自社は優遇措置を受けられる 「中小企業」に該当するのか?

1 法律によって「中小企業」の定義が違うって本当?

税制優遇や補助金、助成金を受けるための要件の1つに、

「中小企業」であること

と示されていることがあります。

一般的に、会社の規模を決める要素には、資本金、従業員数、業種などがありますが、「中小企業」として扱われる基準は法律によって違うことをご存じでしょうか。自社が、ある法律では中小企業としての要件を満たしていても、別の法律では要件を満たさずに、税制優遇や補助金、助成金を受けられないことがあります。

そこで、この記事では、税制優遇や補助金申請において押さえておきたい、下記の5つの法律で示されている中小企業の定義を整理します

  • 中小企業基本法
  • 産業競争力強化法
  • 法人税法
  • 租税特別措置法
  • 会社法

自社がどの法律なら「中小企業」に該当するのか確認してみましょう。

なお、一言で中小企業といっても、法律ごとに「会社」「法人」「企業」のように用語が異なるため、この記事でもそれぞれの法律に合わせて表記をします。

2 法律ごとの中小企業の定義を確認しよう

1)まずは全体像を把握しよう

まずは、中小企業基本法、産業競争力強化法、法人税法、租税特別措置法、会社法で示されている中小企業の定義の全体像を把握してみましょう。資本金、従業員数、業種等によって中小企業の要件が異なることが分かります。

法律ごとに異なる中小企業のイメージ

2)中小企業基本法

中小企業基本法では、業種によって中小企業の定義が違います。まず、中小企業の要件を満たすかどうかの基準は次の2点です。

  • 資本金の額または出資の総額
  • 常時使用する従業員の数

次に、下記の図表で「資本金の額または出資の総額」「常時使用する従業員の数」のいずれかを満たしていれば、中小企業基本法における中小企業に該当するといえます。

中小企業基本法における中小企業の定義

常時使用する従業員とは、労働基準法第20条の規定に基づく「予め解雇の予告を必要とする者」を従業員と定義しています。そのため、解雇の予告が必要ない日雇い労働者や、4カ月以内の季節的業務の有期雇用者などは常時使用する従業員には含まれません。

なお、同じ企業が「製造業」と「サービス業」のように、業種が異なる事業を複数手掛けている場合は、「主たる事業」が属する業種を基に判断します。主たる事業とは、直近1事業年度の決算書において、売上高などが最も大きい事業を指します。

3)産業競争力強化法

産業競争力強化法では、前述した中小企業基本法と同様の範囲(図表2参照)に含まれる企業を中小企業者として定義しています。

一方で、従業員数が2000人以下で、中小企業基本法に中小企業に該当しない企業は「中堅企業者」と定義しています。例えば、製造業の場合は常時雇用する従業員数が300人以上、2000人以下かつ、資本金が3億円超の企業が中堅企業者と定義されます。

また、中堅企業の中でも、次の要件を満たす企業は特に成長意欲が高い企業として、「特定中堅企業者」と定義しています。

  • 賃金(常時使用する従業員1人当たり給与等支給額)が業種別平均以上
  • 常時使用する従業員数の年平均成長率(3事業年度前比)が業種別平均以上
  • 直近3事業年度のうち、いずれかの事業年度が、中堅企業者の業種別平均以上の売上高成長投資比率であること

4)法人税法

法人税法では、中小企業に該当する法人を中小法人等と規定しています。中小法人等に該当するためには、次のいずれかの要件を満たす必要があります。

  • 普通法人のうち、資本金の額もしくは出資金の額が1億円以下であること
  • 資本または出資を有しないもの
  • 公益法人等または協同組合等
  • 人格のない社団

ただし、次の要件に該当する法人を除きます。

  • 資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人等による完全支配関係(簡単に言うと、100%の支配)があること
  • 複数の大法人(資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人等)に発行済株式の全部を直接、もしくは間接的に保有されていること

5)租税特別措置法

租税特別措置法では、中小企業に該当する法人を中小企業者と規定しています。中小企業者に該当するためには、原則、次のいずれかの要件を満たす必要があります。ただし、税制によっては、個別の企業要件(従業員数など)があるため、優遇税制の適用を検討する際には税理士などの専門家に確認するようにしましょう。

  • 資本金の額もしくは出資金の額が1億円以下であること
  • 資本または出資を有しない法人(公益財団等)については、常時使用する従業員数が1000人以下であること

ただし、次の要件に該当する法人等を除きます。

  • 発行済株式の総数または出資の総額の2分の1以上を同一の大規模法人に所有されていること(発行済株式は、自社の株式または出資を除いた分が対象)
  • 発行済株式の総数または出資の総額の3分の2以上を複数の大規模法人に所有されていること(発行済株式は、自社の株式または出資を除いた分が対象)

また、「適用除外事業者(前3事業年度の平均所得金額が15億円超の中小企業者)」に該当する場合も、優遇措置の対象から除かれます。

なお、大規模法人とは、中小企業者の要件に該当しない法人または大法人(資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人)による完全支配関係がある法人等をいいます。

6)会社法

会社法では、中小企業の定義がなく、大会社のみが規定されています。次のいずれかの要件を満たせば大会社に該当します。逆に言えば、次のいずれの要件も満たさない場合は、便宜上、中小企業(大会社以外の会社)といえます。

  • 最終事業年度に係る貸借対照表に資本金として計上した額が5億円以上
  • 最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上

また、会社法における大会社は、決算公告や内部の組織について規定があります。会社法における大会社と非大会社(中小企業)の分類は次の通りです。

会社法における大会社と非大会社の分類

大会社では、取締役会の内部統制義務(注)がある、会計監査人を置かなければならない、決算公告は、貸借対照表と損益計算書の開示が必要といった規定があります。

これに対して、非大会社では、監査役会と会計監査人の設置は任意、決算公告は貸借対照表のみとしていますが、自社が発行する株式の一部または全部を自由に譲渡可能な公開会社(定款で株式の譲渡制限を設けていない会社をいいます)の場合は、3人以上で構成する取締役会を設置する必要があります。

(注)株主から経営を委ねられた取締役会が主体となり、取締役の業務が会社法や自社の定款にのっとり、適切に行われているかどうかチェックするための体制をいいます。大会社かつ取締役会設置会社の要件に該当する場合に内部統制義務があります。

以上(2026年5月更新)
(監修 税理士 谷澤佳彦)

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画像:ChatGPT

120種類の福利厚生! 基本メニューから変わり種まで

1 コストをかけず、充実した福利厚生を実施するには?

福利厚生とは、社員の生活や職場環境を良くするための報酬やサービス全般を指す言葉で、

  • 法定福利厚生:法律で実施が義務付けられている福利厚生(社会・労働保険)
  • 法定外福利厚生:会社が独自に実施する福利厚生(各種手当や社内設備など)

に分けられます。法定福利厚生を法令違反のないように実施しつつ、法定外福利厚生の内容を工夫して、人材の採用・定着や、会社のイメージ向上などにつなげていくのが基本です。

とはいえ、法定外福利厚生は種類も多いので、他社と差別化しようにも「どのような福利厚生があるのか分からない」という経営者は少なくないはずです。また、リソースの限られる中小企業の場合、ある程度コストを抑えて福利厚生を実施したいというニーズもあるでしょう。

そこで、この記事では実際に行われている福利厚生で、中小企業向けのものを、一般的なものからユニークなものまで次のようにカテゴリー分けし、約120種類集めました。気になる章からご確認ください。

  • 第2章:「家計」系(住宅手当など、27種類)
  • 第3章:「健康」系(人間ドックの費用補助など、19種類)
  • 第4章:「育児・介護」系(休業・休暇期間の延⾧など、16種類)
  • 第5章:「成⾧支援」系(貸出図書など、16種類)
  • 第6章:「コミュニケーション」系(誕生祝いなど、12種類)
  • 第7章:「レジャー」系(推し休暇など、14種類)
  • 第8章:「その他」(社員食堂など、10種類)

2 「家計」系(住宅手当など、27種類)

