【2026年度版】 社員に関する法定義務の一覧表

1 まずは全企業共通の法定義務から押さえる

「人」に関するルールは複雑で、10人以上で就業規則の作成義務、50人以上でストレスチェックの実施義務などのように決まっています。抜け漏れなく行うために一覧表で確認しましょう。この記事では各種労働法に基づく人事労務の法定義務の内容を、

  • 全企業共通のもの
  • 業種や事業形態(法人、個人)などによって変わるもの

に分けて一覧表で紹介します。

2 人事労務の主な法定義務など(2026年4月1日時点)

早速ですが、人事労務の主な法定義務など (2026年4月1日時点) は次の通りです。一覧表は社員数または該当者数の昇順となっており、社員数で見る項目には「●」印を、該当者数で見る項目には「○」印を付けています。また、2026年度に施行される項目は「赤字」にしています。

法定義務などの具体的な内容は、( )内の法令を参照してください。また、安衛法(労働安全衛生法)の「安全衛生管理体制」に係る法定義務については、対象業種を一部省略して記載しています。詳しくは、厚生労働省「職場のあんぜんサイト」などをご確認ください。

厚生労働省「職場のあんぜんサイト (安全衛生キーワード)」
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo_index01.html

(図表)【人事労務の主な法定義務など(2026年4月1日時点)】

社員数または該当者数 1.全企業共通のもの 2.業種や事業形態(法人、個人)などによって変わるもの
1人以上 ●労災保険、雇用保険の強制適用事業(労災法、雇用保険法)
●労働者名簿・賃金台帳・出勤簿の調製(労基法)
●36協定の締結・届け出(労基法。時間外労働などを命じることがある場合)
●派遣元・派遣先責任者の選任(派遣法。派遣社員1人以上)(注3)
●ハラスメント防止措置の実施(男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、労働施策総合推進法、フリーランス・事業者間取引適正化等法。2026年10月からはカスハラ・就活セクハラについても防止措置が義務化
●健康保険、厚生年金保険の強制適用事業所(健保法、厚年法。法人)
●作業主任者の選任(安衛法。法定の危険・有害業務に従事する業種)
●化学物質管理者の選任(安衛法。リスクアセスメント対象物の製造・取扱い・譲渡提供をする場合)
●保護具着用管理責任者の選任(安衛法。リスクアセスメントに基づく措置として労働者に保護具を使用させる場合)
4人以下 ●労災保険の暫定任意適用事業(労災法。個人の農業・水産業)
●雇用保険の暫定任意適用事業(雇用保険法。個人の農業・林業・水産業)
●健康保険、厚生年金保険の任意適用事業所(健保法、厚年法。個人)(注4)
5人以上 ●多数離職届(高年法。1カ月以内に45歳以上70歳未満の者を5人以上解雇等する場合)
●障害者職業生活相談員の選任(障害者雇用促進法。障害者を5人以上雇用する場合)
9人以下 ●法定労働時間が1日8時間、1週44時間になる特例(労基法。商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業)
10人以下 ●男女別の便所設置 適用除外(安衛法)
10人以上 ●就業規則の作成・届け出(労基法)
●安全衛生推進者(衛生推進者)の選任(安衛法)
●外国人労働者雇用労務責任者の選任(雇対法。外国人を10人以上雇用する場合)
20人以上 ●店社安全衛生管理者の選任(安衛法。ずい道等の工事などを行う建設業(元請))
29人以下 ●1週間単位の非定型的変形労働時間制(労基法。小売業、旅館・料理店・飲食店)
30人以上 ●休養室の設置(安衛法。女性社員30人以上)
○再就職援助計画の提出(雇対法。事業規模縮小で、1カ月で常用雇用の社員が30人以上離職する場合)
○大量雇用変動届の提出(雇対法。自己都合退職以外で、1カ月で常用雇用の社員が30人以上離職する場合)
●統括安全衛生責任者、元方安全衛生管理者の選任(安衛法。ずい道等の工事などを行う建設業(元請))
●安全衛生責任者の選任(安衛法。ずい道等の工事などを行う建設業(下請))
40人以上 ●障害者雇用率制度の対象(障害者雇用促進法。2026年7月からは37.5人以上
50人以上 ●休養室の設置(安衛法)
●ストレスチェックの実施(安衛法)
●定期健康診断などの結果報告(安衛法)
●衛生管理者1人以上の選任(安衛法)
●産業医の選任(安衛法)
●衛生委員会の設置(安衛法)
●サイレンなど非常時の警報器具の設置(安衛法。屋内作業場)
●安全管理者の選任(安衛法。屋外産業、屋内工業)
●統括安全衛生責任者、元方安全衛生管理者の選任(安衛法。鉄骨造りなどを行う建設業(元請))
●安全衛生責任者の選任(安衛法。鉄骨造りなどを行う建設業(下請))
●安全委員会の設置(安衛法。屋外産業)
51人以上 ●パート等(一定の要件を満たす者)に関する健康保険、厚生年金保険の加入手続き(健保法、厚年法)
100人以下 ●障害者雇用報奨金の対象(障害者雇用促進法)
100人以上 ●総括安全衛生管理者の選任(安衛法。屋外産業)
●安全委員会の設置(安衛法。屋内工業)
101人以上 ●男性社員と女性社員の賃金差異の公表(女性活躍推進法。2026年4月から)
●女性活躍のための一般事業主行動計画の作成(女性活躍推進法)
●仕事と子育ての両立などに関する一般事業主行動計画の作成(次世代法)
●障害者雇用納付金の対象(障害者雇用促進法)
●障害者雇用調整金の対象(障害者雇用促進法)
201人以上 ●衛生管理者2人以上の選任(安衛法)
299人以下 ●労災保険の暫定任意適用事業(労災法。個人の林業。常時雇用はなく、かつ年間延べ労働者数が300人未満)
300人以上 ●総括安全衛生管理者の選任(安衛法。屋内工業)
●専任の安全管理者の選任(安衛法。有機化学工業製品製造業など)
301人以上 ●公益通報対応業務従事者の選任、内部通報の体制整備(公益通報者保護法。2026年12月からは行政命令に従わない場合、刑事罰の対象
●正規雇用労働者の中途採用比率の公表(労働施策総合推進法)
●男性社員の育児休業等の取得状況の公表(育児・介護休業法)
500人以上 ●専任の安全管理者の選任(安衛法。無機化学工業製品製造業など)
●専属の産業医の選任(安衛法。有害業務に常時500人以上が従事する業種)
501人以上 ●衛生管理者3人以上の選任(安衛法) ●専任の衛生管理者の選任(安衛法。有害業務に常時30人以上が従事する業種)
1000人以上 ●専属の産業医の選任(安衛法) ●総括安全衛生管理者の選任(安衛法。屋内非工業)
●専任の安全管理者の選任(安衛法。紙・パルプ製造業など)
1001人以上 ●衛生管理者4人以上の選任(安衛法)
●専任の衛生管理者の選任(安衛法)
2000人以上 ●専任の安全管理者の選任(安衛法。過去3年間に休業1日以上の死傷者数の合計が100人を超える林業など)

