従業員・元従業員からの情報漏洩を防ぐには?

1 情報漏洩のルートは3つ

企業は取り扱う情報の重要度に応じて防御の要否やその対策を検討・実行していますが、情報漏洩が後を絶ちません。主な情報漏洩のルートは、

  • 第三者からの攻撃による漏洩
  • 従業員・元従業員のミスによる漏洩
  • 従業員・元従業員の故意による漏洩

の 3 つとされるので、それぞれ対策を進めましょう。例えば、

従業員の情報の取り扱いにミスがあっても、第三者からの攻撃を防止する対策を講じていたので難を逃れた

といったこともあります。

2 第三者からの攻撃による漏洩を防止

第三者からの攻撃は、オペレーション・システム(OS)やソフトウェア、ウェブアプリケーションの脆弱性を悪用したものが多いです。そのため、OSやソフトウェアを最新の状態にすることで多くを防止できるとされています。ここでは、IPA(情報処理推進機構)セキュリティセンターが中小企業向けに公表している「情報セキュリティ6か条」を基に対策を紹介します。

1)OSやソフトウェアは常に最新の状態にする

Windows UpdateなどOSのアップデートや、ソフトウェアの修正プログラムを適用するなどして、常に最新の状態にしておきます。古いまま放置していると、セキュリティ上の問題が改善されずに、それを悪用したウイルスに感染する危険性があります。

2)ウイルス対策ソフトを導入する

各PCなどにウイルス対策ソフトを導入し、ウイルス定義ファイルが自動更新されるように設定してあることを確認します。また、次々と新しいウイルスが出現しているため、統合型のセキュリティ対策ソフト(感染前の検知、挙動の監視、フィッシング対策など、多層防御機能を持つもの)の導入を検討するとよいでしょう。

3)パスワードを強化する

パスワードは、10文字以上で「できるだけ長く」、大文字、小文字、数字、記号含めて「複雑に」、名前、電話番号、誕生日、簡単な英単語などは使わず、推測できないようにします。また、ウェブサービスからID・パスワードが流出して悪用されることもあるため、同じパスワードを複数のウェブサービスで使い回さないようにします。

4)共有設定を見直す

データ保管などのウェブサービスやネットワーク接続した複合機・カメラなどの設定を誤り、無関係な人にも情報にアクセスされてしまうトラブルが後を絶ちません。共有範囲を限定するとともに、従業員の異動時・退職時には速やかにアクセス権限を変更・削除しましょう。

5)バックアップを取る

故障や誤操作、ウイルス感染などにより、パソコンやサーバーの中に保存したデータが消えたり、暗号化されたりしてしまうことがあります。重要情報のバックアップは定期的に行いましょう。また、バックアップに使用する装置・媒体は、バックアップ時のみパソコンと接続するようにし、オンラインバックアップの活用など取得方法も決めておきましょう。

6)脅威や攻撃の手口を知る

日々、悪意ある第三者が情報を盗むために、さまざまな攻撃・手口を生み出しているので、最新の情報を知り、対策を実施します。IPAやセキュリティベンダーなどが新しいウイルスや攻撃の手口、その対策などの情報発信をしているので、参考にします。

3 従業員・元従業員のミスによる漏洩を防止

1)情報管理の6つの視点

従業員・元従業員のミスによる情報漏洩は多いものです。ミスの中には、誤操作、紛失・置き忘れ、盗難、管理ミス、設定ミスなどがあります。ミスを防止するためには、次の視点から情報を管理します(IPA「情報漏えい対策のしおり(第7版)から一部抜粋」)。

  • 情報を許可なく、持ち出さない
  • 情報を未対策のまま目の届かない所に放置しない
  • 情報を未対策のまま廃棄しない
  • 私物の機器類やソフトなどのデータを、許可なく持ち込まない
  • 個人に割り当てられた権限を許可なく他の人に貸与または譲渡しない
  • 業務上知り得た情報を、許可なく公言しない

上記はどれも重要な対策であり、「情報を持ち出す際は許可を取る」「誤操作がないように2人1組で作業をする」などの社内ルールを策定している企業も多いと思います。とはいえ、ルールが形骸化している、従業員が十分にルールを認識していないこともあります。上記6つや、それに関連する社内ルールを、いま一度、組織に周知徹底しましょう。

また、上記と併せ、万が一ミスが発生した際は、「自分で判断せず、まず上司などに報告」するよう従業員に徹底させることも大切です。

2)テレワーク下での対策

テレワークをしている企業は、前述の「1.情報を許可なく、持ち出さない」「4.私物の機器類やソフトなどのデータを、許可なく持ち込まない」「5.個人に割り当てられた権限を許可なく他の人に貸与または譲渡しない」の視点に立った管理が重要です。

テレワークでは、ある程度情報にアクセスできなければ仕事になりません。そのため、従来よりも多くの従業員に情報を持ち出す許可や、アクセスする権限を与えているかもしれませんが、社外に漏洩しては困る情報の持ち出しは禁止するなどしましょう。

なお、総務省は「テレワークセキュリティガイドライン」や「中小企業等担当者向けテレワークセキュリティの手引き(チェックリスト)」を公表しています。次のウェブサイトからダウンロードできるので、参考にするとよいでしょう。

■総務省「テレワークにおけるセキュリティ確保」■
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/telework/

4 従業員・元従業員(内部)の故意による漏洩を防止

従業員・元従業員の故意による漏洩はミスによる漏洩などに比べて少数です。しかし、漏洩するのは顧客情報などで、そうなったときのダメージは大きなものです。

ここまで紹介した、「従業員の異動時・退職時には速やかにアクセス権限を変更・削除する」など、情報へのアクセスを制限する対策の他に、秘密保持・競業避止義務を課すことを検討します。これにより、従業員・元従業員に対する抑止力が働き、漏洩が起こった場合は当該従業員・元従業員の責任を追及できる可能性があります。

1)従業員・元従業員の秘密保持義務

労働契約の存続期間中、従業員(パートなどを含む)は秘密保持義務を負うと考えられています。秘密保持義務とは、

企業の業務上の情報を第三者に開示・漏洩しない義務

です。就業規則などで明確に定めていなくても、労働契約の付随的義務として信義則上負うものと考えられています。

また、労働契約の終了後においても、契約書や誓約書等を作成していない場合であっても、信義則上、一定の範囲で秘密を漏洩しない義務を引き続き負っていると考えられています。もっとも、情報漏洩を防止する観点からは、その秘密の性質・範囲、価値、従業員の退職前の地位などを考慮して、別途、退職時に秘密保持契約を締結するなどの手立てを講じておくことが望ましいでしょう。

2)秘密保持・競業避止義務の範囲

従業員・元従業員が秘密保持義務や競業避止義務を負う場合でも、その範囲は無制限ではありません。職業選択の自由や営業の自由を制約することはできないため、度が過ぎると公序良俗に反するものとして、無効になる場合があります。

例えば、従業員に対して「秘密情報を利用して、在職中、退職後に競合他社に就職するなどの競業行為を行ってはならない」とする競業避止義務を課す場合がありますが、このような規定の有効性については個別具体的な状況によって判断されます。

裁判では次の4つが総合的に考慮され、有効性が判断されるといわれています。ただし、個別の事案によって異なるため、この例と類似するからといって、必ずしも有効性が認められるわけではありません。

