本連載は、相続に関する法律や税金の基本から、相続争いの裁判例、税務調査で見られるポイントを学ぶものです。著者は相続専門税理士の橘慶太氏で、相談実績は5000人超。遺言書、相続税・贈与税、不動産、税務調査、各種手続といった観点から相続の現実を伝えています。
「結果を出すチーム」を率いるリーダーが重視すべきたった1つのこと
1 情報はチームの血液のようなもの
会社では、あらゆる場面でチーム活動が行われています。上司として部下と一緒にクライアントへ提案する、これも立派なチーム活動です。でも、「提案の目的は何か」「クライアントは何を求めているのか」といった情報がメンバー間で共有されていなかったら、どうなるでしょう? チームワークは乱れ、良い結果にはつながりません。
情報はチームの血液のようなもので、スムーズに流れていなければチームは機能しない
のです。テレワークが広まり、チャットでのコミュニケーションが当たり前になった今、チーム内の情報共有は、これまで以上に重要な課題になりました。
皆さんはチームのリーダーの立場ですが、もし、「チームがうまくいっていない」と感じていたら、この記事を読んでみてください。チーム内において情報共有する上で大切なポイントを紹介していきます。
2 チーミングは最初が肝心!
1)リーダーズインテグレーションとは?
チームが立ち上がったら、リーダーが最初に行うべきこと、それが「リーダーズインテグレーション」です。簡単に言えば、
チームが形成された直後に行う“情報共有のためのキックオフミーティング”
のことです。「なんだ、キックオフか。それならいつもやっているよ」と思うかもしれませんが、ここで大切なのは、単なる顔合わせや目標発表ではなく、情報格差を埋めることです。
組織心理学者のブルース・タックマンが提唱した「タックマンモデル」によると、チームは次のような段階を経て成長します。

チームは「形成」してもすぐには「機能」せず、「混乱」と「統一」のフェーズを通ります。この混乱は、多くの場合情報格差から生まれます。チーム立ち上げ当初は、まだ情報の伝達ルールが整っていません。そのため、
「え、他のメンバーは知ってたの? 私だけ聞いてない……」
「なんで自分にだけ情報が来ないんだろう」
といった不公平感や疑心暗鬼が生まれやすいのです。だからこそ、リーダーとメンバーが最低限の情報を共有するために、リーダーズインテグレーションが必要になります。最初にしっかり情報を揃えておけば、混乱を最小限に抑えられるのです。
2)リーダーズインテグレーションの際の注意点
リーダーズインテグレーションで大切なことは、
メンバーが「知っているはず」だという先入観を持たないこと
です。素直に自分が知りたいことと、メンバーに知ってほしい情報を共有しましょう。
例えば、「自分はせっかちな性格である」「完璧主義なところがあり、細かいことが気になってしまう」などと伝えます。また、メンバーには、
- チームについて知っていること、聞きたいこと
- リーダーについて知っていること、聞きたいこと
を挙げてもらい、リーダーはそれに丁寧に答えます。「こんなことも聞いて大丈夫なんだ」と感じられれば、メンバーは安心して意見を言えるようになります。よく「心理的安全性」という言葉で表現されますが、これがチームがうまく機能するための土台になります。
3)リーダーのコミットメント
リーダーズインテグレーションでは、
自身がどんなリーダーでいるかをメンバーに約束(コミットメント)すること
も大切です。これにより、「この人がリーダーなんだ」という認識が共有され、基本的なルールが明確になります。コミットメントの例は次の通りです。
- 快適なチーム活動を約束する
- 常にリーダーとしての威厳を持って活動することを約束する
- メンバーの業務状況、家庭生活に配慮することを約束する
- 時間厳守を約束する(無駄に活動を長引かせない)
- 定期的に活動の進捗を伝えることを約束する
- 中立な立場で指揮を執ることを約束する
- 独断しないことを約束する
- チーム活動を周囲の雑音から守ることを約束する
- チーム活動の責任はリーダーである自分が負うことを約束する
- 正当な権利は、リーダーである自分が上司と交渉することを約束する
こうした約束を明確にすることで、メンバーは安心してリーダーに着いて来られるようになります。
4)リーダーの心構え「サーバント・リーダーシップ」
もう1つ、リーダーが押さえておきたいのが「サーバント・リーダーシップ」です。これは、
リーダーは「指示する人」ではなく、「チームに奉仕する人」であるという考え方です。
サーバント・リーダーシップにおけるリーダーの役割は、メンバーが最高のパフォーマンスを発揮できるよう、障害を取り除き、サポートすることです。
前述したコミットメントも、まさにサーバント・リーダーシップの実践例。「自分がチームのために何ができるか」を明確にすることが、今のリーダーには求められています。
3 「ジョハリの窓」を意識した情報共有
チームが動き始めてからの情報共有については、「ジョハリの窓」というフレームワークが役立ちます。これは、心理学者のジョセフ・ルフトとハリー・インガムが考案したもので、両者の名前に由来して「ジョハリの窓」と呼ばれています。コミュニケーションにおける「気付き」のモデルとして有名ですが、チームの情報共有にも応用できます。
ジョハリの窓では、情報を4つに分類します。