(出所:日本情報マート作成)
(注1)法令名は略称であり、正式名称ではありません。
(注2)社員数または該当者数2000人までを示していますが、これよりも大規模な企業を対象とした決まりもあります。
(注3)派遣元・派遣先責任者の選任義務は、派遣社員100人ごとに1人ずつ増えていきます。
(注4)個人経営である一部の業種は人数要件に関係なく任意適用事業所になります。

以上(2026年3月更新)
(監修 人事労務すず木オフィス 特定社会保険労務士 鈴木快昌)

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画像:-Adobe Stock

【ビジネス文書・法令文書】労基署の指導も積極化! 36協定の実務~基本からよくあるミスまで徹底解説~

36協定は、届出さえしていれば問題ないと考える企業が多いですが、実際には締結方法や理解不足により無効や法違反となるケースも少なくありません。
そこで本稿では、36協定の本質的な意味や誤解しやすいポイント、正しい締結手続きや実務上の注意点について、基礎から分かりやすく解説します。

ビジネス文書・法令文書 今月の特集は、こちらからお読みいただけます。pdf



デザインセンスなしでもOK! 資料が見やすくなる3つのポイント (生成AI のプロンプト例付き)

1 3つのポイントで資料をアップデート!

皆さんはプレゼン資料などを作っていて、上司から「見づらい」 「伝わりにくい」と言われた経験はないでしょうか? 書いている内容自体は正しいのに、「デザイン」に問題があるせいで突っ返される。何とも歯がゆいですよね。

ただ、そこで「自分にはセンスがないんだ・・・・・・」 と諦めないでください。デザインには、

  • 情報が整理されて見えるか
  • 色や文字が見やすいか
  • 無意識に不快感をあおっていないか

という、基本となる3つポイントがあり、この3点を意識するだけでも、資料の印象は大きく変わるのです。

この記事では、パワーポイントで資料を作ることを前提に、上の3つのポイントについて詳しく解説します。また、第5章では、

生成AIで「見やすい資料」を作るためのプロンプト例

も紹介します。

2 (ポイント1)情報が整理されて見えるか

書いてある内容は正しくても、その内容が整理されていなかったら相手には伝わりません。デザインには、「デザイン4原則」と呼ばれる基本的な考え方があり、次の順番で情報を整理していくのが正攻法です。

  • Proximity(近接): 関連する情報同士を、近くにまとめて配置すること
  • Alignment(整列) : 文字や図の位置をそろえること
  • Repetition(反復):色、フォント、見出しの体裁などを繰り返し使うこと
  • Contrast (コントラスト): 重要なところと、そうでないところに差をつけること

専門的に聞こえますが、内容はとてもシンプルです。例えば、図表1はTシャツの今期売上目標を表すポスターの例です。「良い例」(右)は 【デザイン4原則】を守っていますが、「良くない例」(左) は守っていません。

情報が整理されて見えるか

情報量は同じですが、伝わりやすさが段違いです。「良くない例」は、関連する情報(価格・今期売上枚数・今期売上目標)の配置が離れすぎていますし、文字や図の位置も、フォントの大きさも色もバラバラ、どこが重要なポイントなのか分かりません。一方、「良い例」の中には、図表2の通り、デザイン4原則が使用されています。

