【書籍ダイジェスト】『南緯69度のチーム 南極地域観測隊』

本書では、第60次南極地域観測隊で副隊長、第66次隊で隊長を任された原田尚美氏が、日本国内での準備・計画、実際に南極に到着してからの活動の詳細について、リーダーシップやチームビルディングのコツなどを含めて語っている。
南極地域観測隊は、長期プロジェクトでありつつも、隊員が毎年選出され、さまざまな分野のプロフェッショナルが集まり互いに協力して成果をめざすところに特徴がある。

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問題社員との上手な別れ方 「すぐ解雇」より「手順」が大事

1 問題社員と別れるための現実的な対応は?

世の中には、遅刻や無断欠勤を繰り返す、指示に従わない、注意しても改善が見られない――そうした「問題社員」が少なくありません。こうした問題社員を抱える経営者の本音は、言葉を選ばずに言えば「できることなら、早く辞めてもらいたい」というところではないでしょうか。

しかし、日本の労働法制のもとでは、解雇のハードルは決して低くありません。なかでも懲戒解雇は、有効と認められるための要件が非常に厳しいのです。仮に解雇に踏み切っても、後になって無効と判断されれば、遡っての賃金支払いや復職対応など、会社にとって大きなリスクを抱えることになります。

だからこそ実務では、

いきなり解雇を目指すのではなく、注意・指導を重ねながら、最終的には合意退職という形に落ち着ける、という進め方

が広く行われています。この記事では、社会保険労務士の視点から、そうした現実的な対応の進め方を、架空の事例を交えながら整理します。

2 【事例】勤務不良の社員と穏便に別れるには?

1)勤務不良が続く社員と穏便に別れたい

勤怠不良が続く社員への対応を、できるだけ穏便な形で進めるというケースを想定します。

【状況】
社員15名の製造業A社。営業職のBさん(30代)は、入社3年目から遅刻・無断欠勤が目立つようになった。注意しても改善がなく、他の社員からの不満も出ている。就業規則には懲戒事由の記載があるが、Bさんはギリギリ該当しない状況。社長は「できれば穏便に辞めてもらいたい」と考えている。

月に何度も遅刻がある、欠勤の連絡が遅い、無断欠勤に近い状態がある。これらは現場の不満がたまりやすい典型例です。会社として、どのように対応を進めていけばよいのでしょうか。

2)いきなり解雇に踏み切るのはリスキー

結論から言えば、Bさんのようなケースでは、いきなり重い処分に進むのではなく、まずは事実を整理し、注意を明確にした上で、改善を求めていくのが基本です。

遅刻や無断欠勤の事実があったとしても、それによる会社への被害状況を考慮しなくてはならないので、この事例では一概に懲戒事由に該当していると判断することは難しいといえます。そのため、仮に解雇を検討するとしても、制裁的な性格を持つ懲戒解雇ではなく、能力不足や勤怠不良などを理由とする普通解雇が対象になります。ここで解雇の種類を改めて整理しておきましょう。

(図表1)【3種類の解雇】

概要 特徴
1.懲戒解雇 横領、暴力、重大なハラスメントなど、極めて悪質な規律違反や非行があった場合に社員を解雇する 最も重い懲戒処分。それゆえに有効と認められるハードルが非常に高く、最初から懲戒解雇のみを見据えて処分を進めるのはリスクが高い
2.諭旨解雇 本来は懲戒解雇もあり得る社員に対し、会社が反省や情状を考慮して退職届の提出を促し、応じなければ解雇する 懲戒解雇を検討する前段階で選択肢の1つとして考えられることも多く、中小企業の実務では比較的現実的な対応になりやすい
3.普通解雇 遅刻や欠勤の繰り返し、勤務態度不良、能力不足、業務命令に従わないことなどを理由に社員を解雇する 能力不足のように目に見えにくい事情が背景にある場合、解雇に踏み切る前に、本人を指導して問題点を理解させたり、配置転換などを検討したりする必要がある

(出所:筆者作成)

普通解雇であっても、その有効性は裁判で厳しく判断されます。仮に解雇に踏み切り、後から無効と判断されれば、次のようなリスクを抱えることになります。

  • (バックペイ)「解雇した日~裁判や和解が決着した日」までの期間について、賃金を遡って支払わなければならなくなることがある(併せて社会保険料も発生する)
  • (職場環境の悪化)問題社員が解雇無効で復職してくる場合、復職後の配置や人間関係をめぐって職場環境が不安定になりがち。結局、解決金等の条件調整を経て退職に至ることが多い
  • (時間や労力の浪費)解雇をめぐる争いでは、書類の準備、弁護士との打ち合わせ、エビデンスの整理、期日対応など、想像以上に時間がかかることが多い
  • (遡及手続きと費用)退職手続きを既に行っていた場合、各種手続きを遡って取り消さなければならず、労働保険料なども遡って支払う必要が出てくる

こうしたリスクを踏まえ、A社は懲戒解雇や普通解雇をすぐに目指すのではなく、

注意や指導を重ねた上で、最終的に合意退職という選択肢も取り得るかを見ながら進める

ことにしました。実際の対応を見てみましょう。

3)Bさん、その後の対応

Bさんの遅刻はその後も繰り返され、顧客への返信漏れや上司への報告の遅れも重なっていきました。A社は当初、口頭注意にとどめていましたが、

取引先からのクレームが重なった段階で、注意書を交付し、1カ月間の改善目標を設定

しました。その後も改善が乏しかったため、面談の機会を設けて業務の優先順位や報告のルールを文書で再提示しました。さらに配置の見直しも試みましたが、改善は見られませんでした。最終的に「このまま在籍を続けるより、退職条件を整理した上で合意退職という形を検討するほうが、双方にとって現実的ではないか」と提案するに至りました。