通常の給与に手当をプラスしたり、給与の前払いを認めて支給ルールを柔軟にしたりするなどして、社員の家計をサポートします。

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1)住宅手当

家賃や住宅ローンの負担を軽減するために支給します。

2)家族手当

扶養家族がいる社員の生活費を補助するために支給します。

3)単身赴任手当

社員が家族と別居し、赴任先で一人暮らしをする場合、生活費を補助するために支給します。引っ越しなどの初期費用については、別途「転勤支度金」などを支給するケースもあります。

4)子女教育手当

社員に子どもがいる場合、その教育費を補助するために金銭を支給します。

5)ペット手当

社員がペットを飼う場合、飼育費を補助するために支給します。例えば、ある会社は、社会貢献の一環で猫の保護に力を入れている関係で、猫を飼っている社員に手当を支給しています。

6)食事手当

食費の負担を軽減するために支給します。

7)地域手当

社員が物価の高い地域で勤務する場合、他地域との物価格差を補うために支給します。似たようなケースとして、寒冷地で勤務する場合に、他地域との暖房費の差を補うために「寒冷地手当」などを支給するケースもあります。

8)インフレ手当

物価高が続く間、社員の生活費を補助するために支給します。

9)慶弔見舞金

社員やその家族に祝事や不幸があった際、金銭を支給します。結婚や出産の場合は「祝金」、病気やけがの場合は「見舞金」、死亡の場合は「弔慰金」といった名称になります。

10)退職金制度

退職金制度も、退職後の家計を支えるという意味では、重要な福利厚生です。退職時に一括で受け取る「退職一時金」と年金形式で受け取る「企業年金」とに大別されます。

11)選択制DC

企業年金の代表格は、会社が毎月決まった掛金を拠出する「企業型DC(企業型確定拠出年金)」です。この企業型DCの中に、給与の一部を引き続き手当などとして受け取っていくか、企業型DCの掛金にするかを社員が選択できる「選択制DC」という制度があります。

12)iDeCo+(イデコプラス)

iDeCo(イデコ)は、社員が自分で掛金を拠出して運用する個人型の確定拠出年金です。このiDeCoの中に、一定額の範囲内で、社員の掛金に追加して、会社が掛金を拠出できる「iDeCo+」という制度があります。

13)財形貯蓄

毎月一定の額を給与天引きなどで積み立て、社員が目的に応じて、積み立てたお金を任意のタイミングで払い出します。

14)職場つみたてNISA(ニーサ)

NISAは、「NISA口座」と呼ばれる口座を使って個人が株式投資などを行った際、一定の範囲内で得た利益が非課税になる制度です。このNISAの中に、会社が社員のNISA口座の開設や株式などの購入手続きを支援する「職場つみたてNISA」という制度があります。

15)奨学金の代理返還

社員が学生時代に借りた貸与奨学金を、会社が社員に代わり返済します。

16)給与の前払い

社員から請求があった場合、本来の支給日を待たず、すでに働いた分の給与を支払います。

17)社宅・寮の貸与

会社が法人名義で賃貸物件を借り上げ、社員に貸与します。家賃が安くなることが多いです。

18)団体保険

会社が保険の契約者となり、社員は傷病、死亡などの際に保障を受けられます。

19)家計のコンサルティングサービス

ファイナンシャルプランナーなどの専門家に依頼し、社員のお金に関する相談に対応してもらいます。

20)日用品購入などの福利厚生サービス

低価格で日用品を購入したり、レンタカーを借りたりできるサービスなどを導入します。

21)はぐくみ企業年金(選択制確定給付年金)

退職金制度を持たない企業でも導入しやすい積立型年金です。

22)持株会奨励金

自社やグループ企業の株式を購入する際、会社が奨励金を上乗せします。

23)企業型DCマッチング拠出

企業型DCで、会社が拠出する掛金に、従業員が自分の給与から上乗せして拠出できる仕組みです。

24)近隣居住手当

拠点がある地域に住むことを条件に手当を支給します。

25)入社時スキルアップ費用付与

リファラル採用等で入社した際、個人のスキルアップや身の回り品の準備金を付与します。

26)給食費補助

小学生の子を持つ従業員に対し、給食費実費を補助します。

27)入学祝金

子どもが小学校・中学校に入学する際、祝金を支給します。

3 「健康」系(人間ドックの費用補助など、19種類)

社員に健康に働いてもらうため、人間ドックで病気を早期発見できるようにしたり、健康促進のための取り組み(自転車通勤など)を推奨するための手当を支給したりします。

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1)人間ドックの費用補助

人間ドックを実施し、その受診費用を補助します。人間ドックは、法定の定期健康診断などよりも検査項目が多く、自覚症状のない病気なども早期発見できる可能性があります。

2)予防接種の費用補助

社員がインフルエンザなどの予防接種を受ける場合、その費用を会社が補助します。

3)自転車通勤手当

健康促進のため、自転車で通勤する社員に対し、毎月定額で手当を支給します。

4)花粉症手当

花粉症の時期に、病院の診察や薬剤の費用を補助するため、手当を支給します。手当の支給と併せて、ティッシュ、マスク、目薬などを現物支給するケースもあります。

5)残業削減インセンティブ

過重労働防止の観点から、残業を削減した社員に、達成度合いに応じて金銭を支給します。

6)早起き推奨制度

始業より一定時間以上前に出社した場合、金銭を支給します。満員電車を避けられ、通勤時のストレス軽減につながります。出社から始業までの時間は自由時間で、仕事以外の自己啓発などに充ててもらいます。

7)健康診断ボーナス

健康診断でA判定(健康状態:良好)が出た場合や、特定の数値が改善した場合などに、金銭を支給します。

8)スマホアプリを用いた健康イベント

健康促進につながる社内イベントを実施します。例えば、各社員のスマホに歩数計アプリをダウンロードしてもらって歩数を競い合い、成績の良かった社員には賞品を贈呈します。

9)病気休暇

けがや病気の療養のための特別休暇(年次有給休暇などの「法定休暇」とは別に取得できる、会社独自の休暇)を付与します。

10)二日酔い休暇

お酒を飲みすぎた場合、翌日の午前に体を休めるための特別休暇を付与します。

11)非喫煙者向けの特別休暇

一定期間、禁煙を成功させた社員や、もともと喫煙しない社員に特別休暇を付与します。

12)姿勢矯正クッション、スタンディングデスク

デスクワークが多い社員向けに、正しい姿勢で快適に仕事をしてもらうための姿勢矯正クッションや、座りすぎを防ぐためのスタンディングデスクを貸与します。

13)健康に良い食品の提供

栄養バランスの良い食事や野菜などを、オフィスや社員の自宅に配達してもらい、メタボリック改善などに活用します。フルーツを社内に常備している会社もあります。

14)昼寝スペース

会議室などを一定の時間帯、昼寝スペースとして開放します。

15)社内フィットネスジム

社内に腹筋台、フィットネスバイク、懸垂器などのトレーニング器具を設置します。

16)フィットネスジムの利用割引

会社がフィットネスジムの法人会員になり、社員に低料金で利用してもらいます。

17)運動指導

フィットネスジムから会社にスポーツインストラクターを派遣してもらい、社内でトレーニング指導を行ってもらいます。ヨガを実施しているところなどもあります。

18)健康相談サービス

医師・保健師・心理カウンセラーなどに依頼し、社員の健康(メンタルヘルスを含む)に関する相談に対応してもらいます。匿名で健康相談ができるチャットサービスを導入しているところもあります。

19)マッサージサービス

社内にマッサージ師を招いたり、店舗や施設と法人契約を結んで社員が通えるようにしたりして、マッサージを受けられる機会を提供します。

4 「育児・介護」系(休業・休暇期間の延⾧など、16種類)

社員が育児・介護に注力できるよう、休業・休暇制度を法律の内容よりも充実させたり、ベビーシッターなどの費用を補助したりします。休業中の社員のフォローに回る同僚を対象とした福利厚生もあります。

