2027年を勝ち抜く! 中小企業の人事・経営戦略セミナー【経営者とっておきニュース】

大阪中小企業投資育成は、2026年11月17日に無料人事セミナー「2027年に向けて経営者が押さえるべき3つの経営方針と5つの最重要人事トピック」を対面(大阪会場)とZoomのハイブリッド形式で開催します。

講師にはセレクションアンドバリエーションの平康慶浩代表取締役が登壇します。セミナーでは、人件費上昇と人員不足が同時に加速する2027年の経営環境を見据え、戦略から逆算した採用、成長につながる配置、事業と連動した評価など、経営方針と一体となった具体的な人事トピックが解説されます。

少子高齢化に伴う深刻な人手不足と人件費の上昇は、特に中小企業にとって大きな経営リスクとなっています。さらに、AI等のテクノロジー普及により定型業務が自動化され、従業員に求められる役割やスキルも急速に変化しています。こうした環境下で採用基準や評価制度を従来通りのまま放置すると、経営の要求に応えられない社員が増加し、組織全体の生産性が低下する課題に直面します。

本セミナーのような取り組みは、地域の中小企業が人事制度を現代化する絶好の機会を提供します。戦略的な配置や成長機会の提供、多様な処遇の導入を推進することで、中小企業でも優秀な人材の確保と定着が可能になります。サプライチェーン全体や地域経済においても、人材の有効活用と生産性向上を通じた競争力の底上げが期待されます。

今後、労働市場の緊迫化とテクノロジーの進化により、従来の年功序列や曖昧な人事は通用しなくなっていきます。中小企業が勝ち残るためには、自社の経営戦略に基づいた人事制度の抜本的な再構築が急務です。

常に変化の兆しにアンテナを高く張り、変化を恐れずに迅速な決断と行動を起こすことが何よりも求められています。外部環境の変化をチャンスと捉え、柔軟かつ果敢に自社の変革を進めていくことが、激動の時代を生き抜くための最良の道筋となります。


【ご注意点】この記事は生成AIを活用して作成したものです。文章の正確性は保証されておらず、誤りが含まれる場合があります。詳細については参照URLの情報を必ずご確認ください。

■大阪中小企業投資育成「リアル+Zoom 2027年に向けて経営者が押さえるべき3つの経営方針と5つの最重要人事トピック」■
https://www.sbic-wj.co.jp/seminar/26345/

以上(2026年10月作成)

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(四国4県で開催)「認定エッセンシャルサービス制度活用セミナー」【経営者とっておきニュース】

経済産業省は、小売、運送、公共交通、燃料供給、医療、介護など、地域の生活基盤を支えるサービスの持続性確保に向け、「認定エッセンシャルサービス制度」を創設しました。これに伴い、制度の政策的意義や先進事例を学べる「認定エッセンシャルサービス制度活用セミナー」を47都道府県で開催しています。徳島県(10月27日開催)や愛媛県(11月19日開催)をはじめ四国4県でも、地域経済を支える企業や自治体による具体的な取り組みが発表される予定です。

なぜ今、こうした制度とセミナーが求められているのでしょうか。その背景には、少子高齢化や人口減少に伴う深刻な人手不足、さらには後継者不足によるガソリンスタンドやローカル交通網などのインフラ廃業・縮小があります。これらは地方都市や過疎地域において、単なる利便性の低下にとどまらず、住民の生活継続そのものを揺るがす深刻な課題となっています。

本制度とセミナーは、危機的状況にある地域企業や自治体に対し、具体的な支援措置や先進モデルを共有するものです。例えば徳島県では、Kitagawa Motorsによるインフラ防衛の取り組みや、高木建設・美馬市による拠点再整備事例が紹介されます。また愛媛県では、eワーク愛媛による移動スーパー事業や、東温市によるMaaS車両等のデジタル技術を活用したスマートヘルスケア事業が報告されます。

今後、エッセンシャルサービスの維持は、個別のボランティア的努力や単発の行政補助に頼る段階から、国の認定制度を軸とした持続可能な広域モデルへと転換していくでしょう。

特に、移動手段や医療分野におけるデジタル技術や異業種連携の導入は、単なるコスト削減策ではなく、新たな地域サービス産業のビジネスモデルとして定着していくと予測されます。

中小企業経営の視点では、インフラ維持を単なる負担と捉えるのではなく、「地域社会における不可欠な存在としての事業基盤の強化」と再定義することが重要です。国の支援措置や行政・他社との連携を最大限に活用し、自社の収益性と地域セーフティネットの維持を両立できるかどうかが、中長期的な生存を分ける分水嶺となります。本セミナーで紹介される先導的な事例は、これからの地域密着型ビジネスのあり方を考える上で極めて有益な羅針盤となるはずです。

【ご注意点】この記事は生成AIを活用して作成したものです。文章の正確性は保証されておらず、誤りが含まれる場合があります。詳細については参照URLの情報を必ずご確認ください。

■四国経済産業局「認定エッセンシャルサービス制度活用セミナーを四国4県で開催します」■
https://www.shikoku.meti.go.jp/01_releases/2026/10/20261008a/20261008a.html

以上(2026年10月作成)

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指導した部下が「それ、パワハラです!」と反論してきたら?

1 部下の指導からは逃げないが、反省すべき点は反省する!

この記事では、日本ハラスメントカウンセラー協会の顧問として、数々の会社のハラスメント対策に向き合ってきた弁護士(筆者)が、

部下から「パワハラだ」と言われた上司の事例を2つ取り上げ、対応のポイントを紹介

します。まず、事例に入る前に、大前提となる「パワハラの定義」を以下に明記しておきます。上司の皆さんは、この定義を確認しつつ、第2章以降の事例で「どう対応するのが望ましいのか」をご確認ください。

パワハラ(パワーハラスメント)とは、

職場の優越的な関係を背景とした、業務上必要かつ相当な範囲を超えた(行き過ぎた)言動により、就業環境が害される(仕事に支障を来す)こと

です。優越的な関係の最たるものは「上司と部下」で、次の6つが一般的なパワハラの行為類型(通称:パワハラの6類型)とされています。

パワハラの6類型

ちなみに、2026年10月1日から適用される改正パワハラ防止指針では、次の点が明記されています。

  • 労働者の自由な意思に反して自社の商品・サービスを購入させる、いわゆる「自爆営業」に関連する言動も、パワハラの3つの要素を全て満たす場合にはパワハラに該当すること
  • 労働者の性的指向・ジェンダーアイデンティティや病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、本人が開示することを禁止したり、開示を強要したりすることが、「個の侵害」としてパワハラに該当すると考えられる例に追加されること

さて、パワハラは許されない。これは大前提ですので、

上司は、「業務上必要かつ相当な範囲」を超えないように部下を指導する(人格を否定しない、プライベートには干渉しないなど)

ようにしなければなりません。一方、

上司が明らかに正当な指導をしているのに、部下が「それ、パワハラです!」と反論してくるケースなどもありますが、そうした場合は毅然とした態度で臨む

ことが必要です。部下の反論を恐れて指導できなくなってしまうのは、本末転倒でしょう。

そして、大切なのはこの2つの指導方針を両立することです。実際の職場では、上司か部下の一方だけに問題があるとは限らず、双方に改善すべき点があるケースも少なくありません。指導の目的は「上司と部下、どちらが間違っているかを決めること」ではなく、「部下を成長させて、業務を円滑に進めること」ですので、上司は

「指導からは逃げないが、自分に反省すべき点があれば反省する!」

という姿勢を徹底することが大切です。

2 仕事の遅い部下を注意しただけなのに「パワハラだ」と言われた……

1)ケーススタディー

システム開発などの事業を行う会社に勤めるA課長は、「エンジニアの経験がある」ということで中途採用されたBさんを部下に迎えました。

あるとき、A課長は、Bさんが本来なら2日で終わるはずの業務に、1週間以上の時間をかけていることを知りました。A課長は、「いつまで時間をかけているんだ!」とBさんを叱りつつ、状況を確認して改善点を教え、「残りを明日までに終わらせるように」と指示しました。

