【業務効率化】24時間は1440分。社員の成長を促すスケジュール管理

1 24時間は1440分、8時間なら480分

24時間は1440分、8時間なら480分。「そのぐらい、誰でも知っている」と言われてしまいそうですが、こうして数字で表すと「時間は有限である」という実感が湧いてくるのではないでしょうか? しかも、何か予定を入れれば、その間は別のことができなくなるので、常に機会損失が発生しています。

スケジュール管理が苦手な方にとっては耳の痛い話ですが、この記事が、御社の社員に時間の大切さをいま一度、考えていただくきっかけになれば幸いです。

2 脱「他力本願」のやらされリスト

1)他人に決められるのは楽?

スケジュール管理ができない人に共通する特徴は、

働き方に主体性がないこと

です。試しに、社員にこの先1~2週間のスケジュールを登録するように指示してみてください。対応できる社員は全体の1~2割といったところでしょう。

この先の予定が決まっていないのに、なぜ社員は忙しいのでしょうか? 理由は人それぞれでしょうが、おそらく多くの人に当てはまるのは、

“他人が決めたToDoリスト”に振り回されているから

です。つまり、メールやチャットが届いた順にアポイントを入れ、仕事の納期も指定された通りに動いているのです。

しかも、上司の指示が入れば、ほぼ何も考えずにそちらを優先するので、優先順位もぐちゃぐちゃになります。「他人にスケジュールを決められるなんて、たまったものではない」と思いますが、主体性がない社員にとっては、“他人が決めたToDoリスト”に従うほうが楽なのです。

2)ToDoリストとスケジュールの違い

ToDoリストはスケジュールとは似て非なるものです。

ToDoリストは、「文字通りのやることリスト」

で、「(1)〇〇さんにメールを送る、(2)企画書を作る、(3)食事会の調整をする」などの内容が登録されます。長いToDoリストができるということは、それだけやることが多いということかもしれません。ただ、重要なのはその作られ方と中身です。“他人が決めたToDoリスト”が長くなるほど、自主性のない働き方に拘束される時間も長くなるからです。

これに対し、

スケジュールは、「目標を実現するための計画が行動ベースに落とし込まれたもの」

です。やるべきことと、それを実現するための計画が明確であれば、1~2週間先までスケジュールを登録することはたやすいはずです。

ToDoリストとスケジュールの関係は、「スケジュール→ToDoリスト」といった感じです。

スケジュールを細かく分解したものがToDoリスト

であり、ToDoリストの積み重ねがスケジュールになるわけではありません。

3)業務効率化の正しいアプローチ

「時間を大事に使おう!」となると、誰もが「同じ60分をいかに実のあるものにするか」を考えるでしょう。例えば、「順番を変えてみる」「ツールを導入してみる」「やらないことを決めてみる」といったアプローチになります。

やるべきことと向き合っているのなら、それでよいでしょう。しかし、“他人が決めたToDoリスト”をこなすための効率化だと、話は違ってきます。

重要ではないことの効率を上げるよりも先に、そもそも着手しない(断る、精度を落とす)という選択肢を持つべき

です。“他人が決めたToDoリスト”をこなすためにあれこれと苦労すると、かえって生産性の妨げになる、ということを認識しておきましょう。

また、この点は、仕事をこなす本人だけでなく、経営者や管理職も大いに反省する必要があります。社員の時間を無神経に奪ってはいけません。

4)生成AIでToDoを棚卸しする

“他人が決めたToDoリスト”を社員自身が客観的に整理し直す入り口として、生成AIの活用も有効です。抱えているタスクを箇条書きで生成AIに入力し、「緊急度・重要度で分類して」「まとめて処理できるものはないか」と問い掛けるだけで、優先順位付けやスケジュールへの落とし込みのたたき台が得られます。

もちろん最終判断は本人や上司が行う必要がありますが、「何から手を付ければよいか分からない」という初動の迷いを減らし、“やらされ”から“自分で選ぶ”スケジュールへの転換を後押しするきっかけになるでしょう。

3 「目標」設定から始めよう

1)「仏作って魂入れず」になる2つの理由

多くの会社では、半期ごとに人事考課面談を行い、中期経営計画に基づいた業務目標を決めているはずです。しかし、それがなかなかスケジュールに反映されません。これには、大きな理由が2つあります。

1つは、

社員が目標の達成に本気で取り組んでいないから

です。多くの社員は、すぐに中期経営計画の内容を忘れてしまいます。また、日々、“他人が決めたToDoリスト”に忙殺され、本当に大事なことを後送りにしています。

もう1つは、

社員はそれなりにやる気があっても、やるべきことを分解し、スケジュールに落とし込むことができていないから

です。目指すべきゴールは分かっているけど、ゴールにたどり着く道筋が分からないわけです。特に、受注的な事務作業が中心の社員の場合、「目標達成のためにやるべきことを分解する」というアプローチが苦手な人が多いかもしれません。

2)本気でなくても取り組む環境をつくる

この状態を打破するために、経営者が社員に「今、自分がやるべきこと」を正しく認識し、それを実行するように働き掛けなければなりません。

有効な手段は、社員に少なくとも1週間先までスケジュールを立てさせること

です。最初は多くの社員が戸惑うでしょうが、強制的にやらせます。

そうすると、“他人が決めたToDoリスト”が入り込む余地がなくなってくるので、社員はスケジュールの取捨選択をせざるを得なくなります。ここで初めて、会社にとって、チームや自分にとって、大切な仕事が何かを考えるようになります。

本気でない社員のマインドを変えるのは難しいことです。しかし、大事な仕事が後送りされない環境をつくることはできます。そして、このスケジュールをこなすことは社員の成長につながっていくのです。

3)経験と考え方の伝授

どうしても、やるべきことを分解して、スケジュールに落とし込めない社員がいたら、考え方を整理する方法を教えます。

経営者や管理職が1on1のミーティングを行い、そこでやるべきことと、それを達成するために最も効果的なことを明確にして、いつから始めるのかまで決めてしまう

のです。

後は、社員がスケジュールを意識しながら実行できる環境をつくります。前述した通り、少なくとも1週間先までスケジュールを立て、不要な仕事が入らないよう時間をブロックします。

4 学習時間をスケジュール化する

新しい仕事をするときはそれなりの準備が必要です。例えば、新しい業界に営業を展開するときは、その業界のことを勉強しなければなりません。こうした学習時間は、きちんとスケジュールに登録し、「2時間の読書、勉強会に参加」といったように記録しておきましょう。

もし、手を動かす業務でないと、「さぼっている」「他にやることがない」と勘違いする人がいるようなら、経営者がきちんと説明しなければなりません。

5 スケジュール管理のテクニック

1)基準時間を設ける

経営者や上司から見ると、「時間がかかり過ぎだ」と感じる社員がいます。しかし、その社員に「何かてこずっているの?」と聞いてみると、「いえ、計画通りです」という意外な答え。どうも釈然としないということはありませんか?

こうしたギャップは、業務の基準時間が決まっておらず、客観的に判断できないために生じます。主な業務については、「ベテランなら60分、新人なら120分」といったように、完了までの時間の目安を設けましょう。

また、タイムトラッキングツールを使えば、実際にどの業務にどれだけの時間がかかっているかを客観的なデータとして把握できます。見積もりと実績のズレが可視化されれば、基準時間の精度を継続的に高めていくことができます。

2)基本は20分単位で取り組む

スケジュールは20分単位とします。こうすると、60分の中に3つの業務を組み込めます。また、20分の業務と10分のバッファーで30分の固まりを設定すれば、60分の中に無理なく2つの業務を組み込むことができます。20分以上かかる仕事については、まとめて固まりの時間を確保します。

最近はオンラインでの商談も増えましたが、訪問が必要な場合、アポイントの前後に「移動時間」を必ず登録します。東京都区内の場合、20分あればかなりの距離を移動できます。現地の準備時間を20分取れば40分なので、やはり20分単位だとスケジュールが組みやすくなります。

また、オンライン会議は「移動時間ゼロ」で次々と入れられてしまうため、休憩なく会議が詰め込まれがちです。オンライン会議の前後にもあえて5~10分の休憩ブロックを意図的に確保し、頭を切り替える時間をつくることが重要です。

3)機会損失を意識する

今月のスケジュールを確認してみてください。既にかなり埋まっていることでしょう。では、来月のスケジュールはいかがでしょうか。まだまばらな状況で、比較的余裕があるかもしれません。