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1)休業・休暇期間の延⾧

育児休業・介護休業の期間や、子の看護休暇・介護休暇の日数を、育児・介護休業法で定められている期間・日数よりも延⾧します。

2)配偶者出産休暇

配偶者の出産に立ち会うための特別休暇を付与します。似たようなケースで、「孫の誕生に立ち会うための休暇」を導入している会社もあります。

3)学校行事休暇

子どもの学校行事に参加するための特別休暇を付与します。

4)不妊治療休暇

不妊治療を受けるための特別休暇を付与します。不妊治療であることを悟られたくない社員のため、配偶者出産休暇や学校行事休暇などと統合して、「ファミリーサポート休暇」といった名称にすることもあります。

5)時間単位年休

社員が子どもの送迎や親の通院付き添いに柔軟に対応できるよう、1時間単位で年休(年次有給休暇)を取得できるようにします。

6)時短勤務(ペット・同居人含む)

育児・介護の他、ペットや同居人の通院支援等のために一定の時短勤務ができる制度を導入します。

7)子連れ出勤

産後、保育園が決まるまでの間など期間を決めて、子どもをオフィスに連れて出勤することを認めます。

8)不妊治療の費用補助

社員が不妊治療を受ける場合、その治療費を補助します。治療前にまとまった金額を貸し付けるケースもあります。

9)ベビーシッターの費用補助

社員がベビーシッターを使いながら働く場合、そのベビーシッター代を補助します。

10)業務代替手当

育児・介護で⾧期休業する社員のフォローに入る同僚がいる場合、その同僚に手当を支給します。休業のフォローで仕事が増える同僚の不満を和らげる意味合いがあります。

11)男性育休100%達成奨励金

男性の育休取得を促進するため、取得者とその部署に対しインセンティブを支給します。

12)授乳室

乳児を連れて出勤する社員がいる場合、その社員が使える授乳室を設置します。生理痛などの体調不良時の休憩スペースとしても利用できます。

13)企業主導型保育施設(他社と共同利用も可)

企業主導型保育施設とは、社員の子どものために、オフィス内や近隣地に設置する「認可外保育施設」のことです。自社だけで運営するのはハードルが高いですが、他社が設置した施設を「共同利用」させてもらえるケースもあります。

14)育児・介護研修

外部から講師を招いて研修を実施します。例えば、育児・介護に関する公的サービスやノウハウ(ミルクの作り方、おむつの替え方など)を学ぶことができます。

15)家事代行サービス

「仕事+育児・介護」で時間が捻出しにくい社員のために、買い物、掃除、食事などの家事代行サービスを利用してもらいます。

16)育児・介護相談サービス

保健師・看護師・ケアマネジャーなどに依頼し、社員の育児・介護に関する相談に対応してもらいます。

5 「成⾧支援」系(貸出図書など、16種類)

社員が自主的に勉強できるよう、書籍を貸し出したり、特定の資格を取得した際に金銭を支給したりします。「おしゃれ」などの自分磨きに焦点を当てた福利厚生もあります。

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1)貸出図書

書籍や新聞を共有スペースなどに配置し、希望する社員に無料で貸し出します。

2)書籍代の補助

仕事につながる書籍を購入する場合、購入費用を補助します。

3)受講費用の補助

社員が有料のセミナーに参加したり、仕事につながる資格を取得するため学校に通ったりする場合などに、受講費用を補助します。

4)資格報奨金

仕事につながる資格などを取得した場合、金銭を支給します。

5)アート鑑賞などの費用補助

アートに触れて感性を磨くという観点から、美術館の入館費用などを補助します。

6)おしゃれの費用補助

仕事上の身だしなみを整える目的で衣類やカバンを購入する場合、その費用を補助します。

7)勉強休暇

自己啓発のための特別休暇を付与します。

8)会議室などの貸し出し

就業時間外に自己啓発に取り組む場合、会議室などの使用を認めます。

9)社内勉強会

定期的に社員同士の勉強会を開催します。業務に関する内容だけにとどまらず、社員が自主的に勉強していることなどもテーマとして扱います。

10)言語学習プログラム(メルカリなど)

グローバル化に対応するため、社内で多言語学習を支援します。

11)スタンプ制度

社内勉強会などに参加した場合、1回参加につき1つスタンプを押し、一定数たまると交換できる景品を提供します。

12)パラレルワーク

社員の知見を広めるため、パラレルワーク(副業)を推奨します。

13)社内副業

通常の業務をこなしつつ、社内の別部署の業務に従事することを認めます。

14)eラーニング

仕事に必要な知識を動画などで学べる e ラーニングサービスを導入します。

15)コーチング

コーチングサービス会社などに依頼し、社員のキャリア形成やスキルアップに関する相談に対応してもらいます。

16)社内起業支援

社員が提案した新規事業を子会社化し、経営権やストックオプションを付与します。

6 「コミュニケーション」系(誕生祝いなど、12種類)

誕生日や勤続◯年など節目を迎えた社員を祝ったり、他部署メンバー同士の交流を深めたり、社員同士のコミュニケーションを活性化させます。

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1)誕生祝い

誕生日を迎えた社員を祝います。例えば、ある会社は、誕生日の社員に対し、他の社員が一輪ずつ花をプレゼントするという取り組みを行っています。

2)入社祝い

新たに入社した社員を祝います。例えば、ある会社は一定の金額の範囲内で、社員が自分の好きなデスク周りの備品を買える制度を設けています。

3)勤続◯年表彰

勤続が一定年数に達した社員を祝います。例えば、ある会社は勤続7年を迎えた社員に、特別休暇と旅行代金をプレゼントしています。

4)ランチの費用補助

社内であまり関わらない「他部署メンバー」「役員と社員」や、より関係を深めてほしい「上司と部下」などがランチに行く場合、その費用を補助します。

5)飲み会の費用補助

特定のプロジェクトが完了した際などに、そのメンバーに対しての打ち上げ代を補助します。

6)部活動の費用補助

部活動での社員同士の交流を活性化させるため、活動費を補助します。

7)コーヒーブレイク

特定の時刻になったら、全社員が業務を一時中断し、コーヒーを飲みつつ歓談します。

8)フリーアルコール

就業時間後に、社内の冷蔵庫にあるお酒を自由に飲めるようにします。

9)同僚へのメッセージカード

「仕事を手伝ってくれてありがとう」など、同僚に対するちょっとした感謝のメッセージを、カードなどにしたためて贈ります。似たようなケースで、全社員が、毎月ランダムに別の社員1人の⾧所だけを評価し、評価の内容を書面で本人に伝える会社もあります。

10)季節イベント

希望者を集めて、花火大会やハロウィン、社員旅行などのイベントを企画します。

11)ファミリーデー

社員が子どもを連れて参加できる、食事会や運動会などのイベントを開催します。「子どもの世話があるから……」と、普段社内イベントに来られない社員も、参加しやすくなります。

12)楽器演奏・自作アートの展示など

社内にて、楽器演奏や自作アートの展示などを行えるようにし、社員が趣味の発表をできる場を設けます。

7 「レジャー」系(推し休暇など、14種類)

プライベートを充実させ、メリハリを付けて仕事に励んでもらえるよう、社員の「推し活」のための特別休暇を付与したり、その費用を補助したりします。

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1)推し休暇

社員が「推し」のアーティストなどのライブやイベントに参加するための特別休暇を付与します。推しが結婚した、グループを脱退したことによる「ロス(喪失感)」を癒やすための「推しロス休暇」というものもあります。

2)ボランティア休暇

社員が社会・地域貢献活動に参加するための特別休暇を付与します。

3)スポーツ観戦休暇

サッカーのワールドカップなど、世界的なスポーツの大会が行われる際、日本代表戦のときだけ特別休暇を付与します。

4)結婚休暇

社員が結婚した際、新婚旅行などのための特別休暇を付与します。

5)誕生日休暇

社員の誕生日(または誕生月)に特別休暇を付与します。社員の家族や恋人、ペットの誕生日に特別休暇を付与する会社もあります。

6)夏季休暇

7~9月にかけて取得できる特別休暇を付与します。

7)リフレッシュ休暇

一定の勤続年数に応じた特別休暇を付与します。

8)山ごもり休暇

まとまった日数の特別休暇を付与しつつ、休暇中は電話連絡やメールでのコンタクトを禁止することで、仕事から完全に社員を解放します。

9)年次有給休暇の積み立て制度

使われずに時効により消滅する年次有給休暇を積み立てておき、社員が任意のタイミングで取得できるようにします。

10)推し活の費用補助

アーティストなどのライブやイベントなど「推しの特別な日」に限り、推し活の費用を補助します。

11)帰省の費用補助

社員が休暇を取って実家に帰省する際、その旅費を補助します。

12)婚活の費用補助

社員が会社指定のアプリを使って婚活を行う場合、その利用費を補助します。

13)施設の利用割引

旅行会社との法人契約により、社員が低料金で飲食店や宿泊施設を利用できるようにします。

14)サブスクリプションサービス

福利厚生サービス会社との法人契約により、社員が低料金で「Netflix」などのサブスクリプションサービスを利用できるようにします。

8 「その他」(社員食堂など、10種類)

