熱中症対策義務化により、多くの事業者で設備導入や職場環境改善の必要性が高まっています。熱中症対策は従業員の健康を守る重要な取組ですが、設備導入や職場環境改善には費用がかかります。こうした負担を軽減するためにも、エイジフレンドリー補助金や自治体の支援制度を積極的に活用してみてはいかがでしょうか。
2026年7月から、障害者雇用のルールはどう変わった?
1 障害者雇用は義務ではなくチャンス!
「障害者雇用は大切だけど、ウチには頼める仕事がないから無理・・・・・・」。こんなイメージがある障害者雇用ですが、状況は変わってきました。その背景には、
- 職業能力の開発次第で障害者は十分な戦力になることを体感する会社が増えてきた
- 働き方のルールが柔軟になる中で障害者の活躍フィールドが広がってきた
- 障害者に特化した採用支援サービスが充実し、障害者と出会える機会が増えた
などの変化があり、会社で働く障害者の数もこの10年間で1.5倍以上に増えています。

障害者雇用は、人材採用と社会貢献という2つの課題を同時に解決できる可能性を位めています。以降では、障害者雇用を検討するための第一歩として、障害者雇用促進法とその関係法令に定められている、
- 会社が雇用する障害者の数を決める「障害者雇用率制度」 (2026年7月から変更あり)
- 不当な差別を防ぐ「障害者差別の禁止や合理的配慮の提供義務」
について説明します。
2 「障害者雇用率制度」とは?
1)2026年7月からは、社員が37.5人以上になると障害者の雇用義務が発生
障害者雇用率制度とは、
常時雇用する社員数が一定数以上の会社は、社員数に一定の割合 (障害者雇用率(法定雇用率))を掛けた人数以上の障害者を雇用しなければならない
という制度です。「常時雇用する社員」とは、
- 1週間の所定労働時間が原則20時間以上(例外あり)
- 1年を超えて雇用される見込みがある、または1年を超えて雇用されている
の両方を満たす社員です。常時雇用する社員は、正社員については1人当たり「1人」、バートタイマー等の短時間社員については1人当たり 「0.5人」とカウントします。
これまでは、社員が40人以上の会社 (民間企業)に対し、社員数の2.5%に相当する人数以上の障害者を常時雇用する義務が課せられていました。2026年7月からは対象範囲が拡大され、社員が37.5人以上の会社に対し、社員数の2.7%に相当する人数以上の障害者を常時雇用する義務が課せられることになりました。

会社が雇用しなければならない障害者の数は、
常時雇用する社員数× 障害者雇用率(法定雇用率) で計算 (小数点以下の端数が発生する場合、切り捨て)
で計算します。
例えば、常時雇用する社員数が37.5人の会社であれば、
【2026年7月から】 37.5人×2.7%(障害者雇用率)=1人以上
の障害者を常時雇用する義務が発生します。
常時雇用する社員数が75人の会社であれば、
【2026年7月から】 75人×2.7%(障害者雇用率)=2人以上
の障害者を常時雇用する義務が発生します。
また、常時雇用する社員数が37.5人以上の会社は、毎年6月1日時点での障害者の雇用状況を所轄ハローワークに報告する義務があります。実雇用率が法定雇用率を下回っている場合は、
ハローワークから行政指導 (障害者の雇入れ計画の作成命令、実施勧告、特別指導)が入り、指導に従わない場合、厚生労働省ウェブサイトで「会社名を公表」される
可能性がありますので注意が必要です。
2)一部の業種に適用される「除外率制度」とは?
どの会社も基本的には、1)のルールに基づき自社が雇用すべき障害者の人数を算定しますが、業種によっては、法令上、一般的に障害者の就業が困難なため、1)のルールをそのまま適用することになじまないとされているものがあります。こうした業種については「除外率制度」、すなわち、
「常時雇用する社員数」を計算する際、業種ごとに設定される「除外率」に相当する社員数を、算定対象から控除できる制度
が適用されます。
例えば、建設業は一般的に障害者の就業が困難とされる業種で、除外率が「10%」に設定されています。仮に常時雇用する社員を200人とした場合、
200人×10%(除外率)=20人(小数点以下の端数が発生する場合、切り捨て)
を算定対象から控除できます。
したがって、通常の会社と建設業を営む会社とでは、雇用すべき障害者の人数が次のように変わってくることになります(障害者雇用率が2.7%の場合)。
- 通常の会社:200人×2.7%(障害者雇用率)=5人以上
- 建設業を営む会社: (200人 20人) ×2.7%(障害者雇用率)=4人以上
(注)小数点以下の端数が発生する場合、切り捨て
業種ごとの除外率は次の通りです。ただし、障害者雇用を促進する観点から、この除外率制度は、段階的に廃止が進められています。

3)障害者の人数は何人としてカウントする?
障害者雇用率制度の対象となる障害者(常時雇用する社員)は、
- 身体障害者:原則、身体障害者手帳の1~6級に該当する人
- 知的障害者:知的障害者判定機関により知的障害があると判定された人
- 精神障害者:精神障害者保健福祉手帳を所持する人
のいずれかです。そして、障害の内容や週の所定労働時間によって、「何人としてカウントするか」が決まります。

4)「障害者雇用納付金制度」も併せて活用!
「障害者雇用納付金制度」とは、
- 常時雇用する社員数が100人超の会社: 実率が法定雇用率を下回ると「納付金」を納めるが、法定雇用率を上回ると「調整金」がもらえる
- 常時雇用する社員数が100人以下の会社: 常時雇用する障害者が一定数を超えると「報奨金」がもらえる(「納付金」の支払いはない)
という制度です。具体的には次の通りです。

「高齢・障害・求職者雇用支援機構」が管轄しており、会社からの申告・申請に基づいて、納付・支給が行われます。
この他、フリーランスで在宅勤務の障害者などに仕事を発注するともらえる「在宅就業者特例調整金」「在宅就業者特例報奨金」などもあります。詳細はこちらをご確認ください。
高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用納付金制度の概要」
https://www.jeed.go.jp/disability/about_levy_grant_system.html
3 「障害者差別の禁止や合理的配慮の提供義務」とは
1)障害者差別の禁止
募集・採用、賃金、配置、昇進などの雇用に関するあらゆる局面で、
- 障害者であることを理由に障害者を排除すること
- 障害者に対してのみ不利な条件を設けること
- 障害のない人を優先すること
など、「障害者だから」という理由だけで差別することは禁止されています。
障害者差別の具体例は次の通りです。

2)合理的配慮の提供義務
会社は障害の特性などに応じて、障害者が働く上で必要な配慮(合理的配慮)をしなければなりません。主に、
- 募集・採用において、障害者にもそうでない人にも均等に機会を与える
- 採用後、障害者が働く上で支障となる問題を改善し、能力を発揮しやすくする
という観点から配慮が求められます。ただし、会社にとって過重な負担を強いる配慮(職場内に階段昇降機やエレベーターを取り付けるなど)まで求められるものではありません。「今の会社が提供できる最大限の配慮をする」といったイメージです。

