AI活用を推進するためには、利用を黙認・禁止するのではなく、正しい使い方を明確に示すことが重要です。
そこで本稿では、AI活用ガイドラインの目的や構成、データ入力や出力結果の取扱い、業務別の活用例を整理しています。生産性向上と法的リスク管理の両立を目指す企業にとって、実務に直結する内容となっています。
ビジネス文書・法令文書 今月の特集は、こちらからお読みいただけます。
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AI活用を推進するためには、利用を黙認・禁止するのではなく、正しい使い方を明確に示すことが重要です。
そこで本稿では、AI活用ガイドラインの目的や構成、データ入力や出力結果の取扱い、業務別の活用例を整理しています。生産性向上と法的リスク管理の両立を目指す企業にとって、実務に直結する内容となっています。
ビジネス文書・法令文書 今月の特集は、こちらからお読みいただけます。
目次
全国的に人材獲得競争が激化する中で、地方の中小企業が求職者から選ばれるのは至難の業です。特に、給与や知名度で大手企業に勝つことはできません。求人媒体に掲載しても、「たまたま来る人」に頼る採用活動が続き、多くの企業が悩みを抱えています。
そんな中、東京八王子市にある創業40年を超える廃棄物清掃会社、
には、驚くべき現象が起きています。
清掃業という一般的に不人気とされる業界、かつ地方都市でありながら、なんと
募集を止めていても月に最大4〜5人程度の応募が来る
というのです。
代表の高野正人氏が実践してきたのは、特別なIT投資や奇策ではありません。「会社の内部を徹底的に磨き上げる」という、どんな企業でも再現可能な泥臭い努力の積み重ねでした。
「お金をかけずに人が集まる仕組み」をどう作ったのか。高野氏の挑戦を通して、採用成功の本質を紐解きます。
株式会社まごころ清掃社は、八王子市で40年以上の歴史を持つ廃棄物清掃会社です。高野氏が約3年前に代表に就任するまで、同社は全国の中小企業と同じ悩みを抱えていました。
高野氏自身、人手不足で早朝から休みなく働き、急遽ドライバーとして現場に出ることもあったといいます。社員の中には、自分の仕事に誇りを持てず、下を向いて働いたり、退職したりする人も少なくありませんでした。
しかし、高野氏が掲げた目標は「業界イメージの変革」と「社員が誇りを持てる会社づくり」。結果、現在の同社は、
という、地方の中小企業としては異例の成功を収めています。この成功の裏側には、給料でも知名度でもない、「会社の内部価値」を高める10の行動がありました。
約20年前、高野氏がまごころ清掃社に入社した当時、同社は採用の前に、まず「組織の空気」という深刻な課題を抱えていました。
「社員は仕事を誇れず、退職する人や、下を向いて働く人が多かった」
これは、給与水準や待遇といった外的な要因ではなく、「自分の仕事に意味を見いだせない」という内的な要因が引き起こす問題です。社員が自社の仕事に誇りを持てなければ、友人や家族に自信を持って会社を紹介することはできません。結果、採用は停滞し、優秀な人材は流出し続けます。
まさに、多くの地方中小企業が直面する「負のスパイラル」の入り口でした。
人手不足に陥ると、多くの企業は「給料を上げる」「求人媒体に掲載する」という短期的な解決策に頼ります。まごころ清掃社も以前はそうでした。
「従来の求人媒体では差別化が難しく、人材不足に落ち入り急遽トラックを運転したことも」
地方中小企業にとって、大手と同じ土俵(給与やブランド力)で戦う求人広告への依存は「負け戦」です。給料の高い企業に人は流れていき、残るのは「たまたま応募してきた人」。当然、定着率は低く、会社の魅力は一向に高まりません。
高野氏は、この「外に頼る採用」を根本から変え、「会社の内部を磨くことこそが本質である」と舵を切ります。
高野氏が会社を変えるために、まず着手したのは「採用施策」ではなく、
組織の空気と文化の改善
でした。しかも、一切お金がかからない「泥臭い行動」の徹底です。
それは、「挨拶」「笑顔」「大きな声」の徹底です。
「『がんばろう』の『がん』は『顔』。顔を張ろう、笑顔で行こうという意味」
頑張るとは笑顔で頑張ること。高野氏は、社内一の大きな声で挨拶をし、社員をポジティブの渦に巻き込んでいきました。このシンプルな行動の積み重ねが、会社の透明性と活気につながり、社外から見た「魅力」の土台を作ったのです。

清掃業は「きつい、汚い、臭い」という3Kのイメージが付きまといます。高野氏はこのイメージを払拭するために、「綺麗・気持ちイイ・感動を与える」=3Kという企業理念を策定。そして、企業理念をあらゆる手法で表現していきます。その中心的な取り組みが、カッコいい清掃服を制作して、社員に配布したことでした。
「カッコいい作業服は、社員の家族にも配布。社員から、妻が気に入って買い物の際、着ていっていますという声も」
さらに、高野氏は、清掃業の仕事の本質を社員に訴え続けました。清掃業は、実は
あらゆる業種とつながっている
仕事です。どの会社にもゴミが出ます。この視点を持つことで、社員は単なる作業員ではなく、「社会の裏側を支えている」という誇りを持つことができます。仕事の意味が深まることで、社員は自らの業務に情熱を持てるようになり、それが企業の定着率と採用力に直結しました。

