熱中症は、本格的に暑くなる真夏(7月~8月頃)に多発するイメージがありますが、体がまだ暑さや湿度に十分に慣れていない梅雨時期にも発生しやすく、十分な注意が必要です。従業員の方が安全に働くためにも、事業場での熱中症対策は欠かせません。
中小企業の成長戦略を支援! 新事業進出補助金・成長加速化補助金のご紹介
中小企業新事業進出補助金では、新規事業の新市場性や付加価値、有望度などが重視され、中小企業成長加速化補助金では、企業の中長期的なビジョンと経営力、地域への波及効果などが重視されます。新市場・新事業参入を目指すなら「新事業進出補助金」、大規模な売上拡大を狙うなら「成長加速化補助金」が有効です。
自社は優遇措置を受けられる「中小企業」に該当するのか?
1 知っていますか? 「中小企業」の定義
税制優遇や補助金、助成金を受けるための要件の1つに、
「中小企業」であること
と示されていることがあります。この「中小企業」という言葉は、法律によって定義が違うことをご存じでしょうか。ある法律では中小企業の要件に該当していても、別の法律では該当しないため、補助金や助成金、税制優遇を受けられないことがあります。
そこで、この記事では、中小企業基本法、産業競争力強化法、法人税法、租税特別措置法、会社法で示されている中小企業の定義を整理します。自社がどの法律なら「中小企業」に該当するのか確認してみましょう。
なお、法律ごとに「会社」「法人」「企業」のように用語が異なるため、この記事でもそれぞれの法律に合わせて表記します。
2 法律ごとの中小企業の定義を確認しよう
1)まずは全体像を把握しよう
まずは、中小企業基本法、産業競争力強化法、法人税法、租税特別措置法、会社法で示されている中小企業の定義の全体像を把握してみましょう。資本金、従業員数、業種等によって中小企業の要件が異なることが分かります。
2)中小企業基本法
中小企業基本法では、業種によって中小企業の定義が違います。まず、中小企業の要件を満たすかどうかの基準は次の2点です。
- 資本金の額または出資の総額
- 常時使用する従業員の数
次に、下記の図表で「資本金の額または出資の総額」「常時使用する従業員の数」のいずれかを満たしていれば、中小企業基本法における中小企業に該当するといえます。
なお、別の業種に属する複数の事業を行っている場合は、「主たる事業」が属する業種で判断します。主たる事業は、直近1事業年度の決算書において、売上高などが最も大きい事業になります。
3)産業競争力強化法
産業競争力強化法では、従業員数が2000人以下で、中小企業に該当しない企業を「中堅企業者」と定義しています。例えば、製造業の場合は常時雇用する従業員数が300人以上、2000人以下かつ、資本金が3億円超の企業が中堅企業者と定義されます。
また、中堅企業の中でも、次の要件を満たす企業は「特定中堅企業者」と定義されます。
- 賃金(常時使用する従業員1人当たり給与等支給額)が業種別平均以上
- 常時使用する従業員数の年平均成長率(3事業年度前比)が業種別平均以上
- 直近3事業年度のうち、いずれかの事業年度が、中堅企業者の業種別平均以上の売上高成長投資比率であること
4)法人税法
法人税法では、中小企業に該当する法人を中小法人等と規定しています。中小法人等に該当するためには、次のいずれかの要件を満たす必要があります。
- 普通法人のうち、資本金の額もしくは出資金の額が1億円以下であること
- 資本または出資を有しないもの
- 公益法人等または協同組合等
- 人格のない社団
ただし、次の要件に該当する法人を除きます。
- 資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人等による完全支配関係(簡単に言うと、100%の支配)があること
- 複数の大法人(資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人等)に発行済株式の全部を直接、もしくは間接的に保有されていること
5)租税特別措置法
租税特別措置法では、中小企業に該当する法人を中小企業者と規定しています。中小企業者に該当するためには、次のいずれかの要件を満たす必要があります。
- 資本金の額もしくは出資金の額が1億円以下であること
- 資本または出資を有しない法人(公益財団等)については、常時使用する従業員数が1000人以下であること
ただし、次の要件に該当する法人等を除きます。
- 発行済株式の総数または出資の総額の2分の1以上を同一の大規模法人に所有されていること(発行済株式は、自社の株式または出資を除いた分が対象)
- 発行済株式の総数または出資の総額の3分の2以上を複数の大規模法人に所有されていること(発行済株式は、自社の株式または出資を除いた分が対象)
また、「適用除外事業者(前3事業年度の平均所得金額が15億円超の中小企業者)」に該当する場合も、優遇措置の対象から除かれます。
