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【沈黙が正解】会議で手応えを感じたら、もう話さないほうがいい
戦略コンサルやシリコンバレーの経営者、MBAホルダーには、共通点があった。「伝える内容を1つに絞り、1メッセージで伝えて、人を動かす」ということ。プレゼン・会議・資料作成・面接・フィードバックなど幅広い場面で成果を上げるノウハウをまとめた書籍『1メッセージ 究極にシンプルな伝え方』から一部抜粋して紹介する。
コーヒーはいつ飲むべき?「血糖値の乱高下」「睡眠不足」を招くNGタイミングとは
「コーヒーを毎日飲む」という方は、1日の中でいつ、どのくらいの量を、どんな風に飲んでいるでしょうか。今回は、コーヒーと上手に付き合うための飲み方と、「毎日の健康を底上げする」コーヒーと食の組み合わせについてお伝えします。
税制改正で3年延長、中小企業の「企業版ふるさと納税」活用法
目次
1 利用額増加により、3年延長された企業版ふるさと納税
税金負担の軽減効果が高いのに、多くの企業がまだ活用していない制度があります。それが 「企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)」 です。個人が対象のふるさと納税(個人版ふるさと納税)に比べ、知名度の低い企業版ふるさと納税ですが、年々利用が増えており、その実績を踏まえて、当初2024年度までだった適用期限が、2027年度まで3年延長されています。

企業版ふるさと納税は、自治体が実施する認定事業に対して企業が寄附を行うことで、税金の負担を軽減できる制度で、
- 寄附額の最大90%の節税効果がある(実質負担は約1割)
- 地域貢献を通じて企業の信用力が向上する
- 自治体との関係づくりから、新規事業や販路拡大につながりやすい
という、非常に費用対効果の高い仕組みです。特に、広告宣伝や新規事業開発に大きな予算を割きにくい中小企業にとっては魅力的です。
この記事では、「制度の仕組み・税金がどう軽減されるか」「活用するメリット」「注意点」を分かりやすく解説します。
2 実質、企業負担は1割で済む税制優遇のカラクリ
企業版ふるさと納税が注目を集める理由の1つが、寄附額の最大90%の税額控除等がある点です。損金算入と税額控除という2段階の税制優遇により、税金負担が軽減される仕組みです。

まず、寄附した金額は損金(税務上の費用)算入できるため、その法人税の負担(約30%)が軽減できます。
さらに、残る部分については、法人住民税・事業税(一定の場合は法人税も対象)で税額控除(納めるべき税金そのものから寄附額の一部を直接差し引くことができる仕組み)が適用され、最大60%の負担が軽減されます。この2つを合わせると寄附額の最大90%が戻り、企業の実質負担はわずか約1割に抑えられるのです。
3 税制優遇以外にも3つのメリットが!
企業版ふるさと納税は多くの中小企業にとって、単なる寄附制度にとどまらない幅広いメリットをもたらします。
1.社会的信用やブランド価値が向上する
自治体の広報などで紹介される機会が増えるため、CSR(企業の社会的責任)に積極的に取り組む企業としての社会的信用やブランド価値が向上します。
2.新規事業や販路拡大につながる
自治体との関係構築を通じて、新しい市場との接点が生まれやすくなります。例えば地域産業との共同事業、6次産業化のサポート、自治体のDX推進など、連携をきっかけに、新規事業や販路拡大のチャンスが巡ってくるケースは少なくありません。
3.負担を抑えて地域貢献などができる
企業内部の資源を有効に活用できる点も大きな特徴です。企業版ふるさと納税は金銭による寄附だけでなく、
物納や人材派遣型による寄付(人件費相当額の寄附)も認められているので、在庫を寄附として提供したり、専門知識を持つ社員を派遣して地域課題の解決に貢献したりと、直接の現金支出を伴わずに地域貢献ができる
仕組みが整っています。これによって、企業にとって負担の少ない形で活動の幅が広がります。
4 経営者が気を付けるべき「落とし穴」
ただし、制度の優遇が大きい分、遵守すべきルールも明確です。特に、
寄附の見返りとして経済的な利益を受けることは禁止
されています。返礼品はもちろんのこと、寄附を条件とした受注や補助金の取得、商取引の優遇も認められていません。これに違反すると、税制優遇が取り消されるだけでなく、企業の信用を大きく損なうリスクがあります。
また、
本社が所在する自治体には寄附できない
点にも注意が必要です。さらに、寄附後に自治体と共同事業を行う場合でも、寄附がその対価とみなされないよう、手続きや契約内容の透明性を確保しなければなりません。
その他にも、
- 自治体が実施する認定事業に対する寄附のみが対象で、企業側の選択自由度が低い
- 寄附額は最低10万円以上でなければ認められない
といった点に注意が必要です。これらのルールと寄附の目的は地域貢献であるという本質を理解した上で、慎重に検討・活用することが不可欠です。
5 制度活用をおすすめしたい中小企業とは?
