【書籍ダイジェスト】『メタトレンド投資』

本書は、Apple、Tesla、NVIDIAといった成功企業の株を早くから買い、成果を上げた著者が実践する投資手法を自ら明らかにしている。
伝説のプログラマーにして起業家・投資家でもある著者が勧めるのは、多くの投資家が用いるテクニカル分析やファンダメンタルズ分析によらず、景気サイクルや中銀の金利政策といったマクロトレンドよりも長期変化の潮流を読み取り、適切なタイミングで投資を行う「メタトレンド投資」である。

書籍ダイジェストは、こちらからお読みいただけます。pdf

【中堅社員のスピーチ例】千里を走る名馬の心得

【ポイント】

  • 馬に千里を走る才能があったとしても、才能を見いだせる伯楽は少ない
  • 「自分は力があるのに認めてもらえない」と不満を言うだけでは、状況は変わらない
  • 力に気付いてもらえるよう、仕事ぶりで信頼を積み上げることが大切

おはようございます。2026年の干支は「午(うま)」、馬です。この「馬」にちなんだことわざ「千里の馬は常に有れども伯楽(はくらく)は常には有らず」をもとに、今年一年の自分の働き方についてお話ししたいと思います。

このことわざは、1日に千里を走るほどの力を秘めた名馬はたくさんいるが、名馬を見つけ出せる伯楽(馬の素養を見分ける人)は限られている。転じて、世の中に有能な人は多いが、その才能を見いだせる人物は少ないという意味で使われます。伯楽に才能を見いだされなかった馬は、一生ただの馬で終わってしまうわけですが、ここで考えたいのが、「馬は馬で、伯楽が才能を見いだしてくれるのをただ待っているだけでいいのか」という問題です。

例えば、ビジネスの場合だと、よくあるのがこんなケースです。「自分はもっとできるはずなのに、上司は難しい案件や大事なプロジェクトを任せてくれない」「同じ人ばかり指名されていて、不公平だ」心の中でそう不満を抱えつつ、でも自分からは特に動かない——こういう状態です。

しかし、上司の立場からすると、「期限を守るか」「基本的な仕事の精度は安定しているか」「チームへの影響を考えて動けるか」といった「安心して任せられる材料」が見えない人に、いきなり難しい仕事は振りづらいものです。「力はある“かもしれない”けれど、実際はどうか分からない人」よりも、「これまでの仕事ぶりで信頼を積み上げている人」を選ぶのは当たり前です。

私自身にも、「評価してくれる人がいれば、本気を出せるのに」と考えていた時期がありました。でも、今は「評価されるに足る材料を、自分がどれだけ提示しているか」が問われていると感じています。だから、「気付いてもらえない」と言う前に、「気付いてもらえるよう努力をしているか」と、常に自問自答することを心がけています。

2026年は、「任されないことへの不満」ではなく、「任せたくなる存在になる準備」に時間を使う一年にしたいと思います。上司からの大きな仕事を“待つ”のではなく、「この人に振ろう」と自然に名前が挙がるような、信頼と実績を積み上げる“千里の馬”を目指します。

以上(2026年1月作成)

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画像:Mariko Mitsuda

              

食の未来は水槽の中に!? 改めて注目される「陸上養殖」

1 新規参入が相次ぐ陸上養殖

陸上養殖とは、

陸上に人工的につくった環境下で食用の水産物を養殖する事業のこと

です。ヒラメ、クルマエビ、トラフグ、アワビ、ウニ……こうした高級食材を、今よりもっと手軽に口にできる日がやって来るかもしれません。さまざまな水産物の陸上養殖が実用化されているからです。

海に囲まれ、さまざまな水産物に恵まれている日本ですが、近年は気候変動に伴う海水温の上昇、海流の変化などにより、種類によっては不漁が長期化し、各方面に影響が及んでいます。こうした状況の中、陸上養殖は