なお、大規模法人とは、中小企業者の要件に該当しない法人または大法人(資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人)による完全支配関係がある法人等をいいます。
6)会社法
会社法では、中小企業の定義がなく、大会社のみが規定されています。次のいずれかの要件を満たせば大会社に該当します。逆に言えば、次のいずれの要件も満たさない場合は、便宜上、中小企業(大会社以外の会社)といえます。
- 最終事業年度に係る貸借対照表に資本金として計上した額が5億円以上
- 最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上
また、会社法における大会社は、決算公告や内部の組織について規定があります。会社法における大会社と非大会社(中小企業)の分類は次の通りです。
大会社では、取締役会の内部統制義務(注)がある、会計監査人を置かなければならない、決算公告は、貸借対照表と損益計算書の開示が必要といった規定があります。
これに対して、非大会社では、監査役会と会計監査人の設置は任意、決算公告は貸借対照表のみとしていますが、自社が発行する株式の一部または全部を自由に譲渡可能な公開会社(定款で株式の譲渡制限を設けていない会社をいいます)の場合は、3人以上で構成する取締役会を設置する必要があります。
(注)株主から経営を委ねられた取締役会が主体となり、取締役の業務が会社法や自社の定款にのっとり、適切に行われているかどうかチェックするための体制をいいます。大会社かつ取締役会設置会社の要件に該当する場合に内部統制義務があります。
以上(2025年6月更新)
(監修 税理士 石田和也)
pj30066
画像:pixabay
法令違反しているかも!? 闇バイトの募集と誤解されない「SNSでの求人募集」の仕方
インターネットやSNS等で労働者を募集する際には法律違反とならないように、必ず”6情報”(①求人者・労働者の募集を行う者の氏名又は名称、②住所(所在地)、③連絡先、④業務内容、⑤就業場所、⑥賃金)を記載することを念頭に置き、求人広告を作成するようにしましょう。
【管理会計】赤字の注文でも変動費が低ければ利益がでる〜「限界利益」を覚える
1 質問:製造原価よりも安い注文はお断りするべきか?
自社の商品(自社工場で製造)が百貨店バイヤーの目に留まり、新規で10万個の注文がありました! 現在、その商品は取引先20社に提供していて、すべて販売単価は700円、製造原価は550円です。
ところが、百貨店の条件は厳しく、
販売単価を500円に値下げしてほしい
と値引きを要請してきました。自社工場の生産能力には余力があって10万個の追加製造は引き受けられそうですが、販売単価が安い。
さて、ここで問題です。単純に、
原価割れで、赤字だ!
と考えるのは正しいのでしょうか。こうしたシーンに直面することはよくあるので、判断の基準をご紹介します。
2 「限界利益」という感覚を持つ
前述した百貨店の案件は、数字だけ見ると原価割れです。しかし、原価の内訳を確認すると評価が変わるかもしれません。仮に、その商品の原価は次の通りとしましょう(話を単純化するため、ここでは、材料費と人件費以外を考慮しないものとします)。
- 変動費:450円。販売個数に応じて増える材料費など
- 固定費:100円。販売個数に関係なく生じる人件費など
例えば、すでに別で生産している売上で固定費が賄われている状態にあり、現在の生産能力で10万個の増産に耐えられるなら(固定費が増えないなら)、商品を1個販売するごとに増える原価は材料費の450円だけです。つまり、百貨店提示の販売単価でも、1個販売するごとに50円(500円-450円)もうかります。これを管理会計の分野では「限界利益」と呼びます。
限界利益=売上高-変動費
この限界利益で固定費を賄うことができれば収支トントンであり、これを「損益分岐点」と呼びます。
3 「損益分岐点」をマスターする
改めて整理すると、
商品の売上高から変動費を引いたものが限界利益で、この限界利益が固定費を上回れば利益が出る
ということです。そして、限界利益と固定費がイコールになるポイントが損益分岐点です。図で確認すると分かりやすいでしょう。
固定費を限界利益率(売上高に占める限界利益の割合)で割れば、損益分岐点になる売上高が分かります。
損益分岐点売上高=固定費÷(1-(変動費÷売上高))
これにより、「この商品が、どのくらいもうけを出しているか」が分かるので、百貨店の注文を受けるか否かについて根拠を持って決められるようになります。念のため補足をすると、販売価格が同じであれば、限界利益率の高いほうが利益を出しやすくなります。
4 練習問題
(問題1)
販売単価が1000円(変動費400円、固定費400円)の商品を、合計で5000個販売しました。この場合の限界利益はいくらですか? また、限界利益率はどのくらいですか?
