なぜ今『取適法』なのか!中小受託事業者等(受注者)の「取適法」の使い方

「取適法」について、改正前の法律である「下請法」から紐解いてその趣旨や目指すところを概観しつつ、その内容を解説し、そのうえで主に中小受託事業者等(受注者)側がどのようにこの「取適法」を活用すべきか、その在り方について考えてみたいと思います。

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制度改正に注目! 2026年度地域企業経営人材確保支援事業給付金の最新情報

人手不足が深刻化する中、経営人材や専門人材の確保は、多くの地域企業にとって重要な経営課題となっています。一方で、大企業で経験を積んだ優秀な人材を採用するには、待遇面のコストなどが壁となるケースも少なくありません。地域企業経営人材確保支援事業給付金は、こうした負担を軽減し、地域企業が高度な知識や経験を持つ人材を迎え入れることを後押しする制度です。

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相続人を悩ませる資料収集に備える! 16種類の「相続資料」一覧 (チェックリスト付き)

1 今のうちから進めておこう、相続資料の準備

相続は、そう何度も経験することではありません。だからこそ、いざ相続が発生すると、必要な資料や手続きの進め方が分からず、戸惑う方も少なくありません。相続に必要な資料は被相続人(亡くなった人)の生き方や財産状況によって異なります。加えて、近年は預貯金がネットバンキング、証券がネット証券で管理されるケースも増え、デジタル上にしか跡が残っていないことも珍しくありません。

相続財産や債務を最も正確に把握しているのは被相続人ですが、当事者が亡くなってから資料を集めるのは簡単ではなく、想像以上に手間がかかります。だからこそ、生前のうちに、将来の相続人(相続財産などを引き継ぐ人)が基本的な資料を把握しておくことが大切です。

相続資料(自治体や金融機関などに申請や連絡が必要なもの)は多岐にわたりますが、

戸籍関係・相続財産関係・債務関係に分けて考える

と、整理しやすくなります。次のチェックリストを確認しながら必要な資料を確認していきましょう

ダウンロードボタンをクリックすると、エクセル形式の一覧表がダウンロードできます。

こちらからダウンロード

(注)エクセルはMicrosoft365、Excel2024以降に対応しています。チェックボックスは、TRUEとFALSEの値で構成され、チェックボックスの書式設定が行われます。
オフになっているチェックボックスの値はFALSEです。チェックを入れるとチェックボックスの値はTRUEになります。数式でチェックボックスセルを参照すると、TRUEまたはFALSEがその数式に渡されます。

収集資料一覧表

2 主な戸籍関係の相続資料(4種類)

1)被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式

【目的】法定相続人を明らかにする、各種相続財産の名義変更手続きなどのため
【取得】相続人が、最寄りの役所の戸籍窓口で請求・取得

2024年3月1日以降は、戸籍謄本を1つの役所の窓口で一括して申請・取得できます(広域交付制度)。転籍の状況や、市区町村の事情(ネットワーク共有ができていない)などにより異なる場合もありますが、一般的に即日発行されます。

また、戸籍謄本一式を集めたら、法務局の「法定相続情報証明制度」を利用することをおすすめします。これは、戸籍謄本一式の内容に基づき、法定相続人が誰であるかを登記官が確認したうえで証明してくれる書類で、無料で必要な通数を発行してもらえます。交付される一覧図の写しがあれば、不動産の相続登記だけでなく、金融機関での預貯金の名義変更や、税務署、年金事務所での手続きなど、複数の窓口に戸籍謄本一式を何度も出し直す必要がなくなり、相続手続き全体を効率よく進められます。

2)被相続人の住民票の除票

【目的】不動産を相続した場合の相続登記(名義変更)や、各種相続財産の名義変更手続きなどのため
【取得】相続人が、被相続人が最後に住んでいた市区町村の役所の戸籍窓口(上記の広域交付制度には対応していないので注意)、または被相続人が最後に住んでいた市区町村の役所へ郵送のいずれかで請求・取得

一般的に申請から1週間程度で発行されます。届出の処理状況によっては即日発行もできる場合もあるようです。

3)相続人全員の戸籍謄本または戸籍抄本

【目的】自身が被相続人の相続人であることを明らかにするためや、各種相続財産の名義変更手続きなどのため
【取得】相続人が最寄りの役所の戸籍窓口、本籍地の役所へ郵送、または最寄りのコンビニ(コンビニ交付サービスに対応している市区町村に限る)のマルチコピー機のいずれかで請求・取得

郵便で請求した場合を除き、一般的に即日発行されます。郵便の場合は、1週間程度で送付されます。

4)相続人全員の住民票の写し、印鑑証明書

【目的】遺産分割協議書の作成や不動産を相続した場合の相続登記(名義変更)などのため
【取得】相続人が、最寄りの役所の戸籍窓口、本籍地の役所への郵送、または最寄りのコンビニ(コンビニ交付サービスに対応している市区町村に限る)のマルチコピー機のいずれかで請求・取得)

郵便で請求した場合を除き、一般的に即日発行されます。郵便の場合は、1週間程度で送付されます。

3 主な相続財産関係の相続資料(8種類)

1)預貯金口座の残高証明書と取引履歴

【目的】相続財産の把握、生前贈与の有無や預貯金の払戻し手続きなどのため
【取得】相続人が、金融機関に相続発生の連絡をし、指定の必要書類(被相続人の戸籍謄本や相続人の戸籍謄本、本人確認書類など)を窓口または郵送にて提出することで取得

金融機関ごとに詳細な手続きフローは異なりますので、事前にウェブサイトを確認しましょう。なお、個々の状況によって違いますが、手続きには3週間程度かかります。

また、被相続人名義の口座への入金や、公共料金などの引き落としは、原則できなくなりますので、金融機関の連絡に併せて、入金先や引落先への連絡や、入金・引落口座の変更手続きも進めていく必要があります。被相続人が生前に作成した口座一覧表があればそれを基にしますが、ない場合は確定申告書や手元に残された通帳・封筒等から取引先を推測します。

その他の調査手段として、2025年4月より、口座管理法に基づく「相続時口座照会制度」が開始されています。これは、預金保険機構のシステムを通じて、被相続人がマイナンバーを紐づけていた預貯金口座の所在(金融機関名や支店名)を公的に照会できる仕組みです。

ただし、注意点が2つあります。

  • この制度で確認できるのは「どの金融機関に口座があるか(口座の有無・所在)」のみであり、預金残高までわかるわけではありません。所在が判明した後、改めて各金融機関に個別の照会や残高証明書の請求を行う必要があります
  • 対象となるのはマイナンバーが紐づけられている口座のみであるため、登録されていない金融機関の口座については、引き続き個別の調査を行う必要があります

2)金融商品に関する残高証明書、顧客勘定元帳、配当金通知書

【目的】相続財産の把握や相続人の口座への移管手続きなどのため
【取得】相続人が、証券会社等に相続発生の連絡をし、指定の必要書類(被相続人の戸籍謄本や、相続人の戸籍謄本、本人確認書類など)を提出することで取得

金融機関ごとに詳細な手続きフローは異なりますので、事前にウェブサイトを確認しましょう。また、個々の状況によって違いますが、手続きには3週間程度かかります。

金融商品については、上記の手続きの前に、開設している証券口座の把握が必要です。相続人が、生前、証券口座の一覧表を作成していれば、それをたどればよいのですが、もし一覧表などがない場合には、証券保管振替機構リンクに対して、信用情報の開示の申し込みが必要になります。開示申し込みの手続きは、それぞれの機関のウェブサイトをご参照ください。

また、遺産分割協議後に、それぞれの相続人への名義変更が必要になりますが、相続人が証券用の口座を持っていない場合には、被相続人と同様の金融機関で新規口座開設が必要になる点に注意しましょう。

3)不動産の登記簿謄本、公図・地積測量図(土地の場合)

【目的】相続財産の把握や相続人への名義変更手続きなどのため
【取得】相続人が、不動産の所在地を管轄する法務局の窓口、不動産の所在地を管轄する法務局への郵送、登記情報提供サービスを利用してオンライン申請のいずれかで請求・取得

