1 2026年末の年末調整の作業に係る改正は4点
年末調整は、役員、従業員・パート社員(以下「従業員」)の源泉所得税の最終調整を行うものです。年に1度の作業である上、改正も頻繁に行われるため、毎年よく分からず、前年と同じような作業を繰り返すだけという方も多いのではないでしょうか。
しかし、確定申告を自分でしない場合、自身が源泉所得税の還付を受けられる唯一の作業になるため、改正点を踏まえた上で、正確な書類を作成するようにしましょう。
今回(2026年末)の年末調整の作業に係る改正は、次の4点です。
1.基礎控除の再引き上げ(2026・2027年分の特例)
合計所得金額に応じた基礎控除額が、昨年からさらに引き上げられ、2026・2027年分については16万~104万円(改正前は16万~95万円)となります。
2.給与所得控除の引き上げ
給与所得控除の最低保障額が74万円(改正前は65万円)に引き上げられます。あわせて、給与等の収入金額が69万1000円以上220万円未満の場合の給与所得の金額が、次の通り定められました。
【給与等の収入金額が220万円未満の場合(2026年分)】
| 給与等の収入金額 |
69万1000円以上 74万1000円未満 |
74万1000円以上 219万1000円未満 |
219万1000円以上 219万3000円未満 |
219万3000円以上 219万6000円未満 |
219万6000円以上 220万円未満 |
その給与等に係る 給与所得の金額 |
なし |
その収入金額 -74万円 |
145万1000円 |
145万3000円 |
145万6000円 |
(出所:国税庁「年末調整のしおり」)
3.扶養親族控除・配偶者控除・勤労学生控除等の所得要件のさらなる緩和
基礎控除額の引き上げに伴い、扶養親族等の所得要件がさらに緩和されます。それぞれ所得要件が、
- 扶養親族控除(同一生計配偶者を含む)は62万円以下(改正前は58万円以下)
- 配偶者特別控除の対象となる配偶者は62万円超133万円以下(改正前は58万円超133万円以下)
- 特定親族特別控除の対象となる特定親族は62万円超123万円以下(改正前は58万円超123万円以下)
- 勤労学生控除は89万円以下(改正前は85万円以下)
にそれぞれ緩和されます。
4.年齢23歳未満の扶養親族を有する場合の生命保険料控除の特例の新設
令和8年分・9年分について、新生命保険料(2012年1月1日以後に契約した一般の生命保険料)に係る一般の生命保険料控除の計算方法が新設され、年齢23歳未満の扶養親族がいる場合には、控除限度額が6万円(通常は4万円)に引き上げられます。子育て世帯の教育費・保険料負担の増加に配慮した措置です。
これらの改正は、原則として2026年12月1日に施行され、2026年分以後の所得税について適用されます。このため今年(2026年)12月に行う年末調整などの源泉徴収事務に変更が生じます。
以降では、2026年の年末調整でほとんどの従業員が記入しなければならない主な申告書である、
- 令和8年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書
- 令和8年分 給与所得者の保険料控除申告書
- 令和9年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(扶養控除等申告書)
の書き方について、項目ごとに詳しく解説していきます。
また、各章では次のような形で、経理担当者向けに「年末調整について、従業員から聞かれる可能性のある質問とそれに対する答え方」を紹介しているので、併せてご確認ください。
【従業員からこんなことを聞かれたら?】
Q.今年の改正で従業員への影響が一番大きいのはどれですか?
A.「3.扶養親族等の所得要件の緩和」と「4.生命保険料控除の特例」です。特にパート・アルバイトで働く配偶者や学生の子どもがいる従業員は、いわゆる「年収の壁」の金額が変わるため、扶養控除等申告書や特定親族特別控除申告書の記載内容を見直す必要があるケースが多くなります。
2 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書

1)給与所得者の基礎控除申告書【対象:従業員全員】
「あなたの本年中の合計所得金額の見積額の計算」の欄には、給与明細書などを参考に、2026年中の給与所得の「収入金額」を記載します。所得金額については、申告書の裏面に掲載されている「各申告書の合計所得金額について」で紹介されている国税庁のウェブサイトを参考に計算します。また、給与所得以外に所得がある場合は、2026年中の合計所得金額の見積額を記載します。
次に、控除額の計算の判定欄のA~Cのいずれかを「区分Ⅰ」に転記し(合計所得金額の見積額が1000万円超の人は空欄)、かつ合計所得金額の見積額を、左の「控除額の計算」の表に当てはめ、該当する控除額を「基礎控除の額」に転記します。
昨年から変更された主な箇所は、下記の点です。
- 基礎控除額が、合計所得金額に応じて16万~104万円(昨年は16万~95万円)に引き上げられている(2026・2027年分限定の時限措置)
【従業員からこんなことを聞かれたら?】
Q.基礎控除の金額はどうやって確認すればいいですか?