水質や水温を管理できるため「安定供給が可能」になると期待

されています。

また、漁業権の取得が不要であり、漁業法による制約を受けないため、

外資系企業や大手企業を含む水産以外の異業種による新規参入も増加

しています。水産庁によると、2025年1月1日時点の陸上養殖業の届出件数は740件、前年から78件増加しました。

さて、一口に陸上養殖といってもさまざまですが、特に期待されているのは「閉鎖循環式」です。

閉鎖循環式とは、施設内に整備された水槽の水を循環させながら、水中に排せつされた当廃物や餌を取り除き、水質を保つことで河川や海洋と接触することなく養殖するもの

です。

閉鎖循環式の陸上養殖の現状は、簡潔に言うと、

  • 初期投資とランニングコスト(餌代、水質や水温を保つためのエネルギー代など)が高いため、中小企業にとっては参入のハードルが高い
  • 一方、そうした中でも、これまで廃棄してきた食品残渣(ざんさ)を餌として有効活用したり、養殖した水産物を地域の新たな特産品として売り出したりする中小企業も増え始めている

という具合です。

この記事では、主に「閉鎖循環式」の陸上養殖に焦点を当て、外部環境や、参入事例を紹介します。食の未来を考えるきっかけとして、新規事業を構想する際のヒントとしてお役立てください。

2 陸上養殖を取り巻く市場環境

1)外部環境と成長要因

陸上養殖を取り巻く外部環境を整理してみましょう。

陸上養殖を取り巻く外部環境

1.政治(Political)

政府は、2020年に魚類養殖を対象とした「養殖業成長産業化総合戦略」を策定、2021年には貝類・藻類養殖に対する記述を追加し改訂を行いました。また、「マーケットイン型養殖業等実証事業」など国や自治体が支援制度を充実させています。こういった点は追い風と考えられます。

2.経済(Economical)

資材価格や人件費の上昇により、規模にもよりますが、初期投資は数千万円から数億円にも上ります。また、円安や原材料高を背景に、餌代やエネルギー代が高騰しています。消費地と生産地が近接することで販売時の輸送コストは抑えられますが、逆風のほうが強いといえるでしょう。

3.社会(Social)

陸上養殖は「食の安全」「エシカル消費」「SDGs」といったキーワードにつながる点で高く評価されており、こういった点は追い風です。

4.技術(Technological)

後述する「好適環境水®」の実用化、サンマやウナギなどの完全養殖(人工ふ化から育った親魚が産んだ卵を再びふ化~稚魚~成魚まで育てること)の成功例が現れていることなどは、今後の事業化に向けた追い風と考えられます。

2)陸上養殖の参入分析

「閉鎖循環式」の陸上養殖については、以前は体系的な情報がありませんでしたが、「内水面漁業振興法施行令」の改正により、2023年4月から届出制となりました。

2025年1月1日時点での陸上養殖業の届出件数(都道府県別)は次の通りです。

2025年の陸上養殖業の届出件数(都道府県別)

クビレズタ(海ぶどう)の養殖が盛んな沖縄県の届出件数が最も多く、大分県、鹿児島県、熊本県など九州地方に多い傾向が見られます。ただし、岐阜県をはじめ、いわゆる「海なし県」でも陸上養殖業の届出があります。

また、水産庁によると、2023年度、陸上養殖業により生産された水産物の合計出荷数量は6392トンで、ヒラメ1786トン、トラフグ1324トン、ニジマス791トン、アユ773トン、クビレズタ(海ぶどう)536トンと主に魚類が上位を占めています。

閉鎖循環式の陸上養殖の競争環境は次のように考えられます。

閉鎖循環式の陸上養殖の競争環境

3 陸上養殖の事例

大手企業、ベンチャー企業、異業種の中小企業など、陸上養殖を手掛ける企業は多種多様です。ここでは、その事例を5つ紹介します。

1)NTTグリーン&フード

通信大手NTTのグループ会社「NTTグリーン&フード」は、2024年12月、静岡県磐田市にシロアシエビ(バナメイエビ)の陸上養殖プラント(磐田プラント)を竣工しました。同社は、2024年8月、同じく磐田市でエビの陸上養殖事業を展開する「海幸ゆきのや」の全持ち分を関西電力から譲受し完全子会社としており、生産量で国内最大級のエビの陸上養殖施設を有する事業者となりました。