窓口の場合は即日発行、オンライン申請の場合は数日程度で郵送されます。

4)名寄帳または固定資産評価証明書

【目的】相続財産の把握や相続人への名義変更手続きなどのため
【取得】相続人が、不動産のある市区町村の役所の窓口、不動産のある市区町村の役所への郵送のいずれかで請求・取得

窓口の場合は即日発行、郵送の場合は1週間程度を要します。

不動産の相続については、1)と2)のように外部に請求する書類以外にも、被相続人が保管しているさまざまな書類が必要になります。主な資料には、次のものがあります。保管場所などを生前に把握しておくことが大切です。

  • 土地の実測図
  • 土地、建物の固定資産税課税明細書
  • 土地、建物の売買契約書など(取得の場合)
  • 土地、建物の不動産賃貸借契約書(賃貸、借地の場合)

5)生命保険の支払通知書、保険証書、解約返戻金計算書

【目的】相続財産の把握や保険金の支払い請求手続きなどのため
【取得】支払通知書と解約返戻金計算書は、保険金受取人が、契約している保険会社に連絡し、指定の必要書類(支払請求書、被保険者の住民票、保険金受取人の戸籍謄本・印鑑証明書など)を提出することで取得

支払通知書は、保険金の支払い後、郵送等されます。生命保険会社ごとに詳細な手続きフローは異なりますので、事前にウェブサイトを確認しましょう。保険証書は、基本的に被相続人が保管していますので、保管場所などを生前に把握しておくことが大切です。

生命保険については、上記の手続きの前に、契約している生命保険の把握が必要です。相続人が、生前、契約していた生命保険の一覧表を作成していれば、それをたどればよいのですが、もし一覧表などがない場合には、生命保険契約照会制度を利用して調査することができます。この制度は、生命保険協会を通じて、生命保険会社41社へ保険契約の有無を一括で照会できるもので、オンラインや郵送で調査依頼が可能です。

6)死亡退職金の支払明細書(支払調書)

【目的】相続財産の把握などのため
【取得】勤務先の会社などから交付

支払明細書が見当たらない場合には、勤務先の会社などに問い合わせるようにしましょう。

7)自動車の車検証、ゴルフ会員証書、骨董・貴金属などの査定書

【目的】相続財産の把握や名義変更などのため
【取得】基本的に被相続人が保管している(保管場所などを生前に把握しておく)

骨董・貴金属など購入価額が高額なものは、専門家による鑑定により評価額を算定する必要があります。

8)給与やアパート経営に伴う受取家賃などの未収となっている収入関連の各種契約書

【目的】相続財産の把握や名義変更などのため
【取得】基本的に被相続人が保管している(生前にどのような収入があるのか、保管場所などを生前に把握しておく)

相続時点で未収となっているものも、相続税の課税対象となるため、漏れのないよう、早めに情報を整理しておきましょう。

4 主な債務関係の相続資料(4種類)

1)借入金残高証明書・返済予定明細書

【目的】相続財産の把握などのため
【取得】相続人が、金融機関に相続発生の連絡をし、金融機関から指定された必要書類(被相続人の戸籍謄本や相続人の戸籍謄本、本人確認書類など)を窓口または郵送にて提出することで取得

金融機関ごとに詳細な手続きフローは異なりますので、事前にウェブサイトを確認しましょう。また、個々の状況によって違いますが、手続きには3~4週間程度を要します。

借入金については、上記の手続きの前に、借入金契約を把握しておくことが重要です。被相続人が、生前、契約していた借入金の一覧表を作成していれば、それをたどればよいのですが、もし一覧表などがない場合、指定信用情報機関である日本信用情報機構(JICC)、クレジット インフォメーション センター(CIC)、全国銀行協会のいずれかに対して、信用情報の開示の申し込みが必要になります。開示申し込みの手続きは、各機関のウェブサイトをご参照ください。

2)医療費の請求書・領収書

【目的】相続財産の把握や立て替えた相続人の所得税の医療費控除などのため
【取得】治療を受けていた病院から発行

被相続人の医療費については、誰が、いつ支払ったかを明確にしておくようにしましょう。被相続人が死亡した日までに本人が支払ったものは、

その被相続人の準確定申告(亡くなった年の1月1日から、亡くなった日までの所得税の確定申告)における医療費控除の対象

になります。

一方、被相続人が死亡した後に相続人(被相続人と生計が一緒であった場合に限る)が支払ったものは、

負担した相続人の確定申告における医療費控除の対象

になります。また、立て替えた医療費については、相続財産から債務としてマイナスすることができます。

3)葬式費用の請求書・領収書

【目的】相続財産の把握のため
【取得】葬儀会社などから発行

寺院に支払ったお布施・読経料・戒名料などは通常、領収書などの発行がない場合は、支払日、支払先、支払金額などのメモを残しておくようにしましょう。

葬式費用(墓石・墓地の買入費用や香典返しなど一定のものは除く)については、相続財産から債務としてマイナスすることができます。

4)公共料金などの請求書・領収書

【目的】相続財産の把握や契約解除などのため
【取得】被相続人が生前利用していた水道、ガス、電気会社などから発行

公共料金以外にも、スマートフォンや各種定期サービスについても、それぞれ請求書・領収書を保存しておきましょう。

これら公共料金や電話料金については、相続財産から債務としてマイナスすることができます。ただし、支出の内容によっては相続財産からマイナスできないものもあるため、税理士などの専門家にご相談ください。

以上(2026年7月更新)
(監修 税理士 石田和也)

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職場の熱中症対策義務化 身体冷却機器等の導入を支援する補助金の紹介

熱中症対策義務化により、多くの事業者で設備導入や職場環境改善の必要性が高まっています。熱中症対策は従業員の健康を守る重要な取組ですが、設備導入や職場環境改善には費用がかかります。こうした負担を軽減するためにも、エイジフレンドリー補助金や自治体の支援制度を積極的に活用してみてはいかがでしょうか。

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2026年7月から、障害者雇用のルールはどう変わった?

1 障害者雇用は義務ではなくチャンス!

「障害者雇用は大切だけど、ウチには頼める仕事がないから無理・・・・・・」。こんなイメージがある障害者雇用ですが、状況は変わってきました。その背景には、

  • 職業能力の開発次第で障害者は十分な戦力になることを体感する会社が増えてきた
  • 働き方のルールが柔軟になる中で障害者の活躍フィールドが広がってきた
  • 障害者に特化した採用支援サービスが充実し、障害者と出会える機会が増えた

などの変化があり、会社で働く障害者の数もこの10年間で1.5倍以上に増えています。

会社における障害者の雇用状況

障害者雇用は、人材採用と社会貢献という2つの課題を同時に解決できる可能性を位めています。以降では、障害者雇用を検討するための第一歩として、障害者雇用促進法とその関係法令に定められている、

  • 会社が雇用する障害者の数を決める「障害者雇用率制度」 (2026年7月から変更あり)
  • 不当な差別を防ぐ「障害者差別の禁止や合理的配慮の提供義務」

について説明します。

2 「障害者雇用率制度」とは?

1)2026年7月からは、社員が37.5人以上になると障害者の雇用義務が発生

障害者雇用率制度とは、

常時雇用する社員数が一定数以上の会社は、社員数に一定の割合 (障害者雇用率(法定雇用率))を掛けた人数以上の障害者を雇用しなければならない

という制度です。「常時雇用する社員」とは、

  • 1週間の所定労働時間が原則20時間以上(例外あり)
  • 1年を超えて雇用される見込みがある、または1年を超えて雇用されている

の両方を満たす社員です。常時雇用する社員は、正社員については1人当たり「1人」、バートタイマー等の短時間社員については1人当たり 「0.5人」とカウントします。

これまでは、社員が40人以上の会社 (民間企業)に対し、社員数の2.5%に相当する人数以上の障害者を常時雇用する義務が課せられていました。2026年7月からは対象範囲が拡大され、社員が37.5人以上の会社に対し、社員数の2.7%に相当する人数以上の障害者を常時雇用する義務が課せられることになりました。

障害者雇用率制度のルール

会社が雇用しなければならない障害者の数は、

常時雇用する社員数× 障害者雇用率(法定雇用率) で計算 (小数点以下の端数が発生する場合、切り捨て)

で計算します。

例えば、常時雇用する社員数が37.5人の会社であれば、

【2026年7月から】 37.5人×2.7%(障害者雇用率)=1人以上

の障害者を常時雇用する義務が発生します。

常時雇用する社員数が75人の会社であれば、

【2026年7月から】 75人×2.7%(障害者雇用率)=2人以上

の障害者を常時雇用する義務が発生します。

また、常時雇用する社員数が37.5人以上の会社は、毎年6月1日時点での障害者の雇用状況を所轄ハローワークに報告する義務があります。実雇用率が法定雇用率を下回っている場合は、

ハローワークから行政指導 (障害者の雇入れ計画の作成命令、実施勧告、特別指導)が入り、指導に従わない場合、厚生労働省ウェブサイトで「会社名を公表」される

可能性がありますので注意が必要です。

2)一部の業種に適用される「除外率制度」とは?

