【営業最強フレーズ】今年最初のアポ取りを変えるひと言

当社のサービスが的外れでないか、現場の方のご意見を伺えませんか?

「つながれない時代」に、どう扉を開くか

今、営業担当者にとってはある意味厳しい時代です。アポ取りも、「担当者と直接話すこと」そのものも難しくなっているからです。代表電話はAIやコールセンターの担当者がガードし、企業のホームページから電話番号が消え、ようやくつながっても「不要」「忙しい」とすぐに断られる。担当者につないでもらうこと、話を聞いてもらうこと自体のハードルが高いと感じる営業担当者も多いでしょう。

これは、単に効率化が進んだからというだけではありません。情報が溢れ、誰もが多忙な現代において、相手の担当者も受付も、

「自分の貴重な時間を、自分(自社)に関係ない一方的な売り込みで浪費したくない」

という自己防衛、警戒の意識を持っています。特に年明けの慌ただしいこの時期、内容の不透明な電話や営業は、余計に避けたいと思っているでしょう。

「つながれない」時代では、一方的に提案や事例を伝えようとしてもなかなかアポイントは取れません。そこで、相手を「現場を知るプロ」として頼る、「相談」する冒頭のフレーズが力を発揮する可能性があります。

このフレーズをもう少し丁寧にしてみると下記のようになります。「この◯◯の件」については、相手のホームページやSNSを確認する、AIを活用して情報収集するなどして実際にしっかり調べることが必要です。

「御社の取り組みについてHPを拝見しまして、ぜひこの◯◯の件、お話しお伺いさせていただければと思っております。実は当社の新サービスが、現場の方にとって的外れなものになっていないか迷っている部分がありまして……。ぶしつけで恐縮ですが、御社のご担当者に、ぜひご意見だけ伺えませんでしょうか」

なぜ、この「相談」が門扉を開くのか

相手の取り組み(◯◯の件)を知っていることを伝えた上で、営業担当者としての「迷い」を正直に伝え、相手の知恵を借りようとする姿勢は、相手の警戒心を緩める可能性があります。具体的には次の3点などが期待できるでしょう。

1.「現場の感覚」への敬意

「自分たちだけでは分からないことがある」と認めることで、相手の経験や立場に対する真の敬意が伝わります。

2.「的外れではないか」という確認

完成品を売り込むのではなく、ズレを正したいという動機なので、相手は「それなら少しだけ答えてあげようか」という心理になりやすくなります。

3.サービスへの真摯な取り組み方

「本気で良いものを開発・提供したい」という営業担当者の真面目な熱意が伝わります。単に売りたいトークではなく、自社のサービスを磨き上げようとする真摯な姿勢が、相手の「プロとしての共感」を呼び起こすことも期待できます。ただし、こちら側が本気で良いものを開発・提供したいと考えていることが大事です。

相手の負担を減らす「最短の準備」も欠かせない

ただし、言葉だけで相手のガードを突破するのは至難です。そこで、相手に「読む負担」や「考える労力」をかけないために、以下のような工夫を組み合わせてみましょう。

1. 「仮説」を口頭で10秒〜15秒相談してみる

「ご相談したいので(あるいは、ご意見をお伺いしたいので)資料をお送りします」と言ってしまうと、相手に、資料を読ませる手間をかけてしまいます。「資料を読んだ後、次の機会に」ということでアポ取りのハードルも上がってしまうでしょう。

そこで、電話口で仮説を一つだけ短く提示します。時間としては10秒〜15秒くらい。「御社の〇〇という取り組みを拝見し、もしかすると現場では『△△という課題』があるのではないかと推察しました。この仮説、合っておりますでしょうか?」 これなら、相手はその場で「YES・NO」や「実はね」と答え始めることができます。その後は「もっと詳しくお聞きしたいので15分だけお目にかかれないでしょうか?」とアポ取りのきっかけも言いやすくなります。

2. 公開情報の「一行」「キーワード」を具体的に引用する

相手のホームページやSNSに書いてあった一行やキーワードを具体的に出します。例えば、「社長ブログのこの一言」や「ニュースリリースの最後のキーワード」などです。 「ニュースリリースの□□というキーワードを読み、僭越ながら、まさに同じことに課題感を持っておられるのではないかと感じました。そこで、ぜひ、御社のご意見を伺いたいのです」。こうすると「あなた(相手)でなければならない理由」が、強く相手に伝わります。

潔く引き下がることも、もちろん必要

もし、それでも担当者につないでもらえない、つないでもらえても「今は時間がない」と言われた場合は、こう返して引き下がりましょう。

「失礼いたしました。現場のリアルなご意見をお伺いしたくてお電話してしまいました。よろしければ、また改めてご相談させてください」

粘りすぎず、しかし「現場のリアルな声を大事にする」という姿勢を崩さない。この潔さと真摯さが、次回、「あの『うちの意見が聞きたい』と電話してきた人か」と思い出してもらうための伏線にもなり得ます。

これから新しい一年が始まります。これまでお伝えしてきたように、まずは「等身大の相談」から、最初のアポ取りに挑戦してみてはどうでしょうか。あなたの真摯な想いが、きっと素晴らしい出会いの扉を開くはずです。さあ、今年も、最高の一歩を踏み出しましょう!

以上(2026年1月作成)

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2026年から始まる! 変わる! 注目制度15選

目次

2026年も、多くの分野で新たな制度や規制の改正が予定されています。経営者にとって、法改正や制度変更は日々のビジネスに直結する重要な情報です。

この記事で、2026年に施行される主な制度改正を15項目取り上げ、それぞれの概要と中小企業に関連する要点を施行日順に紹介します。

1 下請法が改正され「取適法」に名称変更、禁止行為なども追加(2026年1月1日から)

下請代金支払遅延等防止法(下請法)が改正され、法律名が「中小受託取引適正化法(取適法)」に変更されます。大きな改正点は

  • 発注者がやってはいけない新たな「禁止行為」が追加される(「協議に応じない一方的な代金決定」「手形による代金支払い」が新たに禁止に)
  • 適用対象となる「取引の範囲」が拡大される(「特定運送委託」が追加。さらに、資本金が少ない会社でも「従業員数」に応じて取適法の適用を受けるようになる)

です。

「手形による取引を頻繁に行っている会社」などはいち早く決済手段を見直す必要がありますし、「新たに取適法の適用を受けるようになる会社」も、禁止行為などを改めて押さえておく必要があります。

公正取引委員会「中小受託取引適正化法(取適法)関係」
https://www.jftc.go.jp/partnership_package/toritekihou.html

取適法については、こちらのコンテンツもご確認ください。

2 新たな源泉徴収税額表が適用開始、給与計算に注意(2026年1月1日以後支払い分から)

2026年1月1日以後支払い分の給与から、新たな源泉徴収税額表が適用されます。令和7年度税制改正に伴い、社員の所得税に関して

  • 基礎控除額の引き上げ(一律48万円→合計所得金額に応じ58万~95万円)
  • 給与所得控除の最低保障額の引き上げ(55万円→65万円)
  • 特定親族特別控除の創設(特定親族の合計所得金額に応じ最大63万円を控除)

などが行われています(これらの改正については、2025年12月に行われた年末調整から適用)。

給与計算については新たな源泉徴収税額表に基づき源泉徴収が行われているか(給与計算ソフトなどがアップデートされているか)を確認する必要があります。また、社員から提出を受ける扶養控除等申告書については、源泉控除対象親族の記載が正しく行われているかを確認する必要があります。

国税庁「令和8年分 源泉徴収税額表」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2026/01.htm

3 職場の安全衛生対策が強化、ストレスチェックの対象も拡大(2026年1月1日から順次)

2026年1月1日から、労働安全衛生法等が段階的に施行されます。多様な人材が、安全に、安心して働き続けられるよう職場環境を整えるための改正です。内容は多岐にわたりますが、例えば次のような項目があります(カッコ内は施行日)。

  • フォークリフト等の特定自主検査・技能講習の不正防止対策の強化(2026年1月1日)
  • 混在作業場所において、個人事業者等(一人親方・フリーランス等)に対しても事故防止のために必要な指導や連絡調整等を行うことが義務化(2026年4月1日)
  • SDS(安全データシートの交付)について、化学物質の成分に営業秘密情報が含まれる場合、条件付きで代替化学名等の通知が可能に(2026年4月1日)
  • 高年齢労働者の労災防止を図るための措置が努力義務化(2026年4月1日)
  • 治療と仕事の両立支援に関する措置が努力義務化(2026年4月1日)
  • 常時50人未満の事業場でもストレスチェックが義務化(2025年5月14日から3年以内に政令で定める日から)

建設業や製造業では、適切な検査体制の整備や、外部講習機関の信頼性確保など、安全管理に関する社内チェックを一段と徹底する必要があるでしょう。ホワイトカラーの会社も(社員数50人未満の場合は)ストレスチェックの実務などを事前に確認しておきましょう。

厚生労働省「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/an-eihou/index_00001.html

4 自転車の交通違反にも「青切符」が適用(2026年4月1日から)

2026年4月1日から、自転車の交通違反についても、自動車の場合と同じく「青切符(交通反則通告制度)」が適用されるようになります。

青切符は、比較的軽微な交通違反の場合に交付されるもので、違反行為に応じた反則金を納付した場合、刑事罰が免除されるという制度

です。4月1日以降、「反則行為」という軽微な違反行為については、青切符での対応になります。一方、「非反則行為」という重大な違反行為(酒酔い運転など)については、これまで通り「赤切符(交通切符、刑事罰の対象)」での対応になります。

青切符の対象となる反則行為は

  • 信号無視(反則金:6000円、点滅信号を無視した場合は5000円)
  • 一時不停止(反則金:5000円)
  • 右側通行(反則金:6000円)
  • 携帯電話使用等(保持)(反則金:1万2000円)
  • 遮断踏切立入り(反則金:7000円)
  • 制動装置(ブレーキ)不良(反則金:5000円)

など113種類に及ぶため、特に社員が業務や通勤で自転車を使用する会社は、新制度に基づく交通ルールの徹底指導が必要です。

警察庁「自転車は車のなかま~自転車はルールを守って安全運転~」
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/info.html

自転車の交通ルールについては、こちらのコンテンツもご確認ください。

5 物流業界にメス、「白トラ」規制の強化(2026年4月1日から)

2026年4月1日から、物流業界で問題となっていた違法な「白トラ(白ナンバーのトラックでの有償運送)」の規制が大幅に強化されます。具体的には、次のような改正が行われます。

  • 荷主が無許可の白トラ業者に運送を依頼した場合、処罰の対象に(100万円以下の罰金)
  • 貨物自動車運送事業者・貨物利用運送事業者に対して、再委託回数を原則2回(2次下請け)までとすることが努力義務化
  • 貨物自動車運送事業者だけでなく、貨物利用運送事業者についても運送契約締結時の書面交付等が義務化

荷主となる会社は、自社の貨物輸送について、違法業者に運送を依頼していないか十分注意する必要があります。物流コスト優先で無許可業者に頼ることがないよう、調達先の見直しや契約管理の強化が求められます。

国土交通省「違法な『白トラ』への規制が令和8年4月1日から強化されます」
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000346.html

6 民法改正、離婚後の「共同親権」導入(2026年4月1日から)

2026年4月1日から、民法改正により、離婚後の子の養育に関する制度が大幅に見直されます。最大の変更点は、離婚後の親権について「共同親権」の選択肢が導入されることです。

従来は父母のどちらか一方が親権者となる単独親権のみでしたが、改正後は父母の話し合いによって共同親権とすることも可能

になります(ただし、DVや虐待の恐れなど、子の利益を害すると家庭裁判所が判断した場合は単独親権が選択されます)。また、経済面では

「法定養育費制度」が導入され、離婚時に養育費の取り決めがなくても、離婚後に子を扶養しない親に対し、暫定的に子一人につき月額2万円の養育費支払い義務が発生する

ようになる見通しです。

会社としても、社員が離婚したり、ひとり親になったりした際の社内制度(休暇や扶養手当等)の見直しなどが必要になるかもしれません。

法務省「民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について〔令和8年4月1日施行〕」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00357.html