しかし、そこで来月はまだ余裕があると考え、簡単に決めてしまってはいけません。決して、今月は忙しく、来月は暇というわけではないのです。来月になれば、今と同じように忙しくなります。この点を意識していないと、

1カ月前に軽い気持ちで登録した、あまり意味のないアポイントと、とても大切なアポイントがバッティングしてしまう

のです。

同じ時間に2つのアポイントは入れられません。1つアポイントを入れた時点で、別の選択肢を排除していることを忘れてはなりません。

Googleカレンダーや Outlook の共有カレンダー機能を活用し、他部署や取引先とも予定を可視化しておくと、バッティングを未然に防ぎやすくなります。特に複数人が絡む会議やプロジェクトでは、自分のスケジュールだけでなく、関係者全員の予定を横断的に確認できる環境を整えておくことが欠かせません。

4)優先順位は細かな粒度で考える

業務の優先順位は、緊急度と重要度で考えます。ここにA、B、C、Dの業務があり、最も緊急度と重要度が高いのはAだとします。この場合、当然Aから着手します。ところが、正しいはずのこの着手で、なぜか問題が生じます。

それは、緊急度と重要度が2番目に高いBの業務を遂行するために必要な事前準備を、Aの業務よりも前に着手していないからです。そうすると、Aの業務が終わってBの業務を始めようと思ったときに、段取りができていないことに気付くのです。

優先順位が下であっても、全体をスムーズに進めるために先に着手すべきことがある

ということです。

5)後半こそ悲観的に考える

スケジュールが立て込んできて、いよいよギリギリの状況になると、「あれとこれがうまくいったら間に合う」と、楽観的に考える癖はありませんか。いまさらジタバタしても仕方がないと考えるのでしょうが、これは危険です。

後半になるほど関係者が増え、計画通りにいかなかった場合の影響も大きくなるから

です。それに、スケジュールがギリギリの状況になっているということは、それまでがうまくいっていないことの裏返しでもあります。スケジュール管理は、後半ほど悲観的に見積もるのが基本であり、予備日を多く設けておくべきでしょう。

6)パーキンソンの凡俗法則に立ち向かう

「パーキンソンの凡俗法則」とは、大切なことよりも、ささいなことが議論されがちな状況を指摘したものです。

例えば、原子力発電所と駐輪場の建設に関する住民の会合があったとします。原子力発電所の建設は本当に重要ですが、住民にはスケールの大き過ぎる話であり、技術的なことも分からないため議論が深まらず、比較的あっさり決まります。一方、駐輪場は原子力発電所に比べて明らかに重要度が劣るのに、住民にとって身近な問題であるため、ささいな点まで活発に議論され、決定に時間がかかるのです。

パーキンソンの凡俗法則に陥る最大の理由は、メンバーの知識や経験の不足です。

時間をかけて的外れな議論をし、本当に重要な点を見逃してしまうリスク

があります。必要に応じて、コストをかけても外部の知見を利用することを検討しましょう。

7)「ちょっといい?」は原則禁止

経営者や管理職がちょっと疑問に感じた途端、部下のスケジュールを顧みずに招集して臨時の会議を始めたりしていないでしょうか。当初は5分の予定だったのに、気付けば60分かかっていることも珍しくないでしょう。

仕事なので、経営者や管理職の疑問は解消しなければなりません。しかし、社員にスケジュール管理を徹底させている張本人(経営者や管理職)が、そのスケジュールを自ら破壊してはいけません。「ちょっといい?」にも配慮が必要な時代なのです。

8)通知オフの時間帯をつくる

メールやチャットの通知が届くたびに手を止めていては、“他人が決めたToDoリスト”に逆戻りしてしまいます。1日のうち一定時間は通知をオフにし、自分が決めたスケジュールに集中する「デジタルデトックス」の時間帯を意図的につくることも、主体的なスケジュール管理を定着させる有効な手段です。

【参考文献】

「1440分の使い方―成功者たちの時間管理15の秘訣」(ケビン・クルーズ(著)、木村千里(訳)、パンローリング、2017年8月)

「仕事は『段取りとスケジュール』で9割決まる!」(飯田剛弘、明日香出版社、2018年12月)

以上(2026年11月更新)

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画像:ChatGPT

【朝礼】俳句に学ぶ「想像すること」の面白さ

【ポイント】

  • 俳句は、五・七・五のわずかな言葉から、詠まれたときの情景を想像して楽しむもの
  • 言葉尻だけを捕まえて騒ぐのではなく、話し手の言葉に注意深く耳を傾ける
  • 日ごろのビジネスでも想像力を働かせ、言葉の裏にあるものをくみ取る

おはようございます。突然ですが、私は最近、季節の変わり目などに、昔の俳人が読んだ俳句を探すのにハマっています。私自身は素人なので、とても多くを語れるレベルではないのですが、「五・七・五」という短い文字数で、かつその季節ならではの「季語」を織り交ぜるという、俳句独特のルールがとても好きです。なぜなら、そんな制約に縛られながら、人々の心をつかんできた昔の俳人たちの俳句に触れると、「日本語とは、こんなに美しいものなのか」と感動させられるからです。

今日は、ある秋の俳句を紹介します。「柿くへ(え)ば 鐘が鳴るなり 法隆寺」です。ご存じの方も多いでしょう。明治時代の俳人・正岡子規(まさおかしき)の詠んだ有名な句です。意味は、柿を食べていると、法隆寺の鐘が鳴り、その響きに秋を感じたというものです。「なんだ、そのままじゃないか」と思った人もいるかもしれませんが、そう思った人はぜひ私の話を聞いてください。

柿は奈良を代表する農産物。多くの場合、果実は小さいときには緑色をしていますが、秋が近づくにつれ、だいだい色の大きな実へと成熟します。実をたくさんつけた柿の木、その先には、これまた奈良を象徴する建造物、法隆寺が建っています。ご存じ世界最古の木造建築、古き日本の歴史を伺い知れる、金堂や五重塔が印象的なお寺です。だいだい色の実をたくさんつけた柿の木、その先にある落ち着いた色合いの法隆寺、そしてその法隆寺から聞こえてくる鐘の音色、皆さんの頭にも、秋の情景が浮かんでくるのではないでしょうか。五・七・五に記されたわずかな情報から、その句が詠まれたときの情景を「想像してみること」、これが俳句の1つの楽しみ方です。

さて、私が皆さんに俳句についてお話しした理由は、日ごろのビジネスでも「想像力を働かせる」ということを、もっと意識してほしいからです。今は、SNSなどでちょっとした発言が炎上したり、ハラスメントとしてトラブルに発展したりする時代です。もちろん、許されない発言はありますし、それらには毅然と対応しなければなりません。ただ、一方で言葉尻だけを捕まえて大騒ぎするのが健全なのかというと、それもまた違うと私は思うのです。話し手の言葉に注意深く耳を傾け、言葉の裏にあるものを想像してみる。こうしたスキルもビジネスパーソンには必要です。

以上(2026年11月更新)

pj17196
画像:Mariko Mitsuda

人材紹介からAI面接まで! 採用サービスがまる分かり

1 採用活動のどこでつまずいていますか?