競業避止義務の有効性が認められた例

また、退職後の秘密保持義務についても、これを広く容認することは職業選択の自由を制約することになりますので、義務の内容が公序良俗に反して無効となる場合があります。公序良俗に反するかは、その秘密の性質・範囲、価値、労働者の退職前の地位に照らし、合理性が認められるかどうかにより判断します。また、退職後の契約上の秘密保持義務の範囲については、その義務を課すのが合理的であるといえる内容に限定して解釈するのが相当であるとされています。

その他、就業規則に退職後の競業避止義務や秘密保持義務を規定しておくことも可能ですが、競業避止義務や秘密保持義務の内容は、個別に従業員の地位や仕事内容に合わせて設定する必要があるため、個別に誓約書や合意書などを取り付けるのが望ましいでしょう。

3)秘密情報・秘密保持義務などの定義

秘密情報の定義やその管理方法は法的に定められていません。従業員・元従業員に秘密保持義務や競業避止義務を課すためには、従業員・元従業員に秘密情報の対象を明示し、秘密情報として管理されていることが認識できる状態にしていたか否かなどが問われます。

そのため、例えば、従業員・元従業員に秘密情報の対象を示さず、全従業員が容易に秘密情報にアクセスできるような管理状態では、秘密情報だと主張して、従業員・元従業員に秘密保持義務を課すには不十分だということです。

以上から、就業規則や秘密保持に関する誓約書などにおいて、秘密情報の対象と取り扱い範囲を規定することが必要といえるでしょう。これらに違反した場合の処分規定を設けておけば、従業員・元従業員が秘密情報を不当に持ち出すことの抑止力にもなります。

秘密情報の範囲は不明瞭になりがちなので、できるだけ具体的に秘密情報を規定し、新しい情報をその都度、追加していくとよいでしょう。

なお、経済産業省のウェブサイトでは、秘密情報の管理方法や秘密保持契約(誓約書)のひな型などが公開されているため、参考にするとよいでしょう。

■経済産業省「営業秘密~営業秘密を守り活用する~」■
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/trade-secret.html

4)従業員以外にも及ぶ営業秘密の効力

特に重要な秘密情報については、「営業秘密」として管理することが肝要です。従業員・元従業員が秘密保持義務に違反し、第三者に秘密情報を漏洩させても、企業は当該第三者と契約関係がないため、第三者に対して債務不履行責任を問うことは基本的にできません。しかし、不正競争防止法上の「営業秘密」と認定されれば、その侵害については罰則が設けられているため、刑事・民事の両面で、当該第三者に対する法的措置が取りやすくなります。

また、情報を持ち出された企業が損害賠償を請求する場合、企業が損害の発生や損害額を立証する必要がありますが、営業秘密と認定されることで、不正競争防止法上の損害額の推定規定が適用されます。

営業秘密とは、不正競争防止法の保護・規制を受ける、次のような情報です。

秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの

営業秘密として認定されるためには、

  • 秘密管理性(秘密として管理されていること)
  • 有用性(有用な営業上または技術上の情報であること)
  • 非公知性(公然と知られていないこと)

の3要件を満たす必要があります。この3要件を意識し、情報に接することができる従業員等にとって、秘密だと分かる程度の措置(例えば、紙や電子記録媒体へ「マル秘」「持ち出し禁止」の表示をする、秘密保持契約等によって秘密情報の対象を特定する、データへのアクセス制限する、パスワード設定をするなど)を講じるとよいでしょう。

以上(2026年5月更新)
(監修 弁護士 田島直明)

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経営のヒントとなる言葉(坂本龍馬)

「丸くとも 一かどあれや人心 あまりまろきは ころびやすきぞ」

出所:「坂本竜馬関係文書1」(東京大学出版会)

冒頭の言葉は、

「温厚で円満な中にも、決して揺らぐことのない、毅然とした一面を持たなくてはならない」

ということを表しています。

1853年、米国から黒船が来航し、幕府に開国を迫りました。この要求を受けた幕府は1854年に米国と日米和親条約を、さらに1858年には日米修好通商条約を締結しました。この幕府の対応によって国内では攘夷運動(外国人や外国文化を排斥すること)が盛んになり、幕府に対する反発が強まりました。こうした中、龍馬は「世界と対等に向き合うためには、海外との貿易によって国力をつけなくてはならない」ということを悟り、広く世界へ目を向けるようになります。

その後、龍馬は自由な活動を求めて土佐藩を脱藩し、江戸に上りました。そして、幕府の高官勝海舟のもとを訪れ、「これからの日本には、開国と海軍の創設が必要である」という勝の意見に共感しました。その後、古い体制である幕府を倒し、新しい体制を作り上げることを志すようになりました。

やがて幕府の威力が衰えて倒幕の機運が高まると、龍馬は、同じ倒幕という考えを持ちながらも反発し合っていた薩摩藩と長州藩の仲をとりもち、1866年に薩長同盟を成立させました。このことによって倒幕への流れは大きく加速し、やがて幕府が倒され、1868年にはついに明治新政府が成立しました。

地方の低い身分の家に生まれた龍馬が日本を大きく変えるようなことを成し遂げられたのは、柔軟で円満な性格によるところが大きいといわれています。当時、龍馬とともに活動していた同志は、龍馬を「大声で自分の意見を論じるようなこともない、とてもおとなしい人で、何事も温和に事を処する」と評しています。この言葉の通り、龍馬はさまざまな人と交わり、さまざまな立場の人の意見をよく聴き、よいと思った点を素直に吸収する柔軟な考えを持っていました。

しかし、同時に、決して揺らぐことがない毅然とした一面も持っていました。薩摩藩と長州藩との仲をとりもつに当たり、両藩の意見を傾聴しつつも、説くべき点はしっかりと説き、実現不可能と思われていた薩長同盟を成立させています。

1863年、勝とともに海軍操練所の創設に没頭していた当時、龍馬は姉に宛てた手紙で次のように述べています。

「一人の力で天下うごかすべきハ、是又天よりする事なり(自分一人の力で国家を動かすことは、天が自分に与えた使命である)」

丸い形は安定性に欠けますが、そこに「一かど」を加えることで、しっかりと安定します。温厚で円満なだけでは、色々なことに流されてしまいがちです。円さの中にも、決して揺らぐことのない「一かど」を持つことが、大きなことを成す上で最も重要なことだといえるでしょう。

【本文脚注】

本稿は、注記の各種参考文献などを参考に作成しています。本稿で記載している内容は作成および更新時点で明らかになっている情報を基にしており、将来にわたって内容の不変性や妥当性を担保するものではありません。また、本文中では内容に即した肩書を使用しています。加えて、経歴についても、代表的と思われるもののみを記載し、全てを網羅したものではありません。

【経歴】

さかもとりょうま(1835~1867)。土佐国(現高知県)生まれ。1866年、薩長同盟の周旋。1867年、船中八策の起草。

【参考文献】

「坂本竜馬関係文書1」(日本史籍協会編、東京大学出版会、1988年12月)

「龍馬の手紙 坂本龍馬全書簡集・関係文書・詠草」(坂本龍馬(原著)、宮地佐一郎(著)、講談社、2003年12月)

以上(2026年5月更新)

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画像:日本情報マート

「奨学金の代理返還制度」を活用して若手人材に選ばれる会社へ!