障害者の状態や職場の状況などによって求められる合理的配慮の内容は異なります。そのため、具体的にどのような対応を取るかについては、会社と障害者とでよく話し合って決定する必要があります。
3)苦情処理・紛争解決援助
会社は、前述した「障害者差別の禁止」 「合理的配慮の提供義務」について、障害者から苦情を受けたときは、自主的に解決する努力をしなければなりません。
もし、自主的な解決が難しい場合、
都道府県労働局長による助言・指導・勧告や調停制度の対象
となります。調停制度では、都道府県労働局に設けられた障害者雇用調停会議にて問題の解決を図ります。
以上(2026年7月更新)
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まとめ:人が辞める原因は、ほぼ100%会社側にある?/武田斉紀の『人が辞めない会社、10のヒント』(12)
目次
1 従業員個々の将来の“希望”に答えることは、会社を成長させるチャンス
今シリーズの狙いは、経営者、人事担当者、現場の皆さんのお悩みである「社員を採ってもすぐに辞めてしまう上に、そもそも採れない」という課題を解決することです。『人が辞めない会社、10のヒント』と題して、毎回1つずつご紹介してきました。
『人が辞めない会社』に変わるための課題、その原因と解決策は会社によってさまざまです。
全社共通の原因以外に、部署ごとの固有の原因も存在することでしょう。ご紹介した10のヒントの中から、「これはうちにも当てはまるな」というものを見つけていただけたでしょうか。
さて今回は最終回、シリーズ全体を振り返りながらおさらいをしていきましょう。
全体の前に、まずは前回第11回のヒント10を振り返ります。
前回、皆さんに「あなたの職場にはどんな”希望”がありますか?」と問いかけました。”希望”とはすなわち、”未来(将来)への期待”です。それは従業員一人ひとり異なり、何かのきっかけで変化することもあり得ます。
未来のイメージが既にある人にとっては、「自分はこんな感じで努力していけば、自分が目指すこんな姿になれそうだ」と思えること。ない人にとっては、「自分は将来、こんな感じやこんな感じになれるかもしれない。それは自分にとってきっと幸せに違いない」と思えることです。
そして、上司や会社が、従業員一人ひとり異なり、かつ時として変化する”希望”=”未来(将来)への期待”にできる限り応えていく。そのためには一人ひとりの現在の”希望”を把握しておく必要があり、定期的な1 on 1ミーティングの場を活用することをお薦めしました。
1 on 1ミーティングを未導入のケースや、導入済みでも他の1 on 1の目的との関係性についても触れました。いずれにしても
目指すべきゴールは「部下一人ひとりが、仕事を通して未来の”希望”をイメージできるように支援する」ことです。
一方で、会社や部署、上司から本人に求める期待もあるでしょう。また会社や部署、上司としてできることとできないことはあるでしょうが、できる限り本人の”希望”と一致できるように支援すること。既存の社内制度だけに縛られることなく新たな提案も含めて、どれだけ会社側が頑張ってくれたかを従業員は見ています。
そこで会社側が頑張れば、目の前の従業員の”希望”に応えられるだけでなく、同じような課題を抱える他の従業員も救えるかもしれません。
より多くの“希望”に応えてくれる会社にこそ、より多くの優秀な人材が集まり、長くとどまって活躍してくれるはずです。
従業員個々の将来の“希望”に応えられるよう努力することは、会社を成長させるチャンスでもあります。中小企業だから、予算がないからとすぐに諦めるのではなく、知恵と工夫、一人ひとりへの寄り添い次第で可能であると考えましょう。
2 『人が辞めない会社、10のヒント』ヒント1~4[採用編]を振り返る
ここからは、シリーズ『人が辞めない会社、10のヒント』全体を振り返ってみましょう。最初はヒント1~4 [採用編]です。
★ヒント5以降も含めて、短い行数では各回の全てはまとめられませんので、詳しい解決策や解説、事例などは各回をもう一度読み直してみてください。
■第2回 ヒント1[採用1]:自社を大きく見せていませんか?
〇「普通に募集しても応募がないから」と、自社を必要以上に大きく見せて人材を採用すると、入社後にギャップが生まれて「こんなはずじゃなかった」と辞めてしまいます。
〇「少しくらい大きく見せないと人が集まらない」と嘆く前に、「働き続けている人がいる以上、全ての会社には”他社にない魅力”がある」と信じて、ささいなことでもいいので自社ならではの魅力を本気で探しましょう。
■第3回 ヒント2[採用2]:会社が”目指すこと”、”大切にしたいこと”を明示する
〇採用活動を始める前にやるべきことの1つは「求める人材像」を明示しておくこと。中でも「価値観」は容易に変わらないだけに特別で、あらかじめ会社が目指すことや大切にしたい「価値観」を整理して、応募者が共感できるか否かを採用決定前に互いに確認しましょう。
〇「求める人材像」の他の要素、「興味関心」「将来像」などは情報提供次第で後から高められますし、「スキル」も特に若手の場合は入社後に鍛えることができます。
■第4回 ヒント3[採用3]:「好きな人は好き」を分かりやすい一行で打ち出せ!
〇ヒント1で見つけた「好きな人は好き」と思える”他社にない魅力”を分かりやすい一行で打ち出し、ヒント2の「求める人材像」、特に会社が目指すことや大切にしたい「価値観」を明示して募集。「好きな人は好き」に反応し、かつ会社が目指すことや大切にしたい「価値観」に共感した人材なら、検討している他社(競合先)があっても優先順位は高い。
〇本当に採用したい人材なら、会社としてできる限りのことはしつつ、背伸びした待遇を用意するよりも、「最後は人」と信じてこちらの熱い思いを伝えるほうが成功します。
■第5回 ヒント4[採用4]:入社日までに「入社後のギャップを最小化する」
〇内定者に対して、入社後のギャップが極力ないよう、事前に必要な情報や入社後のイメージを十分に伝えられていますか。入社前に伝えておくべき情報をプラスもマイナスも含めて整理し、タイミングを計って伝えましょう(第5回の「5×3のマトリクス」参照)。
〇内定後、入社までに有償のアルバイトで半日単位でもいいのでお試しで働いてもらうのもいいでしょう。単純かつ単調な仕事ではなく、しっかりフォローのできる先輩を付けた上で入社後に任せる可能性のある仕事を一部でも体験してもらいましょう。
以上、ヒント1~4[採用編]をかいつまんでご説明しました。
「社員を採ってもすぐに辞めてしまう上に、そもそも採れない」という課題解決には、まず入口が重要なのだとお分かりいただけたでしょうか。
「採れない」からといって、数合わせに無理やり採用しても結局は互いに”合わない”ことに気付いて辞めてしまう。双方にとってお金も時間も無駄になり、SNS上でも悪い噂になりかねません。
「好きな人は好き」と思える”他社にない魅力”を見つけて、会社が目指すことや大切にしたい「価値観」とセットで明示し募集する。これはと思う人材には会社側の熱い思いを伝える。内定後は、本人の入社後のギャップを最小化できるように情報提供していく。
以上、皆さんの会社では、実行できているでしょうか?
3 『人が辞めない会社、10のヒント』ヒント5~8[仕事編]を振り返る
次に[仕事編]です。
■第6回 ヒント5[仕事1]:事前にいくら伝えても、入社後のギャップは必ずある
〇[採用編]の入社日までに「入社後のギャップを最小化する」努力をしても、実際に職場に入り仕事を始めてみると、ギャップは何かしらあるものです。新卒では入社後に配属や職種が決まることが多いのも原因の1つ。中途の場合はたとえ職種は同じでも、前職の企業文化や仕事の進め方とのギャップに戸惑うことでしょう。
〇解決には、会社、人事、上司や職場、メンターなどが一体となって、入社初日から丁寧に、定期的なフォローを続けることです。
■第7回 ヒント6[仕事2]:仕事の意義を共有できれば、人は簡単には辞めない
〇入社して職場や仕事に少しずつ慣れてきたら、前向きで優秀な人ほど「早く戦力になりたい」と考え、次に”仕事の意義=やりがい”を求め始めます。それが求められないと、「こんなはずじゃなかった」と隣の芝生も青く見えてくるのです。
〇本人の適応状況を確認しながら、”仕事の意義”を伝え、それを感じられる小さな成功体験の機会を用意してあげましょう。それらを職場のチームでも共有しましょう。
■第8回 ヒント7[仕事3]:上司は”仕事のやりがいは一人ひとり違う”と知るべき
〇個人が「何に対して”仕事の意義=やりがい”を感じるか」は人によって異なります。同じ成果に対して同じように褒めても、本人の反応が違うのはそのせいです。
〇やりがいの感じ方には、6つのモチベーションタイプ(MT)があり(第6回参照)、多くの人はそのいずれも持っているが優先順位が異なります。メンバー個々のメインMTを知り、それに応じた褒め方やアドバイスをするとモチベーションアップに効果的です。
■第9回 ヒント8[仕事4]:一人ひとりの”存在価値”や”存在意義”を演出する
〇人は「自分は大事な戦力なのだ」と思えれば簡単には辞めないものです。戦力化するための近道は、個々の強みや経験・知識・スキルへの期待を伝えながら徐々に「仕事を任せ」、本人に自律的に考えさせてトライさせる。そして事後に一緒に「振り返る」ことです。
〇メンバー個々のトライはチーム内でも共有し、協力者も得ていければ既存社員も含めて一人ひとりの”存在価値”や”存在意義”を演出できます。
入社前に「入社後のギャップを最小化する」努力をしても入社後のギャップは何かしらあるものという前提で、関係者が一体となって入社初日から丁寧に、定期的なフォローを続ける。
職場や仕事に少しずつ慣れてきたら、”仕事の意義”を伝え、それを感じられる小さな成功体験の機会を用意する。メンバー個々のメインMTに応じた声掛けをしながらモチベーションを高め、一日も早く一人ひとりの”存在価値”や”存在意義”を演出してあげる。
以上、皆さんの会社では、実行できているでしょうか?
4 『人が辞めない会社、10のヒント』ヒント9~10[職場編]を振り返る
最後に[職場編]です。
■第10回 ヒント9[職場1]:”ウェルカムな職場”は人が辞めない
〇皆さんの会社や職場は「若手やよそ者に冷たい」でしょうか。それとも基本的な価値観さえ共有できれば、個性や違いを広く受け入れ歓迎できる「ウェルカムな」状態でしょうか。
〇「ウェルカム」は「甘い」のではなく、互いが”プロ”を求める関係です。「ウェルカムな会社」では、「一日も早く同じ”プロ”として一緒にいい仕事をしたい」と考え、新たな人材を戦力化までみんなでフォローします。「ウェルカム」を会社の文化にまで育てられれば、簡単に人は辞めないし、自然に人も育ちます。
■第11回 ヒント10[職場2]:あなたの職場にはどんな”希望”がありますか?
〇”ウェルカムな職場”を通して新たな人材が「自分は今の仕事で大事な戦力なのだ」と感じられるための”環境づくり”を進めながら、同時にもっと先の”希望”=”未来(将来)への期待”が持てる状態を目指しましょう。
〇”希望”は一人ひとり異なり、変化もするので、定期的な1 on 1ミーティングの場を活かして個別に把握します。そして会社や上司としての本人への期待との接点を探りながら、個々の”希望”をできるだけ満たせるように尽力していきましょう。
採用を決めた以上、新たな人材を受け入れる側の会社や職場は戦力化を諦めてはいけない。”ウェルカムな職場”を通して彼らが「自分は今の仕事で大事な戦力なのだ」と感じられ、同時にもっと先の”希望”が持てる状態を目指して、個別に支援して続けていく。
以上、皆さんの会社では、実行できているでしょうか?
5 人が辞める原因は、ほぼ100%会社側にある?
ここまでヒント1~4[採用編]、ヒント5~8[仕事編]、ヒント9~10[職場編]を振り返ってきました。各編の最後には、「以上、皆さんの会社では、実行できているでしょうか?」と疑問符を付けてみました。
改めて、『人が辞めない会社』に変わるための解決策は、会社や職場によってさまざまです。一方で社員が辞めない理由、辞める理由も一人ひとり異なります。簡潔に言えば第1回で触れたように、退職する一人ひとりの「辞める理由」を解消し、働いている一人ひとりの「辞めない理由」を高めていくことです。
はたして皆さんの会社では、10のヒントの全てを「辞める理由」ではなく、「辞めない理由」となるように高められているでしょうか。
あるテレビのコメンテーターの方が言っていました、「昔から一緒ですよ、辞めるやつは辞めるんです」と。それは結果を語っているに過ぎません。言葉の裏には「辞める原因は、会社の側ではなくて本人にあるのだから放っておけばいい」との意図を感じます。
「辞めるやつは辞める」、辞める原因は本人にあるとやり過ごしている限り、今回のシリーズのテーマ「採っても辞めてしまう上に、そもそも採れない」という課題は永遠に解決されないだろうと確信します。
もちろん応募する側も自分の人生の話ですから、よりよく事前に研究するべきです。
そして入社を決めた以上は、可能な限り自ら周囲に働きかけながらギャップを解消し、自分で選んだことに責任をもって仕事に集中するべきでしょう。
一方で、会社側は十分な対応ができているでしょうか。
大手から中堅中小、スタートアップまで、あらゆる業種のさまざまな会社を見てきた私にとって、今回提示した『人が辞めない会社、10のヒント』を全て満たしていると感じた会社はほんの一握りです。