採用代行、人材紹介、求人サイト、適性検査など、採用を支援するサービス(以下「採用サービス」)は、数多く存在します。従来のハローワークや人材紹介に加え、最近はAI面接のような新しいサービスも登場し、採用活動はますます複雑化……。ですが、そんな今だからこそ、改めて意識してほしいことがあります。

「採用サービスは、会社が採用活動で抱えている課題を解決するためのものであり、その課題次第で必要なサービスは変わってくる」

のです。

求人を出しても応募がない。応募はあっても採用を決められない。内定を出しても辞退される。ようやく採用できた社員が短期間で辞めてしまう。こうした悩みには、それぞれ異なる対策が必要です。まずは、自社が採用活動のどこでつまずいているのかを確かめましょう。

採用活動は、大きく

「1.採用計画・準備」「2.応募者を集める」「3.選考・見極め」「4.内定・入社承諾」「5.入社後の定着」

の5つのフェーズに分けられます。次の図表はかなり簡略化して書いていますが、例えば、「1.採用計画・準備」に課題があれば、その課題を解決するためのサービスを探しましょう。

フェーズ 課題の例 確認すべきこと
1 採用計画・準備 採用したい人材像や人数が曖昧 募集職種、必要な経験、条件、予算、期限が決まっているか など
2 応募者を集める 求人を出しても応募が少ない 求人票・条件を見直したか、どの募集経路から応募があるか など
3 選考・見極め 面接に進んでも採用を決められない 評価基準があるか、選考に何日かかっているか など
4 内定・入社承諾 内定を出しても辞退される 条件や仕事内容を十分に伝え、入社まで連絡できているか など
5 入社後の定着 採用しても早く辞めてしまう 入社前後の説明に食い違いがないか、受け入れ体制があるか など

(出所:日本情報マート作成)

以降でそれぞれの採用フェーズで確認すべきことと、そのフェーズでの課題解決をサポートしてくれる採用サービスの一例を紹介します。

2 フェーズ1|採用計画・準備

「即戦力がほしい」と思っていても、必要な経験や任せたい仕事を具体的に説明できなければ、募集を始めても候補者との間にずれが生じます。まずは、どんなサービスがあるかを見てみましょう。

課題 採用サービス 選ぶときのポイント
採りたい人材像・募集方針が決まらない 採用コンサルティング 職種・条件・募集方法の相談。実行支援を含むか確認
応募者対応や日程調整が回らない 採用代行(RPO) どの実務を任せるか。広告費や面接は別か確認
求人を出しても仕事内容が伝わらない 求人票の制作支援 現場取材、原稿修正の範囲と回数を確認
求人票だけでは職場の魅力を伝えきれない 採用サイトの制作・改善 写真・社員紹介の準備、公開後の更新担当を確認

(出所:日本情報マート作成)

1)採用方針の相談と、採用実務の代行は別もの

採用コンサルティングは「どんな人を、どう集めるか」を考えるための支援です。これに対して採用代行(RPO)は、求人媒体の運用、応募者への連絡、面接日程の調整などを外部に任せる方法です。社内に担当者がいないならRPOが役立ちますが、採りたい人が曖昧なままでは、連絡作業だけを委託しても成果につながりにくいでしょう。

例えば、製造現場で経験者を1人採りたい会社なら、現場責任者に「入社後半年で任せたい仕事」を聞くところから始めます。必要な資格を「必須」と「入社後に取得可能」に分ければ、応募対象を広げられるかもしれません。求人票の改善だけで足りるなら、採用業務を丸ごと委託する必要はありません。

外部に相談するときも、仕事内容、給与、勤務時間などの事実は自社で整理します。情報の伝え方を見直す際は、厚生労働省「求職者等への職場情報提供に当たっての手引」も参考になります。

3 フェーズ2|応募者を集める

応募が少ないとき、求人広告を増やすことだけが答えではありません。まず募集経路ごとの違いを押さえ、自社が欲しい人材に届く方法を選びます。

募集方法 向いている場面 費用・運用の特徴
ハローワーク・求人検索サービス 地域の人材や幅広い求職者に知らせたい 無料掲載の選択肢あり。有料広告は別途
人材紹介会社 職種・経験を絞って紹介してほしい 成功報酬型が中心。返金条件を確認
スカウト型サービス 欲しい人材に自社から働きかけたい 利用料・成果報酬に加え、候補者対応の工数
SNS採用支援 仕事や職場の雰囲気を継続して伝えたい 企画・撮影・運用など委託範囲で費用が変動
リファラル・アルムナイ採用 社員の知人や元社員とのつながりを活用したい 紹介ルール、待遇、公平な選考が必要

(出所:日本情報マート作成)

1)「待つ」「紹介してもらう」「声をかける」の違い

ハローワークは原則無料で求人を掲載でき、地域の求職者に情報を届けられます。Indeedや求人ボックスのような求人検索サービスにも無料の機能と有料の機能があります。幅広く募集したい場合に向きますが、求人票の仕事内容や給与条件が曖昧なら、掲載先を増やす前に原稿を見直しましょう。

人材紹介会社は、登録した求職者から条件に合う人を探して紹介してもらう方法です。採用決定時に手数料が発生する契約が中心です。採用したい職種・地域での紹介実績があるか、担当者が自社の仕事内容を理解しているかを聞くと、会社の規模や知名度だけでは分からない違いが見えてきます。

スカウト型サービスでは、企業側が候補者を探し、メッセージを送ります。人材紹介会社に候補者探しを任せるのとは違い、文章の作成や返信対応に社内のリソースを割く必要があります。求人を出して待っているだけでは会えない人材に接点を持てる半面、担当者を置けない会社では使い切れないこともあります。

2)主要な求人・スカウト型サービスは、対象者で絞る

同じ「スカウトができるサービス」でも、登録している人材や採用の進め方は異なります。まず代表例を比較します。

サービス・主な対象 特徴/向いている会社 料金方式・注意点
ビズリーチ/中途・経験者 経験者や管理職層を検索して直接スカウト。専門職の採用にも DB利用料(月額)+採用時の成果報酬。検索・返信の担当が必要
AMBI/中途・若手経験者 若手のハイキャリア層に接点を持ちたい 料金は個別確認。対象者の登録条件を確認
Green/中途・IT・Web 求人掲載とスカウトを併用。IT・Web職の継続採用に 利用開始時の費用+職種別の定額成功報酬
Wantedly/新卒・中途など 募集記事や社員紹介で会社の特徴を伝え、スカウトも活用 月額定額型、採用時の成功報酬なし。記事更新の手間あり
OfferBox/新卒 学生を探して企業からオファーを送る 公開例:早期定額型3名75万円、成功報酬型1名45万円(税抜)

(出所:各社ウェブサイトなどを基に作成)

(注)料金はプラン・時期で異なります。

ビズリーチは経験者・管理職層、AMBIは若手の経験者、GreenはIT・Web職など、対象を絞って考えると選びやすくなります。Wantedlyは募集記事や社風の発信にも力を入れたい会社、OfferBoxは新卒学生に直接働きかけたい会社の候補です。ただし、いずれも「登録者が多いから自社にも応募が来る」とは限りません。

例えば地方の製造業が技術職を1人採りたいなら、全国規模のサービスをいくつも契約する前に、地元や製造・技術職の紹介実績がある人材紹介会社をあたってみるほうが効果的な場合もあります。反対に、IT技術者を継続的に採りたいなら、求人掲載とスカウトを組み合わせるサービスが選択肢になります。自社に候補者対応の時間があるかも判断材料です。

3)SNSは「すぐに採る」より「知ってもらう」ための手段

SNS採用支援は、InstagramやTikTokなどで職場の様子、社員の声、仕事内容を発信するのをサポートするサービスです。求人票だけでは伝わりにくい雰囲気を見せられますが、投稿を始めればすぐ応募が増えるわけではありません。急ぎで1人を採りたい会社なら、求人票の改善や紹介会社の利用を先に考えたほうがよい場面もあります。

支援内容も、企画だけ、撮影・編集まで、投稿・広告運用までとさまざまです。例えばTaTapは月額10万円~、20万円~、40万円~のプランを公開しています。発信を依頼するなら、再生数やフォロワー数だけでなく、採用ページへの流入、応募、面接まで追えるかを確かめましょう。

社員から知人を紹介してもらうリファラル採用も選択肢の1つです。東京商工リサーチ「2026年6月 企業の『採用』に関するアンケート調査」では、回答企業6,475社の49.2%が導入していました。また、社員紹介と元社員を再雇用するアルムナイ採用の両方を制度として取り入れた企業は27.0%でした。人材のつながりを活かす方法ですが、紹介だからといって選考基準や条件説明を省かないことが大切です。

4)費用は「採れた場合」と「採れなかった場合」で考える

例えば年収400万円の人を紹介手数料率35%で採用すると、手数料は単純計算で140万円です。一方、月額制のスカウト型サービスでは、採用できなくても固定費が発生することがあります。広告費や運用担当者の作業時間も含め、採用予定人数と期間をそろえて比較しましょう。

4 フェーズ3|選考・見極め

選考・見極めのフェーズでも、「応募はあるのに採用を決められない」「面接官の予定が合わず選考が進まない」など、抱えている課題によって必要なサービスは異なります。

課題 候補になるサービス 先に確認すること
応募者の能力・特性を比較しにくい 適性検査 職務に必要な能力と評価基準
応募者情報や連絡が散らばる 採用管理システム(ATS) 応募人数、連絡担当、選考の流れ
面接の日程が合わない 録画面接ツール 質問内容と応募者の利用環境
一次面接の負担が大きい 対話型AI面接 評価項目、費用、最終判断の担当
面接官ごとに判断が違う 面接官研修・評価シート 共通の質問と判断基準