1 ご存じですか? 奨学金の代理返還制度

多くの学生が利用する日本学生支援機構の奨学金制度。返さなくてよい「給付奨学金」と、返さなければいけない「貸与奨学金」がありますが、学生の4人に1人は貸与奨学金を利用しているといいます。

毎月の貸与奨学金の返還(返済)は、若手社員にとって経済的に大きな負担となっており、キャリア形成や、結婚・出産といったライフイベントにも影響を及ぼしています。そうした中、2021年4月に始まったのが、

企業が日本学生支援機構に対し、社員に代わって貸与奨学金の返還分を直接送金する「企業の奨学金返還支援(代理返還)制度」(以下「奨学金の代理返還制度」)

です。

奨学金の代理返還制度は、初任給を増額したり、返還分を給与に上乗せ支給したりする場合と比べて、税金や社会保険料の負担などで社員、企業の双方にメリットがあり、若手人材の採用・定着を目指す福利厚生の一策として注目されています。以降で詳しく見ていきましょう。

2 奨学金の代理返還制度のメリット

1)【社員】所得税や住民税の負担を抑えられる可能性がある

初任給を増額したり、貸与奨学金の返還(返済)に充てる一定金額を社員の給与に上乗せ支給したりした場合、給与所得として課税対象となります。

一方、企業が代理返還する場合、企業が直接、日本学生支援機構に送金するので、社員の通常の給与と返還分は区分されます。奨学金の返還であることも明確です。このため、返還分に係る所得税は非課税となります(貸与奨学金の返還をしなければならないのが役員である場合など、一定の場合には所得税の課税対象となることがあります)。

国税庁「質疑応答事例(所得税)」によると、

「奨学金の返済に充てるための給付は、その奨学金が学資に充てられており、かつ、その給付される金品がその奨学金の返済に充てられる限りにおいては、通常の給与に代えて給付されるなど給与課税を潜脱する目的で給付されるものを除き、これを非課税の学資金と取り扱っても、課税の適正性、公平性を損なうものではないと考えられます」

との見解が示されています。

住民税は前年の所得に基づいて徴収されますが、初任給を増額したり、貸与奨学金の返還(返済)に充てる一定金額を社員の給与に上乗せ支給したりした場合と比べて、企業が代理返還する場合は住民税の負担を抑えられる可能性があります。

2)【社員/企業】健康保険料などの負担を抑えられる可能性がある

企業が代理返還する場合、その返還分は、原則として、標準報酬月額の算定の基となる報酬に含めません(ただし、給与規程などによって、給与に代えて奨学金返還を行う場合には、報酬に含みます)。

このため、標準報酬月額を基に計算する健康保険料、厚生年金保険料の負担を抑えられる可能性があります。なお、介護保険料については、貸与奨学金を返還し終わるであろう40歳以上の社員が対象のため、ここでは考慮していません。

3)【企業】法人税では給与として全額損金算入できる

企業が代理返還する場合、その返還分は、社員(使用人)の奨学金の返済に充てるための給付に当たるので、給与として全額損金算入できます。

4)【企業】支援の取り組みを採用活動でPRできる

奨学金の代理返還制度を導入することは、福利厚生の1つとして求職者(特に若手人材)へのPR材料となります。

また、奨学金の代理返還制度を導入している(導入予定も含む)企業は、掲載依頼をすれば、日本学生支援機構のウェブサイトにある「各企業の返還支援制度」に社名や支援内容を掲載してもらえます。日本学生支援機構から、大学や学生などに対して就職後に支援が受けられる企業として紹介してもらうことも可能です。

3 奨学金の代理返還制度を導入するには?

1)社内制度を整える

奨学金の代理返還制度は、学生時代に日本学生支援機構の貸与奨学金を利用し、その返済をしている社員を優遇するものです。そのため、対象者と対象でない社員との公平性に留意した上で、社内規程を作成することが求められます。検討すべきポイントは次の通りです。

  • 対象者:雇用形態、勤続年数、選考を行うなど
  • 支援金額:返還額の一部または全額、上限金額を設けるなど
  • 施行期日:いつから施行するか

2)対象者を決める

奨学金の代理返還制度の対象者については慎重に検討しましょう。対象者が、返還が終わったらすぐに退職してしまう場合もあり得ます。そうすると、企業側は、いわば「借金を肩代わりしただけ」になってしまいます。

しかし、「一定期間自社に勤務しなければ、自社が代理返還した金額を返さなければならない」といった契約を結ぶことはできません。労働基準法では、労働契約の不履行について違約金を定め、また損害賠償額を予定する契約を禁止しているからです。

職場や仕事内容への不満などが理由で退職に至らないよう、企業としての魅力を高めつつ、対象者を上手にフォローしていくことも大切です。

3)日本学生支援機構に返還支援申請をして、「スカラKI」に登録する

企業から日本学生支援機構への送金は、日本学生支援機構が提供する、企業の返還支援(代理返還)システム「スカラKI(ケーアイ)」を利用して行います。

詳細は、日本学生支援機構のウェブサイトをご確認ください。

■日本学生支援機構「企業の奨学金返還支援(代理返還)制度」■
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/kigyoshien/

4 日本学生支援機構の貸与奨学金の利用実態

1)学生の4人に1人が日本学生支援機構の貸与奨学金を利用

令和6年度には、日本の高等教育機関(大学・短大、大学院、高等専門学校、専修学校専門課程)で学ぶ学生(約358万人)のうち、約115万人(約32.2%)が、日本学生支援機構の奨学金を利用しています。給付を受けている学生は約10人に1人(10.5%)、貸与を受けている学生は約4人に1人(26.4%)となっています(日本学生支援機構「奨学金事業に関するデータ集(令和8年1月)」)。

2)第二種奨学金の貸与を受けた大学(学部)生は、平均で336万円を17年かけて返還

日本学生支援機構の貸与奨学金は、利子のつかない第一種奨学金と、利子のつく第二種奨学金があります(両方の貸与を受けることも可能)。2025年3月に貸与を終了した奨学金を見ると、大学(学部)在学中に貸与を受けた学生1人当たりの奨学金の平均貸与総額と平均返還年数は、次の通りです(日本学生支援機構「奨学金事業に関するデータ集(令和8年1月)」)。

  • 第一種奨学金:平均貸与総額208万円(平均返還年数14年)
  • 第二種奨学金:平均貸与総額336万円(平均返還年数17年)

3)第二種奨学金の貸与利率は、貸与が終了した月に決まる

第二種奨学金は、貸与を申し込む際、利率固定方式(貸与終了時に決まった利率が返還完了まで適用)と、利率見直し方式(返還期間中、おおむね5年ごとに見直された利率が適用)のどちらにするかを決める必要があります(貸与終了までの所定の期限内に手続きをすれば利率の算定方法の変更は可能)。一方、実際の貸与利率(年利)は、卒業などで貸与が終了した月の市場金利に基づいて決まります(基本月額に係る利率は年利3%が上限)。

金融政策の見直しなどの影響もあって、貸与利率は急上昇しており、2026年3月に貸与が終了した人の場合、基本月額にかかる利率固定方式の貸与利率は2.423%となっています。奨学金の代理返還制度が始まった翌春2022年3月に貸与が終了した人の場合、基本月額にかかる利率固定方式の貸与利率は0.369%だったので、卒業年次が4年違うだけで貸与利率に6倍以上の差が生じています。同じ金額の貸与を受けたとしても、返済総額は2026年3月に貸与が終了した人の方が、2022年3月に貸与が終了した人よりも大きくなる計算になります。

4)延滞問題

貸与奨学金の返済が滞り、延滞3カ月になると、延滞情報が個人信用情報機関のいわゆる「ブラックリスト」に登録されます。そうすると、一定期間、クレジットカード利用が制限されたり、住宅ローンを組めなくなったりします。

延滞4カ月になると、債権回収業者による回収が行われます。さらに延滞9カ月になると、多くの場合、支払督促という裁判所を利用した手続きに移行します。一括返済するように督促され、支払いができないとき、自己破産に至るケースがあります。親が連帯保証人や保証人となっていた場合、自己破産をすると親に一括請求がなされることになり、破産が連鎖する恐れもあります。

以上(2026年5月更新)

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自社は優遇措置を受けられる 「中小企業」に該当するのか?