デザイン4原則の解説

3 (ポイント2)色や文字が見やすいか

色は資料の印象を大きく左右します。本章では、「色の組み合わせ」と「色の印象」の2つにポイントを絞って解説していきます。

1)色の組み合わせ (明度と彩度)

まず意識したいのが、

  • 明度:色の明るさ
  • 彩度:色の鮮やかさ

です。図表3は文字とテキストボックスの色の組み合わせによって、

視認性(文字の読みやすさ)

がどのように変わるかを表したものです。

視認性

「良くない例」のように、明度の差が少ない色同士を組み合わせたり、文字と同色の浮き出しエフェクトをつけたりすると、文字が読みにくくなります(=視認性が低い)。一方、「良い例」のように、明度や彩度に差をつけたり、明度の高い色(白、黄色など)を文字色として使う際に、黒い浮き出しエフェクトをつけたりすると、文字が読みやすくなります(=視認性が高い)。

また、彩度が高すぎる色同士を組み合わせるのは避けましょう。

画面がチカチカする 「ハレーション」

が起きやすくなるからです。図表4はハレーションの一例です。

ハレーション

ハレーションが起こると、「良くない例」のように、目が疲れる色の組み合わせになってしまいます。一方、文字かテキストボックスのいずれか(または両方)の彩度を落とすと、「良い例」のように読みやすくなります。

色を組み合わせて資料を作ったり、色でアクセントをつけたりする際は、明度と彩度に気を配ることを習慣つけましょう。

2)色の印象

また、色にはそれぞれ印象もあります。上手に使いこなすことで、より効果的な伝え方をマスターできるでしょう。主な色の印象は図表5の通りです。

主な色の印象

例えば、食品に関連するサービスの資料は、オレンジや赤など食欲を刺激する色でまとめるほうが、資料の内容がより効果的に伝わります。

3)色の組み合わせ

また、

資料に使用する色はなるべく少なくする

こともポイントです。

特別な意図がなく色を多用すると、図表6のように、強調したいポイントがいま一つ伝わらず、落ち着かない印象になってしまいます。

配色の悪例

社内資料では、文字の色の他にはベースカラーを1色、サブカラーを1色、強調用に1色程度に色数を絞ると失敗しにくいでしょう。特に失敗しづらいのは、図表7のように、黒、白、グレーなどの無彩色+目立たせたいポイントに、もう1色を使用する組み合わせです。

配色の良例

さらにステップアップして、彩度のある色を2色以上使用した資料を作成する場合、図表8のような「色相環」を意識するとよいでしょう。色相環とは色相を環状に配置し、体系化したものを指します。

色相環

色相環で、対角に位置する色同士のことを「補色」と呼びます。例えば、ネイビーを基調とした資料にする場合、図表9のように対角にある黄色寄りのオレンジを差し色として使用すると、目立たせたい部分が強調されます。

補色の例

また、色相環で隣り合っている色のことを「同系色」と呼びます。例えば、オレンジを基調とした資料にする場合、図表10のように隣り合っている黄色寄りのオレンジと赤色寄りのオレンジを使用すると、資料に統一感が生まれ見やすくなります。

同系色の例1

さらに、グラフを多用したい場合などは、図表11のように色を1つ指定して彩度の濃淡でアクセントをつけると、まとまりがある資料になります。

同系色の例2

4 (ポイント3)無意識に不快感をあおっていないか

見た人の不快感をあおるような資料は、当然避けたほうがよいでしょう。不快感を煽ってしまう原因は様々ですが、まず確認したいのが、「知らず知らずのうちにデザイン上のタブーを侵していないか」です。見た人に不快感を与える、あるいはトラブルを引き起こしがちなNGポイントについて解説していきます。

1)人物配置のタブー

図表12の「良くない例」には、タブーが4つも隠れています。どこが「ダメ」なのか、一度探してみてください。

人物の配置比較

では、答えを見ていきましょう。「良くない例」に含まれているタブーは図表13の通りです。

人物の配置タブー

人物の写真や人物を含むデザインなどでは、こうした要素は全て

人間の潜在的な恐怖をあおるもの

としてタブー視されています。見る人に不快感を与えることがありますので、ポイントに注意しながらトリミングをするか、きちんと全体を入れるかを意識しましょう。

2)記号、モチーフのタブー

記号やモチーフにも注意が必要です。特に、

  • 赤十字
  • 赤い集中線
  • 六芒(ろくぼう)星
  • 卍字(まんじ)
  • 十字架

などは、宗教、医療、政治的な意味合いを連想させる場合があります。意図せず誤解を招く恐れがあるため、資料では使用を避けるのが無難です。特に、

「赤十字」やそれに類似したマークをデザインに使用することは、法律で禁止

されているので注意してください。

3)素材使用のタブー

1)や2)とは意味合いが異なりますが、

素材(画像、映像、図表、フォントなど)の入手や使用

にも注意が必要です。インターネットで見つけた素材を無断で使用すると、著作権の侵害になる恐れがあります。著作権とは、

画像・写真・動画・文章・音楽などを創作した人に与えられる権利のこと

です。著作権には、自分の作品であることを表示する権利、無断で作品を使用されない権利など、様々な権利が含まれます。プロが創作したものに限らず、個人がSNSで公開している画像などにも著作権はあるので、基本的に、