まごころ清掃社は現在、約200の福利厚生制度があります。この「数」へのこだわりは、見栄ではありません。
高野氏の戦略は、「社員の生活に必要な支出を会社の中で内製化することで、社員の手元に残るお金を増やす」という、地方中小企業ならではの現実的なアプローチです。
具体的な例として、
これらは、給与を大幅に上げずとも、社員の生活を実質的に楽にし、
心に余白
を生み出します。生活の安定は心の安定につながり、離職率の低下に大きく貢献しています。

会社の魅力を発信する際、高野氏はSNSやホームページの運営を
若い世代に全面的に
任せました。
「若い世代に会社のSNSやホームページの運営を任せ、ドローン撮影など新しい技術も取り入れる」
彼らは、外から見て「何が面白いか」「何がクールか」を知っています。彼らの視点で撮影されたドローン映像や、「子ども工場長」シリーズは、通常は閉鎖的に見られがちな工場内の様子を、あえてオープンに、魅力的に発信しました。
これは単なる情報発信ではなく、「若い社員の感性を信頼し、権限を移譲する」というメッセージでもあります。この「透明性」と「信頼」こそが、求職者にとって最大の魅力となりました。さらに、高野氏の業界改革に挑むストーリーを紹介したTikTokメディア「社長の名は」では、490万回の再生数を記録しました。時代の変化に併せて効果的に情報発信をしていきました。


高野氏は、月に一回のイベントを目標とし、社員の趣味に合わせたボウリング部やサウナ部などの部活動を創設しました。
「イベント後には社員の結束力が高まり、仕事以外での良い思い出ができている」
これは、単に「仲良しクラブ」を作るためではありません。講演会や外部講師を招いた学びの場、そして仕事以外の共通体験は、
部署や世代を超えた人間関係
を構築し、コミュニケーションを円滑にします。社員が互いを理解し合うことで、現場での連携が強まり、生産性の向上にもつながっているのです。

第3章の「笑顔と挨拶」をさらに深めたのが、「感謝のゲーム化」です。高野氏自身、
「一日24個のありがとうを言われる」というゲームを自分に課しています」
これは、社員一人ひとりが、お客様や仲間に対して能動的に感謝される行動を意識する文化を醸成しました。「当たり前」の反対は「ありがとう」という理念のもと、
会社全体でポジティブな行動が循環
し、それが結果的に「良い会社」という評判として外ににじみ出し、応募者を引き寄せる最大の要因となりました。
採用の成功は、会社単体の努力ではなく、「街との関係性」からも生まれます。まごころ清掃社は、八王子市との連携や、「ドリームフェスタ」という子供向けのイベント主催を通じて、地域に深く根ざした活動を行っています。
さらに、2024年、八王子に眠っていた修道院跡地を買収。「まごころファーム」と名付けられた蘇った施設内に畑や動物(ヤギ、マイクロピッグ)を置き、地域の人々が訪れる「学びの場」として開放しています。
「通常は閉鎖的に見られがちな清掃業だからこそ、積極的に地域の人々との距離を縮めていっています」
これにより、清掃業という仕事や、そこで働く社員のイメージが、地域の子どもや親御さんにとってポジティブなものに変わります。採用活動は、求人広告ではなく、
地域との関わりの中
から自然発生的に生まれるようになったのです。

高野氏は、採用に悩む中小企業の経営者に対し、最後にシンプルなアドバイスを贈っています。
「孤立せずに外に出て様々な人と話し、異なる手法やテクニックを学ぶことの重要性」
高野氏自身、青年会議所での12年間の活動を通じて、100回以上の講演を聞き、約1万人の仲間と交流した経験が、現在の成功の答えを導いたと言います。
給与や知名度で勝てない地方中小企業が採用で勝つ方法は、
会社の内部を磨き、それを外にオープンにし、そして孤立せずに学び続けること
まごころ清掃社の事例は、特別な予算やスキルがなくても、「社員と地域を喜ばせよう」という泥臭い情熱と、再現性の高い行動の積み重ねこそが、求人広告費ゼロで人が集まる会社を作る、採用成功の「本質」であることを証明しています。