この制度との相性が良いのは、次のような企業です。
- 地域での知名度を高めたい企業
- 新規事業の開拓を検討している企業
- IT・マーケティング・財務など、専門性の高い人材を抱える企業
- 過剰在庫を抱える製造業・小売業
ただし、寄附先の選定では「自社との相性」が何より重要です。例えば、IT企業であれば自治体のデジタル化支援、製造業であれば環境や地域産業の振興など、自社の強みが活かせる分野を選ぶことで、寄附が単なる支出ではなく、未来の事業創造につながる投資となり得ます。
以上(2025年12月)
(監修 辻・本郷税理士法人 税理士 安積健)
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退職金制度のお悩み5選 「昔に定めた退職金額が高すぎる」など
目次
退職金制度は日本企業に古くから存在する制度ですが、社員の働き方が大きく変化する中(定年まで1つの会社に勤め続けることが減った、社員以外にも働き方の選択肢が増えたなど)、退職金制度の運用に悩んでいる経営者は少なくありません。
この記事では、社労士監修のもと、中小企業にありがちな「退職金制度のお悩み」5選と、その解決のヒントをご紹介します。
1 (お悩み1)昔に定めた退職金額が高すぎる
最初に紹介するのは中小企業から特に寄せられやすいお悩み、「昔に定めた退職金額が高すぎる」というものです。例えば、
バブル期(好景気の頃)に退職金規程を作り、今の水準に照らすと「高すぎる」退職金額を設定したが、その後は長期不況が続き、昔に定めた額での支払いが負担になっている
というケースなどがあります。経営者からすると
- 資金繰りにも影響が出るような状態は一刻も早く脱したい
- でも、社員からの反発や労働基準監督署の目が心配で、退職金規程に手をつけにくい
というのが心情でしょう。この「高すぎる退職金」問題、はたしてどのように向き合えばいいのでしょうか?
【解決のヒント】
バブル期の水準で退職金を支払い続けるのが厳しい場合、例えば、
退職金規程を変更し、会社にとって負担の少ない制度を新たに導入する
というアプローチが考えられます。
とはいえ、社員に対する支給額が下がるのであれば、それは「労働条件の不利益変更」になり得ます。退職金規程(就業規則)の変更によって退職金額を減額する場合、
社員に対して変更が必要な経営上の理由を十分に説明し、支給対象者から個別の同意(注)を得て変更に踏み切る
必要があります。
(注)一応、合理的な理由・対応であれば、個別の同意がなくても過半数労働組合(または過半数代表者)の意見を聴いた上で変更が可能ですが、退職金制度でこれを行うのはかなりリスキーです。
ただ、個別の同意を得るとしても、社員側は退職金を見越して将来に向けた生活設計をしていたり、高額な住宅ローンを組んでいたりする可能性もあり、高齢社員などを中心に、受け取れるはずだった退職金を急に減額されることに反発する社員は少なくないはずです。会社の状況によってアプローチの方法は異なりますが、平和的な解決を目指すのであれば、
既存の社員については今の退職金制度をそのまま適用し、新たに採用する社員については新制度を適用する
という方法はいかがでしょうか? この方法であれば、既存の社員が不利益を被ることはなくなります。
2 (お悩み2)退職金と賃金、どちらを充実させるべき?
転職が当たり前になり、定年まで勤める社員が減った昨今では、退職金制度を廃止する会社が少なくありません。実際、中小企業の退職金制度の導入率は、2024年時点で64.2%。2014年は78.9%で、10年間で14.7ポイント低下しています(東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情」)。そして、退職金制度を廃止する場合、一般的な退職金原資の使い道として、時には廃止に伴う労使間交渉の代替案として、「毎月の賃金に上乗せすること」が考えられます。
ところで、退職金をなくし、毎月の賃金に上乗せすることについて、社員はどう考えているのでしょうか? パーソル総合研究所が20~64歳の正社員2500人に対して実施した調査によると、「退職金を賃金に上乗せすることに肯定的(否定的)な人の割合」は、
- 20代(488人):肯定33.2% > 否定26.4%
- 30代(577人):肯定27.7% > 否定27.2%
- 40代(652人):肯定24.7% < 否定32.2%
- 50代(641人):肯定18.6% < 否定33.7%
- 60代(142人):肯定19.7% < 否定38.0%
となっています(パーソル総合研究所「賃上げと就業意識に関する定量調査(2025年11月13日)」)。20~30代は退職金を賃金に上乗せすることについて肯定的な人が多い一方、40代以上は否定的な人が多いようです。退職金と賃金、はたしてどちらを充実させるべきなのでしょうか?
【解決のヒント】
若手社員が「はるか先の退職金よりも目の前の賃金を上げてもらいたい」と考えるのは無理からぬことですし、高齢社員が「もうすぐ退職なのに、このタイミングで退職金を下げられるのはちょっと……」と考えるのも理解できます。この場合、折衷案的なアプローチとして、
賃上げと退職金制度の実施を同時に行う
という方法が考えられます。
例えば、企業型DCを導入している場合、
賃金の一部を、引き続き賃金(手当など)として受け取るか、企業型DCの掛金にするかを社員が選択できる「選択制DC」
という制度があります。今の収入を多くしたい社員などは賃金として受け取り、将来に備えたい社員などは掛金にすることを選択するというものです。

賃金として受け取力を選択した場合、今の収入は増えますが、
賃金の上げ幅によっては、社会保険の標準報酬月額(月例賃金を一定の金額幅で区分したもの)が上がり、社員と会社の社会保険料負担が増える
可能性があります。逆に、掛金にすることを選択した場合、当然賃金は減りますが、その分、社会保険料負担なども下がる可能性があります。また、
掛金として受け取る場合、拠出時・運用時・受給時にさまざまな税制優遇が受けられるのに対し、賃金として受け取る場合、その分の金額は「給与所得」として課税対象になる
という違いがあるので、このあたりも社員に丁寧に説明した上で、どちらで受け取るのかを選択してもらうのがよいでしょう。
3 (お悩み3)社内積立と社外積立、どちらがいい?