7 子ども・子育て支援金制度がスタート、社会保険料と併せて給与天引きを(2026年4月1日施行)

2026年4月1日から、「子ども・子育て支援金制度」がスタートします。この制度は

社会全体で子どもと子育て世帯を支えるため、全ての医療保険加入者(企業の従業員等)と会社が毎月一定額の拠出を行い、その財源を子育て支援施策に充てる

というものです。会社が全額負担する「子ども・子育て拠出金」とはまた別の制度で、子ども・子育て支援金の場合、会社と社員(健康保険の被保険者)が折半で負担することになります。こども家庭庁の試算によると、保険者が協会けんぽの場合、被保険者1人当たり支援金額は、

  • 2026年度見込み額:月額450円
  • 2027年度見込み額:月額550円
  • 2028年度見込み額:月額700円

と段階的に引き上げられる予定です(会社も同額を拠出)。

会社としては、社会保険料と併せて支援金の徴収が始まるため、給与計算システムの対応や、社員への説明(給与明細への項目追加など)が必要になるでしょう。

こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について」
https://www.cfa.go.jp/policies/kodomokosodateshienkinseido

8 在職老齢年金の見直し、60歳以上の働き方に影響(2026年4月1日から)

2026年4月1日から、在職老齢年金の支給停止調整額が「51万円→62万円」に引き上げられる見通しです。在職老齢年金とは、

働きながら老齢年金をもらうと、年金額がカットされることがあるという制度

です。厚生年金保険に加入しながら老齢年金をもらう60歳以上の社員が対象で、賃金と年金の合計額が支給停止調整額を超えると、老齢年金の一部または全額が支給停止となります。

支給停止調整額が引き上げられると、高齢社員は年金額を減らされにくくなり、より多く働けるようになります。ただ、60歳以降も働く社員が増えることによる人件費の上昇なども想定されるので、会社への影響は事前に検討しておく必要があります。

なお、在職老齢年金の見直しは「年金制度改正法」の改正項目の1つで、この他にも

  • 私的年金の見直し(2026年12月1日から)
  • 標準報酬月額の上限引き上げ(2027年9月1日から段階的に)
  • 社会保険の適用拡大(2027年10月1日から段階的に)
  • 遺族年金制度の見直し(2028年4月1日から)

などの予定が控えています。

厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00017.html

年金制度改正法については、こちらのコンテンツもご確認ください。

9 防衛特別法人税がスタート、法人税の申告時に注意(2026年4月1日以後開始の事業年度から)

2026年4月1日以後開始の事業年度から、防衛特別法人税の課税が始まります。防衛特別法人税とは、

文字通り「日本の防衛力強化等のために必要な財源を確保するための税金」で、基準法人税額から500万円を差し引いた金額に対し、4%の税率で課税

されます。

基礎控除として常に年500万円が控除されるため、所得金額が約2400万円以下であれば防衛特別法人税は発生しませんが、税額が0円であっても申告は必要です。

国税庁「防衛特別法人税が創設されました」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0025004-109_1.pdf

10 民事裁判手続がデジタル化、訴状提出も裁判記録の閲覧もオンラインで可能に(2026年5月21日から)

2026年5月21日から、日本の民事裁判が本格的なIT化(デジタル化)を迎えます。これまでの民事裁判は、紙の書類を裁判所に持参(または郵送)したり、訴訟記録を閲覧するために裁判所に出向いたりする必要がありましたが、

  • 訴状、準備書面、証拠等をオンラインで提出する
  • 判決書等を裁判所からオンラインで受け取る
  • 裁判記録をオンラインで閲覧する(当事者の場合)

といったことができるようになります。

この改正により、仮に会社が民事裁判の当事者になった場合、手続きの負担が大幅に軽減されることになります。一方、デジタル化に対応するために、システムへの事前登録や電子ファイル形式での文書管理などの準備、社内の情報システム部門との連携(機密文書の電子提出時のセキュリティ確保など)、顧問弁護士との手続のすり合わせなどが必要になってくるでしょう。

最高裁判所「民事裁判手続のデジタル化」
https://www.courts.go.jp/saiban/minjidejitaruka/index.html

11 事業全体が担保に? 企業価値担保権が創設(2026年5月25日から)

2026年5月25日に「事業性融資の推進等に関する法律」(事業性融資推進法)が施行され、「企業価値担保権」が創設されます。企業価値担保権とは、

会社が金融機関から融資を受けるに当たって、有形資産(土地・工場等)だけでなく、ノウハウや顧客基盤等の無形資産を含む「事業全体」を担保にできる制度

です。会社は「借り手」として自社の総資産を担保目的財産とし、新設される「企業価値担保権信託会社」が「担保権者」となり、債務の弁済が滞った際は、裁判所への申立てにより、担保権の実行手続を開始します(事業は解体せず、事業譲渡などで対応)。金融機関は「貸し手」となり、債務が弁済されない場合、事業譲渡の対価から融資を回収します(金融機関が「担保権者兼貸し手」になることもある)。

この制度が創設されることで、有形資産に乏しい中小企業やスタートアップも、事業実態や将来性に着目した融資が受けやすくなります。一方、制度を利用するに当たっては、経営者が金融機関に対し、自社のビジネスの継続性や収益性、事業計画などをこれまで以上に丁寧に説明できるようになる必要があります(事業性評価への対応)。

金融庁「企業価値担保権(旧:事業成長担保権)について」
https://www.fsa.go.jp/policy/kigyoukachi-tanpo/index.html

12 防災気象情報のルールが改善、BCPなどの見直しを忘れずに(2026年5月下旬から(予定))

2026年5月下旬(予定)より、河川氾濫・大雨・土砂災害・高潮の防災気象情報について、

  • 警報・注意報の情報名に「レベル」(1~5の5段階。「5」が最も警戒レベルが高い)が追加される(例:レベル3大雨警報、レベル2高潮注意報など)
  • 河川の氾濫の危険度の伝え方が変わる(特別警報の新設など)
  • 「警戒レベル4相当」の情報は「危険情報」として発表される

ようになります。これにより、自治体が発令する避難指示等(警戒レベル4相当)や住民がとるべき行動(レベル5は既に災害発生)と、気象庁の出す警報・注意報が対応づけられ、非常に分かりやすくなります。

防災気象情報の名称・レベルが変わるため、BCP(事業継続計画)や社員向けの防災マニュアルの見直しが必要です。例えば、「警戒レベル4危険警報発表で在宅勤務推奨」など、新しい名称に合わせて社内ルールを更新しましょう。防災訓練などでも新情報を盛り込み、周知を図ることが望まれます。

気象庁「新たな防災気象情報について(令和8年~)」
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/keiho-update2026/

13 カスハラ・就活セクハラの防止措置が義務化(2026年10月1日から)

2026年10月1日から、カスハラ(カスタマーハラスメント)と就活セクハラについて、防止措置を講じることが義務付けられるようになります。

  • カスハラ:顧客等(顧客や取引先、見込み客なども含む)が社員に対し、悪質な嫌がらせ(暴行やひどい暴言、不当な要求など)をすること
  • 就活セクハラ:採用面接やインターンシップで、役員や社員が就活生に対し、性的な嫌がらせ(食事やデートへの執拗な誘い、不必要な身体への接触など)をすること

防止措置の詳細は今後厚生労働省の指針で定められる予定ですが、社内のハラスメント(パワハラ、セクハラ、マタハラなど)を防止するのと同じように

  • ハラスメントに対する会社の方針の明確化、周知・啓発
  • ハラスメントに関する相談体制の整備・周知
  • ハラスメント事案が発生した場合の迅速・適切な対応

などが求められます。また、カスハラについては、顧客等からクレームがあった場合の対応フローなどを確認しておくこと、就活セクハラについては、社内規程に「社外の人間に対するハラスメントは許されない」旨を明記して社員に徹底させることなどが大切です。

厚生労働省「令和7年の労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)等の一部改正について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/zaitaku/index_00003.html

カスハラや就活セクハラへの対応については、こちらのコンテンツもご確認ください。

14 酒税改正でビール業界の市場構造が変わる?(2026年10月1日から)

2026年10月1日、段階的に行われてきた酒税の見直しが、ついに最終段階を迎えます。今回の改正では、

ビール系飲料の税率が、1キロリットル当たり「15万5000円」(350ミリリットル換算で「54.25円」)に一本化

されます。現在、ビールの税率は350ミリリットル換算で63.35円、発泡酒や「第3のビール」(新ジャンル)はそれより低税率ですが、種類による税額格差が解消される形になります。また、

その他の発泡性酒類(チューハイ等)、低アルコール分の蒸留酒類及びリキュールに係る特例税率の税率も、1キロリットル当たり「10万円」(350ミリリットル換算で「35円」)に引き上げ

られます。現在の税率は、350ミリリットル換算で28円です。

飲食業や酒販業では、ビール系飲料については、発泡酒や第3のビールが相対的に値上がりし、低価格帯の優位性が消えるため、クラフトビールや地域発ブランドが再注目される可能性があります。チューハイ等については、税率引き上げによって「安く・気軽に」楽しめたカテゴリーの在り方が変わり、“客から選ばれる理由”を改めて模索する必要が出てくると考えられます。

財務省「酒税に関する資料」
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/d08.htm

15 インバウンド向け、免税店での販売はリファンド方式に変更(2026年11月1日から)

2026年11月1日から、訪日外国人(インバウンド)向けの消費税免税販売制度が「リファンド方式」へと変更されます。現行の制度では、免税店で商品を購入する際にパスポートを提示すればその場で消費税が免除(不課税販売)されますが、リファンド方式の場合、

インバウンドは購入時にいったん消費税を支払い、出国時(購入日から90日以内)に税関で確認を受けることで、税額分が出国後に返金される

ようになります。

基本的に国内販売と同様に税込価格で販売できるようになるので、販売時の手続きは簡素化されますが、一方、

出国したインバウンドへの返金は、免税店を経営する事業者が自ら行うか、承認送受信事業者などに委託するかのいずれかが必要になる

などの実務が別途発生します。そのため、新制度での手続きを事前に確認・対応しておく必要があります。

国税庁「輸出物品販売場制度のリファンド方式への見直し」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/menzei/201805/format/002.htm

以上(2025年12月作成)

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画像:Mariko Mitsuda

2026年、労基法が大改正? 話題の「つながらない権利」も論点に

1 2026年の法改正で働き方はどう変わるのか?

現在、政府内では、2026年に労働基準法(以下「労基法」)などを大幅に改正することが検討されています。いまだに存在する過重労働などから労働者を守ること、昔よりも働き方の希望が多様化してきたこと(副業など)を受けての改正で、主要な項目は次の7つです。

  • 連続勤務の上限規制
  • 法定休日の特定義務化
  • 勤務間インターバル制度の実施義務化
  • 年次有給休暇の賃金算定方式の一本化(通常賃金)
  • つながらない権利に関するガイドラインの策定
  • 副業・兼業における労働時間の通算ルールの見直し
  • 法定労働時間の特例措置(週44時間)の撤廃

まだ検討段階とはいえ、仮に法制化された場合、社員の働き方を根本から再設計するレベルの改正になると思われます。そこで、この記事では、検討されている7つの主要論点を分かりやすく整理し、法制化された場合の中小企業への影響や、実務で注意すべき点を解説します。

2 連続勤務の上限規制

1)13日を超える連続勤務が禁止される?