しかし、Bさんが「無理な要求をしないでください。パワハラです」と反論してきたため、A課長は、カッとなって「パワハラとは何事だ!」と声を荒げてしまいました。ただ、会話の途中で「もし、自分の対応が本当にパワハラだとしたら、処分されるのでは……」と怖くなったA課長は、人事部に通報されては困ると思い、「もういいよ」と言って指導を切り上げました。

2)受け手が「不満に感じた」というだけでは、パワハラにはならない

ハラスメントへの関心が高まる一方で、「叱る=パワハラ」「受け手がパワハラと感じたらパワハラ」などと誤解されることもあります。また、このような誤解に基づいて、上司の正当な注意・指示に従おうとしない事例も見られます。

パワハラの定義は冒頭でお伝えした通りですが、「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」「就業環境が害される」といえるかは、社会通念や平均的な労働者の感じ方を踏まえて判断します。このため、

  • 受け手の主観(感じ方)は重視しますが、受け手が「パワハラだ」と感じただけでパワハラになるというわけではありません。
  • 客観的に見て、上司が部下を指導する必要があり、指導の内容も「平均的な労働者からみれば、別におかしくない」といえるレベルのものであれば、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものとも、就業環境を害するものともいえず、本人が不満を感じたとしても、パワハラには該当しません。

ケーススタディーでは、Bさんが「無理な要求をされた=パワハラ」と感じてA課長に反抗しています。確かに、業務上明らかに不要なことや遂行不可能な業務を押し付けることは、冒頭で紹介したパワハラの6類型の「過大な要求」に当たります。

しかし、Bさんが命じられていた業務は、本来であれば2日で終わるレベルのものですから、それが1週間たっても終わっていないのであれば、注意を受けるのは仕方のないことでしょう。しかも、A課長は、業務の改善点も教えた上で、「明日までに終わらせるように」と指示しているので、Bさんが不満に感じたとしても、パワハラにはならない可能性が高いです。

A課長は、Bさんとの会話の途中で「人事部に通報されては困る」と思い、指導を切り上げてしまいましたが、言い方に注意しながら、必要な指導を続けることが望ましい対応だったといえます。

3)パワハラでなくても、「グレーゾーンの言動」には注意が必要

A課長の言動はパワハラにならない可能性が高いですが、ここで注意したいのが、

パワハラでなければ、何をやってもいいわけではない

ということです。個別の言動について、社会通念や平均的な労働者の感じ方を踏まえて「業務上必要かつ相当な範囲」を超えるか、「就業環境が害される」といえるかを判断しますが、この判断は簡単ではありません。言動の目的、経緯や状況、態様・頻度・継続性、労働者の属性や心身の状況、行為者との関係性など、さまざまな事情を総合的に考慮する必要があるからです。

また、パワハラとまではいえない言動でも、例えば相手を下に見るような不適切な言動は、相手にストレスを与えることがあります。

パワハラとまではいえない不適切な言動を、筆者は「グレーゾーンの言動」

と呼んでいますが、グレーゾーンの言動にさらされ続けた人が、うつ病などになってしまうケースは一定数存在します。会社は、労働者が心身の安全を確保しながら働けるよう必要な配慮をする「安全配慮義務」を負っています。そのため、グレーゾーンの言動であっても、その内容や態様、頻度・継続性などから労働者の心身に悪影響を及ぼすおそれがある場合には、必要な対応を検討しなければなりません。このように、

パワハラになる言動だけでなく、グレーゾーンの言動にも安全配慮義務違反のリスク

があるので、「パワハラでなければOK」などと短絡的に考えるのではなく、不適切な言動があれば改善することが大切です。

ケーススタディーでは、A課長がBさんの態度に声を荒らげていました。どの程度声を荒らげたかなどにもよりますが、もしかしたら不適切な言動だったかもしれません。

4)部下の言い分を聞き、自分の考えを伝える。落ち度があるときは謝罪も忘れずに!

部下から「パワハラだ」と言われたら、まずは冷静に対応することを意識してください。昨今は厚生労働省ウェブサイトでも、

「ハラスメントは、受け流しているだけでは状況は改善されません。『やめてください』『私はイヤです』と、あなたの意思を伝えましょう」

などの啓発の文言が出ていますから、指導に対して部下が反論してくるのも、ある意味無理からぬことです。「そういうものだ」と諦め、次のポイントを押さえて冷静に対処しましょう。

1.まずは部下の言い分を聞く

反論する前に「まず傾聴」という意識を持ちたいところです。これは、筆者が会社のハラスメント相談窓口の担当者にお伝えしていることですが、一般的に、

ハラスメントのような深い問題についての相談は、忍耐強く傾聴し、聞き役に徹する姿勢を持つことが効果的である

といわれています。部下から「パワハラだ」と言われたときも、即座に「違う」と反論するのではなく、まず部下の言い分を聞くのが望ましいです。A課長の場合も声を荒らげるのではなく、冷静に「なぜ、パワハラだと思うの?」などと尋ねるのがよかったかもしれません。

2.自分の考えを伝えつつ、指導をする

自分の指導が業務上の必要性などに照らしてパワハラでないと考えるのであれば、そのことを冷静に部下に説明します。例えば、

「業務上の必要性があるから指導しているのだし、言い方も社会的に許容される限度を超えたものとは思わない」

といった具合です。

その上で、改めて部下を指導しますが、その際には、

行動や内容の問題点に焦点を絞り、乱暴な言い方や、相手を軽く見るような言い方、相手の人格に踏み込むような言い方(「君ってさあ、いつもこうなの?」など)は避ける

べきです。グレーゾーンの言動であっても、言われた人の多くはストレスや不満を感じます。そのときは我慢しても、ストレスを繰り返し受けることで、時間がたってからうつ病などになったと主張する人もいるからです。

3.不適切な言動があったときは謝る

自分の言動に不適切なところがあれば、その点については素直に謝ったほうがよいでしょう。「パワハラだ」と言う部下の主張を認めるのではなく、不快に感じるような言い方があればその点についてのみ謝る、限定的な陳謝をするわけです。

また、前述したように、個別の言動が「業務上必要かつ相当な範囲」を超えるか、また「就業環境が害される」といえるかの判断は簡単ではないため、

相手が納得しない場合には、人事部門などに相談し、客観的な立場から事実関係や対応を確認してもらう

ことも必要です。その場合でも、部下から「パワハラだ」と言われたことだけを理由に、必要な指導まで控えてしまわないことが大切です。

3 何度指導しても改善しない部下にキレてしまったら、3年後に「パワハラだ」と言われた……

1)ケーススタディー

ある会社の企画グループで働くC課長とその部下Dさん。Dさんには、「スケジュール管理が甘い」という欠点があります。例えば、Dさんに作成を指示した役員会への提出資料が、当日になっても上がってこなかったことがありました。また、新システムの開発プロジェクトを進めていて、担当者のDさんが納期直前に「間に合わない」と言ってきたこともありました。

C課長はDさんに任せっ放しではなく、細かく進捗を確認するのですが、いつ聞いても、Dさんは「大丈夫です」の一点張り。C課長は毎回、その尻拭いをさせられ、その都度Dさんに、「できないならできないと、早めに言ってくれ!」と厳しい口調で注意するのですが、Dさんは「すみません」と謝りはするものの、一向に改善が見られません。

こうした状況が続き、我慢の限界に達したC課長はとうとうキレてしまい、あるときDさんに「君は新入社員以下だ、もう任せられないよ!」「なんで分からないの、馬鹿じゃないの!」と言ってしまいました。Dさんはいつもの通り「すみません」と謝りましたが、間もなくうつ病と診断されて会社を休職。1カ月後に復職して別部署に異動しましたが、その後もうつ病は回復せず、休職と復職を繰り返すことになりました。