あなたの会社や職場では、どうでしょうか?
10のヒントを全て満たせていないとすれば、会社としてまだやれることはあるはずです。本人にも問題があったとしても、「辞めるやつは辞める」は言い訳に過ぎません。原因は、ほぼ100%会社側にあるといえるのではないでしょうか。
近年は「働き方」に対する意識が大きく変わり、とりわけ成長意欲の高い若手社員は入社後すぐにキャリアパスの見極めを行い、「成長機会が十分でない」と判断すると早々に転職を選ぶ傾向があるそうです。
私からすれば、本人が思い描く成長機会をどれだけ用意できるかは、内定前の段階で伝えた上で本人に判断させるのがベストと考えます(その上で会社として採用を決めるかは別として)。
入社前の説明と異なる、あるいは超過労働やハラスメント満載のいわゆるブラック企業は論外です。が、ホワイトすぎて”労働環境は良くても成長ややりがいが感じられない”ブラックとの中間に見える「ゆるブラック(パープルとも)」企業も敬遠される傾向にあります。
会社側が一方的に面接をして採否を決めるという採用はとうの昔に終わっています。現在は「会社側と応募者側の双方が、入社前から入社後まで、互いをよく知り選び合う」時代です。「社員を採ってもすぐに辞めてしまう上に、そもそも採れない」という課題解決のためには会社側は認識を改めつつ、従来以上の幅広い準備や対応が求められているのです。
さらにはAIの浸透による組織や業務見直しの流れもあります。AIの時代に、どんな人材が必要不可欠となり争奪戦となるのか。あるいは既存の人材を社内でいかに育成していかなければならないのか。
人材の採用と育成の課題は尽きませんね。
本シリーズを最後までお読みいただきありがとうございました。「社員を採ってもすぐに辞めてしまう上に、そもそも採れない」という課題解決の一助になれていれば幸いです。
<ご質問を承ります>
ご質問や疑問点などあれば以下までメールください。※個別のお問合せもこちらまで
Mailto:brightinfo@brightside.co.jp
https://www.brightside.co.jp/
※武田が以前上梓した書籍『新スペシャリストになろう!』および『なぜ社長の話はわかりにくいのか』(いずれもPHP研究所)が、ディスカヴァー・トゥエンティワンより電子書籍として復刻出版されました。前者はキャリア選択でお悩みの方に、後者はリーダーやトップをめざしている方にお薦めです。
『新スペシャリストになろう!』
https://amzn.asia/d/e8GZwTB
『なぜ社長の話はわかりにくいのか』
https://amzn.asia/d/8YUKdlx
以上(2026年6月作成)
(著作 ブライトサイド株式会社 代表取締役社長 武田斉紀)
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【ビジネス文書・法令文書】同一労働同一賃金ガイドライン改正への対応実務~令和8年10月施行 社内制度の見直しと就業規則の改定~
令和8年10月施行の改正同一労働同一賃金ガイドラインでは、最高裁判例を踏まえ、手当・賞与・退職金の考え方や無期転換後の均衡待遇などが明確化されました。
企業には、待遇差の合理的な説明と就業規則の見直し、説明義務への対応など、実務面での対応が求められます。
そこで本稿では、改正のポイントを整理するとともに、モデル規定を交えながら、就業規則の見直しや実務対応の進め方について解説します。
ビジネス文書・法令文書 今月の特集は、こちらからお読みいただけます。
名言・迷言で振り返る2026年上半期のできごと
目次
早いもので、2026年も半年が過ぎました。1月はイーロン・マスク氏の「シンギュラリティ」に関する発言、2月のミラノ・コルティナ2026での「りくりゅう」ペアの大逆転金メダル、6月はサッカーのワールドカップ開催など、さまざまなニュースがありました。2026年の上半期に何が起きたのか。名言・迷言とともに振り返ってみましょう!
(1月)AI新時代を予感させたイーロン・マスク氏の発言
1)イーロン・マスク氏、「2026年はシンギュラリティの年」と発言
(*)イーロン・マスク氏のX(旧Twitter)投稿(2026年1月5日)
スペースXやテスラを率いるイーロン・マスク氏が、自身のXにて2026年を「シンギュラリティ(技術的特異点)」の年と位置づける発言をしました。シンギュラリティとは、AI(人工知能)が人間の知能を超え、社会に急激な変化をもたらすとされる転換点のことです。
AI技術の急速な進化が様々な業界で話題となる中、改めて世間の注目を集めたマスク氏。6月には、スペースXをナスダック市場へ上場させ、史上最大級のIPOを成し遂げたことも話題となりました。
2)三谷幸喜氏、成人の日広告で「わかれみち」を問う
(*)サン・アド公式アカウントのX投稿(2026年1月12日)
1月12日の成人の日に合わせて掲載されたサントリーの新聞広告で、脚本家の三谷幸喜氏が新成人に向けたメッセージを寄せました。今回のテーマは「わかれみち」。三谷氏は、人生の岐路で「険しい道」と「なだらかな道」のどちらを選ぶかを新成人に問いかけ、自身は迷うことなく険しい道を選ぶようにしていると明かしつつ、なだらかな道を選ぶ生き方もまた一つの選択であると添えました。
1978年から続くこの新聞広告シリーズは、山口瞳氏、倉本聰氏、伊集院静氏と書き手を引き継ぎ、2025年から三谷氏が担っており、毎年多くの読者の共感を呼んでいます。
(2月)ミラノ・コルティナ2026、氷上の大逆転
1)「りくりゅう」ペア、ショート5位から大逆転で金メダル獲得
(*)各種ニュースサイトなど
ミラノ・コルティナ2026フィギュアスケート・ペア。ショートプログラムで5位発進だった三浦璃来・木原龍一組(りくりゅう)は、2月17日(日本時間)のフリースケーティングで世界歴代最高得点となる158.13点をマークし、合計231.24点で大逆転の金メダルを獲得しました。優勝後のインタビューで、木原氏は前日のミスを引きずって当日の公式練習まで涙が止まらなかったことを明かし、その窮地を救ったのが三浦氏の一言だったと振り返りました。
その後、2人は4月に今シーズン限りでの現役引退を発表。今後はプロスケーターとして活動する方針で、指導者としての道を見据えています。
2)平野歩夢氏、骨折を抱えてミラノ・コルティナ2026で7位入賞
(*)各種ニュースサイトなど
ミラノ・コルティナ2026、スノーボード男子ハーフパイプ決勝(2月14日(日本時間))。前大会の金メダリスト・平野歩夢氏は、大会直前に骨盤などを骨折する大けがを負いながらも出場し、高難度の滑りを披露して7位入賞を果たしました。
競技後、平野氏は「本当に生きるか死ぬか、そういう覚悟をもって挑んだ」と振り返り、「納得した結果には繋がらなかったですけど」としながらも、上記の言葉で無事に競技を終えられたことへの安堵の気持ちを表しました。
(3月)WBCまさかの敗退も、大谷選手は爽やかに前を向く
1)大谷翔平選手、WBC8強敗退後に仲間へ「また会おうね」
(*)各種ニュースサイトなど
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の侍ジャパン(井端弘和監督)は、3月15日(日本時間)にマイアミで行われた準々決勝でベネズエラと対戦。善戦するも、5-8で敗れました。大谷翔平選手は「本当に悔しいですね。本当に強かったです」と無念さを口にしつつ、敗戦の重さを次へのエネルギーに変える言葉を残しました。悔しさの中にも次なる挑戦への希望をにじませた一言は、SNS上で大きな反響を呼びました。
大谷選手は6月時点もMLBドジャースでのプレーを継続。「また会おうね」と誓った仲間たちとともに、次の代表活動への意欲を見せています。
2)朝ドラ「ばけばけ」完結! 視聴者の心をつかんだヘブン先生の名言
(*)各種ニュースサイトなど
NHK連続テレビ小説「ばけばけ」が、3月27日に最終回を迎えました。ばけばけは、明治の松江を舞台に、没落士族の娘トキと外国人英語教師ヘブンが国際結婚し、互いの言葉や文化の違いを越えて支え合うストーリーです。
本作は、悲しみや滑稽さを笑いに変える絶妙なセリフ回しが特徴で、放送中も数々の名場面・名セリフがSNSで取り上げられました。特に、人力車に乗ったトキが前夫との思い出に言葉を詰まらせた場面で、その心中を代弁しようとしたトキの知人を、ヘブンが上記の一言で制止するシーンは、「ヘブン先生の優しさが垣間見えた」など話題になりました。
(4月)半世紀ぶりの月旅行、クルーは無事帰還
1)「アルテミスII」のクルーが月から帰還
(*)各種ニュースサイトなど
米国が主導する国際月探査「アルテミス計画」の試験飛行「アルテミスII」のオリオン宇宙船が10日間に及ぶ飛行を終え、4月11日に地球に帰還しました。有人での月周回は、アポロ計画で最後の月面着陸が行われた1972年12月のアポロ17号以来、53年ぶりとなりました。
地球へ帰還した4人の宇宙飛行士のうち、クリスティーナ・コック氏は翌12日の帰還セレモニーで、ミッションを共にしたクルーへの思いと、宇宙から見た地球の姿を上記の言葉で振り返り、印象深いコメントとして注目されました。
2)高市早苗首相、国会答弁で江戸時代のしゃれ言葉を使用
(*)各種ニュースサイトなど
4月6日の参院予算委員会で、国民民主党の足立康史氏が2026年度補正予算案の編成を迫ったのに対し、高市早苗首相が「その手は桑名の焼きはまぐり、でございます」と江戸時代のしゃれ言葉で応じ、「2026年度当初予算が成立しないうちに補正予算の話をすることはない」と続けました。
ハマグリの産地として知られる三重県桑名市と「食わない」を掛けた、国会の答弁としては珍しい言い回しに、SNS上では「急に時代劇」といった反応も見られました。
(5月)国民的アイドルグループ、有終の美を飾る
1)嵐、東京ドームでラストライブ! 26年半の活動に幕
(*)各種ニュースサイトなど
5月31日、5人組アイドルグループ・嵐(大野智氏、櫻井翔氏、相葉雅紀氏、二宮和也氏、松本潤氏)が東京ドームで「ARASHI LIVE TOUR 2026『We are ARASHI』」の最終公演を行いました。
約3時間半・全33曲を披露したステージの終盤、メンバーそれぞれが万感の思いを口にしました。最後は松本氏の「最後にもう一回聞くぞ! 俺らの名前は! 俺らの名前は何だ~!」という呼び掛けに、ファンが「嵐~!」とアンサーを返し、嵐は1999年のデビューから約26年半にわたる活動に幕を下ろしました。
2)今村聖奈騎手、女性騎手として中央競馬クラシック初制覇
(*)各種ニュースサイトなど
5月24日に行われた第87回オークス(GI・芝2400m)で、今村聖奈騎手のジュウリョクピエロが優勝。JRAの女性騎手として史上初のクラシック競走制覇という快挙を成し遂げました。勝利インタビューで今村騎手は感極まった様子で喜びを語り、苦しい時期を乗り越えてきたパートナーである愛馬への感謝を述べました。
ちなみにジュウリョクピエロの名は伊坂幸太郎氏の小説「重力ピエロ」に由来しており、レース後には同作品が書店で軒並み売り切れになるなど話題を呼びました。
(6月)ワールドカップを沸かせた解説者の存在感
1)本田圭佑氏、ワールドカップのNHK解説で同点弾を予言
(*)各種ニュースサイトなど
6月15日、サッカーのワールドカップの1次リーグ(グループF)、日本対オランダ戦の終盤で、NHKの地上波中継で解説を務めた元日本代表の本田圭佑氏が「そろそろいける気がする」と発言。その5秒後、鎌田大地選手が同点ゴールを決めました。本田氏の的確な予言はSNS上で大きな話題となり、NHKが試合後に「本田語録」としてダイジェスト放送する一幕もありました。
その後、日本はグループFを2位で通過しましたが、6月30日の決勝トーナメント1回戦でブラジルと対戦し、1-2で惜敗。3大会連続のベスト16進出は叶いませんでした。
2)アンソロピック共同創業者、AI業界に「ブレーキ」の必要性を訴える
(*)各種ニュースサイトなど
米アンソロピックの共同創業者であるジャック・クラーク氏が、6月4日にBBC番組「ニューズナイト」に出演し、AIが人間のインプットなしに発展し得る段階に近づいているとして警鐘を鳴らしました。現在のAI業界には開発を加速させる「アクセル」はあっても、それを制御する「ブレーキ」が存在しないと指摘し、開発を止める選択肢を持つことの重要性を訴えました。
急速に進化を続けるAI業界の中で、開発当事者自身が発したこの警告は大きな注目を集めました。
以上(2026年7月作成)
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昭和ビジネス用語vs若者言葉 「手弁当」「ノンデリ」って何?
目次
1 「手弁当」って一体なんですか?
筆者が勤める会社で、社長が上司との会話でこんなセリフを口にしました。
「でもさあ、毎回手弁当ってわけにもいかないよな~」
社長がそうぼやいたとき、平成生まれの筆者の頭には、自分でお弁当を作って持っていく姿が思い浮かんでいました。
ただ、何をどう考えたってそんなはずはないので、単に私が聞き間違えたのかと思い、「そうですね~」と相槌を打ったものの、「手弁当」なるワードはその後の会話でも何度も登場してきます。さすがに気になり、 検索をしてみると……