社員の就業日数について

「13日を超える連続勤務を禁止する」

ことが検討されています。現行の労基法では、会社は社員に対し、「毎週1日または4週間を通じ4日以上の休日(法定休日)」を与えなければならないことになっていますが、この「4週間を通じ4日以上の休日」(変形週休制)を採用すると、次のように

理論上は最大48日連続勤務が可能になる

という法制度になっています。

連続勤務の上限規制

ですが、このような連続勤務は、心身に著しい悪影響を与えます。厚生労働省では、業務上の出来事が与える心理的負荷の強度を「弱」「中」「強」の3段階で評価していますが、

  • 2週間以上の連続勤務は「中」(連日、深夜時間帯に及ぶ時間外労働があれば「強」)
  • 1カ月以上の連続勤務は「強」

とされています(厚生労働省「心理的負荷による精神障害の労災認定基準」)。こうした状況を踏まえ、政府内でも14日以上の連続勤務を禁止する方向で制度の見直しが議論されています。

2)シフト制の業種は働き方の見直しが必須、管理職の負担にも注意!

14日以上の連続勤務が禁止された場合、シフト制の業種(宿泊、介護、医療、小売など)は、特に大きな影響を受けます。これまでのように

「繁忙期は交代で連勤して乗り切る」という運用は難しくなる

でしょう。また、一般社員の連続勤務が難しくなると、そのしわ寄せは多くの場合、管理職に行きます(「管理監督者」に該当する管理職であれば、労働基準法の労働時間・休憩・休日の規定が適用されない)。とはいえ、現状すでに管理職が業務過多に陥っている会社も多く、

安易に一般社員の業務を管理職に振ると、今度は管理職の健康が心配

です。「部下の業務を上司が肩代わりする」という運用は、もはや限界に近づいています。

会社としては、次のような対応が必要になってくるでしょう。

  • 繁忙期に備えて短期人材(派遣・アルバイト)、単発のスキマバイトを活用するなどして、人員体制を整えた上で、連続勤務なしでも業務を回せる体制を整える
  • 管理職(管理監督者)であっても、労働安全衛生法の「労働時間の把握義務」は適用されるので、労働状況をこまめにチェックし、負担が偏りすぎていないか注意する

3 法定休日の特定義務化

1)いつが法定休日かを「あらかじめ」特定しなければならない?

法定休日について、

どの日、どの曜日を法定休日にするのかを、あらかじめ特定するよう会社に義務付ける

ことが検討されています。現行の労基法では前述した通り、毎週1日または4週間を通じ4日以上の休日を与えさえすればよいことになっており、

シフト制の職場などでは、「先週は日曜、今週は水曜、来週はまだ分からない」といった具合に、法定休日がコロコロ変わり、社員の生活のリズムが安定しにくくなる

という問題が発生し得ます。

法定休日

このため、法定休日をあらかじめ特定することを、いつまでに特定すべきかなども含めて、法律上のルールとして明確化することが検討されています。

2)シフトは場当たり的にではなく、計画的に決めよう!

法定休日の特定が義務化された場合、シフト制の職場では一定期間分の休日を前もって示すことが求められると考えられます。「法定休日をいつまでに特定すべきか」「特定した法定休日の変更や休日振替はどうするか」などについては議論中ですが、

口頭で社員に「明日シフト入れる?」などと聞いて、その都度シフトを決めるようなやり方は通用しなくなる

可能性があります。

会社としては、次のような対応が必要になってくるでしょう。

  • 就業規則で、法定休日と所定休日の考え方を明確にする
  • シフト制の場合、どの期間(1カ月・2週間など)で休日を確定・通知するかを決める
  • 休日の変更があり得る場合も、休日振替の手続き(誰が・いつまでに・どのような形で合意するか)を、書面やシステム上で残る形にする

4 勤務間インターバル制度の実施義務化

1)「終電帰り→翌朝9時出勤」は不可能に?

勤務間インターバル制度(労働時間等設定改善法による)について、

制度の実施を「努力義務」から「義務」に変更する

ことが検討されています。勤務間インターバル制度とは、

社員が終業してから次に始業するまでに、一定時間の休息(インターバル)を取ることを促進することで、社員の生活時間や睡眠時間を確保する制度

です。就業規則等で休息時間数を設定し、終業から次の所定始業時刻までの間隔が休息時間数に満たなければ、その時間数分、始業時刻を繰り下げるなどします。

勤務間インターバル制度

現在、政府内では原則「休息時間数を11時間」とする制度を想定した議論が進められています。例えば、24時に終業し、次の始業が翌日9時の会社の場合、社員は帰宅時間も含めて9時間しか休めません。ですが、この勤務間インターバル制度が義務化された場合、「11時間休息を取らせる」ことになるので、社員は図表3のように11時から勤務を開始すればよいわけです。

過重労働防止などの観点から設けられた制度ですが、導入している会社が2024年時点で5.7%と少ない(厚生労働省「令和6年就労条件総合調査」)ことなどから、改正が検討されています。もっとも業種・職種によっては、11時間の休息を確保するのが難しい場面もあるため、

  • 11時間が確保できない場合の「代替措置」(代償休暇など。利用回数に上限を設ける)
  • 適用除外となる職種等の設定

など、柔軟に運用できるルールが設けられる予定です。

2)深夜残業などが当たり前になっている会社は、働き方の見直しを!

勤務間インターバル制度が義務化された場合、社員の休息時間が担保され、メンタル不調などになるリスクは軽減されるでしょう。半面、

深夜残業や「今日は遅番、翌日は早番」などの働き方が当たり前になっている会社では、これまで通りの働き方で業務を回すのが難しくなる

可能性があります。

会社としては、次のような対応が必要になってくるでしょう。

  • 深夜残業翌日の勤務開始時刻を繰り下げる、または代償休暇を与えることができるよう、就業規則を改定する
  • 夜勤明けの「そのまま日勤」運用を改める
  • 「今日は遅番、明日は早番」などのシフトの組み合わせを見直す

5 年次有給休暇の賃金算定方式の一本化(通常賃金)

1)平均賃金や標準報酬日額での賃金支払いは不可?

年次有給休暇(以下「年休」)について、

年休を取得した場合の賃金の算定を「通常賃金」に一本化する

ことが検討されています。現行の労基法では、1日当たりの賃金の算定方法は

  • (通常賃金)1日働いた場合の通常の賃金。月給制の場合、月給÷1カ月の所定労働日数などで1日単位に換算した額
  • (平均賃金)直近3カ月間の賃金総額(賞与等を除く)÷直近3カ月間の総日数
  • (標準報酬日額)標準報酬月額÷30日

のいずれかから会社が選択することができます。

ただ、平均賃金や標準報酬日額で賃金を算定した場合、通常賃金の場合よりも金額が少なくなることが多いです。例えば、図表4は「月給を30万円(標準報酬月額も30万円)」「1カ月の所定労働日数を20日」「直前3カ月の暦日数を92日」とした場合のイメージです。

年次有給休暇の賃金算定方式

図表4の場合、通常賃金で算定した1日当たりの賃金額は1万5000円で、平均賃金や標準報酬日額の場合と5000円以上の差があります。こうした状況から、算定方法の違いによって社員に不利が生じないよう、通常賃金への一本化が検討されているのです。

2)算定方式が一本化された場合の人件費へのインパクトを試算しよう!

年休の賃金の算定方式が通常賃金に一本化されれば、

平均賃金や標準報酬日額をもとに賃金を支払っていた会社では、コストが上昇

することになります。

会社としては、次のような対応が必要になってくるでしょう。

  • 自社が現在、どの算定方式を用いているのかを確認した上で、算定方式が一本化された場合の人件費へのインパクトを試算する
  • 算定方式を変更する場合、就業規則の変更を行う。標準報酬日額で賃金を算定している場合、労使協定があるはずなので、その変更も忘れずに行う
  • 給与システムの設定の見直しも必要

6 つながらない権利に関するガイドラインの策定

1)勤務時間外の連絡はNGに?

つながらない権利について、

労使間で社内ルールについての話し合いがしやすくなるよう、ガイドライン等を策定する

ことが検討されています。つながらない権利とは、

プライベートの時間(勤務時間外)では、社員は会社からの仕事に関する連絡(電話・メール・チャットなど)への対応を断ることができるという権利

です。すでにフランスをはじめとする欧州諸国では法制化が進んでおり、国によっては、勤務時間外の連絡そのものを禁止しているところもあります。

日本では現在、つながらない権利に関する法規制はありませんが、労働者側には一定の要望があるようです。日本労働組合総連合会(以下「連合」)が18歳~59歳の有職者に行った調査によると、図表5のように「つながらない権利によって勤務時間外の連絡を拒否したい」という人が回答者(1000人)の72.6%に上っています(連合「“つながらない権利”に関する調査2023」)。

つながらない権利

実際、SNSの社会インフラ化やテレワークの浸透に伴って、

  • 勤務と私生活の境界が曖昧になる
  • 深夜・休日の連絡が常態化しやすい

といった問題も浮上しており、こうした背景から制度化に向けた議論が始まっています。

2)「原則、勤務時間外には連絡しない」という前提で就業規則などの整備を!

つながらない権利が制度化された場合、

勤務時間外の連絡は、緊急時などを除き、原則として控えることが求められる

ようになると予想されます。また、現状でも勤務時間外の過度な連絡は、内容によってはパワハラなどになり得ますから、制度化された場合はハラスメントに該当するか否かの判断も厳しくなって来る可能性があります。

会社としては、次のような対応が必要になってくるでしょう。

  • 「緊急時を除き、原則、勤務時間外には連絡しない」という前提に立って、就業規則を整備する(何が緊急時かは、明確に基準を決めておく)
  • 管理職には、「部下にその日のうちに連絡をしないと業務に支障が出る場合」などを除き、勤務時間外には連絡しない(また、返信が来なくても催促しない)よう指導する
  • 一般社員に対しては、勤務時間外ではチャットツールの通知をオフにすることなどを推奨しつつ、緊急連絡時の正当な業務命令については、基本的に従うよう指導する(36協定の締結・届け出がしてあれば、時間外・休日労働を命じること自体は違法ではない)

7 副業・兼業における労働時間の通算ルールの見直し

1)副業・兼業の労働時間を把握するのは、会社にとってハードルが高すぎる?

副業・兼業について、

割増賃金を算定する際、本業先と副業・兼業先の労働時間を通算しない運用にする

ことが検討されています。現行の労基法では、副業・兼業先で働いた時間は「本業と通算」して扱うことが原則で、割増賃金の算定においてもそのルールが適用されることになっています。実際は複数のパターンがありますが、原則的なルールは

  • まず、所定労働時間を「先に契約をした会社→後に契約をした会社の順」に通算する
  • 次に、所定外労働時間を「実際に所定外労働が行われる順」に通算する

です。イメージは図表6です。

副業・兼業における労働時間

ただ、こうしたルールを運用するためには、本業先と副業・兼業先がお互いの会社の労働時間を正確に把握する必要があり、

割増賃金の算定にまで労働時間の通算ルールを適用するのは、会社の負担が大きすぎるのではないか(ハードルが高いと、副業・兼業が促進されないのではないか)

という懸念から、通算ルールの緩和が検討されています。

2)「どこまでを会社が管理し、どこまでを社員の自己管理とするのか」を明らかに!

労働時間の通算ルールが緩和された場合、賃金支払いにおける会社の負担はある程度軽減されるでしょう。一方、

社員の健康管理のため、労働時間を把握する義務自体はなくさない

方向で話が進んでいるので、制度改正の動向を見守りながら、「どこまでを会社が管理し、どこまでを社員の自己管理とするのか」を明らかにする必要があります。

会社としては、次のような対応が必要になってくるでしょう。

  • 副業・兼業の届け出様式を見直す(副業・兼業先の所在地、従事する業務、始業・終業時刻、所定労働時間などが分かるようになっているか)
  • 社員本人からの情報提供の方法について整理する(労働時間などをどのように報告してもらうか。週単位、月単位など)
  • 健康管理フローを見直す(本業先か副業・兼業先かに関係なく、睡眠不足・疲労蓄積などの健康リスクは、会社側の責任問題につながる。定期面談、体調ヒアリング、産業医の連携体制などを確認する)

8 法定労働時間の特例措置(週44時間)の撤廃

1)週の法定労働時間は一律「40時間」に?

