「企業価値担保権」スタート! 担保がなくても融資が受けられる?

1 2026年5月25日からスタート! 企業価値担保権

新事業を始めたいけれど、土地や建物がなくて融資が受けられない。かといって経営者保証に頼ると思い切った投資はしにくいし、事業承継にも差し支えるかも・・・・・・。多くの中小企業が抱える悩みです。そんな中小企業の経営者に紹介したいのが、2026年5月25日から始まった「企業価値担保権」です。企業価値担保権とは、

企業が金融機関から融資を受ける際に、信託という仕組みを通じて、有形資産(土地や建物)だけでなく、無形資産(ノウハウや顧客基盤) も含む 「企業の総財産」を担保にできる制度

です(根拠法は「事業性融資の推進等に関する法律」)。

企業価値担保権

これまでの融資は、決算書の数値と不動産の担保価値が審査の中心で、有形資産に乏しい企業、経営者保証が課されることにより事業承継や思い切った事業展開をためらっている企業は、資金調達の選択肢が限られてしまうのが課題でした。しかし、企業価値担保権が開始されることで、

事業の実態や将来性に着目した融資 (事業性評価に基づく融資)を受けやすくなる

のです。一方、その特性故に、融資を利用する経営者には、

金融機関に対し、自社の事業の継続性や収益性、事業計画などを説明するプレゼン力

が一層求められることになります。

そこで、この記事では、

  • 企業価値担保権のポイント
  • 自社の事業を金融機関に説明するポイント

を紹介します。新年度、さらなる事業展開を検討している経営者の方はぜひご一読ください。

なお、企業価値担保権についてより詳しく知りたい方は、こちらをご確認ください。

金融庁「企業価値担保権(旧:事業成長担保権)について」
https://www.fsa.go.jp/policy/kigyoukachi-tanpo/index.html

2 企業価値担保権をざっくり解説!

1)従来の担保権との違い

従来の担保権と企業価値担保権の違いを比較表としてまとめました。

従来の担保権と企業価値担保権の違い

前述した通り、

企業価値担保権の担保対象は「企業の総財産」

です。現在保有している財産だけでなく、将来取得する財産も含まれますし、現預金や設備だけでなく、

  • 独自の技術やノウハウ
  • 顧客基盤・取引先との関係
  • ブランドカ

といった、貸借対照表に載らない無形資産も評価の対象です。

また、従来の担保権とのもう1つの大きな違いが「評価の視点」です。従来の担保権は、万が一返済できなくなった場合に「担保物を売っていくらで回収できるか」という処分価格で評価されていましたが、企業価値担保権では、「この事業が将来どれだけのキャッシュフローを生み出せるか」という事業継続価値を重視します。つまり、

過去の実績や現在の資産だけでなく、これからの成長の可能性が評価の対象

になるのです。

2)「企業」「金融機関」「企業価値担保権信託会社」の三者で運営する

企業価値担保権は、企業(借り手)と金融機関(貸し手)の間に、法律に基づき新設される「企業価値担保権信託会社(担保権者)」が入る仕組みになっています。

おおまかなスキームのイメージは図表3の通りです。

「企業」「金融機関」「企業価値担保権信託会社」の三者で運営

1.企業(借り手)

企業は企業価値担保権信託会社(担保権者)と信託契約を結び、企業価値(自社の総財産)を担保目的財産として提供します。企業価値担保権は商業登記簿への登記によって設定されますが、設定後も企業は通常の事業活動の範囲において、財産の処分を自由に行うことができるので、取引が制限されることはありません。

なお、企業価値担保権のルールでは、借り手となれるのは株式会社・持分会社だけです。

2.金融機関(貸し手)

企業価値を担保として融資を実行します。企業からの返済が滞る場合、企業価値担保権信託会社を通じて債権回収を行います。

なお、金融機関は金融庁の免許を取得した場合、企業価値担保権信託会社を兼任することが可能です。

3.企業価値担保権信託会社(担保権者)

企業から金融機関に対する債務の弁済が滞った場合、裁判所に申立てを行います。裁判所は事業の経営等を担う「管財人」を選定し、管財人は事業の経営等をしながら、スポンサーへの事業譲渡などを行い、その対価が金融機関への弁済に充てられることになります。

「事業を解体」して資産を売るのではなく、事業全体を維持したまま次の担い手に引き継ぐ「事業譲渡」などで対応するため、取引関係や従業員の雇用は維持される

というのが特徴です。

3)経営者保証は原則不要になる

企業価値担保権を設定する場合、

経営者個人の連帯保証は原則として制限

されます。事業全体の価値を担保として評価するため、経営者個人の資産に頼る必要がなくなるという考え方です。これにより、経営者は個人資産を失うリスクを恐れず、より積極的な事業展開に踏み切れるようになると期待されています。

ただし、経営者が意図的に粉飾決算を行った場合や、企業の資産を不正に流用した場合は例外です。

3 自社の事業をきちんと金融機関に説明するには?

前述した通り、企業価値担保権を活用した融資を利用する場合、経営者には「金融機関に対し、自社の事業の継続性や収益性、事業計画などを説明するプレゼン力」が一層求められます。ここでは、金融機関の元融資担当者にヒアリングした、経営者がプレゼン力を身に付けるために押さえておきたいポイントを紹介します。

1)経営者がハマりやすい3つの落とし穴

新事業などやりたいことが明確にあるのに、融資を断られてしまう・・・・・・。そうした経営者の多くには、陥りがちな落とし穴が3つあります。

1.自社を客観視できていない

自社の技術や商品に対する自信は大切ですが、経営者が「ウチには立派な技術や商品がある!」と力説するだけでは、融資の許可は下りません。融資担当者が重視するのは「客観的な根拠」です。市場ニーズや競合との比較分析が欠けていると、業績悪化時の立て直し能力にも疑問を持たれかねません。

2.根拠のない計画を立てる

売上や利益が常に右肩上がりになっているものの、「なぜその数字が達成できるのか」という裏付けがないケースも多いです。融資の担当者は、計画の数字の整合性を必ず検証します。「どの施策が売上につながるのか」「根拠となるデータは何か」まで、事業計画書に落とし込むことが大切です。

3.計画を言語化して説明できない

外部の専門家や財務担当者に事業計画書の作成を任せきりにし、経営者自身が計画の中身を説明できないケースも少なくありません。作成を専門家などに任せること自体は問題ありませんが、肝心の経営者自身が中身を説明できなければ、事業への理解が低いと判断され、計画の実現可能性そのものを疑われます。

2)伝わらないNGな説明を知る

融資担当者との面談は、書面だけでは伝え切れない熱意を補足できる絶好の機会です。以下のNGパターンを避け、担当者に確実に伝わる説明を心がけましょう。

1.具体性のない言葉に頼る

「革新的」「先進的」といった抽象的な表現では、担当者に事業の魅力が伝わりません。担当者はあらゆる業界の専門家ではないため、自社のビジネスモデルを具体的にイメージできる説明が不可欠です。

2. リスクや課題に触れていない

自社の強みだけをアピールし、競合参入やコスト高騰などのリスクに触れない説明は、「リスクを考慮していない」または「都合の悪い情報を隠している」という不信感を招きます。リスクと対策をセットで提示することが危機管理能力の証明になり、信頼感も高まります。

3.競合との違いが説明できない

自社と競合の違いを、単に「(ウチのほうが)品質が高い、サービスが丁寧」と力説しても、そうした曖昧な表現では融資担当者は納得しません。金融機関が求めているのは、自社の強みがどのような競争優位性を生み、事業の持続につながるのか、というつながりです。現時点で直接の競合がいない場合でも、今後の参入可能性を想定した見通しは必須です。競合調査が不十分だと、「市場のニーズ自体を把握できていない」と見なされかねません。

3)融資担当者が納得する説明のポイント

融資担当者は経営者の説明を基に、社内で融資の稟議(りんぎ)を通さなければならない立場です。上位者を納得させる稟議書を書けるよう、

担当者に「武器」を渡す意識を持つ

ことがポイントだそうです。

1.計画にデータを添える

事業計画の目標には、実績データに基づく根拠を添えましょう。担当者は「なぜその数字が達成できるのか」を上位者に説明する必要があるため、エビデンスのある資料は担当者の武器になります。例えば、