ここまで紹介したものの他にも、さまざまな福利厚生があります。

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1)社員食堂

社員が低価格で利用できる食堂を運営します。自社だけで運営するのはハードルが高いですが、複数の会社が1つの食堂を「共同運営」するケースもあります。

2)まかない制度

会社のキッチンや食材を使って、社員が自由に昼食を作れるようにします。

3)フリードリンク・スナック

会社に飲み物やお菓子を常備しておき、社員が好きなときに飲食できるようにします。

4)サテライトオフィス

通常のオフィス(本社など)とは別のオフィスを設けます。ワーケーションの一環で、古民家などをサテライトオフィスにしている会社もあります。

5)駐車場

マイカー通勤を希望する社員のために、駐車場を貸与します。オフィスに駐車場がない場合、月極駐車場を法人契約することもあります。

6)通勤バス

最寄り駅からオフィスまでの距離が遠い場合などに、社員用の通勤バスを手配します。

7)フルフレックスタイム制

フレックスタイム制でコアタイム(必ず勤務しなければならない時間帯)を設けず、始業・就業時刻を完全に自由にします。

8)特別休暇の買い取り

社員が特別休暇を使わない場合、本人からの請求に応じて、その休暇を買い取ります。なお、特別休暇の買い取りは基本的に会社が自由にルールを決められますが、法定の年次有給休暇の場合、買い取りの仕方によっては違法と判断されるケースもあるので注意が必要です。

9)法律相談サービス

弁護士法人との法人契約により、社員がプライベートの法律相談をできるようにします。

10)ペット同伴出勤制度

飼っているペットを連れての出勤を許可します。

以上(2026年5月更新)

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画像:日本情報マート

【賃金データ集】法定・法定外福利費のモデル支給額

【賃金データ集】シリーズとは?

【賃金データ集】シリーズは、基本給や諸手当など賃金の主要な構成要素ごとの近年のトレンドを、モデル支給額を中心とした関連データとともに紹介します。経営者や実務家の方々が賃金支給水準の決定や改定を行う際の参考としてご活用ください。なお、モデル支給額などのデータを紹介する際は、基本的に出所に記載されている用語を使用するものとします。また、データは公表後に修正されることがあります。

この記事で取り上げるのは「法定・法定外福利費」です。

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なお、以降で紹介する図表データのExcelファイルは、全てこちらからダウンロードできます。

こちらからダウンロード

1 法定福利厚生と法定外福利厚生の概要

福利厚生とは、企業が従業員やその家族の福祉の向上を目的に行う諸制度の総称で、法定福利厚生と法定外福利厚生に大別されます。福利厚生を実施するために掛かる費用を法定福利(厚生)費、法定外福利(厚生)費と呼びます。いずれも総額人件費には含まれるものの、労働の対償ではないことから賃金にはならないのが原則です。

1)法定福利厚生の概要

法定福利厚生とは、法令で定められた福利厚生です。社会・労働保険(厚生年金保険、健康保険、労災保険、雇用保険、介護保険)や災害補償(労働基準法に基づく)などがあり、法令に基づいて運用しなければなりません。

2)法定外福利厚生の概要

法定外福利厚生とは、企業が独自に取り組む福利厚生です。前述した法定福利厚生とは違い、法定外福利厚生は企業が自由に設計することができます。

一般的な法定外福利厚生のメニューには次のようなものがあります。

  • 育児・介護:育児・介護相談、託児施設、育児・介護用品、ベビーシッターなど
  • 健康:人間ドック、メンタルヘルス、電話健康相談など
  • 自己啓発:資格取得、語学学校、通信教育、カルチャースクール、セミナーなど
  • 住宅:社宅貸与、引っ越し、リフォーム、ホームセキュリティーなど
  • スポーツ:スポーツクラブ、ゴルフ場、テニスコート、ダイビング、ボウリングなど
  • リラクセーション:クアハウス、健康ランド、エステティックサロン、マッサージなど
  • 旅行・レジャー:宿泊施設、飛行機などの割引、レンタカー、カーシェアリングなど
  • ファイナンス:財形貯蓄、社内預金、企業年金(確定拠出年金など)、投資教育など
  • 日常生活:家事代行、冠婚葬祭、ショッピング、レストラン、ペット、害虫駆除など
  • その他:社内スポーツ大会、特別休暇、社員食堂など

2 法定外福利厚生の潮流

1)法定外福利厚生の必要性

企業が法定外福利厚生を導入する狙いは、従業員満足度と定着率の向上にあります。その効果を図るための基準は、「どれだけ従業員に利用されたか(喜ばれたのか)?」「実際に従業員の定着率は高まったか?」などとなります。

しかし、法定外福利厚生の充実度合いと従業員満足度の関係は明確ではなく、「手間とお金を掛けている割に、手応えがつかめない……」という企業が少なくありません。このような事情から、法定外福利厚生は景気動向や企業業績に左右されやすい項目です。例えば、景気低迷時には削減されやすく、景気好調時には増加されやすくなります。

一方、昨今ではプライベートと仕事の両立や従業員の健康増進に積極的に取り組もうと、法定外福利厚生に力を入れる企業も少なくありません。例えば、介護・育児と仕事の両立を希望する従業員をサポートするために家事代行のメニューを提供したり、従業員に健康を気遣ってもらうため誕生日に生野菜をプレゼントしたりしている企業があります。

2)注目される福利厚生のアウトソーシング

法定外福利厚生の永遠の課題は、全ての従業員が満足するメニューを設計できないことです。従業員の家族構成、趣味・嗜好などによって望まれる法定外福利厚生のメニューは異なるからです。こうした事情から、少ない費用で充実した福利厚生のメニューを実現するために、福利厚生をアウトソーシングする企業が少なくありません。

福利厚生のアウトソーシングでは、企業から福利厚生の運用を受託するアウトソーサーが、企業から従業員規模に応じた入会金と会費を受け取り、企業の福利厚生の運用を受託します。

提供するサービスはアウトソーサーによって異なりますが、医療、育児、介護関連サービス(人間ドック、福祉・介護サービスなどを割安で提供)、旅行関連サービス(旅行ツアー、宿泊施設や交通機関などの手配など)、キャリアアップ関連のサービス(英会話、資格取得講座などを割安で提供)などがあります。多様な福利厚生メニューの中から、好みのメニューだけを従業員が選んで利用する選択型の福利厚生制度「カフェテリアプラン」もあります。

3 日本経済団体連合会の統計資料によるモデル支給額など

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4 厚生労働省の統計資料によるモデル支給額

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5 経済産業省の統計調査によるモデル支給額

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6 労働政策研究・研修機構の調査による福利厚生制度の実態

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7 情報インデックス(この記事で紹介したデータの出所)

この記事で紹介した統計資料は次の通りです。調査内容は個別のURLからご確認ください。なお、内容はここ数年の公表実績に基づくものであり、調査年(度)によって異なることがあります。

■福利厚生費調査結果報告■
https://www.keidanren.or.jp/policy/index09.html

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■就労条件総合調査■
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/11-23.html

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■企業活動基本調査■
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/kikatu/

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■企業における福利厚生施策の実態に関する調査■
https://www.jil.go.jp/institute/research/2020/203.html