そして、企画グループを離れてから3年後、Dさんはハラスメント相談窓口に「C課長からパワハラを受けてうつ病になった」と通報しました。話を聞いたC課長は、3年も前のこと故に、「いつの指導?」「なぜ、今になって通報したの?」と困惑してしまいました。

2)人格否定の発言は、1回でもパワハラになることがある

パワハラの判断では、

問題となる言動の頻度や継続性

も考慮されます。しかし、反復・継続はパワハラの必須要件ではありません。言動の内容や態様によっては、1回でもパワハラに該当することがあります。

このケーススタディーの「君は新入社員以下だ」「馬鹿じゃないの」といった人格を否定するような発言も、その内容や態様によっては、1回でもパワハラに該当する可能性があります。

そもそも、このケーススタディーでは、「新入社員以下」「馬鹿」発言の前に、継続的に厳しい口調での注意が続いていました。これらの言動はパワハラにはならないものだったとしても、Dさんの中では、度重なる失敗に対する焦りや指導のプレッシャーからストレスが蓄積され、「新入社員以下」「馬鹿」発言がとどめとなり、うつ病になってしまった可能性があります。

何度指導しても改善が見られないDさんに対し、C課長が、業務上の必要性に基づいて一定程度強く注意すること自体は、直ちにパワハラとなるものではありません。ただし、

人格否定などの発言をしてしまった場合については、指導する業務上の必要性が認められるとしても、社会通念上相当な範囲を逸脱した言動としてパワハラになる可能性が高い

です。部下に問題があったとしても、1回でもこうした言動をしてしまえば、「上司の負け」だと思ったほうがよいでしょう。

3)時間がたってから相談・請求されることもある

Dさんは、企画グループを離れてから3年後に、C課長の言動がパワハラだったと訴えています。民法上、パワハラなどの不法行為に基づく損害賠償請求権には消滅時効期間があり、原則として、

損害および加害者を知った時から3年(生命又は身体を害する不法行為の場合は5年)

で時効によって消滅します。また、不法行為の時から20年という期間もあります。このように、一定の期間の経過により、パワハラを理由とする損害賠償請求が時効により認められなくなることはあります。

しかし、会社が、被害者の損害賠償請求権について消滅時効期間が経過しているというだけの理由で、ハラスメント相談を一律に受け付けないことは適切ではありません。したがって、「3年も前のことだから、もう問題にならない」と考えることはできません。

ちなみに、C課長は「なぜ、今になって通報したの?」と困惑していますが、

ハラスメントを受けていた当時は我慢していても、その不満がだんだんと大きくなって、時間を置いて爆発するケース

は珍しくありません。「新入社員以下」「馬鹿」と言われた当時のDさんは、度重なる自分の失敗に負い目を感じていたため、C課長の発言を問題視できなかったのでしょう。ですが、その後もうつ病が回復せず、休職・復職を繰り返す中で、

次第に「私がうつ病になったのは、C課長のパワハラのせいだ」と考えるようになった

可能性があります。

4)段階を踏んだ指導をし、口頭でダメなら書面やメールなどに切り替える

まずは、「人格を否定するような発言は、1回でもパワハラに該当することがある」ということを認識した上で、冷静な指導を心掛けましょう。基本的なポイントは第2章のケーススタディーと同じ、

1.まずは部下の言い分を聞く

2.自分の考えを伝えつつ、指導をする

3.不適切な言動があったときは謝る

です。

また、何度も同じような問題を起こす社員に対して、口頭での注意を繰り返すことは、場合によっては避けたほうがよいでしょう。パワハラになる・ならないの問題以前に、口頭で注意されるだけでは、自分の問題点を明確に認識できない人がいて、かえって逆効果になるケースがあるからです。

このような部下への対応は容易ではありませんが、例えば、「段階を踏んだ指導をする」という対処法があります。

  • 業務中の口頭注意で改善が見られなければ、場を改めて面談する
  • それでも改善が見られなければ、書面やメールなど形に残る方法で指導する

といった具合に、段階を踏んで指導方法を変えていくことで、本人が問題点や改善すべき内容を認識し、改善につながることが期待できます。

このような段階を踏んでも全く改善が見られない場合、上司が自分だけで対応しようとすると、上司自身が疲弊してしまいますし、C課長のようにキレてパワハラ事案に発展する事態にもなりかねません。このような場合は、上司自身の上席に相談するなどして、対応を検討したほうがよいでしょう。

以上(2026年10月更新)
(執筆 東京エクセル法律事務所 弁護士 坂東利国)

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画像:ChatGPT

いま、社員に取得してほしい ! IT・AI関連の資格5選

1 中小企業こそ資格取得を

生成AI (ChatGPT、Gemini、Claudeなど)の進化は近年、急速に進んでいます。とはいえ、自社での導入や本格活用となると、セキュリティなどの問題から二の足を踏む経営者も少なくありません。

「本当は誰かに音頭を取ってもらって、生成AIを全社的に活用したい。でも、社員がどの程度のスキルを持っているかもよく分からない。誰に任せたらよいものか……」

もしも、そんな悩みをお持ちでしたら、社員に

一定の知識・スキルが求められる「資格」を取らせてみる

のはいかがでしょうか。例えば、生成AIを安全に使いこなすための資格である「生成AIパスポート」の有資格者数は、

2025年2月から2026年2月の約1年間で約5.24倍に増加

しており、業務における生成AI活用の重要度が上がると共に、資格を取得する人も増加していることが窺い知れます。

そこで今回は、これからの業務に役立つ「今こそ取得してほしいIT・AI関連の資格」を5種類取り上げ、その基本情報を簡単に紹介します。取り上げる資格の一覧は次の通りです。

1.生成AIパスポート:生成AI活用リテラシーの土台づくりに最適

2.ITパスポート試験:社会人としてのITリテラシー入門編

3.情報セキュリティマネジメント試験(SG):セキュリティリーダー育成の登竜門

4.G検定(ジェネラリスト検定):AI・ディープラーニングの理論/技術修得の証明

5.データサイエンティスト検定(DS検定®):データドリブンな意思決定ができる証明

2 今こそ取得してほしいIT・AI関連の資格5選

中小企業の経営者がIT・AI関連の資格を取得する社員に期待することは、

  • ITツールやAIを使いこなし、業務効率化のアイデアを自ら提案してくれること
  • ITやAIの仕組みを理解し、外部ベンダーとも対等にやり取りできること

でしょう。

ここでは、厳選した5つのIT・AI関連の資格のメリットや概要を簡単にご紹介します。より詳細な情報を知りたい場合、各項に記載している資格の公式ウェブサイトのURLなどをご確認ください。また、それぞれの図表内にある「勉強時間目安」については、基礎知識の有無などによって幅があることをご承知おきください。

1)生成AIパスポート:生成AI活用リテラシーの土台づくりに最適

【取得するメリット】

  • LLMの専門家が生まれ、勉強会などを通じて活用法を全社に広めることができる
  • 議事録や提案書などの書類作成業務を生成AIに任せ、作業時間を大幅に短縮できる
  • 機密情報の入力可否などを適切に判断しながら、生成AIを業務で安全に活用できる

生成AIパスポートは、

生成AIを安全に活用するためのリスクマネジメントスキルを証明することができる資格

です。

(図表1)生成AIパスポートの概要
基本情報
試験方法
自宅
(オンライン受験)
試験日程
年5回実施
(2,4,6,8,10月)
受験料
¥11,000
(税込)
出題範囲
・基礎知識
・活用方法
・ルール等
問題方式
全60問・4択選択式
試験時間
60分
とっつきやすさ
勉強時間目安
10~30時間程度
合格率
75~85%程度※
有資格者数
90,789名
(生成AIパスポート公式ウェブサイトなどを基に作成)
※合格率は2026年2月,4月,6月の実績を基に算出

■生成AIパスポート公式ウェブサイト■
https://guga.or.jp/group-exam/
■主催団体 生成AI活用普及協会■
https://guga.or.jp/