退職金の積立形態は、大きく
- 社内積立:銀行預金などで、退職金の支払い原資を積み立てる方法
- 社外積立:生命保険商品(養老保険など)や中退共(中小企業退職金共済)、企業型DCなどを活用して、社外で退職金を積み立てる方法
に分けられます。
自由度が高いという理由から社内積立で対応している中小企業は多いですが、一方で自由度が高い分、「会社の資金繰りが苦しくなったときに退職金の原資に手を付けてしまう」などの問題が起こるリスクもあります。そう考えた場合、社外積立に切り替えるべきでしょうか?
【解決のヒント】
社内積立と社外積立のメリット・デメリットを整理すると、おおむね次のようになります。

簡単にまとめると、
- 社内積立は、制度の柔軟性が高い代わりに、設備投資などで原資を使ってしまって「資金不足」などになりやすい
- 社外積立は、「(退職金)を支払うべきときに払える」状態をつくりやすく、税金上のメリットも大きい代わりに、制度の柔軟性は低く、法改正などにも常に気を配る必要がある
といえます。どちらを選ぶかは会社次第ですが、両方のメリットを活かすために、社内積立と社外積立を併用するケースもあります。
4 (お悩み4)社員がすぐに退職し、中退共の掛金が戻らない
退職金を支給するに当たって、「一定の勤続年数」を支給要件としている会社は少なくありません。例えば、入社3年未満の社員が自己都合で退職した場合は、支給率を「0」とし、退職金を支給しないといった具合です。
ただ、退職金を支払わない場合でも、その退職金のために積み立てたお金が会社に戻ってこないケースがあります。社内積立であれば基本的には問題ありませんが、例えば、
中退共の場合、社員が加入後1年未満で退職すると、退職金は支給されず、掛金も事業主に戻らない(1年を超えて退職金が支払われた際、退職金額が掛金納付額を下回っていても、その差額は戻ってこない)
というルールがあります。そうなると、掛金は掛け捨てにするしかないのでしょうか?
【解決のヒント】
中退共は共済制度(プール方式)なので、会社に掛金が戻ってくるケースは、事務上のミス(過払い、重複加入など)があった場合などに限定されます。基本的に掛金は戻ってこないと考えたほうがよいです(他の長期加入者への退職金原資に組み込まれるという対応が取られる)。
一方、例えば企業型DCの場合、その年金規約の内容によっては「事業主返還」が適用される可能性があります。
事業主返還とは、規約に定めた要件(勤続3年未満での退職など)に該当する退職社員のDC資産が、会社が負担した掛金額を限度として返還される制度
のことです。社員の平均勤続年数などに照らして、掛金が無駄にならない制度に切り替えたいのであれば、移行を検討するのもよいかもしれません。もっとも事業主返還については、
- 年金規約に定めがない場合は実施されない
- DC加入期間が3年未満でも勤続年数が3年以上の場合など、対象外になるケースがある
といった注意点があります。事業主返還の対象期間や返還資産額の算定方法なども会社ごとに異なるため、事前に年金規約の内容を確認することをおすすめします。
5 (お悩み5)パート等にも退職金を支払わないとダメ?
退職金について「正社員には支給するが、パート等には支給しない」という運用をしている会社は、以前は少なくありませんでした。しかし、現在はパートタイム・有期雇用労働法などにより
同一労働同一賃金(正社員でもパート等でも「同じ働き方をしているなら、同じ待遇にしなければならない」)
が法制化され、こうした対応は難しくなっています。とはいえ、退職金の支給対象者が増えると、コスト面が心配なのも事実。何か対策はあるのでしょうか?