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以上(2026年5月更新)

pj17910
画像:ChatGPT

【中堅社員のスピーチ例】休み明けを乗り越える「気持ちのリセット術」

【ポイント】

  • 連休明け特有の「エンジンがかかりにくい」感覚は、気持ちをリセットする機会になる
  • あえて完璧を目指さず、小さな仕事の完了を積み重ねると仕事のペースを戻せる
  • 作業のやり方ではなく、目的に立ち返ることで仕事への手応えが戻って来る

皆さん、おはようございます。大型連休が終わって少し経ちますが、皆さんの心と体の調子はいかがでしょうか。正直に申し上げますと、私は、今朝は布団から出るのに少しだけ気合が必要でした。若手社員の頃は「とにかく遅刻してはいけない」という緊張感だけで走ってこれましたが、仕事に慣れ、責任ある業務を任されるようになった今だからこそ、連休明け特有の「なんとなく体が重い」「エンジンがかかりにくい」という感覚がより強くなっている気がします。

ただ、私はこの感覚を決して悪いものだとは思っていません。むしろ、これまで全力で走り続けてきた分、一度立ち止まって「気持ちをリセットする絶好の機会」だと捉えています。今日は、私が実践している「気持ちのリセット術」を2つお伝えします。

1つ目は、あえて「完璧を目指さない」ことです。連休明けは、溜まったメールや保留にしていた案件が一気に押し寄せます。「連休前のペースに戻さなきゃ」と焦るほど、疲れてしまいます。そんな時、私はあえて「今日はこれとこれさえ終われば大丈夫」と、自分への合格点を70点くらいと決めてスタートするようにしています。全力疾走ではなく、まずはローギアで動き始める。そうして小さな「完了」を積み重ねていくうちに、自然と本来のスピードに戻っていくものです。

2つ目は、作業のやり方ではなく「なぜ、これをやっているのか」という目的に立ち返ることです。仕事に慣れると、ルーチンワークも増え、仕事が「こなすもの」になりがちです。そのため、「この資料の先にいるお客様は誰か?」「このプロジェクトで誰を笑顔にしたいのか?」を自分に問い直します。手段が目的になっている部分を削ぎ落とし、本当に大切なことに注力する。この「思考のリセット」を行うと、仕事への手応えが戻ってくるようになります。

私たちの仕事は、短距離走ではなくマラソンです。ずっと全力で走り続けることはできません。もし今、少し疲れを感じている後輩の皆さんがいたら、安心してください。それは皆さんが一生懸命走ってきた証拠です。そして私たち中堅以上の社員も、同じように試行錯誤しながら進んでいます。心に少しだけ「遊び」を持たせることを意識して、無理せず、でも着実に一歩ずつ進んでいきましょう。

以上(2026年5月作成)

pj17249
画像:Mariko Mitsuda

雇用関係助成金の最新動向を社労士が解説! 令和8年度 活用しやすい5つの助成金

令和8年度の雇用関係助成金の特徴は、一言でいえば、厚生労働省の「労働市場改革分科会」の方向性が色濃く反映されている点にあります。「労働市場改革分科会」は、日本成長戦略会議における労働市場改革の議論を具体化するため、同会議のもとに設けられたものです。今後の成長に向けて、どのような労働市場を目指すのか、その道筋がここで検討されています。

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「囲い込み」から「信頼形成」へ! 内定者トラブルを未然に防ぎ「選ばれる企業」になるためのポイント

内定者は、一部、労働者としての権利と義務を有しながら、企業の統制が及ばない立場に位置していることから、企業には、法的な権利義務の範囲に気を付けながら、適切に対応することが求められます。

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労働審判制度の普及と裁判件数の増加に伴う企業対応

平成18年に労働審判制度が開始して20年になります。労働審判の申立て件数は右肩上がりの傾向にあります。本レポートでは労働審判制度を振り返りながら、労働審判制度のポイントを押さえつつ、中小企業の対応法について解説していきます。

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2026年版「デジタル化・AI導入補助金」の変更点と申請準備のポイント

デジタル化・AI導入補助金2026は、制度の基本的な枠組みは従来から大きく変わらないものの、賃上げ要件の強化やAIツールの明確化など、いくつかの変更点があります。申請の準備として、GビズIDの取得やSECURITY ACTIONの宣言といった事前準備を確実に進めておきましょう。

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「建設業だけの助成金」6選! 支給額は最大1000万円?

1 人材確保やスキルアップに使える「建設業だけの助成金」

建設業では、労働力人口の減少に加え、長年にわたって業界を支えてきた熟練技術者の高齢化と引退が急速に進んでいます。そんな状況にあって企業が持続的に成長し、競争力を維持するには、新たな人材の確保と、既存社員のスキルアップが必須です。

国や地方自治体は、企業の人材投資を後押しするために、様々な助成金を実施していますが、

人材確保やスキルアップに使える「建設業だけの助成金」

があるのをご存じでしょうか? 以降で、建設事業主を対象とする助成金を中心に、主な要件や支給額の目安を紹介します。

なお、制度によっては中小建設事業主に限定されるものや、建設事業主団体・職業訓練法人が対象となるものもあるため、申請前に最新の支給要領を確認しましょう。また、助成金の内容は、2026年4月30日時点のもので、将来変更される可能性があります。申請書の書き方や添付書類などについては、次のURLをご参照ください。

■厚生労働省「建設事業主等に対する助成金」■
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kensetsu-kouwan/kensetsu-kaizen.html

2 人材開発支援助成金(建設労働者認定訓練コース)(最大1000万円)

1)助成金の概要は?

中小建設事業主が、建設関連の認定訓練を実施した場合に支給される助成金です。建設業界における技能水準の向上と、それを支える訓練体制の強化を目的としています。

2)助成金を受け取るには?

この助成金を受け取るためには、次の要件などを満たす必要があります。

  • 雇用管理責任者の選任:建設業の人事労務管理を担当する者を選任する必要があります。
  • 訓練の実施:都道府県から支援(認定訓練助成事業費補助金または広域団体認定訓練助成金の交付)を受けて、認定訓練を実施する必要があります。
  • 賃金要件の達成(賃金助成または賃金向上助成を受ける場合):支給対象事業終了日の翌日から1年以内に、雇用する全ての建設労働者の毎月決まって支払われる賃金を5%以上増加させる必要があります。また、賃金助成を受けるには、人材開発支援助成金(人材育成支援コース)の支給決定を受ける必要があります。
  • 資格等手当要件の達成(資格等手当助成を受ける場合):訓練修了日の翌日から1年以内に、全ての算定対象となる建設労働者に対して資格等手当を就業規則等で規定し、実際に支払い、賃金を3%以上増加させる必要があります。
  • 離職者の発生状況:訓練開始6カ月前から支給申請書の提出までの間に、事業主都合による離職者を発生させていないことが要件となります。

3)受け取れる金額はいくら?

この助成金では、訓練を実施した場合に助成が受けられ、さらに賃金要件や資格等手当要件を達成した場合、支給額が増額されます。

  • 経費助成:認定訓練を実施した場合、対象経費の1/6が助成されます。
  • 賃金助成:人材開発支援助成金(人材育成支援コース)の支給決定を受け、2)の賃金要件を達成した場合、金額がプラスされます。
  • 賃金向上助成・資格等手当助成:賃金助成の対象となった上で、2)の賃金要件または資格等手当要件を満たした場合、金額がさらにプラスされます。

人材開発支援助成金(建設労働者認定訓練コース)

要件を満たした場合、最大1000万円を受け取れる計算になります。

4)専門家のワンポイントアドバイス

認定訓練を実施する際、まず都道府県の担当窓口に「認定訓練助成事業費補助金」または「広域団体認定訓練助成金」の交付を受けられるかどうかを確認する必要があります。経費助成と賃金助成はそれぞれ別個に申請できますが、いずれも申請期限があります。申請漏れを防ぐためにも、訓練終了後は速やかに準備を進めることが大切です。

賃金助成は、人材開発支援助成金(人材育成支援コース)の支給決定が前提です。つまり、人材育成支援コースの「計画届提出(訓練開始日の1か月前まで)→訓練実施→支給決定→認定訓練コースの賃金助成申請」という手続きが必要になります。スケジュールを逆算して、6カ月以上前から準備を始めるのが安全です。

また、訓練の内容は一定の建設関連の訓練に限定されます。経理事務・営業販売的な要素を持つものは、助成の対象とはならないなどの制約があるため、支給要領を確認してください。

3 人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)(最大500万円)

1)助成金の概要は?