なるほど、自腹を切ることを指すらしい。
言われれば納得できるような、それにしても伝わらないような……。その他にも、「全員野球」「一丁目一番地」「エイヤで」などなど、いわゆる「昭和ビジネス用語」を見聞きするたびに、インターネットで検索をしたり、しなかったり……。
一方、逆の立場で考えると、「エモい」「チルい」「ノンデリ」などなど、私たち若者世代が普段、感覚的に使っている言葉も、社長や上司の世代には伝わっていないのかもしれません。
皆さんの職場にも、こうした「言葉のジェネレーションギャップ」があるのではないでしょうか。そこで今回、18歳から34歳までの若者世代221人と、35歳以上の昭和世代221人(平成1ケタ生まれも多少含まれますが……)、計442人の会社員を対象に「職場における昭和ビジネス用語と若者言葉」についてのアンケートを行いました(実施日は2026年5月26日~5月28日)。
以降で、結果を詳しく紹介していきます。ぜひお楽しみください!
2 【昭和ビジネス用語編】「リャンメン」は9割に伝わらない
今回のアンケートでは、次の15個のワードを「昭和ビジネス用語」として取り上げました。

ちなみに筆者は、テレコ・ガッチャンコ・ペライチ・リャンメンしか知りませんでした。
1)「伝わっている・伝わっていない」でも世代間ギャップが!
まずは、昭和世代に「若者世代に『昭和ビジネス用語』を使用し、伝わらなかった経験はありますか?」という質問をぶつけてみました!

