこそが、大きな成功につながるのです。

【本文脚注】

本稿は、注記の各種参考文献などを参考に作成しています。本稿で記載している内容は作成および更新時点で明らかになっている情報を基にしており、将来にわたって内容の不変性や妥当性を担保するものではありません。また、本文中では内容に即した肩書を使用しています。加えて、経歴についても、代表的と思われるもののみを記載し、全てを網羅したものではありません。

【経歴】

まつしたこうのすけ(1894~1989)。和歌山県生まれ。尋常小学校中退。1918年、松下電気器具製作所(現パナソニック株式会社)設立。

【参考文献】

(*)「成功のために大切なこと 松下幸之助が直接語りかける」(松下幸之助(述)、

PHP総合研究所経営理念研究本部(編著)、PHP研究所、2009年3月)

(**)パナソニック株式会社ウェブサイト」(パナソニック株式会社)

「私の履歴書 経済人1」(五島慶太、杉道助、堤康次郎、新関八洲太郎、原安三郎、

松下幸之助、山崎種二、石坂泰三、出光佐三、伊藤忠兵衛、大谷竹次郎、高碕達之助、遠山元一、日本経済新聞社、2004年6月)

「雨が降れば傘をさす 松下幸之助に学ぶ本物の経営」(中博、アチーブメント出版、2009年3月)

以上(2026年3月更新)

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画像:日本情報マート

新入社員のための「給与&社会保険」の基礎知識(2026年4月号)

新入社員として働き始め、最初の給与が振り込まれたとき、すべての人が「給与明細」を受け取ります。給与明細を見る際、最初に目を向けるのはいわゆる「手取り額」でしょう。「手取り額」を見ると「思っていたより少ない」「なぜこんなに引かれているのか」といった違和感を覚える人も少なくありません。その理由は、これまでに給与明細の見方や、税金・社会保険について詳しく学ぶ機会がほとんどなかったからです。本冊子では、新入社員に向けて給与明細の全体像を中心に、税金や社会保険について解説します。


2026年「賃上げ」に対する経営者300人の本音。御社はどうする?

1 2年連続で賃上げする企業は86.0%!

今年も「賃上げ」に関する話題が世間を賑わせています。足元では「春闘の賃上げ率が3年連続で5%超」となる見込みですが、一方で「中小企業の賃上げ疲れ」を指摘する声もチラホラ……世の経営者はどのように考えているのでしょうか?

昨年に引き続き、経営者289人を対象に、賃上げに関する緊急アンケートを行いました(2026年3月17日から3月24日まで)。前回のアンケート結果については、こちらをご確認ください。

今回は、「2026年度に賃上げを実施する」という企業が全体の37.0%、そのうち

「2年連続(2025年度・2026年度)」で賃上げを実施するという企業が、なんと86.0%

もいました。

ちなみに、2年連続で賃上げすると答えた企業の2025年度(昨年度)の賃上げ率は、「3%以上」が最も多かったです。

2年連続で賃上げを実施する?

2 賃上げを実施するか否か、何を基準に判断する?

ここからは、2026年度の賃上げの方針についての回答結果を紹介します。

まずは、賃上げをするか否かを判断するために重視する情報についてですが、「自社の業績」が圧倒的に多くなっています。「物価高など社員の生活」「最低賃金の改定」を気にする企業も多く見受けられました。

判断基準となる情報は?

3 賃上げする企業が求めている情報は?

では、具体的にどれだけの企業が賃上げをするのでしょうか?

具体的にどれだけの企業が賃上げをするのか?

「2026年度に賃上げを実施する」という企業は37.0%(このうち86.0%が2年連続での実施)で、「2〜3年以内に実施する」という企業は12.1%となっています。

また、賃上げする企業が、賃上げの原資を確保するために実施している施策としては、「値上げ(価格転嫁)などによる収益向上」が最も多く、さらに「業務効率化などによるコスト削減」が続きます。

賃上げする企業が求めている情報は、「社会保険料への影響に関する情報」「助成金や賃上げ促進税制」に関する情報でした。少しでも賃上げの負担を軽減したいというところでしょう。

また、経営者が賃上げについて相談する相手は、「自社の取締役」が最も多く、「顧問の税理士」がこれに続きます。

4 どうやって、どの程度の賃上げをする?