高野氏の事例から、地方中小企業が今日から取り組める行動をチェックリストにまとめました。
以上(2026年1月作成)
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画像:株式会社まごころ清掃社
目次
社会保険労務士(以下「社労士」)には、よく経営者や人事労務担当者から相談の電話がかかってきます。労務に関する法律は、学校などで教わる機会がないので、知らなかったり誤解したりしていることが多いものです。
そこで、この記事では、社労士への相談が特に多い問題とその解決策を、10個ピックアップして紹介します。なお、解決策は一案ですので、実務で同じような問題が起きた際は、社労士や年金事務所、労働基準監督署などにお問い合わせください。
経営者からのお悩み相談で最も多いのが、解雇に関するものです。例えば、問題社員がパワハラをしていたり、派閥を作って社内を牛耳っていたりするケース。「それは解雇したくなりまよね・・・・・・」と共感することもありますが、社労士の立場としては「社長、一旦立ち止まって考えてください」と話しています。
なぜなら、解雇は法律によって、非常に厳しく制限されているからです。労働契約法第16条では、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」とされています。
この「合理的な理由」は、経営者が思うよりずっと厳しいもので、横領や経歴詐称などの重大な犯罪行為でない限り、「問題を起こしたから即解雇」とはいきません。たとえ問題社員が相手であっても、何ヵ月にもわたって繰り返し指導や注意を行い、配置転換などの努力をしたにも関わらず、全く改善が見られないような場合に初めて認められる、というのが基本です。逆に、
会社が適切な指導をしたり、本人の話を聞いたりしないまま解雇に及べば、「手続き上の不備がある」として、解雇そのものが無効になるリスクをはらんでいます。
裁判所が「その解雇は不当です」と判断したら、会社は一旦解雇された社員を職場に復帰させた上で、無効となった解雇期間の収入を補填しなければなりません。これを「バックペイ」といいます。例えば、某大手予備校の男性講師が雇い止めされた問題で、予備校の不当労働行為を認定した二審・高裁判決が確定。これにより、会社は解雇後10年分の賃金を全額支払うことになりました。
このように何年も前に遡って賃金の支払いが命じられるリスクを考えると、解雇するのは相当な覚悟が必要です。どうしても雇用し続けるのが難しければ、解雇ではなく
退職勧奨(会社から社員に自主退職を促し、社員が同意した場合に退職させること)
を検討しましょう。給料の数ヵ月分の解決金・和解金を支払ってでも、円満に退職してもらうのが望ましいです。なお、交渉がこじれそうなときには、社労士や弁護士を同席させるのがおすすめです。
最近、「何を言ってもパワハラになりそうだから、社員に注意できない」という経営者が増えているようです。だからといって、放置すると様々な問題が発生します。例えば、仕事の質が落ちても注意されない、期限を守らなくても何も言われない。すると、真面目にやっている社員ほど「なぜあの人は許されているのか」と不満をため込み、職場全体の士気が下がります。結果として、問題社員は育たず、優秀な社員から辞めていく。中小企業でよくある悪循環です。
ここで誤解されがちなのが、「指導=ハラスメント」だという思い込みです。ハラスメントと判断されるかどうかのポイントは主に次の3点で、これを外さなければ基本的には正当な指導といえます。
例えば、「この資料、提出期限を過ぎています。次回からは必ず守ってください」という注意は、業務上必要であり、内容も方法も妥当です。一方で、「なんでこんなこともできないんだ」「やる気あるの?」といった人格を否定する言葉は、たとえ業務に不満があったとしてもアウトになりやすい表現です。つまり問題なのは、
「注意すること」ではなく、「注意の仕方」
なのです。
社労士としてよくお伝えするのは、感情と事実を切り分けるという考え方です。
という3点を、淡々と、記録に残る形で伝えることをおすすめしています。
「パート社員にもう少し働いてほしいのに、本人が『家族の扶養から外れたくない」と言うので、シフトが組めない・・・・・・」。これもよく聞くお悩みです。税金上の扶養については、配偶者控除・配偶者特別控除があり、一定の年収を超えると控除額が段階的に減っていきます。社会保険については、一定の年収を超えると、健康保険・厚生年金保険への加入が必要になります。
確かに、パート社員の立場からすれば、家族の扶養から初めて税金の控除額が減り、社会保険料の負担が増えるのは「損」でしょう。手取りだけを見れば、一時的にマイナスになるケースもあります。「手が足りないからもっと働いてほしい」といった説明では、なかなかパート社員の納得は得られないでしょう。ここで必要なのは、会社側の理由をきちんと言語化することです。つまり、会社として、
を整理し、伝える必要があります。
その際に有効なのが「キャリアシート」を作って見せるという方法です。キャリアシートといっても、大げさな制度設計は不要です。次のような点を「扶養内で働く場合」と「扶養を超えて働く場合」それぞれについて記載し、並べて比較できるようにするのです。
これをキャリアシートに落とし込むだけで、「何となく働き方を変えさせられる」という不安は、大きく和らぎます。さらに、半年後・1年後にどう成長してほしいのか、将来的にどれくらい年収が上がる可能性があるのかまで示せれば、「扶養を超える=損」という単純な話ではなくなります。