どの会社も基本的には、1)のルールに基づき自社が雇用すべき障害者の人数を算定しますが、業種によっては、法令上、一般的に障害者の就業が困難なため、1)のルールをそのまま適用することになじまないとされているものがあります。こうした業種については「除外率制度」、すなわち、

「常時雇用する社員数」を計算する際、業種ごとに設定される「除外率」に相当する社員数を、算定対象から控除できる制度

が適用されます。

例えば、建設業は一般的に障害者の就業が困難とされる業種で、除外率が「10%」に設定されています。仮に常時雇用する社員を200人とした場合、

200人×10%(除外率)=20人(小数点以下の端数が発生する場合、切り捨て)

を算定対象から控除できます。

したがって、通常の会社と建設業を営む会社とでは、雇用すべき障害者の人数が次のように変わってくることになります(障害者雇用率が2.7%の場合)。

  • 通常の会社:200人×2.7%(障害者雇用率)=5人以上
  • 建設業を営む会社: (200人 20人) ×2.7%(障害者雇用率)=4人以上

(注)小数点以下の端数が発生する場合、切り捨て

業種ごとの除外率は次の通りです。ただし、障害者雇用を促進する観点から、この除外率制度は、段階的に廃止が進められています。

業種ごとの除外率

3)障害者の人数は何人としてカウントする?

障害者雇用率制度の対象となる障害者(常時雇用する社員)は、

  • 身体障害者:原則、身体障害者手帳の1~6級に該当する人
  • 知的障害者:知的障害者判定機関により知的障害があると判定された人
  • 精神障害者:精神障害者保健福祉手帳を所持する人

のいずれかです。そして、障害の内容や週の所定労働時間によって、「何人としてカウントするか」が決まります。

障害者1人を何人としてカウントするか

4)「障害者雇用納付金制度」も併せて活用!

「障害者雇用納付金制度」とは、

  • 常時雇用する社員数が100人超の会社: 実率が法定雇用率を下回ると「納付金」を納めるが、法定雇用率を上回ると「調整金」がもらえる
  • 常時雇用する社員数が100人以下の会社: 常時雇用する障害者が一定数を超えると「報奨金」がもらえる(「納付金」の支払いはない)

という制度です。具体的には次の通りです。

障害者雇用納付金制度

「高齢・障害・求職者雇用支援機構」が管轄しており、会社からの申告・申請に基づいて、納付・支給が行われます。

この他、フリーランスで在宅勤務の障害者などに仕事を発注するともらえる「在宅就業者特例調整金」「在宅就業者特例報奨金」などもあります。詳細はこちらをご確認ください。

高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用納付金制度の概要」
https://www.jeed.go.jp/disability/about_levy_grant_system.html

3 「障害者差別の禁止や合理的配慮の提供義務」とは

1)障害者差別の禁止

募集・採用、賃金、配置、昇進などの雇用に関するあらゆる局面で、

  • 障害者であることを理由に障害者を排除すること
  • 障害者に対してのみ不利な条件を設けること
  • 障害のない人を優先すること

など、「障害者だから」という理由だけで差別することは禁止されています。

障害者差別の具体例は次の通りです。

障害者差別の具体例

2)合理的配慮の提供義務

会社は障害の特性などに応じて、障害者が働く上で必要な配慮(合理的配慮)をしなければなりません。主に、

  • 募集・採用において、障害者にもそうでない人にも均等に機会を与える
  • 採用後、障害者が働く上で支障となる問題を改善し、能力を発揮しやすくする

という観点から配慮が求められます。ただし、会社にとって過重な負担を強いる配慮(職場内に階段昇降機やエレベーターを取り付けるなど)まで求められるものではありません。「今の会社が提供できる最大限の配慮をする」といったイメージです。

合理的配慮の提供義務の具体例

障害者の状態や職場の状況などによって求められる合理的配慮の内容は異なります。そのため、具体的にどのような対応を取るかについては、会社と障害者とでよく話し合って決定する必要があります。

3)苦情処理・紛争解決援助

会社は、前述した「障害者差別の禁止」 「合理的配慮の提供義務」について、障害者から苦情を受けたときは、自主的に解決する努力をしなければなりません。

もし、自主的な解決が難しい場合、

都道府県労働局長による助言・指導・勧告や調停制度の対象

となります。調停制度では、都道府県労働局に設けられた障害者雇用調停会議にて問題の解決を図ります。

以上(2026年7月更新)

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まとめ:人が辞める原因は、ほぼ100%会社側にある?/武田斉紀の『人が辞めない会社、10のヒント』(12)

1 従業員個々の将来の“希望”に答えることは、会社を成長させるチャンス

今シリーズの狙いは、経営者、人事担当者、現場の皆さんのお悩みである「社員を採ってもすぐに辞めてしまう上に、そもそも採れない」という課題を解決することです。『人が辞めない会社、10のヒント』と題して、毎回1つずつご紹介してきました。

『人が辞めない会社』に変わるための課題、その原因と解決策は会社によってさまざまです。

全社共通の原因以外に、部署ごとの固有の原因も存在することでしょう。ご紹介した10のヒントの中から、「これはうちにも当てはまるな」というものを見つけていただけたでしょうか。

さて今回は最終回、シリーズ全体を振り返りながらおさらいをしていきましょう。

全体の前に、まずは前回第11回のヒント10を振り返ります。

前回、皆さんに「あなたの職場にはどんな”希望”がありますか?」と問いかけました。”希望”とはすなわち、”未来(将来)への期待”です。それは従業員一人ひとり異なり、何かのきっかけで変化することもあり得ます。

未来のイメージが既にある人にとっては、「自分はこんな感じで努力していけば、自分が目指すこんな姿になれそうだ」と思えること。ない人にとっては、「自分は将来、こんな感じやこんな感じになれるかもしれない。それは自分にとってきっと幸せに違いない」と思えることです。

そして、上司や会社が、従業員一人ひとり異なり、かつ時として変化する”希望”=”未来(将来)への期待”にできる限り応えていく。そのためには一人ひとりの現在の”希望”を把握しておく必要があり、定期的な1 on 1ミーティングの場を活用することをお薦めしました。

1 on 1ミーティングを未導入のケースや、導入済みでも他の1 on 1の目的との関係性についても触れました。いずれにしても

目指すべきゴールは「部下一人ひとりが、仕事を通して未来の”希望”をイメージできるように支援する」ことです。

一方で、会社や部署、上司から本人に求める期待もあるでしょう。また会社や部署、上司としてできることとできないことはあるでしょうが、できる限り本人の”希望”と一致できるように支援すること。既存の社内制度だけに縛られることなく新たな提案も含めて、どれだけ会社側が頑張ってくれたかを従業員は見ています。

そこで会社側が頑張れば、目の前の従業員の”希望”に応えられるだけでなく、同じような課題を抱える他の従業員も救えるかもしれません。

より多くの“希望”に応えてくれる会社にこそ、より多くの優秀な人材が集まり、長くとどまって活躍してくれるはずです。

従業員個々の将来の“希望”に応えられるよう努力することは、会社を成長させるチャンスでもあります。中小企業だから、予算がないからとすぐに諦めるのではなく、知恵と工夫、一人ひとりへの寄り添い次第で可能であると考えましょう。

2 『人が辞めない会社、10のヒント』ヒント1~4[採用編]を振り返る

ここからは、シリーズ『人が辞めない会社、10のヒント』全体を振り返ってみましょう。最初はヒント1~4 [採用編]です。

★ヒント5以降も含めて、短い行数では各回の全てはまとめられませんので、詳しい解決策や解説、事例などは各回をもう一度読み直してみてください。

■第2回 ヒント1[採用1]:自社を大きく見せていませんか?