このケースで大切なのは、最初から退職の話に進んでいないことです。まず注意書で

  • 遅刻の回数と日時
  • 顧客返信漏れの内容
  • 報告がなかった案件

を具体的に示し、併せて「今後は始業時刻を守ること」「顧客メールは当日中に一次返信を行うこと」「日次で上司に進捗報告をすること」といった改善項目を期限付きで明記します。報告書や顛末書の提出を求めることも考えられます。その上で、改善が見られなければ、人事上の配置・役割の見直しや今後の雇用継続について協議する可能性がある旨も添えておきます。こうしたこまめな対応が、実務上は非常に重要です。

残しておきたいエビデンスとしては、

勤怠記録、遅刻時の連絡履歴、取引先からのメールやクレーム記録、上司との面談メモ、注意書の交付記録、チャットや日報、そのほか顛末書や自戒のための誓約書など

が挙げられます。

「何度も注意した」という感覚だけではなく、「いつ、何を、どう伝えたか」を残しておくことが最終的に会社を守ることにつながります。また、Bさんのようなケースでは、顧客対応の不備が続くことで、本人だけでなく部署全体の信頼にも影響が及びます。そのため、本人への注意と同時に、現場へのフォローや引継ぎの準備も並行して考えておくことが、管理側としては重要になります。

4)退職時の条件面は最後にきちんと整える

円満に進まない可能性もあるため、あとで問題が蒸し返されないよう、条件面を整理しておくことも大切です。退職の話し合いでは、退職日、有給休暇の扱い、貸与物の返還、秘密保持に関する確認事項、今後の連絡方法などを明確にしておくことが考えられます。この場面でも、書面で確認しながら進めることが望まれます。

また、退職となる社員が営業職のように取引先を担当している職種や管理業務を担う立場の場合は、退職日の決め方ひとつで現場の負担が大きく変わります。引継ぎ資料の作成、取引先への連絡の順番、社内アカウントの停止時期なども含めて整理しておくと、退職後の混乱を防ぎやすくなります。

5)事例から見える、実務で大切な4つのポイント

Bさんのケースを振り返ると、実務で大切なのは、次の4つの「前段階」の積み重ねです。

1.口頭注意だけで終わらせない

現場で社員が非違行為をした際、口頭注意だけで終わってしまうとエビデンスが残らないため、あとで会社の対応が見えにくくなります。そこで注意をしたら、注意書を出す、面談をしたらメモを残す、といった後で確認できる形で残すことが大切です。

今回の事例では「就業規則の懲戒事由にはギリギリ該当しない」と記載がありましたが、仮に就業規則を作成しておらず、対応を急ぐ場合には、このような注意書等が当該社員との約束事となりますので、非違行為を就業規則に代わって明示することになります。

2.改善点はできるだけ具体的に伝える

「気を付けてください」だけでは、本人も何をどう直せばよいのか分かりません。例えば、遅刻の問題なら始業時刻を守ること、遅れる場合の連絡方法、再発防止策をいつまでに出すかなどを、目に見える形で提示します。改善点は、行動レベルまで落とし込むことが大切です。

3.確認日を決めて変化を見る

注意したまま時間が流れてしまうと、次の対応に進みにくくなります。1カ月後など日にちを区切り、次回の面談で確認することをルールにしておくことが大切です。改善の機会を設け、その結果を見て次を考えます。この流れができると、本人にも会社にも納得感が生まれやすくなります。また、少しでも前向きな変化が見えたときは、その点も記録に残しておくと、注意一辺倒ではない丁寧な対応として伝わりやすくなります。

4.面談は「追い込む場」ではなく「整理する場」にする

面談の場で感情的になってしまうと、社員が会社に不信感を抱き、話し合いが難航します。会社が困っている事実、これまで求めてきた改善点、現時点で変わっていない点を、落ち着いて整理して伝えることが大切です。「何が問題なのか」「いつまでにどう変わってほしいのか」「変化が見られない場合には、今後の配置や役割、雇用継続のあり方を検討する可能性があるのか」を、冷静に確認する姿勢が、結果として会社を守ることにつながります。

3 トラブルを防ぐための実務のポイント

1)就業規則や書式の整備を日ごろから進めておく

このような退職にかかわる場面はトラブルになりやすいため、日ごろからの備えが最も重要です。退職の根拠となる就業規則や雇用契約書に加え、手続面で用いる確認書、注意書、面談記録の様式などが整っていると、対応のぶれを小さくすることができます。

特に中小企業では、対応する上司や担当者によって言い方や運び方が変わりやすいため、あらかじめ使う書式や流れを揃えておくことが、結果としてトラブル予防につながります。

2)時間と金銭の組み合わせ(対応方法の考え方)

これまで述べてきた手順を踏むことでリスクを小さくしていくことは大切ですが、社員側も退職後の生活を考えているため、直ちに退職を受け入れないケースもあります。そこで、時間的な猶予と金銭的な条件を組み合わせて提示することで、合意退職に向けた話し合いが進みやすくなる場合があります。

時間と金銭の組み合わせ

図のイメージは次のようになっています。

  • 左下(赤):時間も金銭もほとんどかけずに即時に退職を迫る
  • 左上(橙):ある程度の条件調整を行いながら、比較的早めに整理を目指す
  • 右下(青):一定期間雇用を継続するが、出勤は停止(免除)して、転職支援などを組み合わせながら、次の進路を考える時間をとる
  • 右上(緑):時間面と金銭面の両方から支援する条件を提示することで、合意退職に向けた話し合いを進めやすい状態をつくる

