本書は、東京駅の建物の6割を占めるという、百余年の伝統がある「東京ステーションホテル」の魅力およびその“唯一無二の価値”を、入社3年目のスタッフから総支配人まで11人へのインタビューによって明らかにしている。
重要文化財にも指定されているレンガ造りの東京駅丸の内駅舎にある東京ステーションホテルは、JTB「サービス最優秀旅館・ホテル」受賞、「じゃらんアワード」泊まって良かった宿大賞総合部門1位(関東・甲信越エリア101~300室部門)などの他、米国の旅行誌が発表する世界的なアワード「コンデナスト・トラベラーリーダーズ・チョイス・アワード2024」では、日本のトップホテル部門において、第3位に選出され、東京のホテルでは1位となるなど高い評価を得ている。
個人情報を取得・利用するときに守らなければならないルール【かんたん個人情報保護法(2)】
1 個人情報を取得・利用するときのルールは5つ
個人情報を取り扱う際は、個人情報保護法に基づく取得・利用のルールを守らなければなりません。具体的には、
- 個人情報を取得するときのルールが2つ
- 個人情報を利用するときのルールが3つ
あります。以降で確認していきましょう。
2 個人情報を取得するときのルール
1)不正の手段によって個人情報を取得してはならない
当然ですが、不正の手段(偽りなど)によって個人情報を取得してはなりません。
2)個人情報を取得した場合は、速やかに、その利用目的を本人に通知または公表する
あらかじめその利用目的を公表している場合を除いて、個人情報を取得した場合は、速やかに、本人に個人情報の利用目的を通知・公表しなければなりません。
利用目的の通知・公表の方法については、特に定めはありません。
- 通知であれば、書面・メール等に記載する
- 公表であれば、ウェブサイトの分かりやすい場所や、店舗に掲示する
といった方法が考えられます。本人に対して口頭で利用目的を通知する方法も認められます。
なお、取得の状況から見て利用目的が明らかな場合は、利用目的の明示は不要です。例えば、名刺交換した相手に自社の商品・サービスの案内を送るときなどがそうです。
3 個人情報を利用するときのルール
1)利用目的をできる限り特定しなければならない
個人情報の利用目的は、できる限り具体的に特定しなければなりません。
例えば、ネット通販で商品を購入しようとしたとき、氏名や住所などの個人情報を入力しますが、その利用目的として「当社の商品の配送およびアフターサービスのご案内のため」と書いてあれば、商品を購入した顧客は、どのような目的で自分の個人情報が使われるのか認識できます。「事業活動に用いるため」「マーケティング活動に用いるため」といった曖昧な表現はNGです。具体的に利用目的を特定しているとは言えないからです。
2)利用目的の範囲を超えて取り扱うときは、あらかじめ本人の同意を得る
あらかじめ本人の同意を得ないで、利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはなりません。
ただし、この同意を得るために個人情報を利用すること(メールを送ったり、電話をかけたりするなど)は目的外利用には該当しません。
3)違法または不当な行為につながるような利用方法はNG
違法または不当な行為とは、法令(個人情報保護法など)に違反する行為や、直ちに違法とはいえないものの、法令の制度趣旨や公序良俗に反する行為など、社会通念上適正とは認められない行為をいいます。
解釈の余地はありますが、個人情報についてこれまでと異なる取り扱いをしようとするときは、見切り発車にせず、弁護士や個人情報保護委員会に確認するのがよいでしょう。不適正な利用の具体例が、「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」に列挙されています。興味のある方は確認してみてください。
■ガイドライン3-2 不適正利用の禁止(法第19条関係)■
https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/#a3-2
4 要配慮個人情報を取得するときは「本人の同意が必要」
要配慮個人情報とは、
不当な差別や偏見などの不利益が生じないよう、取り扱いに特に配慮を要する個人情報
のことです。具体的には、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実、心身の機能の障害があること、医師等により行われた健康診断の結果などが該当します。