(問題1の回答)
販売単価の1000円から変動費400円を引くと、1個当たりの限界利益は600円です。その商品を合計で5000個販売しており、商品全体の限界利益は600円×5000個で、300万円となります。また、限界利益率は売上高に占める限界利益の割合なので、60%となります。
問題1の答え:300万円、60%
(問題2)
販売単価が1000円、製造単価が800円の商品があります。製造を外注した場合、外注単価は570円です。この商品を外注するか否かを検討する際に、どのような情報が必要ですか? また、どのような条件の場合に外注しようと思いますか? なお、外注費は全て変動費として取り扱います。
(問題2の回答)
自社の製造単価が800円、外注単価(変動費)が570円の場合、一見、外注すれば230円のコストが削減できると思えます。しかし、自社の固定費が高く、外注すると製造単価が800円を超える恐れがあります。となると、単純にいえば自社の変動費が570円超ならば外注を検討することができます。
問題2の答え:必要な情報は変動費と固定費
以上(2025年6月更新)
(監修 KOSOパートナーズ合同会社 代表社員CEO 公認会計士 朝倉厳太郎)
pj00276
画像:pixabay
【書籍ダイジェスト】『中高年リスキリング』これからも必要とされる働き方を手にいれる
本書は、人生100年時代において、長く必要とされ、働き続けるための個人のリスキリングについて解説する。
定年後の働き方を見据えれば、組織に雇用される「雇用寿命」と同時に、自ら仕事を創って個人事業主やフリーランスとして働ける「労働寿命」を延ばす努力が必要だとする。また、「スキルと学び」「健康」「お金」「人間関係」「仕事」の5つに時間や労働力を投資することで「成長市場におけるスキルの獲得」「やりたい仕事に就く」などのリターンを得られると説く。
「ウチの強みがわからない」と悩む社長が、真っ先にやるべきこと
小さな会社や個人商店が今すぐ売上をあげようと思った時、どの販促ツールから作ればいいのか?『「A4」1枚チラシで今すぐ売上をあげるすごい方法 「マンダラ広告作成法」で売れるコピー・広告が1時間でつくれる!』(ダイヤモンド社刊)では、販促コンサルタントの岡本達彦氏が、今すぐ売上をあげるために必要な「A4」1枚チラシを誰でもつくれる「マンダラ広告作成法」という新しい販促手法を紹介。
AI時代に組織で「お荷物になる人」と「生き残れる人」、たった1つの差とは?
これから先、AIに対して的確な指示出しや要件定義ができる人材が求められるとも言われますが、AIの性能は予想以上に進化し、人間側の指示が多少曖昧でもAI側がカバーしてくれるようになりました。そうなると、AIを完璧に使いこなせる一部の人材を除くと、「自分で手を動かせる人」しか必要なくなるのだと思います。
精神科医が教える「よかれと思って、じつは心の元気を奪っている」最低な休み方とは?
休日は、心と体を休ませるための大切な時間。でも、過ごし方によっては、かえって疲れが溜まったり、気分が落ち込んだりしてしまうことも…。「良い休日だったな」と心から思える、そんなメンタルヘルスに効く休日の過ごし方について今日は共有したいと思います。
「仕事ができる人になるには?」マッキンゼー時代の大前研一氏が説いた“納得の答え”
京都先端科学大学教授/一橋ビジネススクール客員教授の名和高司氏が、このたび『シン日本流経営』(ダイヤモンド社)を上梓した。日本企業が自社の強みを「再編集」し、22世紀まで必要とされる企業に「進化」する方法を説いた渾身の書である。本記事では、その内容を一部抜粋・編集してお届けする。