【解決のヒント】
同一労働同一賃金の基本は、
- 仕事の内容などが同じなのに、パート等であるという理由だけで正社員よりも低い労働条件にすることはできない(均等待遇)
- ただし、成果や能力に基づく待遇格差は、合理的なものであれば問題ない(均衡待遇)
です。具体的には、正社員とパート等の間で「職務の内容」「職務の内容・配置の変更範囲」「その他の事情(成果、能力、経験など)」を勘案して待遇を決定します。つまり、退職金の支給対象者の増加による会社負担が心配であれば、まずは
パート等の仕事の内容、成果、能力などを洗い出し、適正な退職金額を検討する
というのが基本的なアプローチになります。いくらが適正な退職金額かは判断が難しいですが、少なくとも「パート等だから一律で退職金を支給しない」という運用は、違法になるリスクが高いといえます。
もう1つ、会社負担を軽減する方法として、
キャリアアップ助成金の「賞与・退職金制度導入コース」を活用する
というものが考えられます。これは全てのパート等(非正規社員)を対象とする賞与・退職金制度を導入し、支給または積み立てを実施した場合に受け取れる助成金で、次の額を定額で受け取れます。

要件としては、
- コースの実施日の前日までにキャリアアップ計画を作成し、都道府県労働局に提出する
- 全てのパート等を対象とする退職金制度を新たに設ける
- パート等を3カ月以上雇用し、制度の新設後、さらに6カ月以上継続雇用する
- 退職金については、1カ月分相当として3000円以上を6カ月分または6カ月分相当として1万8000円以上積み立てる
- 退職金の積み立て後6カ月目の賃金支給日の翌日から2カ月以内に支給申請する
などが挙げられます。申請書の書き方や添付書類などについては、こちらをご確認ください。
厚生労働省「キャリアアップ助成金」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html
以上(2026年1月作成)
(監修 人事労務すず木オフィス 特定社会保険労務士 鈴木快昌)
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【かんたん消費税(10)】価格の表示ルール守っていますか? 消費税の総額表示義務
1 知っていますか。価格の表示ルール
消費税については、商品やサービスの価格の表示ルールが決まっています。これを「総額表示義務」といい、事業者が消費者に価格を表示する場合は、
消費税額を含めた価格(税込価格)で表示しなければならない
ことになっています。
総額表示義務は、消費者が、
- 会計するまで実際に支払う金額が分かりにくい
- 全く同じ商品でも、お店によって税抜表示だったり税込表示だったりした場合、金額の比較をするときに誤解される可能性がある
ことから、設けられたルールです。
総額表示をしないで税抜表示のままにしていても消費税法の罰則はありませんが、景品表示法という別の法律に違反している場合があります(この場合には罰金が科されることがあります)。また、消費者からの信頼を損なう原因にもなりますので、もし税抜表示のままにしている場合には、すぐに総額表示で対応するようにしましょう。
2 値札だけではない総額表示の対象
1)総額表示の対象となる媒体は?
消費者に対して価格の表示をする場合は、どのような形態の媒体でも総額表示の対象になります。
一番代表的なものは、商品に貼られている値札や陳列棚に記載されている価格などですが、その他にも次のようなものが挙げられます。

2)総額表示の対象とならない取引はあるの?
総額表示が義務付けられているのは、
事業者が消費者に対してあらかじめ価格を表示する場合
です。つまり、
不特定多数の人に対して価格を表示するときが対象となるため、事業者と事業者との間の取引(事業者間取引)は対象にならない
のです。また、特定の人を対象に作成される「見積書」「契約書」「請求書」なども対象とはなりません。
ただし、
「見積り例」としてホームページで公開する場合
などは、不特定多数の人に向けたもののため、総額表示の対象となるので注意しましょう。
3)具体的にはどうやって表記すればいいの?
総額表示義務は、商品の税込価格を表示することを「義務付けている」ものです。そのため、記載されている金額は税込価格であることが前提ですので、
価格を記載するときに「税込」などと表示する義務はない
ことになります。しかし、全てのお客様に総額表示義務の知識が浸透しているとは言い切れないため、トラブルを避ける意味では「税込」と表示しておいた方がよいでしょう。また、税込価格が表示されていれば、「税抜価格」「消費税額等」「消費税率」などを併記しても構いません。しかし、
- 税抜価格を強調し、税込価格は小さく表示する
- 税抜価格を強調し、税込価格は薄く表示する
といったことは、総額表示義務を果たしているとはいえません。お客様との無用なトラブルを避けるためにも、誤解を招く表示はやめましょう。それぞれ総額表示OKの例とNGの例を紹介しますので、ご参考ください。


3 ケースで解説。消費税の表示ルール
1)テイクアウトも行っている飲食店ではどのように表示すればいいの?
飲食店などの中には、店内飲食とテイクアウトの両方を提供している店舗もあると思います。
店内飲食の場合は消費税率が10%、テイクアウトの場合は消費税率が8%になるので、税抜価格は同額でも、税込価格では価格に差が出ます。いずれの場合も税込価格を表記する必要がありますので、このような場合は、
- 店内飲食用のメニューとテイクアウト用のメニューを分けて作成する
- 店内飲食用とテイクアウト用の税込価格を、メニューに分かりやすく併記する
ようにしましょう。

2)「メーカー希望小売価格」はどのように表示すればいいの?
製造業者や輸入総代理店などの小売業以外の業者が、自社の供給する商品について、いわゆる「希望小売価格」を設定し、商品カタログなどに表示している場合があります。
この「希望小売価格」の表示は、
小売店が消費者に対して行う価格表示ではない
ため、「総額表示義務」の対象にはなりません。しかし、小売店が、
「希望小売価格」をそのまま自社の販売価格にしている場合は「総額表示義務」の対象になる
ので注意しましょう。もし、希望小売価格が税抜価格になっている場合には、陳列棚の値札や店内POPなどによって税込価格を分かりやすく表記するようにしましょう。
3)商品本体のパッケージなどに税抜価格が表示されている場合にはどうするの?