〇「普通に募集しても応募がないから」と、自社を必要以上に大きく見せて人材を採用すると、入社後にギャップが生まれて「こんなはずじゃなかった」と辞めてしまいます。

〇「少しくらい大きく見せないと人が集まらない」と嘆く前に、「働き続けている人がいる以上、全ての会社には”他社にない魅力”がある」と信じて、ささいなことでもいいので自社ならではの魅力を本気で探しましょう。

■第3回 ヒント2[採用2]:会社が”目指すこと”、”大切にしたいこと”を明示する

〇採用活動を始める前にやるべきことの1つは「求める人材像」を明示しておくこと。中でも「価値観」は容易に変わらないだけに特別で、あらかじめ会社が目指すことや大切にしたい「価値観」を整理して、応募者が共感できるか否かを採用決定前に互いに確認しましょう。

〇「求める人材像」の他の要素、「興味関心」「将来像」などは情報提供次第で後から高められますし、「スキル」も特に若手の場合は入社後に鍛えることができます。

■第4回 ヒント3[採用3]:「好きな人は好き」を分かりやすい一行で打ち出せ!

〇ヒント1で見つけた「好きな人は好き」と思える”他社にない魅力”を分かりやすい一行で打ち出し、ヒント2の「求める人材像」、特に会社が目指すことや大切にしたい「価値観」を明示して募集。「好きな人は好き」に反応し、かつ会社が目指すことや大切にしたい「価値観」に共感した人材なら、検討している他社(競合先)があっても優先順位は高い。

〇本当に採用したい人材なら、会社としてできる限りのことはしつつ、背伸びした待遇を用意するよりも、「最後は人」と信じてこちらの熱い思いを伝えるほうが成功します。

■第5回 ヒント4[採用4]:入社日までに「入社後のギャップを最小化する」

〇内定者に対して、入社後のギャップが極力ないよう、事前に必要な情報や入社後のイメージを十分に伝えられていますか。入社前に伝えておくべき情報をプラスもマイナスも含めて整理し、タイミングを計って伝えましょう(第5回の「5×3のマトリクス」参照)。

〇内定後、入社までに有償のアルバイトで半日単位でもいいのでお試しで働いてもらうのもいいでしょう。単純かつ単調な仕事ではなく、しっかりフォローのできる先輩を付けた上で入社後に任せる可能性のある仕事を一部でも体験してもらいましょう。

以上、ヒント1~4[採用編]をかいつまんでご説明しました。

「社員を採ってもすぐに辞めてしまう上に、そもそも採れない」という課題解決には、まず入口が重要なのだとお分かりいただけたでしょうか。

「採れない」からといって、数合わせに無理やり採用しても結局は互いに”合わない”ことに気付いて辞めてしまう。双方にとってお金も時間も無駄になり、SNS上でも悪い噂になりかねません。

「好きな人は好き」と思える”他社にない魅力”を見つけて、会社が目指すことや大切にしたい「価値観」とセットで明示し募集する。これはと思う人材には会社側の熱い思いを伝える。内定後は、本人の入社後のギャップを最小化できるように情報提供していく。

以上、皆さんの会社では、実行できているでしょうか?

3 『人が辞めない会社、10のヒント』ヒント5~8[仕事編]を振り返る

 次に[仕事編]です。

■第6回 ヒント5[仕事1]:事前にいくら伝えても、入社後のギャップは必ずある

〇[採用編]の入社日までに「入社後のギャップを最小化する」努力をしても、実際に職場に入り仕事を始めてみると、ギャップは何かしらあるものです。新卒では入社後に配属や職種が決まることが多いのも原因の1つ。中途の場合はたとえ職種は同じでも、前職の企業文化や仕事の進め方とのギャップに戸惑うことでしょう。

〇解決には、会社、人事、上司や職場、メンターなどが一体となって、入社初日から丁寧に、定期的なフォローを続けることです。

■第7回 ヒント6[仕事2]:仕事の意義を共有できれば、人は簡単には辞めない

〇入社して職場や仕事に少しずつ慣れてきたら、前向きで優秀な人ほど「早く戦力になりたい」と考え、次に”仕事の意義=やりがい”を求め始めます。それが求められないと、「こんなはずじゃなかった」と隣の芝生も青く見えてくるのです。

〇本人の適応状況を確認しながら、”仕事の意義”を伝え、それを感じられる小さな成功体験の機会を用意してあげましょう。それらを職場のチームでも共有しましょう。

■第8回 ヒント7[仕事3]:上司は”仕事のやりがいは一人ひとり違う”と知るべき

〇個人が「何に対して”仕事の意義=やりがい”を感じるか」は人によって異なります。同じ成果に対して同じように褒めても、本人の反応が違うのはそのせいです。

〇やりがいの感じ方には、6つのモチベーションタイプ(MT)があり(第6回参照)、多くの人はそのいずれも持っているが優先順位が異なります。メンバー個々のメインMTを知り、それに応じた褒め方やアドバイスをするとモチベーションアップに効果的です。

■第9回 ヒント8[仕事4]:一人ひとりの”存在価値”や”存在意義”を演出する

〇人は「自分は大事な戦力なのだ」と思えれば簡単には辞めないものです。戦力化するための近道は、個々の強みや経験・知識・スキルへの期待を伝えながら徐々に「仕事を任せ」、本人に自律的に考えさせてトライさせる。そして事後に一緒に「振り返る」ことです。

〇メンバー個々のトライはチーム内でも共有し、協力者も得ていければ既存社員も含めて一人ひとりの”存在価値”や”存在意義”を演出できます。

入社前に「入社後のギャップを最小化する」努力をしても入社後のギャップは何かしらあるものという前提で、関係者が一体となって入社初日から丁寧に、定期的なフォローを続ける。

職場や仕事に少しずつ慣れてきたら、”仕事の意義”を伝え、それを感じられる小さな成功体験の機会を用意する。メンバー個々のメインMTに応じた声掛けをしながらモチベーションを高め、一日も早く一人ひとりの”存在価値”や”存在意義”を演出してあげる。

以上、皆さんの会社では、実行できているでしょうか?

4 『人が辞めない会社、10のヒント』ヒント9~10[職場編]を振り返る

 最後に[職場編]です。

■第10回 ヒント9[職場1]:”ウェルカムな職場”は人が辞めない

〇皆さんの会社や職場は「若手やよそ者に冷たい」でしょうか。それとも基本的な価値観さえ共有できれば、個性や違いを広く受け入れ歓迎できる「ウェルカムな」状態でしょうか。

〇「ウェルカム」は「甘い」のではなく、互いが”プロ”を求める関係です。「ウェルカムな会社」では、「一日も早く同じ”プロ”として一緒にいい仕事をしたい」と考え、新たな人材を戦力化までみんなでフォローします。「ウェルカム」を会社の文化にまで育てられれば、簡単に人は辞めないし、自然に人も育ちます。

■第11回 ヒント10[職場2]:あなたの職場にはどんな”希望”がありますか?

〇”ウェルカムな職場”を通して新たな人材が「自分は今の仕事で大事な戦力なのだ」と感じられるための”環境づくり”を進めながら、同時にもっと先の”希望”=”未来(将来)への期待”が持てる状態を目指しましょう。

〇”希望”は一人ひとり異なり、変化もするので、定期的な1 on 1ミーティングの場を活かして個別に把握します。そして会社や上司としての本人への期待との接点を探りながら、個々の”希望”をできるだけ満たせるように尽力していきましょう。

採用を決めた以上、新たな人材を受け入れる側の会社や職場は戦力化を諦めてはいけない。”ウェルカムな職場”を通して彼らが「自分は今の仕事で大事な戦力なのだ」と感じられ、同時にもっと先の”希望”が持てる状態を目指して、個別に支援して続けていく。

以上、皆さんの会社では、実行できているでしょうか?

5 人が辞める原因は、ほぼ100%会社側にある?