1 法律によって「中小企業」の定義が違うって本当?

税制優遇や補助金、助成金を受けるための要件の1つに、

「中小企業」であること

と示されていることがあります。

一般的に、会社の規模を決める要素には、資本金、従業員数、業種などがありますが、「中小企業」として扱われる基準は法律によって違うことをご存じでしょうか。自社が、ある法律では中小企業としての要件を満たしていても、別の法律では要件を満たさずに、税制優遇や補助金、助成金を受けられないことがあります。

そこで、この記事では、税制優遇や補助金申請において押さえておきたい、下記の5つの法律で示されている中小企業の定義を整理します

  • 中小企業基本法
  • 産業競争力強化法
  • 法人税法
  • 租税特別措置法
  • 会社法

自社がどの法律なら「中小企業」に該当するのか確認してみましょう。

なお、一言で中小企業といっても、法律ごとに「会社」「法人」「企業」のように用語が異なるため、この記事でもそれぞれの法律に合わせて表記をします。

2 法律ごとの中小企業の定義を確認しよう

1)まずは全体像を把握しよう

まずは、中小企業基本法、産業競争力強化法、法人税法、租税特別措置法、会社法で示されている中小企業の定義の全体像を把握してみましょう。資本金、従業員数、業種等によって中小企業の要件が異なることが分かります。

法律ごとに異なる中小企業のイメージ

2)中小企業基本法

中小企業基本法では、業種によって中小企業の定義が違います。まず、中小企業の要件を満たすかどうかの基準は次の2点です。

  • 資本金の額または出資の総額
  • 常時使用する従業員の数

次に、下記の図表で「資本金の額または出資の総額」「常時使用する従業員の数」のいずれかを満たしていれば、中小企業基本法における中小企業に該当するといえます。

中小企業基本法における中小企業の定義

常時使用する従業員とは、労働基準法第20条の規定に基づく「予め解雇の予告を必要とする者」を従業員と定義しています。そのため、解雇の予告が必要ない日雇い労働者や、4カ月以内の季節的業務の有期雇用者などは常時使用する従業員には含まれません。

なお、同じ企業が「製造業」と「サービス業」のように、業種が異なる事業を複数手掛けている場合は、「主たる事業」が属する業種を基に判断します。主たる事業とは、直近1事業年度の決算書において、売上高などが最も大きい事業を指します。

3)産業競争力強化法

産業競争力強化法では、前述した中小企業基本法と同様の範囲(図表2参照)に含まれる企業を中小企業者として定義しています。

一方で、従業員数が2000人以下で、中小企業基本法に中小企業に該当しない企業は「中堅企業者」と定義しています。例えば、製造業の場合は常時雇用する従業員数が300人以上、2000人以下かつ、資本金が3億円超の企業が中堅企業者と定義されます。

また、中堅企業の中でも、次の要件を満たす企業は特に成長意欲が高い企業として、「特定中堅企業者」と定義しています。

  • 賃金(常時使用する従業員1人当たり給与等支給額)が業種別平均以上
  • 常時使用する従業員数の年平均成長率(3事業年度前比)が業種別平均以上
  • 直近3事業年度のうち、いずれかの事業年度が、中堅企業者の業種別平均以上の売上高成長投資比率であること

4)法人税法

法人税法では、中小企業に該当する法人を中小法人等と規定しています。中小法人等に該当するためには、次のいずれかの要件を満たす必要があります。

  • 普通法人のうち、資本金の額もしくは出資金の額が1億円以下であること
  • 資本または出資を有しないもの
  • 公益法人等または協同組合等
  • 人格のない社団

ただし、次の要件に該当する法人を除きます。

  • 資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人等による完全支配関係(簡単に言うと、100%の支配)があること
  • 複数の大法人(資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人等)に発行済株式の全部を直接、もしくは間接的に保有されていること

5)租税特別措置法

租税特別措置法では、中小企業に該当する法人を中小企業者と規定しています。中小企業者に該当するためには、原則、次のいずれかの要件を満たす必要があります。ただし、税制によっては、個別の企業要件(従業員数など)があるため、優遇税制の適用を検討する際には税理士などの専門家に確認するようにしましょう。

  • 資本金の額もしくは出資金の額が1億円以下であること
  • 資本または出資を有しない法人(公益財団等)については、常時使用する従業員数が1000人以下であること

ただし、次の要件に該当する法人等を除きます。

  • 発行済株式の総数または出資の総額の2分の1以上を同一の大規模法人に所有されていること(発行済株式は、自社の株式または出資を除いた分が対象)
  • 発行済株式の総数または出資の総額の3分の2以上を複数の大規模法人に所有されていること(発行済株式は、自社の株式または出資を除いた分が対象)

また、「適用除外事業者(前3事業年度の平均所得金額が15億円超の中小企業者)」に該当する場合も、優遇措置の対象から除かれます。

なお、大規模法人とは、中小企業者の要件に該当しない法人または大法人(資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人)による完全支配関係がある法人等をいいます。

6)会社法

会社法では、中小企業の定義がなく、大会社のみが規定されています。次のいずれかの要件を満たせば大会社に該当します。逆に言えば、次のいずれの要件も満たさない場合は、便宜上、中小企業(大会社以外の会社)といえます。

  • 最終事業年度に係る貸借対照表に資本金として計上した額が5億円以上
  • 最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上

また、会社法における大会社は、決算公告や内部の組織について規定があります。会社法における大会社と非大会社(中小企業)の分類は次の通りです。

会社法における大会社と非大会社の分類

大会社では、取締役会の内部統制義務(注)がある、会計監査人を置かなければならない、決算公告は、貸借対照表と損益計算書の開示が必要といった規定があります。

これに対して、非大会社では、監査役会と会計監査人の設置は任意、決算公告は貸借対照表のみとしていますが、自社が発行する株式の一部または全部を自由に譲渡可能な公開会社(定款で株式の譲渡制限を設けていない会社をいいます)の場合は、3人以上で構成する取締役会を設置する必要があります。

(注)株主から経営を委ねられた取締役会が主体となり、取締役の業務が会社法や自社の定款にのっとり、適切に行われているかどうかチェックするための体制をいいます。大会社かつ取締役会設置会社の要件に該当する場合に内部統制義務があります。

以上(2026年5月更新)
(監修 税理士 谷澤佳彦)

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画像:ChatGPT

120種類の福利厚生! 基本メニューから変わり種まで

1 コストをかけず、充実した福利厚生を実施するには?