法定労働時間について、

週44時間の特例措置を撤廃する

ことが検討されています。法定労働時間は通常「1日8時間、週40時間」ですが、小売業・旅館業・娯楽業の一部などに「1日8時間、週44時間」という特例が認められています。具体的には常時10人未満の社員を使用する図表7の業種の事業場が対象で、これらを「特例措置対象事業場」といいます。

法定労働時間の特例措置

これは、人手不足を背景に労働時間の柔軟性を確保するための措置でしたが、他の業種が段階的に週40時間制に移行してきたことや、特例措置対象事業場の法定労働時間が44時間に設定された2001年から四半世紀が経過していることなどから、全ての業種を一律で週40時間制に統一する方向で議論が進んでいます。

2)週40時間制で運用できる働き方を!

週44時間の特例措置が撤廃されれば、

今の働き方のままでは法定労働時間(週40時間)を超えてしまう

という現象が起こり得ます。週4時間分をどこで削るか、どの時間帯を短縮するか、あるいは営業時間そのものを見直すか、といった判断が求められます。

会社としては、次のような対応が必要になってくるでしょう。

  • 現状の人員体制で週40時間制に対応できるか、繁忙期・閑散期の勤務パターンも考慮し、検討する
  • 週40時間制に対応するのが難しそうな場合、採用計画についても見直す(人員を採用することによる人件費の上収についても考慮する)
  • 36協定に定めた時間数を見直す(週44時間→週40時間に変更することによる人件費の上昇についても考慮する)
  • DX化など、週40時間制を実現するための業務効率化についても検討する

9 制度の細かい内容が変わったとしても「後戻り」はない

今回の検討内容を一言でまとめるなら、

「どれだけ働かせるか」から「どう働いてもらうか」へ

という、発想の転換です。

繰り返しになりますが、この記事で取り上げた内容は、現時点ではあくまで「検討段階」であり、確定事項ではありません。最終的な制度設計はこれから固められていきます。とはいえ、

議論の方向性はすでに明確で、後戻りすることはありません。制度の細かい内容に揺れはあったとしても、会社に求められる「労務管理」の水準は確実に上がっていく

と考えるのが自然です。

従って、2026年の法改正を「いつ来ても良いように」準備しておくことは大切です。特に就業規則や勤怠システム、シフト体制の見直しは、一朝一夕では整いません。まだ時間がある今から、影響が大きいところだけでも着手しておくことをおすすめします。

以上(2026年2月作成)

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画像:Rossin-Adobe Stock

夢を追い掛けパリに移住した若人が語るチャンスのつかみ方/販路開拓事例集

1 9千7百キロメートルを飛び越えさせた夢

日本から約9千7百キロメートル西にあるフランスの首都・パリ。株式会社Feux(フィウ) の代表取締役・松尾龍之介さんは、1年半ほど前、単身でフランスに乗り込んで起業しました。

現在は、得意とするSEO対策やSNS代行などの事業を行いつつ、本業であるアニメ・マンガ関連のビジネスにその心血を注いでいます。

「自分の好きな作品を、もっと知ってもらいたい。その良さを広めたいという夢は、20年間全く変わっていません」

と、代表の松尾さんが語る通り、Feuxの事業の中心は、

日本のアニメ・マンガ作品のキャラクターグッズを欧州で販売すること、また展示会などのイベントの開催により、日本と欧州のコンテンツ市場をつなぐこと。

そして、Feuxの使命は、

日本のアニメ・マンガ作品の魅力を広めること

です。

今年、Feuxは小学館の漫画雑誌「週刊少年サンデー」、コミック配信サイト「サンデーうぇぶり」と協力し、欧州一の規模を誇る日本文化の総合博覧会「Japan Expo」にブース出展。イベントで作品の新たなファンを獲得するために、高画質のパネルやフォトスポットを設置し、視覚的に楽しめる空間を作り込みました。

Japan Expo

Japan Expo

結果、イベントは大成功。Feuxがプロデュースしたブースは、500人以上もの来場客が訪れ、彼ら・彼女らの反応は想像以上だったといいます。

ただ、日本のアニメ・マンガ作品が欧州、特にフランスで人気を博していることは、すでに広く知られていること。

「欧州のアニメ・マンガ市場は、すでに開拓され切っているのではないか……?」

と、誰もが思うことでしょう。

しかし、今実際にフランスに住み、挑戦し続けている松尾さんは、次のように語ります。

「最初にフランスに足を踏み入れたときから、僕には欧州はブルーオーシャン(未開拓市場)にしか見えませんでした。まだまだ開拓の余地があるし、現地のファンに新しい価値を届けられる手段が無限にあると思う」

松尾さんはいかにして欧州で販路(チャンス)をつかんでいるのか。今回のインタビューでは、その実際の取り組みや行動の哲学を伺いました。

2 質問「これまで販路開拓やチャンスを切り開く中で一番大変だったことは?」

「一番大変だったのは、前職の社員90人近くの会社で、営業活動を自分一人で担っていたときの試行錯誤です。最初は何も分からず手探りでしたが、この経験で得た人脈や作品との向き合い方が、今の自分を作っているんじゃないかな」

松尾さんは現在30歳。物心ついた頃からアニメ・マンガ関連の仕事をするという夢を持ち続け、新卒で就職した会社を経て、念願のアニメ・マンガ関連の広告代理店に転職しました。この前職では、大手出版社などをクライアントに、イベントや海外での関連グッズ販売での作品使用について直接掛け合い、交渉する仕事を担当。営業担当として一人で企画提案や商談を進めていました。

正解が見えない状況での試行錯誤の中、クライアントに何度も連絡を取り、提案資料を送っては返事を待ち、商談の手応えを分析する日々。その中で松尾さんが気付いたのは、

作品への愛が何よりも大切だということ

です。

「まずは作品を最後まで読む。その作品を愛し、解像度を高める。すると、最終顧客であるファンの心理がありありと見えてきて、彼ら・彼女らが本当に求めていることが分かるし、作品の作り手側がどれほどその作品を大切に思っているのかも、彼ら・彼女らの立場から考えることができる。作品とファンと作り手、その全てを幸せにできるビジネスをしたいんです」

商談する作品については第1話から最新話まで徹底的に読み込み、作品に対する解像度を高めた上で話をすることで、営業としての打診にも確かな説得力が生まれます。起業した今なお付き合いのあるクライアントとの信頼関係も、その多忙な営業時代に築かれました。

未知の文化・言語・商習慣の中で単身挑むフランスでの販路開拓は、まさにこの経験を活かす場となりました。過去の営業経験で培った交渉力やネットワーク構築力が、現地での出版社やショップとの信頼関係に直結しています。

フランスでの販路開拓

3 松尾さんの販路(チャンス)開拓のポイントは3つ

1)「思い込み」でチャンスを見逃さない

前職時代、イベント運営のために訪れたパリにて、「作品のファンが多いにもかかわらず、キャラクターグッズは現地ではほとんど売られていない」という現実に気付きました。

例えば、起業してからクライアントになったジュンク堂パリなどの書店では、本のみを販売しており、日本の書店のように関連グッズは置かれていなかったそうです。思い込みでチャンスを見逃すことなく、現地の状況を自分の目で見極めてブルーオーシャンを見いだす力が、今につながっています。

2)愛からビジネスが生まれる

「作品を愛し、解像度を高める」ことで、グッズを購入する最終顧客であるファンの心理を理解できます。その気持ちは原作者や編集にも伝わり、現地での商談や信頼関係構築の礎になります。

3)文化の数だけビジネスモデルがある

欧州では高品質でラグジュアリーな路線が好まれることに着目。松尾さんは今、日本でも人気があり、自身にとっても思い入れが深いグッズであるキャラクターモチーフの指輪などを、現地向けに企画・提案することを考えています。また、一般的に国外人気が高い、いわゆる「和風」の作品や派手なアクションシーンがある作品を重要視することは大切ですが、特にフランスで好まれる視覚的に美しい作品を広め、現地のファンを作ることにも活路を見いだし、リサーチを続けています。

一方、作品の元締めである出版社や制作会社は日本国内に拠点を持っているので、マイナス8時間(サマータイムではマイナス7時間)の時差があるフランスで暮らす松尾さんは、日本の時間に合わせて夜中の3時に起床して活動を開始。各会社と円滑に連絡を取ることを心がけているそうです。

4 質問「販路開拓に必要な情報とは? どうやって入手するか?」

販路開拓に必要な情報として松尾さんが最も重視するのは、「消費者の生の声」です。

「商品を売ったとして、そこに消費者はいるのか。実際に現場を見て、肌で感じることが重要です」

実際にパリ市内を歩き回り、書店やショップを一軒一軒チェックする中で、どの作品が人気か、どの層がターゲットかを肌で感じることができました。このリアルな観察が、次の販路や商品企画に直結します。

例えば、欧州では日本のアニメ・マンガが大人気ですが、関連ショップを観察すると、関連商品は原作マンガとフィギュアしか置かれていません。一方、日本・韓国などの東アジア諸国はグッズ販売の文化が発展しており、種類が豊富です。つまり松尾さんは、実際に現地を歩いて情報収集することによって、「供給できる商品とファンの需要があるにもかかわらず、未開拓の市場が存在している」ことに気がついたということです。

「情報はとにかく自分の足で探す。街を実際に歩き、人の雰囲気を感じる。海外での情報収集では、これが何より大事です」

5 最後の質問「販路開拓で一番大事なこととは?」

松尾さんが最も重視するのは、「夢の実現のための行動力」です。

「改めて語ると気恥ずかしいですけれど、子どもの頃から抱いていた一つの夢(=自分の好きな作品の魅力を多くの人に知ってもらうこと)を大切にし続けたから、ここまで来られたのだと思います。自分の夢のためであれば、どんなことでも……例えばいきなりフランスに移住してしまう、とか(笑)、本当にどんなことでも、ためらいなくやってみたい。チャンスは自分の足で見つけ、いち早く自分の手でつかみたいんです。そのハングリー精神が、今につながっているんじゃないかな。」

実際、欧州で起業することを思いついた際も、夢を実現する絶好の機会だと考え、心理的なためらいは一切ありませんでした。松尾さんは常に、「まずは飛び込んでみる」姿勢で挑み、現地で自分に何ができるかを柔軟に判断し、即行動に移しています。

松尾さん

将来的には、フランスでの商材フォーマットを完成させた後、スペインやイタリアなど他のヨーロッパ諸国にも展開し、愛する作品の魅力を世界に伝えていく予定です。それぞれの国で「ウケる」作品は異なりますが、日本の作品を現地で愛してもらうことが、日本人に自信を持ってもらうきっかけになると松尾さんは考えています。

「大切なのは愛です。自分が心から好きなものを信じて行動することが、販路開拓の原動力になります」

松尾さんは、欧州での挑戦を通じて、作品への愛と行動力が販路拡大の核心であることを体現しています。

以上(2025年12月作成)

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画像:株式会社Feux

2026年「仕事始め」で社員に伝えたいことは? スピーチ例も紹介!

1 今年の仕事始めの挨拶、何を伝えますか?

全国の経営者の皆さま、明けましておめでとうございます! 本年もどうぞ、よろしくお願いいたします。

さて、2026年の仕事始めを迎えようとする今、多くの経営者は、

「新しい1年を、どんな言葉でスタートさせるべきか」

を考えていることでしょう。目標や方針、社員への期待など伝えたいことはたくさんあるはずです。一方で、「気合を入れすぎても空回りしそう……」「大切なことを伝えているつもりだけど、マンネリぎみで社員に響いていないかも……」といった心配をされている方も、一定数いらっしゃるのではないでしょうか。

経営者であれば、新年の挨拶は単なる形式上のものではなく、“1年の指針”として捉えているはずです。例えば、顔も知らない全国の経営者たちは、社員に向けてどんなメッセージを伝えようとしているのでしょうか。

今回は、中小企業の経営者307人を対象に、「2026年の仕事始めに、社員にどのようなメッセージを伝えたいか」についてアンケートを実施しました。

本記事では、集まった回答をテーマ別に紹介するとともに、仕事始めの挨拶にそのまま活用できるスピーチ例や考え方も併せて掲載します。2026年を良いスタートで切るためのヒントとして、ぜひお役立てください。

なお、アンケートは2025年11月にインターネットを通じて実施しました。回答内容については、意味を損なわない範囲で表現を整えています。

2 社員に「さらなる成長への期待」を伝えたい経営者

「さらなる成長への期待」を伝えたい

  • 「馬のように駆け上がろう」
  • 「飛躍しなければならないこと」
  • 「新しい年にさらに羽ばたきましょう」

さらなる成長への期待は、今年の干支・「午(うま)」になぞらえて発信してみませんか? 参考にできるコンテンツはこちら!