(出所:日本情報マート作成)

1)適性検査は「何を知りたいか」で選ぶ

適性検査は、面接だけでは把握しにくい能力や性格・行動特性を確認するのに役立ちます。ただし、検査によって測るものが違います。次の比較を見てから、自社の選考で何を補いたいかを考えましょう。

サービス 主に確認できること 費用・利用時の着眼点
SPI3 基礎能力や性格傾向。幅広い職種の選考補助 WEB受検4,000円/人(税抜)の公開例。検査構成で変動
玉手箱Ⅲ 言語・計数などの能力、パーソナリティ 年間使用権料+受検料。公開プラン例は年120万~250万円+従量料金(税抜)
カオナビパーソナリティ 価値観やチームとの相性を把握する参考 利用人数・機能などで見積もり。相性だけで採否を決めない
ミイダス/コンピテンシー診断 仕事上の行動特性などを整理 一定の無料利用枠あり。対象者・利用条件を確認

(出所:各社公式サイトを基に作成)

SPI3は能力と性格の両面を見たい場合、玉手箱Ⅲは多くの応募者を同じ条件で比較したい場合などに候補になります。ミイダスやカオナビパーソナリティは、面接で確かめる質問や配属後の関わり方を考える材料にもなります。

2)録画面接とAI面接は、何が違うのか

録画面接は、企業があらかじめ設定した質問に応募者が動画などで回答し、採用担当者が後から確認する方式です。面接官と応募者が同時に時間を空ける必要がないため、日程調整の負担を減らしたいときに向きます。録画回答をAIが解析するサービスもあります。

対話型のAI面接では、AIが質問を行い、回答に応じて追加質問するものがあります。回答の要約や評価レポートの作成まで支援するサービスもありますが、「AIを使う=採否まで任せられる」という意味ではありません。

サービス 主な使い方 公開料金・確認点
SHaiN 対話型AI面接と評価レポート。一次面接の標準化を支援 標準5,000円/件、アルバイト向け1,000円/件(税別)。システム利用料等は方式別に確認
harutaka 対話型AI面接や録画選考など、選考方法を選べる AI面接の具体的な料金は要問い合わせ。機能と契約範囲を確認

(出所:各社公式サイトを基に作成)

SHaiNの公式案内では、後払い方式に年額60万円の受検者管理システム利用料が必要とされていますが、最低利用件数などは方式ごとに条件が異なります。一方、harutakaもAIによる対話型の面接サービスを提供しており、回答に応じた追加質問や面接内容の要約などに対応しています。料金は公式サイトで公開されていないため、問い合わせによる確認が必要です。

年間数人の採用なら、面接官の質問をそろえるだけで十分な場合もあります。AI面接は、面接回数や人手の負担がどれだけ減るかを考えて選ぶサービスです。

5 フェーズ4|内定・入社承諾

せっかく内定を出しても辞退されるなら、採用サービスを増やす前に、候補者が何に迷ったのかを確認したいところです。原因によって打ち手は変わります。

辞退につながる問題 まず行うこと 必要に応じた支援
内定通知までに時間がかかる 面接回数・決裁期限を見直す ATS・日程調整機能
仕事内容や待遇の認識が違う 求人票・面接での説明をそろえる 採用サイト改善、給与情報の調査
内定後に連絡が途絶える 連絡担当・質問窓口を決める 内定者フォローツール

(出所:日本情報マート作成)

例えば中途採用で、最終面接から内定通知まで2週間かかっているなら、他社の選考が先に進んでいるかもしれません。候補者への連絡をATSで効率化する方法もありますが、社長や役員の決裁日を先に決めるだけで改善できることもあります。

内定後の連絡には、入社日、必要書類、配属先、質問への回答などが含まれます。新卒採用で内定者が多い会社には専用のフォローツールが役立ちます。一方、年に数人しか採らない会社なら、担当者と連絡する時期を決め、メールや電話で対応する方法でも十分でしょう。

給与条件が理由なら、同じ地域・職種・経験水準の求人情報や公表統計を参考にします。ただし、求人票の募集額と実際の支給額は同じではありません。自社が無理なく支払える条件と、候補者が入社後に担当する仕事をセットで説明することが重要です。

辞退理由が分からないときは、分かっている事実と推測を分けて記録します。候補者から同じ質問が何度も出るなら、採用サービスより求人票や面接時の説明を改善する方が先かもしれません。

6 フェーズ5|入社後の定着

入社後すぐに辞める人が続く場合、採用した人の問題と決めつける前に、入社前の説明と実際の仕事に食い違いがなかったかを振り返ります。受け入れの仕組みを整えるためのサービスは、目的によって使い分けます。

困っていること サービスの例 使う前に考えること
入社書類のやり取りが煩雑 SmartHR/労務手続き 書類・手続きの担当と流れを整理
新人への説明が担当者任せ Notion・Teachme Biz/手順共有 まず新人が迷いやすい作業を文書化
社員の不満を把握しにくい Wevox・Geppo/従業員サーベイ 結果を読む人と改善する仕組みを決める
評価・人材情報が散らばる カオナビ/人材情報管理 サーベイだけ必要なら機能過多に注意

(出所:各社ウェブサイトなどを基に作成)

1)入社手続き、教育、職場の状態把握は別の課題

SmartHRは入社手続きなどの労務業務を効率化するツールです。書類のやり取りが多い会社には便利ですが、手続きが速くなっても、新入社員が仕事を覚えられるとは限りません。教育担当が曖昧なら、まず「誰が初日に何を教えるか」を決める必要があります。

NotionやTeachme Bizは、業務の手順や社内の知識を共有するための選択肢です。ベテラン社員しか分からない作業が多いなら、すべてを一度にマニュアル化するのではなく、新人から繰り返し質問される作業から整理すると続けやすくなります。

Wevoxは社員の働きがいや組織の状態を継続的に確認するサービスで、公式の公開例には月600円/人(税抜)、最低月額9万円(税抜)のプランがあります。Geppoは少数の設問で社員の状態を把握するサービスで、参考月額は25人以下が2万円、26~50人が3万9800円です。Geppoは個人サーベイと組織サーベイが別料金で、最低利用期間は半年です。料金だけでなく、回答後に誰が面談し、どう改善するかが重要になります。

例えば、入社3カ月以内の退職が続く会社なら、サーベイを導入する前に、仕事内容の説明、教育担当者、相談相手の有無を確認しましょう。入社初日、1週間後、1カ月後などに話を聞く担当者を決めるだけでも始められます。少人数の職場でアンケートを行うときは、回答者が推測されないよう集計・閲覧方法に配慮してください。

7 まとめ|サービスを増やす前に、課題を絞り込む

採用サービスは、種類が多いほどよいわけではありません。応募が少ないなら募集方法を、採否が決まらないなら評価基準を、早期退職が続くなら受け入れ体制を見直す。まず課題を一つに絞ると、比較するサービスも見えてきます。

採用サービスの比較では、次の4つを同じ条件で確かめてください。

比較すること 確認したい内容
① 自社の課題との適合 何を改善するサービスなのか。採用したい職種・地域に合うか
② 総費用 初期費用・月額・成果報酬。採用できなかった場合の負担も
③ 自社に残る仕事 応募者対応、面接、原稿更新、データ管理を誰が担うか
④ 効果の確かめ方 応募数、面接数、採用数、定着状況のどこを見るか

(出所:日本情報マート作成)

まずは直近の採用について、募集人数、応募数、面接数、内定数、入社数を並べてみましょう。数字が大きく減るところが、最初に改善したいフェーズです。その原因を確かめてから、必要なサービスだけを選ぶ。これが、採用にかける費用と手間を無駄にしないための近道です。

以上(2026年11月作成)

pj00847
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最低賃金は過去最高の1177円、「要注意な賃上げ4選」

1 最低賃金は過去最高の1177円へ

2026年10月、全国の最低賃金(地域別最低賃金)が、全国加重平均で過去最高の1177円になりました。長期的な人手不足に物価高の問題もあって、多くの会社が人材確保のために賃金のアップを検討していることでしょう。

ですが、ご用心。せっかくの賃上げも、方法を間違えると思わぬトラブルを招くことがあります。この記事では、社労士の視点から要注意な賃上げの例を4つ紹介します。

2 【ケース1】手当で賃上げをしたら、最低賃金を下回った……

1)ケーススタディー

東京都のある会社は、基本給こそ控えめですが、様々な手当によって賃上げを図っています。若手社員のAさんも平均30万円をキープしており、「同業他社と比べても遜色ない水準だ」と会社の社長は思っていました。

ところがある日、労働基準監督署から、1通の通知が届きました。

「え? Aさんが最低賃金を下回っている? それは何かの間違いでは?」

と、社長は驚きを隠せません。なぜ、Aさんは最低賃金を下回ってしまったのでしょうか?