法令に基づく場合などの例外を除き、あらかじめ本人の同意を得ないで、要配慮個人情報を取得してはなりません。
実務上、あらかじめ本人の同意を得ておくほうがよいのは、
社員の健康情報(健康診断の結果や病歴など、健康に関する個人情報)を取得する場合
です。健康情報の多くは要配慮個人情報に該当しますが、そうでない場合も機微な情報が含まれ得ることなどから、要配慮個人情報に準じて取り扱うのが望ましいとされています。
例えば、定期健康診断の結果などは、労働安全衛生法に基づいて取得するものですが、「健康の確保のため」という利用目的を通知し、社員の同意を得て取得するとよいでしょう。
■個人情報保護委員会「雇用管理分野における個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項」■
https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/ryuuijikou_health_condition_info/
なお、2026年7月10日に参議院本会議で可決、成立した「令和8年改正個人情報保護法」では、「統計作成等」(AI開発や統計作成など)を目的とする場合に限り、SNSなどで公開されている情報については、本人の同意を得ずに取得・他の事業者へ提供できる特例が新設されました。
以上(2026年7月更新)
pj60174
画像:日本情報マート
中小企業の株式に増税? 60年ぶりに改正議論が始まった非上場株の相続税評価
目次
1 非上場株の評価額が上がる可能性も……改正議論が開始
60年ぶりとも言われる非上場株の相続税評価の見直し議論が始まっています。この動向は、中小企業の経営者にとって他人事ではありません。改正後に評価額が上がれば、事業承継時の税負担が増え、後継者が引き継ぎを断念するケースも出てくる可能性があるからです。
2026年4月、国税庁が「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」を立ち上がり、2026年6月時点で3回開催されています。
見直しの方向性はまだ確定していませんが、関係者の多くが「評価額が上がる可能性が高い」
と見ています。「改正が決まってから考えよう」では遅いかもしれません。今、何が起きているのかを理解し、早めに備えることが経営者としての責任です。重要なのは「改正が決まってから動く」のではなく、今の評価額を把握し、選択肢を整理しておくことです。
2 そもそも「非上場株の評価」とは何か
株式市場に上場している会社の株は、市場で毎日売買されているので、その日の値段(株価)がすぐに分かります。しかし、中小企業などの非上場株は市場で取引されないため、「この株はいくらか」を計算するルールが必要です。
相続や贈与が起きたとき、非上場株の価格は国税庁が定めた通達(ガイドライン)に沿って計算されます。この評価額をもとに相続税・贈与税が計算されるため、評価額が高くなると税負担も重くなります。現在の主な評価方法は次の2つです。

実際には、会社の規模に応じていずれかの評価方法、もしくはこの2つを併用する評価方法が使われます。大きな会社ほど1.の「類似業種比準方式」の影響が強く、小さな会社ほど2.の「純資産価額方式」の影響が強くなります。
3 なぜ今、改正議論が始まったのか
きっかけは、2024年に会計検査院(国のお金の使われ方などをチェックする機関)が公表した調査(会計検査院「令和5年度決算検査報告」)です。その報告書で、現在の評価方法には大きな問題があると指摘されました。
最大の問題は、
「類似業種比準方式」による評価額と「純資産価額方式」による評価額の間に、あまりにも大きなギャップが生じているケースがある
という点です。
例えば、ある事例では類似業種比準方式で算出した評価額が、M&A(会社の買収)による実際の売却価格のわずか8%程度にしかなっていなかったことが明らかになっています。これは極端な例ですが、評価額と実態の間に何倍もの差が開いているケースが珍しくないのです。
また、こうしたギャップを悪用した「節税スキーム」の横行も問題視されています。例えば、意図的に利益を圧縮したり、会社を分割して資産を子会社に移したりすることで、評価額を人為的に引き下げ、税負担を極端に減らす行為が増えているのです。