  • 売上目標であれば、直近の平均月商や前年度対比での推移
  • 顧客満足度であれば、アンケート結果や実際のリピート率

などの資料を添えるとよいでしょう。

融資担当者も、上位者への報告で活用できるレベルのデータがそろっている案件は、自信を持って説明ができますし、完成度の高い計画を提出してもらったなら、期待に応えたいという気持ちが高まるそうです。

2.収支計画はリスクも織り込む

収支計画は、売上・費用・利益の各項目が論理的につながり、「この前提なら達成可能」と担当者が納得できる水準に仕上げることが大切です。希望的観測より、堅実な根拠に基づく計画のほうが信頼を得られます。

審査では計画未達時のリスクシナリオも検証されます。返済を続けられる財務基盤や、経費削減などの経営判断ができることを計画に織り込んでおくことで、担当者からの信頼がより高まります。

以上(2026年4月作成)
(監修 石原法律事務所 弁護士 磯田翔)

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画像:日本情報マート

経営にも通じるサッカー選手の名言―クリスティアーノ・ロナウドはなぜストイックであり続ける?

「プロで生きる選手は、サッカーが上手くて当たり前」

クリスティアーノ・ロナウド氏は、言わずと知れた世界最高峰のサッカー選手です。レアルマドリードやマンチェスターユナイテッドなどのチームのスターとして、またポルトガル代表として数々の栄光を手にし、ファンを熱狂させました。

冒頭の言葉は、ロナウド氏がマンチェスターユナイテッド時代の恩師から学んだこととして語ったもので、この言葉の後には「サッカーを生業とするならば、サッカー界がどんなものか? どんな人たちに支えられているのか? プロのサッカー選手に何が求められているのか? これらのことを理解してこそ、エリート選手と呼ばれるんだ」という続きがあります。彼の徹底的なストイックさがうかがい知れますね。

そう、ロナウド氏と言えば「ストイック」。例えば、彼はチームメイトとの酒席や遊びにほとんど参加しません。ロナウド氏をよく知る選手は、「彼は酒を飲まない。彼にはわかっていた。彼を暴露したり、写真を撮ったり、なりふりかまわずそんなことをしてくる人がいることをね」と語ります。

また別の選手は、ロナウド氏にランチに誘われた際、「サラダと鶏のササミしか出てこなかったし、食べ終わったらすぐに練習に誘われた。彼はマシーンだからトレーニングを止めたくないんだ。」とからかいます。記者から「本当に1日に3000回も腹筋をしているのか」と問われれば、彼は事もなげに「本当にやっている。強く美しくあるために必要なことだから」と答えたことさえあります。

なぜ、そこまでストイックに……と疑問を禁じえませんが、冒頭の言葉と合わせて考えると、ロナウド氏は「世界中が期待する、プロのサッカー選手としての自分」を体現し続けるために、自分を律し、鍛え続けているように思えます。そして、それがロナウド氏にとっての「自分のありたい姿」でもあるからこそ、徹底してストイックになれるのです。ありたい姿が明確だからこそ、日々の鍛錬に迷いがない。逆に言えば、ストイックでいられるかどうかは、その人が「なりたい自分」をどれだけ鮮明に描けているかにかかっています。これは、経営者にとっても同じはずです。

では、皆さんにとって「経営者としてのありたい姿」とは何でしょうか。顧客に信頼される会社をつくりたい、地域になくてはならない存在でいたい、社員が誇りを持って働ける職場を育てたい。その答えは、経営者それぞれの胸の中にあるはずです。大切なのは、その姿を自分自身の言葉で描き、日々の判断や行動の拠りどころにすること。ありたい姿が定まっていれば、迷ったときの判断軸ができ、小さな積み重ねにも意味が生まれます。

「経営者として生きるならば、経営ができて当たり前」。その当たり前の水準を自ら高め続け、ありたい姿に向かってストイックに歩み続けること。それこそが、ロナウド氏の言葉が経営者に伝えてくれる、最も大切なことではないでしょうか。

出典:「Number735号」(文藝春秋社、2009年8月)

以上(2026年6月作成)

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画像:Eli-Adobe Stock

2026年度版 税制改正早わかりハンドブック(2026年6月号)

ことしの3月31日、2026年度税制改正関連法案が参院本会議で可決・成立しました。政府は「物価高への対応」「強い経済の実現」「税負担の公平性確保」「グローバル・ミニマム課税の見直し」「防衛財源の確保」を基本軸とし、法人税制に関しては、大胆な設備投資の促進に向けた税制措置の創設、研究開発税制の拡充、賃上げ促進税制の見直し等を、所得税制に関しては、年収の壁の引上げ、NISAの拡充、極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置の見直し等を打ち出しています。

本冊子では、中小企業に影響を及ぼす内容を中心に、2026年度の税制改正について解説します。

※本冊子は、2026年4月30日時点の情報に基づいています。


【分かりやすい原価計算(2)】原価の区分~原価計算特有の費用の分け方

1 原価を分解すると見えてくる利益のカタチ

それでは前回と同様に、回転寿司店で利益や1皿当たりの原価を考えてみましょう。まず、月の利益がトントンになる売上高・販売数量(皿)はどれくらいでしょうか。考える際の前提条件は以下の通りです。

  • 販売単価(皿当たり):100円
  • 材料費(皿当たり):ネタは65円、シャリは5円
  • その他、料理人の人件費(1カ月当たり):21万円
  • 寿司ロボットのリース代(1カ月当たり):24万円

1皿食べてくれる(売れる)と、材料費を引いて、いくらもうかるでしょうか?

販売単価100円-材料費(65円+5円)=30円

何皿食べてくれると、人件費・家賃が賄えるでしょうか?

(人件費21万円+リース代24万円)÷1皿当たりの利益30円=15000皿

15000皿×100円=150万円

この150万円が月の利益がトントンになる売上高、いわゆる「損益分岐点売上高」です。仮に、1家族4人で、1人が10皿ずつ食べてくれるとすると、1家族40皿となり、

15000皿÷40皿=375家族

と計算できます。つまり、1日で、12家族(≒375家族÷31日)が来店してくれると利益がトントンになるということになります。

2 販売数で変わる1皿当たりの原価

1)15000皿売れた場合の、1皿当たりの原価

ネタやシャリの材料費は、1皿当たり(70円=ネタ65円+シャリ5円)がはっきり分かります。しかし、人件費やリース代はそう簡単にはいきません。人件費は1カ月当たり21万円、リース代は1カ月24万円かかります。これらの費用は、お寿司の売れ行きに関係なく、つまり何皿売れたかにかかわらず決まった額が発生します。このため、1皿当たりどれだけの費用がかかったかは正確には分かりません。

では、どうするかというと、ここでは1カ月15000皿売れれば利益がトントンになるということなので、この販売数で1カ月の人件費とリース代を割って、1皿当たりの費用を出すことにします。

  • 人件費(1皿当たり)は、21万円÷15000皿=14円
  • リース代(1皿当たり)は、24万円÷15000皿=16円

これで全ての原価について、1皿当たりの計算ができました。このように、原価計算や管理会計では、もともとある数値を目的に合わせて基準を設定し、加工することが必要になります。1カ月15000皿売れた場合の1皿当たりの原価は、

材料費70円+人件費14円+リース代16円=100円

となります。

2)30000皿売れた場合の、1皿当たりの原価

ネタやシャリの材料費(1皿当たり)は、30000皿のときも同じで、65円+5円=70円です。人件費とリース代は、それぞれ、

  • 人件費(1皿当たり)は、21万円÷30000皿=7円
  • リース代(1皿当たり)は、24万円÷30000皿=8円

となります。

販売数と原価の関係

このように、販売数によって1皿当たりの原価は変わってきます。そして、販売数が増えるほどに、1皿に割り当てられる費用が減って、原価が安くなります。これが、経済学の「規模の経済」につながる話です。