2)何が問題だったのか?

日給制や月給制の社員の賃金を最低賃金と比較する場合、対象者の賃金を時給に換算する必要があります。ですが、時給に換算する際の計算方法は法令で次のように決まっていて、計算式を間違えると、最低賃金を下回ってしまうことがあります。

1.時給制の場合:時給≧最低賃金額(時間額)

2.日給制の場合:日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

3.月給制の場合:月給÷1カ月の平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

また、最低賃金の計算に含まれるのは、「毎月支払われる基本給と諸手当(職務手当、役職手当、住宅手当など)」だけで、時間外勤務手当(残業代)や賞与、通勤手当、家族手当などは対象外です。このあたりもトラブルになりやすい点です。

最低賃金の計算に含まれるもの・含まれないもの

例えば、ケーススタディーのAさんについて、月給(30万円)の内訳が次の金額だとします。

【月給(30万円)の内訳】

  • 基本給:20万円
  • 職務手当:1万円
  • 時間外勤務手当:5万円
  • 休日出勤手当:2万円
  • 通勤手当:1万円
  • 家族手当:1万円

2026年10月から、東京都の最低賃金(地域別最低賃金)は1280円になっています。Aさんの月給を時給に換算した額が1280円を下回らなければOKですが、実態はどうでしょうか?

まずはAさんの月給(30万円)から、最低賃金の計算に含まれない時間外勤務手当(5万円)、休日出勤手当(2万円)、通勤手当(1万円)、家族手当(1万円)を除きます。

30万円-(5万円+2万円+1万円+1万円)=21万円

そして、この21万円を、Aさんの「1日の所定労働時間」「年間所定労働日数」を基準に、時給に換算します。1日の所定労働時間を8時間、年間所定労働日数を250日と仮定し、時給に換算してから東京都の最低賃金(1280円)と比較してみましょう。

(21万円×12カ月)÷(250日×8時間)=1260円<1280円

Aさんの月給の時給換算額は1260円で、東京都の最低賃金を下回ってしまいました。このように、月給が多くても、法令にのっとって時給換算すると最低賃金を下回ってしまうことがあるのです。これは違法な状態ですから、すぐに改善しなければなりません。

3)どうすれば改善できる?

最近は、基本給を引き上げる代わりに、手当を充実させる会社が少なくありません。基本給は引き上げると簡単に下げられないのに対し、手当は「就業規則等で定める要件を満たす場合のみ支給する(要件を満たさなくなれば支給が止まる)」ため、融通が利きやすいからです。

ですが、最低賃金の計算ルールを正しく理解していないと、ケーススタディーのように落とし穴にハマります。まずは法令にのっとって全社員の賃金を時給換算し、現状を把握するところから始めてみましょう。

また、近年は最低賃金の引き上げ幅が大きいため、気付かないうちに、社員の賃金が最低賃金を下回ってしまうことも想定されます。今どきは、社員の賃金が最低賃金以上かを自動チェックできる機能が付いた給与計算システムもあるので、導入を検討するのもよいでしょう。

3 【ケース2】手当を廃止して基本給に回したら残業代が……

1)ケーススタディー

ある会社の社長は、賃金制度の見直しを考えています。「これまで家族手当を社員に支給してきたけど、最近は独身者が増えてきて、あまり意味をなしていないな。他にも必要なさそうな手当がチラホラ……。よし、こういう手当は廃止して、その分基本給を引き上げよう!」

社長の提案は受け入れられ、「複数の手当の廃止」と「基本給の引き上げ」が同時に行われました。賃金制度はシンプルで分かりやすくなり、社長は上機嫌でしたが、数カ月後、人事部から提出された賃金の支給明細を見てがくぜんとします。

「手当を廃止して基本給に回してから、残業代がすごく増えている……なぜだ?」

社員の労働状況も確認しましたが、特に残業時間が増えたわけではないようです。手当を廃止した分の額が基本給に置き換わっただけですから、賃金全体の額も変わっていません。それなのに、なぜ残業代が増えてしまったのでしょうか?

2)何が問題だったのか?

ケース1とは逆に、手当を廃止して基本給を引き上げるパターンです。生活関連の手当(家族手当や住宅手当など、生活を補助するための手当)を見直して、基本給や職務関連の手当(役職、資格、業績などに応じて支給する手当)に組み入れる会社は珍しくありませんが、残業代のルールを理解していないと、ケーススタディーのような思わぬコストアップに直面します。

残業代、つまり時間外労働や休日労働の割増賃金を計算する場合、「基準外賃金」といって、割増賃金の計算基礎に含めなくてよい賃金があります。具体的には、次の7つの手当がそうです。

  • 家族手当(扶養家族の人数に応じて支給されるものに限る)
  • 通勤手当(通勤距離や通勤費用に応じて支給されるものに限る)
  • 住宅手当(住宅に要する費用に応じて支給されるものに限る)
  • 別居手当
  • 子女教育手当
  • 臨時に支払われた賃金
  • 1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金

こうした手当を廃止して基本給に組み入れてしまうと、その分、割増賃金の計算基礎となる金額が上昇します。つまり、残業時間が変わらなくても単価が上がるので、残業代は増えてしまうということです。

なお、この他に、基本給をベースに賞与や退職金の額を計算(基本給×支給率〇%など)している場合なども、基本給の引き上げによって、会社の意図しないコストアップが起こり得ます。

3)どうすれば改善できる?

賃金体系の見直しを行う際は、基本給の引き上げによる影響を事前に試算することが大切です。残業代、賞与、退職金、他にも社会保険料など、影響を受ける項目を1つ1つ確認し、必要に応じて財務アドバイザーなどとも連携して、資金繰りをしていきましょう。

基本給の引き上げ幅にも注意が必要です。例えば、「3年かけて徐々に基本給を引き上げていく」「対象者を複数のカテゴリーに分けて、カテゴリーごとに賃上げの実施時期を決める」など、会社の負担が一時期に集中しないように、段階的な賃上げを行うことが大切です。

4 【ケース3】一部の社員だけ賃上げしたら職場に“溝”が……

1)ケーススタディー

東京都のとあるスーパーの休憩室。パートのBさんは、店長がこんなことを言っているのを耳にしました。

「東京都の最低賃金が1280円に上がったから、新人のCさんの時給を1250円から1300円に引き上げよう」

Bさんはとても不満です。彼女はCさんの教育係であり、スーパーで長く働いてきたベテラン。それなのに、Bさんの時給は「Cさんと同じ1300円」です。しかも「最低賃金を上回っているから」という理由で、今回Bさんは賃上げの対象にならず、時給は据え置きになりました。

「教育係である私が、Cさんと同じ時給だなんて……」

と、Bさんは鬱屈した毎日を過ごしています。

不満があるのはBさんだけではありません。他のパートも休憩室で、

「経験なんて関係ないってこと?」「これじゃ、やる気が出ないわ」

と言い合っています。活気のあった職場の雰囲気が、徐々に不穏なものに変わっていきました。最低賃金を考慮して行われたCさんの賃金設定が、思わぬ波紋を広げていたのです。

2)何が問題だったのか?

全社員の賃金を一律で引き上げることは、会社にとって少なくない負担です。そのため、なかには最低賃金をクリアすることだけを目的に、一部の社員だけを賃上げの対象とする会社もあります。

賃上げの対象者を限定すること自体は違法ではありませんが、当然こうした対応は、他の社員のモチベーションや職場の人間関係に影響を与えます。賃上げをする際は、単に法的な要件を満たすだけでなく、社員全体のバランスや公平性にも目を向けなければなりません。

3)どうすれば改善できる?