総額表示が義務付けられているのは、消費者が商品などを購入する際、
「消費税額を含む価格(支払総額)」が一目で分かるようにするため
のものです。
そのため、個々の商品本体に印刷されている価格が税抜価格のみの表示になっていたとしても、陳列棚の値札や店内POPなどによって、
商品の「税込価格」が一目で分かるようにしておく
ことによって、問題になることはありません。このようなケースの対応例を挙げておきますので、ご参考ください。

4)値引き販売をするときの表示はどうすればいいの?
自社の商品などを値引き販売する際、表示価格の「〇割引」あるいは「〇円引き」と表記することがありますが、この表記自体は「総額表示義務」の対象とはなりません。
しかし、値札などに、「表示されている値引き前の価格」や、「値引き後の価格を表示する」場合には、価格を「総額表示」としておく必要があるので注意しましょう。
以上(2025年12月更新)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 税理士 森浩之)
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2025年 よく読まれた人気コンテンツランキング
2025年は、20年ぶりに日本で万博が開催されたり、日本初の女性首相が誕生したりとさまざまな出来事がありました。また、税務や労務の面で、多岐にわたる制度改正が行われ、多くの経営者が情報収集に追われたことと思います。
どのような情報に多くの関心が集まったのか——2025年1月から12月までのアクセスをもとに、当サイトの「よく読まれた人気コンテンツ」をランキング形式でご紹介します!
どんなテーマに注目が集まったのかを振り返りながら、まだご覧になっていない記事がありましたら、この機会にぜひチェックしてみてください。
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2026年も引き続き、少しでも皆さまの経営や業務に役立つ情報をお届けできるよう努めてまいります。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
以上(2026年1月更新)
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【契約書の実務(1)】「及び、並びに」 紛らわしい用語を解説
1 契約書、覚書、念書・誓約書の違い
契約とは、
「申し込み」と「承諾」という、相対する意思表示が合致することによって成立する法律行為
です。当事者同士の意思が合致すれば、原則として口約束でも契約は成立します。しかし、ビジネス上では書面を交わすのが通常です。書面には「契約書」「覚書」「念書・誓約書」などがありますが、実務上は次のような使い分けがされています。
1)契約書
これから行う取引の条件を明確にするため、当事者の合意内容を双方の権利義務の形で記載した書面です。
念書・誓約書との違いは、「当事者双方が記名・押印していること」です。つまり、当事者一方の意思を示す念書・誓約書と異なり、契約書は当事者双方の意思が合意に至っていることが証明されているのです(これは覚書も同じです)。
2)覚書
契約書を作成する前段階で当事者の合意事項を書面にしたもの、あるいは既にある契約条項の解釈や前提事実を明確にするためや補足で合意したい事項を定めるために契約書に付随して別途作成される書面です。
3)念書・誓約書
契約の一方当事者が相手方に差し入れる形式で、自分が義務を負うことやその義務を履行することを約する内容の書面です。
念書・誓約書は、一方の当事者が相手に対して一方的に誓約を行うもので、この点が契約書や覚書との大きな違いです。そのため、念書・誓約書を差し出す側が署名や押印を記載し、受け取る側は署名や押印をしないのが一般的です。差し出す側だけが書面の内容に拘束されます。
2 紛らわしい用語の解説
1)「直ちに」「速やかに」「遅滞なく」の違い
「直ちに」「速やかに」「遅滞なく」は、いずれも時間的即時性(ある行為から次の行為までの時間の近さ)を表す語句ですが、緊急度の高い順に「直ちに>速やかに>遅滞なく」として用いられるのが一般的です。
ただし、「具体的にどの程度で遅滞と評価できるか」を示す基準にはなりにくいです。契約書上にはできる限り「3営業日以内」など、具体的に記載しましょう。
2)「~することができる」「~しなければならない」「~するものとする」の違い
それぞれ次の意味合いがあります。
- 「~することができる」:するか否かを選択できる
- 「~しなければならない」:することが義務である
- 「~するものとする」:することが義務である
「~するものとする」は、「~しなければならない」と程度が異なることはあるものの、法的な義務付けを意味する用語である点は同じで、その効果も変わらないといえます。相手に義務を負わせたい場合は「~しなければならない」または「~するものとする」を使い、自社に選択の余地を残したい場合は「~することができる」を使います。
3)「~とみなす」
「~とみなす」は、その事実等を擬制する(そうであると扱う)意味で用いられます。例えば、売買契約書で「納品後5営業日以内に、乙(買い手)が甲(売り手)に対して検査に関する合否の通知を行わないときは、当該検査に合格したものとみなす」という条項がある場合、仮に検査に不合格となるような製品があっても、納品後5営業日以内に合否の通知を行わなければ、検査に合格したものとして扱われることになります。
4)「等」
「等」は、その前に示されているものと同種の他のものがあることを示します。例えば、「製品A」は「製品A」のみを示しますが、「製品A等」は製品A以外に特定できない別の製品があることを示します。「等」には曖昧さがあります。これを排除するためには具体的な事項を列挙することになります。一方で、あえて「等」を使用して、解釈に幅を持たせることもあります。自社に不利な義務を負う条項に「等」が使われている場合は要注意です。範囲を明確にするよう相手方に確認しましょう。
5)「及び」と「並びに」の違い
複数の用語を結ぶ接続詞です。「及び」と「並びに」はいずれも英語でいう「and」を意味しますが、契約書では使い分けがされています。
まず、複数の用語を並列にする場合は、「及び」を使います。基本的な使い方は次の通りです。
- 2つの用語を並べる場合は「支社1及び支社2」