賃上げの手法や賃上げ率はどうでしょうか?

賃上げの手法や賃上げ率は?

賃金の範囲としては、「基本給のみ」が最も多いですが、基本給の他に手当や賞与も上げるという企業が続きます。かつては、基本給は上げず、手当や賞与を上げて対応する企業が多かったですが、2026年はそれよりも踏み込んだ賃上げを検討する企業が増えています。

具体的な賃上げ率は、「2%以上」が最も多いですが、「5%以上」と答えた企業も少なからずいて、賃上げに対する意気込みがうかがえます。

賃上げの手法については、ベースアップで実施する企業が最も多く、定期昇給が続きます。両方を行うという企業も多いようです。

5 賃上げ「しない企業」の経営者が考えていることは?

これまでとは逆に、賃上げをしない企業の状況を紹介します。

賃上げをしない企業の状況は?

なぜ、賃上げをしないのかについては、「業績の先行きが不透明だから」が圧倒的に多くなっています。前述した通り、賃上げをするか否かを判断するために最も重視される情報は「自社の業績」でした。やはり、業績が伴わない賃上げは難しいということでしょう。

どうなったら賃上げをするのかについては、これまで同様に業績が重視されていて、「業績好調が続くと確信できたとき」が圧倒的に多くなっています。

以上(2026年3月作成)

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画像:Mariko Mitsuda

【動画で学ぼう】入社3~5年目の中堅社員に必要な意識改革

中小企業にとって中堅社員は組織の要であり、皆さんの成長こそが企業の成長につながります!「半歩先行く中堅社員」シリーズは、そのためのエッセンスをまとめた15本のシリーズです。
今回、新たに動画版の公開をスタートしましたので、ぜひ、参考にしてみてください。

1 仕事があるのに「休日出勤」したらいけないの?

中堅社員は、部下から見られる存在である。安易に残業や休日出勤をする前に、チームの生産性を向上させることを考えよう!

(下の画像をクリックしていただくと、YouTubeに遷移します)


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2 「働き方改革」の第一歩は、今でも「整理整頓」

オフィスは「公の場所」である。自分のデスクなどはもちろん、共用スペースも整理整頓をすると、生産性の向上につながる!

(下の画像をクリックしていただくと、YouTubeに遷移します)


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3 料理と後片付けは別々にやろう!

仕事の進め方は、「ストライプ型」と「ソリッド型」がある。中堅社員は、ストライプをソリッドにしよう!

(下の画像をクリックしていただくと、YouTubeに遷移します)


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4 仕事が遅れるのは、“速さ” の問題にあらず

仕事を抱え込み過ぎてはいけない。うまく部下に振っていく能力が中堅社員には求められる。仕事は信号機のイメージで把握しよう!

(下の画像をクリックしていただくと、YouTubeに遷移します)


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5 コーラとコーヒーを一緒に売るのは正しいのか?

「アイデア出し」は積極的に行おう!同時に、思い付きレベルを脱し、何が最も効果的であるかを検討できるビジネス力を養おう。

(下の画像をクリックしていただくと、YouTubeに遷移します)


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6 「原点回帰」と言って格好つけるな!

軽率に「原点回帰」を口にしない。原点回帰を進めるならば、必ずアクションプランとセットにしよう!

(下の画像をクリックしていただくと、YouTubeに遷移します)


テキスト版はこちら


動画制作
アーティスソリューションズ
https://www.artis-sol.co.jp/index.html

以上(2026年3月作成)

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画像:Eriko Nonaka

副業社員は、複数の会社で雇用保険に加入できる? できない?

1 副業社員の労働保険はどうなる?