改善策としてまず挙げられるのは、勤続年数などに対応した「賃金テーブル(賃金表)」を整備することです。前述した通り、近年は最低賃金の大幅な引き上げが続いているので、この点を考慮するなら、例えば、

  • 勤続5年以上:最低賃金+50円
  • 勤続10年以上:最低賃金+100円
  • 勤続15年以上:最低賃金+150円

といった加給方式にするとよいでしょう。

仕事の内容や責任に応じて、別途手当を支給するのもよいでしょう。例えば、新人の教育係やシフトリーダーなどの役割を持つパートには、その役割に応じて「役割手当」などの追加の手当を支給すると、不公平感が薄まります。経験や技能に応じて支給する手当を導入するのもよいでしょう。

5 【ケース4】全社的な賃上げで一部の社員から不満が……

1)ケーススタディー

営業部のエースDさんは、次の昇給を楽しみにしています。今期の目標を大きく上回る売り上げを達成することができたからです。一方、同じ部署内にはDさんの同期Eさんがいますが、彼のほうは営業成績を伸ばせずにいます。

そんな中、社長が朝礼でこんな発表をしました。

「今回の昇給は、物価上昇に対応するために全員一律で1万円の賃上げをします!」

ほぼ全員が喜んでいましたが、Dさんは曇った表情をしていました。数日間元気のないDさんに、仲の良い先輩が「どうしたの?」と聞くと、彼はこんな不満を口にします。

「僕は後輩の指導をしながら、営業成績も伸ばしています。そんな僕と、いつも遅刻して、ろくに仕事もしないEさんが、同じ1万円アップなのはおかしくないですか?」

Dさんは「どうせ頑張っても評価されない」と感じ始め、少しずつモチベーションが低下。転職も考えるようになってしまいました……。

2)何が問題だったのか?

ケース3とは逆に、全社的な賃上げを行った結果、トラブルになるというパターンです。物価上昇が続く昨今、こうした賃上げを検討する会社も多いですが、勤務年数や能力差に関係なく一律で金額を引き上げると、ケーススタディーのように「どうせ同じ額しか上がらないのなら、頑張っても意味がない」と感じる社員が出てくることもあります。

特に、高いパフォーマンスを発揮している社員ほど、こうした賃上げを不公平だと感じやすいので、会社への貢献度が高い社員の転職を防ぐためにも対策は必須です。

3)どうすれば改善できる?

対策として考えられるのは、賃上げを「物価上昇に対応するための賃上げ」「個人の成果や能力を反映するための賃上げ」の2段階に分けて実施することです。

物価上昇に対応するための賃上げについては、金額を一律にして実施します。その後で、個人の成果や能力に応じた加算を行います。この加算はボーナスで対応してもよいでしょう。いずれにせよ、個人の成果や能力に応じて追加の賃上げを行うことで、努力した分が報われるという意識を社員に持たせることが大切です。

以上(2026年11月更新)

pj00733
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【ハラスメント対策】 もう「ハラスメント」とは言わせない!安心のシーン別セリフ集

1 ハラスメントと言わせない指導をお手伝いします

部下の指導は上司(管理職)の仕事。とはいえ、部下との関係が浅いうちに少し突っ込んだ指導をすると「ハラスメント!」と言われかねません。「そんなつもりはないのに……」と言いたいことも言えなくなってしまった経験もあるかもしれませんが、ご安心。

以降で、ハラスメントになる問題発言と、それをホワイト発言に変換した例を紹介するので、どこがいけないのか確認してみてください。この記事を読めば、

ハラスメントと言わせない指導

に一歩近づきます!

早速、パワハラ(パワーハラスメント)、セクハラ(セクシュアルハラスメント)、マタハラ(マタニティハラスメント)の順番で確認していきましょう。

2 パワハラ発言になりやすい言い方、なりにくい言い方

パワハラは、職場の優越的な関係(上司と部下など)を背景に、業務上必要のない(または行き過ぎた)言動によって相手の就業環境を害するハラスメントです。パワハラになりやすい言い方、なりにくい言い方の例は次の通りです。

パワハラになりやすい言い方、なりにくい言い方の例

赤字が問題発言です。退職をにおわせる発言(1.と2.)、相手を侮辱する言葉(3.と4.)は、パワハラの典型例です。短時間で仕事を終わらせることを強制する(5.と6.)、部下から仕事を取り上げる(7.)というのも、部下の業務量や納期の状況などによってはパワハラになります。「自分は正論を言っているから」と部下の言い分に耳を傾けない(8.)、休日や休暇などのプライベートに干渉する(9.と10.)というのもリスキーです。仲間はずれにしたり(11.)、業務外の場面で特定の役割を強要したりする(12.)のも慎みましょう。

これを踏まえ、図表右側の「パワハラになりにくい言い方」に言い換えていきます。ポイントは次の通りです。

  • 1.のセリフ:何ができていないのかを明確にしつつ、できていることは評価する
  • 2.のセリフ:「新人のお手本になる」というポジティブなメッセージに言い換える
  • 3.のセリフ:部下の勉強不足は事実として指摘しつつ、改善策も示す
  • 4.のセリフ:上司の指示に問題があったことは素直に認め、その上で部下に改善を促す
  • 5.のセリフ:残業を認めない理由を伝え、仕事を引き取った上で部下を帰らせる
  • 6.のセリフ:仕事の目標時間と併せて、目標を達成するためのヒントも伝える
  • 7.のセリフ:安易に仕事を取り上げず部下にやらせつつ、次回の目標を設定する
  • 8.のセリフ:教えたことのヒントを与えて、部下自身に思い出させる
  • 9.のセリフ:休日の過ごし方には干渉せず、遅刻したことについてのみ注意する
  • 10.のセリフ:有給休暇の取得は妨げず、一方で休み明けにやるべきことは伝える
  • 11.のセリフ:親睦会を任意参加にして、参加するかどうかは部下自身に決めさせる
  • 12.のセリフ:部下にもメリットがあることを伝え、「命令」ではなく「お願い」する

3 セクハラになりやすい言い方、なりにくい言い方

セクハラは、身体的な接触や性的な言葉によって就業環境を害したり、相手がこうした言動を拒否した場合に評価を下げるなどの嫌がらせをしたりするハラスメントです。セクハラになりやすい言い方、なりにくい言い方の例は次の通りです。

セクハラになりやすい言い方、なりにくい言い方の例

赤字が問題発言です。相手の容姿の特徴を指摘する発言(1.と2.)、恋愛や結婚など個人のプライベートに干渉する発言(3.と4.)、下心があると受け取られそうな発言(5.と6.)、「女性らしい」「男のくせに」など性差を強調する発言(7.と8.)は、セクハラと受け取られがちです。愛称やおばさん、お嬢さんなどと呼ぶ(9.と10.)のも、避けたほうが無難です。相手の体調を気遣う発言(11.と12.)は、業務上必要であっても、周囲に社員がいる状況などでは言い方に配慮が必要です。

これを踏まえ、図表右側の「セクハラになりにくい言い方」に言い換えていきます。ポイントは次の通りです。

  • 1.のセリフ:容姿の特徴的な部分を指摘するのではなく、容姿全体を褒める
  • 2.のセリフ:「雰囲気が変わった」「健康的」など、オブラートに包んだ表現にする
  • 3.のセリフ:具体的な休暇の過ごし方には触れず、楽しんでくるようにとだけ伝える
  • 4.のセリフ:「年齢」「結婚」に関するワードを使わずに、不安なことがないかを聞く
  • 5.のセリフ:部署の集まりであることを伝え、個人的な誘いと疑われないようにする
  • 6.のセリフ:部下の声や話し方が「仕事にどう役立っているか」という視点で褒める
  • 7.のセリフ:「女性らしい」というワードが、具体的に何を意味するかを考える
  • 8.のセリフ:個性を尊重しつつ、「元気があるとさらにいい」と遠回しに伝える
  • 9.のセリフ:職場の風土などにもよるが、「○○さん」などの呼称で統一する
  • 10.のセリフ:「○○さん」、名前が分からない場合は「清掃員さん」などと呼ぶ
  • 11.のセリフ:「生理痛」「更年期」というワードを使わずに、体調不良を気遣う
  • 12.のセリフ:「肌荒れ」というワードを使わずに、疲労が見えることを指摘する