福利厚生とは、社員の生活や職場環境を良くするための報酬やサービス全般を指す言葉で、

  • 法定福利厚生:法律で実施が義務付けられている福利厚生(社会・労働保険)
  • 法定外福利厚生:会社が独自に実施する福利厚生(各種手当や社内設備など)

に分けられます。法定福利厚生を法令違反のないように実施しつつ、法定外福利厚生の内容を工夫して、人材の採用・定着や、会社のイメージ向上などにつなげていくのが基本です。

とはいえ、法定外福利厚生は種類も多いので、他社と差別化しようにも「どのような福利厚生があるのか分からない」という経営者は少なくないはずです。また、リソースの限られる中小企業の場合、ある程度コストを抑えて福利厚生を実施したいというニーズもあるでしょう。

そこで、この記事では実際に行われている福利厚生で、中小企業向けのものを、一般的なものからユニークなものまで次のようにカテゴリー分けし、約120種類集めました。気になる章からご確認ください。

  • 第2章:「家計」系(住宅手当など、27種類)
  • 第3章:「健康」系(人間ドックの費用補助など、19種類)
  • 第4章:「育児・介護」系(休業・休暇期間の延⾧など、16種類)
  • 第5章:「成⾧支援」系(貸出図書など、16種類)
  • 第6章:「コミュニケーション」系(誕生祝いなど、12種類)
  • 第7章:「レジャー」系(推し休暇など、14種類)
  • 第8章:「その他」(社員食堂など、10種類)

2 「家計」系(住宅手当など、27種類)

通常の給与に手当をプラスしたり、給与の前払いを認めて支給ルールを柔軟にしたりするなどして、社員の家計をサポートします。

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1)住宅手当

家賃や住宅ローンの負担を軽減するために支給します。

2)家族手当

扶養家族がいる社員の生活費を補助するために支給します。

3)単身赴任手当

社員が家族と別居し、赴任先で一人暮らしをする場合、生活費を補助するために支給します。引っ越しなどの初期費用については、別途「転勤支度金」などを支給するケースもあります。

4)子女教育手当

社員に子どもがいる場合、その教育費を補助するために金銭を支給します。

5)ペット手当

社員がペットを飼う場合、飼育費を補助するために支給します。例えば、ある会社は、社会貢献の一環で猫の保護に力を入れている関係で、猫を飼っている社員に手当を支給しています。

6)食事手当

食費の負担を軽減するために支給します。

7)地域手当

社員が物価の高い地域で勤務する場合、他地域との物価格差を補うために支給します。似たようなケースとして、寒冷地で勤務する場合に、他地域との暖房費の差を補うために「寒冷地手当」などを支給するケースもあります。

8)インフレ手当

物価高が続く間、社員の生活費を補助するために支給します。

9)慶弔見舞金

社員やその家族に祝事や不幸があった際、金銭を支給します。結婚や出産の場合は「祝金」、病気やけがの場合は「見舞金」、死亡の場合は「弔慰金」といった名称になります。

10)退職金制度

退職金制度も、退職後の家計を支えるという意味では、重要な福利厚生です。退職時に一括で受け取る「退職一時金」と年金形式で受け取る「企業年金」とに大別されます。

11)選択制DC

企業年金の代表格は、会社が毎月決まった掛金を拠出する「企業型DC(企業型確定拠出年金)」です。この企業型DCの中に、給与の一部を引き続き手当などとして受け取っていくか、企業型DCの掛金にするかを社員が選択できる「選択制DC」という制度があります。

12)iDeCo+(イデコプラス)

iDeCo(イデコ)は、社員が自分で掛金を拠出して運用する個人型の確定拠出年金です。このiDeCoの中に、一定額の範囲内で、社員の掛金に追加して、会社が掛金を拠出できる「iDeCo+」という制度があります。

13)財形貯蓄

毎月一定の額を給与天引きなどで積み立て、社員が目的に応じて、積み立てたお金を任意のタイミングで払い出します。

14)職場つみたてNISA(ニーサ)

NISAは、「NISA口座」と呼ばれる口座を使って個人が株式投資などを行った際、一定の範囲内で得た利益が非課税になる制度です。このNISAの中に、会社が社員のNISA口座の開設や株式などの購入手続きを支援する「職場つみたてNISA」という制度があります。

15)奨学金の代理返還

社員が学生時代に借りた貸与奨学金を、会社が社員に代わり返済します。

16)給与の前払い

社員から請求があった場合、本来の支給日を待たず、すでに働いた分の給与を支払います。

17)社宅・寮の貸与

会社が法人名義で賃貸物件を借り上げ、社員に貸与します。家賃が安くなることが多いです。

18)団体保険

会社が保険の契約者となり、社員は傷病、死亡などの際に保障を受けられます。

19)家計のコンサルティングサービス

ファイナンシャルプランナーなどの専門家に依頼し、社員のお金に関する相談に対応してもらいます。

20)日用品購入などの福利厚生サービス

低価格で日用品を購入したり、レンタカーを借りたりできるサービスなどを導入します。

21)はぐくみ企業年金(選択制確定給付年金)

退職金制度を持たない企業でも導入しやすい積立型年金です。

22)持株会奨励金

自社やグループ企業の株式を購入する際、会社が奨励金を上乗せします。

23)企業型DCマッチング拠出

企業型DCで、会社が拠出する掛金に、従業員が自分の給与から上乗せして拠出できる仕組みです。

24)近隣居住手当

拠点がある地域に住むことを条件に手当を支給します。

25)入社時スキルアップ費用付与

リファラル採用等で入社した際、個人のスキルアップや身の回り品の準備金を付与します。

26)給食費補助

小学生の子を持つ従業員に対し、給食費実費を補助します。

27)入学祝金

子どもが小学校・中学校に入学する際、祝金を支給します。

3 「健康」系(人間ドックの費用補助など、19種類)

社員に健康に働いてもらうため、人間ドックで病気を早期発見できるようにしたり、健康促進のための取り組み(自転車通勤など)を推奨するための手当を支給したりします。

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1)人間ドックの費用補助

人間ドックを実施し、その受診費用を補助します。人間ドックは、法定の定期健康診断などよりも検査項目が多く、自覚症状のない病気なども早期発見できる可能性があります。

2)予防接種の費用補助

社員がインフルエンザなどの予防接種を受ける場合、その費用を会社が補助します。

3)自転車通勤手当

健康促進のため、自転車で通勤する社員に対し、毎月定額で手当を支給します。

4)花粉症手当

花粉症の時期に、病院の診察や薬剤の費用を補助するため、手当を支給します。手当の支給と併せて、ティッシュ、マスク、目薬などを現物支給するケースもあります。

5)残業削減インセンティブ

過重労働防止の観点から、残業を削減した社員に、達成度合いに応じて金銭を支給します。

6)早起き推奨制度

始業より一定時間以上前に出社した場合、金銭を支給します。満員電車を避けられ、通勤時のストレス軽減につながります。出社から始業までの時間は自由時間で、仕事以外の自己啓発などに充ててもらいます。

7)健康診断ボーナス

健康診断でA判定(健康状態:良好)が出た場合や、特定の数値が改善した場合などに、金銭を支給します。

8)スマホアプリを用いた健康イベント

健康促進につながる社内イベントを実施します。例えば、各社員のスマホに歩数計アプリをダウンロードしてもらって歩数を競い合い、成績の良かった社員には賞品を贈呈します。