副業にはさまざまな労務管理のルールがあります。労働保険(雇用保険・労災保険)の場合、

雇用保険については、65歳以上など一定の要件を満たす社員に限り、複数の会社での加入を認める「雇用保険マルチジョブホルダー制度」

というのがありますし、労災保険についても押さえておきたい特有のルールがあります。

この記事では、副業特有の労働保険のルールを取り上げます。ポイントは、次の5点です。

  • 雇用保険は原則として1社で加入する
  • 65歳以上の社員は一部、複数の会社で雇用保険に加入できる
  • 雇用継続中でも離職証明書の作成が必要になるケースがある
  • 労災保険給付の申請には自社と副業先の両方が携わる
  • 疾病による労災は自社と副業先の両方の負荷で判断することがある

2 雇用保険は原則として1社で加入する

学生などの例外を除き、次の2つのいずれにも該当する社員は、必ず雇用保険に加入します。

  • 週の所定労働時間が20時間以上(注)であること
  • 雇用見込みが31日以上あること

(注)2028年(令和10年)10月1日より、週の所定労働時間が「10時間以上」の労働者にも雇用保険が適用されるようになります。

役員は、原則として雇用保険に加入できません。しかし、経営業務以外の業務にも携わり賃金が支払われる「兼務役員」については、所轄ハローワークの認定を受ければ加入できます。

社員や役員(以下「社員等」)が副業する場合、雇用保険は原則として「主たる賃金が支払われる会社(一般的には、賃金が最も多い会社)」で加入します。つまり、

原則として複数の会社で同時に雇用保険に加入することはできず、1社で加入する

ということです。

3 65歳以上の社員は一部、複数の会社で雇用保険に加入できる

原則として、雇用保険は1社で加入します。しかし、例外として雇用保険マルチジョブホルダー制度があります。これは、高齢社員の就業機会を増やすための制度で、次の3つのいずれにも該当する社員に限り、複数の会社で雇用保険に加入できます(兼務役員への制度適用については特に定めがないため、所轄ハローワークなどに要相談)。

  • 1.複数の会社で雇用され、年齢が65歳以上であること
  • 2.複数の会社のうち2つの会社(どちらも週の所定労働時間が5時間以上20時間未満)について、週の所定労働時間の合計が20時間以上であること
  • 3.複数の会社のうち2つの会社について、それぞれ雇用見込みが31日以上あること

図表1は、3つの会社で雇用される65歳の社員への制度適用のイメージです。

制度適用のイメージ

社員が3つの会社の中から、制度の対象となる会社を2つ選択します。C社は雇用見込みが31日以上ないので対象外ですが、A社とB社が週の所定労働時間と雇用見込みの要件を満たします。そのため、社員はA社とB社、2つの会社で雇用保険に加入できます。

なお、雇用保険は通常、強制加入(加入要件を満たす社員は必ず加入しなければならない)ですが、マルチジョブホルダー制度の場合は任意加入(社員が加入するかどうかを自分で決められる)です。加入を希望する場合、

社員本人が「マルチジョブホルダー雇入・資格取得届」などの必要書類を、自分の住所を管轄するハローワークに提出(提出期限はなし)

します。この際、

社員が制度の対象として選択した2つの会社は、それぞれ社員からの依頼に基づいて、書類の事業主記載事項(賃金や週の所定労働時間など)を記入する必要があります。また、手続き時には賃金台帳や出勤簿、雇用契約書などの確認資料(コピー可)の添付も必要となりますので、それらの書類を社員本人に交付

します。

雇用保険料については、雇用保険の資格取得日から発生し、2つの会社がそれぞれ納付義務を負います。社員からの保険料徴収(給与天引き)、保険料納付(年度更新)などの実務は、通常の社員と変わりません。

被保険者となった社員は、通常の社員と同様、雇用保険給付を受けられます。ただし、給付を受けるには2つの会社で同時に支給要件を満たさなければなりません。例えば、介護休業給付(介護休業中、賃金が支払われない場合に支給)の場合、2つの会社で原則として「直近2年間に被保険者期間が12カ月以上あること」などの要件を満たし、かつ同時に介護休業を取得する必要があります。