ここまでヒント1~4[採用編]、ヒント5~8[仕事編]、ヒント9~10[職場編]を振り返ってきました。各編の最後には、「以上、皆さんの会社では、実行できているでしょうか?」と疑問符を付けてみました。

改めて、『人が辞めない会社』に変わるための解決策は、会社や職場によってさまざまです。一方で社員が辞めない理由、辞める理由も一人ひとり異なります。簡潔に言えば第1回で触れたように、退職する一人ひとりの「辞める理由」を解消し、働いている一人ひとりの「辞めない理由」を高めていくことです。

はたして皆さんの会社では、10のヒントの全てを「辞める理由」ではなく、「辞めない理由」となるように高められているでしょうか。

あるテレビのコメンテーターの方が言っていました、「昔から一緒ですよ、辞めるやつは辞めるんです」と。それは結果を語っているに過ぎません。言葉の裏には「辞める原因は、会社の側ではなくて本人にあるのだから放っておけばいい」との意図を感じます。

「辞めるやつは辞める」、辞める原因は本人にあるとやり過ごしている限り、今回のシリーズのテーマ「採っても辞めてしまう上に、そもそも採れない」という課題は永遠に解決されないだろうと確信します。

もちろん応募する側も自分の人生の話ですから、よりよく事前に研究するべきです。

そして入社を決めた以上は、可能な限り自ら周囲に働きかけながらギャップを解消し、自分で選んだことに責任をもって仕事に集中するべきでしょう。

一方で、会社側は十分な対応ができているでしょうか。

大手から中堅中小、スタートアップまで、あらゆる業種のさまざまな会社を見てきた私にとって、今回提示した『人が辞めない会社、10のヒント』を全て満たしていると感じた会社はほんの一握りです。

あなたの会社や職場では、どうでしょうか?

10のヒントを全て満たせていないとすれば、会社としてまだやれることはあるはずです。本人にも問題があったとしても、「辞めるやつは辞める」は言い訳に過ぎません。原因は、ほぼ100%会社側にあるといえるのではないでしょうか。

近年は「働き方」に対する意識が大きく変わり、とりわけ成長意欲の高い若手社員は入社後すぐにキャリアパスの見極めを行い、「成長機会が十分でない」と判断すると早々に転職を選ぶ傾向があるそうです。

私からすれば、本人が思い描く成長機会をどれだけ用意できるかは、内定前の段階で伝えた上で本人に判断させるのがベストと考えます(その上で会社として採用を決めるかは別として)。

入社前の説明と異なる、あるいは超過労働やハラスメント満載のいわゆるブラック企業は論外です。が、ホワイトすぎて”労働環境は良くても成長ややりがいが感じられない”ブラックとの中間に見える「ゆるブラック(パープルとも)」企業も敬遠される傾向にあります。

会社側が一方的に面接をして採否を決めるという採用はとうの昔に終わっています。現在は「会社側と応募者側の双方が、入社前から入社後まで、互いをよく知り選び合う」時代です。「社員を採ってもすぐに辞めてしまう上に、そもそも採れない」という課題解決のためには会社側は認識を改めつつ、従来以上の幅広い準備や対応が求められているのです。

さらにはAIの浸透による組織や業務見直しの流れもあります。AIの時代に、どんな人材が必要不可欠となり争奪戦となるのか。あるいは既存の人材を社内でいかに育成していかなければならないのか。

人材の採用と育成の課題は尽きませんね。

本シリーズを最後までお読みいただきありがとうございました。「社員を採ってもすぐに辞めてしまう上に、そもそも採れない」という課題解決の一助になれていれば幸いです。

<ご質問を承ります>

ご質問や疑問点などあれば以下までメールください。※個別のお問合せもこちらまで

Mailto:brightinfo@brightside.co.jp
https://www.brightside.co.jp/

※武田が以前上梓した書籍『新スペシャリストになろう!』および『なぜ社長の話はわかりにくいのか』(いずれもPHP研究所)が、ディスカヴァー・トゥエンティワンより電子書籍として復刻出版されました。前者はキャリア選択でお悩みの方に、後者はリーダーやトップをめざしている方にお薦めです。

『新スペシャリストになろう!』
https://amzn.asia/d/e8GZwTB
『なぜ社長の話はわかりにくいのか』
https://amzn.asia/d/8YUKdlx

以上(2026年6月作成)
(著作 ブライトサイド株式会社 代表取締役社長 武田斉紀)

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【ビジネス文書・法令文書】同一労働同一賃金ガイドライン改正への対応実務~令和8年10月施行 社内制度の見直しと就業規則の改定~

令和8年10月施行の改正同一労働同一賃金ガイドラインでは、最高裁判例を踏まえ、手当・賞与・退職金の考え方や無期転換後の均衡待遇などが明確化されました。
企業には、待遇差の合理的な説明と就業規則の見直し、説明義務への対応など、実務面での対応が求められます。
そこで本稿では、改正のポイントを整理するとともに、モデル規定を交えながら、就業規則の見直しや実務対応の進め方について解説します。

ビジネス文書・法令文書 今月の特集は、こちらからお読みいただけます。pdf



名言・迷言で振り返る2026年上半期のできごと

早いもので、2026年も半年が過ぎました。1月はイーロン・マスク氏の「シンギュラリティ」に関する発言、2月のミラノ・コルティナ2026での「りくりゅう」ペアの大逆転金メダル、6月はサッカーのワールドカップ開催など、さまざまなニュースがありました。2026年の上半期に何が起きたのか。名言・迷言とともに振り返ってみましょう!

(1月)AI新時代を予感させたイーロン・マスク氏の発言

1)イーロン・マスク氏、「2026年はシンギュラリティの年」と発言

「2026年はシンギュラリティの年だ」(イーロン・マスク)(*)

(*)イーロン・マスク氏のX(旧Twitter)投稿(2026年1月5日)

スペースXやテスラを率いるイーロン・マスク氏が、自身のXにて2026年を「シンギュラリティ(技術的特異点)」の年と位置づける発言をしました。シンギュラリティとは、AI(人工知能)が人間の知能を超え、社会に急激な変化をもたらすとされる転換点のことです。

AI技術の急速な進化が様々な業界で話題となる中、改めて世間の注目を集めたマスク氏。6月には、スペースXをナスダック市場へ上場させ、史上最大級のIPOを成し遂げたことも話題となりました。

2)三谷幸喜氏、成人の日広告で「わかれみち」を問う

「自分の目の前に『険しい道』と『なだらかな道』があったら、あなたはどちらを選びますか?」(三谷幸喜)(*)

(*)サン・アド公式アカウントのX投稿(2026年1月12日)

1月12日の成人の日に合わせて掲載されたサントリーの新聞広告で、脚本家の三谷幸喜氏が新成人に向けたメッセージを寄せました。今回のテーマは「わかれみち」。三谷氏は、人生の岐路で「険しい道」と「なだらかな道」のどちらを選ぶかを新成人に問いかけ、自身は迷うことなく険しい道を選ぶようにしていると明かしつつ、なだらかな道を選ぶ生き方もまた一つの選択であると添えました。

1978年から続くこの新聞広告シリーズは、山口瞳氏、倉本聰氏、伊集院静氏と書き手を引き継ぎ、2025年から三谷氏が担っており、毎年多くの読者の共感を呼んでいます。

(2月)ミラノ・コルティナ2026、氷上の大逆転

1)「りくりゅう」ペア、ショート5位から大逆転で金メダル獲得

「私は今日、龍一くんのために滑るよ。まだ終わってない。自分たちが積み重ねてきたものがあるから絶対大丈夫」(三浦璃来)(*)

(*)各種ニュースサイトなど

ミラノ・コルティナ2026フィギュアスケート・ペア。ショートプログラムで5位発進だった三浦璃来・木原龍一組(りくりゅう)は、2月17日(日本時間)のフリースケーティングで世界歴代最高得点となる158.13点をマークし、合計231.24点で大逆転の金メダルを獲得しました。優勝後のインタビューで、木原氏は前日のミスを引きずって当日の公式練習まで涙が止まらなかったことを明かし、その窮地を救ったのが三浦氏の一言だったと振り返りました。

その後、2人は4月に今シーズン限りでの現役引退を発表。今後はプロスケーターとして活動する方針で、指導者としての道を見据えています。

2)平野歩夢氏、骨折を抱えてミラノ・コルティナ2026で7位入賞

「生きててよかった」(平野歩夢)(*)