業務量だけではなく、パート社員の成長やキャリアにも目を向けることで、扶養の壁を超えて働く決断を促すことができます。
多くの会社は社員の採用に当たって、試用期間(本採用するかを判断するための準備期間)を設けていると思います。「すぐに辞めるかもしれないし、本採用ではないから社会保険や雇用保険に加入させる必要はない」と考える経営者もいるようですが、
試用期間中の社員であっても、一定の要件を満たす場合、社会保険などに加入させる義務
があります。具体的には、次の要件を満たすと試用期間中でも被保険者になります。
ちなみに労災保険については、事業場単位で保険に加入するので、被保険者という概念はありません。適用事業の会社に雇用されていれば、試用期間中の社員を含む全社員が、自動的に労災保険の適用対象になります。
「残業代は1分単位で払わないと違法ですよね?」。これもよく寄せられる質問ですが、結論から言うと、原則は「その通り」です。労働基準法では、労働時間とは「使用者の指揮命令下に置かれている時間」 全てを指すので、
実際に働いた時間については、原則として1分単位で賃金を支払う
必要があります。例えば、
など、こういった時間についても「業務」として認められれば、それがたとえ数分であっても労働時間になります。ですから、きちんと管理しなければなりません。例外として「1ヵ月の残業代を計算して、30分未満を切り捨て、30分以上を切り上げる」 「1円未満の端数を切り捨てて・切り上げる」といった端数処理は認められますが、
「毎回15分未満を切り捨てる」 「5分未満は残業とみなさない」など、常に会社に有利に働く切り捨ては違法
となります。
「退職する社員から、『年休(年次有給休暇)を全部買い取ってほしい』と言われました。これって応じないといけないんですか?」。これも、社労士への相談が非常に多い内容です。結論から言うと、原則として、年休の買い取り義務はありません。
年休は本来、「仕事を休んで、疲労を回復したり、リフレッシュをしたりするための制度」です。労働基準法でも、年休を金銭で精算することを前提としていません。そのため、
在職中の年休を「使わせずに買い取る」ことは、原則として認められない
のです。退職が決まっている場合でも、考え方は同じです。会社には「年休を必ず買い取らなければならない」という義務はありません。年休が残っている場合は、退職日までに取得させるのが原則です。
ただし、例外的に年休の買い取りが認められるケースがあります。例えば、
がそうです。こうしたケースでは、未消化分を買い取ることが、実務上行われることもあります。しかし、
という点に注意が必要です。この点を踏まえた上で、退職が分かった段階で、早めに業務の引き継ぎや年休消化について話し合いましょう。
「1週間前から社員が出社していません。電話も出ないし、LINEも既読になりません。このままクビにしていいですか?」といった相談を受けることがあります。確かに、無断欠勤が続くと、「社会人としてあり得ない」「もう辞めるつもりだろう」という気持ちになるのも無理はありません。ですが、
法律上は、無断欠勤が続いたとしても、それだけで社員を解雇するのは厳しい
です。第1章で紹介した通り、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効」となります。
つまり、解雇が客観的に合理的で、社会通念上相当であるといえるだけの根拠が必要なわけですが、その上でまず大切なのは、会社として「連絡を取ろうとした事実」をきちんと残すことです。
などがそうです。これらを客観的に確認できる形で残しておきます。特に、メールや書面など、後から証拠として残る手段を使うことが重要です。
次に確認したいのが、就業規則の規定です。多くの会社では、
「正当な理由なく、14日以上無断欠勤が続いた場合は、懲戒処分の対象とする」
といった条文を設けています(過去にも14日以上の無断欠勤を理由に解雇を認めた裁判例があります)。この規定があれば、一定期間の無断欠勤を経た上で、懲戒解雇や自然退職扱いを検討する余地が出てきます。ただし、ここで見落としてはいけない重要なポイントがあります。それが、
無断欠勤の背景に、社内でのいじめやハラスメント、過重労働などがあり、社員がメンタルを病んで出社できなくなっていたケース
です。この場合、業務が原因で発症したメンタル不調として、労災に該当する可能性があります。労働基準法では、
業務上のケガや病気で療養中の社員および、その後30日間は、原則として解雇してはならない
と定められています(いわゆる「労災の解雇制限」)。つまり、無断欠勤が続いていて連絡が取れないという事情があったとしても、それが業務に起因するメンタル不調によるものであれば、解雇そのものが違法になる可能性があるのです。
事情を十分に確認しないまま解雇してしまうと、後から労災認定が出た場合、安全配慮義務違反や不当解雇を問われるリスクがあります。大事なことは現場の把握です。本人に電話がつながらない場合は、緊急性を考慮し、家族に連絡するなどして、まず安否確認を行いましょう。
「最近元気がないと思っていた社員から、『メンタルを病んだので休みたい』と言われました。どう対応すればいいでしょうか?」。突然このような話をされると、経営者としては戸惑うと思いますが、最初の対応を誤ると、後々大きな労務トラブルに発展する可能性があります。