良いチームをつくるには、
「開放の窓」をできるだけ広げることが重要
です。つまり、メンバー全員が同じ情報を持っている状態を増やしていくということです。互いのことは活動を続けるうちに分かってきますが、コミュニケーションをサボると「開放の窓」は広がりません。「開放の窓」を広げるには、
- 「隠された窓」を小さくすること
- 「盲目の窓」(問題点)を小さくすること
が必要です。
「隠された窓」を小さくするには、リーダーが、チームに関する情報を積極的に共有します。「これは言わなくてもいいかな」と思うことでも、チームに関係することなら、どんどん開示するようにしましょう。例えば、プロジェクトの背景や経緯、上層部の意向や期待、予算やリソースの制約、今後のスケジュール感、リスクや懸念事項などがそうです。透明性を高めることで、メンバーの信頼を得られます。
「盲目の窓」を小さくするとは、メンバーからの質問や指摘を受けて、自分(やチーム)の問題点に気づくということです。「最近、報告が遅いと感じることはありますか?」「私のマネジメントで改善してほしい点はありますか?」など、質問を投げかけることで、自分では気づかなかった課題が見えてきます。大切なのは、指摘されても防御的にならないこと。「教えてくれてありがとう」という姿勢で受け止めましょう。
以上(2026年2月更新)
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画像:pixabay
【中堅社員のスピーチ例】「自分へのご褒美」で繁忙期を乗り切る!
【ポイント】
- 仕事の山場を乗り越えるために、自分自身にご褒美をプレゼントしてみる
- 自分の気持ちが満たされ、心に余裕ができれば周囲へのサポートにも気を配れる
- 特別なギフトでなくとも、日常でパフォーマンスを整える工夫をしてみる
おはようございます。 早いもので2月に入りました。2月のイベントといえば、バレンタインがあります。バレンタインと言えば、親しい人にチョコレートやギフトなどを贈るイメージがありますが、最近は楽しみ方が多様化しています。その1つに、「自分へのご褒美」があります。誰かに贈るのではなく、美味しいスイーツを自分のために買い、自身を労ったり、今後の山場を乗り越えるモチベーションを高めたりしようとする人が増えているそうです。
私は、これにはビジネスの観点からも理にかなった部分があると感じています。これから年度末に向けて、自分自身の仕事を終わらせたり、後任者に仕事を引き継いだりするために動くなど、忙しい日々が続く人が多くなるでしょう。山場を乗り越えるために、あえて自分に「ご褒美」をプレゼントして、「よし、これを食べたから(買ったから)来月まで頑張ろう!」などと気合を入れる。とても良いセルフマネジメントではないでしょうか。
忙しくなるとつい自分のケアを後回しにしがちですが、最高の仕事をするためには、まずは、自分自身のパフォーマンスやモチベーションを整えておくことが肝心です。また、この「自分へのご褒美」という考え方は、自分自身だけでなく周囲に対しても良い影響があります。自分の気持ちが満たされ、心の余裕を持つことができれば、忙しい中でも同僚や部下へのちょっとした声掛けやサポートに意識を向けられるからです。
皆さんもぜひ、チョコレートに限らず、好きな食事や趣味の時間など、自分なりのご褒美を用意してみてください。自分へのご褒美が思いつかないという人は、お気に入りのコーヒーを飲む、少し早く帰ってゆっくり休むなど、日常で少し自分のパフォーマンスを整える工夫をするだけでも、長期的な活力やモチベーションにつながります。私も、繁忙期に入る前に、温泉に行ったり、美味しいものを食べたりして、自分自身のパフォーマンスを整えておこうと考えています。