もっとも、この図はあくまで考え方の整理です。実際の対応では、非違行為の内容や回数、会社への影響だけでなく、当該社員の役職、勤続年数、家族の状況などの事情も踏まえて、どの程度の時間をかけるのが適切か、どのような条件調整や配慮が現実的なのかを見極めることになります。必要に応じて、外部専門家への相談を検討する場面も出てくるでしょう。

例えば、勤続年数が長く、家計を支える立場にある社員に対しては、急ぎすぎる進め方をすると、強い反発を招く恐れがあります。

反対に、再就職が比較的容易と考えられる職種や年齢層であれば、時間的猶予を与えることが、必ずしも有効な条件になるとは限りません。また、役職者である場合には、周囲への説明や権限の外し方まで含めて、慎重に段取りを組む必要があります。

このように退職における条件調整を考える場面では、金銭面だけで解決を急ぐのではなく、引継ぎ期間の設定、有給休暇の消化方法、再就職活動に配慮した日程調整など、時間面の配慮を組み合わせることも選択肢になります。

ただし、常にこの組み合わせで対応しようと考えてしまうと、「強く争えば何らかの条件上乗せが得られる」と他の社員に受け取られるおそれがあります。そのため、慎重に進めつつも、非違行為の内容次第では毅然とした対応を取る必要があることはいうまでもありません。

3)実務上のポイント

  • 就業規則や雇用契約書で非違行為について、明確にしておくこと
  • 問題が起きたら、口頭注意だけで終わらせず、注意書や面談記録を残すこと
  • 改善点は、できるだけ具体的に伝えること
  • 注意や面談の機会を設けたら確認日を設定し、改善の有無を見ながら次の対応を考えること
  • 最初から強い処分にこだわらず、最終的に合意退職に向けた話し合いができる状態を整えること

4 結局、大切なのは「退職の前段階の対応」

問題社員対応では、最後にどのような結論になるかということ以上に、

その前段階でどのような注意・指導を行い、どのような手続きを踏んできたか

が大切です。対応を急ぐあまり、手順や説明の整理が不十分なまま進めてしまうと、かえって会社側の負担が大きくなることもあります。だからこそ、強い対応を急ぐのではなく、まずは事実と経過を丁寧に整理し、段階を踏んで進めることが求められます。

実際には、「この段階で注意書を出してよいのか」「面談ではどこまで伝えるべきか」「配置の見直しを先に検討すべきか」「退職勧奨を視野に入れるのはいつ頃か」といった判断に悩む経営者は少なくありません。こうした場面では、早い段階で現状を整理し、実務上の進め方や選択肢を確認しておくことで、不要な混乱や感情的な対立を避けやすくなります。

特に中小企業では、ひとつの対応が職場全体の空気や今後の人材定着にも影響しやすいものです。問題が大きくなる前に、注意の進め方、記録の残し方、面談の組み立て方、今後の選択肢の整理まで含めて、一度専門家と一緒に見直してみるのもよいでしょう。

なお、この記事では問題社員対応における退職を中心に扱いましたが、他にもメンタルヘルス不調や私傷病により復職が難しい場合など、解雇や退職を検討する場面は様々あります。そのような場面では、注意書による対応が前提にならないこともありますし、「時間と金銭の組み合わせ」の考え方も異なってくる可能性があります。それでも、

何を根拠に、どのような説明と手続で進めるかという基本は共通

しています。そうした意味でも、平時から対応の指針を定めておくことが重要です。

以上(2026年8月作成)

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画像:ChatGPT

【朝礼】相手の立場に立つことで指導が生きる

【ポイント】

  • 厳しい言葉で指導されると、失敗を反省するよりも、怒られたことばかりに気持ちが向いてしまうもの
  • 部下に厳しい言葉を使ってしまったときは、時間を置いて指導の意図を説明すること
  • 部下は、少し時間を置いてでも、指導を受けた内容を振り返ってみよう

先日、上司から叱られて、ひどく落ち込んでいる社員を見かけました。その社員は恐らく、上司から叱責されたことに対して、自分が否定されたような気持ちになったのだと思います。私にも経験がありますが、「どうしてこんなことができないんだ!」といった厳しい言葉で指導されると、指導の原因となった失敗について反省するよりも、怒られたことばかりに気持ちが向いてしまうものです。とはいえ、指導は今の仕事ぶりを見直して、今より成長するための大切な行程。コミュニケーションのすれ違いで成長のチャンスを逃すのはあまりにもったいないことです。そこで、今日は上司の皆さんと部下の皆さん、それぞれに押さえてほしい指導のポイントをお伝えします。

まず、上司の皆さん。今から行おうとしている指導は、厳しい言葉でないと伝わらないのかということを、事前に考えるようにしてください。言葉を吟味せずに、厳しい言葉で指導するだけでは部下に伝わらないことが少なくないのです。もし、思わず厳しい言葉を使ってしまったときは、時間を置いて指導の意図を説明してあげてください。短い説明であっても、「ひどく注意されてしまった」と悶々としていた部下の心は晴れ、指導を素直に受け入れてくれる心の余裕が生まれます。

そして、部下の皆さん。なぜ上司がそれほど厳しい言葉で指導したのか、考えてみてください。あなたがそれほど厳しい言葉で指導を受けたのは、「これくらいの仕事はきっちりと責任をもって果たしてほしい」という上司の期待のあらわれです。ですから、決して、表面上の言葉だけをとらえて、落ち込むことはしないようにしてください。厳しい言葉で指導された直後は冷静になれないこともあるでしょうが、少し時間を置いて、指導を受けた内容を振り返ってみてください。指導を受けた直後には気付かなかった上司の真意に気付くことができるはずです。