- 3つ以上の用語を並べる場合は「支社1、支社2及び支社3」(最後を「及び」でつなぐ)
次に、複数の用語を2つ以上の階層に分けて並べる場合は、最も下位の階層のみ「及び」でつなぎ、その他の上位の階層は全て「並びに」でつなぎます。基本的な使い方は次の通りです。
- 階層が2つの場合は「(支社1及び支社2)並びに(関連会社)」
- 階層が3つの場合は「[(支社1及び支社2)並びに(関連会社)]並びに(取引先)」
「及び」は小さな段階の語句を併合的に連結する場合に、「並びに」は大きな段階の語句を併合的に連結する場合に用いることを意識するとよいでしょう。
6)「又は」と「若しくは」の違い
複数の用語を結ぶ接続詞です。「又は」と「若しくは」はいずれも英語でいう「or」を意味する言葉ですが、契約書では使い分けがされています。
まず、複数の用語を並列にする場合は「又は」を使います。基本的な使い方は次の通りで、「及び」の場合と同じです。
- 2つの用語を並べる場合は「支社1又は支社2」
- 3つ以上の用語を並べる場合は「支社1、支社2又は支社3」(最後を「又は」でつなぐ)
次に、複数の用語を2つ以上の階層に分けて並べる場合は、最も上位の階層のみ「又は」を使い、その他の下位の階層は全て「若しくは」でつなぎます。基本的な使い方は次の通りです。
- 階層が2つの場合は「(支社1若しくは支社2)又は(関連会社)」
- 階層が3つの場合は「[(支社1若しくは支社2)若しくは(関連会社)]又は(取引先)」
「又は」は大きい選択の段階で用い、「若しくは」はそれより下位の小さい選択の段階に用いる言葉であることを意識し、「又は」を基準に、前の文と後の文を分断するとよいでしょう。契約書の内容を確認する際に、押さえておくべきは用語に限りません。以降では、トラブルが発生した場合の規定など、内容確認で押さえておくべきポイントを紹介します。
3 内容確認で押さえておくべき5つのポイント
1)「5W2H」を確認する
契約書の内容をしっかり確認しないで締結してしまうと、後にトラブルになる恐れがあります。法務の知識や実務経験があれば理想的ですが、そうでなくても基本的な事項は確認することができます。まずは「5W2H」です。これはビジネスの基本ですが、契約書でも通用します。
- Who(誰が):契約当事者は誰か(会社名、代表者名は正確か。相手が法人の場合、法人格(株式会社、合同会社など)は正しいか)
- Why(なぜ):契約締結の目的は何か(目的条項で明確になっているか)
- What(何を):締結する契約の内容は何か(製品・サービスの仕様は明確か、数量・品質基準は具体的か)
- When(いつ):義務の履行日(権利の行使日)はいつか。契約期間はいつまでか(納期・支払期日は正確か。自動更新条項の有無を確認)
- Where(どこ):義務の履行場所(権利の行使場所)はどこか(納品場所、研修場所は正確か)
- How(どのように):義務はどのように履行されるのか(権利はどのように行使するのか。納品場所・支払い方法は明確か)
- How much(いくら):契約を通じて支払う(受け取る)対価はいくらか(金額、消費税の扱い、支払い条件は明確か)
2)権利・義務の発生要件を確認する
権利・義務の発生要件をしっかりチェックしておかないと、トラブルになった際に自社が不利な立場に立たされることがあります。
例えば、製品の売買契約書の返品に関する条項が、「本売買契約に基づき納入された製品に不具合がある場合、乙(買い手)は、甲(売り手)に当該製品を返品することができる」としか定められていないと、「不具合」の基準が不明確です。
場合によっては、製品には問題は全くないが製品が入っているケースに傷がある、といったことでも、相手から返品を主張されかねません。こうした場合は、「不具合」に該当する事由をできる限り具体的に列挙するなど、権利・義務が発生する要件を明確にしておくべきです。
3)トラブルが発生した場合の規定を確認する
契約書の大切な役割の1つは、その契約に関するトラブルから自社の権利を守ることです。例えば、次のような条項は最低限、確認しておくべきでしょう。
- 損害賠償条項:損害賠償の範囲は適切か、損害賠償額の上限は設定されているか
- 契約解除条項:どんな場合に解除できるか、解除時の損害賠償や違約金の定めはあるか
- 不可抗力条項:天災、疫病、戦争等で履行できない場合の扱いは明確か
- 秘密保持条項:秘密情報の範囲は適切か、秘密保持義務の期間は適切か
- 知的財産権条項:成果物の権利は誰に帰属するか、既存の知的財産権の扱いは明確か
全てのトラブルを想定することはできませんが、少なくとも「発生する可能性の高いトラブル」「発生した場合に被害が大きいトラブル」については洗い出し、契約書に定めておきます。
また、トラブルが発生した際に、自社の負う義務が、適切かつ許容できるものであるかということも確認が必要です。契約の相手方が契約書の草案を作成した場合は、特に注意が必要です。草案の作成者側(相手方)にとって有利な条項が盛り込まれていることで、自社にとっては不利になることがあります。
4)関連する契約書についても確認する
基となる契約書(「原契約」や「基本契約」などといいます)には、関連する契約(以下「関連契約」)が覚書などのタイトルで締結されることがあります。このような場合、原契約だけではなく関連契約についても確認が必要です。
例えば、原契約締結時の販売金額は1000万円でも、その後に価格改定が行われ、覚書で1200万円に訂正しているケースがあります。この他にも、原契約と関連契約との間で支払日、納品日、権利・義務などが変更となり違いが生じている場合があるため、注意が必要です。
5)分からない点は、相手方に確認する
契約書を確認していると、「意味が分かりにくい条項」「不要と思われる条項」などが出てきます。こうした場合は、次のような点について必ず相手方に確認しましょう。
- なぜこの条項が必要なのか
- この条項の具体的な適用場面はどのような場合か
- 自社にとってどのようなリスクがあるか
ただし、不要と思われる条項で特に意味をなさないことが明らかであれば、契約をスムーズに締結するためにあえてそのままにしておくことも、場合によってはあり得ます。
以上(2026年1月更新)
(監修 弁護士 田島直明)
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取適法施行でフリーランスとの契約ルールが厳しくなる?