9)病気休暇

けがや病気の療養のための特別休暇(年次有給休暇などの「法定休暇」とは別に取得できる、会社独自の休暇)を付与します。

10)二日酔い休暇

お酒を飲みすぎた場合、翌日の午前に体を休めるための特別休暇を付与します。

11)非喫煙者向けの特別休暇

一定期間、禁煙を成功させた社員や、もともと喫煙しない社員に特別休暇を付与します。

12)姿勢矯正クッション、スタンディングデスク

デスクワークが多い社員向けに、正しい姿勢で快適に仕事をしてもらうための姿勢矯正クッションや、座りすぎを防ぐためのスタンディングデスクを貸与します。

13)健康に良い食品の提供

栄養バランスの良い食事や野菜などを、オフィスや社員の自宅に配達してもらい、メタボリック改善などに活用します。フルーツを社内に常備している会社もあります。

14)昼寝スペース

会議室などを一定の時間帯、昼寝スペースとして開放します。

15)社内フィットネスジム

社内に腹筋台、フィットネスバイク、懸垂器などのトレーニング器具を設置します。

16)フィットネスジムの利用割引

会社がフィットネスジムの法人会員になり、社員に低料金で利用してもらいます。

17)運動指導

フィットネスジムから会社にスポーツインストラクターを派遣してもらい、社内でトレーニング指導を行ってもらいます。ヨガを実施しているところなどもあります。

18)健康相談サービス

医師・保健師・心理カウンセラーなどに依頼し、社員の健康(メンタルヘルスを含む)に関する相談に対応してもらいます。匿名で健康相談ができるチャットサービスを導入しているところもあります。

19)マッサージサービス

社内にマッサージ師を招いたり、店舗や施設と法人契約を結んで社員が通えるようにしたりして、マッサージを受けられる機会を提供します。

4 「育児・介護」系(休業・休暇期間の延⾧など、16種類)

社員が育児・介護に注力できるよう、休業・休暇制度を法律の内容よりも充実させたり、ベビーシッターなどの費用を補助したりします。休業中の社員のフォローに回る同僚を対象とした福利厚生もあります。

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1)休業・休暇期間の延⾧

育児休業・介護休業の期間や、子の看護休暇・介護休暇の日数を、育児・介護休業法で定められている期間・日数よりも延⾧します。

2)配偶者出産休暇

配偶者の出産に立ち会うための特別休暇を付与します。似たようなケースで、「孫の誕生に立ち会うための休暇」を導入している会社もあります。

3)学校行事休暇

子どもの学校行事に参加するための特別休暇を付与します。

4)不妊治療休暇

不妊治療を受けるための特別休暇を付与します。不妊治療であることを悟られたくない社員のため、配偶者出産休暇や学校行事休暇などと統合して、「ファミリーサポート休暇」といった名称にすることもあります。

5)時間単位年休

社員が子どもの送迎や親の通院付き添いに柔軟に対応できるよう、1時間単位で年休(年次有給休暇)を取得できるようにします。

6)時短勤務(ペット・同居人含む)

育児・介護の他、ペットや同居人の通院支援等のために一定の時短勤務ができる制度を導入します。

7)子連れ出勤

産後、保育園が決まるまでの間など期間を決めて、子どもをオフィスに連れて出勤することを認めます。

8)不妊治療の費用補助

社員が不妊治療を受ける場合、その治療費を補助します。治療前にまとまった金額を貸し付けるケースもあります。

9)ベビーシッターの費用補助

社員がベビーシッターを使いながら働く場合、そのベビーシッター代を補助します。

10)業務代替手当

育児・介護で⾧期休業する社員のフォローに入る同僚がいる場合、その同僚に手当を支給します。休業のフォローで仕事が増える同僚の不満を和らげる意味合いがあります。

11)男性育休100%達成奨励金

男性の育休取得を促進するため、取得者とその部署に対しインセンティブを支給します。

12)授乳室

乳児を連れて出勤する社員がいる場合、その社員が使える授乳室を設置します。生理痛などの体調不良時の休憩スペースとしても利用できます。

13)企業主導型保育施設(他社と共同利用も可)

企業主導型保育施設とは、社員の子どものために、オフィス内や近隣地に設置する「認可外保育施設」のことです。自社だけで運営するのはハードルが高いですが、他社が設置した施設を「共同利用」させてもらえるケースもあります。

14)育児・介護研修

外部から講師を招いて研修を実施します。例えば、育児・介護に関する公的サービスやノウハウ(ミルクの作り方、おむつの替え方など)を学ぶことができます。

15)家事代行サービス

「仕事+育児・介護」で時間が捻出しにくい社員のために、買い物、掃除、食事などの家事代行サービスを利用してもらいます。

16)育児・介護相談サービス

保健師・看護師・ケアマネジャーなどに依頼し、社員の育児・介護に関する相談に対応してもらいます。

5 「成⾧支援」系(貸出図書など、16種類)

社員が自主的に勉強できるよう、書籍を貸し出したり、特定の資格を取得した際に金銭を支給したりします。「おしゃれ」などの自分磨きに焦点を当てた福利厚生もあります。

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1)貸出図書

書籍や新聞を共有スペースなどに配置し、希望する社員に無料で貸し出します。

2)書籍代の補助

仕事につながる書籍を購入する場合、購入費用を補助します。

3)受講費用の補助

社員が有料のセミナーに参加したり、仕事につながる資格を取得するため学校に通ったりする場合などに、受講費用を補助します。

4)資格報奨金

仕事につながる資格などを取得した場合、金銭を支給します。

5)アート鑑賞などの費用補助

アートに触れて感性を磨くという観点から、美術館の入館費用などを補助します。

6)おしゃれの費用補助

仕事上の身だしなみを整える目的で衣類やカバンを購入する場合、その費用を補助します。

7)勉強休暇

自己啓発のための特別休暇を付与します。

8)会議室などの貸し出し

就業時間外に自己啓発に取り組む場合、会議室などの使用を認めます。

9)社内勉強会

定期的に社員同士の勉強会を開催します。業務に関する内容だけにとどまらず、社員が自主的に勉強していることなどもテーマとして扱います。

10)言語学習プログラム(メルカリなど)

グローバル化に対応するため、社内で多言語学習を支援します。

11)スタンプ制度

社内勉強会などに参加した場合、1回参加につき1つスタンプを押し、一定数たまると交換できる景品を提供します。

12)パラレルワーク

社員の知見を広めるため、パラレルワーク(副業)を推奨します。

13)社内副業

通常の業務をこなしつつ、社内の別部署の業務に従事することを認めます。

14)eラーニング

仕事に必要な知識を動画などで学べる e ラーニングサービスを導入します。

15)コーチング

コーチングサービス会社などに依頼し、社員のキャリア形成やスキルアップに関する相談に対応してもらいます。

16)社内起業支援

社員が提案した新規事業を子会社化し、経営権やストックオプションを付与します。

6 「コミュニケーション」系(誕生祝いなど、12種類)