上司、部下とも、相手の立場に立って、指導をしたり、指導をされたりすることで、自分の真意を伝え、相手の真意を理解することができます。当たり前のことのようですが、いま一度、この点を心に留めておくことで、上司として、また部下として成長することができるはずです。

以上(2026年8月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

地域資源×DXで挑む!地方中小企業が拓く持続可能な新市場【経営者とっておきニュース】

全国各地で、伝統産業や地域特有の資源にデジタル技術(DX)を掛け合わせ、新たな顧客層を開拓する中小企業の動きが加速しています。地方の製造業者や農畜産業者が、ECサイトの構築やSNSマーケティング、データに基づく生産管理を導入することで、これまでアプローチが難しかった都市部や海外市場への直接販売を成功させる事例が増加中です。単なる省力化にとどまらず、地域の魅力をストーリーとして発信し、高付加価値なブランド戦略を展開する取り組みが、地域経済の新たな活力として大きな注目を集めています。

こうした動きの背景には、国内市場の縮小や人手不足といった構造的な課題に加え、消費者の意識変化があります。現代の消費者は、単にモノを買うだけでなく、「購買を通じた地域貢献」や「商品の背景にあるストーリー」を重視する傾向(エシカル消費)を強めています。従来の元請け依存や中間流通に頼るビジネスモデルでは利益率の確保が難しくなった中小企業にとって、自社で顧客と直接つながるD2C(Direct to Consumer)化は急務となっています。

この取り組みが業界や地域に与える影響は多大です。第一に、中間コストを削減することで高い利益率を確保でき、浮いた資金を商品開発や従業員の賃金還元に回す好循環が生まれます。第二に、サプライチェーン全体において、需要予測データに基づく生産が可能となり、廃棄リスクや在庫コストの低減につながります。

さらに、地元経済への波及効果も無視できません。成功事例が生まれることで、周辺事業者とのコラボレーションや地域ブランド全体の認知度向上が期待できます。課題としては、デジタル人材の不足や初期投資の負担が挙げられますが、自治体や公的支援機関の補助金・伴走支援を活用することで、着実にハードルを乗り越える企業が増えています。

今後は、単独企業でのDX推進にとどまらず、地域内の複数企業や異業種が連携した「地域一体型のデジタルプラットフォーム」の構築が進むと予測されます。データを共有し、地域全体で観光・特産品・体験型コンテンツをパッケージ化して発信する取り組みが標準化していくでしょう。

他地域のビジネスパーソンが明日から意識すべき視点は、「自社の強み(地域資源・技術)をデジタルという言葉(ストーリー)で翻訳し直すこと」です。既存の技術や商品そのものを大きく変える必要はありません。「誰に、どのような価値として届けるか」の視点を切り替え、適切なデジタルツールで発信することこそが、地域や規模を問わず次の成長を引き寄せる最大の鍵となります。

 

【ご注意点】この記事は生成AIを活用して作成したものです。文章の正確性は保証されておらず、誤りが含まれる場合があります。詳細については参照URLの情報を必ずご確認ください。

■中小企業基盤整備機構「中小企業のDX後押し DX認定セミナー開催」■
https://j-net21.smrj.go.jp/news/bt5puv000000p1yy.html
■近畿経済産業局「堺DX推進ラボ DX認定セミナー2026~DX戦略から、AI実装まで。 中小企業のDX、はじめの一歩。~」■
https://www.kansai.meti.go.jp/2-7it/k-IoTsuisin/260805_dxseminar/260805_dxseminar.html

以上(2026年8月作成)

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画像:terovesalainen-Adobe Stock

家業の資源で挑む新事業!「アトツギ甲子園」第7回募集のポイント【経営者とっておきニュース】

経済産業省中小企業庁は、中小企業の後継予定者が既存の経営資源を活用した新規事業アイデアを競うピッチイベント「第7回アトツギ甲子園」のエントリー受付を、8月3日より開始します(締め切りは11月25日)。

対象は39歳以下の後継予定者で、親族外承継も対象に含まれます。書類審査を通過した応募者は、全国6ブロックで開催される地方大会へ進み、勝ち抜いたファイナリストが2027年2月に都内で行われる決勝大会に挑みます。また、8月末には支援者や若手後継者が一堂に会するキックオフイベント「アトツギSUMMER CAMP」も開催されます。

日本全国で中小企業の高齢化と後継者不足が進む中、単なる事業の継続にとどまらない「第二の創業」としての事業承継が強く求められています。従来型の事業を引き継ぐだけでは、市場の縮小や急速な環境の変化に対応しきれないケースが増えているためです。こうした背景のもと、本イベントは若手後継者の戦略立案能力や実行力を養い、既存の技術や顧客基盤といった地域資源を活用したイノベーションを後押しする狙いがあります。

この取り組みは、地元の伝統産業や地場企業に新たな価値をもたらす大きなメリットがあります。若手の柔軟な発想によって新商品や新サービスが生まれることで、自社の売上向上にとどまらず、地域のサプライチェーン全体に刺激を与え、地元の雇用創出や活性化へと波及するためです。

一方で、既存の社内文化やベテラン社員との意見対立を乗り越える社内コミュニケーションの確立や、新規事業を軌道に乗せるための資金調達・伴走支援体制の確保といった課題も存在します。地元の自治体や金融機関による継続的なサポート体制の構築が不可欠となります。

「アトツギ甲子園」のような挑戦の場が定着することで、地域経済を牽引する次世代リーダーの育成が加速度的に進むと見込まれます。旧来のビジネスモデルからの脱却を目指す動きは全国各地へと広がり、地方発のイノベーション事例が益々増加していくでしょう。