まず大前提として大切なのは、その場で判断を急がないことです。「甘えているだけでは?」「取りあえず様子見で出勤させよう」 「忙しい時期だから困る」など、こうした気持ちがよぎるのは自然ですが、感情的な反応や即断は避けましょう。最初にやるべきことは、本人の話を落ち着いて聞くことです。特に確認しておきたいのは次の点です。
この段階では、原因を追及したり、白黒をつけたりする必要はありません。「話を受け止める姿勢」を示すことが重要です。話を聞いた結果、明らかに休養が必要だと判断した場合は、年休を取得させる、または会社の就業規則に基づいて休職させることを検討します。
併せて、医療機関の受診を勧め、必要に応じて診断書の提出を求めることも実務上は大切です。診断書は、本人を疑っているわけではなく、会社として適切な対応を取るための判断材料になります。
さらに、復職の場合でも注意が必要です。医師の診断書で「復職可能」とされていても、いきなり元の業務に戻すと、再発してしまうケースは少なくありません。次のような配慮が、社員の定着とトラブル防止につながります。
「出張の移動時間って、通勤みたいなものですよね? だったら賃金はいらないですよね?」。出張が多い会社では、よく出る質問です。結論から言うと、出張中の移動時間が必ず労働時間になるわけではありません。ただし、条件次第では労働時間になります。ポイントは、
その時間が「使用者の指揮命令下に置かれているかどうか」
です。出張中でも「労働時間」と判断されやすいのは、例えば、次のような場合です。
このように、移動中であっても業務に従事している場合は、その時間は労働時間と評価される可能性が高くなります。一方で、次のようなケースでは業務から解放されているため、労働時間に該当しないと判断されることが多くなります。
「退職日は月末より、1日前にしたほうが社会保険料が安くなるって聞いたんですが、本当ですか?」。これもよく聞かれる質問です。結論から言うと、ケースによっては本当ですが、安易に決めるとトラブルの原因になります。
社会保険料は、
「資格喪失日(退職日の翌日)」の属する月の前月分までが徴収される
仕組みになっています。例えば、3月31日付で退職した場合、資格喪失日は4月1日となり、3月分まで社会保険料がかかります。一方で、3月30日付で退職した場合、資格喪失日は3月31日となるため、2月分までの社会保険料で済みます。このため、会社側から見ると、
月末の1日前に退職してもらったほうが、社会保険料の会社負担分が1ヵ月分少なくなる
という結果になります。
しかし、ここで注意が必要です。日本は「国民皆保険制度」を取っています。つまり、会社の社会保険を抜けた期間が1日でもあれば、その間は、国民健康保険と国民年金に加入しなければなりません。例えば、「3月30日退職」 「4月1日入社」というケースでは、
となります。社員本人にとっては、月末退職のほうが負担が軽いというケースも少なくありません。会社側の負担だけを考えて退職日を決めてしまうと、社員から「そんな説明は聞いていない」「1日違うだけで、こんなに損をするとは思わなかった」といった不満が上がり、退職後のトラブルに発展することもあります。また、退職日によっては、「年休の消化」 「最終給与の計算」「社会保険の資格喪失日」「離職票の記載内容」などが変わり、実務が複雑になる可能性があります。退職日は、会社にとって得か損かだけでなく、社員にとっての影響も含めて説明し、話し合って決めることが重要です。
以上(2026年1月更新)
pj00713
画像:Gemini
おはようございます。ちょうど今は、受験シーズン・そして合格発表のシーズンですね。受験というと、「合格か不合格か」という結果ばかりに目が行きがちですが、そこに至るまでのプロセスに、今の私たちの仕事にも通じる大事なポイントがあります。皆さんも、人生のどこかで一度は受験を経験したことがあると思います。今日は「受験生だったあの日」に思いを馳せてみましょう。
おそらく皆さんは、合格発表の「〇か×か」という一瞬のために、何カ月、場合によっては何年も地道な努力を続けてきたはずです。例えば、「毎日コツコツ勉強を積み重ねる」「模試の結果に落ち込んだり喜んだりしながらも、弱点を潰していく」「本番の日に合わせて、体調管理や生活リズムも整える」といった具合にです。さて、社会人になった今はどうでしょうか? もちろん、地道な努力を続けている人もたくさんいるでしょうが、もしかしたら、日々の仕事に追われ、努力をないがしろにしてしまっている人もいるかもしれません。心当たりのある人はぜひ、受験生の頃の気持ちを思い起こしてください。一つひとつの積み重ねの先に、「受注」や「契約更新」といった“合格発表”のような瞬間があります。
受験にはもう一つ大事な要素があります。それは、一人で戦っているように見えて、実は多くの人に支えられているということです。「ご飯や生活面を支えてくれる家族」「分からないところを教えてくれる先生」「一緒に励まし合う友人」、こうした人たちの支えがあるから、受験生は最後まで頑張れます。私たちの職場も同じです。「現場で動いてくれる人」「事務処理を整えてくれる人」「営業に出てくれる人」「問い合わせ対応をしてくれる人」など、自分を支えてくれる人への感謝を忘れないようにしてください。そして、感謝の気持ちは、必ず言葉に出して相手に伝えること。「大変な案件なのに、ありがとうございました」「あの対応、助かりました」といった具合にです。
最後に、私は、困難を乗り越えた受験生たちが、合格発表の掲示板の前で、家族や先生、友人と喜び合っている瞬間がとても好きです。私たちも一年後、「この一年、よく頑張った」と胸を張って言えるように、そしてその喜びを仲間と分かち合えるように、日々の「地道な努力」と「支えてくれる人への感謝」を大事にしていきましょう。