A.申告書の「控除額の計算」の表に、本人の合計所得金額の見積額を当てはめれば分かります。給与収入のみの方であれば、給与収入の金額から目安の合計所得金額を確認し、表と照らし合わせるとスムーズです。正確な金額の計算方法は、国税庁ホームページの「合計所得金額の計算について」を確認してください。
Q.副業をしている場合、基礎控除額の計算に副業収入は関係しますか?
A.関係します。「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」には、給与所得だけでなく、副業(雑所得・事業所得など)を含めた本年中のすべての所得の合計見積額を記載する必要があります。副業収入を含めずに記載すると、年末調整のやり直しや確定申告が必要になる場合があるため、必ず含めるようにしてください。
2)給与所得者の配偶者控除等申告書【対象:年間合計所得が133万円以下の配偶者がいる人】
配偶者に関する事項を記載し、「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額の計算」の欄には、上記1)と同様に配偶者の給与明細書などを参考に、2026年中の給与所得の「収入金額」を記載します。所得金額については、申告書の裏面に掲載されている「各申告書の合計所得金額について」で紹介されている国税庁のウェブサイトを参考に計算します。また、給与所得以外に所得がある場合は、2026年中の合計所得金額の見積額を記載します。
次に、「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額の計算」の判定欄の①~④のいずれかを区分Ⅱに転記します。区分Ⅰ・Ⅱに記載したアルファベットと数字を下の「控除額の計算」の表に当てはめ、該当する控除額を配偶者控除の額または配偶者特別控除の額の欄にそれぞれ転記します。
なお、区分Ⅱの欄が①または②の場合は配偶者控除の額の欄に、③または④の場合は配偶者特別控除の額の欄に金額を転記します。
昨年から変更された主な箇所は、下記の点です。
- 区分Ⅱの判定欄における所得要件の下限金額が、58万円超から62万円超に変更されている
【従業員からこんなことを聞かれたら?】
Q.いわゆる「年収の壁」が変わったと聞きました。今年はいくらまで働けますか?
A.配偶者控除・配偶者特別控除に関しては、合計所得133万円(給与収入のみの場合207万円)が上限である点は変わっていません。ただし、控除額の判定に使う所得要件の下限が62万円(給与収入136万円)に引き上げられたため、判定区分の境目が例年より上がっています。個別の金額判断は本人の状況によるため、正確な見積額は配偶者の給与明細等で確認しましょう。
Q.配偶者控除等申告書は配偶者の所得が増えたら都度出し直す必要がありますか?
A.年の途中で配偶者の所得の見積りが大きく変わった場合は、扶養控除等(異動)申告書と同様に、異動申告(訂正)をしてもらう必要があります。訂正する部分を二重線で消し、余白に正しい内容を記載して下さい。
3)給与所得者の特定親族特別控除申告書【対象:合計所得が62万円超123万円以下の19歳以上23歳未満の子供がいる人】
特定親族に関する事項を記載し、「特定親族の本年中の合計所得金額の見積額」の欄には、特定親族の給与所得のみだけでなく、全ての所得の合計金額を記載します。それぞれの所得金額については、申告書の裏面に掲載されている「各申告書の合計所得金額について」で紹介されている国税庁のウェブサイトを参考に計算します。
次に、合計所得金額の見積額を下の「控除額の計算」の表に当てはめ、該当する控除額を「特定親族特別控除の額」に転記します。
この項目は2025年分から新設された項目で、2026年分についても引き続き適用されます。
昨年から変更された主な箇所は、下記の点です。
- 特定親族の所得要件の下限金額が、58万円超から62万円超に変更されている
【従業員からこんなことを聞かれたら?】
Q.「特定親族」と「特定扶養親族」はどう違うのですか?