他地域のビジネスパーソンにとっても、本施策から得られる教訓は明確です。それは「既存の経営資源×客観的・先進的な視点」こそが、競争優位性を生み出す源泉になるという点です。自社が当たり前に持っている強みや資産を再定義し、時代の変化に合わせてどう再構築できるかという問いを、常に持ち続けることが持続的成長の鍵となります。

 

【ご注意点】この記事は生成AIを活用して作成したものです。文章の正確性は保証されておらず、誤りが含まれる場合があります。詳細については参照URLの情報を必ずご確認ください。

■中小企業基盤整備機構「第7回「アトツギ甲子園」8月3日エントリー受付開始」■
https://j-net21.smrj.go.jp/news/bt5puv000000p7cl.html

以上(2026年8月作成)

pj10109
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最低賃金改定と地方経済 中小企業が採るべき持続的成長策【経営者とっておきニュース】

厚生労働省の中央最低賃金審議会は、令和8年度の地域別最低賃金額改定の目安を取りまとめました。

今年度の目安額は、都市部を中心とするAランクが54円、地方部を中心とするBおよびCランクが56円に設定されています。仮に目安通り改定された場合、全国加重平均の上昇額は55円(引上げ率4.9%)となり、時給は1,176円へ到達します。

特に注目すべきは、地方圏(B・Cランク)の引き上げ目安額が都市部(Aランク)を上回った点です。今後は各地方最低賃金審議会での審議を経て、10月頃から順次改定結果が適用される見通しです。

今回の決定の背景には、継続する物価高や高水準の春季賃上げ動向に加え、地域間の賃金格差を是正し地方からの労働力流出を防ぐという政策的な狙いがあります。地方の最低賃金を大きく底上げすることで、地域内での人材確保と定着を促進する意図が強く反映されています。

この動向は、地域の産業や事業者に対して多角的な影響を及ぼします。

  • メリット(地域経済・労働者): 賃金水準の向上に伴う地元就労の促進や人材離職率の低下、地域内の消費購買力の改善が期待されます。
  • 課題(中小企業・サプライチェーン): 原材料費やエネルギーコストの上昇が続く中、人件費の増大は資金余裕の少ない中小企業の経営を直接圧迫します。特に労務費の適切な価格転嫁が進んでいない川下の企業やサービス業では、収益性の急速な低下や雇用維持の負担増が深刻な課題となります。価格転嫁の適否によって企業の業績や採用力の二極化が進む懸念もあります。

今後は、コスト上昇を吸収できない企業の選別が進むとともに、省力化投資や高付加価値化へ舵を切る経営改革が一層加速すると予測されます。

他地域のビジネスパーソンにとっても、従来の「低コスト・低賃金に依存したビジネスモデル」からの脱却は避けられない共通の課題です。

明日から意識すべき視点は、「人件費を単なる『費用』として抑制するのではなく、適正な価格転嫁と業務効率化(DX・省力化)を通じて『1人当たりの付加価値向上』へ繋げる視点」です。単なる人件費増の対処に留まらず、自社の提供価値と業務プロセスの根本的な見直しに着手することが持続的成長の鍵となります。

 

【ご注意点】この記事は生成AIを活用して作成したものです。文章の正確性は保証されておらず、誤りが含まれる場合があります。詳細については参照URLの情報を必ずご確認ください。

■厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について」■
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74920.html

以上(2026年8月作成)

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同族企業の成長と永続を支える!経産省の「ファミリーガバナンス・ガイダンス」【経営者とっておきニュース】

経済産業省は2026年6月5日、同族経営を行う企業向けに「ファミリーガバナンス・ガイダンス」を公表しました。

本指針は、同族企業(ファミリービジネス)が持つ「長期的視点」や「迅速な意思決定」といった強みを伸ばす一方、親族間の対立や後継者問題などのリスクに適切に対処し、持続的な成長を実現するための規範として策定されたものです。

主な対象は非上場の中堅・中小企業ですが、企業規模や上場の有無を問わず活用できます。ファミリー内や株主等のステークホルダーとの合意形成のポイントが整理されています。

この動きの背景には、日本の中小・中堅企業の多くが同族経営であり、地域経済の雇用や基幹産業を支えている現状があります。政府が2025年に策定した「中堅企業成長ビジョン」を踏まえ、有識者や経営者へのヒアリングを経て本ガイダンスがとりまとめられました。地域経済やサプライチェーンの維持・発展において、これら同族企業の安定的な存続と成長は不可欠な要素です。

本ガイダンスの公表は、地域経済や関連業界に多角的な影響を与えます。メリットとして、ファミリー内のルールや理念が明文化されることで、円滑な事業承継や経営の透明性向上が期待できます。これにより金融機関や取引先からの信頼が高まり、資金調達や企業連携の強化につながります。一方で課題として、親族間の合意形成や組織体制の整備には時間と労力がかかるため、自社の状況に合わせた段階的な取り組みが必要です。また、競合他社にとっては、ガバナンスを固めた同族企業が強固な経営基盤を構築することが新たな脅威となり得ます。

今後は、付属のチェックリストなどを活用し、自社に最適なガバナンス体制を構築する同族企業が増加すると予測されます。これにより、地域経済全体の持続可能性と競争力が一段と高まるでしょう。

他地域のビジネスパーソンにとっても、本件は「創業家・経営陣・ステークホルダーの関係性をあらかじめ明文化し、将来のリスクを予防する視点」の重要性を示しています。明日から自社の意思決定プロセスや親族・株主間の取り決めを点検し、長期的な企業価値向上に向けた対話を開始することが推奨されます。

 

【ご注意点】この記事は生成AIを活用して作成したものです。文章の正確性は保証されておらず、誤りが含まれる場合があります。詳細については参照URLの情報を必ずご確認ください。