中小建設事業主等が、若年者の育成や熟練技能の維持・向上を目的とし、キャリア段階に応じた技能実習を実施した場合に支給される助成金です(女性建設労働者に技能実習を行う場合は、中小建設事業主以外も経費助成の対象となります)。建設業界における技能の継承と向上を包括的に支援することを目的としています。

2)助成金を受け取るには?

この助成金を受け取るためには、次の要件などを満たす必要があります。

  • 雇用管理責任者の選任:建設業の人事労務管理を担当する者を選任する必要があります。
  • 技能実習の実施:キャリアに応じた技能実習を実施することが必須です。「1日1時間以上であること」「期間を6カ月以内とすること」などの要件を満たす必要があります。
  • 賃金要件の達成(賃金助成・賃金向上助成を受ける場合):支給対象事業終了日の翌日から1年以内に、雇用する全ての建設労働者の毎月決まって支払われる賃金を5%以上増加させ、算定対象となる建設労働者に支払う必要があります。
  • 資格等手当要件の達成(資格等手当助成を受ける場合):訓練修了日の翌日から1年以内に、全ての算定対象となる建設労働者に対して資格等手当を就業規則等で規定し、実際に支払い、賃金を3%以上増加させる必要があります。
  • 離職者の発生状況:訓練開始6カ月前から支給申請書の提出までの間に、事業主都合による離職者を発生させていないことが要件となります。

3)受け取れる金額はいくら?

この助成金では、事業主の規模(雇用保険被保険者数)などに応じた助成が受けられます。さらに賃金要件や資格等手当要件を達成した場合、支給額が増額されます。

  • 経費助成:技能実習の実施に要した経費について、雇用保険被保険者数20人以下の中小建設事業主は対象経費の3/4、21人以上の中小建設事業主は対象経費の7/10(35歳未満)または9/20(35歳以上)が助成されます(1つの技能実習について1人当たり10万円が上限)。
  • 賃金助成:2)の賃金要件を達成した場合、金額がプラスされます。ただし、1つの技能実習について、1人当たり20日分が上限です。
  • 賃金向上助成・資格等手当助成:経費助成または賃金助成の対象となった上で、2)の賃金要件または資格等手当要件を満たした場合、助成率または金額がプラスされます。

人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)

要件を満たし、対象経費や対象労働者数などの条件がそろった場合、最大500万円を受け取れる計算になります。

4)専門家のワンポイントアドバイス

本コースは経費助成・賃金助成・賃金向上助成と複数の助成が組み合わさるため、申請漏れや要件の取り違えが起きやすいコースです。特に賃金助成は1日3時間以上のコースのみが対象となる点に注意が必要です。

計画届は、技能実習の開始日の原則3カ月前から1週間前まで(必着)に提出する必要があります。提出遅れがあると不支給となるため、注意してください。

ただし、登録教習機関・登録基幹技能者講習実施機関・職業訓練法人・指定教育訓練実施者が実施する実習に全期間を通して委託する場合は、計画届の提出は不要です。

また、所定労働時間内に受講させ、通常の賃金以上を支払うことが要件です。休日や所定労働時間外に受講させる場合は、割増賃金以上の支払いが必要となります。「賃金を払わず自主参加扱いで休日に受けさせた」というケースでは助成対象とならない点に注意しましょう。

4 人材確保等支援助成金(作業員宿舎等設置助成コース(建設分野))(最大290万円)

1)助成金の概要は?

女性専用の作業員施設や、特定の地域(石川県)での作業員宿舎・施設・賃貸住宅の設置を支援する助成金です。女性の定着を妨げる要因の一つである女性専用施設を充足させること、特定の地域における労働者の住環境を整備することが目的です。

2)助成金を受け取るには?

この助成金を受け取るためには、次の要件などを満たす必要があります。

  • 雇用管理責任者の選任:建設業の人事労務管理を担当する者を選任する必要があります。
  • 助成対象施設の設置:女性専用の作業員施設を賃借により設置、または石川県内で作業員宿舎、賃貸住宅、作業員施設を賃借により設置する必要があります。
  • 賃金要件の達成(賃金向上助成を受ける場合):女性専用施設を設置する場合において、別途定められた賃金要件を満たす必要があります。

3)受け取れる金額はいくら?

この助成金では、設置する施設の種類と所在地によって、支給額または助成率が異なります。

人材確保等支援助成金(作業員宿舎等設置助成コース(建設分野))

要件を満たす場合、女性専用作業員施設設置経費助成は1事業年度あたり90万円、石川県内の作業員宿舎等経費助成は1事業年度あたり200万円が上限です。両方の要件を満たす場合、最大290万円を受け取れる計算になります。

4)専門家のワンポイントアドバイス

女性専用の作業員施設の助成を受けるためには、設置する施設が更衣室・便所・浴室・シャワー室等の所定の基準(床面積、施錠機能付きドア、女性専用施設である旨の明示等)を満たしている必要があります。また、石川県内の作業員宿舎などについても、入居者数や居住費の負担限度額などについての基準が設けられているため、支給要領をよく確認してください。

女性専用作業員施設の助成については、「自ら施工管理する建設工事現場」が対象です。下請として入る現場ではなく、元請として施工管理する現場で女性専用施設を賃借することが要件であり、対象となる事業主は「中小元方建設事業主」に限られます。

下請専業の事業主は対象外となるため、自社の立ち位置の確認が必要です(石川県内の作業員宿舎等の助成については、中小建設事業主であれば元請・下請を問わず対象となります)。なお、賃借契約締結後の事後申請ではなく、契約前の計画届が原則となるため、物件選定の早い段階で労働局に相談することが重要です。

5 人材確保等支援助成金(若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野))(最大200万円)

1)助成金の概要は?

若年者や女性の入職・定着を促すための職場環境改善事業(例:現場見学会、入職者向け研修、労災予防の取り組み、表彰制度)を実施した場合に受け取れる助成金です。

2)助成金を受け取るには?

この助成金を受け取るためには、次の要件などを満たす必要があります。

  • 雇用管理責任者の選任:建設業の人事労務管理を担当する者を選任する必要があります。
  • 事業計画の策定と実施:若年者や女性の入職・定着を図るための具体的な事業(例:入職者向け研修、労災予防の取り組み、表彰制度)の計画を策定し、その計画に基づいた事業を実施することが求められます。
  • 賃金要件の達成(賃金向上助成を受ける場合):支給対象事業終了日の翌日から1年以内に、雇用する全ての建設労働者の毎月決まって支払われる賃金を5%以上増加させ、算定対象となる建設労働者に実際に支払う必要があります。
  • 離職者の発生状況:事業の実施6カ月前から支給申請書の提出までの間に、事業主都合による離職者を発生させていないことが要件となります。

3)受け取れる金額はいくら?

この助成金では、企業規模と賃金要件の達成状況に応じて、対象経費に対する助成率が異なります。また、2026年度からは、

若年者や女性の入職・定着を図るための事業を実施し、経費等助成の支給決定を受けた後、対象となる新規入職者が6カ月間離職せずに定着した場合、「定着助成」が受けられる

ようになっています。

人材確保等支援助成金(若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野))

要件を満たした場合、最大200万円を受け取れる計算になります。

4)専門家のワンポイントアドバイス

このコースは、単に若年者や女性を「採用する」だけでなく、建設業界で長く働き続けられるような「魅力的な職場環境を創る」ことを目的としています。事業計画の内容と実施記録の整合性が審査のポイントになります。計画書に記載した事業を実際に行ったことを証明できる書類(実施写真、参加者名簿、領収書等)を漏れなく保存しておきましょう。

また、事業計画は「具体的かつ測定可能」に作ることが求められます。「現場見学会を年2回実施」「対象者は地元工業高校生20人」「終了後にアンケート回収」など、誰が・何を・いつ・どれだけ実施するのかを明確にしないと、計画段階で差し戻される可能性があります。労働局の審査では、計画書の記載と実施記録(写真、参加者名簿、アンケート、領収書等)の整合性が厳しく見られるためです。

2026年度新設の「定着助成」は、新規入職者1人当たり42万円(年度3人まで、上限126万円)が上乗せ支給されます。この助成を受けるには、経費等助成の支給決定を受けた事業の対象として採用された新規入職者が6カ月間離職せずに定着することが要件で、6カ月後に別途申請が必要です。採用と定着支援をセットで設計し、助成額を最大化しましょう。

6 人材確保等支援助成金(建設キャリアアップシステム等活用促進コース(雇用管理改善促進事業))(最大160万円)

1)助成金の概要は?