誕生日や勤続◯年など節目を迎えた社員を祝ったり、他部署メンバー同士の交流を深めたり、社員同士のコミュニケーションを活性化させます。

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1)誕生祝い

誕生日を迎えた社員を祝います。例えば、ある会社は、誕生日の社員に対し、他の社員が一輪ずつ花をプレゼントするという取り組みを行っています。

2)入社祝い

新たに入社した社員を祝います。例えば、ある会社は一定の金額の範囲内で、社員が自分の好きなデスク周りの備品を買える制度を設けています。

3)勤続◯年表彰

勤続が一定年数に達した社員を祝います。例えば、ある会社は勤続7年を迎えた社員に、特別休暇と旅行代金をプレゼントしています。

4)ランチの費用補助

社内であまり関わらない「他部署メンバー」「役員と社員」や、より関係を深めてほしい「上司と部下」などがランチに行く場合、その費用を補助します。

5)飲み会の費用補助

特定のプロジェクトが完了した際などに、そのメンバーに対しての打ち上げ代を補助します。

6)部活動の費用補助

部活動での社員同士の交流を活性化させるため、活動費を補助します。

7)コーヒーブレイク

特定の時刻になったら、全社員が業務を一時中断し、コーヒーを飲みつつ歓談します。

8)フリーアルコール

就業時間後に、社内の冷蔵庫にあるお酒を自由に飲めるようにします。

9)同僚へのメッセージカード

「仕事を手伝ってくれてありがとう」など、同僚に対するちょっとした感謝のメッセージを、カードなどにしたためて贈ります。似たようなケースで、全社員が、毎月ランダムに別の社員1人の⾧所だけを評価し、評価の内容を書面で本人に伝える会社もあります。

10)季節イベント

希望者を集めて、花火大会やハロウィン、社員旅行などのイベントを企画します。

11)ファミリーデー

社員が子どもを連れて参加できる、食事会や運動会などのイベントを開催します。「子どもの世話があるから……」と、普段社内イベントに来られない社員も、参加しやすくなります。

12)楽器演奏・自作アートの展示など

社内にて、楽器演奏や自作アートの展示などを行えるようにし、社員が趣味の発表をできる場を設けます。

7 「レジャー」系(推し休暇など、14種類)

プライベートを充実させ、メリハリを付けて仕事に励んでもらえるよう、社員の「推し活」のための特別休暇を付与したり、その費用を補助したりします。

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1)推し休暇

社員が「推し」のアーティストなどのライブやイベントに参加するための特別休暇を付与します。推しが結婚した、グループを脱退したことによる「ロス(喪失感)」を癒やすための「推しロス休暇」というものもあります。

2)ボランティア休暇

社員が社会・地域貢献活動に参加するための特別休暇を付与します。

3)スポーツ観戦休暇

サッカーのワールドカップなど、世界的なスポーツの大会が行われる際、日本代表戦のときだけ特別休暇を付与します。

4)結婚休暇

社員が結婚した際、新婚旅行などのための特別休暇を付与します。

5)誕生日休暇

社員の誕生日(または誕生月)に特別休暇を付与します。社員の家族や恋人、ペットの誕生日に特別休暇を付与する会社もあります。

6)夏季休暇

7~9月にかけて取得できる特別休暇を付与します。

7)リフレッシュ休暇

一定の勤続年数に応じた特別休暇を付与します。

8)山ごもり休暇

まとまった日数の特別休暇を付与しつつ、休暇中は電話連絡やメールでのコンタクトを禁止することで、仕事から完全に社員を解放します。

9)年次有給休暇の積み立て制度

使われずに時効により消滅する年次有給休暇を積み立てておき、社員が任意のタイミングで取得できるようにします。

10)推し活の費用補助

アーティストなどのライブやイベントなど「推しの特別な日」に限り、推し活の費用を補助します。

11)帰省の費用補助

社員が休暇を取って実家に帰省する際、その旅費を補助します。

12)婚活の費用補助

社員が会社指定のアプリを使って婚活を行う場合、その利用費を補助します。

13)施設の利用割引

旅行会社との法人契約により、社員が低料金で飲食店や宿泊施設を利用できるようにします。

14)サブスクリプションサービス

福利厚生サービス会社との法人契約により、社員が低料金で「Netflix」などのサブスクリプションサービスを利用できるようにします。

8 「その他」(社員食堂など、10種類)

ここまで紹介したものの他にも、さまざまな福利厚生があります。

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1)社員食堂

社員が低価格で利用できる食堂を運営します。自社だけで運営するのはハードルが高いですが、複数の会社が1つの食堂を「共同運営」するケースもあります。

2)まかない制度

会社のキッチンや食材を使って、社員が自由に昼食を作れるようにします。

3)フリードリンク・スナック

会社に飲み物やお菓子を常備しておき、社員が好きなときに飲食できるようにします。

4)サテライトオフィス

通常のオフィス(本社など)とは別のオフィスを設けます。ワーケーションの一環で、古民家などをサテライトオフィスにしている会社もあります。

5)駐車場

マイカー通勤を希望する社員のために、駐車場を貸与します。オフィスに駐車場がない場合、月極駐車場を法人契約することもあります。

6)通勤バス

最寄り駅からオフィスまでの距離が遠い場合などに、社員用の通勤バスを手配します。

7)フルフレックスタイム制

フレックスタイム制でコアタイム(必ず勤務しなければならない時間帯)を設けず、始業・就業時刻を完全に自由にします。

8)特別休暇の買い取り

社員が特別休暇を使わない場合、本人からの請求に応じて、その休暇を買い取ります。なお、特別休暇の買い取りは基本的に会社が自由にルールを決められますが、法定の年次有給休暇の場合、買い取りの仕方によっては違法と判断されるケースもあるので注意が必要です。

9)法律相談サービス

弁護士法人との法人契約により、社員がプライベートの法律相談をできるようにします。

10)ペット同伴出勤制度

飼っているペットを連れての出勤を許可します。

以上(2026年5月更新)

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画像:日本情報マート

【賃金データ集】法定・法定外福利費のモデル支給額

【賃金データ集】シリーズとは?

【賃金データ集】シリーズは、基本給や諸手当など賃金の主要な構成要素ごとの近年のトレンドを、モデル支給額を中心とした関連データとともに紹介します。経営者や実務家の方々が賃金支給水準の決定や改定を行う際の参考としてご活用ください。なお、モデル支給額などのデータを紹介する際は、基本的に出所に記載されている用語を使用するものとします。また、データは公表後に修正されることがあります。

この記事で取り上げるのは「法定・法定外福利費」です。

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なお、以降で紹介する図表データのExcelファイルは、全てこちらからダウンロードできます。

こちらからダウンロード

1 法定福利厚生と法定外福利厚生の概要

福利厚生とは、企業が従業員やその家族の福祉の向上を目的に行う諸制度の総称で、法定福利厚生と法定外福利厚生に大別されます。福利厚生を実施するために掛かる費用を法定福利(厚生)費、法定外福利(厚生)費と呼びます。いずれも総額人件費には含まれるものの、労働の対償ではないことから賃金にはならないのが原則です。

1)法定福利厚生の概要

法定福利厚生とは、法令で定められた福利厚生です。社会・労働保険(厚生年金保険、健康保険、労災保険、雇用保険、介護保険)や災害補償(労働基準法に基づく)などがあり、法令に基づいて運用しなければなりません。

2)法定外福利厚生の概要

法定外福利厚生とは、企業が独自に取り組む福利厚生です。前述した法定福利厚生とは違い、法定外福利厚生は企業が自由に設計することができます。

一般的な法定外福利厚生のメニューには次のようなものがあります。

  • 育児・介護:育児・介護相談、託児施設、育児・介護用品、ベビーシッターなど
  • 健康:人間ドック、メンタルヘルス、電話健康相談など
  • 自己啓発:資格取得、語学学校、通信教育、カルチャースクール、セミナーなど
  • 住宅:社宅貸与、引っ越し、リフォーム、ホームセキュリティーなど
  • スポーツ:スポーツクラブ、ゴルフ場、テニスコート、ダイビング、ボウリングなど
  • リラクセーション:クアハウス、健康ランド、エステティックサロン、マッサージなど
  • 旅行・レジャー:宿泊施設、飛行機などの割引、レンタカー、カーシェアリングなど
  • ファイナンス:財形貯蓄、社内預金、企業年金(確定拠出年金など)、投資教育など
  • 日常生活:家事代行、冠婚葬祭、ショッピング、レストラン、ペット、害虫駆除など
  • その他:社内スポーツ大会、特別休暇、社員食堂など