結果は、
「伝わらなかった経験がある」と答えた人は全体の26.2%
でした! 意外に低いですね。
次は、若者世代に、「上の年代の社員に『昭和ビジネス用語』を使用され、意味が伝わってこなかった経験はありますか?」という質問をぶつけてみると……

結果は、
「理解できなかった経験がある」人が52.5%
でした。世代間で、「伝わっているか・いないか」に認識の違いがありますが、これはおそらく、若者世代が分からないな~と思いながらも相槌で流し、その後に自ら意味を調べて適応したことの表れだと思われます。
2)どんな昭和ビジネス用語が「伝わっていない」の?
今回、若者世代に冒頭の昭和ビジネス用語15語を、「知っているか・知らないか」のアンケートを取ってみました。そしてその結果をもとにして、【伝わらない「昭和ビジネス用語」ランキング】を作成しました。

「伝わらない昭和ビジネス用語」の第1位は、「ポテンヒット」でした! ただ、「ポテンヒット」自体は、昭和世代でも知っている割合が約30%と低めではありますが、若手になると更に認知度が下がってしまうようです。
そして、最も世代間で認知度の差が出たのは「全員野球」。昭和世代の認知度は50.3%でしたが、若者世代の認知度は15.4%でした。
ちなみに、「知っているものがまったくない」と答えた若者も24.6%いました。そう考えると、
昭和ビジネス用語は約1/4の若者には伝わっていない
とも言えるかもしれません。
こちらが「昭和ビジネス用語」認知度の一覧です!

3 【若者言葉編】「顔ない」ってどんな状況?
今回のアンケートでは、次の15個のワードを「若者言葉」として取り上げました。

ちなみに、筆者が勤める会社の社長(昭和世代)は、ノンデリ、顔ない、横転、メンブレを知りませんでした。
1)昭和世代は若者言葉を理解している?
次は、若者世代に「上の年代の社員に若者言葉を使用し、伝わらなかった経験はありますか?」という質問をぶつけてみました。

結果は、
「伝わらなかった経験がある」と答えた人は全体の44.8%
でした! 伝わっていないな、と察している若手は多いです。あるいは、その場で「それ何?」と聞いてくれる昭和世代が多いのかも知れません。
「昭和ビジネス用語」のアンケートと同じように、昭和世代に、「若者世代に『若者言葉』を使用され、意味が伝わってこなかった経験はありますか?」という質問をぶつけてみると……

結果は、
「理解できなかった経験がある」人が29.0%
でした!
そもそも、若者言葉をビジネスの場で使うことが少ない、ということが、若手における「昭和ビジネス用語」への反応との違いとして結果に出ているのかもしれません。
2)どんな若者言葉が「伝わっていない」の?
今回、昭和世代に冒頭の若者言葉15語を、「知っているか・知らないか」のアンケートを取ってみました。そしてその結果をもとにして、【伝わらない「若者言葉」ランキング】を作成しました。気になる結果はこちら!

「伝わらない若者言葉」の第1位は、「顔ない」でした!
「顔ない」は、若者世代の中でも特に10代、20代前半の人が積極的に使っている印象があります。若者世代全体での知名度は18.1%と、さほど高くありませんでした。
ちなみに、4位にランクインしている「ノンデリ」は、弊社内の年上社員の中でも「知らない」という反応が特に多かったですが、筆者の肌感では、若者世代たちの間でかなり日常的な語彙として使われています。
こちらが「若者言葉」認知度の一覧です!

4 「昭和ビジネス用語」「若者言葉」両世代のホンネを紹介
最後に、両世代に「昭和ビジネス用語」「若者言葉」について思うところがあるか聞いてみました! 良いものから悪いものまで、忌憚ない意見をそのまま掲載します。
【昭和世代】
- 「『やばい』のようにシチュエーションや流れで意味が真逆になる言葉はビジネスでは使うべきではない。トラブルに繋がりかねないので」
- 「ビジネスの場で、世代間で伝わりにくいような言葉を避けるべきだと思う」
- 「使用規制せず双方寛容であればよいと思う」
- 「昭和もよいものがあるので覚えて欲しい」
- 「世代それぞれの言い方がある。おじさん、おばさんの言い方はバカにされ、若者だけが正しいような風潮がある」
- 「ある程度浸透している言葉は分かるが、すぐ消えてしまうような言葉は使うのを控えてもらいたい」
- 「(若者言葉は)できるだけ控えてほしい」
- 「最近の言葉は難しい」
【若者世代】
- 「両者の言葉をお互いが完全に理解して使うのは難しいと思う」
- 「コミュニケーションを取るために若者言葉を覚えてほしい」
- 「流行語ではなくいつでも通じる言葉で互いに喋りたい」
- 「お互いのコミュニケーションの為にも、分からない言葉は調べたりもしつつ、伝わらなければその場で説明をすればいいと思う」
- 「お互い歩み寄りたい」
- 「昭和ビジネス用語は嫌いです」
- 「若者用語もあると尚良い」
- 「若い世代の価値観や考えを受け入れる努力をして欲しい」
以上(2026年6月作成)
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「現状維持」思考が最大のリスク 2026年版 中小企業白書のポイント
目次
1 「人手不足」や「賃上げの負担」をどう乗り越える?
今、日本の中小企業の多くは、物価上昇や深刻化する人手不足のために、高水準の賃上げを続けざるを得ないという状況にあります。2026年版中小企業白書(以下「白書」)では、こうした状況を踏まえ、
- 経営環境の転換期にある中で、現状維持は最大のリスク
- 短期的な損益を追うのではなく、長期的な視点で事業構造・組織構造を再構築していく「戦略」を持った経営に転換し、「稼ぐ力」を高め、「強い中小企業」へと成長することが重要
と強調し、次のような内容について解説しています。