(*)各種ニュースサイトなど

ミラノ・コルティナ2026、スノーボード男子ハーフパイプ決勝(2月14日(日本時間))。前大会の金メダリスト・平野歩夢氏は、大会直前に骨盤などを骨折する大けがを負いながらも出場し、高難度の滑りを披露して7位入賞を果たしました。

競技後、平野氏は「本当に生きるか死ぬか、そういう覚悟をもって挑んだ」と振り返り、「納得した結果には繋がらなかったですけど」としながらも、上記の言葉で無事に競技を終えられたことへの安堵の気持ちを表しました。

(3月)WBCまさかの敗退も、大谷選手は爽やかに前を向く

1)大谷翔平選手、WBC8強敗退後に仲間へ「また会おうね」

「『また会おうね』と話していたので、みんな一回りも二回りも大きくなってまた戻ってくると思います」(大谷翔平)(*)

(*)各種ニュースサイトなど

ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の侍ジャパン(井端弘和監督)は、3月15日(日本時間)にマイアミで行われた準々決勝でベネズエラと対戦。善戦するも、5-8で敗れました。大谷翔平選手は「本当に悔しいですね。本当に強かったです」と無念さを口にしつつ、敗戦の重さを次へのエネルギーに変える言葉を残しました。悔しさの中にも次なる挑戦への希望をにじませた一言は、SNS上で大きな反響を呼びました。

大谷選手は6月時点もMLBドジャースでのプレーを継続。「また会おうね」と誓った仲間たちとともに、次の代表活動への意欲を見せています。

2)朝ドラ「ばけばけ」完結! 視聴者の心をつかんだヘブン先生の名言

「思い出はべらべらと話すものじゃありません」(ヘブン)(*)

(*)各種ニュースサイトなど

NHK連続テレビ小説「ばけばけ」が、3月27日に最終回を迎えました。ばけばけは、明治の松江を舞台に、没落士族の娘トキと外国人英語教師ヘブンが国際結婚し、互いの言葉や文化の違いを越えて支え合うストーリーです。

本作は、悲しみや滑稽さを笑いに変える絶妙なセリフ回しが特徴で、放送中も数々の名場面・名セリフがSNSで取り上げられました。特に、人力車に乗ったトキが前夫との思い出に言葉を詰まらせた場面で、その心中を代弁しようとしたトキの知人を、ヘブンが上記の一言で制止するシーンは、「ヘブン先生の優しさが垣間見えた」など話題になりました。

(4月)半世紀ぶりの月旅行、クルーは無事帰還

1)「アルテミスII」のクルーが月から帰還

「広大な宇宙の中で、地球はただ静かに浮かぶ救命ボートのようでした。その地球という惑星に住む皆さんが航海を共にするクルーなのです」(クリスティーナ・コック)(*)

(*)各種ニュースサイトなど

米国が主導する国際月探査「アルテミス計画」の試験飛行「アルテミスII」のオリオン宇宙船が10日間に及ぶ飛行を終え、4月11日に地球に帰還しました。有人での月周回は、アポロ計画で最後の月面着陸が行われた1972年12月のアポロ17号以来、53年ぶりとなりました。

地球へ帰還した4人の宇宙飛行士のうち、クリスティーナ・コック氏は翌12日の帰還セレモニーで、ミッションを共にしたクルーへの思いと、宇宙から見た地球の姿を上記の言葉で振り返り、印象深いコメントとして注目されました。

2)高市早苗首相、国会答弁で江戸時代のしゃれ言葉を使用

「その手は桑名の焼きはまぐり、でございます」(高市早苗)(*)

(*)各種ニュースサイトなど

4月6日の参院予算委員会で、国民民主党の足立康史氏が2026年度補正予算案の編成を迫ったのに対し、高市早苗首相が「その手は桑名の焼きはまぐり、でございます」と江戸時代のしゃれ言葉で応じ、「2026年度当初予算が成立しないうちに補正予算の話をすることはない」と続けました。

ハマグリの産地として知られる三重県桑名市と「食わない」を掛けた、国会の答弁としては珍しい言い回しに、SNS上では「急に時代劇」といった反応も見られました。

(5月)国民的アイドルグループ、有終の美を飾る

1)嵐、東京ドームでラストライブ! 26年半の活動に幕

「最後にもう一回聞くぞ! 俺らの名前は! 俺らの名前は何だ~!」(松本潤)(*)

(*)各種ニュースサイトなど

5月31日、5人組アイドルグループ・嵐(大野智氏、櫻井翔氏、相葉雅紀氏、二宮和也氏、松本潤氏)が東京ドームで「ARASHI LIVE TOUR 2026『We are ARASHI』」の最終公演を行いました。

約3時間半・全33曲を披露したステージの終盤、メンバーそれぞれが万感の思いを口にしました。最後は松本氏の「最後にもう一回聞くぞ! 俺らの名前は! 俺らの名前は何だ~!」という呼び掛けに、ファンが「嵐~!」とアンサーを返し、嵐は1999年のデビューから約26年半にわたる活動に幕を下ろしました。

2)今村聖奈騎手、女性騎手として中央競馬クラシック初制覇

「本当に馬に感謝の気持ちでいっぱいです」(今村聖奈)(*)

(*)各種ニュースサイトなど

5月24日に行われた第87回オークス(GI・芝2400m)で、今村聖奈騎手のジュウリョクピエロが優勝。JRAの女性騎手として史上初のクラシック競走制覇という快挙を成し遂げました。勝利インタビューで今村騎手は感極まった様子で喜びを語り、苦しい時期を乗り越えてきたパートナーである愛馬への感謝を述べました。

ちなみにジュウリョクピエロの名は伊坂幸太郎氏の小説「重力ピエロ」に由来しており、レース後には同作品が書店で軒並み売り切れになるなど話題を呼びました。

(6月)ワールドカップを沸かせた解説者の存在感

1)本田圭佑氏、ワールドカップのNHK解説で同点弾を予言

「そろそろいける気がする」(本田圭佑)(*)

(*)各種ニュースサイトなど

6月15日、サッカーのワールドカップの1次リーグ(グループF)、日本対オランダ戦の終盤で、NHKの地上波中継で解説を務めた元日本代表の本田圭佑氏が「そろそろいける気がする」と発言。その5秒後、鎌田大地選手が同点ゴールを決めました。本田氏の的確な予言はSNS上で大きな話題となり、NHKが試合後に「本田語録」としてダイジェスト放送する一幕もありました。

その後、日本はグループFを2位で通過しましたが、6月30日の決勝トーナメント1回戦でブラジルと対戦し、1-2で惜敗。3大会連続のベスト16進出は叶いませんでした。

2)アンソロピック共同創業者、AI業界に「ブレーキ」の必要性を訴える

「アクセルから足を外してブレーキを踏むことができるという、その選択肢が必要だ。今のAI業界にはアクセルペダルはあるが、ブレーキペダルがないようなものだ」(ジャック・クラーク)(*)

(*)各種ニュースサイトなど

米アンソロピックの共同創業者であるジャック・クラーク氏が、6月4日にBBC番組「ニューズナイト」に出演し、AIが人間のインプットなしに発展し得る段階に近づいているとして警鐘を鳴らしました。現在のAI業界には開発を加速させる「アクセル」はあっても、それを制御する「ブレーキ」が存在しないと指摘し、開発を止める選択肢を持つことの重要性を訴えました。

急速に進化を続けるAI業界の中で、開発当事者自身が発したこの警告は大きな注目を集めました。

以上(2026年7月作成)

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画像:日本情報マート

昭和ビジネス用語vs若者言葉 「手弁当」「ノンデリ」って何?

1 「手弁当」って一体なんですか?

筆者が勤める会社で、社長が上司との会話でこんなセリフを口にしました。

「でもさあ、毎回手弁当ってわけにもいかないよな~」

社長がそうぼやいたとき、平成生まれの筆者の頭には、自分でお弁当を作って持っていく姿が思い浮かんでいました。

ただ、何をどう考えたってそんなはずはないので、単に私が聞き間違えたのかと思い、「そうですね~」と相槌を打ったものの、「手弁当」なるワードはその後の会話でも何度も登場してきます。さすがに気になり、 検索をしてみると……

手弁当とは?