■経済産業省「『ファミリーガバナンス・ガイダンス』の公表について」■
https://www.meti.go.jp/press/2026/06/20260605001/20260605001.html

以上(2026年8月作成)

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未利用魚を価値化「魅了ギョ」始動【経営者とっておきニュース】

水産庁は、サイズ規格外や知名度の低さから市場で流通しにくかった「低・未利用魚」の利用拡大と付加価値向上を目指す「魅了(みりょう)ギョ・プロジェクト」を開始しました。本取り組みは、先行して実施された「クロダイのおいしさ認知向上プロジェクト」の成果を踏まえて発展、展開されたものです。

本事業では、産地から加工、流通、外食、小売に至る多様な関係者が連携し、新商品開発や販路開拓を推進します。すでに第一弾として11のプロジェクトがスタートしており、8月19日には東京ビッグサイトで開催される「ジャパン・インターナショナルシーフードショー」にてオープンセミナーを実施し、取り組みの周知と事業者間のマッチング支援を本格化させます。

背景には、近年の海水温上昇や海洋環境の変化に伴い、従来の主要魚種の漁獲量が減少する一方で、知名度の低い魚種や特定地域でしか消費されない魚が増加している現状があります。これらは加工の手間や市場価値の低さから廃棄・安値取引されることが多く、水産業者の収益圧迫や地域経済の停滞を引き起こす要因となっていました。

本プロジェクトの始動は、水産業界および地域ビジネスに新たな商機をもたらします。サプライチェーンが一体となって未利用魚の活用を進めることで、水産加工業者や外食・小売企業は「独自性のある新商品開発」や「仕入れコストの最適化」といった差別化戦略を打ち出せます。一方で、未利用魚は収穫量の変動が大きく形状も不揃いであるため、柔軟な加工体制やメニュー提案といった運用の工夫が今後の課題となります。

今後は、未利用魚の活用が単なる食材の無駄防止にとどまらず、フードロス削減や地産地消といったサステナビリティの観点と結びつくことで、大きな消費者価値を獲得すると予測されます。

他地域のビジネスパーソンにとっても、本取り組みは非常に示唆に富んでいます。明日から意識すべき視点は、「自社の業界において『価値がない』と見過ごされてきた素材や資源に、他社との連携と視点の変換によって新たなストーリーと付加価値を与える」ということです。自社の周辺に眠る「未利用資産」を再発掘することこそが、次の事業成長への鍵となります。

 

【ご注意点】この記事は生成AIを活用して作成したものです。文章の正確性は保証されておらず、誤りが含まれる場合があります。詳細については参照URLの情報を必ずご確認ください。

■中小企業基盤整備機構「未利用魚を有効活用『魅了ギョ・プロジェクト』始動」■
https://j-net21.smrj.go.jp/news/bt5puv000000q06y.html
■水産庁「『魅了(みりょう)ギョ・プロジェクト』の始動について」■
https://www.jfa.maff.go.jp/j/press/kakou/260724.html

以上(2026年8月作成)

pj10112
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地方創生の近未来:地域資源とデジタルが拓く中小企業の新潮流【経営者とっておきニュース】

中小企業基盤整備機構が支援する地域活性化プロジェクトにおいて、地域資源を活用した持続可能な事業モデルの構築支援が始動しました。本取り組みは、全国の地方都市における中小企業の持続的発展と新事業創出を目的としています。

具体的には、地場産業の強みと最新のデジタル技術を掛け合わせることで、新たな付加価値を創出する先進事例の横展開を目指すものです。専門家派遣や資金面での補助に加え、域外マーケットや海外への販路拡大支援を一体となって提供する包括的な枠組みとなっています。

このような動きが加速している背景には、深刻な人口減少と国内市場の縮小に伴う地域経済の強い危機感があります。従来の請負型ビジネスや特定地域内での取引に依存した経営手法では、原材料高騰や人手不足といった構造的課題に対処することが限界に達しつつあります。そのため、自社の強みを再定義し、広域的な視点で自走可能な需要を獲得することが急務となっています。

本取り組みは、周辺企業や地域経済に大きな波及効果をもたらします。地元一次産業や伝統産業がデジタル技術やブランディングと連携することで、「単なる製品売買」から「体験価値の提供(D2Cや地域ブランド化)」への転換が進みます。これにより、競合との差別化が図れるだけでなく、サプライチェーン全体の利益率向上と新たな雇用創出が期待されます。

一方で課題も存在します。デジタル人材の不足や経営層の意識改革の遅れが、変革のスピードを抑制する要因になり得ます。行政や公的機関の支援施策を単なる助成金として消費せず、自立的な収益基盤の構築へ繋げられるかが今後の成否を分けるポイントとなります。

今後は、地域経済が「規模の拡大」から「質の高付加価値化」へとシフトしていくと考えられます。単一の企業努力にとどまらず、地域の多様なプレイヤー(行政・金融機関・異業種企業)が共創するプラットフォーム型のビジネスモデルが標準化していくでしょう。

他地域のビジネスパーソンにとっても、本施策は非常に示唆に富んでいます。明日から意識すべき視点は、「自社のコア資源×異分野のトレンド」による文脈(コンテクスト)の再構築です。既存の顧客層や地域特性にとらわれず、最新テクノロジーや市場ニーズと組み合わせることで、どの地域・業界でも新しい勝ち筋を創出できます。

 

【ご注意点】この記事は生成AIを活用して作成したものです。文章の正確性は保証されておらず、誤りが含まれる場合があります。詳細については参照URLの情報を必ずご確認ください。

■中小企業基盤整備機構「知財経営で『稼ぐ力』向上へ 中小・中堅企業を募集」■
https://j-net21.smrj.go.jp/news/bt5puv000000pcig.html
■関東経済産業局「令和8年度「知財を企業の強みに!『稼ぐ力』向上プロジェクト」(知財経営推進ベストプラクティス創出事業)の公募情報」■
https://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/chizai/r8fy_kigyo_koubo.html

以上(2026年8月作成)

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社員のミスで会社に損害が……。 本人への賠償請求は可能?