自分以外の人が創作した画像などを利用する場合、許可を得る必要がある

と覚えておきましょう。

なお、素材を有料で提供しているサイト(会社が契約しているもの)や、フリー素材を提供していることを明言しているサイトであれば、基本的には逐一許可を得なくても、資料に掲載することができます。

ただし、サイトによっては「使用時は『画像提供:○○』など著作権の表示が必要」「印刷物で利用する場合は、1万部以下までとする」「加工や改変の不可、範囲制限」など、一定の使用条件が設けられていることが多いので、条件は必ず確認しましょう。

5 生成AIで「見やすい資料」を作るためのプロンプト例

最近は、生成AIを使って資料のたたき案を作成できるようになってきました。例えばGensparkなどは、難しい操作を覚えなくても、文章で指示を出すだけで、スライド構成や文章案を考えてくれる便利なツールです。

ただし、生成AIは「何を、どんな条件で作るのか」をきちんと伝えないと、社内資料としては使いにくい内容になってしまうことがあります。そこで重要になるのが、

生成AIを動かすための「プロンプト(指示文)」

です。

ここでは、想定読者や枚数、使う色、資料で伝えたいポイントなどを項目ごとに整理した、超初心者向けのプロンプト例を紹介します。@の部分を埋めるだけで使えるので、生成AIに不慣れな人でも安心です。まずは完成版を作ろうとせず、たたき案のつもりで試してみてください。

■プロンプト例

あなたは、社内資料作成をサポートするデザイナー兼編集者です。以下の条件を必ず守り、見やすく・分かりやすい社内向け資料を作成してください。

【①テーマ】:@@@@@ [例:新商品(オレンジ味のグミ、若年層向け)の企画提案資料]

【②想定読者】:@@@@@ [例:直属の上司、チームメンバー]

【③枚数】:@@@@@ [例:3枚以内(表紙込み)]

【④用途】:@@@@@ [例:社内提案/PDF印刷/ミーティングでの配布]

【⑤1枚当たりの情報量】:@@@@@ [例:要点のみ簡潔に]

【⑥文字配置】:@@@@@ [例:本文は左寄せ、タイトルは中央または左寄せ]

【⑦使う色】:@@@@@ [例:オレンジ・黄色を基調に、無彩色は文字などに適宜使用]

【⑧強調色】:@@@@@ [例:赤]

【⑨フォント】:@@@@@ [例:ゴシック体]

【⑩デザインルール】:近接・整列・反復・コントラストを意識する

【⑪NG事項】:誇大表現、根拠のない数値、宗教的・政治的モチーフ、過度に派手なデザイン

【⑫資料で伝えたいポイント】:@@@@@[例:商品コンセプトを一言で明確にする/ターゲットと提供価値を具体化する/他商品との差別化ポイントを3点以内で示す]

【⑬参考資料】:@@@@@ [例:市場データ/社内方針資料]

【⑭備考】:@@@@@ [例:A4横組、後から人が修正・加筆する前提のたたき案として作成する]

例えば、このプロンプトの例部分を基にGensparkにスライド作成を任せると、5分程度でこのような資料を生成してくれます。なお、同じプロンプトを使用しても、同じ資料が生成されるわけではありませんので、ご留意ください。

生成AIが作成したスライド

生成された資料で守られている主要なデザインルールは、図表15の通りです。

スライドの解説

しかし、やはり最後は人の目で確認することが大切です。

スライドの修正例

例えば、今回AIが生成した資料では、デザイン4原則のうち「反復」の考え方を用いて図表16のような修正を行うのがよいでしょう。

生成AIが作った資料を、この記事で紹介したポイントに沿って一度チェックしてみてください。少し人の手を加えるだけで、資料はぐっと見やすく、レベルアップします。

以上(2026年2月作成)

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画像:日本情報マート

辞める看護師、残る問題職員……生々しい医療現場の労務トラブル

1 医療現場をむしばむ「目に見えない」 労務の危機

医療業界の労務管理は、今、かつてないほど困難な局面を迎えています。人手不足が常態化する中で、現場のスタッフ一人ひとりに重い負担がかかり、それがさらなる離職を招くという負の連鎖が各地で起きています。

しかし、現場で起きている本当の危機は、数字に表れる「人手不足」だけではありません。筆者は統合医療クリニックの事務局長として、現場の最前線で院長をはじめとする多くの管理者の苦悩を見てきました。どれほど情熱を持って診療に当たっていても、

「組織の綻び」という理屈では割り切れない問題により、現場は一瞬にして崩壊していく

のです。例えば、

  • 看護師の突然の離職で機能不全に陥る職場
  • 特定のスタッフが実権を握り、誰も意見が言えなくなる閉塞感
  • いつの間にか漏れ伝わっている給与情報

などがそうです。こうした問題は、どれだけ法律や制度を学んでも、解決の糸口は見えてきません。

医療機関という場所は、専門職が集まる特殊なコミュニティーです。だからこそ、一般企業の理屈が通用しない「現場特有の力学」を理解し、先手を打つ必要があります。

この記事では、制度論や理想論は一旦脇に置き、筆者が現場で実際に直面し、格闘してきた「5つの具体的なトラブル」に焦点を当てます。それらがなぜ起きるのか、そして今日から何ができるのか。現場を動かし、スタッフを守り、そして院長自身の平穏を取り戻すための「現実的な処方箋」を提示していきます。