磐田プラントは、スズキ部品製造が保有する建屋を活用し、主にバイオフロック方式(水槽内に浮遊する微生物の集合体によって水を浄化する方式)を採用しています。外部パートナーによる検証エリアでは完全閉鎖循環方式も導入し、リサイクル可能な素材でかつ断熱性にも優れた環境配慮型の養殖用・ナーサリー(稚エビ用)水槽などを設置しています。

なお、磐田市では、磐田プラントの完成をきっかけに「エビ」を軸にした産業振興と地域活性化を進める取り組みが始まっています。教育機関を巻き込んだ食育活動や、地元飲食店によるメニュー化を通じて、地域住民が一体となって、陸上養殖エビの一大産地化を目指しています。

NTTグリーン&フード

2)マルハニチロ養殖技術開発センター

水産大手マルハニチロは、2025年9月、養殖研究を行うグループ会社「マルハニチロ養殖技術開発センター」において、事業レベルに準じる飼育密度でのサンマの試験養殖を成功させました。

マルハニチロ養殖技術開発センター

マルハニチロ養殖技術開発センターでは、世界で初めてサンマ水槽内繁殖を成功させた「ふくしま海洋科学館」から支援を受け、サンマ養殖の研究に着手。その後、クロマグロやブリ、カンパチ、マダイの人工種苗生産などで長年培ってきた養殖技術や研究開発の知見を生かし、サンマ養殖に適した餌や飼育設備の検討を重ね、2024年6月に出荷目安である100グラムを超えるサイズへ成長させることに成功しました。また、同年8月には人工授精にも成功し、事業化に向けた技術の蓄積を継続しています。

なお、マルハニチロは2026年3月にUmios(ウミオス)に社名変更を予定しています。

3)海藻ラボ

海藻ラボ(徳島県海部郡海陽町)は、徳島大、徳島文理大などと協働して海藻の陸上養殖に取り組んでいます。通常、海藻の海面養殖では、海水温の影響を受けるため、年間の3、4カ月に限られますが、同社は異なる生育水温を必要とする、あおさ(ヒトエグサ)とミリンソウ(「あかねそう®」)の2種類の海藻を組み合わせた「陸上二毛作養殖システム」を採用し、同一施設による通年養殖を実現しました。これらの海藻は、陸上養殖海藻としては日本初の有機藻類JAS認証を取得しています。

海藻ラボ

同社のプロジェクト「海藻が拓く、輝く未来の『ブループラネット』 海藻が 人と海を 豊かに、健康に。」は、2025年に開催された大阪・関西万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」を体現するプロジェクトとしてベストプラクティスの1つに選ばれました。

4)北三陸ファクトリー

北三陸ファクトリー(岩手県九戸郡洋野町)では、磯焼けによって痩せた実入りの悪いウニを廃棄するのではなく、商品に変える「再生養殖」に取り組んでいます。
磯焼けは、大型の海藻の大部分が沿岸の一部で枯れてしまう現象で、ウニによる食害が一因とされています。同社は、北海道大学をはじめとした研究機関や事業者との協力のもと、ウニがおいしくなるための「餌」、ウニをおいしく育てるための「カゴ」、そしてウニそのものを高品質にし、価値のある水産物として再生するための「再生養殖」の仕組みを確立し、特許を取得しました。「再生養殖」を適切に運用することで、痩せた実入りの悪いウニも2カ月という短期間で出荷レベルの実入りに改善することができるといいます。

同社は、再生養殖を通じて商品化したウニを「豊かな自然と地域を様々な人と一緒に育む」という願いを込めて「はぐくむうに®」と名づけ、統一ブランドで販売しています。

北三陸ファクトリー

同社は、同じように磯焼けで困っている事業者に向けて、養殖事業開始から出荷販路確保に至るまでのコンサルティングも行っています。

5)エムテック

精密切削加工・複合加工、医療機器製造を手掛けるエムテック(茨城県ひたちなか市)は、2023年9月に新たにアクア事業部を発足し、シロアシエビ(バナメイエビ)の閉鎖循環型陸上養殖を始めました。