さらに、近年の裁判例でも、通達に基づく評価額と実態があまりにも乖離している場合、税務当局が「通達によらない評価」を行って課税するケースが増えており、納税者との間でトラブルが相次いでいます。
4 想定される改正スケジュール
現時点での見通しは次の通りです。ただし、議論の結果次第で変わる可能性があります。

- 2026年4月~(有識者会議の開始):国税庁により「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」が設置され、2026年4月20日に初会合(第1回)が開催されました。
- 2026年秋~冬(議論の取りまとめ):これまでの議論(第1回$301C第3回など)を踏まえ、有識者会議としての評価制度の見直し案が策定・公表される予定です。
- 2026年12月~2027年1月(税制改正大綱へ反映):取りまとめられた見直し方針が、2027年度税制改正大綱に記載される見通しです。
- 2027年4月頃(パブリックコメントの実施):大綱に示された方針に基づき、具体的な「財産評価基本通達」の改正案について一般からの意見公募(パブリックコメント)が行われます。
- 2028年1月1日(新たな評価ルールの適用開始(予定)):一部報道や国税庁資料に基づくと、早ければこのタイミングから新しい評価方法による申告が必要になると予測されています。
5 有識者会議ではどんな議論が行われているか
国税庁「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」は、2026年4月の第1回を皮切りに、5月・6月と続けて開催されています。法律・会社法・M&A実務・会計学などの専門家や、日本商工会議所・日本税理士会連合会も参加し、さまざまな立場から意見が交わされています。
■国税庁「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」■
https://www.nta.go.jp/about/council/kenkyu.htm#nai-hyoka
議論の焦点は大きく4つです。
1)評価額が大きく変わる「評価の崖」をなくす
現在の非上場株式の評価制度では、会社の規模や評価方法の違いによって、株価が大きく変わるケースがあります。このような極端な差は「評価の崖」と呼ばれ、公平性の観点から問題視されています。
実際に、会計検査院が2024年に公表した調査では、「類似業種比準方式」(同業他社の株価を参考にする方法)で計算した株価は、「純資産価額方式」(会社の資産や負債を基に計算する方法)で算出した株価の約4分の1にとどまっていました(会計検査院「令和5年度決算検査報告」)。
また、会社の規模が大きいほど株価が低く評価される傾向も見られます。そのため、事業内容や収益力が似ていても、会社規模の判定基準(従業員数や取引金額など一定の基準)をわずかに超えただけで、適用される評価ルールが変わり、株価が急激に上昇することがあります。今後の見直しでは、このような不自然な段差をなくし、よりなだらかで公平な評価制度にすることが検討されています。
2)評価額の恣意的な操作を防ぐ
現行の評価制度は計算ルールが明確である一方、その仕組みを利用して株価を意図的に低くする対策が行われるケースもあります。
代表的な例が配当金の調整です。株価計算の要素の一つに配当金額が含まれているため、あえて配当を出さないことで株価を下げる手法が利用されています。国税庁の分析では、評価の対象となった企業の8割超が、評価前の2年間に配当を実施していませんでした。
この他にも、
- 親会社の資産を子会社へ移して親会社の株価を下げる方法
- 創業者に議決権のない株式を持たせることで、後継者側の評価額を低くする方法
- 高額な役員退職金を支払い、利益を一時的に減らす方法
など、さまざまな税負担を下げるスキームが指摘されています。
現在は、こうしたケースに対して税務当局が個別に判断する「総則6項」という特別なルールで対応しています。しかし、どのような場合に適用されるのか分かりにくく、予測が難しいという課題があります。そのため、個別対応に頼るのではなく、評価ルール自体を見直すべきだという議論が進められています。
3)実態を反映した評価へ見直す
現在の株価評価では、会社を解散した場合に残る資産価値を重視する「純資産価額方式」が大きな役割を担っています。