2 法定外福利厚生の潮流

1)法定外福利厚生の必要性

企業が法定外福利厚生を導入する狙いは、従業員満足度と定着率の向上にあります。その効果を図るための基準は、「どれだけ従業員に利用されたか(喜ばれたのか)?」「実際に従業員の定着率は高まったか?」などとなります。

しかし、法定外福利厚生の充実度合いと従業員満足度の関係は明確ではなく、「手間とお金を掛けている割に、手応えがつかめない……」という企業が少なくありません。このような事情から、法定外福利厚生は景気動向や企業業績に左右されやすい項目です。例えば、景気低迷時には削減されやすく、景気好調時には増加されやすくなります。

一方、昨今ではプライベートと仕事の両立や従業員の健康増進に積極的に取り組もうと、法定外福利厚生に力を入れる企業も少なくありません。例えば、介護・育児と仕事の両立を希望する従業員をサポートするために家事代行のメニューを提供したり、従業員に健康を気遣ってもらうため誕生日に生野菜をプレゼントしたりしている企業があります。

2)注目される福利厚生のアウトソーシング

法定外福利厚生の永遠の課題は、全ての従業員が満足するメニューを設計できないことです。従業員の家族構成、趣味・嗜好などによって望まれる法定外福利厚生のメニューは異なるからです。こうした事情から、少ない費用で充実した福利厚生のメニューを実現するために、福利厚生をアウトソーシングする企業が少なくありません。

福利厚生のアウトソーシングでは、企業から福利厚生の運用を受託するアウトソーサーが、企業から従業員規模に応じた入会金と会費を受け取り、企業の福利厚生の運用を受託します。

提供するサービスはアウトソーサーによって異なりますが、医療、育児、介護関連サービス(人間ドック、福祉・介護サービスなどを割安で提供)、旅行関連サービス(旅行ツアー、宿泊施設や交通機関などの手配など)、キャリアアップ関連のサービス(英会話、資格取得講座などを割安で提供)などがあります。多様な福利厚生メニューの中から、好みのメニューだけを従業員が選んで利用する選択型の福利厚生制度「カフェテリアプラン」もあります。

3 日本経済団体連合会の統計資料によるモデル支給額など

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4 厚生労働省の統計資料によるモデル支給額

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5 経済産業省の統計調査によるモデル支給額

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6 労働政策研究・研修機構の調査による福利厚生制度の実態

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7 情報インデックス(この記事で紹介したデータの出所)

この記事で紹介した統計資料は次の通りです。調査内容は個別のURLからご確認ください。なお、内容はここ数年の公表実績に基づくものであり、調査年(度)によって異なることがあります。

■福利厚生費調査結果報告■
https://www.keidanren.or.jp/policy/index09.html

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■就労条件総合調査■
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/11-23.html

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■企業活動基本調査■
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/kikatu/

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■企業における福利厚生施策の実態に関する調査■
https://www.jil.go.jp/institute/research/2020/203.html

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以上(2026年5月更新)

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画像:ChatGPT

【中堅社員のスピーチ例】休み明けを乗り越える「気持ちのリセット術」

【ポイント】

  • 連休明け特有の「エンジンがかかりにくい」感覚は、気持ちをリセットする機会になる
  • あえて完璧を目指さず、小さな仕事の完了を積み重ねると仕事のペースを戻せる
  • 作業のやり方ではなく、目的に立ち返ることで仕事への手応えが戻って来る

皆さん、おはようございます。大型連休が終わって少し経ちますが、皆さんの心と体の調子はいかがでしょうか。正直に申し上げますと、私は、今朝は布団から出るのに少しだけ気合が必要でした。若手社員の頃は「とにかく遅刻してはいけない」という緊張感だけで走ってこれましたが、仕事に慣れ、責任ある業務を任されるようになった今だからこそ、連休明け特有の「なんとなく体が重い」「エンジンがかかりにくい」という感覚がより強くなっている気がします。

ただ、私はこの感覚を決して悪いものだとは思っていません。むしろ、これまで全力で走り続けてきた分、一度立ち止まって「気持ちをリセットする絶好の機会」だと捉えています。今日は、私が実践している「気持ちのリセット術」を2つお伝えします。

1つ目は、あえて「完璧を目指さない」ことです。連休明けは、溜まったメールや保留にしていた案件が一気に押し寄せます。「連休前のペースに戻さなきゃ」と焦るほど、疲れてしまいます。そんな時、私はあえて「今日はこれとこれさえ終われば大丈夫」と、自分への合格点を70点くらいと決めてスタートするようにしています。全力疾走ではなく、まずはローギアで動き始める。そうして小さな「完了」を積み重ねていくうちに、自然と本来のスピードに戻っていくものです。

2つ目は、作業のやり方ではなく「なぜ、これをやっているのか」という目的に立ち返ることです。仕事に慣れると、ルーチンワークも増え、仕事が「こなすもの」になりがちです。そのため、「この資料の先にいるお客様は誰か?」「このプロジェクトで誰を笑顔にしたいのか?」を自分に問い直します。手段が目的になっている部分を削ぎ落とし、本当に大切なことに注力する。この「思考のリセット」を行うと、仕事への手応えが戻ってくるようになります。

私たちの仕事は、短距離走ではなくマラソンです。ずっと全力で走り続けることはできません。もし今、少し疲れを感じている後輩の皆さんがいたら、安心してください。それは皆さんが一生懸命走ってきた証拠です。そして私たち中堅以上の社員も、同じように試行錯誤しながら進んでいます。心に少しだけ「遊び」を持たせることを意識して、無理せず、でも着実に一歩ずつ進んでいきましょう。

以上(2026年5月作成)

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画像:Mariko Mitsuda

雇用関係助成金の最新動向を社労士が解説! 令和8年度 活用しやすい5つの助成金

令和8年度の雇用関係助成金の特徴は、一言でいえば、厚生労働省の「労働市場改革分科会」の方向性が色濃く反映されている点にあります。「労働市場改革分科会」は、日本成長戦略会議における労働市場改革の議論を具体化するため、同会議のもとに設けられたものです。今後の成長に向けて、どのような労働市場を目指すのか、その道筋がここで検討されています。

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「囲い込み」から「信頼形成」へ! 内定者トラブルを未然に防ぎ「選ばれる企業」になるためのポイント

内定者は、一部、労働者としての権利と義務を有しながら、企業の統制が及ばない立場に位置していることから、企業には、法的な権利義務の範囲に気を付けながら、適切に対応することが求められます。

この記事は、こちらからお読みいただけます。pdf

労働審判制度の普及と裁判件数の増加に伴う企業対応

平成18年に労働審判制度が開始して20年になります。労働審判の申立て件数は右肩上がりの傾向にあります。本レポートでは労働審判制度を振り返りながら、労働審判制度のポイントを押さえつつ、中小企業の対応法について解説していきます。

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