同社は、地域特産のサツマイモ「紅はるか」を干し芋に加工する際に発生する皮などの残渣を餌の一部として利用しています。また、養殖に使う濾過槽(ろかそう)などの設計開発・製造から販売を、同社も参画する共同受注体「GLIT(Guild for Leading Innovative Technology)」で担っています。生産されたエビは「はるか海老®」として、地元の日本料理店などに出荷され、好評を得ています。

エムテック

4 参考

1)まさに魔法の水「好適環境水®」

「好適環境水®」は、海水の中から魚類に必要な成分をナトリウム、カリウム、カルシウムなどに絞り込み、淡水魚も海水魚も同じ水槽で飼育できる人工飼育水です。岡山理科大学の山本俊政准教授(生命科学部生物科学科)が中心になって研究を進めています。

開発のきっかけは、2005年ごろ、学生が海水に住むプランクトンを淡水で育ててみようとしたことでした。淡水の中に少量残存していた海水によってプランクトンが大量に繁殖することをつかみ、本格的な研究が始まりました。試行錯誤の結果、魚にとって最低限必要な成分と、各組成間の黄金比を見つけ出すことに成功。2010年には、35トン水槽4基と140トン水槽を備えた実験場「生命動物教育センター」(現・生物生産教育研究センター)が完成しました。

岡山市の条例で魚類廃液を下水道に流せないことが判明したものの、同センターは土壌細菌を活用し、濾過装置を併設して水を循環させる閉鎖循環式を採用することでピンチを切り抜けたといいます。

「好適環境水®」で飼育すると成長速度が早まるというデータもあります。「好適環境水®」は、塩分濃度が海水の約4分の1に調整されており、体内の塩分濃度との浸透圧調整に関わるストレスが軽減されるのが理由ではないか、とみられています。また、全て人為的にコントロールされた環境で養殖するため、気象や赤潮などの影響を受けない上、病気が発生しにくいというメリットもあります。

岡山理科大学では「好適環境水®」による海水魚養殖の研究により、トラフグ、ヒラメ、クエ、クロマグロ、シマアジ、ウナギ、ウマヅラハギ、オニテナガエビ、クルマエビ、バナメイエビ、ブラックタイガーなどの陸上養殖に成功し、それらは随時出荷されています。

岡山理科大学「生物生産教育研究センター」
https://renkei.office.ous.ac.jp/ercop/

2)水産庁「養殖業事業性評価ガイドライン」

水産庁は、金融機関が養殖業の経営実態の評価を容易にする養殖業(魚類、貝類、藻類、陸上養殖およびその他養殖)に対する「養殖業事業性評価ガイドライン」を策定しました。

養殖業は、

  • 事業期間が複数年にまたがり事業内容の評価が困難
  • 代金回収までに餌代などに多額の運転資金が必要
  • 販売価格の暴落や自然災害の経営リスクが大きい

といった特徴のため、金融機関からすると従来の評価手法では養殖経営体の経営実態を適切に評価することが難しく、資金需要に応えにくい状況があります。

ガイドラインでは、養殖業における経営の特徴、金融事情、食の安全・環境配慮等の事業性評価を行うための基本的留意点を述べ、6つの事業性評価の項目(市場動向、経営事業継続力、販売力、動産価値、品質生産管理、リスク管理・対策)と評価手法を提示し、この評価項目と評価手法に基づき作成する「養殖業ビジネス評価書」の作り方を示し、養殖経営体の事業性が見える化されやすくなるようにしています。

この他に養殖水産物の動産登記上の留意点、第三者の評価機関を活用した事業性評価の実施の流れ、事業性評価に必要となる資料やデータの出典を含め、金融機関が養殖業の事業性評価に必要な融資の判断材料を提供しています。