なお、マルチジョブホルダー制度の書類に提出期限はないものの、資格取得日は届出日となります。届出前に遡って加入はできないため、社員に対して早めに届け出ることを伝えるのが望ましいでしょう。

4 雇用継続中でも離職証明書が必要になるケースがある

社員が副業先を退職するなどして、雇用保険マルチジョブホルダー制度の対象から外れる場合、雇用保険の被保険者資格も失われます。その場合、

社員本人が「マルチジョブホルダー喪失・資格喪失届」などの必要書類を、自分の住所を管轄するハローワークに提出(被保険者でなくなった日の翌日から10日以内)

します。この際、

社員が雇用保険加入時に制度의対象として選択した2つの会社は、それぞれ社員からの依頼に基づいて、書類の事業主記載事項(退職日や退職理由)を記入

します。また、

社員から依頼があった場合、2つの会社でそれぞれ「離職証明書」を作成

する必要があります。雇用が継続しているほうの会社も、社員に退職日などを確認して離職証明書を作成しなければなりません。

なお、マルチジョブホルダー喪失・資格喪失届や離職証明書は、社員が退職したほうの会社と、雇用が継続しているほうの会社とで記入方法が異なります。詳細は次の申請パンフレットをご確認ください。

厚生労働省「雇⽤保険マルチジョブホルダー制度の申請パンフレット」
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000838543.pdf

5 労災保険給付の申請には自社と副業先の両方が携わる

労災保険は、適用事業に雇用されている全ての社員に適用されます。事業場単位で保険に加入し、賃金を受け取るすべての労働者が自動的に対象となるため、被保険者という概念はありません。

原則として、役員は労災保険に加入できませんが、中小事業主等に該当する経営者などは、所轄都道府県労働局長の承認を受ければ特別加入できます。また、兼務役員の場合、経営業務以外の業務中に発生した業務災害と通勤災害について、労災保険が適用されます。

また、副業する社員等が本業先から副業先へ移動する場合(事業場間の移動)も、労災保険法上の「通勤」です。この区間で事故に遭った場合、移動先(副業先)の労災保険により通勤災害として保護されます。

副業している社員等が労災により傷病を負った場合、通常の社員等と同様、労災保険給付を受けられます。ただし、一部の給付を除き、

自社と副業先の賃金額の合計を基に支給額が算定される

という点が通常と異なります(特別加入の経営者などは、厚生労働大臣が具体的な額を定めるため対象外)。

労災保険給付のイメージ

社員等が労災保険給付(一部を除く)を申請する場合、労災が発生したほうの会社は、申請に当たって傷病の発生状況、賃金の支払い状況、休業状況などを申請書に記入します。ただし、社員等が副業している場合、支給額を正確に算定するため、

労災が発生していないほうの会社も、賃金の支払い状況などを、申請書の別紙に記入しなければならないケース

があります。具体的には、次の保険給付の場合です。

  • 休業(補償)等給付:療養のために働けず、休業が通算3日以上となった場合に支給
  • 障害(補償)等給付:社員等の傷病が治癒し(症状固定を含む)、一定の障害が残った場合に支給
  • 遺族(補償)等給付:社員等が亡くなった場合、遺族に対して支給
  • 葬祭料等(葬祭給付):社員等が亡くなった場合、葬儀を執り行う者に支給

6 疾病による労災は自社と副業先の両方の負荷で判断することがある

脳出血やうつ病などの疾病は、負傷の場合と違って労災の発生状況が分かりにくいため、自社と副業先の両方について社員等の負荷を評価し、労災に当たるかを判断します。具体的には、

まずそれぞれの会社で社員等の負荷がどの程度あったかを評価し、1つの会社の負荷だけでは労災に当たると認定できない場合、複数の会社での負荷を総合的に評価して判断

します。社員等が泣き寝入りになってしまうことを防ぐためです。

労災認定する際のイメージ

なお、労災保険料率を上下させる「メリット制」については、あくまで業務災害が発生した事業場のみが影響を受けます。

以上(2026年3月更新)
(監修 社会保険労務士 柴田充輝)