2)ITパスポート試験:社会人としてのITリテラシー入門編

【取得するメリット】

  • ITの基礎知識を持つ人材が生まれ、業務改善の提案や推進を主体的に行うことができる
  • 業務内容に応じたITツールやシステムを選定し、効率的に導入・活用できる
  • 情報セキュリティの基礎知識を理解し、社内のリスク対策を主体的に推進できる

ITパスポート試験は、

ITに関する共通的な基礎知識を証明することができる国家資格

です。

(図表2)ITパスポート試験の概要
試験の基本情報
試験方法
全国の試験会場
試験日程
随時実施
(通年)
受験料
¥7,500
(税込)
出題範囲
・経営全般
・IT管理
・IT技術
問題方式
全100問・4択選択式
試験時間
120分
とっつきやすさ
勉強時間目安
100~180時間程度
合格率
45%程度※
有資格者数
非公表
(ITパスポート試験公式ウェブサイトなどを基に作成)
※合格率は2025年度の実績を基に算出

■ITパスポート試験公式ウェブサイト■
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/index.html
■主催団体 情報処理推進機構(IPA)■
https://www.ipa.go.jp/

3)情報セキュリティマネジメント試験(SG):セキュリティリーダー育成の登竜門

【取得するメリット】

  • 情報セキュリティの実務担当者が生まれ、社員への注意喚起や教育を行うことができる
  • 業務内容に応じたセキュリティルールを整備し、部署内に浸透させることができる
  • 情報漏えいなどのインシデントに、初動対応や再発防止策を主体的に行うことができる

情報セキュリティマネジメント試験(SG)は、

組織の情報セキュリティを管理する実務力を証明することができる国家資格

です。

(図表3)情報セキュリティマネジメント試験(SG)の概要
試験の基本情報
試験方法
全国の試験会場
試験日程
随時実施
(通年)
受験料
¥7,500
(税込)
出題範囲
・セキュリティ管理
・対策技術
・関連法規
問題方式
全60問・4択選択式
試験時間
120分
とっつきやすさ
勉強時間目安
100~200時間程度
合格率
70~80%程度※
有資格者数
非公表
(情報セキュリティマネジメント試験(SG)公式ウェブサイトなどを基に作成)
※合格率は2026年5月,6月,7月の実績を基に算出

■情報セキュリティマネジメント試験(SG)公式ウェブサイト■
https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/sg.html
■主催団体 情報処理推進機構(IPA)■
https://www.ipa.go.jp/

4)G検定(ジェネラリスト検定):AI・ディープラーニングの理論/技術修得の証明

【取得するメリット】

  • プロジェクトへのAI導入を検討する際、技術面からツールやベンダーを比較検討できる
  • 機械学習モデルの精度や限界を理解し、業務内で適切にAIを使いこなすことができる
  • ベンダーとの折衝や社内会議で、技術的な質問や提案ができる

G検定は、

AI・ディープラーニングの理論/技術の修得を証明することができる資格

です。

(図表4)G検定(ジェネラリスト検定)の概要
基本情報
試験方法
オンライン/会場
(受験方法を選択可)
試験日程
オンライン年6回
(1,3,5,7,9,11月)
会場年3回
(3,5,9月)
受験料
¥13,200
(税込)
出題範囲
・機械学習
・ディープラーニング
・法律・倫理
問題方式
約145問・多肢選択式
試験時間
100分
とっつきやすさ
勉強時間目安
30~50時間程度
合格率
70~85%程度※
有資格者数
156,562名
(G検定公式ウェブサイトなどを基に作成)
※合格率は2026年第2回,第3回,第4回の実績を基に算出

■G検定(ジェネラリスト検定)公式ウェブサイト■
https://www.jdla.org/certificate/general/
■主催団体 日本ディープラーニング協会■
https://www.jdla.org/

5)データサイエンティスト検定(DS検定®):データ分析スキルの証明

【取得するメリット】

  • 統計の基礎や読み方の専門家が生まれ、データを正しく利用し業務に活用できる
  • 業務データを整理・可視化し、自社の課題を客観的に説明できる
  • データ活用時、個人情報保護や倫理上の留意点を踏まえ、適切に判断できる

データサイエンティスト検定(DS検定®)は、

データ分析を用いてビジネス課題を解決するスキルを証明することができる資格

です。

(図表5)データサイエンティスト検定(DS検定®)の概要
基本情報
試験方法
全国の試験会場
試験日程
年3回実施
(3月・6月・11月)
受験料
¥11,000
(税込)
出題範囲
・データ
・エンジニアリング
・ビジネス
問題方式
全100問・選択式
試験時間
100分
とっつきやすさ
勉強時間目安
50~200時間程度
合格率
40~45%程度※
有資格者数
非公表
(データサイエンティスト検定(DS検定®)公式ウェブサイトなどを基に作成)
※合格率は2025年6月,2025年11月,2026年3月の実績を基に算出

■データサイエンティスト検定(DS検定®)公式ウェブサイト■
https://www.datascientist.or.jp/dss/
■主催団体 データサイエンティスト協会■
https://www.datascientist.or.jp/

3 資格以外の学びの場は?

それでも、資格取得はハードルが高いと感じる場合もあるでしょう。そんなときは、

金融機関が主催するセミナーや勉強会などを活用すれば、実務に役立つ知識を身につけることも可能

です。ぜひ、担当者にお問い合わせください。

また、当サイトでも、必要な知識をすぐに参照できる情報源として、日々さまざまな記事を掲載しています。ぜひ、ご活用ください。

以上(2026年10月作成)

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画像:日本情報マート

なぜ同族企業は、世代が進むと親族同士で揉めるのか?

1 日本の9割を占める同族企業。「お家騒動」は他人事ではない

日本の全企業のうち、実に9割以上が創業者や創業者一族が株主または経営者として関与する「ファミリービジネス(同族企業)」であると言われています。地域に根ざし、日本経済の屋台骨となってきたのは、間違いなく全国のファミリービジネスです。

一方で、事業が成長し、創業から第2世代、第3世代へと世代交代が進むにつれて、かつては存在しなかった構造的な摩擦や利害対立が表面化することがあります。

「うちは家族経営だから身内同士の意思疎通は取れている」と思われる経営者の方も多いかもしれませんが、創業者一族による「お家騒動」や「公私混同」、「後継者争い」といったネガティブな事例がメディアを賑わすことがあるのも事実です。そのため、「同族企業はガバナンスが効きにくい」という印象を持たれることがあります。

そうした中、経済産業省が2026年6月、新たに「ファミリーガバナンス・ガイダンス」を策定しました。

■経済産業省「『ファミリーガバナンス・ガイダンス』の公表について」■
https://www.meti.go.jp/press/2026/06/20260605001/20260605001.html

「ファミリーガバナンス」というと、「企業経営とは直接関係のないプライベートな事柄にまで国が踏み込んでくるのではないか」といった抵抗感や違和感を覚える人もいるかもしれませんが、同ガイダンスでは「ファミリーガバナンス」は、

ファミリー内における協働、及び、ファミリーと株主をはじめとする従業員・役員・顧客・地域社会等のステークホルダーとの協働を促し、結果として事業を継続・承継し、持続的に成長するための仕組み

として定義されています。言い換えれば「ファミリービジネスのあり方の指針」です。

この記事では、「ファミリーガバナンス・ガイダンス」(以下「ガイダンス」)に基づき、ファミリービジネス特有の強みとその裏に潜む「構造的リスク」、そして問題発生を未然に防ぐ「ファミリーガバナンス」の基礎について分かりやすく解説します。自社の経営や一族の現状を客観的に見直し、将来に向けた家族・親族間での対話を始めるきっかけとしてお役立てください。