水産庁「養殖業事業性評価の推進」
https://www.jfa.maff.go.jp/j/saibai/yousyoku/jigyoseihyoka.html

以上(2025年12月作成)

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画像:水産庁、岡山理科大学、NTTグリーン&フードほか

チェックリストでわかる入社・退社手続きの実務

厳しい採用難の時代において、「ヒト」を大切にする働きやすい企業であるという姿勢を表明し、事業を円滑に発展させていく新規採用を見通すためにも、また既存の従業員を守っていくためにも、適切な人事労務管理を行い、会社の土台をしっかりと固めていくことが必要です。

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中小企業が知っておくべき「令和8年度税制改正大綱」のポイント

1 賃上げ促進税制の廃止時期と控除率の変更

従業員の給与等(給与所得に該当する給与、賞与など)を前年度より一定以上増やした場合に、税額控除を受けられる賃上げ促進税制について、会社規模(中小企業・中堅企業・大企業)ごとに、廃止の時期や控除詳細の変更が行われます。

賃上げ促進税制(給与等の増加割合と控除率)の改正内容

また、

教育訓練費を一定以上増やすと受けられる控除率の上乗せ措置(最大10%)の廃止

も盛り込まれています(廃止時期については、税制改正大綱に記載なし)。

2 特定生産性向上設備等投資促進税制の新設

青色申告を提出している法人が、国から「生産性向上につながる」と認められた一定の設備を取得した場合に、

  • その投資額の全額を損金に算入できる即時償却
  • 税額控除(7%)

のいずれかを選択できる制度(特定生産性向上設備等投資促進税制)が新設されます。なお、税額控除における控除税額は法人税額の20%を上限とし、もし上限を超過した控除税額があるときは、3年間繰り越しが可能です。

この制度は、業種を問わず適用できますが、

  • 2029年3月31日までに、設備投資の内容について計画書を作成し、産業競争力強化法に基づく国の確認を受ける
  • 確認を受けた日から5年以内に、その設備を実際に取得し、事業で使い始める

必要があります。その他の主な要件は次の通りです。

対象設備の金額要件と計画要件

3 中小企業技術基盤強化税制の延長と繰越税額控除の導入

中小企業向けの研究開発支援策の1つである、

中小企業技術基盤強化税制(税額控除の特例と控除税額の上限の上乗せ特例)の適用期限が、3年間延長

されます。この制度は、研究開発投資を行った法人が、その事業年度に損金に算入する試験研究費の一定割合(12~17%)の金額を税額控除できるというものです。

また、一時的な赤字などでその事業年度に税額控除の恩恵を受けられなかった場合でも、

控除限度超過額を3年間繰り越すことができる「繰越税額控除」が新たに導入

されます。

4 少額減価償却資産の特例の対象となる取得価額の引き上げ

少額の備品などを購入した際、即時に全額を損金に算入できる少額減価償却資産について、

対象になる取得価額が40万円未満(改正前は30万円未満)に引き上げ

られます。また、引き上げの他に、

  • 事業年度終了の日において常時使用する従業員の数が400人以下(改正前は500人以下)の法人が適用対象
  • 適用期限が3年間延長され、2029年3月31日までの間に購入して事業のために使用したものが対象

になります。

なお、令和8年度税制改正大綱には、上限額変更の記載はないため、年間300万円の上限に変更はないとみられます。

5 インボイス経過措置による控除率の縮小幅と期間の変更

インボイスが発行できない免税事業者(あるいは適格請求書発行事業者の登録をしていない事業者)からの仕入れについては、原則控除が受けられません。

しかし、制度導入直後の急激な税負担の増加などの影響を避けるため、導入後の数年間は、インボイスが発行できない事業者からの仕入れでも、一定額の控除を受けられる経過措置(インボイス経過措置)が設けられています。その控除率について、2026年10月1日より段階的に縮小され、最終的にはなくなりますが、今回の税制改正により、その縮小幅の変更と廃止までの期間が延長され、次のようになります。