3 原価計算で使う費用の分け方1:直接費と間接費

上記を見ていただいて気付かれた方もいらっしゃるかもしれません。費用によって1皿当たりへの割り当て方が違ってきます。実は、原価計算を行うため、また、管理会計の手法を活用していくための準備として、それぞれの費用を大きく2つに分ける必要があります。

まず、製品との関係が直接紐づく費用です。これを、「直接費」と呼びます。もう1つは製品との関係が分かりづらく、紐づきが間接的にしか分からないような費用があります。これを「間接費」と呼びます。

直接費と間接費

原価を計算する場合、直接費は製品に直接割り当てることができます。これを、直課と呼びます。回転寿司の原価でいえば、ネタ、シャリが直接費に当たります。これらは、1皿ごとに費用を割り当てることができます。

一方で、間接費は製品との紐づきが明らかではないので、何かしらの基準で割り当てるしかありません。これを配賦と呼びます。回転寿司の原価でいえば、人件費やリース代がこれに当たります。先ほどは、販売皿数で1皿ごとに割り当てていきました。

人件費やリース代のいずれも、販売皿数には連動しないで決まった額が費用としてかかっています。このため、販売皿数によって1皿ごとの費用が変わってくるのです。

4 原価計算で使う費用の分け方2:変動費と固定費

もう1つ原価計算、管理会計に特有の費用の分け方があります。具体的には、費用について「売上と連動するかどうか」という点に注目します。

変動費と固定費の違い

まず、売上が増えたり減ったりすれば、それに連動して同じように増えたり減ったりする費用を「変動費」と呼びます。もう一つは、売上に連動しない費用です。つまり、売上が増えても減っても関係なく、決まった額だけかかってしまうような費用を「固定費」と呼びます。実務でも比較的使われる言葉ですので、皆さんも一度は聞いたことがあるかもしれません。

また、先ほどの直接費と間接費と似たような感じをうけられた方もいるかもしれません。このシリーズでは学問的な正確性は置いておいて、中小企業の原価計算・管理会計において、直接費と変動費、間接費と固定費は、同じと考えていきましょう。

5 変動費と固定費を分けるのは手間がかかる?

それでは、会社の損益計算書から費用を変動費と固定費に分ける方法を見ていきましょう。これには主に2つの方法があり、「勘定科目法」と呼ばれる方法と、「最小二乗法」と呼ばれる統計的な方法とがあります。

ここでは、基本であり、手間が少ない勘定科目法を見ていきます。なお、もう1つの統計的な方法は、エクセルで簡単にできて実務での使い勝手も良いものです。すでに勘定科目法に取り組んでいる方は、トライしてみるのもお勧めです。

変動費と固定費を分ける方法

勘定科目法は、試算表の中で、勘定科目によって、これは変動費、あれは固定費かなというふうに分けていく方法です。なかには同じ科目の中に売上に連動する項目と、連動しないで決まった額が発生するものの両方が含まれていることもあります。その場合は、さらに細かく、総勘定元帳まで遡って見ていくこととなります。

6 業種別の勘定科目の情報がとても参考になる

勘定科目法を使うにあたって、事業内容が理解できているベテランの方であれば、比較的簡単に変動費と固定費を分けていけるのではないでしょうか。ただ、経理経験の浅い方や事業内容の理解がまだまだであると、判断に迷ってなかなか作業が進まないことにもなりかねません。

そのようなときには、中小企業庁が出している変動費と固定費の分解の情報が参考になります。

業種別の変動費と固定費の分類

製造業、卸・小売業、建設業という3つの業種別に、勘定科目ごとに変動費と固定費に分けられています。

例えば、卸・小売業の場合に、売上原価は変動費、販売員給料手当は固定費となっています。また、卸売業では車両燃料費は50%が変動費で、残り50%が固定費というように、勘定科目の中に変動費と固定費が混在しているものにも対応しています。

さらに、これを見ると同業種の勘定科目ごとの変動費・固定費の傾向が分かるので、比較することで自分の会社の特徴が理解できるようになります。

7 100点満点はあり得ない。悩まずにやってみる!

ここで1つ大事なのが、変動費と固定費の分解はあまり悩みすぎないということです。

そもそも変動費と固定費というのは、100点満点の正解があるわけではないからです。例えば、工場の電気代や水道代なんかも、普通、製造量が拡大すれば増えていくはずです。しかし、実際は基本料金のようなものも含まれていて、決まった額発生する部分と、売上や製造活動と連動する部分に分かれています。これを準変動費と呼びます。

また、固定費の中にも、ある一定水準までは定額だけれど、それを超えると、もう1ランク上の金額で定額になるというような準固定費と呼ばれるものがあります。

準変動費と準固定費のグラフ

「まずはあまり悩まないでやってみる」というのが、中小企業の実務を知る立場からのアドバイスです。まずは分けてみて、実際に使ってみて、役に立つかどうか。活用した後で、調整していく進め方で十分といえます。

以上(2026年5月更新)

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画像:Shutter z-shutterstock

【財務分析】会社の良し悪しを判断する基本の指標20選

1 財務分析は「仮説→検証」の繰り返し

財務分析は、会社の状況について「仮説」を立て、それを検証するために行うものです。例えば、次のようなイメージです。

  • 「老朽化した設備があり、有形固定資産の効率性が落ちている?」と仮説を立てたら、有形固定資産回転率が低くないかを確認してみる
  • 「借入金が増加し、短期安全性が低下している?」と仮説を立てたら、流動比率や当座比率を比較してみる

この記事では、財務分析に使う代表的な20の分析指標を紹介します。ただし、上から順番に計算していく必要はありません。会社の状況で「収益性」「安全性」「生産性」のうち、どの要素を判断したいかによって、必要な指標を使いわけてみてください。

2 収益性に関する指標10選

1)総資本経常利益率

総資本経常利益率の計算式は次の通りです。この比率が高いほど収益性は高くなります。

総資本経常利益率=経常利益÷総資本

また、総資本経常利益率の計算式は次のように分解することができ、収益性に影響を与える要因をより詳細に分析できます。

総資本経常利益率
=(経常利益÷売上高)×(売上高÷総資本)
=売上高経常利益率×総資本回転率

2)売上高総利益率

売上高総利益率の計算式は次の通りです。この比率が高いほど収益性は高くなります。

売上高総利益率=売上総利益÷売上高

売上総利益は次の式で計算できます。

売上総利益=売上高-売上原価

売上原価とは、販売した商品の仕入れや製造にかかった費用です。例えば、小売業は販売した商品の仕入代金が該当します。また、製造業は製品の製造費用などが該当します。

3)売上高営業利益率

売上高営業利益率の計算式は次の通りです。この比率が高いほど収益性は高くなります。

売上高営業利益率=営業利益÷売上高

営業利益は次の式で計算できます。

営業利益=売上総利益-販売費及び一般管理費

販売費及び一般管理費とは、販売部門や総務・経理といった管理部門などで発生する費用です。人件費・事務用品費・旅費交通費・広告宣伝費・支払家賃・減価償却費などが該当します。

4)売上高経常利益率

売上高経常利益率の計算式は次の通りです。この比率が高いほど収益性は高くなります。

売上高経常利益率=経常利益÷売上高

経常利益は次の式で計算できます。

経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用

営業外収益とは、財務活動や投資活動など、本業以外で得た収益です。受取利息・受取配当金・有価証券売却益などが該当します。また、営業外費用とは、本業以外で発生した費用のことです。支払利息・為替差損・有価証券売却損・社債利息などが該当します。

5)ROE(Return On Equity、自己資本利益率)

ROEの計算式は次の通りです。この比率が高いほど効率性は高くなります。

ROE=税引後当期純利益÷自己資本

6)ROA(Return On Assets、総資本利益率)