適度に自分を甘やかしながら、チーム一丸となってこの繁忙期を元気に乗り切っていきましょう。 年度末まであと少し、引き続きよろしくお願いします。
以上(2026年2月作成)
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画像:Mariko Mitsuda
【書籍ダイジェスト】『硬くて柔らかい「複雑系」 骨のふしぎ』
本書は、鉄筋コンクリートにも似た構造や、硬いだけではなく衝撃を緩和する「しなやかさ」を備えていることなど、骨にまつわる驚きの事実を、最新の研究成果を踏まえて解説する。
骨は「不動」なものであると考えがちだが、実は、つねに破壊されつつ、つくられており、「動的平衡状態」が維持されているという。また、骨の中にある骨髄には多種多様な細胞が存在しており、骨髄腔と呼ばれる空間には、免疫細胞を保存する「図書館」のような役割があるという有力な説も紹介する。
令和8年度税制改正大綱で中小企業が受ける影響と対応策
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IT化や生産自動化の悩みを解決! 中小機構によるDX支援策のご紹介
自動機やロボット、ITツール等による業務プロセスの改善は、人手不足への対応策であると同時に、品質の安定化や生産性向上、人件費を含むコスト削減などにも寄与します。DXは、将来に向けた競争力強化のための投資と言えるでしょう。
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「給与所得者異動届出書」の提出が遅れると、企業が納税を滞納したと判断されるリスクがあります。経営者として、手続きの重要性を理解し、手続きの効率化・管理体制を整えることが、組織の信頼性向上につながります。
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「ハラスメント」という言葉を耳にしない日はないくらい、ハラスメントに関する話題が日常化しています。「うちは大丈夫」「うちには関係ない」と思っている経営者の皆さん、管理職・管理部門の皆さん、要注意かもしれません。ただ、その一方では、過剰に反応してしまっているケースもあるように感じています。ここで改めて、職場で起こりやすいハラスメントについて、事例を見ながら情報をアップデートしましょう。
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【賃金データ集】賃金改定の動向
目次
【賃金データ集】シリーズとは?
【賃金データ集】シリーズは、基本給や諸手当など賃金の主要な構成要素ごとの近年のトレンドを、モデル支給額を中心とした関連データとともに紹介します。経営者や実務家の方々が賃金支給水準の決定や改定を行う際の参考としてご活用ください。なお、モデル支給額などのデータを紹介する際は、基本的に出所に記載されている用語を使用するものとします。また、データは公表後に修正されることがあります。
この記事で取り上げるのは「賃金改定の動向」です。
なお、以降で紹介する図表データのExcelファイルは、全てこちらからダウンロードできます。
1 賃金改定の概要
毎年、1月ごろから注目され始める「春闘」(日本経済団体連合会では「春季労使交渉」、日本労働組合総連合会では「春季生活闘争」)は、日本独特の労使闘争であり、1956年ごろから現在の形になったといわれます。
春闘では、全国中央組織である労働団体や産業別・雇用形態別組織の指導・調整の下、労働組合が結束して企業との団体交渉に臨みます。中心となる交渉のテーマは、基本給や一時金(賞与)の引き上げ要求ですが、この記事では基本給に注目します。まずは、春闘で話題になる定期昇給やベースアップの仕組みを確認してみましょう。