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画像:takasu-Adobe Stock

【規程・文例集】「副業取扱規程」のひな型

1 副業は「原則禁止」から「原則容認」へ

働き方改革の影響もあり、社員の副業を検討する会社が増えています。厚生労働省「モデル就業規則」でも、以前は「原則禁止」とされていた副業が、「原則容認」というスタンスに変わってから久しくなっているので、皆さんの会社でも、副業を希望する社員が増えていると思います。

とはいえ、

副業を無制限に認めてしまうと、過重労働や情報漏洩のリスクがあるので、「原則容認」のスタンスは守りつつ、就業上のルールを「副業取扱規程」などで定める

ことが大切です。例えば、次のようなルール作りが考えられます。

1)副業を禁止・制限するケース

副業を禁止・制限するケースとして、

  • 長時間労働や深夜労働などによって労務提供に支障がある場合
  • 同業他社など、自社の利益を害する恐れがある業種・業務の場合
  • 副業に関する業務上の指示に従わない場合

などを定め、副業を希望する社員に対しては「副業許可届出書」などの提出を義務付けます。

2)労働時間管理

厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」)では、副業時の労働時間管理について、

  • 自社と副業先の労働時間は、原則として通算しなければならない(注)
  • ただし、いわゆる「管理モデル」を適用する場合、自社と副業先がそれぞれ時間外労働の上限を設定し、社員がその範囲内で働けば、互いの実労働時間を把握しなくてもよい

というルールを定めています。ただし、管理モデルを適用するには、副業開始前に、自社の時間外労働の上限などを社員に通知しておく必要があります。また、副業・兼業先に対して、直接または社員を通じて、管理モデルを適用することを提案する必要があります。

(注)2026年2月現在、割増賃金を算定する際の労働時間の通算義務については、今後撤廃する方向で政府内での議論が進められています(現状は、管理モデルを適用しない限り義務)。

上記のような点を踏まえつつ、次章では専門家が監修した、副業取扱規程のひな型を紹介します。前述した「副業許可申請書」のひな型も掲載していますので、併せてご確認ください。なお、厚生労働省のガイドラインについては、次のURLから確認できます。

■厚生労働省「副業・兼業」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192188.html

2 副業取扱規程のひな型

以降で紹介するひな型は、一般的な事項をまとめたものであり、個々の企業によって定めるべき内容が異なってきます。実際にこうした規程を作成する際は、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

【副業取扱規程のひな型】

第1条(目的)

本規程は、従業員が適切な職業選択を通じ、多様なキャリア形成を図ることを促進することを目的とする。会社は、従業員が就業時間外において、他の会社その他の団体(以下「副業先」)の業務に従事し、または自ら事業を営むこと(以下「副業」)について、本規程に定める条件を満たす限りにおいて、原則として認めるものとする。なお、本規程に定めのない事項は、労働基準法その他の関係法令によるものとする。

第2条(対象範囲)

本規程の適用を受ける従業員は、就業規則第○条に定める、会社と期間の定めがない労働契約を交わした従業員とする。ただし、本業に習熟が必要な新卒入社1年未満の従業員については、個別の教育訓練状況を鑑み、副業・兼業を制限することがある。

第3条(副業の定義)

本規程において「副業」とは、次の各号に掲げる場合をいう。

  • 副業先に雇用される場合
  • 副業先の役員に就任する場合
  • 業務委託、請負契約などに基づき、副業先の業務に従事する場合
  • 自ら起業し、または事業を営む場合

第4条(副業の許可)

1)従業員は、第3条各号に掲げる副業を行おうとするときは、その開始を希望する日の2週間前までに、所定の「副業許可申請書」を会社に提出し、副業の許可を受けなければならない。

2)従業員は、届出内容(業務内容、労働時間等)に変更があった場合、または副業を終了した場合には、速やかにその旨を会社に報告しなければならない。

第5条(許可基準)