2 ファミリービジネスの強みとその裏に潜む「構造的リスク」

1)ファミリービジネス「2つの強み」

ファミリービジネスには、非同族企業にはない決定的な強みが存在します。経済産業省のガイダンスにおいても、持続的成長の源泉として次の2点が挙げられています。

1.長期的な視点での経営と連続的な挑戦

一般的な上場企業では数年単位で経営者が交代するケースが多いのに対し、ファミリービジネスでは一人の経営者が数十年にわたってかじ取りを行うことが一般的であり、1世代(30年単位)という長い時間軸で経営を行うことが可能です。そのため、短期的な業績変動にとらわれず、研究開発や設備投資、新規事業の開発など、将来を見据えた投資を粘り強く継続することもできます。

四半期ごとの利益還元を強く求める外部株主からの圧力に左右されないため、「創業の志」や「現場の信念」に基づいた息の長い事業推進が可能です。また、時代の変化に応じて先代の成功体験に固執せず、自らの代で新たな事業を展開する「第二創業(事業転換)」を推進できる点も強力な強みとなります。

2.迅速な意思決定と強いリーダーシップ

ファミリービジネスの経営者は、自ら筆頭株主(所有者)であり、同時にファミリー(一族)の代表を兼ねているケースが多く見られます。所有と経営が一体化しているため、重要事項の意思決定において複雑な社内調整を経る必要がなく、トップダウンで迅速に決定することが可能です。

以前のコロナ禍のような感染症の拡大、物価高騰や産業構造の変化といった急激な外部環境の変化に直面した際、トップの強いリーダーシップのもとで即座に経営方針を転換できる機敏さ(アジリティ)は、競合他社に対する大きなアドバンテージとなります。

2)ファミリービジネスの強みの裏に潜む4つの「構造的リスク」

ファミリービジネスの強みは、運用を誤るとそのまま致命的な「リスク」へと裏返る構造的側面を持っています。

ガイダンスの策定過程における実務上の分析では、ファミリービジネスの構造的リスクとして主に次の4点が整理されています。

  • 経営者の独善的行動・保身・成長意欲の減衰(エントレンチメント)
  • 公私混同(会社資産の私的利用や不透明な親族優遇)
  • 親族内の利害対立・感情的対立(いわゆる「お家騒動」)
  • 後継者不足や経営能力不足、事業承継の遅れ

(注)エントレンチメント(Entrenchment)とは、長年経営の座にとどまることで社内に意見できる人材がいなくなり、経営者が独善的になったり、保身に走って新しい挑戦への情熱を失ったりすることで会社全体が停滞してしまう状態を指します。

3)なぜ世代交代が進むと揉める? 「スリーサークルモデル」で解き明かす

昔は家族みんなで協力していたのに、なぜ世代が進むと揉めるのか――この背景には、ファミリービジネス特有の構造変化が存在します。

学術・実務で広く用いられる「スリーサークルモデル」によれば、ファミリービジネスは「家族」「所有」「経営」の3つの要素の重なり合いで構成されています。創業期は創業者を中心に「家族」「所有」「経営」が一体化していますが、第2世代、第3世代へと進むにつれて相続により株式が分散するなどして、一族の中で「経営に関与する親族」と「株だけを持つ経営非関与の親族(少数株主)」に分かれていきます。

(図表)【ファミリービジネスに関するスリーサークルモデル】

ファミリービジネスに関するスリーサークルモデル

(出所:経済産業省「ファミリーガバナンス・ガイダンス」)

所有と経営の分離が進むと、経営に関与する親族は「事業成長のために利益を社内留保して再投資したい」と考え、株だけを持つ経営非関与の親族は「適正な配当還元や経営情報の透明化」を要求するようになります。

双方の立場による「利害の不一致」に加え、親族間の感情的なもつれが長きにわたって蓄積され、合理的な話し合いが困難となり、「お家騒動」へと発展

します。これは個人の感情論ではなく、所有と経営が分離していく過程で生じる「落とし穴」です。

3 問題発生を未然に防ぐ「ファミリーガバナンス」の基礎

1)ファミリーガバナンスの定義とコーポレートガバナンスとの違い

冒頭でも触れたように、ファミリーガバナンスとは、

ファミリー内における協働、及び、ファミリーと株主をはじめとする従業員・役員・顧客・地域社会等のステークホルダーとの協働を促し、結果として事業を継続・承継し、持続的に成長するための仕組み

です。

コーポレートガバナンス(企業統治)が、取締役会などが、株主や顧客等の立場を踏まえて適正・迅速な意思決定を行う「会社経営の仕組み」であるのに対し、ファミリーガバナンス(一族統治)は、一族の理念・価値観を共有し、一族内のルールや合意形成メカニズムを整え、会社と一族との健全な関係性を維持する「所有者・一族側の仕組み」です。

2)なぜ今、経済産業省が動いたのか? 財産承継から「一族のガバナンス」へ

従来の事業承継対策は、株式の評価引き下げや相続税の節税といった「財産承継」の手法が中心でした。しかし、形式的な財産引き継ぎを行っても、その後に一族内で対立が生じたり、社内の信頼関係が損なわれたりすれば、事業の継続は困難になります。

今回、経済産業省が「ガイダンス」を策定した背景には、単なる節税対策にとどまらず、「創業者一族内の価値観・志の共有」や「公私の明確な整理(ルール化)」という本質的なガバナンス構築こそが、企業の持続的成長に不可欠であるという認識が高まったためです。

4 手遅れになる前に。「対話」から始める将来への投資

この記事では、ファミリービジネスが持つ本来の強みと、世代交代に伴って生じる構造的リスク、そして一族と会社を健全に結ぶ「ファミリーガバナンス」の基本概念について解説しました。

ファミリービジネスの持続的成長において何より重要なのは、問題が表面化してから法的な争いで解決を図ることではなく、

摩擦が生じる前に、転ばぬ先の杖としてルールと対話の場を整えておくこと

です。

まずは自社が「スリーサークルモデル」のどの段階にあるのかを客観的に把握し、ご家族や親族間で創業の歴史や想いを語り合う小さな対話から始めてみてください。

次回は、経済産業省の「ファミリーガバナンス・ガイダンス」が提示する「5つの柱」を軸に、「お家騒動」を防ぎ、世代を超えて持続的成長を続けるための実践的アプローチを解説します。

以上(2026年10月作成)

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画像:ChatGPT

お家騒動を防ぐ「ファミリーガバナンス」5つの柱

1 理念と仕組みで「世代を超える強い企業」をつくる

前回は、ファミリービジネス(同族経営)が持つ長期的な視点や迅速な意思決定といった強力な強みと、創業から第2世代・第3世代へと進むにつれて生じる「所有と経営の分離」による構造的リスク(お家騒動や公私混同)について解説しました。

こうした課題に対し、経済産業省は2026年6月5日、日本企業が世代を超えて持続的に成長するための指針として「ファミリーガバナンス・ガイダンス」を策定・公表しました。形式的な税金対策や株式名義の書き換えといった従来の事業承継対策にとどまらず、一族の理念共有や客観的なルールづくり、親族間の対話の場づくりに踏み込んだ画期的なガイドラインです。

この記事では、ガイダンスが提示する「5つの柱」を軸に、自社の永続的な発展を実現するための具体的なルール作りと実践のポイントを詳しく解説します。

2 理念・価値観・ビジョン等――判断の羅針盤を共有

ファミリービジネスの最大の強みは、創業から受け継がれる「志」や「企業理念」にあります。しかし、世代が進むにつれて創業者と面識のない親族や従業員が増えると、理念の空洞化が進みます。

ガイダンスでは、ファミリービジネスの目的や価値観、理念・パーパス・ビジョンを明文化し、ファミリーメンバーや役員・従業員間で共有することが推奨されています。単に成功体験や華やかな理念を伝えるだけでなく、過去の経営危機や創業時の苦労といった「失敗や葛藤の歴史」をあえて次世代に継承することが、過度な慢心を防ぎ、責任感や覚悟を醸成するために有用とされています。