3 社員に「自ら率先して動く覚悟」を伝えたい経営者

「自ら率先して動く覚悟」

  • 「今年は売上アップの為に身を粉にして働くので、皆も頑張って欲しい」
  • 「今までの自分を変えて欲しい。自分も変わる」

社員に「自ら率先して動く覚悟」を伝えたいときに参考にできるコンテンツはこちら!

4 社員に「発想力の大切さ」を伝えたい経営者

「発想力の大切さ」

  • 「今年も自由にアイデアの上申を」
  • 「常識にとらわれるな、『えっ?』と思うようなアイデアを出してください」
  • 「遊び心を持ってほしい」

社員に「発想力の大切さ」を伝えたいときに参考にできるコンテンツはこちら!

5 社員に「チームワークの大切さ」を伝えたい経営者

チームワークの大切さ

  • 「みんなで力を合わせて今年も頑張ろう」
  • 「チームワークを大切にする」
  • 「和を大切に」

社員に「チームワークの大切さ」を伝えたいときに参考にできるコンテンツはこちら!

6 社員に「自己研鑽の大切さ」を伝えたい経営者

自己研鑽の大切さ

  • 「自己成長のための目標をしっかりと決めて、努力してほしい」
  • 「日々勉強を怠らず挑戦する気持ちをもって欲しい。」
  • 「自己研鑽にチャレンジしてほしい」

社員に「自己研鑽の大切さ」を伝えたいときに参考にできるコンテンツはこちら!

7 社員に「地道な努力の大切さ」を伝えたい経営者

地道な努力の大切さ

  • 「厳しい環境は変わらずなので、目の前の業務を丁寧にこなして欲しい」
  • 「ますます、国内外で格差を広げる動きが活発になる。しかし、小さな努力、改善を積み上げていくしかない」

社員に「地道な努力の大切さ」を伝えたいときに参考にできるコンテンツはこちら!

8 社員へ「挑戦することの大切さ」を伝えたい経営者

挑戦することの大切さ

  • 「日々勉強を怠らず挑戦する気持ちをもって欲しい」

社員に「挑戦することの大切さ」を伝えたいときに参考にできるコンテンツはこちら!

9 社員へ「より良い稼ぎかた」を伝えたい経営者

より良い稼ぎかた

  • 「楽しく利益を上げられる仕組み作りをし、利益はみなで分配しよう」
  • 「今年こそ、儲かろう!」

社員に「より良い稼ぎ方」を伝えたいときに参考にできるコンテンツはこちら!

10 社員へ「目標達成の大切さ」を伝えたい経営者

目標達成の大切さ

  • 「営業目標の達成」
  • 「売り上げ目標の達成」

社員に「目標達成の大切さ」を伝えたいときに参考にできるコンテンツはこちら!

11 社員へ「一体感の大切さ」を伝えたい経営者

一体感の大切さ

  • 「社員の目標と経営者の目標を一致させる」

社員に「一体感の大切さ」を伝えたいときに参考にできるコンテンツはこちら!

以上(2026年1月作成)

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画像:日本情報マート

【朝礼】2026年は「行動する人」になろう 

【ポイント】

  • 「小さく始める」「失敗から学ぶ」「続ける」の3つを心がけよう
  • どれか1つでも欠ければ、成長はない。3つができて初めて「行動している」といえる
  • 2026年は、考えるだけでなく、動く一年にしよう

皆さん、あけましておめでとうございます! 今日は皆さんに、「2026年は、こういう人になってほしい」というメッセージをお伝えします。今年、皆さんに目指してほしいのは「行動する人」になることです。具体的には、今から言う3つのことを心がけてほしいと思っています。

1つ目は、「小さく始められる人」です。新しいアイデアや改善案を思いついたとき、「完璧な準備が整ってから」「もっと良いタイミングで」と考えて、結局何もしないまま終わってしまう。そんな経験はありませんか? 大切なのは、完璧を目指すことではなく、まず小さく始めることです。例えば、業務改善のアイデアがあるなら、いきなり全社展開を考えるのではなく、自分のチームで試してみる。お客さまへの新しい提案があるなら、まずは一社だけでも訪問してみる。そうすることで評価や指摘を得られ、次の改善に活かすことができます。

2つ目は、「失敗から学べる人」です。行動すれば、必ず失敗はあります。でも、失敗は悪いことではありません。失敗から学ばないことが問題なのです。失敗したとき、「どうすれば次はうまくいくか」を考える習慣をつけてください。営業がうまくいかなかったなら、話し方に問題があったのか、提案内容が的外れだったのか、タイミングが悪かったのか。1つずつ振り返り、次に活かす。失敗を恐れて挑戦しないより、挑戦して失敗しそれを糧にできる人のほうが成長します。

3つ目は、「続けられる人」です。新しい取り組みというのは、すぐには結果が出ないものです。パナソニック創業者・松下幸之助さんの有名な言葉に「成功するまで続ける」というものがありますが、すぐに結果が出なくても諦めず、地道な努力を続けられる人だけが成功をつかめます。ただの神頼みになってはいけませんが、世の中は常に変化していますから、辛抱強く努力を重ねるうちに、情勢が変わってチャンスがめぐってくることもあります。とにかく諦めないことが大切です。

「小さく始める」「失敗から学ぶ」「続ける」、どれか1つでも欠ければ、成長はありません。3つができて初めて「行動している」といえるのです。2026年は、考えるだけでなく、動く一年にしましょう。「行動する人」が増えれば、私たちの会社はもっと前に進みます!

以上(2026年1月作成)

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画像:Mariko Mitsuda

                             

経営者に「新年の目標」を聞いてみた! 販路開拓から後継者育成まで

1 2026年のあなたの目標は何ですか?

全国の経営者の皆さま、明けましておめでとうございます! 本年もどうぞ、よろしくお願いいたします。

さて、新しい年を迎えたいま、多くの経営者は、

「今年は、この目標を掲げて経営に臨む!」

という明確な方針を胸に、仕事始めの日を迎えようとしていることでしょう。利益増や成長戦略、人材育成や組織づくりなど、掲げるテーマは企業ごとに異なるものの、どの目標にも、その企業らしい覚悟や意思が込められているはずです。では、顔も知らない全国の経営者たちは、新しい1年にどのような目標を描いているのでしょうか。

今回のアンケートは、中小企業の経営者307人を対象に、「2026年に向けて、経営者自身が掲げている新年の目標」についてアンケートを実施しました。集まった回答をテーマ別に紹介するとともに、そのテーマごとに役立つコンテンツもあわせて掲載します。2026年を実りある1年にするための参考として、ぜひご活用ください!

なお、アンケートは2025年11月にインターネットを通じて実施しました。回答内容については、意味を損なわない範囲で表現を整えています。

2 売上アップ・利益拡大! 売上関連の目標

売上関連の目標

  • 「売上高を倍増する」
  • 「売上、利益を増やし社員や社会に還元できる会社に」
  • 「業績改善。従業員の成績を上げる」
  • 「コストに負けない粗利益」

やはり、売上や利益は経営者が掲げる目標として一番人気です。 関連コンテンツはこちら!

3 いざ顧客開拓! 販路拡大関連の目標

販路拡大関連

  • 「4年前から始めた新規事業を軌道にのせる」
  • 「今年があまりよくないので、新規顧客の確保等により、少しは上昇したい」
  • 「販路拡大、売上拡大、商材の開発」
  • 「新規案件の獲得」

自社の製品やサービスを更に多くの人々へ広めるべく、やる気十分な経営者たちも。関連コンテンツはこちら!

4 更なる活路を! 新規事業開拓関連の目標

新規事業開拓

  • 「新規分野の開拓」
  • 「新しい商品の開発を進めたいと思います」
  • 「新しい分野へ入ることの足がかりを掴む」
  • 「新規事業部立ち上げ」

2026年、自社を新たなフェーズへと運びたい経営者たち! 関連コンテンツはこちら!

5 良い流れは社内から作る! 人事関連の目標

人事関連

  • 「従業員に職場がここでよかったと幸せを感じられる会社にしたい」
  • 「次世代を担う要員の採用」
  • 「メンタル(考え方・気持ち)を強くするトレーニングを、管理職を中心に行う」
  • 「会社全体のスキルアップの支援」
  • 「離職者ゼロを目指す」

内部の改革や採用・教育も、企業にとって大切な要素の1つです。 関連コンテンツはこちら!

6 DXにチームビルディング! 体制改善関連の目標

体制改善

  • 「仕入・在庫の適正化」
  • 「仕事や体制を見直し、問題点を洗い出して、新規に取り組む部分を明確にする」
  • 「システムのバージョンアップ」
  • 「チームビルディングにより、個人の負担を軽減する」
  • 「時間と体力の効率化」

人手不足・コスト高の今、体制の見直しは喫喫の課題! 関連コンテンツはこちら!

7 次世代へバトンをつなぐ! 事業承継関連の目標

事業承継

  • 「事業継承をスムーズにしたいと思っています」
  • 「後継者への引き継ぎ」
  • 「はやく世代交代の準備を進めるようにしたい」
  • 「後継者の育成」

次の世代へとバトンをつなぐ経営者たち! 関連コンテンツはこちら!

以上(2026年1月作成)

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画像:日本情報マート

【年金制度改正法】社会保険の適用拡大にiDeCo拡充! 2026年度から始まる5つの改正(iDeCo拡充の施行日を追記)

1 改正ポイントは5つ、施行日順に紹介!

物価上昇や人手不足が続く中、国の年金制度も「時代に合わせた形」へと変わろうとしています。2025年6月20日公布の年金制度改正法では、在職老齢年金の見直し、社会保険の適用拡大、iDeCo(イデコ)の拡充など、働き方の多様化に対応する仕組みが盛り込まれました。

中小企業が押さえておきたい改正ポイントは次の5つで、2026年4月から順次スタートします。次章以降で、改正のポイントや中小企業で想定される問題、今のうちからやっておいたほうがいいことを社会保険労務士が分かりやすく解説します。ぜひご確認ください。

1)在職老齢年金の見直し

2026年4月から、在職老齢年金の支給停止調整額が「51万円→62万円」に引き上げられます。

2)標準報酬月額の上限引き上げ

2027年9月から2029年9月にかけて、厚生年金保険料については、標準報酬月額の上限(現在65万円)が75万円に段階的に引き上げられます。

3)社会保険の適用拡大

2027年10月から2035年10月にかけて、社会保険に加入する短時間労働者の範囲が段階的に拡大されます。対象は「厚生年金保険の被保険者数」「賃金」の要件です。

4)遺族年金制度の見直し

2028年4月から、子のない配偶者が遺族厚生年金を受け取る場合のルール、子が遺族基礎年金を受け取る場合のルールや加算額などが改正されます。

5)私的年金の見直し

2025年6月20日から3年以内に、iDeCoの加入可能年齢が引き上げられ、さらに企業型DCの拠出限度額が拡充されます(追記:2025年12月24日「令和7年政令第442号」により、施行日は「2026年12月1日」に決まりました)。

2 在職老齢年金の見直し

午前中の配送を終えたある運送会社。休憩室で、こんな会話が交わされていました。内容は「在職老齢年金」に関することのようです。

社長:佐藤さん、来月から少し出勤日を増やせない? 若いドライバーが体調崩しちゃってね。

佐藤:社長、ありがたいお話ですけど……これ以上働くと、年金が減っちゃうんですよ。

社長:ああ、在職老齢年金ってヤツだな。

佐藤:はい。月の給料と年金を合わせて51万円を超えると、超えた分に応じて年金が減るんです。だから、出勤日を増やすのは……まあ、基準額が51万円よりも上がったら考えますけど。

1)在職老齢年金の見直しとは?