  • 2023年10月1日〜2026年9月30日:仕入れにかかる消費税額の80%まで控除可
  • 2026年10月1日〜2028年9月30日:仕入れにかかる消費税額の70%まで控除可
  • 2028年10月1日〜2030年9月30日:仕入れにかかる消費税額の50%まで控除可
  • 2030年10月1日〜2031年9月30日:仕入れにかかる消費税額の30%まで控除可
  • 2031年10月1日~:控除不可

6 インボイス3割特例の創設(小規模個人事業者のみ対象)

免税事業者がインボイス制度の導入を機に、課税事業者を選択した場合、納税額を、売上に係る消費税の2割とする制度(インボイス2割特例)が、2026年9月30日に廃止されます。今回の税制改正により、

小規模個人事業者限定で、納税額を、売上に係る消費税の3割とする制度(インボイス3割特例)

が創設されます(2年間の経過措置)。なお、今回創設されるインボイス3割特例は、

法人は対象外

であるため、2割特例を受けていた法人は、2026年10月1日以後は、従前通り、本則課税または簡易課税の方法で消費税の納税額を計算しなければなりません。

以上(2026年1月作成)
(執筆 南青山税理士法人 税理士 窪田博行)

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画像:Gemini

誤解しやすい 労務管理シリーズ 第2回 労働時間・賃金計算編

労働時間と賃金計算は、働く人にとって非常に身近で重要な労働条件の一つです。その一方で、制度の複雑さや用語の曖昧さ、会社ごとの運用の違いなどが原因となり、誤解や認識のズレ、ミスが生じやすいものでもあります。このような複雑なルールや法令を正しく理解し、適正な労働時間管理と賃金計算、運用の向上に役立ててください。

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カスハラ対策を支援! 東京都のカスハラ防止対策奨励金のご紹介

奨励金とは、国や自治体などが事業主に対して、職場環境の整備、雇用の促進、企業立地など、特定の取り組みや行動を後押しする目的で支給する報奨的な性格を持つ支援金です。奨励金は一定の行動や取り組みを実施したことを要件としており、要件に該当すれば支給を受けられる可能性が比較的高い点が特徴です。

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正味現在価値法と内部利益率法の考え方/設備投資の成果チェック(5)

1 投資判断の精度を一段引き上げられる2指標

投資評価の判断で使う主な指標には、

  • 回収期間法
  • 投資利益率法
  • 正味現在価値法
  • 内部利益率法

の4つがあります。

前回(第4回)解説した回収期間法は「安全性」やどれだけ早く元が取れるかという「時間的な価値」に着目した指標であり、投資利益率法はどれだけ儲かるかという「収益性」に着目した指標でした。つまり、回収期間法では収益性が考慮されず、投資利益率法では安全性や時間的な価値が反映されません。

シリーズ最終回となる今回は、正味現在価値法と内部利益率法を解説します。いずれも

時間的な価値と収益性の両方を考慮した指標

で、投資判断の精度を一段引き上げてくれます。前回(第4回)と同じシミュレーション例(A案・B案・C案)を使いながら、考え方と計算の流れ、そして実務で使えるExcel関数までを整理していきます。

2 「時間的な価値」と「収益性」を両立した正味現在価値法

正味現在価値法は、

資金調達コストを基準に、将来得られるキャッシュ・フロー(回収額)を今の価値(現在価値)に直し、その合計が当初の投資額をどれだけ上回るかを見る指標

です。

時間的な価値を考慮するというアプローチは、キャッシュ・フローを得られるのが早いほうがいいという考え方に立っています。同じ1万円でも、「今すぐ手に入る1万円」と「1年後にもらえる1万円」では、どちらの価値が高いでしょうか。多くの人は、今すぐ手に入る1万円のほうがありがたいと感じるはずです。この感覚を数字で表したものが、割引計算です。

例えば、利率が5%とすると、今の1万円は、1年後には利息500円分増えて1万500円になります。つまり、今の1万円と1年後の1万500円は同じ価値だといえるのです。計算式にすると