しかし、実際の会社の価値は、保有している資産だけで決まるものではありません。将来どれだけ利益を生み出せるかという「収益力」も重要な要素です。
例えば、会社法上の株価評価をめぐる裁判では、将来の利益やキャッシュフロー(事業活動で生み出すお金)を基に企業価値を算定する方法が広く使われています。一方、純資産価額は最低限の価値を示す指標として扱われることが多く、税務上の評価との違いが指摘されています。
また、専門家からは、研究開発力や人材力、ブランド力といった、貸借対照表には表れにくい価値も企業価値に反映すべきだという意見が出ています。
経済団体からも、「事業を継続している会社を、解散を前提とした価値だけで評価するのは実態に合わない」との声が上がっており、今後は収益力をより重視した評価方法が検討される可能性があります。
4)M&A・第三者承継の実態を反映する
近年、中小企業の事業承継では、親族への引き継ぎだけでなく、第三者へのM&A(企業の売却・買収)が急速に増えています。
M&Aの現場では、会社が保有する資産だけでなく、顧客基盤や技術力、ブランド力、将来の収益力なども考慮して企業価値が決まります。そのため、税務上の株価評価と実際の売買価格に大きな差が生じることがあります。
実際の裁判例では、税務上の評価額がM&Aによる買収価格の1割にも満たなかったケースもあり、現行制度が企業の実態を十分に反映していないとの指摘があります。
こうした背景から、今後の制度改正では、M&Aで使われる企業価値評価の考え方を税務評価にどこまで取り入れるかが重要な論点となっています。
ただし、M&Aの価格には買い手ごとの事情や期待される相乗効果(シナジー)が反映されるため、その価格をそのまま相続税や贈与税の評価額に使うべきではないという慎重な意見もあります。そのため、事業承継を妨げないよう配慮しながら、どのような評価方法が適切なのかが議論されています。
6 改正の方向性が固まっていない今、経営者がやるべきこと
1)ステップ1:自社株の現在の評価額を把握する
制度改正への対応を考える上で最初に行うべきことは、自社株が現在どのように評価されているのかを把握することです。
非上場株式の評価方法は会社規模によって異なります。まずは、自社が「大会社」「中会社」「小会社」のどれに該当し、どの評価方法が適用されているのかを確認しましょう。これまでにもあるように、現在は、「類似業種比準方式(上場企業の株価を参考にする方法)」が適用される会社ほど、株価が低く評価される傾向があります。
まずは現状の評価額を把握し、自社がどの程度現行ルールの恩恵を受けているのか確認することが重要です。
2)ステップ2:後継者への株式移転を急ぐかどうか検討する
今回の見直しでは、自社株の評価額が引き上げられる可能性が高いとみられています。評価額が上がれば、贈与税や相続税の負担も増えることになります。
そのため、後継者への株式移転を予定している場合は、現行ルールのうちに実行した方がよいかどうかを検討が必要です。
特に注目されているのが「相続時精算課税制度」です。この制度を利用して株式を贈与した場合、将来相続が発生した際も、原則として贈与時点の評価額を基準に税額を計算します。つまり、制度改正によって将来株価が上昇したとしても、その影響を受けにくくなる可能性があります。
ただし、この制度には一度選択すると原則として元に戻せないなどの注意点もあります。利用するかどうかは、将来の相続税や贈与税を含めた総合的なシミュレーションを行った上で判断することが大切です。
3)ステップ3:事業承継税制の活用を改めて検討する
事業承継税制の活用も改めて確認しましょう。事業承継税制は、一定の条件を満たした場合に、後継者が取得した自社株にかかる贈与税や相続税の納税を猶予できる制度です。
現在、専門家や経済団体の間では、今後の株価評価の見直しに合わせて、この制度をさらに使いやすくするべきだという議論も行われています。
そのため、株価評価の改正だけを見るのではなく、事業承継税制が今後どのように見直されるのかについても継続的に情報収集することが重要です。
4)ステップ4:顧問税理士と定期的に情報共有する
今回の見直しは法律改正ではなく、国税庁が定める評価ルールの見直しとして進められています。そのため、国会での法改正を待たずに制度内容が変更される可能性があります。今後、有識者会議による議論や税制改正大綱などを通じて具体的な方向性が明らかになっていく見込みです。