なるほど、自腹を切ることを指すらしい。

言われれば納得できるような、それにしても伝わらないような……。その他にも、「全員野球」「一丁目一番地」「エイヤで」などなど、いわゆる「昭和ビジネス用語」を見聞きするたびに、インターネットで検索をしたり、しなかったり……。

一方、逆の立場で考えると、「エモい」「チルい」「ノンデリ」などなど、私たち若者世代が普段、感覚的に使っている言葉も、社長や上司の世代には伝わっていないのかもしれません。

皆さんの職場にも、こうした「言葉のジェネレーションギャップ」があるのではないでしょうか。そこで今回、18歳から34歳までの若者世代221人と、35歳以上の昭和世代221人(平成1ケタ生まれも多少含まれますが……)、計442人の会社員を対象に「職場における昭和ビジネス用語と若者言葉」についてのアンケートを行いました(実施日は2026年5月26日~5月28日)。

以降で、結果を詳しく紹介していきます。ぜひお楽しみください!

2 【昭和ビジネス用語編】「リャンメン」は9割に伝わらない

今回のアンケートでは、次の15個のワードを「昭和ビジネス用語」として取り上げました。

昭和ビジネス用語

ちなみに筆者は、テレコ・ガッチャンコ・ペライチ・リャンメンしか知りませんでした。

1)「伝わっている・伝わっていない」でも世代間ギャップが!

まずは、昭和世代に「若者世代に『昭和ビジネス用語』を使用し、伝わらなかった経験はありますか?」という質問をぶつけてみました!

伝わらなかった経験はありますか?

結果は、

「伝わらなかった経験がある」と答えた人は全体の26.2%

でした! 意外に低いですね。

次は、若者世代に、「上の年代の社員に『昭和ビジネス用語』を使用され、意味が伝わってこなかった経験はありますか?」という質問をぶつけてみると……

伝わらなかった経験はありますか?

結果は、

「理解できなかった経験がある」人が52.5%

でした。世代間で、「伝わっているか・いないか」に認識の違いがありますが、これはおそらく、若者世代が分からないな~と思いながらも相槌で流し、その後に自ら意味を調べて適応したことの表れだと思われます。

2)どんな昭和ビジネス用語が「伝わっていない」の?

今回、若者世代に冒頭の昭和ビジネス用語15語を、「知っているか・知らないか」のアンケートを取ってみました。そしてその結果をもとにして、【伝わらない「昭和ビジネス用語」ランキング】を作成しました。

伝わらない「昭和ビジネス用語」ランキング

「伝わらない昭和ビジネス用語」の第1位は、「ポテンヒット」でした! ただ、「ポテンヒット」自体は、昭和世代でも知っている割合が約30%と低めではありますが、若手になると更に認知度が下がってしまうようです。

そして、最も世代間で認知度の差が出たのは「全員野球」。昭和世代の認知度は50.3%でしたが、若者世代の認知度は15.4%でした。

ちなみに、「知っているものがまったくない」と答えた若者も24.6%いました。そう考えると、

昭和ビジネス用語は約1/4の若者には伝わっていない

とも言えるかもしれません。

こちらが「昭和ビジネス用語」認知度の一覧です!

「昭和ビジネス用語」認知度の一覧

3 【若者言葉編】「顔ない」ってどんな状況?

今回のアンケートでは、次の15個のワードを「若者言葉」として取り上げました。

若者言葉

ちなみに、筆者が勤める会社の社長(昭和世代)は、ノンデリ、顔ない、横転、メンブレを知りませんでした。

1)昭和世代は若者言葉を理解している?

次は、若者世代に「上の年代の社員に若者言葉を使用し、伝わらなかった経験はありますか?」という質問をぶつけてみました。

伝わらなかった経験はありますか?

結果は、

「伝わらなかった経験がある」と答えた人は全体の44.8%

でした! 伝わっていないな、と察している若手は多いです。あるいは、その場で「それ何?」と聞いてくれる昭和世代が多いのかも知れません。

「昭和ビジネス用語」のアンケートと同じように、昭和世代に、「若者世代に『若者言葉』を使用され、意味が伝わってこなかった経験はありますか?」という質問をぶつけてみると……

伝わらなかった経験はありますか?

結果は、

「理解できなかった経験がある」人が29.0%

でした!

そもそも、若者言葉をビジネスの場で使うことが少ない、ということが、若手における「昭和ビジネス用語」への反応との違いとして結果に出ているのかもしれません。

2)どんな若者言葉が「伝わっていない」の?

今回、昭和世代に冒頭の若者言葉15語を、「知っているか・知らないか」のアンケートを取ってみました。そしてその結果をもとにして、【伝わらない「若者言葉」ランキング】を作成しました。気になる結果はこちら!

伝わらない「若者言葉」

「伝わらない若者言葉」の第1位は、「顔ない」でした!

「顔ない」は、若者世代の中でも特に10代、20代前半の人が積極的に使っている印象があります。若者世代全体での知名度は18.1%と、さほど高くありませんでした。

ちなみに、4位にランクインしている「ノンデリ」は、弊社内の年上社員の中でも「知らない」という反応が特に多かったですが、筆者の肌感では、若者世代たちの間でかなり日常的な語彙として使われています。

こちらが「若者言葉」認知度の一覧です!

「若者言葉」認知度の一覧

4 「昭和ビジネス用語」「若者言葉」両世代のホンネを紹介

最後に、両世代に「昭和ビジネス用語」「若者言葉」について思うところがあるか聞いてみました! 良いものから悪いものまで、忌憚ない意見をそのまま掲載します。

【昭和世代】

  • 「『やばい』のようにシチュエーションや流れで意味が真逆になる言葉はビジネスでは使うべきではない。トラブルに繋がりかねないので」
  • 「ビジネスの場で、世代間で伝わりにくいような言葉を避けるべきだと思う」
  • 「使用規制せず双方寛容であればよいと思う」
  • 「昭和もよいものがあるので覚えて欲しい」
  • 「世代それぞれの言い方がある。おじさん、おばさんの言い方はバカにされ、若者だけが正しいような風潮がある」
  • 「ある程度浸透している言葉は分かるが、すぐ消えてしまうような言葉は使うのを控えてもらいたい」
  • 「(若者言葉は)できるだけ控えてほしい」
  • 「最近の言葉は難しい」

【若者世代】

  • 「両者の言葉をお互いが完全に理解して使うのは難しいと思う」
  • 「コミュニケーションを取るために若者言葉を覚えてほしい」
  • 「流行語ではなくいつでも通じる言葉で互いに喋りたい」
  • 「お互いのコミュニケーションの為にも、分からない言葉は調べたりもしつつ、伝わらなければその場で説明をすればいいと思う」
  • 「お互い歩み寄りたい」
  • 「昭和ビジネス用語は嫌いです」
  • 「若者用語もあると尚良い」
  • 「若い世代の価値観や考えを受け入れる努力をして欲しい」

以上(2026年6月作成)

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画像:日本情報マート

「現状維持」思考が最大のリスク 2026年版 中小企業白書のポイント

1 「人手不足」や「賃上げの負担」をどう乗り越える?