以上(2026年2月作成)
pj17242
画像:Mariko Mitsuda
2026年3月4日、きらやか銀行と、サイバーセキュリティサービスを提供しているグローバルセキュリティエキスパート(GSX)との共催で、サイバーセキュリティセミナーを開催します。
このセミナーでは、サイバーセキュリティ対策の課題を解決するためのアプローチを「教育」「現状調査」「保険」の3つの切り口で紐解きます。
このページの最後に、サイバーセキュリティ対策に役立つコンテンツも紹介していますので、ぜひご覧ください!
↑クリックで拡大表示↑
お申し込みフォームはこちらから(外部サイトへリンク)(先着順)
お申し込み締め切りは2026年2月6日(木)17:00です。
きらやか情報ステーションでは、サイバーセキュリティ対策に役立つコンテンツも公開しています。ぜひご覧ください!
経費を不正に使った役員が解任される・・・・・・私たちはこうしたニュースをしばしば目や耳にします。経費の扱いをめぐる不正は、どこでも起こり得る問題であり、万が一発生すると、時に会社そのものの信頼を揺るがしかねない危険性を秘めています。
特に中小企業は、大企業ほど管理体制や内部統制が整っていないので、不正が入り込みやすい環境になりがちです。例えば、
といった状況では、けん制機能が働きにくく、不正に対するハードルが低くなってしまいます。
この記事では、不正経費の目的、主な手口と不正経費がもたらすリスク、不正経費を防ぐためにどのような対策が必要かを解説します。
不正経費の目的は、大きく
に分けられます。
着服(横領)は、役員や従業員が、会社のお金を自分のために使うケースです。個人の借金の返済に充てたり、遊びや高価な買い物などをしたりする目的で行われます。
利益操作のための不正は、会社の利益を意図的に少なく見せて税金負担を軽くしようとするケースです。利益を基に課される法人税などの税金は、利益が少ないほど納税額が低くなります。本来は発生していない費用を不正経費により計上して、利益を下げる目的で行われます。
不正経費の手口は、大きく「架空請求・カラ出張」「経費の水増し・改ざん」「多重請求」「経費の私的利用」に分けられます。
実際には存在しない取引先に「コンサル料」や「外注費」を支払ったように見せかける、ペーパーカンパニー (法人登記はされているが、事業の実態がない会社)をつくるといったケースが典型例です。出張に行っていないのに、旅費や宿泊費を請求するカラ出張もあります。
コンサル・調査・サポートといった成果が目に見えにくい費用は、内容の妥当性がチェックされにくいので、不正が紛れ込みやすいです。また、支払申請と承認を同じ人が行っている場合や、長年同じ担当者に外注先の選定や請求処理を任せきりにしているような体制では、不正が発覚しにくくなります。
白紙の領収書に自分で金額を書き込む、既存の領収書の金額や日付を修正液で塗り替える、同じ店のレシートを複数枚集めて、「まとめて接待したように見せる」といったケースが典型例です。さらに悪質な例では、仕入れ先と示し合わせて価格をわざと高くし、後で差額をキックバックとして受け取るケースもあります。
こうした行為は、帳簿上は通常の取引に見えるため、外からは不正だと分かりにくいのが特徴です。そのため、発覚したときには長期間にわたって被害が広がっていることも少なくありません。
同じ領収書をコピーして、別の日付の経費として再提出する、「会議費」と「接待費」など用途を変えて二重に請求するといったケースが典型例です。
特に、紙の領収書を中心に管理している会社では、過去の申請履歴を即座に確認できず、承認者が見逃してしまうこともあります。少額な請求ほど確認が甘くなりやすく、不正が繰り返される温床になりがちです。
私生活で使った飲食費を「取引先との会食だった」として提出する、個人のための家電やガジェットを「業務用備品」として購入するケースなどが典型例です。例えば、家族との外食を商談の名目で申請する、自宅のインターネット料金を会社の通信費に含めるなど、身近なところから発生する不正も少なくありません。
業務とプライベートの線引きが曖昧な社内環境や、経費の使い方などのルールが従業員に周知されていない会社で起こりがちです。
不正経費がもたらすリスクは、大きく「税務上の重いペナルティー」「税務署や取引先からの信用失墜」に分けられます。
税務署の調査により、計上した経費が「事業に関係のない支出」や「架空の支出」であると認定された場合、当然ですが、その費用は会社の経費(税務上の損金)として認められません。
その結果、本来支払うべきだった法人税 (本税)との差額が追加で発生するだけでなく、次の「重い罰金税」が会社に課されます。
重加算税は、本来納めるべきだった税額の35%から40% (一定の場合は最大50%)が追加で課される、通常の罰則よりも重い罰金税です。
また、悪質な不正が認められた場合、税務署は最大7年間(通常は最大5年間)まで遡って調査を行うことができます。7年間にわたる本来の税額に加え、重加算税と延滞税が合算され、その全てが税務署に原則一括で納付しなければなりません。そのため、資金繰りへ影響は大きいものがあります。
「重加算税が賦課された」という事実は、税務署からの信用を失うだけでなく、金融機関や取引先との関係においても大きなマイナス要因となります。不正発覚は、会社の将来に対しても深刻な影響を与えるのです。
また、不正対応のため、外部専門家による調査費用や監査費用の増加など、本来不必要なコストが発生します。