口伝や背中を見せるだけの継承は、創業者世代までしか通用しません。社内研修やイントラネットを活用して経営者自らが理念を語り、日々の意思決定の基準として運用することで、非同族社員も含めた組織全体の求心力を高めることができます。

理念やルールの明文化にあたっては、経営者(現世代)が一方的に定めて通達するのではなく、承継する側である次世代メンバーを議論に参画させ、その意見を十分に考慮するプロセスが推奨されています。

次世代メンバー自身が理念の言語化に携わることで、「押し付けられた家訓」から「自分たちが守り発展させるべき誓い」へと当事者意識が変化します。

3 ファミリーとしての意思決定の仕組みを整える

親族間の対立(お家騒動)は、決まったルールがない中で感情的に意見がぶつかることで発生します。これを防ぐのが、規範となる「ルール」と、議論を行う「場」の設計です。

ルールには、ファミリーの理念や行動規範、承継方針を明文化した「ファミリー憲章(ファミリー宣言・協定)」のようなソフトなルールと、「種類株式」「株主間契約」「信託スキーム」といった法的拘束力を有するハードなルールの2種類が存在します。

オタフクホールディングス(オタフクHD)を経営する佐々木家は、次の「家族憲章」を策定しました。

一.株は8家が均等に持つ

二.8家族から1人ずつ後継者(社員・株主)を選出

三.給与は「基本給(平等)+役職給(公平)」

四.退職金は「基本額(平等)+貢献給(公平)」

五.65歳で現役を退き、顧問、相談役に就任

六.年4回のファミリー会を開催

七.多数決で決議しない(全員が納得するまで議論)

八.グループ企業の取締役会の半数以上を、佐々木家出身者以外とする

九.後継者は世間が決める(基準は「何を変えたか」「何を始めたか」「誰を育てたか」)

オタフクHDの事例のように、「平等の原則(一族としての公平感)」と「公平の原則(成果・能力への評価)」を両立させたルールをあらかじめ作っておくことが、感情的対立の最大の予防策となります。

ファミリーメンバーが定期的に集まり、事業方針や議決権行使の方針を議論する公式な場(ファミリー集会、ファミリー評議会、ファミリー総会等)を設けることが推奨されています。また、公式な会議だけでなく、法事や墓参り、食事会や旅行といったインフォーマル(非公式)な交流を継続することが、親族間の信頼関係と融和を維持する上で大きな役割を果たします。

4 ファミリービジネスへの関与方針を決める

ファミリービジネスで最も社員のモチベーションを下げ、外部の信頼を損ねるのが「公私混同」と「親族優遇」です。

ガイダンスでは、ファミリーが経営のどこまでに関与し、どこから関与しないのか(踏み込まない範囲)を明確に定めることが重要とされています。法令遵守は大前提として、会社資産の私的利用を防ぐ公私の整理を徹底することが求められます。

「同族だから」という理由だけで自動的に入社・昇進できる仕組みを排し、客観的なプロセスや要件を設けることが推奨されています。

  • 入社制限:「1ファミリーから各世代1名のみ」「ファミリー集会の承認を要する」などの人数・要件制限
  • 役員登用:「ファミリー内外を問わず、あらかじめ定めた役員就任要件に適合した人材か否かを、非ファミリー役員を含む選定委員会で最終決定する」
  • 処遇:「入社後の人事評価や処遇にファミリー会は関与せず、他の従業員と不合理な差を設けない」

ファミリーではない従業員に対して「同族でなければ評価されない・社長になれない」という絶望感を与えない仕組みづくり(ガラスの天井の排除)こそが、優秀な社員の定着と組織の成長に直結します。

5 後継者育成と株式集約を計画的に進める

事業承継の失敗は、企業の存続に直結します。「後継者の育成」と「自社株(所有権)の集約」を両輪で進める必要があります。

後継者に求められる資質や経験、選定プロセス、育成計画を早期に策定(サクセッションプランの策定)することが推奨されています。後継者候補はファミリー内に限定せず、優秀な社内従業員や外部人材の登用も有力な選択肢として検討すべきとされています。

  • 他社での経験(武者修行):新卒ですぐ自社に入社させず、あえて他社で経験を積ませることで広い視野とスキルを獲得させる
  • 所有と経営の分担:持株会社の経営者はファミリー人材が務め、事業会社の社長には社内生え抜き社員を登用する
  • 先代の役割ルール化:承継後の先代経営者は経営方針や投資判断に口を出さず、65歳等の事前ルールに基づき現役を退く

世代が進むと相続によって自社株が分散し、経営に関与しない少数株主が増加して経営の不安定化を招きます。これを防ぐ方法として次のような対応が考えられます。

  • 信託の活用:創業者が保有する株式を信託設定し、「財産権(配当)」と「議決権(経営権)」を分離して後継者に議決権を集中させる
  • 資産管理会社の活用:資産管理会社に株式を集約し、議決権を統括する
  • 株式買い戻しルール:経営に関与しないファミリー株主が亡くなった際、経営役員・従業員が買い取る旨をファミリー憲章や株主間契約に規定する
  • 種類株式の活用:議決権制限株式(無議決権株式)を発行し、議決権株式は役員以上のメンバーのみに保持させる

例えば、信託を活用した財産権と議決権の分離イメージは次の通りです。

(図表)【信託を活用した財産権と議決権の分離イメージ】

信託を活用した財産権と議決権の分離イメージ

(出所:経済産業省「ファミリーガバナンス・ガイダンス」関連検討資料を基に作成)

6 ステークホルダーへ情報を発信する

ファミリー内部の人間関係だけでは、どうしても感情が優先したり、甘え(相互牽制の不全)が生じたりしがちです。ここで重要になるのが番頭(右腕人材)や社外役員の「第三者の目」です。

ガイダンスでは、経営者を補佐し、時には経営者に客観的な視点から進言できる幹部人材を、伝統的な呼称にならい「番頭(右腕人材)」と定義しています。感情的になりやすいファミリー会議や相続協議において、番頭や利害関係のない外部専門家が司会・調整役を務めることで、円滑な合意形成が可能になります。

ファミリーと利害関係のない社外取締役や社外監査役を設置し、取締役会の多くを外部人材とすることで、経営者の暴走や私物化に対するチェック機能を働かせるのも一手です。

そして、ファミリー株主だけでなく、従業員、取引先、金融機関、地域社会に対して、ファミリーの理念やガバナンスの取り組みを適切に情報発信することが推奨されています。

「うちは身内の会社だから外に見せる必要はない」という閉鎖性を捨て、ファミリーガバナンスが機能していることを外部に示すこと自体が、金融機関からの融資姿勢の改善や、採用市場における求職者・社員からの厚い信頼へとつながります。

7 自社に合わせた「小さく確実な一歩」から始めよう

経済産業省の「ファミリーガバナンス・ガイダンス」には、5領域の取り組み事項が整理されています。しかし、これら全てを最初から一度に整備する必要はありません。ガイダンス自体も、取り組み事項を「推奨」「重要」「選択」の優先度に分けて示しており、自社の状況に応じて取捨選択することを前提としています。例えば、次のような順で取り組んでみてはいかがでしょうか。

1.「創業の想いと歴史」を書き出してみる

自社がなぜ創業され、どんな危機を乗り越えてきたのかをメモに残し、ご家族や後継者候補に話してみる。

2.親族で話す「定例の場(食事会や家族会議)」を設定する

年1回・2回でもいいので、会社と一族の未来について穏やかに話し合う場をスケジュールに組み込む。

3.客観的な専門家(士業・番頭)を味方につける

感情論になりがちな親族間の話し合いには、弁護士、税理士、中小企業診断士などの外部専門家や頼れる幹部社員(番頭)を同席させ、中立的なファシリテーターとして活用する。

「事業」という貴重な社会の公器を、次の世代、そして次の時代へと確実につないでいくために――。本ガイダンスを「自社の未来を守るバイブル」として活用し、家族・親族間での価値ある対話を今すぐスタートさせてみてはいかがでしょうか。

以上(2026年11月作成)