A.「特定扶養親族」は19歳以上23歳未満の子で合計所得62万円以下の人(扶養控除の対象)、「特定親族」は同じ年齢層で合計所得が62万円超123万円以下の人(特定親族特別控除の対象)です。子どものアルバイト収入の増減によって、年の途中でどちらに該当するかが変わることがあるため、扶養控除等申告書の「特定親族」チェック欄と、この特定親族特別控除申告書のどちらに記載すべきか、都度確認してください。
4)所得金額調整控除申告書【対象:給与等の収入金額が850万円を超える人】
給与等の収入金額が850万円を超え、かつ扶養親族が特別障害者であること、または23歳未満(2004年1月2日以後生まれ)などに該当する場合は、要件欄のいずれか該当する項目にチェックを付けます。要件欄の指示に沿って「☆扶養親族等」の欄に該当する扶養親族等に関する事項と、「★特別障害者」の欄に障害の状態や交付を受けている手帳の種類などを記載します。
3 給与所得者の保険料控除申告書

1)生命保険料控除【対象:生命保険に加入している人】
生命保険料控除の欄には、2026年中に支払った一般の生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料に関する事項を記載します。
それぞれの区分ごとに、保険会社から郵送される「保険料控除証明書」の内容を転記します。なお、保険料控除証明書をインターネット上で電子発行できるサービスもあるため、各社のウェブサイトなどから電子発行を受けることもできます(ID取得のため、証券番号などの登録が必要)。
一般の生命保険料と個人年金保険料については、保険の契約時により、取り扱い(所得控除額)が異なります。2011年12月31日以前に契約したものは旧保険契約として、2012年1月1日以後に契約したものは新保険契約として取り扱われます。
それぞれ旧保険契約に係る所得控除額は最高5万円、新保険契約に係る所得控除額は最高4万円となります。ただし、2026・2027年分については、23歳未満の扶養親族がいる場合、新保険契約のうち一般の生命保険料に係る控除限度額が最高6万円に引き上げられる特例が新設されました。23歳未満の扶養親族のマイナンバーや生年月日などを記入する欄も追加されているので、適用を受ける場合には、記入忘れがないように注意しましょう。
実務上は、保険会社から郵送される「保険料控除証明書」に記載されている内容を、申告書に転記してもらうことになります。月払いにより保険料を払い込んでいる場合は、控除証明書の発行日までの保険料の他、年間(12月31日まで)の見積払込保険料が記載されていることが多くあります。12月31日まで保険を継続しているのであれば、年間払込保険料を申告書に転記すれば問題はありません(後述の地震保険・社会保険・小規模企業共済も同様)。
もし、発行日から12月31日までの間に解約し、実際の年間払込保険料と、保険料控除証明書に記載してある見積払込保険料に相違がある場合は、実際の年間払込保険料を申告するようにしましょう。
昨年から変更された主な箇所は、下記の点です。
- 年齢23歳未満の扶養親族がいる場合、新保険契約のうち一般の生命保険料に係る控除限度額が最高6万円に引き上げられる特例が新設されている
【従業員からこんなことを聞かれたら?】
Q.子どもが2026年中に23歳になったら、この特例は使えなくなりますか?
A.判定は年末調整を行う年の末日(12月31日)時点の年齢で行います。年の途中で23歳になった場合は、その時点で「23歳未満の扶養親族」に該当しなくなるため、原則として特例の対象外となります。
Q.契約者は自分(従業員)だが、保険の被保険者は子どもという保険がある場合、この特例の対象になりますか?