2 突然、「辞めます」と言われる(または言われすらしない)

1)最もダメージが大きい「辞めます問題」

医療現場の労務において、管理者が最も精神的・実務的にダメージを受けるのがこの問題です。看護師からある日突然、「辞めます」と告げられ、しかも引き継ぎ期間がほとんどないというケースは珍しくありません。

さらに深刻なのは、「辞めます」という言葉すら聞けないケースです。ある医師は、深刻な面持ちでこう話していました。

「辞めると言ってくれるだけ、まだ良心的です。突然来なくなって、電話やLINEをブロックされることも珍しくありません」

この場合、経営サイドは「本当に辞めたのか」の判断すらつかず、欠員補充の手配もできないまま、残されたスタッフに一気に負担がかかります。結果として現場は回らなくなり、空気も一気に重くなってしまいます。

2)なぜ「突然」が起きてしまうのか?

この極端な行動の背景には、看護師という職業特有の市場環境があります。慢性的な人手不足の中では転職先に困ることがないため、「多少強引な辞め方をしても次がある」という前提が成り立ってしまうのです。

ただし、ここで注意したいのは、

辞め方が突然だからといって、理由まで突然とは限らない

という点です。多くの場合、不満や違和感は、かなり前から蓄積しています。

  • 忙しすぎて余裕がない
  • 相談しても状況が変わらない
  • 自分のしんどさが軽く扱われている

こうした思いが積み重なり、「もう説明する気力すらなくなった」状態にまで追い込まれた結果が、突然の離職という形になって現れているのです。

3)辞め方が極端にならない構造をつくろう

この問題に対して、無理な「引き止め策」を講じる必要はありません。重要なのは、

辞め方が極端にならない構造をつくること

です。

まず一つは、日常的なコミュニケーションです。業務連絡だけでなく、短時間でもいいので、「最近どう?」「無理してない?」と声をかける機会を意識的につくりましょう。不満のガス抜きを小まめに行うことで、感情の爆発を防ぎます。

もう一つ大切なのは、制度面での備えです。就業規則や労働契約書に、申し出の期限や無断欠勤が続いた場合の扱いなど、退職時のルールを明記しておきます。最低限のルールをあらかじめ決めておくことで、問題が発生した際にも「これは個人の問題ではなく、運用の話だ」と冷静に切り替え、受け止めやすくする余地が生まれます。

3 嫌なやつほど、辞めてくれない

1)真面目な人から去っていく皮肉

先日、何人かのクリニックの経営者や院長と話をする機会がありました。そのとき、彼らは口をそろえてこう言いました。

「辞めさせたい人ほど、辞めてくれない」

「雇うのは簡単だが、辞めさせるのはとんでもなく大変」

日本の労働法下では、横領や経歴詐称などよほどのことがない限り、解雇は困難です。その結果、「ハラスメントで現場の空気を悪くする」「周囲と頻繁に衝突する」「患者からクレームを受ける」といった問題職員が辞めずに、居座り続けることになります。経営者がいくら注意しても、本人は辞める気配がなく、むしろ居心地が良さそうにさえ見えるのです。

一方で、真面目で我慢強い人ほどその状況を見切り、何も言わずに去っていくという逆転現象が起きます。現場には問題職員と同調者だけが残り、組織が荒廃して管理者側が疲弊するという悪循環に陥ります。

2)雇い方の設計に原因あり

問題職員ばかりが組織に残る。この現象は、本人の性格だけの問題ではなく、多くの場合、

雇い方の設計に原因

があります。

人手不足の現場ほど、「とにかく人を入れたい」と焦り、現場に合うかどうかを見極める前に、いきなり正社員として雇ってしまう。結果、雇用関係が結ばれた後で「自分たちと合わない」と分かっても、辞めさせることができなくなってしまうのです。合わない人を抱え続けるコストは、採用を急ぐリスクよりもはるかに高くつきます。

3)「入り口」の設計変更がカギ

現場でできる最大の対策は、採用の「入り口」を変えることです。最初から正社員にせず、3~6ヵ月の有期雇用やアルバイトとして迎え、実際の働きぶりや周囲との関係性をしっかり見極める。その上で本採用を判断する。この一手間をかけるだけで、「辞めてほしい人が残り続ける」リスクは劇的に下げられます。

「嫌なやつほど辞めてくれない」と嘆く前に、

最初の一手が適切だったかを振り返る

ようにしてください。制度は現場を助けるためにあります。今日からできることを少しずつやっていくことが、結果的に医療の質と経営の両方を守る道につながるのです。

4 仕事のできる看護師に、現場を牛耳られる

1)回っているようで、実は非常に危ない状態

小さなクリニックで静かに進行しやすいのが、「仕事のできる看護師」への権力集中です。業務を把握し、判断が速く、医師の意図もくんで動ける優秀な人は、忙しい現場ほど「あの人がいなければ回らない」と高く評価されます。