1 請負と委任の違い
「業務委託」をしていても、契約の中身である「請負」と「委任」との違いをはっきり理解していない会社は、実は意外と多いです。また、今後、フリーランスの権利保護は確実に進んでいきますから、フリーランスに業務委託をする会社側も、きちんとした知識を持っておくべきでしょう。
この記事では、請負と委任の違いを理解した上で、相手(フリーランスを想定)と契約を交わす際のポイントをまとめます。2026年1月からは「取適法(中小受託取引適正化法、旧下請法)」の施行で、仕事を外注する際のルールがますます厳格化されていますから、今のうちに確認しておきましょう。
まず知っておくべきことは請負と委任との違いです。両方とも民法で規定されていますが、内容は次の通り異なります。
- 請負:相手方は仕事を完成させる義務を負い、その仕事の結果に対して報酬を支払う
- 準委任:相手方は事務処理を遂行する義務を負う(仕事を完成させる義務は負わない)。
また、委任については「準委任」のほうが聞き慣れているかもしれませんので補足します。「準」がつかない委任は、法律行為を対象とするものです。一方、
準委任は、法律行為以外の事実行為が対象(この記事では、準委任を前提に説明)
となります。なお、準委任の報酬ですが、これは履行割合型と成果完成型に分かれます。どちらに該当するかは、契約の内容によりますが、おおざっぱに言えば、次のような例が挙げられます。
- (履行割合型)時給制の学習指導の契約など、生徒が志望校に合格できるように教育するが、仮に志望校に合格できなくても報酬は支払われる場合
- (成果完成型)成功報酬の経営コンサルティングの契約など、例えば、自社が資金調達を目的にコンサルティングを依頼した場合、資金調達に成功した際には、その成果に対して報酬が支払われる場合
2 契約全般で注意すべきポイント
1)契約書は実態で判断する
請負と準委任どちらの場合でも、契約内容を明らかにしておくために契約書を作成しましょう。契約時、業務内容をできるだけ細分化し、何を依頼しているのか、また、何をもって業務が完了するかなどを明確にします。実際の業務では、請負か準委任か明確ではないケースも考えられるので、そうした場合は、どのように契約書を作成すべきかなどを、弁護士などに相談するのが無難です。
また、取適法や「フリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)」の規制を受ける取引の場合、下請事業者(フリーランス)の給付の内容(提供される役務の内容)や、下請代金(報酬)の額、支払期日などを記載した書面等の交付が義務付けられています。
なお、取適法は一定の「資本金基準」「従業員基準(2026年1月から)」と取引類型の要件を満たす取引先との間の取引に適用されます。また、取適法が適用されない場合であっても、フリーランスとの取引には、フリーランス法が適用されます。
こうした親事業者(ここでは自社)の義務は、当事者間の合意に優先して適用される強行法規であり、契約で変更することはできません。取適法とフリーランス法の詳細については、こちらをご確認ください。
■公正取引委員会「中小受託取引適正化法(取適法)関係」■
https://www.jftc.go.jp/partnership_package/toritekihou.html
■公正取引委員会「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」■
https://www.jftc.go.jp/fllaw_limited.html
2)請負、準委任による義務
請負ではフリーランスが仕事の完成義務を負っているのに対し、準委任は仕事の完成義務を負っていないので、請負のほうが準委任よりも責任が重いように思えますが、それは正しくありません。
準委任では、受任者は、善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務(善管注意義務)を負っています。例えば、業務遂行に不注意などがあった場合には、フリーランスは、善管注意義務違反としての債務不履行責任を負う可能性があります。このように、一概に準委任は請負よりも責任が軽いわけではないのです。
3 指揮命令などで注意すべきポイント
1)労働者性が認められる実態がないか確認する
フリーランスが社員と大きく違うのは、会社は、フリーランスに対して、具体的に指揮命令を下して、業務を遂行させることができないことです。これを守らないと、フリーランスに労働者性が認められ、問題になる恐れがあります。
フリーランスの労働者性が認められた場合には、労働基準法などの労働関係法令が適用され、労働関係法令違反を指摘されると、罰則を受けたり、社会的な信用を失ったり、社会保険料や時間外手当等の支払義務を負う恐れもあります。
2)業務の遂行方法の指示や、自社の名刺を持たせるのは避ける
フリーランスの労働者性が認められるか否かについては、様々な要素が考慮されますが、主に次の要素が考慮され総合的に判断されます。