また近年は、株価を極端に引き下げる対策に対して、税務当局が通常の評価ルールとは異なる方法で課税するケースも増えています。「これまで問題なかった対策だから大丈夫」と考えるのではなく、現在行っている株価対策にリスクがないかを、顧問税理士などの専門家を通して定期的に確認することが重要です。
以上(2026年7月作成)
(監修 税理士 石田和也)
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画像:日本情報マート
【経営者インタビュー】残業多過ぎて労基署が入った会社が、10年かけて「残業ほぼゼロ・社員数3倍・売上4倍」になった理由
目次
1 「残業当たり前」のブラック企業も大きく変われる
「2015年に私が会社を継いだときは、完全に今でいうブラック企業でした。ただ、当時は日本中でたくさん残業して働くことが美徳で、ブラック企業という言葉も考え方もほとんどなくて。それが当たり前の時代だったんです」
さらりと穏やかにそう語るのは、福島県福島市に本社を置くケーエフエスグループ代表取締役、小島清一郎氏(以下「小島代表」もしくは「代表」)です。

写真:会報誌「ひとと、まちと。」をご紹介くださる小島代表。
「人」「地域」を大事にしていることが伝わってくる
ケーエフエスグループは、会計事務所を母体としながら、現在は企業の「未来会計(管理会計)」や「経営計画策定」支援、経理などの「バックオフィス支援」、補助金申請や事業承継、M&Aなどコンサルティングまでを幅広く手掛けるプロフェッショナル集団です。
創業から事業承継まで、企業のライフステージごとにサポートしてもらえるサービスがあり、中小企業が丸ごとお世話になることができるイメージです。
■ケーエフエスグループのコーポレートサイト■
https://kfs-group.jp/

■グループ会社・株式会社トトノエのバックオフィスアウトソーシングサービス「トトノエ」■
https://kfs-fukushima.com/totonoe/

現在はこうしたさまざまな中小企業支援で知られるケーエフエスグループですが、時計の針を10年前に戻すと、今の姿からは想像もつかない実態がありました。
深夜残業は当たり前、有給取得は“怠け者”とみなされ、勤怠管理さえ存在しない。さらに、当時は東日本大震災から数年後で、特に福島県では風評被害の影響も出ていました。
そんな矢先に降りかかったのが「労基署(労働基準監督署)の立ち入り調査」だったのです。
そこからの10年間で、小島代表は会社を大きく変貌させます。
残業はほぼゼロへ。
社員数は約3倍、そしてなんと、売上は4倍に。
厳しい状況から、ケーエフエスグループがいかにして高生産性企業へと生まれ変わったのか。小島代表はどのようなことを仕掛けてきたのか。以降ではその改革を紐解いていきます。
実は、同社の変革は単に残業削減、業務効率化だけの話ではありません。肝となるのは
「高付加価値化」
です。
「高付加価値化も実現し、同時に売上も上げていく、真の生産性向上の話」
です。結果的に、10年経って、売上は4倍にもなっています。小島代表が惜しみなく教えてくれた方法は、多くの中小企業に当てはまりますし、活用できる具体的なポイントもあると思います。業務効率化と高付加価値化は同時に実現できる、むしろ、同時に実現すべきだ、ということがよく分かります。ご参考になれば幸いです。
2 雨の日、突然の「労基署」
2015年当時、代表に就任したばかりのころは、時代的に「長時間労働こそが正義」という空気が蔓延していました。
「当時10年前は、社員も皆、ブラック企業という言葉もほとんど意識していなかったし、”有給を取るのは怠け者”みたいな感覚があったり。うちの会社だけではなくて、日本全体がそういう雰囲気でした」
こう振り返る小島代表です。実際に、ケーエフエスグループの社員たちも、残業が多くても疲弊しているという感覚もなく、深夜1時2時まで働くことが「普通」になっていたある日、衝撃的な出来事が起こります。
雨が降る日のことでした。
「その日が雨だったことを、私は覚えています。車が横付けで順番に来て、4人くらいのスーツを着た人が降りて、事務所にいきなり来て『労基署です』と。そんな状態だったんです」
労基署が入ったのは、おそらく、退職したナンバーツーの社員が労基署に訴えたと思われるそうです。