ところが次第に、物事はその人を通さなければ進まなくなり、他の看護師や事務スタッフは顔色をうかがうようになります。医師ですら、無意識のうちに判断を預けてしまう。こうして、情報・判断・人間関係が1人に集中する構造が出来上がります。

周囲には、「あの人に近い人」 「そうでない人」という見えない線が引かれ、現場は少しずつ内輪化

していきます。

2)責任感の裏にある支配構造

厄介なのは、本人に悪意はなく、むしろ「責任感」や「現場を守っているつもり」であることも少なくない点です。しかし、実態は「私がいないと回らない」という前提で現場が動く支配構造です。

短期的には現場が安定しているように見えますが、水面下では他のスタッフは思考を停止させ、「どうせ言っても変わらない」 という諦めが広がっています。結果として、

不満を抱えた人ほど孤立し、静かに辞めていく

ことになります。

最終的に残るのは、その看護師に従う人だけの閉じた現場です。そのため、その看護師が欠けた瞬間に、マニュアルも引き継ぎもない現場は止まってしまいます。「優秀な人が1人で回している現場」は、実は「最ももろい現場」なのです。

3)属人化を解く 「構造の分解」が大切

対策の軸は、人をどうするかではなく、「構造をどう分解するか」にあります。その人しか把握していない業務を洗い出し、判断権限と裁量の範囲を言語化しましょう。

業務を複数人で担えるように再設計し、「その人を通さなくても進む動線」をつくる

のです。

場合によっては、仕事や権限をあえて減らす判断も必要です。本人の不満や影響力が弱まることへの抵抗は避けられませんが、それは現場全体にとっての正解とは別次元の話です。この問題は、特定の人への個人攻撃ではありません。属人化を許し、権限を曖昧にした「設計の問題」なのです。設計を変えない限り、同じ構造は何度でも生じます。

5 情報が筒抜けになっている

1)なぜ、あなたが別のスタッフの給与額を知っているの?

小規模な医療機関で頻繁に起きているのが、「給与や評価に関する情報がいつの間にか現場に広まっている」問題です。ある院長は、スタッフにこう聞かれて返答に困ったと言います。

「○○さんはボーナスが△△万円だったって聞きました。なんで私は、この金額なんですか?」

本来個別に扱うべき情報が「共有事項」となってしまっている現状・・・・・・管理者は背筋が寒くなります。情報が筒抜けの現場では、「誰がいくらもらっているか」「誰が評価されているか」「誰が院長に近いか」といった話が、公然の事実としてまかり通ってしまいます。

2)不透明な評価が生む不満

給与や評価に関する情報は、

特定の人の周囲で先に共有され、そこから波紋のように広がっていく

ことが少なくありません。結果として、スタッフの関心は人事評価そのものではなく、「人と比べてどうか」という一点に集中します。その時点で、評価制度はもはや機能していないと言わざるを得ません。

3)説明できる「評価の土台」づくりを

対策の要点は、情報を単に「秘密にする」ことではなく、人事評価制度を整えて「説明できる状態」をつくることです。ここで重要なのは、立派な制度ではありません。

「何を評価しているのか」 「なぜその評価なのか」を、管理者の一貫した言葉で説明できること。これだけで十分

です。

評価の軸が見えない現場では、「気に入られているかどうか」という曖昧な物差しが事実上の基準となり、それが情報の横流しや比較による不満を生みます。評価制度は、不満が感情論に暴走するのを防ぐための「最低限の土台」として機能させるべきなのです。

6 長時間労働がなくならない

1)時間外労働の上限規制が始まって2年たつけれど・・・・・・

2024年4月から医師にも時間外労働の上限規制が適用されましたが、「これで一気に時短が進んだ」という医療機関は決して多くありません。

実際の現場では、記録・書類業務のずれ込みや急患対応、そして「患者を断れない文化」によって、依然として長時間労働が温存されています。

2)可視化されない「見えない業務」

問題が解決されない最大の原因は、時間が取られている業務の正体が可視化されていないことです。現場では「診療=仕事」と捉えられがちですが、実際には、

  • カルテの記載
  • 検査結果の整理
  • 説明資料の作成
  • 薬剤の管理
  • 予約調整・問い合わせ対応
  • ミーティングやカンファレンス

など、診療を取り巻く業務が膨大に存在します。これらが「誰の」「どの時間」を奪っているのか整理されないまま、診療後の時間にしわ寄せがきているのが実情です。

3)業務の分解とITの積極活用で乗り切ろう

まず取り組むべきは、業務の分解と再配分です。具体的には、医師の業務を「診療」 「準診療」「事務」に分け、診療以外の仕事をスタッフへ振り分けたり、ツールで代用したりすることを検討します。

近年は、AI・ITを使った省力化も、現実的な選択肢になっています。例えば、

AIボイスレコーダー 「Plaud」は、録音した音声を自動で書き起こし、AIが内容を要約

してくれます。15年以上ライターをしてきた筆者の目から見てもその精度は高く、議事録作成や診療録への内容要約において確実な時短につながります。また、

資料作成が多い場合は、生成AI 「Gemini」 と、パーソナルな情報の整理に特化した「NotebookLM」の組み合わせ

が有効です。あらかじめクリニック独自の資料をNotebookLMに登録しておけば、Geminiを使って「自院に特化した説明資料」 や 「スタッフ向けの簡易マニュアル」を短時間で作成できます。こうしたツールを活用し、現場から残業を減らしていきましょう。

以上(2026年3月作成)

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画像:Gemini

【朝礼】昭和100年、次の時代の “当たり前”を仕込もう!