A.この特例は「支払った保険料の区分(新生命保険料かどうか)」と「23歳未満の扶養親族の有無」で判定するものであり、保険の被保険者が誰であるかは直接の要件ではありません。ただし、生命保険料控除の対象となるためには保険金等の受取人が本人・配偶者・親族である必要があるため、通常の生命保険料控除の要件と合わせて確認してください。
2)地震保険料控除【対象:地震保険に加入している人】
地震保険料控除の欄には、2026年中に支払った地震保険料に関する事項を記載します。地震保険料と一緒に支払いをしている火災保険料は対象になりません。ただし、2006年12月31日以前に契約した長期損害保険契約等については、一定の金額が控除の対象になります。
3)社会保険料控除【対象:国民健康保険など一定の保険に加入している人】
社会保険料控除の欄には、2026年中に支払った従業員本人または従業員本人と生計を一にしている親族分の、次の保険料に関する事項を記載します。
- 国民健康保険の保険料や国民健康保険税
- 健康保険、厚生年金保険や船員保険の保険料
- 介護保険法の規定による介護保険の保険料
- 国民年金の保険料や国民年金基金の加入員として負担する掛金
- 農業年金の保険料や雇用保険の労働保険料など
4)小規模企業共済等掛金控除【対象:小規模企業共済やiDeCoに加入している人】
小規模企業共済等掛金控除の欄には、2026年中に支払った小規模企業共済と確定拠出年金の掛金の金額を記載します。なお、個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金は、この欄の「個人型」に記載することになります。
4 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(扶養控除等申告書)

1)氏名・個人番号(マイナンバー)・生年月日等【対象:従業員全員】
従業員の氏名、個人番号(マイナンバー)、住所又は居所、生年月日、世帯主の氏名と続柄、配偶者の有無を記載します。マイナンバーについては記述を省略する会社もあります。
2)源泉控除対象配偶者【対象:翌年の合計所得金額(見積額)が95万円以下の配偶者がいる人】
源泉控除対象配偶者の欄には、次の要件を満たした配偶者がいる場合に記載します。
- 従業員(合計所得金額の見積額が900万円以下の人に限る)と生計を一にする配偶者
- その配偶者が青色事業専従者として給与の支払いを受ける人及び白色事業専従者でないこと
- その配偶者の2027年中の合計所得金額(見積額)が95万円以下であること
なお、非居住者である親族(国外に住んでいる親族)の項目については、該当する親族がいる場合に、該当チェック欄にチェックマークを記入し、チェック欄の区分に応じた添付書類(パスポートやビザなど)も併せて提出することになります(下記「3)源泉控除対象親族(16歳以上)」の欄についても同様)。
昨年から変更された主な箇所は、下記の1点です。
- 給与所得のみの場合の収入換算額が160万円から169万円に変更されている(合計所得95万円という基準自体は変更なし)
【従業員からこんなことを聞かれたら?】
Q.「配偶者の年収の壁」が変わったと聞きましたが、扶養控除等申告書に書く配偶者の収入の目安はいくらですか?
A.扶養控除等申告書の「源泉控除対象配偶者」欄に記載できるのは、配偶者の合計所得95万円以下(給与収入のみの場合は169万円以下)の場合です。この基準は月々の源泉徴収税額の計算に使われるもので、年末調整で最終的に受けられる配偶者控除・配偶者特別控除の上限(合計所得133万円、給与収入207万円)とは別の基準である点に注意してください。
3)源泉控除対象親族(16歳以上)【対象:16歳以上の扶養親族がいる人】
源泉控除対象親族(16歳以上)の欄には、扶養控除の対象である次の親族がいる場合に記載します。
- 16歳以上(2012年1月1日以前生まれ)の親族
- 上記の親族が従業員と生計を一にしていること
- 上記の親族の年間の合計所得金額が62万円以下であること
なお、19歳以上23歳未満(2005年1月2日~2009年1月1日生まれ)の親族を「特定扶養親族」といい、70歳以上(1958年1月1日以前生まれ)の親族を「老人扶養親族」といいます。これらに加えて、冒頭で解説した「特定親族」に該当する親族がいる場合は、チェックマークを付す箇所があるので忘れないようにしましょう。
また、非居住扶養親族がいる場合は、生計を一にする事実として、1年間に実際に送金した金額を記載する欄があります。この欄には、2026年末に見積額ではなく実際の送金額を追加で記載すると同時に、送金関係書類を提出しなければならない点に注意しましょう。
昨年から変更された主な箇所は、下記の1点です。
- 所得要件が58万円以下(給与収入123万円以下)から62万円以下(給与収入136万円以下)に緩和されている
【従業員からこんなことを聞かれたら?】
Q.子ども(大学生)のアルバイト収入が増えて、扶養から外れそうです。何を確認すればいいですか?