ROAの計算式は次の通りです。この比率が高いほど効率性は高くなります。

ROA=税引後当期純利益÷総資本

7)総資本回転率

総資本回転率の計算式は次の通りです。この比率が高いほど効率性は高くなります。

総資本回転率(回)=売上高÷総資本

なお、総資本回転率が悪化する例として、保養所などの売上獲得に直接貢献しない資産を多く所有していることなどが挙げられます。

8)売上債権回転率

売上債権回転率の計算式は次の通りです。この比率が高いほど効率性は高くなります。

売上債権回転率(回)=売上高÷売上債権

売上債権は次の式で計算できます。

売上債権=受取手形+売掛金など

9)棚卸資産回転率

棚卸資産回転率の計算式は次の通りです。この比率が高いほど効率性は高くなります。

棚卸資産回転率(回)=売上高÷棚卸資産

棚卸資産とは、販売されずに在庫として会社に残っている資産です。商品・製品の他に原材料・仕掛品なども含みます。棚卸資産回転率が低い場合、在庫過多や不良在庫の恐れがあります。

10)有形固定資産回転率

有形固定資産回転率の計算式は次の通りです。この比率が高いほど効率性は高くなります。

有形固定資産回転率(回)=売上高÷有形固定資産

3 安全性に関する指標7選

1)流動比率

流動比率の計算式は次の通りです。この比率が高いほど安全性は高くなります。

流動比率=流動資産÷流動負債

流動資産とは、現金預金・受取手形・売掛金・棚卸資産など1年以内に現金化が見込める資産です。また、流動負債とは、支払手形や買掛金など1年以内に支払う必要のある負債です。

流動比率は、短期的な支出を短期的な収入でどの程度補うことができるかが把握できる指標です。1年以内という基準で資産と負債の比率を見るわけですが、「1年以内に回収できるか、また、支払いが可能かどうか」までは考慮されていません。そのため、資産と負債が同一の状態である100%では安全とは言い切れず、200%以上が望まれます。

2)当座比率

当座比率の計算式は次の通りです。この比率が高いほど安全性は高くなります。

当座比率=当座資産÷流動負債

当座資産は、流動資産から棚卸資産を除いた換金性の高い資産です。

当座資産=現金預金+受取手形+売掛金+有価証券など

受取手形・売掛金は、貸倒引当金を控除した後の値を用います。貸倒引当金とは、取引先の倒産などにより回収ができなくなる可能性がある金額を見積もった値です。

当座比率は流動比率よりも資産の回収可能性を考慮した指標であり、100%以上が望まれます。もし当座比率が低い場合、支払原資に対する短期借入金などの比率が大きいことが分かります。また、当座比率についても回収や支払いのタイミングは考慮されていません。流動比率が高いのに当座比率が低い場合、棚卸資産(在庫)が過剰となっている恐れがあります。

3)手元流動性比率

手元流動性比率の計算式は次の通りです。この比率が高いほど安全性は高くなります。

手元流動性比率(カ月)=(現金預金+有価証券)÷月商

手元流動性比率は、短期的な安全性を見る際に信頼できる指標です。なぜなら、手元流動性は、現金預金とすぐに現金化できる有価証券だけで安全性を評価するからです。一概にはいえませんが、中小企業の場合は1.7カ月以上が望まれます。

4)固定比率

固定比率の計算式は次の通りです。この比率が低いほど安全性は高くなります。

固定比率=固定資産÷自己資本

固定資産とは、建物や土地など1年超にわたって使用される資産です。固定比率は、短期では回収の難しい固定資産が返済する必要のない自己資本によってどれくらい賄われているか、企業の長期的な安全性を見るための指標で、100%以下となることが望まれます。

5)固定長期適合率

固定長期適合率の計算式は次の通りです。この比率が低いほど安全性は高くなります。

固定長期適合率=固定資産÷(自己資本+固定負債)

固定負債とは、社債や長期借入金など1年以内に支払う必要がない負債です。固定長期適合率は、長期的な安全性を見るための指標ですが、自己資本に加えて固定負債も考慮していることが特徴です。固定長期適合率は、100%以下となることが望まれます。

6)自己資本比率

自己資本比率の計算式は次の通りです。この比率が高いほど安全性は高くなります。

自己資本比率=自己資本÷総資本

自己資本比率は、総資本のうち、返済する必要がない自己資本が占める割合です。安全性の観点から見ると、自己資本比率は高ければ高いほど好ましくなります。ただし、負債で事業投資をして負債コスト以上の利益を上げている場合、自己資本比率が低くても問題はありません。そのため、収益性の観点から見ると、自己資本比率が高ければ良いというわけでもありません。

7)負債比率

負債比率の計算式は次の通りです。この比率が低いほど安全性は高くなります。

負債比率=負債÷自己資本

負債比率は、負債と自己資本を比較する指標です。負債比率は、自己資本比率を補完するものですが、安全性分析としては、自己資本比率もしくは負債比率のどちらか一方を分析すれば良いといえます。

4 生産性に関する指標3選

1)労働生産性

労働生産性の計算式は次の通りです。この比率が高いほど従業員1人当たりの生産性は高くなります。

労働生産性(円)=付加価値÷従業員数

労働生産性の計算式を次のように分解すると、生産性に影響を与える要因の詳細が見えてきます。

労働生産性(円)
=(売上高÷従業員数)×(付加価値÷売上高)
=1人当たり売上高×付加価値率

2)設備生産性

設備生産性の計算式は次の通りです。この比率が高いほど資産当たりの生産性は高くなります。

設備生産性=付加価値÷有形固定資産

設備生産性の計算式を次のように分解すると、生産性に影響を与える要因の詳細が見えてきます。

設備生産性
=(売上高÷有形固定資産)×(付加価値÷売上高)
=有形固定資産回転率×付加価値率

3)労働分配率

労働分配率の計算式は次の通りです。この比率が低いほど生産性は高くなります。

労働分配率=人件費÷付加価値

労働分配率が高ければ、労働生産性が低いか、余剰人員を抱えている可能性があります。

以上(2026年6月更新)
(監修 辻・本郷税理士法人 税理士 安積健)

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画像:pexels

ルール違反ではないが態度が悪い社員のマネジメント

1 社員のための取り組みがかえってマイナスに……?

デジタル技術の進歩による市場環境の変化、少子高齢化に伴う労働力不足など、日本国内のビジネス環境は大きく変わってきています。そして、多くの経営者が「このままではマズい。社員がもっと力を発揮できる会社にしなければ」と、働き方改革などに取り組んできました。

テレワークやフレックスタイム制で働く場所・時間を柔軟にし、若手にチャンスを与えるために仕事の権限を委譲し、なるべく本音で話せるようコミュニケーションにも気を配る……。ところが残念なことに、そんな経営者の苦労も知らず、むしろこうした取り組みをきっかけに態度が悪くなる社員が時折出てきます。例えば、次のような社員です。

  • 働き方が自由になったら、勤務態度までルーズに。服装もマナーも悪化している
  • テレワークに慣れ、周囲に無関心に。他の人の仕事は手伝わない。挨拶もしない
  • 権限委譲した途端、自分勝手に。誰にも相談せずに仕事を進めてトラブルを起こす
  • 上司は優しくて当たり前だと勘違い。少しでも注意されると機嫌が悪くなる
  • 今以上の働きやすさをさらに会社に要求。要求が聞き入れられないとやる気を失う

経営者としては、働きやすい環境を整えた以上、社員にもそれに見合う働きをしてほしいところです。しかし実際には、その優しさに甘えるだけで期待に応えてくれない社員もいるのが現実です。就業規則の懲戒事由(無断欠勤・命令違反など)に当たる行動があれば懲戒処分も選択肢になりますが、「態度が悪い」というだけでは、それも難しいのが実情です。

腹が立つことこの上ないですが、もしかしたら社員が生意気になった原因は、経営者が

「何を実施するか」にとらわれ、「なぜ実施するか」をおざなりにしてしまったこと

にあるかもしれません。「なぜ働き方改革に取り組むのか」「社員に何を期待しているのか」といった経営者の思いを十分に伝えないまま、取り組みだけが先行してしまった結果、社員は会社の施策を表面的にしか捉えられなくなります。いわば「仏作って魂入れず」の状態です。