不正を防止するためには、「制度・ルール」「人への教育」「経費精算システム導入」の3つの視点から対策を講じることが大切です。
不正を防ぐ上で大切なのは、
1人で全部できてしまう状態をつくらないこと
です。例えば、経費を使った本人が申請し、そのまま自分で承認し、さらに支払い処理まで行えるような体制では、チェック機能が働きません。理想は、
というように、役割を分けることです。
人手に余裕がない中小企業でも、最終的な承認だけは経営者や役員が目を通す、あるいは顧問税理士に一覧を確認してもらうなど、もう一つの目を入れるだけでも、不正はだいぶ起こりにくくなります。
請求書が届いたときは、
それだけを見て処理するのではなく、「本当に頼んだ仕事なのか」「きちんと納品されているのか」を確認すること
が重要です。具体的には、
の3点がそろっているかを確認します。「こんな作業、本当に頼んだのだろうか」「この金額は、事前に合意した内容と合っているか」と、一度立ち止まって思い返してみるだけでも、架空請求や水増し請求を防ぐ効果があります。
経費については、「業務に必要なもの」という曖昧な表現のままだと、人によって解釈が分かれてしまいます。どこまでが会社負担で、どこからが私費なのかを、できるだけ具体的に決めておくことが重要です。例えば、接待交際費であれば、
といった点を簡単に書いてもらうだけでも、「なんとなくの飲み会」が経費として通りにくくなります。
ルールを細かくするのは、従業員を疑っているわけではなく、「これは経費でいいのかどうか」を迷わず判断できる環境を整えるためです。また、従業員に対し、業務のお金とプライベートのお金の境目をしっかり意識させることにもつながります。
社内研修などを通じて、経費の不正が発覚した場合に、本人だけでなく、会社全体にどのような影響が及ぶのかを具体的に伝えることが大切です。例えば、「経費を少し多めに申請しただけ」のつもりでも本人が懲戒の対象になりうること、場合によっては、会社が追加の罰金税を支払わなければならなくなることなどその行為がもたらす影響の大きさを伝えましょう。
こうした実例を交えて説明することで、従業員の「バレなければ大丈夫」「これくらいなら問題ない」といった“ゆるい”認識を改めさせる効果があります。
不正は、現場の実務担当者が真っ先に気付くケースが少なくありません。そのため、「自分が指摘していいのだろうか」や「面倒なことに巻き込まれたくない」といった考えから、不正発見のタイミングを逃す可能性もあります。例えば、
といった小さな気付きが報告されずに見過ごされてしまうと、それが積み重なって問題が深刻化してしまう恐れがあります。
このようなことが起きないよう、名前を出さなくても相談できる窓口を用意し、「気になることがあれば、まず相談していい」という雰囲気をつくることが大切です。通報しやすい環境が整えば、不正が見つけやすくなるだけでなく、従業員の間に「見られている」という意識を生み、不正の予防効果にもなります。
中小企業では、「誰かがちゃんと見ていれば大丈夫」という認識で、経費精算を回しているケースも少なくありません。ただ、実際には経理担当者が少人数だったり、月末に処理が集中したりして、全てを丁寧に確認するのは難しいであろう現場も多く見られます。
経費精算システムは、こうした人手によるチェックの限界を補い、ミスや不正が起こりにくい流れをつくるためのツールです。
例えば、紙の領収書をスマートフォンで撮影して、データとして一元管理できる経費精算システムがありますが、こうしたシステムでは、過去に提出された領収書と照らし合わせて、同じ内容の申請がないかを自動チェックする機能などもあるようです。
その他にも、クレジットカード情報を連携できる経費精算システムでは、支払いと同時に利用履歴が自動で取り込まれるため、後から金額を入力し直す手間がなくなります。その結果、入力ミスや申請漏れを防ぎながら、経費申請そのものを簡単に行えるようになります。
以上(2026年2月作成)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 公認会計士 仁田順哉)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 税理士 森浩之)
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画像:takasu-Adobe Stock
医療技術が進歩した現代、大抵の病気であれば社員は一定期間の休職を経た後、通院しながら働き続けることができます。ただ、実際に治療と仕事を両立させること(以下「両立支援」)は大変です。なぜなら、
の間で、両立支援の方針(休職の要否、復職の可否、就業上必要な措置など)が食い違うことがあるからです。最悪の場合、社員に適切な支援が行えないまま、退職に至ってしまうケースだってあります。これを防ぐために重要なのは、
「会社」「社員」「主治医」「産業医等」の4者が連携すること
です。「産業医等」とは、産業医または社員数が50人未満の会社で社員の健康管理を行う医師のことです。なお、両立支援については、厚生労働省が運営する情報ポータルサイト「治療と仕事の両立支援ナビ」に参考情報が多く掲載されていますので、こちらも参考にしてください。
ちなみに、2026年4月からは
治療と仕事の両立を促進するために必要な措置を講じる努力義務が会社に課せられる
ことになっています。詳細は指針で改めて定められますが、現状、厚生労働省「治療と仕事の両立支援ガイドライン」に基づき、次の取り組みが法制化される予定です。