会社は、第4条の許可を受けようとする従業員が、次の各号のいずれかに該当する場合、当該従業員の副業を禁止または制限することができる。

  • 長時間労働や深夜労働により、健康を害する恐れ、または本業に支障を来す恐れがある場合
  • 自社の技術上、営業上の秘密が漏洩する恐れがある場合 (生成AI等への不用意な機密入力行為を含む)
  • 同業他社への勤務等、競業行為により自社の利益を不当に害する場合
  • 公序良俗に反する業務等に従事し、会社の社会的信用を損なう恐れがある場合

第6条(副業時における労働時間の取り扱い)

1)会社と他社の双方が雇用関係にある場合、労働時間は通算して管理する。

2)会社は、労働時間管理の事務負担軽減および健康確保のため、厚生労働省ガイドラインに基づく「管理モデル」を適用することができる。この場合、従業員は会社が指定する時間外労働上限時間を遵守し、副業先へもその旨を伝達しなければならない。

3)管理モデルを適用しない場合、従業員は1週間ごとに副業先での実労働時間を会社に報告しなければならない。

第7条(副業に関する報告義務)

1)従業員は、次の各号のいずれかに該当する事由が生じた場合、速やかに会社へ報告しなければならない。

  • 第5条各号に定める許可基準を満たすことができなくなった場合
  • 副業先において、長期欠勤、休職、退職もしくは退任する場合、または副業を廃業等する場合
  • 副業先での業務上の負傷または疾病、事故が発生した場合
  • 通勤中に事故が発生した場合
  • 前各号に準じる事由が発生した場合

2)従業員は、前項の報告に当たって、会社から必要な書類の提出を求められた場合には、速やかに会社に提出するとともに、必要な報告・説明を行わなければならない。

3)副業に関する事故などが労働災害である場合、当該事故などに関する労災保険の適用については、労働者災害補償保険法その他の関係法令によるものとする。

第8条(情報の提出およびAIセキュリティ)

1)会社は、安全配慮義務の履行およびセキュリティ管理のため、必要に応じて副業先での勤務実績や業務内容の報告を求めることができる。

2)従業員は、副業において生成AI等のデジタルツールを利用する場合、自社の機密情報 (顧客情報、独自のノウハウ等)を学習データとして入力してはならず、情報の保護に万全を期さなければならない。

第9条(健康管理、業務の調整等)

1)従業員は、副業を行うに当たって、会社の業務と副業の間に休憩時間を確保する、会社の業務と副業の双方に従事しない休日を確保する等、自らの健康を確保するように努めなければならない。

2)会社は、従業員の副業に関する報告または従業員の状況を踏まえて必要があると判断した場合、従業員に対し、会社の業務の変更、時間外労働の制限、勤務時間および勤務日数等の勤務条件の変更を命じることができる。

3)会社は、通算労働時間が月間一定時間を超える従業員に対し、産業医による面接指導等の健康確保措置を実施し、必要に応じて副業・兼業の制限または中止を命じることができる。

第10条(許可の取消し等)

会社は、従業員に副業を許可した場合でも、次の各号のいずれかの事由が生じた場合、許可の取消し、または条件の変更をすることができる。

  • 第5条各号に定める事由に該当した場合
  • 本規程に定める報告義務または提出義務に違反した場合
  • 第9条に定める命令に違反した場合
  • 前各号に準じる事由がある場合

第11条(懲戒処分)

次に違反した従業員は、就業規則第○条に定める懲戒処分を行うことがある。

  • 第4条の許可を受けることなく、副業を行った場合
  • 副業の内容について、故意に虚偽の報告を行った場合
  • 副業により、会社に実害(秘密漏洩、顧客奪取等)を与えた場合
  • 前各号に準じる事由がある場合

第12条(改廃)

本規程の改廃は、取締役会の承認による。

【副業許可申請書】

副業許可申請書

以上(2026年3月更新)
(監修 石原法律事務所 弁護士 磯田翔)

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画像:ESB Professional-shutterstock