この状況を打開するには、今一度、経営者の思いを社員にきちんと届ける必要があります。以降では、働き方改革などをきっかけに態度が悪くなってしまった社員への、効果的な思いの伝え方をご紹介します。

2 社員が生意気になるパターンは2つある

対処法をお伝えする前に、まず押さえておいてほしいことがあります。社員が態度を悪化させるパターンには、大きく次の2つがあるという点です。

【パターン1:「線引きの誤解」タイプ】

本人なりに働き方改革などに適応しようとしているが、「ここまでなら許される」という線引きが間違っていて、結果として生意気に見えてしまっているタイプです。

【パターン2:「性格の顕在化」タイプ】

働き方改革など環境の変化を機に、隠れていた性格などが顕在化して、本当に生意気になってしまっているタイプです。

この違いを「働き方が自由になったら、勤務態度までルーズに。服装もマナーも悪化している」というケースで考えてみましょう。

1)パターン1:「線引きの誤解」タイプ

パターン1の社員の場合、服装やマナーが悪化しているのは、「ここまでならフランクにいっても大丈夫だろう」という線引きが誤っているだけの可能性があります。もともと働き方改革などに適応しようという気はあるので、「自分は間違っていたんだ」と気付けば考えを改めてくれることが期待できます。ですから、経営者が考えるべきは、

パターン1の社員に焦点を当てて、働き方改革などに関する自身の思いを積極的に発信すること

です(こちらは第3章で具体的な方法を紹介します)。

2)パターン2:「性格の顕在化」タイプ

パターン2の社員の場合、働き方の自由化や上司の監視が緩まったことで、もともと持っていた自分勝手な性格や怠惰な面が顕在化してしまった可能性があります。誰しも多少はそういった部分を持っているものですが、根本的な性格はそう簡単には変えられません。

ただし、「最初から諦める」のは早計です。まずはパターン1と同様に思いをしっかり伝え、行動基準(第4章で後述するジョブディスクリプションなど)を明示した上で改善を求める指導を行いましょう(なお、指導の内容は必ず記録に残すことがポイントです)。

それでも改善が見られない場合は、「最悪、分かり合えなくても仕方がない」とある程度割り切りながら、仕事に支障が出ない環境を整えること(上司の目の届くオフィスで業務させるなど)や、配置転換・業務範囲の見直しなども選択肢として検討しましょう。

3 大きなメッセージと小さなつぶやきを組み合わせる

経営者が自身の思いを社員に伝えようとするとき、まず思い浮かぶのは「朝礼」でしょう。社員が一堂に会するタイミングで、例えば次のようなメッセージを届けるイメージです。

「これまで働き方改革のため、さまざまな取り組みを実施してきました。ただ、それは『皆さんを甘やかすため』ではなく、『皆さんがもっと力を発揮できるようにするため』です。皆さんは今、本当に力を発揮できているといえますか? 会社が働きやすさを提供する代わりに、皆さんは何をしてくれますか?」

こうした問いかけをするだけでも、多くの社員は一旦、自分の言動を振り返ろうとするでしょう。ただ、このような「大きなメッセージ」はその場では心に響いても、時間がたつにつれて印象が薄れていくものです。

そこでお勧めしたいのが、全体への発信と並行して行う「小さなつぶやき」の活用です。具体的には、

社員全員が閲覧できるSNSに「社長チャンネル」などを設け、経営者がうれしかったこと・疑問に感じたことなどを日々こまめにつぶやく

というアプローチです。例えば、

  • 「クライアントを訪問した際、受付の方の対応がとても心地よかった。やっぱり笑顔って大事!」
  • 「プライベートは大事! でも、仮に3人で20分残業すれば終わる業務を、1人でやろうとしている人がいたら、自然とその人に手を差し伸べられる社員が私の理想です」

といった、日々の業務に関連した等身大のつぶやきは、社員も情景を思い浮かべやすく、納得感が生まれやすいものです。

ただし、全体への発信は効果的ですが、問題が見られる社員が「自分のことだ」と気づかないケースも少なくありません。態度の悪化が顕著な社員とは、個別に1on1の面談を設定し、具体的な行動の事実をもとに「こういう場面でこう感じた」「こう動いてほしい」と直接伝えることが重要です。抽象的な「態度が悪い」という指摘では伝わりにくいため、事実ベースで丁寧に話すよう心がけましょう。

4 職務記述書(ジョブディスクリプション)も活用する

職務記述書(ジョブディスクリプション)とは、

社員が担当する業務内容・その難易度・必要なスキルなど、職務内容をまとめた書類

のことです。専門職採用や中途採用の場面でよく使われますが、すでに在籍している社員の職務内容が配置転換や雇用形態の変更などで変わった際にも活用できます。

職務記述書は、あらかじめ特定の職務をこなせる人材を採用する「ジョブ型雇用」の考え方に基づいており、

職務記述書に記載された職務をこなせることが、社員としての最低条件

になります。このことを社員に丁寧に説明した上で、「経営者が社員に何を期待しているのか」をジョブディスクリプションに明文化すると、社員を経営者の理想とする方向へ自然と引っ張ることができます。

ただし、職務記述書は「経営者が一方的に作成して渡す」だけでは、社員の反発を招くことがあります。作成後は必ず社員本人と内容を確認する場を設け、

双方が合意した上で運用を開始する

ことが大切です。話し合いのプロセスを経ることで、社員に納得感が生まれ、行動変容につながりやすくなります。

具体的には職務記述書に「期待される特性」などの欄を設けることが考えられます。次の職務記述書は、アプリ開発を行う会社がシステムエンジニアを募集する場合の例です。

職務記述書:システムエンジニア

以上(2026年5月更新)

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画像: metamorworks-shutterstock

経営のヒントとなる言葉(黒田官兵衛)

「意見ではなく異見せよ」(*)

出所:「日経おとなのOFF(134)」(日経BP社)

冒頭の言葉は、

「トップは、たとえ自身の考えと異なる意見であってもそれに耳を傾け、常に客観的に自身を把握しなくてはならない」

ということを表しています。

官兵衛の生家である黒田家は、播磨国の大名・小寺家の家老でした。しかし、後に織田信長が畿内に勢力を伸ばしてくると、官兵衛はその将来性を確信し、信長に仕えるようになります。そこで豊臣秀吉と出会った官兵衛は、秀吉の参謀的な存在となり活躍します。

やがて、本能寺の変によって信長が明智光秀に討たれると、官兵衛は、秀吉に「信長の仇を討つことで織田政権の後継者となり、天下統一を果たす」ことを進言するなど、秀吉の天下取りを支えました。

官兵衛は知将として知られ、秀吉が天下統一を実現できたことも官兵衛の存在によるところが大きかったと言われていました。このことは、官兵衛も自覚しており、自身の知謀を誇ったこともありました。しかし、あるとき中国地方の武将・小早川隆景から、官兵衛は鋭い頭脳を持つが故、独善的な決断を下してしまう恐れがあると忠告されたのです。

これ以降、官兵衛は周囲の意見に耳を傾けるよう努めたといわれます。周囲の意見に耳を傾け、独善的にならず、多面的な視点から問題を捉えることができたからこそ、官兵衛は軍師として、多数の家臣を率いる武将として、後世に名を残すことができたのでしょう。

周囲の意見に耳を傾ける姿勢は、官兵衛の息子である黒田長政にも受け継がれています。長政は、秀吉の没後、徳川家康と石田三成が衝突した関ヶ原の合戦において、家康が率いる東軍の武将として参戦し、活躍しました。合戦での功績が大きく評価された長政は、家康から筑前国(現福岡県)を与えられて福岡藩初代藩主となります。

藩主となった長政は、さまざまな身分の家臣を城内に集めて意見交換をする「異見会(いけんかい)」を開催しました。異見会では、「身分の上下に関係なく誰もが平等に意見を述べることができる」「出席者は遠慮なく意見を述べなくてはならない」「摩擦を恐れて上役の意見に追従する者は二度と異見会に出席させない」などの決まりがあり、活発に意見が述べられたと伝えられています。