両立支援のための4者連携は、次の流れで行います。

体調が優れなかったり、健康診断の結果に異常があったりした場合、その社員はできるだけ早く医師の診察を受けます。主治医から両立支援が必要と判断されたら、主治医から治療と仕事を両立させる上で必要なことを教えてもらいます。具体的には次の4つですが、主治医がこれらを書き込める書式を用意するのが望ましいです。
両立支援が必要と判断された社員は、その旨を会社に申し出て、1)で主治医に教えてもらった情報を会社に提供します。ただ、「周囲に心配を掛けたくない」という理由で、両立支援の申し出をしない社員もいるので注意が必要です。
社員が主治医に教えてもらった情報だけでは、両立支援を行うのに不十分な場合があります。
主治医の意見書に「一定の配慮の下、就業が可能」という記載があるものの、会社からすると、具体的にどんな配慮が必要なのか分からないケースなど
がそうです。こうした場合、会社は社員本人の同意を得た上で、治療の状況などの情報を主治医から収集します。医学の専門的な知識が必要となるケースも多いので、産業医等が主治医の話を聞くとよいでしょう。
会社は、就業継続ができるか、どのような就業上の措置や治療への配慮が必要かなどを産業医等に聴きます。産業医等は、社員の仕事に関する事情に精通しており、労働安全衛生法でも産業医等の健康管理に関する勧告は尊重しなければならないとされています。ですから、
主治医と産業医等の意見が異なる場合、基本的には産業医等の意見を尊重
します。ただし、病気の内容が産業医等の専門外である場合などは慎重な判断が必要です。
会社は、就業を継続させるか否かを決めます。就業を継続させる場合、具体的な就業上の措置、治療への配慮の内容、実施時期などについて検討します。その際、
社員本人からも就業の継続や就業上の措置、治療への配慮などについて要望を聴取
します。一方、就業を継続するのが難しく、休業措置を講じる(休職させる)場合、
休職期間の上限や休職中の賃金などの扱い、職場復帰の手順等について情報を提供
した上で、休職に入ってもらいます。休職に関する基本的な対応(休職発令や職場復帰の可否の判断など)については、次の記事をご確認ください。
以上(2026年1月更新)
(監修 Earth&法律事務所 弁護士 岡部健一)
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画像:pixabay
今年4月、子ども・子育て支援金制度がスタートします。少子化・人口減少が進む中で、子どもや子育て世帯を社会全体で支えるお金です。企業は、従業員の賃金から支援金を徴収して国に収める必要があり、給与計算の際に新たな事務が生じます。本稿では、子ども・子育て支援金制度について説明します。事務の見直しの参考にしてください。
子ども・子育て支援金は、子ども・子育て支援法などに基づいて、国が国民や企業から集めるお金です。子どものいる人、子育てを終えた人、単身世帯、高齢者などすべての世代が支払います。集まった支援金は、児童手当や育児休業給付金の拡充などに使われます。
企業は、健康保険に加入している従業員の賃金から、健康保険料に上乗せして天引きし、事業主の負担分を合わせて国へ納めます。納付するのは、今年4月分の保険料(5月末納付分)からです。
支援金の額は、毎月の給与では、各従業員の「標準報酬月額×支援金率」で、賞与を支給した場合には「標準賞与額×支援金率」で計算します。令和8年度の支援金率は0.23%で、原則として従業員と事業主が0.115%ずつ負担します。政府が年収別の支援金額を試算しているので、以下に紹介します。

支援金の額を従業員に知らせるために、給与明細に明記することが望ましいですが、現時点では義務にはなっていません。給与システムの改修で対応できる場合には支援金額を明示し、対応できない場合には、別途、書類を作るなどして従業員に説明してください。
企業が納める支援金の額は、日本年金機構から毎月企業へ届く納入告知書に記載されるので、納入告知書に従って納付します。
また、子ども・子育て支援金とは別に、企業は現在、「子ども・子育て拠出金」を納めています。厚生年金保険料と併せて徴収し、事業主のみが負担するお金です。金額は現在、標準報酬月額や標準賞与額の0.36%となっています。「子ども・子育て拠出金」は、4月に子ども・子育て支援金が始まっても廃止されず、引き続き支払わなければなりません。よく似た名称なので、注意してください。
子ども・子育て支援金への対応は、繁忙期の年度替わりに行わなければなりません。こども家庭庁や協会けんぽ、各健康保険組合のホームページなどをこまめにチェックして、早めに準備を進めてください。
また、就業規則や賃金規程、労働条件通知書を見直して、賃金から控除する項目に子ども・子育て支援金を追加する必要もあります。
※本内容は2026年1月10日時点での内容です。
(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)
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画像:photo-ac
今年4月、子ども・子育て支援金制度がスタートします。少子化・人口減少が進む中で、子どもや子育て世帯を社会全体で支えるお金です。企業は、従業員の賃金から支援金を徴収して国に収める必要があり、給与計算の際に新たな事務が生じます。本稿では、子ども・子育て支援金制度について説明します。事務の見直しの参考にしてください。
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2025年12月に関越自動車道で67台が絡む大規模な多重事故が発生しました。この事故の原因の一つは、路面凍結によるスリップであると言われています。
今号では、重大事故になりうる路面凍結の特徴と安全に走行するためのポイントについて確認します。

路面凍結(アイスバーン)とは、道路上の水分が凍結する現象で、以下の3種類があります。
雪がタイヤに踏み固められて、硬く圧縮された状態の路面です。
昼間に車が多く通るところで、夜間に気温が下がると発生しやすくなります。

圧縮された路面の雪がタイヤで磨かれ、鏡のように反射するほどツルツルになった路面です。
交通量の多い交差点付近などで発生しやすくなります。

道路が薄い氷で覆われた状態の路面です。
降雪がなくても、路面が濡れていて気温が下がると発生しやすくなります。
※濡れているだけの路面と見分けることが難しいため特に注意が必要です。

路面の温度は気温より5℃程度低くなることがあり、気温が氷点下まで下がらなくても路面凍結(アイスバーン)が発生する可能性があります。
一日の路面凍結(アイスバーン)の変化と注意点を把握しておきましょう。

次のような場所では、時間帯に関わらず路面凍結(アイスバーン)が発生することがあります。
路面凍結(アイスバーン)が発生する季節は、次のポイントを踏まえて慎重な運転をしましょう。
①スピードを十分に落とす
②車間距離を十分にとる
③急ハンドル・急ブレーキをしない

以上(2026年2月)
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画像:amanaimages
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