「稼ぐ力」の強化に関して、白書では、生産性向上・デジタル化などを含め幅広い課題を取り上げていますが、この記事では、
中小企業の切実な悩みである「人手不足」に焦点を当て、その解決策として「人材確保の方向性の見直し」「価格交渉(賃上げの原資づくり)」のポイントを紹介
します。なお、白書の詳細な内容を確認したい場合は、下記URLをご覧ください。
■中小企業庁「2026年版『中小企業白書』全文」■
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2026/PDF/chusho.html
2 もはや「待っていれば人が来る」という時代ではない
1)人材確保は経営者が特に重視する経営課題
白書によると、帝国データバンクが2025年11月から12月にかけて実施したウェブアンケート調査で明らかになった「最も重視する経営課題(企業規模別)」は次の通りです。

中規模企業、小規模事業者ともに「人材確保」を経営課題として重視していることが分かります。実際、「求人を出しても、さっぱり応募がない」という悩みを抱える社長は少なくありません。一方、いまだに「待っていれば人が来る」という淡い期待を抱いたまま、具体的な対策を検討していない中小企業も多く見受けられます。まずは、待ちの姿勢を脱却することから始めましょう。
日本の生産年齢人口(15~64歳人口)は減少傾向にあり、今後、人手不足は更に深刻化する見込みです。中小企業(従業員99人以下)における雇用者数は、2040年には2018年比で84.1%(15.9%減)にまで落ち込む可能性があります。つまり、これまでと同じやり方では、いずれ立ち行かなくなる恐れがあるわけです。

2)採用活動や就業環境への向き合い方を見直してみる
それではどうするか? 白書が示すヒントは、「闇雲に求人を出す」のではなく、
採用したい人材像を明確にする
ことです。実際、白書のアンケート調査では、
年齢・経験・スキル・価値観といった「求める人材像」を明確化できている企業ほど、採用実績(予定人数を確保できた割合)も、採用後の定着率も高い
という結果が出ています。「とりあえず人手が欲しい」ではなく、「どんな人に、どんな業務を任せたいか」を先に固めることが、ミスマッチによる早期離職を防ぎ最初の第一歩になります。
また、「採れる企業」「辞めない企業」になるための環境整備も欠かせません。白書では、人材の定着率が高い企業が実際に取り組んでいることとして、「賃上げ」の他、
- 休暇の取得推進
- 時間外労働の削減
- 柔軟な働き方の導入
を挙げています。さらに、自社の社員だけで人手不足を乗り切るのが難しい場合は、
- 副業・兼業人材
- 外国人材
- スポットワーク人材(単発・短時間の求人プラットフォーム経由の人材)
といった、社外の多様な人材を活用する選択肢もあります。特に副業・兼業人材については、人手不足の解消だけでなく、「自社にない技術やノウハウの獲得」「従業員のスキルアップ」につながったと回答する企業も多く、単なる労働力の補充以上の効果が報告されています。
3)「脱どんぶり勘定」で、良い人が集まり始めている
中小企業では、社長自らが陣頭指揮を取りながら現場を飛び回るケースが多いものです。そのため、ついつい社長の頭の中だけで様々な処理が行われ、「どんぶり勘定」になりがちです。
しかし、人手不足の中でも「不思議と人が辞めない企業」「新しい人が採れる企業」には共通点があります。それは、社長の勘に頼る経営を卒業し、財務や労務管理、業務プロセスなどの「仕組み化」に取り組んでいる点です。
「うちの企業は、この仕事でいくら儲かっているのか」「従業員の労働時間や有給の消化状況は適正か」これらを数値として「見える化」することで、無駄なコストや作業が浮き彫りになり、結果として企業に残る利益(営業純益)を増やすことができます。増えた利益は、賃上げや休暇制度の充実など、ここまで見てきた「採れる企業」「辞めない企業」になるための原資にもなります。
社長の役割は、現場で誰よりも働くことではなく、「少ない人数でも、しっかり利益が出て、社員に還元できる仕組み」を整えることにあります。
3 「原材料分」も「社員の給料分」も値上げ交渉して構わない
1)賃上げの原資確保に苦戦しながらも、賃上げせざるを得ない現実
人材確保に付いて回るのが「賃上げ」です。政府や世間から「賃上げ」を強く求められ、中小企業でも、2024年に「4.45%」、2025年に「4.65%」という高い賃上げ率が記録されました。

しかし、社長の本音は「そんな原資、うちのどこにあるんだ」というところでしょう。白書によると、中小企業の労働分配率(付加価値額に占める人件費の割合)は中規模企業が約7割、小規模企業が約8割と非常に高く、賃上げ余力は大企業と比べて小さいのが実情です。
にもかかわらず、多くの企業は既存社員の転職を防ぎ、新しい人材を採用するために賃上げする、いわゆる「防衛的な賃上げ」をせざるを得ず、実際、業績の改善が見られないにもかかわらず、賃上げに踏み切っている企業が4割を超えています。
2)取適法などに基づく価格交渉で原資の確保を
この問題に対し、白書が解決策として示しているものの1つが、「自社の製品・サービス価格への適切な転嫁(値上げ交渉)」です。これまで原材料や燃料費の高騰ばかりが注目されがちでしたが、これからは「社員の給料を上げるための人件費(労務費)の引き上げ」についても、堂々と発注元(取引先)に価格交渉をしようという考え方です。
2026年1月、長年の中小企業取引のルールだった下請法は、新しく「取適法(中小受託取引適正化法)」として生まれ変わりました。取適法では、適用対象となる取引の範囲を、「取引の内容」と「資本金基準」(資本金の額あるいは出資の総額)または「従業員基準」(常時使用する従業員の数)によって定めています。
今回の法改正で新たに追加された「従業員基準」は、
従業員数が多く事業規模が大きいのに、減資等により資本金額が少額となっていた事業者を適用対象に含める
ことで、より多くの取引関係における不公正な慣行を是正しようという狙いがあります。