明確な身分制度が存在し、武将の大半は強い威厳をもって家臣を従わせていた時代にあって、官兵衛や長政はあくまでも上下一体となった家中の融和を心掛けました。こうした二人の姿勢は、官兵衛が子孫に訓戒として残している、次の言葉からも窺い知ることができます。

「大将たる人は、威厳というものがなくては、万人を押さえることができぬ。さりながら、悪く心得て、威張ってみせ、下を押さえ込もうとするのは、かえって大きな害である」(**)

家臣を率いる武将にとって、もちろん威厳は必要です。しかし、力ずくで押さえつけると家臣は畏縮し、自身の意見を言わなくなっていきます。

企業においても、社員はトップである経営者に対しては、遠慮したり気を使ったりして意見を言いにくいものです。経営者が社員の意見に耳を傾けずに独断で物事を決めてしまうと、社員はなおさら意見を言わなくなるでしょう。

経営者の役割とは、社員を一つにまとめて経営に当たることです。そのためには、自身の地位におごることなく、謙虚な姿勢で社員のさまざまな意見を尊重することが大事なのです。

【本文脚注】

本稿は、注記の各種参考文献などを参考に作成しています。本稿で記載している内容は作成および更新時点で明らかになっている情報を基にしており、将来にわたって内容の不変性や妥当性を担保するものではありません。また、本文中では内容に即した肩書を使用しています。加えて、経歴についても、代表的と思われるもののみを記載し、全てを網羅したものではありません。

【経歴】

黒田官兵衛(1546~1604)。播磨国姫路(現兵庫県姫路市)生まれ。豊臣秀吉の参謀。黒田家初代当主。黒田長政の父。

黒田長政(1568~1623)。豊前国中津(現大分県中津市)生まれ。黒田家2代目当主。福岡藩初代藩主。

【参考文献】

(*)「日経おとなのOFF(134)」(日経BP社、2012年4月)
「図説 黒田官兵衛伝」(加来耕三、河出書房新社、2013年11月)

以上(2026年5月更新)

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画像:日本情報マート

【中級者向け】決算書から読み解く 自社の危険信号

1 決算書などが示す危険信号を見逃さない

経営を取り巻く環境が急速に変化する昨今では、ともすれば事業が停滞し足元の資金繰りが苦しくなることもあります。そのようなときは、「とにかく行動する」ことも一つの正解ですが、判断のよりどころとして、きちっと自社の状態を分析したいものです。

そうした意味で、皆さんの会社の状態はどうでしょうか。この記事では、

決算書や月次試算表から読み解くことができる危険信号

を専門家が解説しますので、皆さんの会社の状態を確認し、必要に応じた対策を講じてください。

なお、この記事の対象は、会計監査人の設置義務がない(直近の期末時点で資本金5億円未満かつ負債総額200億円未満の会社)中小企業です。中小企業の会計に関する指針の適用対象外とされる「1.金融商品取引法の適用を受ける会社並びにその子会社及び関連会社」「2.会計監査人を設置する会社及びその子会社」を前提としていないことをあらかじめご了承ください。

2 自社の危険信号をつかむ6つのポイント

早速、自社の危険信号を確認するポイントを具体的にみていきましょう。決算書(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)は過去3期分を準備して動きを把握し、月次試算表も直近から1~2年程度を確認することで、正確な判断ができます。

1)売上と仕入のタイミング:損益計算書とキャッシュフロー計算書

黒字倒産は、損益計算書(以下「PL」)では売上が増加していても、それに見合うキャッシュの回収が遅れ、売上に対する仕入支出も併せて増加することで残高がショートすることです。収入と支出のタイミング、金額(原価率)は資金計画表などを用いて丁寧に追う必要があります。収入と支出のタイミングを確認する指標に、売上債権回転期間と仕入債務回転期間があります。下記計算式では、売上債権回転日数と仕入債務回転日数について説明します。

  • 売上債権回転日数=期末売上債権÷(年間売上高÷365日)…【売】
  • 仕入債務回転日数=期末仕入債務÷(年間仕入高÷365日)…【仕】

過去と現在の【売】と【仕】の変化および原価率を確認し、次のいずれかのケースに該当する場合は、未来の残高について丁寧に確認しましょう。

  • 【売】の短期化以上に【仕】の短期化が進んだ
  • 【売】の長期化より【仕】の長期化が進まなかった
  • 【売】と【仕】の変化に差はなかったが、原価率が上がった

また、収入が支出よりも先にくる企業は、キャッシュが先に厚くなります。そのため、売上が伸びているときは、キャッシュフロー計算書(以下「CF」)の営業キャッシュフローが大きくプラスになります。一方、業績の悪化などで急激に赤字に落ち込む場合、逆に営業キャッシュフローが大きく赤字になりやすく、収入後に適切にキャッシュを厚くしておかないと、支出時にショートしてしまう恐れがあるので要注意です。PLとキャッシュフローは異なるため、原価率だけで考えるのは非常に危険です。

なお、急激に赤字となった場合のPLとキャッシュフローの関係性(例)は次のようになります。

急激に赤字となった場合のPLとキャッシュフローの関係性

2)減収時の固定費:PLと月次試算表

売上の多い少ないにかかわらず常に発生する費用が固定費であり、主なものに正社員の給与や地代家賃などがあります。売上に対する固定費比率は売上減少時に高まり、資金繰りを圧迫します。地代オーナーに対する減免や繰り延べ交渉をはじめ、家賃に関する補助金や雇用に関する助成金等の利用も含めて、総合的に賄えているのかを丁寧に確認する必要があります。助成金関連は給付申請や入金タイミングがイレギュラーのため、月次試算表に反映して判断することが難しいケースが多いと考えられますが、会計入力とは別で試算して把握することが大切です。

3)純資産の部:貸借対照表(以下「BS」)

将来の営業収支と併せて、純資産の部の数字は資金調達においてとても重要です。債務超過(純資産の部がマイナスになること)になってしまうと、融資条件が極端に悪くなるばかりか、既存の借り入れの契約条項にも抵触する恐れがあります。

また、税務会計(税金を正しく計算することを目的とした会計)の上ではプラスでも、財務会計(企業の財政状態と経営成績を利害関係者に報告することを目的とした会計)に引き直すと、固定資産や有価証券の減損評価(著しく価値が減少した資産について時価で計上し、一度に多額の損失を計上すること)によって、マイナスになることもあるため注意が必要です。

ここで検討すべき手段の一つとして、政府系金融機関が用意している資本性劣後ローン(メザニンローン)があります。通常の融資評価上では、負債ではなく純資産とみなされるため、利用することで純資産の部の改善が図れます。

4)製造から入金までの期間:BSとPL

キャッシュ・コンバージョン・サイクル(以下「CCC」:サービス開始日や製造日から、出荷日・入金日までの期間)が長い場合は、資金繰りへの影響が大きいので優先的に考える必要があります。特に、自然災害などで製造が一時的に停止するような場合、工場の再稼働から入金までの期間がもともと長いことと併せて、入金が本来見込んでいるスケジュールよりも遅延することが考えられます。CCCが普段よりも長期化していないかは丁寧に確認するべきでしょう。

なお、CCCは以下の算式で計算されます。

CCC=売上債権回転日数+棚卸資産回転日数-仕入債務回転日数

  • 売上債権回転日数:商品やサービスの販売から、入金があるまでの日数
  • 棚卸資産回転日数:仕入れた商品を販売するまでの日数
    ※計算式は棚卸資産回転日数=期末棚卸資産÷(年間売上原価÷365)です。
  • 仕入債務回転日数:商品の仕入から、代金を支払うまでの日数

5)固定資産・減価償却費:BSとPL

ビジネスにおいて用いる固定資産の割合が大きい会社(例:不動産業や製造業など)は、固定資産の増減の詳細を踏まえ、再投資の必要性や、投資支出から回収までの期間の見積もりを細かく検討する必要があります。