A.まず、子どもの2026年中の合計所得金額の見積額を計算してもらいましょう。給与収入のみの場合、
・62万円以下(収入136万円以下):扶養親族(19歳以上23歳未満なら特定扶養親族)になる
・62万円超123万円以下(収入136万円超197万円以下):特定親族特別控除の対象となる「特定親族」に切り替わる
・123万円(収入197万円)超:いずれの控除も受けられなくなる
というルールになっています。年の途中で見積りが変わった場合は、扶養控除等(異動)申告書の異動申告(二重線での訂正)が必要になります。
4)障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生【対象:左のいずれかに該当する人】
障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生の欄には、従業員本人が障害者である場合(生計を一にする配偶者や扶養親族が障害者の場合を含む)や、寡婦、ひとり親である場合、学校に通いながら働いている場合に記載します。
障害者とは、身体障害者手帳に身体上の障害がある者として記載されている人など、一定の障害者をいいます。なお、特定親族は障害者控除の対象外となります。
寡婦とは、合計所得金額の見積額が500万円以下で、夫と死別または離婚した後に再婚をしていない人などをいいます。
ひとり親とは、合計所得金額の見積額が500万円以下で、現在婚姻しておらず(未婚や配偶者の生死が明らかでない場合で、かつ事実上婚姻関係にあるパートナーなどがいない状況)、生計を一にする子供がいる人をいいます。なお、2019年までの年末調整項目であった「寡夫」はひとり親に含まれます。
勤労学生とは、合計所得金額の見積額が89万円以下で、大学などの学生や一定の要件を備えた専修学校の生徒などをいいます。ただし、給与所得等以外の所得が10万円を超える人を除きます。
昨年から変更された箇所は、次の1点です。
- 勤労学生の所得要件が85万円以下から89万円以下に緩和されている
【従業員からこんなことを聞かれたら?】
Q.「学生アルバイトの年収の壁」も変わったのですか?
A.勤労学生控除の所得要件が89万円以下(給与収入163万円以下)に緩和されました。ただし、これは勤労学生控除(本人の控除)の話であり、学生本人が「扶養親族」として親の扶養控除等の対象になるかどうかの基準(合計所得62万円以下、給与収入136万円以下)とは別の基準です。両方に該当するケースもあれば、片方だけに該当するケースもあるため、混同しないよう注意しましょう。
5)他の所得者が控除を受ける扶養親族等【対象:夫または妻が、子供の扶養控除の適用を受けている人】
他の所得者が控除を受ける扶養親族等の欄には、夫婦が共働きなど、この申告書を提出する人以外の人が、家族を扶養親族としている場合に記載します。例えば、子供(控除対象親族)がいる共働きの夫婦のうち、夫が扶養控除を受ける場合に、その妻はこの欄に夫と子供の氏名等を記載します。
6)16歳未満の扶養親族【対象:16歳未満の扶養親族がいる人】
16歳未満の扶養親族の欄には、16歳未満(2012年1月2日以後生まれ)の扶養親族がいる場合に記載します。
7)退職手当等を有する配偶者・扶養親族・特定親族【対象:2027年中に左に該当する配偶者・扶養親族・特定親族がいる人】
退職手当等を有する配偶者・扶養親族・特定親族の欄には、2027年中に退職所得をもらう予定のある配偶者・扶養親族・特定親族がいる場合に記載します。この欄については、2027年末に記載してもらう欄となりますので、2026年末においては空欄で提出することになります。
なお、扶養控除等(異動)申告書は、その年、最初に給与をもらう日の前日(中途採用の場合は、就職後最初の給与の支払いを受ける日の前日)までに提出してもらいます。そのため、実務上は、年末調整の際に配布される申告書は翌年分(令和8年分の場合は令和9年分)であるのが一般的です。
もし、年の中途で扶養親族の状況などに変化があった場合には、その都度、異動申告をしてもらう必要があります(2026年中のものは、2025年末に提出してもらった令和8年分を修正)。この場合、年末調整の対象となる年分の扶養控除等(異動)申告書に訂正する部分を二重線で消し、余白に新しい情報を記載し、「異動月日及び事由」の欄にもその旨を記載します。
以上(2026年10月作成)
(監修 税理士 石田和也)
pj30231
画像:ChatGPT