黒字が「資本金基準」、赤字が「従業員基準」で、適用対象となる取引の発注者がどちらか1つでも該当する場合、取適法の適用を受けます。相手の資本金が小さくても、一定以上の従業員がいる企業からの発注であれば、受注者側の企業は法律で保護されます。
また、建設工事の取引には、さらに厳しい「建設業法」が適用されます。発注者が受注者に対して「労務費の引き上げ分(賃上げ分)を無視して、一方的に低い単価を押し付けること(買いたたき)」を明確に禁止しており、これも価格交渉をする上での重要な規定になります。
4 「何から始めればよい?」社長を助ける3つの強力な公的支援
人材を確保するための仕組みづくりや、賃上げ原資を確保するための価格交渉……色々とやらなければならないことはありますが、「資金もノウハウもないし、何から始めればよい?」と悩む社長は少なくないでしょう。そんな社長のための公的支援をいくつか紹介します。
1)機械の導入や新製品の開発時に使える「中小企業省力化投資補助金」「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」
少ない人数で現場を回すための「機械の導入」や「ITツールの活用」には補助金が使えます。例えば、「中小企業省力化投資補助金」は、付加価値額向上や生産性向上に効果的な自動化機器などをカタログから選択することで、比較的手軽に申請ができる補助金です。
また、2026年6月から始まった「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」も、新製品・新サービスの開発や新市場・高付加価値事業への進出を検討する場合に活用できる補助金です。
■中小企業省力化投資補助金■
https://shoryokuka.smrj.go.jp/
■中小機構 補助金活用ナビ「 新事業進出・ものづくり補助金のご案内」■
https://seisansei.smrj.go.jp/subsidy_info/business_manufacturing_subsidy.html
2)賃上げ時に活用できる「業務改善助成金」
事業場内で最も低い時給(事業場内最低賃金)を50円以上引き上げる計画を立て、同時に「業務を効率化するための設備(POSレジや専用什器など)」を購入した場合、その設備投資費用の一部が国から助成される「業務改善助成金」が活用できます。賃上げと職場の効率化を同時に進められる制度です。
■厚生労働省「業務改善助成金」■
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html
3)何から話せばいいか分からないときの駆け込み寺「よろず支援拠点」
補助金の種類が多すぎて選べないときや、価格交渉の進め方に悩んだ時は、各都道府県にある無料の相談窓口「よろず支援拠点」を頼りましょう。経営の専門家が、無料で社長のアドバイスに乗ってくれます。
■よろず支援拠点全国本部■
https://yorozu.smrj.go.jp/
現状維持は最大のリスクですが、裏を返せば「小さな第一歩」を踏み出した企業が、競合他社の一歩前に抜け出せるチャンスの時代でもあります。取引金融機関や、地元の商工会・商工会議所、よろず支援拠点などの専門家は、補助金活用から法改正への対応まで、社長の強力な味方になってくれます。
以上(2026年7月作成)
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2026年上半期 よく読まれた人気コンテンツランキング
早いもので、2026年も半年が過ぎました。上半期は、第2次高市内閣が発足、2月のミラノ・コルティナ2026では「りくりゅう」ペアが大逆転の金メダルを獲得するなど、さまざまなできごとがありました。また、税務や労務の面で、多岐にわたる制度改正が行われ、多くの経営者が情報収集に追われたことと思います。
どのような情報に多くの関心が集まったのか——2026年1月から6月までのアクセスをもとに、当サイトの「よく読まれた人気コンテンツ」をランキング形式でご紹介します!
どんなテーマに注目が集まったのかを振り返りながら、まだご覧になっていない記事がありましたら、この機会にぜひチェックしてみてください。
第1位
第2位
第3位
第4位
第5位
第6位
第7位
第8位
第9位
第10位
第11位
第12位
第13位
第14位
第15位
第16位
第17位
第18位
第19位
第20位
下半期も引き続き、少しでも皆さまの経営や業務に役立つ情報をお届けできるよう努めてまいります。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
以上(2026年7月作成)
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経営のヒントとなる言葉(石田三成)
「犬猫にも虎の斑(ふ)あり、然れども人、宝とせざるは、虎にあらざればなり。知恵ありて粉飾する故、犬猫にも虎になる紛(まぎ)れものあり、これ人の見違ふるところなり」(*)
出所:「名将名君に学ぶ 上司の心得」(PHP研究所)
冒頭の言葉は、
「部下の能力や資質を見極めることがリーダーの務めである」
ということを表しています。
三成といえば、小姓(こしょう)から奉行へと取り立てられるなど、秀吉にその才能を認められていたことは有名です。
秀吉が三成に目をかけるきっかけとして知られるのが、三杯の茶のエピソードです。領内で鷹狩りをしていた秀吉が、喉の渇きを覚えて、ある寺に立ち寄って茶を所望したところ、これに対応したのが三成でした。喉が渇いていた秀吉のことを思い、三成は最初に大ぶりの茶わんにぬるめの茶をいっぱいに入れて出しました。秀吉は一気にその茶を飲み干して、もう一杯頼みました。次に三成は、やや小さめの茶わんに、やや熱めにした茶を出しました。二杯目の茶を飲んだ後に秀吉が試しにもう一杯所望したところ、三成は小ぶりの茶わんに熱くたてた茶を出したというものです。三成の心配りに感動した秀吉は、三成を小姓として取り立てたといわれています。
秀吉には目をかけられていた三成ですが、同じく秀吉の子飼いの武将であった福島正則(ふくしままさのり)や加藤清正(かとうきよまさ)とは折り合いが悪かったようです。それは、三成のおごった態度が原因ともいわれています。
結局、三成は秀吉亡き後、関ヶ原の合戦において家康と対立し、敗北を喫したことによってその生涯を閉じました。
ちなみに、明治時代に陸軍大学校で教鞭を執ったプロシア(ドイツ)軍少佐のメッケルが関ヶ原の地を訪れた際、関ヶ原の合戦当時の布陣図を見て、「勝利したのは西軍だろう」と言ったというエピソードがあります。三成が率いた西軍の兵力や布陣においては、家康が率いた東軍よりも有利だったのです。
しかし、秀吉に仕えてきた多くの武将の支持を得られず、三成が敗れてしまったのは、三成をリーダーとしては認められない、家康のほうがリーダーとしてはふさわしいと考えた武将が多かったからだといえるでしょう。
三成と親しい間柄にあった大谷吉継(おおたによしつぐ)は、三成の挙兵を知った際に、「普段の横柄な態度では誰も三成に従わない」と言い、三成に挙兵を諦めさせようとしたとされます。また、吉継は次のような忠言も三成に呈したといわれています。
「貴殿才覚余れども、一大事の所不足なり」(**)
この言葉から、吉継は三成の才能を認めてはいたものの、リーダーの器ではないと考えていたとみることができるでしょう。
リーダーとして認められるためには、さまざまな資質が求められます。三成は執務能力の高さにおいては申し分ないといえる一方で、リーダーシップを十分に発揮することはできませんでした。
三成は周囲から執務能力が認められ、その点に自信を持っていたことによって、横柄な態度で接してしまったのかもしれません。また、「知恵ありて粉飾する故、犬猫にも虎になる紛れものあり」と冒頭の言葉にあるように、三成は人に警戒心を持って接し、全幅の信頼を置くことができなかったのかもしれません。
現代においても、リーダーにとって部下とは、自分に比べて至らない点が多く、頼りない存在に思えて、全面的に仕事を任せられないと思うことがあるかもしれません。
しかし、リーダーとは部下に支持されてこそのリーダーであり、部下から「この人についていこう」というふうに思ってもらう信頼関係を構築することが求められます。
そのためには、日ごろから横柄な態度を取ることなく自分を律して、部下の信頼に足るリーダーであるかをチェックしてみることが欠かせません。例えば、「部下の優れた資質、能力を認め、その点を伸ばそうとサポートしているか」「優柔不断ではなく、はっきりと決断を下す頼りがいのあるリーダーであるか」などです。
こうしたリーダーの姿勢が部下との信頼関係を構築する礎となります。また、リーダーの姿勢は組織に伝搬するものです。リーダーが求める理想の組織とは、リーダーの日ごろの行動の一つ一つによって形作られるものなのです。
【本文脚注】
本稿は、注記の各種参考文献などを参考に作成しています。本稿で記載している内容は作成および更新時点で明らかになっている情報を基にしており、将来にわたって内容の不変性や妥当性を担保するものではありません。また、本文中では内容に即した肩書を使用しています。加えて、経歴についても、代表的と思われるもののみを記載し、全てを網羅したものではありません。
【経歴】
いしだみつなり(1560~1600)。近江(おうみ)国(現在の滋賀県)生まれ。豊臣秀吉の家臣として、太閤検地や刀狩りなどに貢献。秀吉が亡くなった後、徳川家康と対立し、関ヶ原の合戦に敗れて処刑。
【参考文献】
(*)「名将名君に学ぶ 上司の心得」(童門冬二、PHP研究所、2007年5月)
(**)「河北新報 夕刊(1998年4月27日付)」(河北新報社、1998年4月)
「産経新聞 東京朝刊(2012年12月28日)」(産経新聞、2012年12月)
以上(2026年5月更新)
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【2026年7月号】ちょっと未来のニュース~制度改正、予定イベント&統計情報
少しだけ未来を見る、経営者のための月次ニュースレターです。7月、経営者が押さえておきたい法令・イベント・統計・政策の動きなどを紹介します。
1 制度改正編
7月に予定されている制度改正のうち、中小企業経営者が特に注意すべき2本を紹介します。
1)障害者雇用率の引き上げ(2026年7月1日~)
障害者雇用促進法では、常時雇用している社員数が一定以上の会社に対し、社員のうち身体障害者・知的障害者・精神障害者が占める割合を、一定の割合(障害雇用率)以上にするよう義務付けています。
障害雇用率は段階的に引き上げられています。これまでは、社員が40人以上の会社に対し、社員数の2.5%に相当する人数以上の障害者を常時雇用する義務が課せられていましたが、2026年7月1日からは、社員が37.5人以上の会社に対し、社員数の2.7%に相当する人数以上の障害者を常時雇用する義務が課せられます。
▶ 経営者のTo Do
- 自社が障害者雇用促進法の「法定雇用率」義務付けの対象となるかどうか確認する
- 障害者の労務管理を見直す(「障害者だから」という理由だけで差別をしていないか、障害者が働く上で必要な配慮(合理的配慮)ができているか など)
■高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用率制度」■
https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/q2k4vk000003mbma.html
2)旅券(パスポート)の申請手数料引き下げ(2026年7月1日〜)
旅券法、旅券法施行令の改正により、2026年7月1日以降の申請分から旅券(パスポート)の申請手数料が引き下げられます。これに伴って、2026年7月1日以降の申請分は、申請が受理された日から交付までに通常(約2週間)よりも時間を要することが想定されます。