また、減損評価や過去に支出した投資の費用化である減価償却費は、費用計上時に支出が伴いませんが、純資産がマイナスとなるため注意が必要です。固定資産の中に急激に価値が下がりそうなものはないか、さらに、工場の建設など巨額の投資をした後の減価償却費の金額の推移には留意しておきましょう。

6)未払税金・未払社会保険:BS

自然災害などの影響で、過去に無利子の納税猶予を受けた会社もあると思います。特に社会保険については、従業員から預かった分の納付を猶予することで負債は増えるものの、キャッシュフローを一時的に改善した会社もあるでしょう。

ただし、未払をやみくもに延長することは、融資条件を悪化させる影響もあり得るため得策ではないと思います。可能な限り資金を工面して、税金の未払を早い段階で解消すべきです。

3 経営者が決算書を読む際に重要な2つの視点

以上、注意したい6つのポイントを紹介しました。さらに理解を深める上で重要な視点を2つ説明します。

1)未来のキャッシュについて

企業の存在意義は、経営理念や社是・社訓、ミッション・ビジョン・バリューなど、さまざまな形でその意義と具体的な方針が設計されていると思います。目指すべき方向性は千差万別ですが、キャッシュが途切れたら事業は継続できません。キャッシュは次の2つの視点で考えましょう。

1.キャッシュを不足させない

企業の血液とも呼べるキャッシュが尽きることは、事業活動を継続できないことを意味します。それは、たとえ決算が黒字でも、キャッシュが支払えずに倒産してしまうケース(黒字倒産)があるので、正しい資金調達手段を適切なタイミングで実行することが必要です。

2.未来の支出よりも、未来の収入のほうが大きいかどうか

黒字倒産の裏を返せば、赤字決算が続いても、キャッシュが尽きなければ事業活動を継続できます。ただ、未来に稼ぐと考えられる収入よりも支出が明らかに多いと判断される場合は、企業の価値が今より減衰していきます。株主の立場では、企業価値が減衰した時点で企業運営を終了させることが合理的といえます。もちろん現実的には、ステークホルダーである取引先や従業員、その家族の生活保障であったり、企業が生み出してきた価値の継承であったりと、考えなければならない事項が多くあることを忘れてはいけません。

2)決算書や試算表の作成根拠について

決算書は、企業活動を映し出した一覧表です。この決算書に記載された会計のルールは実は単一ではなく、企業によって異なります。このため、自社の決算書における会計が、どのようなルールで作成されているかを適切に把握しないと、誤った判断をしてしまう恐れがあります。

決算書で考える基本的な会計は、上記2-3)純資産の部で前述した通り、税務会計と財務会計の2種類です。大企業ではこれらを明確に分離して、それぞれの決算を組まなければなりません。中小企業では税務会計を基本とし、必要に応じて一部に財務会計を適用するような形式が取られています。そこで、自社の会計がどのようなルールで作成されているかを判断するために、「『中小企業の会計に関する指針』の適用に関するチェックリスト」が決算書の中にあればこちらを確認するとともに、顧問税理士にも確かめて現況を把握しましょう。

税務会計と財務会計で差が生じるものには、固定資産の減損、ソフトウエアの処理、引当金(資産除去債務)の計上、税効果会計の適用などが挙げられます。自社の会計が税務会計を基準としている場合、財務会計に照らすとこれらがどのように変わり得るのかを意識できると、より良い判断ができます。

また、附属明細書が作成されているかも確認しましょう。例えば、固定資産を確認する際は、附属明細書の固定資産増減明細が必要になります。もし作成されていない場合は、固定資産台帳で増減の総括を確認しましょう。

月次試算表については、決算書とは異なり決算整理仕訳が簡便になっているケースがほとんどです。売上原価の算出や減価償却費、未収未払は月次で入力されていないケースもあるので、月次試算表の締めがどの辺りまでされているかを顧問税理士に確認しましょう。

以上(2026年6月更新)
(執筆 KOSOパートナーズ合同会社 代表社員CEO 公認会計士 朝倉厳太郎)

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画像:Fariz Alikishibayov-shutterstock

【熱中症対策】今年は早めの「暑熱順化」がオススメ!詳しい方法を解説します

1 6月の熱中症が増加中!? 早めの「暑熱順化」に取り組んでみませんか?

2025年に熱中症で救急搬送された人数は10万510人(消防庁「令和7年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況」)にのぼりました。2026年も引き続き、注意が必要です。

熱中症のピークは7月下旬から8月上旬ごろですが、2025年6月単月で見ても、搬送者数が1万7229人と、前年(2024年)の7275人から1万人近くも増加しています。熱中症対策をはじめる時期も、年々早まっているといえます。

一般的に、体が暑さに慣れるには数日から2週間程度が必要とされています(個人差あり)。そのため、暑くなってから急に水分・塩分の補給をするだけでは、対策として十分ではありません。

そこで、この記事でご提案するのが、

暑熱順化

です。暑熱順化とは、時間をかけながら暑さへの耐性を身に付けていくアプローチで、厚生労働省や環境省も推奨しています。具体的にはジョギングやウォーキングなどによって汗をかき、体を暑さに慣れさせていく、というものです。ぜひ今年から、夏の熱中症対策として取り入れてみてください。

暑熱順化のスタートは、本格的に暑くなるより少し前からが最適です。早速、ポイントを確認していきましょう!

2 なぜ、暑熱順化が熱中症予防になるのか?

熱中症を引き起こす要素は、図表1のように、環境・体・行動の3つに分類されます。

熱中症を引き起こす主な3要素

暑熱順化の仕組みを理解するにあたり特に注目したいのは、

「体」に分類される「暑さに慣れていない」状態

です。

体温が上がると、ヒトの体は

  • 皮膚への血流を増やして体の表面から熱を逃がす(熱放散)
  • 汗が蒸発することで熱を逃がす(気化熱)

ことによって体温を調節します。

しかし、体が暑さに慣れていない状態で気温が上昇すると、この体温調節がうまくできず、結果的に熱中症につながることがあります。具体的には、

  • 暑熱順化ができていないせいで、熱放散が機能しにくくなる
  • 汗をたくさんかくため気化熱による体温調節は機能するが、今度は水分・塩分が多く失われ、血液の流れが悪くなる
  • その結果、体内に熱が急速にたまり、熱中症になってしまう

という構造になっています。

暑熱順化による体の変化

一方で、早いうちから暑熱順化に取り組んでいると、皮膚の血流量が増加しやすくなり、汗に含まれる塩分量も減るので、血液の流れが悪くなるリスクを低減できます。つまり、

暑熱順化を行うと、夏本番を迎えて気温が上昇しても、熱を逃がしやすくなり、体温調節がうまく機能する

のです。

3 暑熱順化のポイントと具体的な方法

1)暑熱順化のポイント3つ

暑熱順化のポイントは、次の3つです。

  • 本格的に暑くなりそうな時期の2週間前から始める
  • トレーニングを持続する
  • 無理はしない

体が暑さに慣れるまでには時間がかかるので、気象庁の「2週間気温予報」などを確認しながら、本格的に暑くなりそうな時期の少し前からトレーニングを開始しましょう。

■気象庁「2週間気温予報」■
https://www.data.jma.go.jp/cpd/twoweek/

また、暑熱順化の効果はあまり続かないことにも注意しましょう。個人差はありますが、トレーニングを中断すると、数日で元の状態に戻ってしまいます。特に注意が必要なのが、梅雨寒の日が続いたり、夏休み中に涼しいところで過ごしたりして、運動を休んだとき。暑さへの耐性が弱まっているタイミングで一気に気温が上昇すると、熱中症になるリスクが高まります。

2)暑熱順化の具体的なやり方4選

暑熱順化において大切なのは、「脳と体を夏モードに切り替えること」。そして、暑さに備えた体をつくるためには、夏の暑さを再現して汗をかくことが肝要。ポイントは、

「やや暑い環境」で「ややきついと感じるくらいの運動」をすること

です。

厚生労働省「働く人の今すぐ使える熱中症ガイド」では、暑熱順化に有効な対策として次の4つの取り組みが推奨されています。なお、時間や頻度は全て目安なので、自身の年齢や体力、気温や室内の環境を考慮しながら取り組んでみましょう。