在職老齢年金とは、

働きながら老齢年金をもらうと、年金額がカットされることがあるという制度

です。厚生年金保険に加入しながら老齢年金をもらう60歳以上の従業員が対象で、賃金と年金の合計額が「支給停止調整額」というボーダーラインを超えると、十分な収入があるとみなされ、老齢年金の一部または全額が支給停止となる仕組みです。

今回の改正では、2026年4月からこの支給停止調整額が「月51万円→62万円」に引き上げられることになりました。簡単に言うと、

  • 賃金(ボーナスを含む年収の1/12)と、老齢厚生年金の合計額が月62万円以下の場合、年金は全額支給される
  • 合計額が月62万円を超える場合、超えた分の1/2の額が年金から差し引かれる

という仕組みになります。これにより、年金を減らされずに働ける範囲が広がり、約20万人が新たに年金を全額受給できる見込みです。具体的には次のようなイメージです(図表の「50万円」は2024年度の金額です)。

在職老齢年金の見直し

2)60歳以降の働き方を見直そう、賃金だけでなく健康・安全対策にも注意!

在職老齢年金の引き上げにより、シニア層は年金額を減らさずに働けることになりますが、次のような問題が起きることも想定されます。

  • 60歳以降も働く従業員が増えることで、人件費が上昇する
  • シニア層が増えることで、健康・安全面での配慮がより重要になる
  • 在職老齢年金に関する従業員からの問い合わせが増える

会社が今のうちにやっておいたほうがいいこととしては、次のようなものが挙げられます。

1.対象者の確認(賃金設計や再雇用契約と照合)

在職老齢年金の対象となるのは、「厚生年金保険に加入しながら老齢年金をもらう従業員」、基本的には正社員です。定年を60歳よりも上に設定している場合、在職老齢年金の適用を受ける従業員が出てくる可能性があるため、賃金設計と照合しながら対象者を確認しましょう。短時間労働者(嘱託など)の場合も、一定の要件を満たせば厚生年金保険の被保険者になるので、再雇用契約の内容にも注意が必要です。

2.年金額と働き方の関係の説明 + 労働条件の見直し(必要に応じて)

在職老齢年金の対象者本人に、「賃金と年金の合計が一定額を超えると支給が調整される」仕組みを説明しましょう。説明が難しい場合は、本人から年金事務所に問い合わせてもらうのも手です。場合によっては、

  • 正社員のまま、在職老齢年金の適用下で働くのか(賃金は変わらないが、年金が減る)
  • 嘱託などに雇用形態を変えて働くのか(賃金は減るが、年金は変わらない)

などについて、従業員の希望を聞きつつ、労働条件を見直します。前者の場合、シニア層の賃金テーブルを見直して、在職老齢年金の適用を受けない設計にすることも考えられますが、賃金額を引き下げることが「労働条件の不利益変更」に該当するケースもあるので、このあたりは専門家に相談しながら慎重に進めましょう。

3.健康・安全対策の強化

シニア層の健康管理、労災防止も大切です。軽作業への転換や朝方シフトへの変更などを検討しましょう。シニア人材が安心して働けるようになれば、企業にとっても熟練の技術や経験を活かすチャンスが増えます。一方、加齢による身体機能の低下は誰しも避けられないので、例えば、1年ごとに再雇用契約を更新するのであれば、更新前に健康診断や体力テストを実施し、更新の可否を検討するのも手です。

3 標準報酬月額の上限引き上げ

とある週末。取引先とのゴルフコンペに参加した管理職たちの間で、昼休憩の雑談が始まりました。内容は「標準報酬月額」に関することのようです。

課長:いや~、昇進で給料上がったのはいいけど、その分社会保険料も上がっちゃいました。

部長:世知辛いよね~。でも、標準報酬月額の上限を超えると、保険料が頭打ちになるから、少し余裕が出てくると思うよ。

課長:でも、この前「保険料の上限が引き上げられる」ってニュースで見ましたよ。あれ、うちの管理職はモロに対象じゃないですか?

部長:まあ、制度を安定させるためだから仕方ないけど、管理職の手取りは確実に減るね……。

1)標準報酬月額の上限引き上げとは?

標準報酬月額とは、

報酬(正確には所定の方法で計算した報酬月額)を一定の金額幅で等級別に区分したもの

で、社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料)を決める基準です。これまで厚生年金保険料については、標準報酬月額の上限が65万円に設定されており、それを超えても保険料は増えませんでした。しかし、近年の賃金上昇により、高収入層の保険料負担が実際の収入に見合わない状態となってきたため、厚生年金保険料の標準報酬月額の上限が、

68万円(2027年9月~)→71万円(2028年9月~)→75万円(2029年9月~)

と段階的に引き上げられることになりました。

標準報酬月額の上限引き上げ

例えば、賃金が月75万円以上の方は、保険料が月9100円上がり、代わりに将来受け取れる年金は月約5100円増える見込みです。

2)昇給スケジュールの調整や労働条件の見直しを検討!

標準報酬月額の上限引き上げにより、高収入層の従業員は将来受け取れる年金が増えることになりますが、一方、会社においては次のような問題が想定されます。

  • 高収入層の従業員の社会保険料(会社負担分)が上昇し、人件費を圧迫する
  • すでに標準報酬月額が65万円を超えている従業員は、社会保険料(本人負担分)が上昇することで、手取りが減る可能性がある

会社が今のうちにやっておいたほうがいいこととしては、次のようなものが挙げられます。

1.高収入層の賃金データを確認 + 昇給スケジュールの調整(必要に応じて)

まずは、上限引き上げの対象となる標準報酬月額が68万円(2027年9月~)、71万円(2028年9月~)、75万円(2029年9月~)の従業員を洗い出し、会社の人件費にどの程度の影響が出るのかを試算しましょう。昇給時期がある程度柔軟な賃金設計になっている場合、対象となる従業員の数、人件費への影響を考慮しながら、昇給スケジュールを調整するのもよいでしょう。

2.従業員への説明 + 労働条件の見直し(必要に応じて)

すでに標準報酬月額が65万円を超えている従業員については、法改正によって社会保険料の本人負担が増えること、同時に将来の年金が増える可能性があることを説明しましょう。手取りの減少が従業員に与える影響が大きいのであれば、手当などを別途支給するのも一つの手です。

4 社会保険の適用拡大

ある日の昼下がり。金属金型の町工場で、こんな会話が交わされていました。内容は「社会保険の適用拡大」に関することのようです。

社長:田中さん、いよいよ社会保険に入ってもらうことになるかもしれないよ。

田中:え? うちは人数少ないから、社会保険には入らなくてもいいって……。

社長:そう……うちは従業員が36人だから、いわゆる「106万円の壁」の対象外だったんだ。でも、その規模要件がだんだん小さくなるらしい。

田中:つまり、私のようなパートでも、週20時間働いたら、社会保険に入らないといけないってことですか? 夫の扶養から外れるのはちょっと困ります……。

1)社会保険の適用拡大とは?

社会保険の適用拡大とは、

社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入する短時間労働者の範囲が拡大されること

です。現行の制度では、次の5つの条件を全て満たす短時間労働者が、社会保険に加入します。

  • 従業員51人以上の企業に勤めている
  • 所定内賃金が月額8.8万円以上(年収約106万円以上)
  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 学生でない
  • 2カ月を超えて雇用される見込みがある

このうち1.の企業規模要件(従業員51人以上)が、10年かけて段階的に縮小・撤廃されることになりました。直近では、2027年10月から、企業規模要件が「従業員51人以上→従業員36人以上」に変わり、2035年10月には要件自体が撤廃されます。

社会保険の適用拡大

さらに、2.の賃金要件(月額8.8万円以上)、いわゆる「106万円の壁」についても、最低賃金の動向などを踏まえ、2025年6月20日から3年以内に撤廃されることが決定しました。

社会保険の適用拡大

つまり、2035年10月以降は、一部の個人事業所(注)を除く「全ての会社」において、

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 学生でない
  • 2カ月を超えて雇用される見込みがある

を満たす短時間労働者が全員、社会保険に加入することになるわけです。

(注)個人事業所についても、これまで社会保険の適用対象外だった、従業員が常時5人以上の農業・林業・漁業、宿泊・飲食サービス業などについては、2029年10月以降、適用対象となります(既存の個人事業所、5人未満の個人事業所は引き続き対象外)。

2)まずは現状の把握、助成金や保険料支援制度も活用しよう!

社会保険の適用拡大によって、今まで以上に多くの従業員が社会保険に加入できるようになりますが、同時に次のような問題が起きることも想定されます。

  • 被保険者の増加により、会社負担分の保険料が上昇する
  • 扶養から外れることを避けたいパート・アルバイトが、勤務時間を減らす「働き控え」を起こす
  • 労務担当者が「加入義務があるかどうか」を判断しにくくなる

会社が今のうちにやっておいたほうがいいこととしては、次のようなものが挙げられます。

1.対象者の洗い出し + 人件費のシミュレーション

所定内賃金・勤務時間を一覧化し、社会保険に加入する見込みのパート・アルバイトを把握しましょう。対象者を洗い出したら、社会保険料(会社負担分+本人負担分)がどれだけ増えるかを試算してみましょう。

2.従業員への説明強化 + 労働条件の見直し(必要に応じて)

社会保険に加入すると、保険料負担が発生する代わりに、「将来の年金額が増える」「傷病手当金や出産手当金が受け取れる」などのメリットがあります。パート・アルバイトにメリットを具体的に伝えた上で、「それでも扶養から外れたくない」という従業員については、個別に相談をし、必要に応じて労働条件を見直しましょう(労働時間を短くするなど)。

3.キャリアアップ助成金などの活用を検討

新たに社会保険に加入するパート・アルバイトの中には「社会保険料が天引きされるなら、労働時間を延ばすなどして賃金を増やしたい」という人もいるでしょう。こうなると会社における人件費負担の増加は避けられませんが、厚生労働省の「キャリアアップ助成金」を活用することで、こうした負担を軽減できる場合があります。具体的には、

  • 短時間労働者を正社員化すると助成が受けられる「正社員化コース」
  • 社会保険加入時に手当支給・賃上げ・労働時間延長を行うと助成が受けられる「社会保険適用時処理改善コース」

などがあります。社内の労務体制を見直すことは、採用や人材定着にもプラスに働きますから、こうした助成金の活用もぜひ検討してみてください。

■厚生労働省「キャリアアップ助成金」■
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html

5 遺族年金制度の見直し

ある日の午後。総務部では、年末調整に向けた扶養の範囲確認が進められていました。新人の中村さんが、ふと気になったことを先輩の渡辺さんに尋ねます。内容は「遺族年金制度」に関することのようです。

中村:渡辺さんのお母さんって、今も遺族厚生年金をもらってるんですよね?

渡辺:うん。父が亡くなってからずっとだよ。もう5年以上になるかな。

中村:遺族厚生年金って、たしか「妻のほうが亡くなった場合、夫はもらえない」って聞いたことあるんですけど……何か不公平ですよね?

渡辺:今まではそうだったけど、今度の制度改正で変わるらしいよ。男女関係なく支給されるようになるみたい。

1)遺族年金制度の見直しとは?