1万円×(1+0.05)=1万500円

となります。これは、今の1万円を1年後の価値に直した計算です。

では逆に、1年後にもらえる1万円を、今の価値ではいくらかを考えてみましょう。この場合は、1万円を(1+0.05)で割ります。

1万円/(1+0.05)=約9524円

になります。2年後、3年後……の1万円も、年数分だけ割り引いていきます。例えば、5年後の1万円の計算は(1+0.05)で5回割り、

1万円÷(1+0.05)÷(1+0.05)÷(1+0.05)÷(1+0.05)÷(1+0.05)=約7835円

です。

5年後の1万円の計算

このように求めた今の価値を、正味現在価値(Net Present Value。通称「NPV」)といいます。なお、ここでは預金利息を使いましたが、企業の場合は借入金利などの資金調達コストを使うのが一般的です。なぜなら、少なくともその資金調達コストを超える分を、必ず稼がないといけないからです。

早速、次の事例(A案・B案・C案)を使って現在価値を計算し、比べてみましょう。ここでは、資金調達コストを10%とします。

NPVの計算

A案で見てみましょう。具体的には次のような数字になります。

-100+25/(1+0.1)+35/(1+0.1)2+50/(1+0.1)3+30/(1+0.1)4+35/(1+0.1)5
=-100+22.7+28.9+37.6+20.5+21.7(小数点第一位未満四捨五入で表記)
=-100+131.4
=31.4

ここで見ていただきたいのは、キャッシュ・フローの単純合計(割引計算をしない各年のキャッシュ・フローの合計)はC案のほうが大きいですが、正味現在価値(NPV)ではA案のほうが大きくなっています。これは、C案のキャッシュ・フローが4年目と5年目に多く、時間的な価値を考慮するとA案の方が有利であることを示しています。

正味現在価値法は、「収益性(どれだけ大きいか)」だけでなく、「時間的な価値(どれだけ早いか)」も合わせて評価できる点が特徴です。また、「大きさ」に時間調整は必要ですが、合計した数値で有利かどうかを判断できる点も、直感的で理解しやすいと言えます。

3 もう1つの重要指標「内部利益率法」

内部利益率法は、

回収額の正味現在価値の合計と当初の投資額が一致する利率を求める指標

で、Internal Rate of Return(インターナル レイト オブ リターン)、頭文字からIRRと呼ばれます。考え方は、先ほどの正味現在価値法と似ていますが、利率そのものを答えとして求める点が異なります。

事例(A案)を使って内部利益率法の式を書くと次のようになり、xを求めることになります。

-100+25/(1+x)+35/(1+x)2+50/(1+x)3+30/(1+x)4+35/(1+x)5=0

この「x」はどのように求めればよいのか。結論から言うと、実務ではExcelを使って計算するしかありません。正味現在価値は手計算できないこともありませんが、内部利益率を手計算で求めることは一般的には難しいです。実務では、ExcelのIRR関数(内部利益率を求めるための関数)を使うのが前提になります。IRR関数については、第5章で紹介します。

早速、事例(A案・B案・C案)を使って計算した内部利益率を比べてみましょう。

IRRの計算

ここでも、先ほどと同様、A案が最も利益率が高い(A案21.1>C案17.5>B案12.4)ため、A案が有利であることを示しています。

内部利益率法は、将来に入ってくるキャッシュ・フローを全て同じ重みで扱うのではなく、回収までに時間がかかるほど割引は大きくなる仕組みになっています。そのため、資金の回収が早い投資ほど有利に評価されやすく、同時に、投資全体の利回りも確認できるので収益性も加味されています。このことから、内部利益率法は「時間的な価値」と「収益性」の両方を1つの数値で判断できる指標といえます。