1 原則:社員に全額の損害賠償を請求することはできない

会社には、様々なバックグラウンドを持つ人間が集まっています。ですから、社員が業務中にミスをすることも当然想定されます。ただ、なかには「看過しにくい重大なミスをする社員」などもいて、そうした社員に対し、「損害賠償を請求できないか?」と考える経営者がいても不思議ではありません。

しかし、まず理解しておくべきことは、

社員に全額の賠償を請求することは原則としてできない

ということです。一口にミスといっても、同じミスを何度も繰り返しているのか、取引先の信用を失うほどのミスなのかなどによって判断が変わります。そのため、

  • 社員に対する損害賠償請求に関する基本的な考え方
  • 「こんな場合に請求できる? できない?」というケーススタディー

を学ぶ必要があります。以降で弁護士(筆者)がポイントを解説するので見ていきましょう。

2 なぜ、ミスがあっても基本は会社負担なのか?

日本の法令では、社員と会社の関係は「報償責任」の考えに基づいています。

報償責任とは、「会社は、社員が業務を遂行することで利益を得ているのだから、その過程で発生する損害について、会社が責任を負うのは当然である」という考え方

です。そのため、社員が業務中にミスをしたとしても、原則として全額の損害賠償を求めることは認められません。労働基準法でも、社員が過度なプレッシャーや責任を負わないように、あらかじめ違約金や損害賠償額を定めておく契約を禁止しています(賠償予定の禁止)。こうした法律の考えから、社員のミスによる損害についても、基本的には会社が負担することになるのです。

実際に社員に対する損害賠償請求が問題になった事案もあります。有名な「茨城石炭商事事件(最高裁第一小法廷昭和51年7月8日判決)」においても、

会社が社員に対して賠償責任を問う際の基準が示されており、社員のミスによる損害が会社の業務指示の範囲内で起こった場合、その基準に基づいて妥当な範囲でのみ、社員個人に責任を追及できる

とされています。この判例により、社員が業務上のミスを犯した場合でも、原則として会社が損害を負担するという考え方が強調されました。主な判断要素は次の通りです。

(図表)【会社が社員に対して賠償責任を問う際の基準】

判断基準 内容
故意・過失の程度 故意、重過失かどうか
業務内容 ミスが起きやすい業務かどうか
使用者の管理体制 ミスを予防するための教育・指導が不十分だった可能性
損害の大きさ 請求額が社員の生活に与える影響など

(出所:茨城石炭商事事件(最高裁第一小法廷昭和51年7月8日判決)を基に作成)

3 このケースは損害賠償できる? できない?

1)発注ミスで、頼んでいない商品が大量に会社に届いてしまった……

1.ケーススタディー

卸売業の会社に勤めるAさんは、商品の発注を担当しています。あるとき、Aさんは10個発注する予定の商品を、入力を誤って100個発注してしまいました。返品も利かず、会社は大量の在庫を抱えることになってしまいました……。会社からAさんへの損害賠償請求は認められるでしょうか?

2.考え方

商品の発注、特にウェブ上で発注を行う場合、入力ミスなどによって発注内容(種類・数量など)を間違えてしまうことがあります。業務を行っていれば、通常起こり得るようなささいな不注意であり、一般的に損害賠償請求は認められにくいといえるでしょう。

Aさんが新入社員の場合などは、上司や先輩が横について発注前に画面を確認するなどの配慮が必要であり、なおさら損害賠償請求は難しくなります。

ただし、Aさんが長年経験を積んだ管理職にもかかわらず、基本的な発注手順を無視して発注ミスを犯した場合などは、Aさんの過失が重大であるとして、損害賠償請求が認められる可能性があります。

2)営業担当が勝手に納期を決めたせいで、開発部門にしわ寄せが……

1.ケーススタディー

Bさんはソフトウエア企業の社員で、システム開発の営業を担当しています。ある日、Bさんは、取引先から短納期でのシステムの納入を頼まれましたが、取引先との関係を維持したいあまり、開発部門に確認もせず、納入を約束してしまいました。開発部門は無理なスケジュールでシステム開発を行いましたが、結果として納期には間に合わず、しかも納入後にシステムの不具合が発生。取引先側でもリリース延期の対応が生じてしまい、会社が取引先から「どうしてくれるんだ!」と詰められる事態に……。会社からBさんへの損害賠償請求は認められるでしょうか?

2.考え方

Bさんのケースのように、部門間で十分な連携をしないまま、取引先に無理な約束をしてトラブルになるケースは少なくありません。部門間の情報共有・連絡方法などの体制を見直すべき案件です。とはいえ、Bさんの過失は法的には軽微なものであり、損害賠償請求は認められにくいといえるでしょう。

ただし、Bさんが、事前に開発部門から「このスケジュールでは難しい」「納期を調整してくれ」と言われていたにもかかわらず、意図的にそれを無視して納期を約束してしまった場合などは、損害賠償請求が認められる可能性があります。

3)コンピューターシステムの操作ミスで、大事なデータが消えてしまった……

1.ケーススタディー

Cさんはある会社のIT部門で、システムのメンテナンスを担当しています。Cさんが、夜な夜なシステムのアップデート作業を行っていた際、誤って重要なデータを削除してしまいました。その結果、会社のシステムが一時的に停止し、取引先にも影響を与えてしまいました……。会社からCさんへの損害賠償請求は認められるでしょうか?