▶ 経営者のTo Do
- 旅券(パスポート)の有効期間を確認する
- 海外渡航を予定しているが、旅券(パスポート)を取得していない、または有効期間が過ぎている場合、十分な余裕をもって申請する
■外務省「旅券手数料改定 関連情報」■
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ca/pss/pagew_000001_02493.html
2 イベント編
1)ワールドカップ2026 決勝トーナメント
4年に1度のサッカーの祭典、ワールドカップ2026。グループステージを突破した32チームによる決勝トーナメントが6月29日に始まり、7月20日には決勝戦を迎えます(いずれも日本時間)。日本代表チームは決勝トーナメント1回戦の対ブラジル戦で敗退しましたが、どの国が優勝するのか、誰が得点王になるのか、最後まで注目です。
2)富士山 山開き
富士山の開山期間は例年7月上旬~9月10日。この約2カ月間で、バスターミナルがある五合目には200万人以上、通行料の徴収など入山規制が行われるようになった今でも、山頂には20万人を超える登山客が訪れるといいます。
誰でも登って降りてこれると思うかもしれませんが、気温の変化や風の影響が非常に大きいため、十分な装備と準備が不可欠です。なお、2026年の開山予定は、吉田口・須走口が7月1日、富士宮口・御殿場口・山頂(お鉢めぐり)が7月10日です(6月25日時点)。
■富士山における適正利用推進協議会「富士登山オフィシャルサイト」■
https://www.fujisan-climb.jp/
3)メジャーリーグベースボール(MLB)オールスターゲーム2026
毎年7月に開催されるMLBオールスターゲーム。アメリカンリーグ、ナショナルリーグからファン投票や監督推薦などで選抜された名選手たちによる1試合限りの夢の競演です。
米国建国から250周年の節目に当たる今年のMLBオールスターゲームは、独立宣言採択の地フィラデルフィアのシチズンズ・バンク・パークで7月15日(日本時間)に開催されます。大谷翔平選手(ドジャース)ら、日本人メジャーリーガーの活躍も期待されます。
■MLB All-Star Game 2026■
https://www.mlb.com/all-star
4)第38回 ものづくり ワールド [東京]
7月1日〜3日にかけて、東京ビッグサイトにて開催される日本最大級の製造業の展示会です(主催:RX Japan)。IT、DX製品、部品、設備、装置、計測製品などを扱う企業(約2000社)が世界中から出展します。
■ものづくり ワールド [東京] 公式サイト■
https://www.manufacturing-world.jp/tokyo/ja-jp.html
5)メンテナンス・レジリエンス2026
7月15日〜17日にかけて、東京ビッグサイトにて開催される「製造業」「土木・建設業」のメンテナンスと設備の維持管理・保全に特化した専門展示会です(主催:日本能率協会)。インフラ老朽化対策や激甚化する自然災害への備え、深刻な人手不足といった社会課題の解決を目指し、建設・土木業界、製造業、自治体などの関係者が一堂に会する大型展示会で、計11の専門展示会によって構成されています。
■メンテナンス・レジリエンス2026■
https://mente.jma.or.jp/
3 統計・政策情報編
7月は日銀短観(四半期ごと)の公表が行われる他、春闘(春季生活闘争)の妥結結果が固まる時期でもあります。図表2に、本章で取り上げる統計・政策文書の一覧を示します。

1)日銀短観(全国企業短期経済観測調査)6月調査
日本銀行が全国の企業などに直接アンケートを行い、景気が「良い」と答えた割合から「悪い」を引いた景況感(業況判断DI)を算出します。
2月末から数カ月にわたり長期化しているホルムズ海峡封鎖に伴うナフサショックや、円安などの影響が、経済活動にどの程度ダメージ(仕入価格の上昇・収益の圧迫)を与えているかが初めて明確なデータとして表れます。特に注目すべきは、中小企業の「仕入価格判断DI」と「販売価格判断DI」の乖離幅です。他の中小企業が原材料などの高騰分をどれくらい価格転嫁できているかを紐解くヒントとなります。
■日本銀行「短観(調査全容)一覧 2026年~」■
https://www.boj.or.jp/statistics/tk/zenyo/2026/index.htm
2)2026年春闘 第7回(最終)回答集計
連合(日本労働組合総連合会)から、2026年春闘の第7回(最終)回答集計が公表されます。賃上げ率・賃上げ額の最終的な「相場」が分かる他、組合員数300人未満の「中小組合」の賃上げ状況も別掲されるため、大手と中小の賃上げ格差を確認できます。
ここ数年、約30年ぶりともいわれる高水準の賃上げが続いており、2026年春闘では「こだわろう! くらしの向上 ひろげよう! 仲間の輪」をスローガンに、全体で賃上げ分3%以上、定昇相当分(賃金カーブ維持相当分)を含め5%以上の実現が目標として掲げられています。
3)情報通信白書(令和8年版)
情報通信白書は、総務省が公表する、国内外のICT(インターネット・スマホ・通信インフラ・デジタル経済など)の動向や課題、国の情報通信政策の方向性をまとめた白書です。
近年は、爆発的な進化を遂げるAIの技術開発や導入の状況なども掲載されており、会社における今後のAI活用を考える際の参考にもなります。
4)中小企業実態基本調査(令和7年確報・令和6年度決算実績)
中小企業実態基本調査は、中小企業庁が、全国の約11万社の中小企業を対象に毎年実施する業種横断的な実態調査です。中小企業の従業者数、資産・負債・純資産、売上高・営業費用、設備投資とリースの状況など幅広い内容が分かります。
社長(個人事業主を含む)の年齢構成、就任経緯(創業者か親族内承継かなど)、事業承継の意向など、社長個人に踏み込んだ項目も記載されており、事業承継を検討する際の参考にもなります。
■中小企業庁「中小企業実態基本調査」■
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/kihon/index.html
4 話題のタネ
訪問時の雑談のきっかけに。7月ならではのトピックを集めました。
1)七夕は、天気が良くない?
毎年7月7日の「七夕」は、願いごとを書いた短冊を笹竹に飾り、星に祈りを捧げる日本の伝統的なイベントです。織姫と彦星が一年に一度、天の川を渡って会えるロマンチックな日とも言われていますが、梅雨まっただ中のこの時期、晴れる年は少ないようです。
気象庁の基準では、「1日の降水量が1.0mm未満」かつ「日平均雲量が8.5未満」の日を「晴れ」と定義していますが、過去の気象データを基に天気出現率(1991年〜2020年の30年間統計)を計算すると、例えば、東京の7月7日の晴天率は30.0%となります。
■気象庁「過去の気象データ検索」■
https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/index.php
2)「海の日」のルーツは?
毎年7月の第3月曜日は国民の祝日「海の日」。海の恩恵に感謝し、海洋国日本の繁栄を願う日です。
1876年に明治天皇が灯台巡視船「明治丸」で横浜港に帰着した7月20日が「海の日」のルーツで、今年は150年目の節目にも当たります。
■政府広報オンライン「2026年の祝日は?知ってそうで知らない『国民の祝日』とその趣旨や経緯」■
https://www.gov-online.go.jp/article/202112/entry-9910.html
3)土曜の丑の日、「完全養殖ウナギ」が食べられる日も近い?
2026年の「土用の丑の日」は7月26日。季節の変わり目である「土用」の期間に巡ってくる「丑の日」に、無病息災を願って「う」のつく食べ物を食べる風習は古くからあり、江戸時代、発明家として知られる平賀源内が土用の丑の日に「ウナギ」を食べる習慣を広めた説もあります。
今年は、水産庁の委託事業で生産された人工種苗のシラスウナギを成鰻まで養殖した「完全養殖ウナギ」の蒲焼きが試験販売され、話題となりました。なお、当初の販売期間は7月20日までの予定でしたが、既に完売状態となっています。
■水産研究・教育機構「完全養殖ウナギ蒲焼の試験販売」■
https://www.fra.go.jp/home/kenkyushokai/press/pr2026/20260520_press_unagi.html
以上(2026年6月作成)
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画像:日本情報マート