建設キャリアアップシステム(CCUS)を活用して雇用管理を改善する事業主に対し、技能労働者数に応じて支給される助成金です。CCUSは、技能労働者の就業履歴や保有資格などを業界横断的に登録・蓄積する仕組みで、これにより技能の評価や処遇改善、適正な賃金水準の確保につながることが期待されています。

2)助成金を受け取るには?

この助成金を受け取るためには、以下の基本要件を満たす必要があります。

  • 雇用管理責任者の選任:建設業の人事労務管理を担当する者を選任する必要があります。
  • CCUSの活用と雇用管理改善:CCUSを実際に活用し、雇用管理の改善促進事業を行うことが必須です。事業を行うに当たっては、「雇用する全ての技能者のCCUS技能者登録(詳細型登録)が完了している」「レベル判定で昇格評定を受けた技能者の賃金を5%以上増加させている」必要があります。
  • 離職者の発生状況:事業の実施6カ月前から支給申請書の提出までの間に、事業主都合による離職者を発生させていないことが要件となります。

3)受け取れる金額はいくら?

対象となる建設技能者1人当たり16万円が支給されます。

人材確保等支援助成金(建設キャリアアップシステム等活用促進コース(雇用管理改善促進事業))

要件を満たした場合、最大160万円を受け取れる計算になります。

4)専門家のワンポイントアドバイス

本コースの最大の特徴は、全ての技能者のCCUS登録完了が助成の前提条件となる点です。「全ての技能者」の範囲は雇用する建設技能者で、事務員や営業職などの非技能者は含まれません。1人でも未登録の技能者がいると要件を満たせないため、まず自社の全技能者の登録状況を棚卸しすることから始めてください。CCUS登録には一定の時間とコストがかかるため、早めに準備を進めることが肝要です。

CCUS技能者登録は「詳細型登録」である必要があります。簡略型登録では本コースの要件を満たしません。すでに簡略型で登録済みの技能者がいる場合は、詳細型への切替えが必要です(追加料金が発生します)。

なお、賃金5%以上増加は「改定前後12カ月間の賃金比較」で判定します。一時金や手当の変動も含めて算定されるため、月例給だけでなく賞与等も含めた賃金設計を意識しましょう。

7 トライアル雇用助成金(若年・女性建設労働者トライアルコース)(最大12万円)

1)助成金の概要は?

中小企業が、若年者(35歳未満)または女性を試行的に雇用する際に、通常のトライアル雇用助成金(一般トライアルコース、障害者トライアルコース)に加えて支給される助成金です。一般的なトライアル雇用助成金とは別に、建設業界における若年者・女性の労働者を対象として試行雇用する場合、追加の助成を受けられます。

2)助成金を受け取るには?

この助成金を受け取るためには、次の要件などを満たす必要があります。

  • 雇用管理責任者の選任:建設業の人事労務管理を担当する者を選任する必要があります。
  • 労働者の新規雇用:建設現場作業(左官、大工、鉄筋工、配管工など)または施工管理に主として従事する若年者(35歳未満)または女性をトライアル雇用として新規に雇用することが必須です。
  • トライアル雇用助成金の要件充足:トライアル雇用助成金のうち、一般トライアルコースまたは障害者トライアルコースの支給決定を受ける必要があります(なお、障害者短時間トライアルコースは支給対象外)。

3)受け取れる金額はいくら?

この助成金では、トライアル雇用した対象労働者1人につき、月額最大4万円が通常のトライアル雇用助成金に加えて3カ月間支給されます。最大額(月額4万円)を受け取るには、実際の就労日数が、予定された就労日数の75%以上である必要があります。

トライアル雇用助成金(若年・女性建設労働者トライアルコース)

要件を満たした場合、1人当たり最大12万円を受け取れる計算になります。

4)専門家のワンポイントアドバイス

本コースでは、若年者(35歳未満)または女性を建設現場作業または施工管理に「主として」従事させる必要があります。設計・測量・経理・営業などに主として従事する場合は対象外となりますので、採用時の業務内容を明確に整理しておきましょう。

受給に際してはハローワーク等の紹介が必須要件で、自社の知人紹介や求人サイト経由の採用は対象外です。求人申込みの段階で「トライアル雇用求人」として申し込む必要があります。

また、「主として」現場作業または施工管理に従事することが要件で、「実労働時間の半分を超える時間」を当該業務に従事する必要があります。

トライアル雇用後、無期雇用に移行した場合はキャリアアップ助成金(正社員化コース)の対象にもなり得ます。「有期で雇い入れ→トライアル雇用助成金」「無期雇用への転換→キャリアアップ助成金」という流れで複数の助成金を組み合わせれば、1人当たりの受給総額は100万円超となるケースもあります。支給額や併給可否は雇用形態、転換内容、対象労働者、申請時期によって異なるため、採用段階で各制度の支給要領を確認しておくことが重要です。

以上(2026年5月更新)
(監修 社会保険労務士 柴田充輝)

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画像:years-Adobe Stock

「事業承継・M&A補助金」で中小企業のM&Aを実現!

1 事業承継・M&A補助金とは?

中小企業が抱える後継者不足や成長戦略の課題……。事業承継やM&Aは、これらの課題を解決し、経営資源を円滑に移転するための有効な手段となり得ます。ただ、M&Aプロセスには専門的な知識が必要であり、多額の費用が発生することが少なくありません。

そこで利用を検討したいのが、経済産業省の「事業承継・M&A補助金」です。これは、

中小企業・小規模事業者等が、事業承継やM&Aに際して行う設備投資等や、事業承継・事業再編及び事業統合に伴う経営資源の引継ぎ、または引継ぎ後の経営統合に係る経費の一部を補助する補助金

で、事業の移行と活性化の多様な側面に対応するため、4つの枠組みで構成されています。

事業承継・M&A補助金 4枠の概要

ここでは、令和7年度補正予算による第14次公募(2026年2月27日~4月3日)の内容を紹介します。詳細については、こちらの公式ページをご確認ください。

■事業承継・M&A補助金(14次公募)■
https://shoukei-mahojokin.go.jp/r7h/

2 事業承継促進枠

1)枠の概要

事業承継促進枠は、親族内承継や従業員承継等の事業承継を契機として経営や事業を引き継ぐ予定の中小企業が、引き継ぐ予定の経営資源を活用した設備投資等に取り組む際の費用を補助する枠です。

2)補助率等

事業承継促進枠の補助率等

3)補助対象経費

  • 設備費(建物工事・ソフトウェア等を含む)、産業財産権等関連経費、謝金、旅費、外注費、委託費などが対象
  • 事業承継に際して支払う譲り受け費用(土地・資産購入費等)や被承継者に対して支払う費用は原則補助対象外
  • 廃業費は本枠単独では補助対象外で、廃業・再チャレンジ枠との併用申請をした場合のみ補助対象

4)主なポイント

  • 補助事業期間を含む5年間の事業承継対象期間内に、親族内承継・従業員承継を完了する必要があります。
  • 承継者と被承継者間での実質的な事業承継(経営権・所有権の移転)が客観的に確認できることが条件です。
  • 申請前に、認定経営革新等支援機関等から事業承継計画に対する確認書の発行を受ける必要があります。
  • 引き継ぐ経営資源を活用した生産性向上等に係る取組であることが必要です。生産性向上要件として、付加価値額または1人当たりの付加価値額の伸び率が3%/年の向上を含む計画が求められます。
  • 本枠は専門家活用枠・PMI推進枠との同一公募回での申請はできません。