従業員が亡くなると、従業員により生計を維持されていた家族には、厚生年金保険の「遺族厚生年金」が支給されます。優先順位は、

子のある配偶者・子 > 子のない配偶者 > 父母 > 孫 > 祖父母

で、最も優先順位の高い家族が受け取れます。

これまでの遺族厚生年金は、夫に先立たれた妻を主な対象としており、子のない配偶者が遺族厚生年金を受け取る場合、

  • 妻:配偶者の死亡時、30歳未満である場合は5年間の有期給付、30歳以上は無期給付
  • 夫:配偶者の死亡時、55歳未満である場合は給付なし、55歳以上は原則60歳から無期給付

というように、性別によって給付内容が異なりました。今回はこの点が改正され、

どちらも60歳未満は5年間の有期給付(配慮が必要な場合は継続給付。最長65歳まで)、60歳以上は無期給付

という運用に変わります。また、有期給付については収入要件の撤廃により、年収850万円以上の方も受け取れるようになります。

夫の場合は改正法の2028年4月から、妻の場合はまず40歳未満までを2028年4月から有期給付の対象とし、以後20年かけて段階的に年齢の引き上げを行います。

遺族年金制度の見直し

遺族厚生年金の他に、国民年金の「遺族基礎年金」についても改正があります。現行の制度では、子どもと生計を同じくする父または母がいる場合、子どもには遺族基礎年金が支給されませんが、2028年4月からは、一定の要件に該当した場合は、年金を受け取れるようになります。

遺族年金制度の見直し

また、遺族基礎年金では、18歳到達年度の末日までの子どもの数を基に「83万1700円+子の加算額」を受け取れますが、「子の加算額」も年間23万9300円(3人目以降は7万9800円)から28万1700円(一律)に増額されます。

2)会社の遺族補償制度との関係が複雑に……状況確認とマニュアル整備が不可欠!

遺族年金制度の見直しにより、保険給付を受けられる対象者の範囲が広がる半面、次のような問題が起きることも想定されます。

  • 遺族厚生年金を受け取っている家族が、扶養に入れなくなることがある
  • 「誰が対象で、誰が対象外か」が複雑化し、誤った説明をするリスクが高まる

会社が今のうちにやっておいたほうがいいこととしては、次のようなものが挙げられます。

1.従業員の被扶養者の状況確認

遺族年金(遺族厚生年金・遺族基礎年金)は、税法上は非課税所得ですが、社会保険上の被扶養者の判断においては収入とみなされます。今回の法改正によって、遺族年金の支給対象が広がるわけですが、結果として「これまで遺族年金をもらえなかった家族が、もらえるようになることで社会保険の扶養から外れる」というケースも考えられます。年末調整などにも影響しますので、従業員の被扶養者の状況は定期的に確認するようにしましょう。

2.社内制度との照合+従業員向け説明資料の見直し

多くの会社は遺族年金とは別に、弔慰金・死亡退職金等の社内制度を独自に設けています。その場合、遺族年金と社内制度とで、支給対象となる遺族の範囲や優先順位が異なるケースがあり、それが従業員の死亡時に混乱を招く恐れがあります。社内制度については、「誰が・いつ・どんな条件で支給対象になるか」を簡潔にまとめた説明資料を用意するなどして、「もしものとき」に適切な対応が取れるようにしておきましょう。

6 iDeCoの加入年齢引き上げ・企業型DCの拠出枠拡大

ある学習塾の職員室。来年度も再任用が決まったベテラン講師・高橋さんが、若手講師の相談を受けながら笑っています。内容は「iDeCo(イデコ)」に関することのようです。

若手:高橋先生、まだ現役なんですね! いつまで働く予定なんですか?

高橋:体が動くうちはね。最近は「年金 + 少し仕事」が一番いいと思ってるよ。iDeCoの掛金を増やそうと思ってるんだ。

若手:でも、iDeCoって60歳までしか入れないんですよね?

高橋:ああ、そうなんだけど、来年から変わるらしい。70歳近くまで入れるようになるとか。

1)iDeCoの加入年齢引き上げ・企業型DCの拠出枠拡大とは?

iDeCoは、従業員が自分で掛金を拠出して運用する、個人型の確定拠出年金です。現行の制度では、会社員(国民年金の第2号被保険者)の場合、iDeCoに加入できるのは65歳までですが、

2025年6月20日から3年以内に、加入可能年齢が70歳に引き上げ

られることになりました(追記:2025年12月24日「令和7年政令第442号」により、施行日は「2026年12月1日」に決まりました)。

企業型DCは、会社が掛金を拠出するものの、運用は従業員が自分の責任で行うという確定拠出年金です。企業型DCには、会社が拠出している掛金に、従業員自身が掛金を上乗せすることができる「マッチング拠出」という仕組みがあります。現行の制度では、従業員の掛金が会社の掛金を超えられないという制限がありますが、

2025年6月20日から3年以内に、この掛金に関する制限が撤廃

されることになりました(追記:2025年12月24日「令和7年政令第442号」により、施行日は「2026年12月1日」に決まりました)。

さらに、企業年金制度全体の透明性を高めるため、運用状況や残高をオンラインで確認できる「見える化」も進む予定です。これらの改正は、長く働く人の老後資金づくりを後押しするのが目的となっています。

iDeCoの加入年齢引き上げ

2)必要に応じて退職金制度や福利厚生の見直しを!

iDeCoや企業型DCの制度拡充によって、これらの利用が進むことが期待されますが、同時に会社においては、次のような問題が起きることも想定されます。

  • 従業員から「自分はiDeCoや企業型DCを利用できるのか」「他の会社は導入しているのに、なぜうちの会社では企業型DCを導入しないのか」などの問い合わせが増える
  • 投資未経験者には「損をするのでは?」という心理的ハードルがあり、制度を導入しても、社内で理解・利用が進まない可能性がある

会社が今のうちにやっておいたほうがいいこととしては、次のようなものが挙げられます。

1.退職金制度の見直し(必要に応じて)

現在、多くの会社が導入している退職金制度は、退職時に一括で支払う「退職一時金」ですが、企業型DCを導入した場合、退職金は年金で支払われるため、会社側の支払い負担は平準化されます。従業員アンケートなどで退職金制度に対する従業員のニーズを拾いつつ、会社側の人件費負担も考慮しながら、必要に応じて退職金制度の見直しを行いましょう。

2.従業員への説明 + 福利厚生の見直し(必要に応じて)

iDeCoや企業型DCについて、「投資は難しそう……」「運用に失敗したらどうしよう……」と不安を抱く従業員もいるでしょう。いきなり難しい投資の話をするのではなく、まずは「老後資金を国の制度で積み立てられる制度」である旨を伝え、苦手意識を取り払いましょう。最近は、iDeCoや企業型DCの将来的な受取額を試算できるシミュレーションシステムも多いので、こうしたものを従業員に勧めてみるのもよいでしょう。また、iDeCoについては、

拠出限度額の範囲(月額0.5万~2.3万円)で、iDeCoに加入する従業員の掛金に追加して、会社が掛金を拠出できる「iDeCo+(イデコプラス)」という制度

があるので、こうした制度を導入し、従業員の不安を軽減するのもよいでしょう。

以上(2025年12月作成)

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画像:beeboys-Adobe Stock

【税の勘所】押さえておきたい税金の「パーセンテージ」

1 押さえておきたい税金の「パーセンテージ」

この記事では、主な税金(法人税・所得税・消費税・相続税・贈与税)に関する「パーセンテージ」を整理します。

押さえておきたい税金の「パーセンテージ」

2 95%未満:消費税

95%未満は、消費税の仕入税額控除が一部できなくなる課税売上割合です。

課税売上割合とは、全体の売上高のうち、課税売上高(消費税が課される売上高)が占める割合で、消費税の仕入税額控除の計算などに使用されます。消費税の仕入税額控除の計算方法には、

  1. 全額控除方式:課税仕入れ等に係る消費税額の全額を控除
  2. 個別対応方式:課税仕入れ等に係る消費税額の一部を控除
  3. 一括比例配分方式:課税仕入れ等に係る消費税額の一部を控除

の3つがあります。

全額控除方式を適用することができるのは、課税期間における課税売上割合が95%以上で、かつ課税売上高が5億円以下の事業者に限られます。そのため、課税期間における課税売上割合が95%未満の場合、または課税売上高が5億円超の場合は、個別対応方式か一括比例配分方式のいずれかを利用することになり、課税仕入れ等に係る消費税額が一部控除できなくなります。

3 55%:相続税、贈与税

55%は、相続税と贈与税の最高税率です。

1)【相続税】相続税の最高税率

相続税の税率は、次の通り8段階に区分されており、最高税率は55%です。

相続税の税率

2)【贈与税】贈与税の最高税率

2015年以降の贈与税の税率は、次の通り「一般贈与財産」と「特例贈与財産」に区分されましたが、いずれのケースも8段階に区分されており、最高税率は55%です。

贈与税の税率

4 45%:所得税

45%は、所得税の最高税率です。

所得税の税率は、分離課税(株式等の譲渡で生じた所得などと、他の所得を分離して計算)に対するものなどを除くと、次の通り7段階に区分されており、最高税率は45%です。

所得税の税率

5 29.74%:法人税

29.74%は、法人実効税率(外形標準課税適用法人)です。

法人実効税率とは、法人税だけでなく、地方法人税、法人住民税、法人事業税の税率を考慮した、実際に法人が負担する税率です。法人実効税率は次の算式で計算されます。

法人実効税率

標準税率を適用した場合の今後の法人実効税率は次の通りとなります。

法人実効税率

6 15%(19%):法人税

15%(19%)は、法人税の軽減税率です。

普通法人で資本金が1億円以下の法人(中小法人)の場合、年800万円以下の所得金額部分については、通常よりも低い税率(軽減税率)が適用されます。ただし、資本金が1億円以下でも、資本金が5億円以上の法人と完全支配関係にある場合、軽減税率が適用されません。

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以上(2025年11月更新)
(監修 辻・本郷税理士法人 税理士 安積健)

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画像:Dilok-Adobe Stock

これからの不動産の在り方。箱としてのビジネスでありながら、人のぬくもりがある。リクリー髙室氏が語る、不動産価値の再創造と「投資」としての新しいオフィス戦略/岡目八目リポート

年間1,000人以上の経営者と会い、人と人のご縁をつなぐ「代表世話人」杉浦佳浩さん。ベンチャーやユニークな企業の目利きとして知られる杉浦さんが今回紹介するのは、Reqree(リクリー)株式会社(以下「リクリー社」)代表取締役の髙室 直樹(たかむろ なおき)さんです。

不動産という「箱」を扱うビジネスでありながら、確かな「人のぬくもり」が通っている。髙室さんの話から、そのことがとても印象に残っています。

不動産はこれまで、「立地」「建物のスペック」そして「賃料」という3つの要素で評価されるのが当たり前でした。しかし、リクリー社はそこに「人の介在」という新しい視点を加えることで、物件が持つ価値を再定義しています。大手デベロッパーや不動産ファンド、そして今、地域の未来を担う金融機関からも注目を集めるリクリー社の取り組みについて、じっくりとお話を伺いました。

1 価値の再創造を目指す「リクリー」の原点

髙室さんはまず、社名に込めた想いから教えてくれました。

「『リクリー』という社名は、不動産の価値を再創造するという意味の英語『Recreate』に由来しています」

リクリーの原点

(出所:リクリー株式会社コーポレートサイトより)

リクリー社は、主にプライム市場上場のデベロッパーや、国内外の不動産ファンドを運営するアセットマネジメント会社をクライアントに持ち、オフィスビルや賃貸レジデンスの収益を最大化する支援を行っています。

ただし、リクリー社が行っているのは、単なる建物の改修やデザインではありません。オーナーが取得した物件に対し、どのようにハードとソフトの両面から付加価値を付け、長期的な収益を生み出すか。そのための全体的なディレクションを一手に引き受けています。

具体的な事例として髙室さんが教えてくれた西新宿(東京)のオフィスビルの話は、とても驚きでした。新宿駅から徒歩約15分、1990年竣工という、スペックだけを見れば決して恵まれた条件ではない物件です。しかし、リクリー社が介在することで、このビルは驚くべき変化を遂げました。髙室さんは西新宿のオフィスビルの賃料について次のように言っています。

「以前は坪単価18,000円から20,000円程度だった賃料が、現在では約33,000円から36,000円で契約されています」

賃料が約1.8倍という、不動産マーケットの常識では考えにくい賃料の数字。これを実現したのは、リクリー社が提唱する「これからの不動産に求められる価値」でした。この約1.8倍の賃料を実現できるようになった「付加価値がどのようなものか」は、後ほどご紹介します。