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画像:ChatGPT

社会保険調査って何? 経営者が知っておきたい調査対応のポイント

本レポートでは、社会保険調査の種類とそれぞれの目的を整理したうえで、適用事業所に対する調査を中心に、調査の流れや確認される事項、指摘を受けやすいポイント、企業が日頃から備えておきたい実務対応について、経営者・管理部門の担当者の目線でわかりやすく解説します。いざというときに慌てないために、ぜひ日頃の労務管理の見直しにお役立てください。

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中小企業等の新事業進出・生産性向上を支援 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金のご紹介

「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」は、中小企業等が行う、技術的革新性のある製品・サービスの開発や既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出、海外市場開拓(輸出)に向けた国内の輸出体制の強化を後押しすることで、中小企業等が企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを目的とした補助金です。

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耐久性を測るシナリオ分析・感度分析/「設備投資の成果、チェックしてますか?」シリーズ(番外編)

1 不確実な時代だからこそ求められるシナリオ分析と感度分析

多くの経営者は、事業が計画通りに進むことを前提に、投資の効果をシミュレーションします。しかし、実際はそう計画通りにはいきません。特に売上は不確実性が高く、「予定通りに売れる」とは限りませんし、将来の数字を正確に予測することも容易ではありません。

不確実性の高い時代だからこそ、投資評価も「最も可能性が高いと考えたケース(以降「ベースケース」)」だけで判断するのでは不十分です。

売上や費用などが想定から外れた場合に対応するためにも、「シナリオ分析」や「感度分析」を活用することが重要

です。

もし計画が大きく狂ったとき、その投資は「会社を支える武器」ではなく、「会社を沈める重り」になってしまう可能性もあります。投資をギャンブルにしないためにも、様々なケースを想定し、投資の判断のよりどころとなる「数字を使った会社の守り方」を学んでいきましょう。

2 将来の不確実性を反映させた投資評価の分析手法

シナリオ分析と感度分析は、

将来の不確実性を考慮して投資の妥当性を判断するための投資評価における分析手法

です。実務では両者は同じ意味で使われることもありますが、厳密には分析の仕方が異なります。ここではそれぞれの特徴を分けて考えていきます。

これまで見てきた投資評価の代表的な4つの指標、

1.回収期間法

2.投資利益率法

3.現在価値法

4.内部利益率法

について、それぞれの指標を使う際に、シナリオ分析、感度分析をどのように取り入れるのかを見ていきましょう。どちらも、経営者が投資を実行するかどうかの意思決定をする際に役立つ手法なので、ぜひ基本的な考えを理解し、実務に活かしていただけたらと思います。

3 シナリオ分析は「複数の前提(数値)」を変えて考える

シナリオ分析とは、

売上、費用、資本コスト(投資に必要な資金の調達コスト)など、複数の前提を同時に変えて、投資結果がどう変わるかをシナリオごとに確認して投資評価を行う分析手法

です。代表的なのは、

1.ベースケース(想定しているケース)

2.楽観ケース(上振れしたケース)

3.悲観ケース(下振れしたケース)

の3つを用意する方法です。

例えば、売上が計画を上回り、費用も抑えられた場合にはどうなるのか。反対に、売上が伸びず、費用も増えた場合にはどの程度の損失が出るのか。このように複数の条件を組み合わせて考えることで、どのような状況なら投資が成立し、想定外の事態が起きた場合にどれくらい損失が出てしまうのかを数字で把握できます。

4 感度分析は「1つの前提(数値)」を変えて考える

感度分析は、

売上高の成長率や販売単価など、1つの前提だけを変えた場合に、投資評価にどのように影響を与えるかを見ていく分析手法

です。

例えば、「売上高の成長率が1%上がった場合に利益はどれくらい増えるか、投資利益率は何%変わるのか」「逆に売上高の成長率が1%下がった場合にどれだけ利益が減り、投資利益率は何%変わるのか」といった形で分析します。

このように、1つの数値を動かしてみることで、どの数値が投資結果に大きな影響を与えるのかを把握できます。つまり、注目した数値の変化が、検討する指標にどれだけ影響を与えるかの感度を分析します。

5 シナリオ分析と感度分析どちらを使うか

シナリオ分析と感度分析は、理論上は異なる分析方法ですが、実務では必ずしも明確に分けられていないケースが多いと感じます。このことに、問題があるわけではありません。中小企業の投資判断では目的に応じて両方を組み合わせるなど、その場に合った分析方法を選んで使うとよいでしょう。

シナリオ分析では、複数の前提を同時に変えて分析するため、行う人によって作る数字にかなり幅があり、設定次第ではさまざまなケースが考えられます。そこで、まずは前述した「ベースケース」「楽観ケース」「悲観ケース」の3つのシナリオに絞って考えてみましょう。

ベースケースでは、売上、費用、資本コストなどについて、「最も可能性が高い」と思う数値を設定します。楽観ケースでは事業がかなりうまく進んだベストの場合の数値を、悲観ケースでは事業がかなり厳しい状況になったワーストの場合の数値を設定します。

楽観ケースと悲観ケースで、極端なケースを想定しておくことで、それぞれの数字をどの程度にするか悩む余地を減らすことができ、シナリオを立てやすくします。また、極端なケースとベースケースがあれば、投資の全体像のイメージがつきやすくなります。

一方で、感度分析では、一つの数値に絞って、その数値のみを変化させ分析します。ここで注目したいのがKPI(重要業績評価指標)です。KPIとは、事業の業績に大きな影響を与える重要な数字のことです。

例えば、営業部門なら「販売単価」や「販売個数」、製造部門なら「歩留り率」や「機械稼動率」などがKPIに当たります。投資判断では、こうしたKPIを一つずつ動かしてみることで、「どの数字が計画を左右するのか」が把握できます。

6 事例演習:店舗の新規開設シミュレーション

それでは事例をつかってシナリオ分析と感度分析を行ってみましょう。ベースケースとなる前提条件は次の通りです。

なお、ここで掲載するシミュレーション一覧で使用されているExcelシートは、記事の末尾からダウンロードできます。

【前提条件(ベースケース)】

  • 年間売上:初年度2000万円、2年目から3年目の成長率2%、4年目・5年目は横置き
  • 売上原価率(変動費):売上の40%
  • 人件費(固定費):300万円
  • 賃借料(固定費):200万円
  • 交通費(変動費):売上の5%
  • 初期投資額(固定費):2000万円、減価償却方法は5年償却・定額法・残存価額ゼロ
  • 実効税率(変動費):30%
  • 割引キャッシュ・フロー(将来得られるお金を現在の価値)で用いる割引率:10%

ベースケースの場合のシミュレーション一覧

1)シナリオ分析のシミュレーション例

まず、シナリオ分析からやってみましょう。売上成長率と原価率を変化させる数字とし、楽観と悲観のシナリオは次のとおりとします。

シナリオ分析のケースごとの数値

なお、楽観ケースの場合のシミュレーション一覧は次の通りです。

楽観ケースの場合のシミュレーション一覧

悲観ケースの場合のシミュレーション一覧は次の通りです。悲観ケースの場合は、正味現在価値がマイナスとなってしまいます。

悲観ケースの場合のシミュレーション一覧

これにより各指標は次のようになります。

前提数値を変えたときのそれぞれの投資評価指標の変化

会社全体の財政状況や収支計画により、一概には言えませんが、上記の結果を踏まえた分析例を挙げておきます。

【分析例】

この投資は、順調に売上が伸びれば(楽観およびベースケースの場合)、約3~3年半で回収でき利益も出ます。ただし、売上が落ち込み、原価率が高まる(悲観ケースの場合)と逆に赤字になり、投資額を回収できなくなる恐れがあります。良いときより悪いときの影響の方が大きいため、実行はしつつ、毎月売上と原価率を確認し、悪化の兆しが出たらすぐ見直せる体制を整えることが大切です。