3 専門家活用枠

1)枠の概要

専門家活用枠は、事業再編・事業統合に伴う経営資源の引継ぎ(M&A)を行う中小企業(買い手・売り手)が、M&Aプロセスにおいて専門家の支援を受ける際に発生する費用を補助する枠で、次の通り、2つの支援類型および特例に細分化されています。

  • 買い手支援類型(Ⅰ型):株式・経営資源を「譲り受ける」予定の中小企業が対象
  • 売り手支援類型(Ⅱ型):株式・経営資源を「譲り渡す」予定の中小企業が対象
  • 買い手支援類型(Ⅰ型)100億企業特例:「売上高100億円」を目標とする「100億宣言」を行う中小企業が対象

2)補助率等

専門家活用枠の補助率等

3)補助対象経費

  • 謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料、保険料、廃業費(廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、土壌汚染調査費、移転・移設費用)などが対象
  • 委託費のうち、M&Aの手続き進行支援に係る手数料はM&A支援機関登録制度に登録されたFA・仲介業者の場合のみ対象
  • 保険料は、M&Aの最終合意契約における表明保証に関する保険契約の保険料
  • 在庫廃棄費のうち、商品在庫等を売却して対価を得る場合の処分費は対象外
  • リースの解約費のうち、ファイナンスリース取引の解約に伴う解約金・違約金、リース資産の売買に係る費用は対象外

4)主なポイント

  • 買い手支援類型(Ⅰ型)は、PMI推進枠(PMI専門家活用類型)との同時申請が可能です。
  • 補助事業期間内に事業承継(クロージング)が実現しなかった場合は補助上限額が300万円に減額されます。

4 廃業・再チャレンジ枠

1)枠の概要

廃業・再チャレンジ枠は、M&Aによって事業を譲り渡せなかった中小企業が、地域の新たな需要の創造や雇用の創出にも資する新たなチャレンジをするために、既存事業を廃業する場合にかかる経費の一部を補助する枠です。本枠には「再チャレンジ申請(単独申請)」と「併用申請(事業承継促進枠・専門家活用枠・PMI推進枠との同一公募回での同時申請)」の2パターンがあります。

2)補助率等

廃業・再チャレンジ枠の補助率等

3)補助対象経費

  • 廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、土壌汚染調査費、移転・移設費(併用申請のみ計上可)などが対象
  • 廃業支援費についての補助上限額は50万円
  • 在庫廃棄費については、商品在庫等を売却して対価を得る場合の処分費は対象外
  • リースの解約費については、ファイナンスリース取引の解約に伴う解約金・違約金のうち、リース資産の売買に係る費用は対象外

4)主なポイント

  • 単独申請の場合、2020年以降にM&A仲介業者等を通じて売り手として3カ月以上取り組んでいた実績が必要です。
  • 他の枠との「併用申請」を活用することで、M&Aプロセスと廃業準備を並行して進めることができます。

5 PMI推進枠

1)枠の概要

PMI推進枠は、経営資源の引継ぎ(M&A)を行った、または行う予定の中小企業が、事業再編・事業統合後の経営統合作業(PMI:Post-Merger Integration)に取り組む際の費用の一部を補助する枠です。PMIの内容に応じて2類型があり、補助対象経費はそれぞれ異なります。

  • PMI専門家活用類型:M&A後の経営統合に際してPMI専門家を活用した際の費用(謝金・旅費・委託費)を補助
  • PMI事業統合投資類型:経営統合に伴う設備投資費用等を補助(専門家費用は対象外)

2)補助率等

PMI推進枠の補助率等

3)補助対象経費

【PMI専門家活用類型】

  • 謝金、旅費、委託費(PMI専門家に対する費用)などが対象
  • 説明会の開催や個別面談の実施、取引先への対応(M&Aに関する説明、継続的なコミュニケーション)など、信頼関係構築に関わる専門家支援は対象外

【PMI事業統合投資類型】

  • 設備費、外注費、委託費などが対象
  • 委託費のうち、M&A仲介手数料、DD 費用、M&Aコンサルティング費用、PMI専門家への手数料は対象外

4)主なポイント

  • 補助対象となるM&Aの成立前(クロージング前)に、承継者によるデュー・ディリジェンス(DD)が実施されていることが必要です。
  • グループ内の事業再編・親族間の事業承継は対象外です。
  • PMI事業統合投資類型とPMI専門家活用類型の同時申請はできません。

6 申請手続き

1)GビズIDの取得

本補助金の申請はJグランツを通じた電子申請となるため、GビズID(1つのIDで複数の行政サービスにアクセスできるサービス)のプライムアカウントが必要です。アカウント発行までの期間は通常1~2週間程度(混雑時は3週間程度)です。

取得には、印鑑証明書原本(発行から3カ月以内)、法人代表者の実印または個人事業主の登録印を押印した申請書、法人代表者または個人事業主のメールアドレスおよびSMS受信可能な電話番号が必要です。必要書類をgBizID運用センターへ郵送またはオンライン(マイナンバーカード読み取り可能なスマートフォンおよびGビズIDアプリが必要)で申請します。

■GビズID(gBizID)■
https://gbiz-id.go.jp/top/

2)M&A支援機関(FA・仲介業者)の選定

専門家活用枠で、M&Aに関する業務の一部を第三者に委託する場合、M&Aの手続き進行の支援に関する手数料については、「M&A支援機関登録制度」によりあらかじめM&A支援機関として登録されたFA・仲介業者の場合のみが補助対象となります。そのため、申請前に自社の状況やM&Aの目的に沿って、信頼できるM&A支援機関を選定することが重要です。

■M&A支援機関登録制度「登録支援機関データベース」■
https://ma-shienkikan.go.jp/search

3)公募申請・採択

Jグランツを通じて指定された書類をダウンロードし、必要事項を記入して提出します。主な提出書類には、

  • 直近3期分の決算書
  • 株主名簿
  • 株主代表に係る確認書
  • 営業利益率低下に関する計算書(売り手支援類型(Ⅱ型)で補助率2/3以内での申請を希望する場合)
  • 審査において加点される事由を証明する賃金引き上げ計画の誓約書
  • 賃金引き上げ計画の表明書

などがあります。その他、法人であれば履歴事項全部証明書、個人であれば住民票(3カ月以内に発行されたもの)などが必要になることがあります。

申請後、申請された内容に対して審査委員会および事務局による採択が実施されます。第14次公募の採択予定は2026年5月中旬です。採択・不採択の結果は、Jグランツから通知されます。

4)交付申請・交付決定

補助事業を行うに当たり、使途ごとの必要経費を具体的に算出し、各経費の見積もりを取得します。その後、Jグランツ上の交付申請用フォームに必要事項を記載し、取得した見積書などとともにオンラインで申請します。

申請後、提出された書類が審査され、交付が決定されます。この交付決定日が補助事業の開始日となります(2026年6月上旬以降予定)。

5)各事業の実施・報告

交付決定を受けたら、M&Aの専門家との契約やM&Aの実行、費用の支払いを行います。交付決定前に契約・発注・支払いを行った費用は補助金の対象とならないため、注意が必要です。また、補助対象となる経費を使うときは、必要な証憑(領収書等)を保管する必要があります。

補助対象事業完了後、補助事業者がJグランツを通じて、実際にかかった費用等の事業実績内容を事務局へ報告します。

6)補助金交付

事業実績報告の確定検査が行われると、補助金決定額が確定し、交付請求に基づいて補助金が交付されます。

7 不正行為に関する注意

補助金の申請に当たって

  • 虚偽の申請による不正受給
  • 補助金の目的外利用
  • 補助金受給額を不当につり上げ、関係者へ報酬を配賦する

といった不正な行為が判明した場合は、交付規程に基づき交付決定取り消しとなるだけでなく、補助金交付済みの場合、加算金(年10.95%)を課した上で当該補助金の返還が求められます。

また、交付決定の取り消しを受けた者は、不正内容の公表等を受けることや「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」に基づく、5年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金または両方に処せられる可能性があります。

以上(2026年5月更新)

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