2.考え方

パソコンで業務を行うのが当たり前の現代、システムのアップデートに限らず、作業中に保存されていたデータを誤って消してしまうというミスはどの会社でも発生し得ます。こうしたミスは、原則として損害賠償請求が認められにくいといえるでしょう。

例えば、Cさんが、過去にも注意を受けたにもかかわらず作業手順やマニュアルを無視して、独自の方法で作業を行った場合や、夜な夜なお酒を飲みながら作業していた場合などは、過失が重大であるとして、損害賠償請求が認められる可能性があります。

なお、単純なミスではなく、退職に際して故意にデータを削除するなど背信的な事案では、通常のミスとは異なり重い責任が認められやすく、数百万円規模の損害賠償が命じられた裁判例もあります(徳島地裁令和7年1月16日判決)。

4)広告に著作権違反のイラストが掲載されて、権利者から警告を受けた……

1.ケーススタディー

若手社員のDさんはマーケティング部門で、自社商品の広告を制作しています。Dさんが新商品のウェブ広告を制作した際、他社のキャラクターを参考にしたイラストが含まれてしまい、そのまま広告に掲載されてしまいました。これを見た他社の権利者から警告を受け、消費者からの信頼を失い、ブランドイメージに大きな悪影響を与える結果となりました……。会社からDさんへの損害賠償請求は認められるでしょうか?

2.考え方

広告に関するミスは、会社のイメージにも直結するため、損害が大きくなりがちです。とはいえ、イラストの著作権などについて正しく理解している社員はそう多くありませんし、Dさんの立場にもよりますが、一般的に若手社員が1人で制作した広告がそのまま採用されるケースはまれです。通常は複数の社員が広告に携わるものであるという前提に立つと、Dさんの過失は法的には軽微なものであり、損害賠償請求は認められにくいといえるでしょう。

ただし、Dさんが、本来であれば広告チェックを担う立場の社員であるにもかかわらず、楽をするために生成AIを利用し、かつ著作権チェックをしなかった場合などは、その過失が重大であるとして、損害賠償請求が認められる可能性が高くなります。

また、会社の許可を得ずに無料の生成AIサービスへ機密情報を入力する、いわゆる「シャドーAI」の利用が情報漏洩や秘密保持契約違反を招くケースも指摘されています。社員が独断で利用した場合であっても、会社が利用ルールの周知や管理体制を十分に整えていなければ、使用者責任が問題となり得ます。

5)消費者からのクレーム対応を誤ってしまい、消費者に損害を与えた……

1.ケーススタディー

Eさんは、一般消費者向けに化粧品を販売する会社の、カスタマーサポート部門に勤めています。ある日、Eさんは消費者からのクレームに対し、誤った情報を伝えてしまいました。そのため、顧客は化粧品の使い方を間違ったことで肌荒れになり、訴訟を起こすと言っています……。会社からEさんへの損害賠償請求は認められるでしょうか?

2.考え方

クレーム対応の際に誤った情報を伝えたことによって、顧客が損害を被ったという事例です。カスタマーサポートなどの業務では、会社がマニュアルを作成したり、社内相談フローが定められたりしているケースが多いですが、オペレーターによる誤案内も発生しやすいミスです。オペレーターによる誤案内が過失によるミスであった場合、会社がその損害を負担するのが一般的であり、Eさんの誤案内が軽度のものであれば、損害賠償請求は難しいといえるでしょう。

ただし、Eさんが過去にも、同様のクレーム対応で同じようなミスを繰り返していたり、会社が定めるマニュアルや相談フローに従わずに独自で判断したりした場合には、損害賠償請求が認められる可能性があります。

4 会社ができる対策は?

こうした社員のミスによる損害を未然に防ぐために、会社が実施すべき対策がいくつかあります。これらの対策をしっかりと整備することで、リスクを減らし、社員の負担を軽減しつつ、会社の利益を守ることができます。

1)マニュアルの整備と研修・教育

まずは会社が、業務を遂行する社員に対し、明確な指示を与えることが重要です。業務の進め方や手順について詳細なマニュアルを整備し、社員がミスをしないように配慮しましょう。

また、社員による業務上のミスを最小限に抑えるには、定期的な研修や教育が重要です。会社は、社員に対して業務に必要な知識やスキルを定期的に習得させることで、ミスを減らし、万が一ミスが発生した場合でも、迅速に対応できる体制を整えることが可能です。

2)就業規則への明文化

就業規則には、社員が業務を遂行する際に注意すべき事項や、ミスが発生した場合の対応方法、賠償責任に関する規定などを盛り込むことができます。例えば、社員が業務中に重大な過失を犯した場合の対応方法や、その責任の範囲について明記しておくことが考えられます。これによって、社員も事前に自分の責任範囲を理解し、ミスを防ぐ意識が高まります。

なお、就業規則に損害賠償規定を盛り込むことも可能ですが、「ミスをしたら〇万円」といった損害賠償の予定を設けると、違法・無効となります。また、「損害の全額を賠償させる」規定も、裁判になれば一部制限される恐れがあります。

3)保険の活用

社員のミスに対するリスクを減らすために、適切な保険に加入するのも一つの方法です。特に、社員が業務を遂行する中で生じる事故や損害をカバーする保険を活用することで、予期しないリスクに備えることができます。保険会社によって様々な内容の保険があり、契約内容によっては社員の過失による損害も対象となるものがあります。

以上(2026年8月更新)
(執筆 石原法律事務所 弁護士 磯田翔)

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