4 マタハラになりやすい言い方、なりにくい言い方

マタハラは、妊娠等(妊娠や出産、育児休業の取得など)をした相手の就業環境を害する言動をしたり、育児休業などの取得を理由に評価を下げるなどの嫌がらせをしたりするハラスメントです。マタハラになりやすい言い方、なりにくい言い方の例は次の通りです。

マタハラになりやすい言い方、なりにくい言い方の例

赤字が問題発言です。妊娠・出産等への否定的な発言はマタハラの典型例です(1.)。また、相手を気遣ったつもりでも、退職や雇用形態の変更をにおわせる発言(2.と3.)、仕事を一方的に取り上げる発言(4.)、育児休業を取りにくくなる発言(5.と6.と7.)などは、マタハラと受け取られがちです。部下を必要としていないように取れる発言(8.)、育児休業中の過ごし方などに干渉する発言(9.と10.)、職場に復帰したばかりの部下を焦らせるような発言(11.)にも注意しましょう。なお、マタハラは、社員が妊娠・出産等で「働けない」ことを理由に行われるイメージがありますが、「働いている」ことを理由に行われる発言(12.)もマタハラになり得ます。

これを踏まえ、図表右側の「マタハラになりにくい言い方」に言い換えていきます。ポイントは次の通りです。

  • 1.のセリフ:部下のつらさに寄り添って、安心できる言葉をかける
  • 2.のセリフ:「復帰が大変」という話ではなく、「復帰のサポート」に関する話をする
  • 3.のセリフ:育児休業を取得しても、部下に不利益がないことを強調する
  • 4.のセリフ:妊娠中の業務について部下の要望を聴く(医師の指示がある場合はそれも)
  • 5.のセリフ:育児休業は、子どもを育てるための大切な休みであることを強調する
  • 6.のセリフ:家族のサポートを受けられるか、柔らかい言い方で確認する
  • 7.のセリフ:育児休業を取ることに「謝罪」は不要、「感謝」をするよう伝える
  • 8.のセリフ:部下が職場に戻ってくるのを待っていることを強調する
  • 9.のセリフ:育児休業中の連絡は原則せず、する場合も必要最低限にとどめる
  • 10.のセリフ:育児休業中の勉強は強制しない、プレッシャーがかかる言い方も避ける
  • 11.のセリフ:育児休業中のブランクに配慮して、徐々に仕事の感覚を取り戻させる
  • 12.のセリフ:自分の中の子育てのイメージを押し付けず、ポジティブな言葉をかける

以上(2026年11月更新)

pj00673
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【債権回収】取引先が「会社更生手続」を申立てたら債権はどうなるのか?

1 「会社更生手続」の位置付け

取引先が会社更生手続を申立てた場合、自社もその影響を受けます。そのため、取引先の会社更生手続の申立てに備えて、事前に何ができるのかを知っておく必要があります。その前提となる情報として倒産処理の手続を整理します。

倒産処理の手続

会社が債務超過などで倒産した場合、その手続は、

  • 私的整理:裁判所を利用しない
  • 法的整理:裁判所を利用する

に大別されます。法的整理はさらに、

  • 清算型:会社の清算を目的とする
  • 再建型:会社の再建を目的とする

に大別されます。

会社更生手続とは、

規模の大きな会社(株式会社に限る)の利用を想定した制度

です。そのため、多数の関係者の利害調整を行うことができるように、厳格な手続が定められています。債権回収の可能性という観点で見ると、手続が厳格な分、民事再生手続よりも会社更生手続のほうが手続外で取り得る手立てが限られています。会社更生手続には、株主も利害関係者として参加できますが、この記事は債権者の視点を中心にしているので、株主に関する規定は省略します。

なお、私的整理と法的整理(民事再生手続など)の中間的な位置付けとして、裁判所の関与のもとで金融債権者の多数決により金融債務の整理を進める「早期事業再生法」が2025年6月に成立しており、2026年12月11日に施行が予定されています。詳細は経済産業省のウェブサイトをご確認ください。

■経済産業省「早期事業再生について」■
https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/jigyosaisei/index.html

2 会社更生手続における債権の分類

会社更生手続では、債権を3つに分類します。

会社更生手続における債権の分類

商取引上の債権の多くは更生債権です。また、更生債権の中には、一般の「先取特権」のように優先的取扱いのされる更生債権や、更生手続開始後の利息請求権などのように劣後的取扱いのされる更生債権があります。

民事再生手続との大きな違いは、

担保権が「更生担保権」として会社更生手続に取り込まれ、手続外での自由な権利行使が認められなくなる

ことです。つまり、担保権を行使することができなくなります。

3 会社更生手続の概要

会社更生手続の主な流れは次の通りです。図の網掛けについては以降で詳しく紹介しています。

会社更生手続の主な流れ

1)更生債権等の届出

更生債権者は、定められた債権届出期間内に、裁判所に自身の債権の内容などを届け出ます。会社更生手続に取り込まれる担保権を有する者(更生担保権者)も届け出なければなりません。

また、民事再生手続においては、届出がない再生債権についても再生債務者が自認していれば再生債権に取り込まれますが、会社更生手続にはこうした制度がありません。その代わり、会社更生手続には、知れたる債権者が届出をしない場合、債権届出期間の末日を通知する旨の規定があります。

2)更生計画案の決議・認可

更生計画は、民事再生手続における再生計画に当たるものです。

ただし、更生計画では「更生担保権」「一般の先取特権その他一般の優先権がある更生債権」「更生債権」「約定劣後更生債権」「残余財産の分配に関し優先的内容を有する種類の株式」「これ以外の株式」の順で優先順位が定められます。原則として、上位の権利者のほうが債権の削減幅が小さくなる可能性が高いです。

また、可決の要件は、更生債権者・更生担保権者・株主ごとに異なる定めがなされています。議決権を行使する場合は、事前に確認をしておいたほうがよいでしょう。

4 会社更生手続中の取引先から債権回収する手立て

更生債権等は、原則として、更生計画に基づいて権利の変更がなされ、それに従って弁済などを受けることになります。しかし、更生計画とは別に、債権回収を図ることができる手立てもあります。

民事再生手続と同じように、会社更生手続においても、

債権届出期間内であれば、双方の債権債務を相殺

できます(相殺の条件は、基本的には民事再生手続と同じです)。同様に、中小企業者の債権の弁済の許可や少額債権の弁済の許可が定められています(内容は、基本的には民事再生手続と同じです)。

以上(2026年9月更新)
(監修 Earth&法律事務所 弁護士 岡部健一)

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相次ぐ個人情報漏えい。IPAに学ぶ対処・対策【経営者とっておきニュース】

情報処理推進機構(IPA)は、オンラインサービス等における不正アクセスの被害や情報漏えい事案の急増を受け、個人情報が漏えいした際の具体的な対処法と日頃の予防策を発表しました。

足元では、ウェブシステムの脆弱性を悪用したサイバー攻撃により、大量の個人情報やクレジットカード情報、本人確認書類の画像などが窃取される事例が相次いでいます。これに伴い、被害を受けた一般ユーザーからの相談が窓口に多数寄せられており、二次被害を防止するための迅速な初期対応と、平時からの適切なセキュリティ管理が急務となっています。

生成AIを使うことで専門的な知識がなくてもサイバー攻撃が可能な状況が生まれ、その手口も高度化・巧妙化しているのが実態です。特に、大企業の取引先やサプライチェーンの一角を担う中小企業、リソースが限られた小規模事業者が攻撃の標的となるケースが少なくありません。

一度情報漏えいが発生すると、企業の社会的信用が失墜するだけでなく、取引停止や巨額の損害賠償、システム復旧費用の発生など、経営の根幹を揺るがす深刻なダメージを受けることになります。さらに、漏えいした個人情報がダークウェブ等で売買されれば、詐欺などの二次被害が発生する懸念もあります。

情報セキュリティ対策は、もはや大企業だけの問題ではなく、中小企業にとっても最優先で取り組むべき経営課題となっています。まずは自社が利用するサービスにおいて多要素認証を徹底することや不要なアカウントは即時削除するなど、すぐに低コストで取り組める基本対策から着手し、組織全体でリスクヘッジの意識を定着させることが肝要です。

注意すべき落とし穴は、対策費用や人的リソースの不足を理由に「自社のような小規模な会社が狙われるはずがない」と静観を続けてしまうことや、逆にセキュリティ対策をITベンダーやシステム担当者へ全面的に丸投げしてしまう点にあります。