【ポイント】

  • 昭和は、「便利さが“当たり前”になるまで」を体験した時代
  • “当たり前”は変わる。環境も変わる。だから仕事のやり方も変えられる
  • 「来期に残したい“当たり前”」と「来期はやめたい“当たり前”」を1つずつ決めよう

皆さん、おはようございます。2026年は、「昭和」が始まってから100年、いわゆる昭和100年と言われる節目の年です。昭和と聞くと、なんとなく「昔の時代」というイメージで終わってしまいがちですが、昭和って実は、ひと言でまとめられないくらい激しく時代が動いた期間なんですよね。戦前・戦中・戦後の混乱、そこからの復興、そして高度経済成長。社会の空気も、技術も、働き方も、生活も、何度も“前提”がひっくり返っています。

例えば、生活の変化で言えば分かりやすいのが「家の中」です。白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫といった“暮らしを変える道具”が普及して、家事の時間の使い方がガラッと変わった。そこからカラーテレビになり、車が広がり、家族旅行が現実的になっていく。つまり昭和は、「便利さが“当たり前”になるまで」を体験した時代でもあります。

もちろん、何もせずに勝手に時代が変わることはありません。テレビや洗濯機や自動車が出てくる前の暮らしぶりに対し、「これが“当たり前”でいいのか? もっと便利な暮らしを“当たり前”にできないか?」と考え、実際に変えようとしてきた人たちがいたから、時代は動いてきたのです。

私が言いたいのは、「“当たり前”は変わる。環境も変わる。だから仕事のやり方も変えられる」ということです。ちょうど今は年度末です。ここで、皆さんに昭和100年にちなんだお願いを1つだけさせてください。「来期に残したい“当たり前”」と「来期はやめたい“当たり前”」を1つずつ決めてください。残したい“当たり前”は、「安全確認を丁寧にする」「お客様への返信を早くする」「報連相を省かない」など、品質や信頼に直結するものです。やめたい“当たり前”は、「AIでできることを、いまだに人力でやっている」「書面を確認するだけのことを、わざわざ会議でやる」「確認フローが多すぎて、仕事が前に進まない」など、ムダや停滞につながるものです。

昭和が始まってからの100年は、技術が進んだだけじゃなくて、仕事の“やり方”が変わり続けた100年でもありました。私たちも同じで、来期を気持ちよく始めるために、今日から少しずつ“当たり前”を整えていきましょう。昭和100年は、懐かしむ年というより、次の時代の“当たり前”を仕込む年。そう捉えて、今年度の締めを良い形で迎えたいと思います。

以上(2026年3月作成)

pj17244
画像:Mariko Mitsuda

遅刻時間と残業時間を相殺することができますか。

QUESTION

遅刻時間と残業時間を相殺することができますか。

ANSWER

原則として相殺は可能です。

解説

1日の実労働時間が8時間を超えた場合に割増賃金の支払いの対象になるため、原則として相殺は可能です。
ただし、就業規則で「終業時刻後の労働時間について割増賃金を支払う」旨の定めがある場合にはこの限りでありません。