暑熱順化に有効な対策

図表3の内容を、もう少し詳しく説明します。

1.歩く・走る

ウォーキングであれば30分、ジョギングであれば15分の運動を、週5回行うことが望ましいです。通勤でバスや電車を使っている人は1つ手前の駅から歩いたり、移動の際にできるだけ階段を利用したりするのも、汗をかくのに効果的です。

2.自転車

サイクリングであれば、30分の運動を週3回行うことが望ましいです。例えば、時速20キロメートルで走ると、10キロメートルほどの距離です。

3.適度な運動(筋トレ・ストレッチなど適度に汗をかくもの)

室内でできる取り組みとしては、筋トレやストレッチなどがあります。この場合、30分の運動を週5回から毎日実施することが望ましいです。

4.入浴・サウナ(お風呂はシャワーだけでなく、湯船につかる)

入浴であれば、2日に1回以上はしっかりと湯船に入ることが望ましいです。なお、サウナが暑熱順化に有効という意見もありますが、水分補給の状況によっては脱水症状を引き起こしたり、心臓に負担がかかったりする恐れがあるので注意が必要です。暑熱順化の基本は「やや暑い環境」で「ややきついと感じるくらいの運動」をすることです。あくまで暑さに慣れることが目的ですから、無理をしすぎて熱中症になっては本末転倒なので注意しましょう。

3)(補足)栄養補給で相乗効果を狙う

暑熱順化の効果を高めるには、栄養補給も大切です。例えば、

運動を行った後、30分~1時間以内に牛乳などの乳製品を摂取すること

などが推奨されています。

  • 運動中には血中のグルコース(ブドウ糖)がエネルギーとして使われること
  • 運動時に損傷した筋繊維を修復する際、アミノ酸を運ぶために糖質・たんぱく質が必要になること

などから、それらの栄養素を含む牛乳などの乳製品を運動後に摂取することは効果的なのです。

以上(2026年6月更新)

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画像:Something in my head-Adobe Stock

【分かりやすい原価計算(1)】原価の範囲~赤字覚悟!? どこまでが原価に含まれているの?

1 原価計算は何のためにするもの?

原価計算は、モノやサービスを作るのにいったいどれだけ費用がかかったかを知る手法で、会計などの分野にも必要な考え方です。会計は目的ごとに、

  • 税務会計:納税額を計算
  • 財務会計:株主などに向けて会社の状態や業績などを報告
  • 管理会計:自社の将来の意思決定のための資料

の3つに分かれ、いずれも原価計算が関わってきます。

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税務会計と財務会計では、決算期末の仕掛品などの在庫を決算書に計上するために必要となります。この在庫を基に売上原価が計算され、その後の利益計算が行われていきます。

一方、将来を予測し、将来を変える会計といわれる管理会計でも、原価計算の考え方は重要です。例えば、経営者は「物価高による解約で売上が2割落ちる見込みだが、利益はいったいいくらになるのか」「資金繰りは大丈夫なのか」といったことが心配になります。これらの疑問に答えるのに、自社のモノやサービスにいったいどれくらいお金がかかっているのかが全く分からないというのでは話になりません。原価計算の考え方を通して、将来の活動の方向性を示していくことができるように、会社の体質を把握していかなければなりません。

この会社の体質を、経営者、経理や財務だけでなく、あまり全体の数字には携わっていない営業担当者や製造担当者とも共有しておくことが大事です。各現場で全社として正しい判断ができるようになるでしょう。

書店に行くと、原価計算の体系化された書籍や新しい知識が盛り込まれた書籍が数多くあります。しかし、その中には中小企業の現場では使わない論点も数多くあるように感じます。本シリーズでは、このような膨大な情報の中から、中小企業の経営者や従業員が現場に落とし込むのに必要な情報を抜き出し、紹介していきます。

2 本当に赤字覚悟か? 原価で見るモノやサービスの値段

街中の飲食店で「赤字覚悟!」とうたい、スペシャルメニューの大盛りラーメン、ステーキやお寿司などを提供しているのを見たことがあると思います。お店が赤字になるぐらいギリギリの値段で、お客さんにはとてもお得というような宣伝文句として使われます。

この場合の赤字(その反対は黒字)には、どのような意味があるでしょうか。赤字・黒字というのは、利益のあるなしを示す言葉です。経営では、まず会社のもうけを増やすことを考えます。このもうけ、つまり利益は、

売上−費用=利益

の計算式で表すことができます。この費用の中に、

モノやサービスを作るための「原価」が含まれているのです。

少し身近な例(回転寿司店)で原価の範囲を考えてみましょう。回転寿司のお寿司の原価には何が含まれるかイメージしてみてください。ざっくり次のようなものがイメージできるのではないでしょうか。なお、次章の解説につなげるため、グループ分けしています。

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赤字覚悟と言われると、売上からネタやシャリなど材料費だけを引いたものが赤字スレスレとなっていると感じるかもしれませんが、実際は違います。なぜなら、材料費だけではなく料理人の給料や店舗家賃、電気代などの水道光熱費もかかっているからです。数字の仕事をされている方は、ちょっと立ち止まって、

どこまでの原価を費用に入れて赤字覚悟なのだろうか

と考えてみるのもよいでしょう。

3 決算書から読める原価はどれ?

原価のイメージができたところで、さっそく決算書(損益計算書と製造原価報告書)を見ていきましょう。

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損益計算書の「売上原価」に含まれている項目(製造原価報告書の当期製品製造原価)が、モノやサービスを作るための原価です。なお、製造原価報告書とは、原価を集計し、当期に完成した製品の原価(製造原価)を計算する決算書をいいます。売上原価には、材料費、労務費、外注費、経費といったモノやサービスを作るためにかかった費用が含まれます。図表2でいえば、1から6までが売上原価になります。

また、これ以外に本社の人件費や広告宣伝費といった販売や管理をするための費用として販売費及び一般管理費(以下「販管費」)があります。図表2でいえば、7から10までが販管費になります。

原価計算では、狭い意味での原価としてモノやサービスを作るためにかかった「売上原価」、広い意味での原価として、さらに販売や管理にかかった費用を加えた「売上原価+販管費」と表現します。

損益計算書の営業外収益・営業外費用、特別利益・特別損失は、原価計算の対象にはなりません。これらは、モノやサービスを作るためや販売・管理をするための費用、つまり営業活動にかかる費用ではないからです。

以降では、モノやサービスを作るための直接的な費用である「売上原価」を原価(狭い意味での原価)として説明していきます。

4 原価は3つ+αで構成される

原価は、何のために使った費用かということで、まず材料費、労務費、経費の3つに分類されます。

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さらに、経費の中に含まれる外注費は別枠で把握していきます。外注費というのは、自分の会社ではできないことを、他の会社や人に依頼してやってもらう場合に発生する費用です。自分の会社ではできないというのは、技術がなくてできないケースもあれば、まさに自社の本業だけれども、仕事の依頼が多すぎて人が足りないためできないというケースもあります。

自社のみで仕事を回すほうが、一般的に利益率は高くなります。このため、損益予測をしたり、決算分析で前期比較や予算比較をしたりする場合も、外注費がどれくらいかかっているかというのは重要になってきます。

例えば、建設業で前期よりも売上は20%上がったが、利益率が落ちているというケースで考えてみましょう。経営者は、仕事の効率が落ちてしまっているのかと心配になるかもしれません。そのときに見てもらいたいのは、外注費が多くなっていないかということです。仕事が会社のキャパ(許容範囲)よりも多くなってしまうと、どうしても外注に回す必要があります。外注する場合、自社だけで仕事を回すよりも一般的には利益率は落ちてしまいます。なので、自社で仕事をした分の効率が落ちていなければ、外注に回した仕事が増えたことによって全体の利益率が落ちることは問題ありません。

このように外注費は個別に把握すべき費目といえるので、

原価は材料費、労務費、外注費、経費という区分で考える

ことが大切なのです。

以上(2026年5月更新)

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