4 特徴が似た2つの指標の使い分けと投資効率の判断基準

正味現在価値法も内部利益率法いずれも、「時間的な価値」「収益性」両方を含めて評価できる指標です。この2つの指標がそれぞれ向いているのは、

  • 正味現在価値法は、投資額が同じか、または近い案件を比較するケース
  • 内部利益率法は、投資額の大きさが異なる案件を比較するケース

です。

なお、投資効率の目安としては、経済産業省が公表した『伊藤レポート2014』で示された ROE8%以上というものがあります。この数値を、資本効率改善の最低基準として参考にすることで、個別の投資案件が一般的に求められる利益水準と比べて十分かどうかを確認することができます。中小企業においても、この数値を一つの基準としておくと、投資判断がしやすくなります。

5 ダウンロードした実務で使えるExcel例とその解説

1)正味現在価値法

実務では、Excelを活用することがおすすめです。次のExcelでは、年ごとのキャッシュ・フロー(CF_青色背景の箇所)と割引率(下図のD5セル)を入力して正味現在価値を計算します。なお、Excelには、本リポートの計算例で使用した事例(A案・B案・C案)の数値を入れております。

【図表ダウンロード_WS:4投資評価の例 (現在価値)】

前述したように、手計算ではそれぞれの年度のキャッシュ・フローを現在価値に直し、全ての数字を合計します。しかし、Excelでは、NPV関数(正味現在価値を計算するための関数。A案の場合はC5セル)を使って一発でNPVの合計額(A案の場合は、D3からH3までの各CFを、D5に入力した割引率で割り引いた正味現在価値の合計額)が算出できます(A案の場合はC5セル)。複製する場合にはご参考ください。

=C3+NPV(D5,D3:H3)

2)内部利益率法

【図表ダウンロード_WS:5投資評価の例 (内部利益率)】

内部利益率法は、Excelを使うことが必須です。前述の通り、IRR関数を使っています(A案の場合はC6セル)。複製する場合にはご参考ください。

=IRR(C3:H3)

6 4指標が計算できるシミュレーション用Excelシート

最後に、これまで解説してきた4指標に加え損益計算やキャッシュ・フロー計算が計算できるExcelシートをご提供します(ダウンロードしてお使いください)。各項目の前提条件を変えることで、複数のパターンを試算することができます。また、各指標の計算式も入力されているので、シミュレーションごとの指標計算も自動で行えます。

【図表ダウンロード_WS:6】

以上(2026年1月作成)

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画像:apinan-Adobe Stock

2026年2月25日開催! 終活を見据えた資産承継・事業承継セミナー開催のご案内

2026年2月25日、きらやか銀行主催で「終活を見据えた資産承継・事業承継セミナー」を開催します。

参加費は無料です。ぜひご参加ください。

このセミナーでは、終活への備えと、民事信託を活用した資産承継・事業承継の手法について講演いたします。

このページの最後に、事業承継に役立つコンテンツも紹介しますので、ぜひご覧ください!

お申し込み締め切りは2026年2月20日(金)17:00です。
※定員は50名です。定員になり次第締め切る場合があります。

お申し込みフォームはこちらから(外部サイトへリンク)(先着順)


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開催概要

  • 日時: 2026年2月25日(水)15:00~17:00(14:30受付開始)
  • 会場: きらやか銀行本社 3階大会議室
  • 参加費: 無料
  • 定員: 50名

プログラム

  • 14:30 受付開始
  • 15:00 開会挨拶 きらやか銀行 取締役頭取 西塚 英樹
  • 15:10 講演「終活への備えと民事信託を活用した資産承継・事業承継について」
    講師 株式会社クオリティ・トラスト 代表取締役 今泉 洋一氏
  • 17:00 セミナー終了予定

【本件に関するお問い合わせ先】

きらやか銀行 法人サポート部 担当:五十嵐・鈴木(陵)TEL:023-628-3822

きらやか情報ステーションでは、事業承継に役立つコンテンツも公開しています。ぜひご覧ください!

「仕事でやらかした人」が真っ先にやるべきこと

失敗や後悔の時間は、決してムダではない。その出来事の意味を捉え直すことで、次の成長につなげられる。ビジネスパーソンのパフォーマンス向上を支援してきた名郷根修氏が、過去を見つめ直す5つのステップを通じて「後悔の時間」を“人生の資産”へと変える方法について解説する。

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