万が一、情報漏えいが起きた場合、経営陣が現場の管理状況を把握していないと、初動対応の遅れから被害が拡大し、法的な損害賠償や行政指導といった致命的な経営リスクへ発展しかねません。外部ツールや専門業者を頼る場合であっても、経営層自らが自社のリスクと責任範囲を正しく理解し、定期的な点検とルール徹底を社内で主導することが極めて重要です。


【ご注意】本記事は公的資料等を基に生成AIを活用して作成し、編集部で事実確認を行っています。技術の特性上、記述の正確性を完全に保証するのは難しいところがありますので、正確な最新情報については、必ず参照URLの一次情報をご確認ください。
■情報処理推進機構「自分の個人情報等が漏えいした際の『対処』と『日頃の対策』」■
https://www.ipa.go.jp/security/anshin/attention/2026/mgdayori20261026.html

以上(2026年10月作成)

pj10236
画像:terovesalainen-Adobe Stock

経産省が特別相談窓口を設置! 中小企業のサイバーセキュリティ対策【経営者とっておきニュース】

経済産業省は2026年10月27日、国内外の企業に対する相次ぐサイバー攻撃や大規模な情報漏えい被害の深刻化を受け、中小企業・小規模事業者を対象とした「サイバーセキュリティ特別相談窓口」を新たに設置しました。

各都道府県の「よろず支援拠点」および中小企業基盤整備機構の「IT経営サポートセンター」内に無料の相談窓口が設けられ、専門的な助言を受けられる体制が整えられました。さらに、全国の商工団体や金融機関、税理士といった身近な支援機関と連携し、リスク情報を事業者へ直接届ける「プッシュ型の情報提供」も同時に開始されています。

近年、セキュリティ対策が強固な大手企業を直接狙うのではなく、セキュリティ体制が脆弱になりがちなサプライチェーンの中小企業などを標的とし、そこを踏み台にして機密情報を盗み出す手口が急増しています。高度化するサイバー攻撃の前には、もはや「うちは規模が小さいから狙われない」という神話は通用しません。万が一、中小企業がランサムウェア被害や情報漏えいを起こした場合、操業停止による直接的な経済損失だけでなく、取引先への損害賠償や社会的な信用の失墜に直結します。1社のセキュリティ不備が連鎖的な業務停止を引き起こすリスクがあり、もはやIT部門だけの問題ではなく全社的な経営課題となっています。

今後、サプライチェーン全体でのセキュリティ基準の厳格化は避けられず、取引の前提条件として一定の対策レベルが求められる時代が到来します。こうした動向に対し、コストや専門人材の不足を理由に対策を後回しにしていると、重大なセキュリティ事故という取り返しのつかない「落とし穴」に嵌まるリスクが高まります。

行政や支援機関の新窓口といった無料の公的リソースを能動的に活用し、まずは自社のリスクの棚卸しやパスワード管理、バックアップの徹底といった身近な一歩から、早急にリスクヘッジの備えを進めることが求められます。


【ご注意】本記事は公的資料等を基に生成AIを活用して作成し、編集部で事実確認を行っています。技術の特性上、記述の正確性を完全に保証するのは難しいところがありますので、正確な最新情報については、必ず参照URLの一次情報をご確認ください。
■経済産業省「中小企業・小規模事業者向け『サイバーセキュリティ特別相談窓口』を設置します」■
https://www.meti.go.jp/press/2026/10/20261027003.html

以上(2026年10月作成)

pj10235
画像:terovesalainen-Adobe Stock

新規学卒就職者の3年以内離職状況に見る、中小企業の採用と定着戦略【経営者とっておきニュース】

厚生労働省は、令和5年3月に卒業した新規学卒就職者の離職状況に関する調査結果を公表しました。これは就職後3年以内(1年目から3年目まで)の離職状況を産業別に追跡・集計したもので、直近のデータを含め、幅広い産業における若手人材の早期離職の実態や、就職者数に対する離職の規模が詳細に示されており、企業の採用活動や人事労務管理における重要な基礎資料となっています。

時代や景気変動、雇用のあり方が変化しても、「新卒入社した若手のおよそ3割が3年以内に離職する」という構造的な傾向自体は、今も昔も大きく変わっていません。とはいえ、近年の雇用環境において、少子高齢化に伴う深刻な人手不足が続く中、若手人材の確保は多くの企業にとって最重要課題です。

特に、大企業に比べると経営基盤が脆弱な中小企業においては、採用コストをかけて採用した人材の早期流出が、現場の生産性低下や教育負担の増大を招く大きな経営リスクとなっています。また、地方の中小企業においては、都市部への人口流出も相まって、限られた母集団の中から採用した人材が定着しない場合、事業承継や技術伝承そのものが危うくなるという深刻な構造的課題に直面しています。

今後、労働市場の流動化はさらに進み、若手人材のキャリア観の多様化や早期キャリア形成への意識は高まり続けると予測されます。その中で、単に採用人数を追うアプローチだけでは、定着率の改善を図ることは困難です。

離職防止や定着率の向上には、経営層トップダウンの指示や表面的な制度整備だけでは不十分です。日々の業務を共にする現場の先輩社員やマネジメント層を巻き込み、若手スタッフとの間にある価値観や期待値のギャップを丁寧に埋めていく「組織・意識改革」が欠かせません。現場全体で若手の成長を支え、対話を重ねる風土をいかに作れるかが、これからの企業の持続可能性を大きく左右すると言えます。


【ご注意】本記事は公的資料等を基に生成AIを活用して作成し、編集部で事実確認を行っています。技術の特性上、記述の正確性を完全に保証するのは難しいところがありますので、正確な最新情報については、必ず参照URLの一次情報をご確認ください。
■厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和5年3月卒業者)を公表します」■
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00011.html

以上(2026年10月作成)

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AI時代のリスキリングと中小企業の針路【経営者とっておきニュース】

厚生労働省主催による「あなたのリスキリングアクション キックオフフォーラム2026」が、2026年11月26日に開催されます。本フォーラムは、急速に変化する社会や生成AIの普及が進む時代において、個人のキャリア形成やリスキリング(学び直し)の重要性を発信するものです。

会場およびオンラインのハイブリッド形式で実施され、書籍・映画『ビリギャル』の主人公として知られる小林さやか氏による基調講演や、先進的な人材戦略を進める企業の事例発表が予定されています。また、AI時代の実践的なワークショップやキャリアコンサルティング体験なども企画され、働く一人ひとりが新たな価値を生み出す第一歩を後押しする内容となっています。

生成AIの急激な台頭や少子高齢化に伴う深刻な人手不足を背景に、ルーティン業務の自動化が進む中、多くの企業で「従来型の業務スキルだけでは持続的な成長が難しい」という強い危機感が共有されています。

特にリソースが限られる中小企業の現場において、この変化は大きな経営課題です。大企業に比べてデジタル人材の確保や専門的な研修への投資が後回しになりがちな中小企業では、従業員の自律的な学び直しが遅れることで、生産性の向上や新規事業の開拓に出遅れるリスクがあります。一方で、従業員一人ひとりがリスキリングを通じてAIとの協働スキルや新たな専門性を身につければ、限られた人員でも付加価値の高い業務へシフトすることが可能です。現場のマインドセットの変革とスキルアップは、企業の競争力を左右する重要なカギとなっています。

今後、労働市場の流動化や技術革新のスピードはさらに加速し、企業規模を問わず「学び続ける組織」への変革が求められることは確実です。単なるITツールの導入にとどまらず、従業員のキャリア自律を支援する仕組みづくりが、企業の採用力や定着率を大きく左右する時代になるでしょう。

こうした大きな環境変化の中にあって、中小企業がいきなり大規模な教育投資を行うのは容易ではありません。しかし、日々の業務の中で小さな学びや新しい手法を取り入れる工夫は、今日からでも始められます。外部の動向や先進的な取り組みにアンテナを高く保ち、自社に必要な変化を見極めながら着実に一歩を踏み出すことが、これからの企業経営には求められます。


【ご注意】本記事は公的資料等を基に生成AIを活用して作成し、編集部で事実確認を行っています。技術の特性上、記述の正確性を完全に保証するのは難しいところがありますので、正確な最新情報については、必ず参照URLの一次情報をご確認ください。
■【厚生労働省主催】あなたのリスキリングアクション キックオフフォーラム 2026■
https://events.nikkei.co.jp/85427/

以上(2026年10月作成)

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