リクリーの実績

(出所:リクリー株式会社の資料から抜粋)

2 不動産収益を最大化する「3つのサービス」

リクリー社がサービスを提供するのは、「不動産収益を最大化する」のが目的です。サービスは、大きく3つの柱「企画コンサルティング」「オペレーションマネジメント」「プロモーションコンサルティング」で構成されています。

1)企画コンサルティング

1つ目は「企画コンサルティング」です。運営やリーシング(賃貸募集)の視点から、物件にどのような機能を持たせるか、どこに何を配置しどのように運営していくかなどをディレクションしていきます。例えば、先にお伝えした西新宿のビルでは、壁を取り払ってラグジュアリーな「ビジネスラウンジ」を設け、さらにワークアウト(ジム)エリアやゴルフブース、シャワールームまで、テナントが共有で使える充実した設備を配置しました。

さらに、この西新宿のビルで注目なのは「セットアップオフィス」という提供形態です。「通常、オフィスを借りる場合はテナント側が内装工事を行いますが、当社が行っているのはあらかじめ内装を仕上げた状態で貸し出す方式です。入り口を入るとテレブースやミーティングスペースなどが最初から備え付けられていて、テナント側が自分たちで作れば数千万円かかるような設備が整っています」と話す髙室さん。

セットアップオフィスは、スピード感を重視する成長企業にとって、初期投資を抑えつつ一等地のオフィス機能を享受できる極めて合理的な仕組みです。また、屋上には「ルーフトップテラス」もあり、夜は美しくライトアップされます。

「夏にはビールサーバーを用意して交流会を開き、1階のラウンジでもコミュニティマネージャーがケータリングやドリンクを用意してテナント間の交流会を開催することもあります」

オフィスが単なる仕事場ということではなく、チームでコミュニケーションが図れる企画や他社とも交流を図れる企画があるのは、オフィスで働く社員が意欲的になるためにとても効果があります。こうした社員満足度の向上につながる付加価値があるため、約1.8倍の賃料約33,000円〜36,000円が実現できているのだと思います。そしてポイントとなるのは「コミュニティマネージャー」の存在です。これは2つ目のサービス「オペレーションマネジメント」で登場してきます。

2)オペレーションマネジメント

リクリー社では、物件に正社員の「コミュニティマネージャー」を常駐させ、内覧時のアテンドから入居後のイベント企画、日々のきめ細かな受付対応までを担います。内覧時のアテンドでは、さまざまな付加価値のある機能を分かりやすく伝えるためにトークスクリプトも用意されています。

入居後も、例えばコーヒーマシンのメンテナンスや美観管理、イベント企画などを行い、ゲスト対応も含めた共有スペースの運営も対応します。どんなに豪華な箱を作っても、そこに「人」がいなければ、ただの無機質な空間で終わってしまいます。コミュニティマネージャーの常駐は、まさに「人のぬくもり」が感じられるサービスといえます。これは、これからの不動産に欠かせないサービスに思えます。

オペレーションマネジメント

(出所:リクリー株式会社の資料から抜粋)

3)プロモーションコンサルティング

オフィスビルの新しい付加価値の魅力を伝えることも大事です。リクリー社では、そうした「プロモーションコンサルティング」も行っています。髙室さんはこう言います。

「従来の比較表には載らない付加価値を、パンフレットやウェブ、SNSを通じて正しく伝えていく。そうでなければ、他物件と比べて賃料だけが高く見えてしまい、魅力が伝わらないからです」

企画コンサルティング、オペレーションマネジメント、プロモーションコンサルティング。この3つのサイクルが回ることで、不動産という「箱」に命が吹き込まれ、他にはない「付加価値」が生まれるのだと感じました。なんといっても、魅力的なオフィスは、そこで働く社員にとって大きな効果があります。そろそろ多くの経営者が、オフィスの価値向上の意義に気づき始めているのではないでしょうか。

3 従来の常識を覆す「6つの価値軸」

髙室さんは、不動産の評価軸を従来の「立地・建物・価格」の3軸に、さらに3つの「新価値軸」を加えた「6軸」で捉え直しています。

【3つの新価値軸】

  • 合理的価値: 豪華なラウンジやジムをビル側が用意し、各テナントが共有することで、自前で用意する場合と比較して圧倒的なコストメリットを提供すること。
  • 機能的価値: コロナ禍を経て多様化した働き方に対応し、集中もリラックスも、そして交流もできる環境を機能的に整えること。
  • 感情的価値: コミュニティマネージャーの挨拶や何気ない会話、交流会などを通じて生まれる、人との心地よいつながりがあること。

特に「感情的価値」について、髙室さんはこう言います。

「通常のオフィスビルは鉄とコンクリートとガラスでできた無機質な空間で、入っただけで笑顔になることはあまりありませんが、コミュニティマネージャーが『こんにちは』『おはようございます』と声を掛けることで、緩やかな人とのつながりが生まれます」

この視点、何かハッとさせられるところがあります。鉄とガラスの「箱」に「挨拶」というぬくもりが加わるだけで、そこは人が生き生きと働く温度感のある場所に変わるのです。この「感情的価値」こそが、リクリー社が選ばれ続ける真の理由だと確信しました。

これからのビルの価値軸

(出所:リクリー株式会社の資料から抜粋)

4 「ハイエンドオフィスビル」という新ジャンル

先ほども少し触れましたが、経営者がオフィスに求めるニーズは劇的に変化してきています。髙室さんは、現在のニーズを

「採用強化(リクルート)」「エンゲージメント強化」「エンパワーメント」の3点

に集約しています。

優秀な人材を採用するために魅力的な空間を整え、社員が「ここで働きたい」と心から思える環境を作る。そして、異なる知識や人が交流することで、AI時代に不可欠なクリエイティビティを引き出す場にする。

リクリー社では、これら3点に寄与するオフィスを「ハイエンドオフィスビル」と呼び、新しい賃貸オフィスのジャンルとして提供しています。

「オフィスを単なるコストではなく投資と捉え、賃料という形でその投資をしていただくという考え方です」

この髙室さんの一言は、全ての経営者に刺さる言葉ではないでしょうか。オフィスを「削るべき固定費」と見るか、「成長のための投資」と見るか。この意識の差が、これからの企業の競争力に大きな差を生むのだと思います。

ハイエンドオフィスビル

(出所:リクリー株式会社の資料から抜粋)

5 住まいに「つながり」を。賃貸レジデンスでの新しい豊かさの形

リクリー社が扱っているのはオフィスビルだけではありません。同社の考え方は、賃貸レジデンス(マンション)においても大きな力を発揮しています。

水天宮前(東京)にある事例では、単身者向けのワンルームマンションに、入居者専用のビジネスラウンジを設けました。

在宅勤務が広がる中、狭い自室で一人、朝から晩まで仕事をするのは、精神的にも決して楽なことではありません。しかし、1階に降りれば快適なラウンジがあり、そこにはコミュニティマネージャーがいます。髙室さんはコミュニティマネージャーのいる効果について、次のように話してくれました。

「人は社会的な生き物なので誰かと話すことが大切です。無機質なワンルームではご近所 付き合いも少なく孤独になりがちですが、1階にコミュニティマネージャーがいれば 『今日は在宅なんですね』といった何気ない会話が生まれます」

リクリー社の賃貸レジデンスでは、屋上で花火を見ながらのビール会など、緩やかなつながりを作るための交流会も開催されています。

また、コスト面でも、ラウンジやジムを活用することで、外部のコワーキングスペースやフィットネスジムに通う費用と時間を節約でき、極めて「合理的」な住まい方となっています。「住む場所」に「働く機能」と「人のつながり」が加わる。これは、これからの時代の住まいのスタンダードになる、そうなったら理想的だと感じます。

6 感情的価値の担い手「コミュニティマネージャー」の重要性

リクリー社の付加価値の核心を担うのは、間違いなく、物件に常駐するコミュニティマネージャーの方々です。髙室さんは、コミュニティマネージャーの方々を単なる「受付」とは定義していません。

リクリー社におけるコミュニティマネージャーの定義は、非常に志の高いものです。

「関わるすべての人への感情的価値を、人間関係の価値まで昇華させ、人生に彩りを与え、可能性を最大化する価値ある存在」

この定義を体現するために、リクリー社では非常に質の高い、独自の研修プログラムを多数用意しています。

「ビジネスマインド、経営者としての視点、コミュニケーション能力、信頼関係の構築、タイムマネジメントなど、さまざまな研修を行います。さらに、外部講師による認知科学の研修など、考え方や解釈力、視野を広げるための研修も取り入れています」と髙室さん。かなり分野が幅広いことが分かります!

単なる接客スキルの向上ではなく、入居企業や個人の可能性を広げる「エンパワーメント」を目指す。そのための教育に心血を注いでいるからこそ、リクリー社が手がける物件には、他には真似できない「人の温度」が宿っているのです。

コミュニティマネージャーの方に対するテナントおよびテナントオフィスメンバーの声を見てみましょう。心から喜んでいる様子がよく分かると思います。

コミュニティマネージャー

(出所:リクリー株式会社の資料から抜粋)

7 地域金融機関が自ら取り組む「地域貢献と収益」の新しい形

そして、このリクリー社の取り組みは今、金融機関にとっても大きなヒントとなっています。

例えば、石川県の北國銀行や、大阪の大阪シティ信用金庫など、地域の雄である金融機関が、自社ビルの建て替えや活用においてリクリー社をパートナーに選んでいます。

銀行の店舗は街の一等地にありますが、時代の変化とともに余剰スペースが課題となっています。そこを単なる「貸しスペース」にするのではなく、地域に新しいビジネスの風を吹き込み、人々が集う「公共性」のある場へと再構築する動きが加速しています。

髙室さんは、設計段階から運営を見据えたアドバイスを行っています。音漏れを防ぐための換気ダクトの位置や、内覧時の導線など、実際の現場でしか分からないようなことをしっかり提供しています。

「金融機関は利益だけでなく地域社会への貢献も重要です。そのため、シェアオフィスやビジネスラウンジを作ることで地域に貢献しつつ収益も得られる方法として関心が高まっています」

そう語る高村さん。この取り組みは、全国の金融機関にとって「自分たちも地域のために何ができるか」を考える際、かなり具体的な解決策になるはずです。地域に新しいビジネスが育つ場所を生み出し、そこから未来の顧客を創出していく。それこそが、特に地域の金融機関が果たすべき本来の役割ではないでしょうか。

8 不動産の未来に流れる「人のぬくもり」

髙室さんのお話を伺って、不動産の価値を最後に決めるのは「そこに流れる人の時間である」ということが、改めて感じられます。

建物のハードウェアは、完成した瞬間から経年劣化が始まります。しかし、そこで提供されるホスピタリティや、育まれる人間関係は、教育や工夫、そして情熱次第で、どこまでも磨き続け、価値を高めることができます。

「建物のハードは作ったときがピークで経年劣化していきますが、ホスピタリティやお客様との関係性はどこまでも向上させられると考えています」

髙室さんのこの言葉は、不動産業界のみならず、全てのビジネスに対しての“力強いエール”のように聞こえます。

リクリー社の不動産の付加価値を高める方法は、経営者にとっては「社員の可能性を育てる投資」として、金融機関にとっては「地域を豊かにするプラットフォーム」となります。「箱」としてのビジネスでありながら、人のぬくもりがある。リクリー社が取り組む「不動産の再創造」は、これからの日本における働き方、そして社会のあり方を、優しく、力強く示してくれていると感じました。

髙室さん、そしてリクリー社の皆さま、新しい不動産の考え方を本当にありがとうございます!

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2025年11月には、リクリー社の公式Instagramが開設されています! このお知らせは下記からご確認いただけます。Instagramでは、物件の素晴らしさが具体的に分かります!

https://reqree.co.jp/news/581/

              

以上(2025年12月作成)