2 賃金改定の潮流
1)近年の春闘の傾向
ここでは、日本労働組合総連合会(以下「連合」)が公表している、2021年春闘から2025年春闘までの賃上げ率(平均賃金方式、定期昇給相当分を含む)の動向をお知らせします。
2021年春闘は、コロナ禍により経済活動の停滞を余儀なくされる中、賃上げの流れを継続できるかが注目されました。グローバル経済の動向や事業の先行き不透明感、中長期的なコスト負担増への懸念などを理由に、厳しい姿勢を示した企業もありましたが、結果は加重平均で1.78%、中小企業は1.73%となりました(連合「2021年春闘第7回(最終)回答集計」)。
2022年春闘は、コロナ禍の影響に加え、ロシアのウクライナ侵攻や燃料・資材価格の高騰等があった一方で、働きの価値に見合った賃金水準の確保に向けた労使交渉が行われました。結果は、加重平均で2.07%、中小企業は1.96%となりました(連合「2022年春闘第7回(最終)回答集計」)。
2023年春闘は、輸入インフレが国民経済を直撃する中で賃上げへの期待が大きかったことなどから、ほぼ30年ぶりとなる水準の賃上げが実現しました。結果は、加重平均で3.58%、中小企業は3.23%となりました(連合「2023年春闘第7回(最終)回答集計」)。
2024年春闘は、連合が「経済も賃金も物価も安定的に上昇する経済社会へとステージ転換をはかる正念場である」として、賃上げ目標(定期昇給相当分を含む)を2023年の「5%程度」から「5%以上」に改めました。結果は、加重平均で5.10%、中小企業は4.45%となりました。加重平均での5%超えは33年ぶりとのことです(連合「2024年春闘第7回(最終)回答集計」)。
2025年春闘は、「賃上げと価格転嫁・適正取引における格差解消をセットで進めていく」という方針が示され、多くの中小組合で格差是正を含めた積極的な要求が提出されました。連合が公表した最終結果では、賃上げ率は加重平均で5.25%、中小企業は4.65%となり、2年連続で5%台の賃上げとなりました(連合「2025年春闘第7回(最終)回答集計」)。
また、全日本金属産業労働組合協議会に参加する労働組合の集計では、次の通り中小企業の賃上げ額が大企業を上回る状況が続いていましたが、2023年に逆転に転じました。前述の理由などから大企業、中小企業ともに、2022年以降大幅な増加が見られます。

3 厚生労働省の統計資料による賃金改定の状況


4 日本経済団体連合会の統計資料による賃金改定の状況




5 地域ごとの状況(東京、大阪、愛知、千葉)



6 情報インデックス(この記事で紹介したデータの出所)
この記事で紹介した統計資料は次の通りです。調査内容は個別のURLからご確認ください。なお、内容はここ数年の公表実績に基づくものであり、調査年(度)によって異なることがあります。
■民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況■
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudouseisaku/shuntou/roushi-c1.html

■1~6月実施分 昇給・ベースアップ実施状況調査結果■
https://www.keidanren.or.jp/policy/index09.html

■春季労使交渉・大手企業業種別妥結結果、春季労使交渉・中小企業業種別妥結結果■
http://www.keidanren.or.jp/policy/index09.html

■経済要求・妥結状況調査■
http://www.hataraku.metro.tokyo.jp/sodan/chousa/youkyu-daketsu/

■春季賃上げ要求・妥協状況■
http://www.pref.osaka.lg.jp/sogorodo/chousa/

■県内企業の春季賃上げ、夏季一時金及び年末一時金要求・妥結状況調査結果■
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/rodofukushi/0000052467.html

以上(2026年2月更新)
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画像:ChatGPT