2)感度分析のシミュレーション例

次に、感度分析を行います。売上の成長率に注目して考えてみましょう。

売上成長率を3%に変えた場合の感度分析を行った場合のシミュレーション一覧は次の通りです。

売上成長率を3%に変えた感度分析を行った場合のシミュレーション一覧

上記のシミュレーションの前提(売上成長率3%)に加え、売上成長率を1%ずつ変えたときの各指標は次のようになります。売上成長率が1%変わると、投資利益率が約0.6%増減することが見てとれます。

前提数値を変えたときのそれぞれの投資評価指標の変化(感度分析)

会社全体の財政状況や収支計画により、一概には言えませんが、上記の結果を踏まえた分析例を挙げておきます。

【分析例】

売上成長率が年2%から3%に上がると、利益や投資の採算はかなり良くなります(回収の速さ・利益ともに改善)。逆に言えば、売上の伸びがわずかに計画を下回るだけで採算が悪化しやすい投資でもあるため、毎月の売上をこまめに確認しながら進めることが大切です。

7 経営現場でどう活用すべきか

中小企業の現場では、複数の項目を変化させるのは煩雑であるため、重要と考えるKPIに絞った感度分析が現実的でしょう。ただし、投資の計画段階で「この数字を下回ったら投資を続けるのは難しい」という、ワーストのシナリオを描いて最低限のラインを決めておくことも重要です。あらかじめ厳しいケースを想定し、撤退基準を持っておけば、事業が想定通りに進まなかったときにも、冷静に判断しやすくなります。

これは、「ここまで大量の時間とお金をかけたのだから、今さらやめられない」という誤った経営判断を防ぐことにもつながります。すでに投じた時間とお金は、取り戻すことができない「埋没コスト」です。投資を続けるか撤退するかを判断するときは、過去にいくら使ったかではなく、その時点から先にどれだけの収入が見込め、どれだけの支出が必要になるかを比較することが大切です。

分析は、数字を作ること自体が目的ではありません。実際の経営判断に役立ててこそ意味があります。「何を判断するための分析なのか」を意識しながら、投資を続ける場合と撤退する場合の両方を考えておきましょう。

8 シミュレーション用Excelシート

最後に、これまで解説してきたシミュレーション一覧で使用されているExcelシートをご提供します(ダウンロードしてお使いください)。Excelシートの左側(青色の背景色のセル)の前提数値を入力すると、右側のシミュレーション結果が自動で更新されます。自社で新規出店や設備投資を検討する際にも、数字を置き換えて活用してみてください。

【ダウンロード_WS:シミュレーション覧(DL対応)】

以上(2026年10月作成)

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画像:日本情報マート

経営のヒントとなる言葉(岩崎彌太郎)

「事業は必成を期し得るものを選び、一旦始めたならば百難に撓(たわ)まず勇往邁進して、必ずこれを大成しなければならぬ」(*)

出所:「日本のリーダー名語録 優れた指導者に学ぶ決断力 明治・大正・昭和」(PHP研究所)

冒頭の言葉は、

  • 「事業を起こそうと志すならば、成功の目算がたつものを選び、一度手をつけたら、たとえどんな困難に遭遇しても乗り越え、成功をつかみとらなくてはならない」

ということを表しています。

貧しい家に生まれながらも、幼いころから学才に恵まれていた岩崎氏は、江戸留学を経て土佐藩に戻り、藩の重臣吉田東洋(よしだとうよう)氏や後藤象二郎(ごとうしょうじろう)氏から才能を認められて藩内で頭角を現していきました。

1867年、岩崎氏は土佐藩の殖産興業組織「開成館」の長崎出張所勤務を命じられ、外国商人を相手に、最新式の武器や艦船の購入、土佐藩物産の販売に携わることとなります。また、当時、長崎を拠点として政治活動を行っていた海援隊の坂本龍馬と出会い、さまざまな面で海援隊の活動を支えました。この長崎滞在中に、岩崎氏は国際感覚を磨いて交渉術を学び、土佐藩における経済担当としての力量を高めていきました。

明治維新後、岩崎氏は土佐藩の商事を担当する九十九(つくも)商会を率いることとなり、その後、この商会を三菱商会へと改称しました。当時は、外国船が日本の海運を牛耳っており、日本の沿岸航路から日本船は締め出されていました。岩崎氏は、この現状を打破するために、外国船との競争に果敢に挑みました。

こうした中、1874年、外交問題の紛糾から、日本は台湾出兵に踏み切ることとなりました。出兵に際して、政府は英国や米国の海運会社に兵員や食糧の輸送を要請しましたが、直前になって協力を断られたため、急きょ輸送用の外国船を購入し、半官半民の企業である日本国郵便蒸気船会社に兵員や食糧の輸送を要請しました。

しかし、同社は兵員や食糧の輸送を行っている間に三菱に顧客を奪われることを恐れ、政府の要請に対して煮え切らない対応を取り続けました。このため、政府はやむを得ず岩崎氏に兵員や食糧の輸送を要請しました。

三菱にとって、台湾出兵に際しての政府の要請は、ともすると経営の危機にもつながりかねない重大な問題でした。しかし、岩崎氏は「国あっての三菱」との言葉とともに、政府の要請を受け入れることを決断しました。

岩崎氏の決断を受け、政府は計10隻の外国船を購入し、その運航を三菱に委託しました。こうして、三菱は兵員や食糧の輸送に全力を尽くし、台湾出兵における輸送任務を見事に完遂しました。

台湾出兵の成功により、三菱は政府より委託を受け、政府所有の船舶を自由に使用できるようになりました。このことにより、三菱は大きく躍進して沿岸航路の競争に復帰しました。一方、政府の信頼を失ってしまった日本国郵便蒸汽船会社は、三菱に大きく水をあけられ、1875年には解散に追い込まれることとなりました。

後に、岩崎氏は次のような言葉を遺(のこ)しています。

「人間は一生のうち、必ず一度は千載一遇の好機に遭遇するものである。しかし凡人はこれを捕へずして逸してしまふ」

人生には、一度は「千年に一回」ともいうべき大きなチャンスが訪れますが、たとえそのチャンスが訪れたとしても、普通の人はそれに気付かずに見逃してしまいがちです。しかし、常に事業の大成を狙っていた岩崎氏は、台湾出兵を千載一遇の大きなチャンスと見抜き、そのチャンスを生かすべく、大きく躍進して成功をつかんだのです。

ひとたび事業に取り組んだならば、必ず成功を期さなくてはならない。常にそうした強い意志を持ち続けることで、チャンスが訪れたときにそれを生かし、成功をつかむことができるのです。

【本文脚注】

本稿は、注記の各種参考文献などを参考に作成しています。本稿で記載している内容は作成および更新時点で明らかになっている情報を基にしており、将来にわたって内容の不変性や妥当性を担保するものではありません。また、本文中では内容に即した肩書を使用しています。加えて、経歴についても、代表的と思われるもののみを記載し、全てを網羅したものではありません。

【経歴】

いわさきやたろう(1835~1885)。土佐国(現高知県)生まれ。儒学者安積艮斎(あさかごんさい)の私塾で学ぶ。1869年、開成館(土佐藩の殖産興業組織)大阪出張所に異動。1870年、九十九(つくも)商会(開成館大阪出張所の事業を引き継ぎ、土佐藩士によって設立された私商社)社主就任。1873年、三川商会(九十九商会の後身)を三菱商会と改称(その後、三菱蒸汽船会社、郵便汽船三菱会社などに改称し、三菱財閥の源流となる。本稿では「三菱」)。

【参考文献】

「日本のリーダー名語録 優れた指導者に学ぶ決断力 明治・大正・昭和」(武田鏡村、PHP研究所、2007年4月)

「岩崎弥太郎と三菱四代」(河合敦、幻冬舎、2010年1月)

「明治の巨人岩崎弥太郎」(砂川幸雄、日本経済新聞出版社、2011年8月)

以上(2026年10月更新)

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画像:日本情報マート