※本内容は2026年2月28日時点での内容です。
 <監修>
   社会保険労務士法人中企団総研

No.93040

画像:Mariko Mitsuda

事業主には、従業員のメンタルヘルス対策を講じる義務がありますか。

QUESTION

事業主には、従業員のメンタルヘルス対策を講じる義務がありますか。

ANSWER

労働契約法(第5条)や労働安全衛生法、民法(信義則)上の義務を負います。

解説

労働契約法(第5条)や労働安全衛生法(第3条など)、民法(第1条2項など)の規定により、労働者の安全(メンタルを含む)につき、必要な配慮しなければならない義務を負います(安全配慮義務)。
必要な配慮については、平成12年に労働省(当時)が「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」を発表して、使用者に課されるメンタルヘルス上の安全配慮義務の程度を定めています。
この指針によると、メンタルヘルスケアには、1.セルフケア、2.ラインケア、3.スタッフケア、そして4.専門機関によるケアの4つの段階があるとされています。
1.セルフケア
労働者が自ら行うストレスへの気づきと対処。
セルフケアの段階で使用者に求められるのは、労働者自身にセルフケアの重要性を自覚させるために、教育研修や情報提供を行うことです。
ただし、この教育研修や情報提供が、使用者側の安全配慮義務の内容にまでは、まだなっていません。
2.ラインによるケア
管理監督者が行う職場環境等の改善と相談への対応。
管理職による、部下の労働時間、労働状況、健康状況を把握し、初期症状が出てきた場合には作業量を調整することなどです。
3.事業場内産業保健スタッフ等によるケア
産業医等による専門的ケア。
4.事業場外資源によるケア
事業場外の専門機関によるケア。
また、平成27年12月1日から、常時使用する労働者に対して毎年1回、心理的な負担を把握するための検査を行うこと(ストレスチェック制度)が義務化されました。
※従業員数50人未満の事業場は制度の施行後、当分の間努力義務
1.ストレスチェックの実施について
 ○ストレスチェックの実施者者は、医師、保健師等となります。
 ○ストレスチェックの調査票は、「仕事のストレス要因」、「心身のストレス反応」及び「周囲のサポート」の3領域が含まれています。
2.面接指導の実施
 ○ストレスチェックの結果の通知を受けた労働者のうち、高ストレス者として面接指導が必要と評価された労働者から申出があったときは、医師による面接指導を行うことが事業者の義務になります。
 ○事業者は、面接指導の結果に基づき、医師の意見を勘案し、必要があると認めるときは、就業上の措置を講じる必要があります。
3.集団分析の努力義務化
 ○職場の一定規模の集団(部、課など)ごとのストレス状況を分析し、その結果を踏まえて職場環境を改善する措置は努力義務になります。
4.労働者に対する不利益取扱いの防止について
 ○ストレスチェックを受けない者、事業者への結果提供に同意しない者、面接指導を申し出ない者に対する不利益取扱いや、面接指導の結果を理由とした解雇、雇止め、退職勧奨、不当な配転・職位変更等を禁止されています。

※本内容は2026年2月28日時点での内容です。
 <監修>
   社会保険労務士法人中企団総研

No.95010

画像:Mariko Mitsuda

成果型賃金制度を導入して賃金が下がる従業員がいてもいいですか。

QUESTION

成果型賃金制度を導入して賃金が下がる従業員がいてもいいですか。

ANSWER

受忍限度内の不利益であり、構いません。

解説

成果型賃金制度を導入すると、成果や能力次第では賃金が上昇する場合と逆に不利益になる場合があります。賃金の不安定性を生ずることそれ自体が不利益変更であるとみて、判例の合理的変更法理が該当すると一般には考えられています。
そのために判例理論上は、賃金についての変更は高度な必要性を求めています。
「全国信用不動産事件」では、倒産の危機に瀕しているという状況にはなかったことを高度の必要性を否定する根拠としています。高度の必要性の要件を厳格にとらえると、就業規則の変更では成果主義型の賃金体系を導入することが困難となります。
一方、「ハクスイテック事件」は、成果主義型賃金体系を導入した給与規程変更の事案について、賃金の不利益変更であると認めたうえで、その変更に合理性があると判断しています。
一般的に、労働生産性と直接結びつかない形の年功型賃金体系は合理性を失いつつあり、労働生産性を重視し、能力・成果主義に基づく賃金制度を導入することが求められており、高度の必要性の要件を緩やかに解しています。個別労働者において賃金が下がることがあっても、受忍限度内の不利益であるとしています。
労務の観点からは、変更を必要とした経営事情よりも、変更後の労働条件の内容的合理性を重視して判断すべきです。
成果型賃金制度の合理性を支えるためには、目標管理制度における目標の設定とその方法・手続、仕事の成果の評価とその方法・手続、賃金額決定の方法・手続、苦情処理制度の整備が必要であると考えられます。

※本内容は2026年2月28日時点での内容です。
 <監修>
   社会保険労務士法人中企団総研

No.92140

画像:Mariko Mitsuda

労働者から退職願または退職届を撤回する旨の申し出があった場合、会社として撤回に応じる必要はあるのでしょうか。

QUESTION

労働者から退職願または退職届を撤回する旨の申し出があった場合、会社として撤回に応じる必要はあるのでしょうか。

ANSWER

会社が退職の申し入れに対して、これを認めるという正式な意思表示をしていれば、労働者の退職の申し出の撤回に応じる必要はありません。

解説

退職の申し入れを正式に認めることの基準については、社内の規程などに明示しておくべきです。
基準を明確にしておくことで、その基準を満たせば、退職の申し出の撤回に応じる必要はありません。

※本内容は2026年2月28日時点での内容です。
 <監修>
   社会保険労務士法人中企団総研

No.96060

画像:Mariko Mitsuda

外国人でも日本国内で就労する限り、労働基準法等の労働法の適用を受けますか。

QUESTION

外国人でも日本国内で就労する限り、労働基準法等の労働法の適用を受けますか。

ANSWER

適用を受けます。

解説

日本国内で就労する限り、日本人、外国人を問わず、原則として労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法等の労働関係法令の適用があります。
また、労働基準法第3条は、労働条件面での国籍による差別を禁止しています。外国人労働者についても、法定労働時間の遵守、週休日の確保など適正な労働時間管理を行う必要があります。
外国人を雇い入れた際にも、日本人と同様に労災保険・雇用保険、健康保険・厚生年金保険に加入させなければなりません。
また、外国人労働者と労働契約を締結する際には、労働条件を明記した書面を交付してください。
たとえ不法就労であったとしても、法の扱いは原則として変わりません。

※本内容は2026年2月28日時点での内容です。
 <監修>
   社会保険労務士法人中企団総研

No.91040

画像:Mariko Mitsuda