- 仕事の依頼への諾否の自由
- 業務遂行上の指揮監督の有無
- 時間的・場所的拘束性の有無
- 代替性の有無
- 報酬の労務対償性(報酬の算定方法)
- 機械・器具の負担や報酬の額等に表れた事業者性
- 専属性の程度等
例えば、フリーランスが自社のオフィスなどで業務を行う場合、フリーランスに対して業務の遂行方法を細かく指示したり、出退勤や休憩時間、休日や休暇などに関して指示したりする場合には、労働者性が認められる恐れがあります。
また、自社の名刺を持たせる際にも気を付けなければなりません。取引先などが、フリーランスが従業員としての責任や権限を持っていると勘違いする可能性がありますので、フリーランスには自社の名刺を持たせないのが無難です。仮に持たせる場合は、細心の注意が必要です。
3)再委託・再委任の禁止や報告を義務付ける
自社はフリーランスに対して、業務の遂行方法を指示することはできませんが、再委託・再委任を禁止したり、業務の状況等に関する報告を求めたりすることはできます。請負と準委任では、再委託・再委任の禁止や報告の義務に関して、民法上、異なる規律が定められています。
まず、請負では、再委託は特段制限されていないのに対して、委任では、委任者の許諾を得たとき(またはやむを得ない事由があるとき)でなければ、再委託はできません。また、請負では、民法上、報告に関する義務は規定されていませんが、委任では、事務処理の状況や経過及び結果を報告する必要があります。そのため、請負において、再委託の禁止や報告を求める場合、契約書でその旨を定めておくことが必要です。
4)行き過ぎた競業避止義務を避ける
自社はフリーランスに対して、営業上重要な情報などを漏洩しないよう、秘密保持義務に加えて、競業避止義務を課すことがあります。競業避止義務とは、フリーランスが自社と競合する企業などに所属したり、自ら会社を設立したりといった行為をしない義務のことです。
とはいえ、フリーランスに対して行き過ぎた義務を課すことは、独占禁止法(独禁法)上の問題が生じたり、公序良俗に反して無効と判断されたりする場合があります。
競業避止義務を定める場合には、それを定める理由や合理性、相当性も踏まえながら、期間、業務範囲、場所的範囲、競業避止を定めることに対する対価の有無などを検討することになります。
4 報酬の支払いなどで注意すべきポイント
1)報酬の支払期日や減額に注意する
取適法やフリーランス法の規制対象である取引では、給付・役務の提供を受けた日から60日以内の、できる限り短い期間内を報酬支払いの期日として定め、報酬を支払わなければなりません。
また、フリーランスの責任ではない理由から報酬を減額したり、通常支払われる対価(市場価格など)に比べて著しく低い報酬を定めたりすることなども禁止されています。
この他、取適法の適用を受ける会社においては、2026年1月から、
- 会社が協議に応じず一方的に代金を決定し、フリーランスの利益を不当に害すること
- 代金の支払い手段として手形を用いること
が禁止されています。
2)知的財産権の帰属を決めておく
請負、準委任とも、フリーランスが業務を遂行する中で生まれた発明や著作物、それらの知的財産権は、原則としてフリーランスに帰属します。そのため、知的財産権を自社に帰属させるためには、契約においてその旨を規定しておく必要があります。
また、知的財産権を自社に帰属させたり譲渡させたりする際は、適切な対価を支払わなければなりません。特に、企業がフリーランスに対して、無償や低廉な価格で知的財産権を譲渡させた場合には、下請法(取適法)やフリーランス法に抵触するおそれがあるので注意が必要です。
3)報酬の請求は慎重に確認する
税務上で注意しなければならないのが、消費税や源泉所得税の扱いです。
フリーランスへの報酬は外注費として消費税の対象ですが、社員への給与は消費税の対象とはなりません。問題は、フリーランスの労働者性が認められる場合です。中には実質的には労働者であるにもかかわらず、外注費とすることで、消費税の納税額の負担を減らす悪質なケースがあるようです。
また、フリーランスへの報酬は、一律に源泉徴収が必要になるわけではありません。源泉徴収の対象となるのは、原稿料やデザイン料などの一部の報酬です。自社が支払う報酬が源泉徴収の対象であるのかを確認しておく必要があります。
特に、フリーランスの中には、源泉所得税の知識に乏しい人もいて、源泉所得税を天引きしない金額で自社に報酬を請求してくることがあります。
そのため、フリーランスからの請求が正しい金額であることを自社で確認し、誤った金額を支払わないように注意しましょう。仮に源泉徴収漏れを指摘された場合、フリーランスではなく自社が追徴支払いをすることもあり得ます。
以上(2026年1月更新)
(監修 TMI総合法律事務所 弁護士 池田絹助)
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