今、日本の中小企業の多くは、物価上昇や深刻化する人手不足のために、高水準の賃上げを続けざるを得ないという状況にあります。2026年版中小企業白書(以下「白書」)では、こうした状況を踏まえ、

  • 経営環境の転換期にある中で、現状維持は最大のリスク
  • 短期的な損益を追うのではなく、長期的な視点で事業構造・組織構造を再構築していく「戦略」を持った経営に転換し、「稼ぐ力」を高め、「強い中小企業」へと成長することが重要

と強調し、次のような内容について解説しています。

中小企業白書の内容

「稼ぐ力」の強化に関して、白書では、生産性向上・デジタル化などを含め幅広い課題を取り上げていますが、この記事では、

中小企業の切実な悩みである「人手不足」に焦点を当て、その解決策として「人材確保の方向性の見直し」「価格交渉(賃上げの原資づくり)」のポイントを紹介

します。なお、白書の詳細な内容を確認したい場合は、下記URLをご覧ください。

■中小企業庁「2026年版『中小企業白書』全文」■
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2026/PDF/chusho.html

2 もはや「待っていれば人が来る」という時代ではない

1)人材確保は経営者が特に重視する経営課題

白書によると、帝国データバンクが2025年11月から12月にかけて実施したウェブアンケート調査で明らかになった「最も重視する経営課題(企業規模別)」は次の通りです。

人材確保

中規模企業、小規模事業者ともに「人材確保」を経営課題として重視していることが分かります。実際、「求人を出しても、さっぱり応募がない」という悩みを抱える社長は少なくありません。一方、いまだに「待っていれば人が来る」という淡い期待を抱いたまま、具体的な対策を検討していない中小企業も多く見受けられます。まずは、待ちの姿勢を脱却することから始めましょう。

日本の生産年齢人口(15~64歳人口)は減少傾向にあり、今後、人手不足は更に深刻化する見込みです。中小企業(従業員99人以下)における雇用者数は、2040年には2018年比で84.1%(15.9%減)にまで落ち込む可能性があります。つまり、これまでと同じやり方では、いずれ立ち行かなくなる恐れがあるわけです。

日本の生産年齢人口

2)採用活動や就業環境への向き合い方を見直してみる

それではどうするか? 白書が示すヒントは、「闇雲に求人を出す」のではなく、

採用したい人材像を明確にする

ことです。実際、白書のアンケート調査では、

年齢・経験・スキル・価値観といった「求める人材像」を明確化できている企業ほど、採用実績(予定人数を確保できた割合)も、採用後の定着率も高い

という結果が出ています。「とりあえず人手が欲しい」ではなく、「どんな人に、どんな業務を任せたいか」を先に固めることが、ミスマッチによる早期離職を防ぎ最初の第一歩になります。

また、「採れる企業」「辞めない企業」になるための環境整備も欠かせません。白書では、人材の定着率が高い企業が実際に取り組んでいることとして、「賃上げ」の他、

  • 休暇の取得推進
  • 時間外労働の削減
  • 柔軟な働き方の導入

を挙げています。さらに、自社の社員だけで人手不足を乗り切るのが難しい場合は、

  • 副業・兼業人材
  • 外国人材
  • スポットワーク人材(単発・短時間の求人プラットフォーム経由の人材)

といった、社外の多様な人材を活用する選択肢もあります。特に副業・兼業人材については、人手不足の解消だけでなく、「自社にない技術やノウハウの獲得」「従業員のスキルアップ」につながったと回答する企業も多く、単なる労働力の補充以上の効果が報告されています。

3)「脱どんぶり勘定」で、良い人が集まり始めている

中小企業では、社長自らが陣頭指揮を取りながら現場を飛び回るケースが多いものです。そのため、ついつい社長の頭の中だけで様々な処理が行われ、「どんぶり勘定」になりがちです。

しかし、人手不足の中でも「不思議と人が辞めない企業」「新しい人が採れる企業」には共通点があります。それは、社長の勘に頼る経営を卒業し、財務や労務管理、業務プロセスなどの「仕組み化」に取り組んでいる点です。

「うちの企業は、この仕事でいくら儲かっているのか」「従業員の労働時間や有給の消化状況は適正か」これらを数値として「見える化」することで、無駄なコストや作業が浮き彫りになり、結果として企業に残る利益(営業純益)を増やすことができます。増えた利益は、賃上げや休暇制度の充実など、ここまで見てきた「採れる企業」「辞めない企業」になるための原資にもなります。

社長の役割は、現場で誰よりも働くことではなく、「少ない人数でも、しっかり利益が出て、社員に還元できる仕組み」を整えることにあります。

3 「原材料分」も「社員の給料分」も値上げ交渉して構わない

1)賃上げの原資確保に苦戦しながらも、賃上げせざるを得ない現実

人材確保に付いて回るのが「賃上げ」です。政府や世間から「賃上げ」を強く求められ、中小企業でも、2024年に「4.45%」、2025年に「4.65%」という高い賃上げ率が記録されました。

賃上げ率の推移

しかし、社長の本音は「そんな原資、うちのどこにあるんだ」というところでしょう。白書によると、中小企業の労働分配率(付加価値額に占める人件費の割合)は中規模企業が約7割、小規模企業が約8割と非常に高く、賃上げ余力は大企業と比べて小さいのが実情です。

にもかかわらず、多くの企業は既存社員の転職を防ぎ、新しい人材を採用するために賃上げする、いわゆる「防衛的な賃上げ」をせざるを得ず、実際、業績の改善が見られないにもかかわらず、賃上げに踏み切っている企業が4割を超えています。

2)取適法などに基づく価格交渉で原資の確保を

この問題に対し、白書が解決策として示しているものの1つが、「自社の製品・サービス価格への適切な転嫁(値上げ交渉)」です。これまで原材料や燃料費の高騰ばかりが注目されがちでしたが、これからは「社員の給料を上げるための人件費(労務費)の引き上げ」についても、堂々と発注元(取引先)に価格交渉をしようという考え方です。

2026年1月、長年の中小企業取引のルールだった下請法は、新しく「取適法(中小受託取引適正化法)」として生まれ変わりました。取適法では、適用対象となる取引の範囲を、「取引の内容」と「資本金基準」(資本金の額あるいは出資の総額)または「従業員基準」(常時使用する従業員の数)によって定めています。

今回の法改正で新たに追加された「従業員基準」は、

従業員数が多く事業規模が大きいのに、減資等により資本金額が少額となっていた事業者を適用対象に含める

ことで、より多くの取引関係における不公正な慣行を是正しようという狙いがあります。

取適法の適用対象

黒字が「資本金基準」、赤字が「従業員基準」で、適用対象となる取引の発注者がどちらか1つでも該当する場合、取適法の適用を受けます。相手の資本金が小さくても、一定以上の従業員がいる企業からの発注であれば、受注者側の企業は法律で保護されます。

また、建設工事の取引には、さらに厳しい「建設業法」が適用されます。発注者が受注者に対して「労務費の引き上げ分(賃上げ分)を無視して、一方的に低い単価を押し付けること(買いたたき)」を明確に禁止しており、これも価格交渉をする上での重要な規定になります。

4 「何から始めればよい?」社長を助ける3つの強力な公的支援

人材を確保するための仕組みづくりや、賃上げ原資を確保するための価格交渉……色々とやらなければならないことはありますが、「資金もノウハウもないし、何から始めればよい?」と悩む社長は少なくないでしょう。そんな社長のための公的支援をいくつか紹介します。

1)機械の導入や新製品の開発時に使える「中小企業省力化投資補助金」「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」

少ない人数で現場を回すための「機械の導入」や「ITツールの活用」には補助金が使えます。例えば、「中小企業省力化投資補助金」は、付加価値額向上や生産性向上に効果的な自動化機器などをカタログから選択することで、比較的手軽に申請ができる補助金です。

また、2026年6月から始まった「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」も、新製品・新サービスの開発や新市場・高付加価値事業への進出を検討する場合に活用できる補助金です。

■中小企業省力化投資補助金■
https://shoryokuka.smrj.go.jp/
■中小機構 補助金活用ナビ「 新事業進出・ものづくり補助金のご案内」■
https://seisansei.smrj.go.jp/subsidy_info/business_manufacturing_subsidy.html

2)賃上げ時に活用できる「業務改善助成金」

事業場内で最も低い時給(事業場内最低賃金)を50円以上引き上げる計画を立て、同時に「業務を効率化するための設備(POSレジや専用什器など)」を購入した場合、その設備投資費用の一部が国から助成される「業務改善助成金」が活用できます。賃上げと職場の効率化を同時に進められる制度です。

■厚生労働省「業務改善助成金」■
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html

3)何から話せばいいか分からないときの駆け込み寺「よろず支援拠点」

補助金の種類が多すぎて選べないときや、価格交渉の進め方に悩んだ時は、各都道府県にある無料の相談窓口「よろず支援拠点」を頼りましょう。経営の専門家が、無料で社長のアドバイスに乗ってくれます。

■よろず支援拠点全国本部■
https://yorozu.smrj.go.jp/

現状維持は最大のリスクですが、裏を返せば「小さな第一歩」を踏み出した企業が、競合他社の一歩前に抜け出せるチャンスの時代でもあります。取引金融機関や、地元の商工会・商工会議所、よろず支援拠点などの専門家は、補助金活用から法改正への対応まで、社長の強力な味方になってくれます。

以上(2026年7月作成)

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画像:ChatGPT