当時の先代社長は昭和気質な経営者だったこともあり、小島代表は、この労基署立ち入りのタイミングで、36歳にして経営のバトンを受け取りました。相手に対してファイティングポーズをとらない常に穏やかで優しい人柄、それでいて、強い芯と覚悟を持って仕事に向き合う姿勢、物事の本質を素早くとらえ疑問点に鋭く突っ込む視点も併せ持つのが小島代表です。
小島代表が会社を継いだのは、言葉を選ばずに言えば最悪のときでした。しかしだからこそ、「会社を潰してはならない」と腹を括ります。
「お客さまを守る、地域を守る。そのためには会社を潰してはならない。やるしかない」
その覚悟で、小島代表は労基署の是正勧告に向き合い、組織の大改革へと踏み出したのです。
継いで最初の大仕事が労基署への対応。これはかなり壮絶な日々だったと思います。
3 職人集団に「製造業」の仕組みを持ち込む
残業を減らすために小島代表が着手したのは、会計事務所によくみられる「属人化」にメスを入れることでした。
一般的に会計業務は、「このお客さまのことは、この担当者しか分からない」という状況になりがちです。すべてを担当者一人が抱え込むため仕事の中身がブラックボックス化し、手伝うことも管理することも難しい状態です。まさしく属人化です。
そこで小島代表は、このある意味「職人的な現場」に、
製造業の「工程管理(製販分離)」の考え方
を持ち込みました。分かりやすくいうと、
属人化している仕事の中にある、「誰がやっても同じ結果になる業務」を、切り離して見える化する
という方法です。「うちの会社の業務は属人化しているものが多いから、効率化は難しい」という中小企業は多いかもしれませんが、この工程管理の考え方であれば取り組めるかもしれません。具体的な方法について、次のように小島代表は教えてくれました。
「まず、『属人化の定義』ってめちゃくちゃ大事だと思っています。業務全部が属人化、つまり、その人しかできない特殊な業務なわけじゃないんですよね。
例えば、どんなお客さまに対してもお見積もりを出しますよね。同じように、どのお客さまにも請求書を発行します。お見積もり提出、請求書発行、これは誰がやっても同じ結果になります。仕事を分解していくと、こういう誰がやっても同じ結果になる業務が、4割くらいあることに気づきます。こういう業務は引き剥がせるんです。
まずは仕事を分解してフローをつくって、そのフローの中で引き剥がせるものを具体的に切り出していくことが大事です」
これは、実に分かりやすい話です。このほか、決算書などの資料を回収する、回収した資料のデータを入力するなども、誰がやっても同じ結果になる業務です。
こうした誰がやっても同じ結果になる業務を切り出した上で、そこにルールを定めました。例えば次のような具合です。
- お客さまから2日以内に資料を回収する
- 回収したら3日以内にデータ入力を終える
- データ入力が終わったら次工程へ回す
これを「ラインシート」と呼ばれる工程表で管理し、製造ラインのように、「仕事がどこで止まっているか」を全員が見えるようにしたのです。とても分かりやすい、公平な見える化、透明化です。そして、小島代表は、
このルールを守ることを全員に徹底し、今も継続して徹底し続けている
のです。これがとても重要です。ルールの徹底は非常に難しいことですが、やり続けています。
こうした業務の透明化は、自分のやり方に誇りを持つベテラン社員たちの反発を招きました。
「やはり、できる人ほど自分の仕事を管理されたくないものです。2日以内に出してとか、3日以内に終わらせてと言われるのは、いい気持ちはしないでしょう。できる人ほど自分のやり方やペースに自信があり、慣れていますから、自分の手法でやりたいという感じがありました」
と続ける小島代表。「管理されたくない」「自分のペースでやらせてほしい」。この製造業の工程管理を取り入れてすぐの時期は、そう言って去っていく社員もいたそうです。
全員の業務の見える化を行うと、ある意味、残酷なほど進捗状況はつまびらかになります。例えば、ベテラン社員が資料の回収納期を1件も守れていない一方で、新入社員は全件クリアしているなど。しかもその状況は、全員に知れ渡ります。全員でルールを守ることを考えると、年次や役職にかかわらずこうして皆の進捗状況が明らかになるのは正しいことです。しかし、心情的には納得がいかない社員もいたかもしれません。
それでも小島代表は、「期限を守る」「進捗を見える化する」というルールを10年間徹底し続けて来たのです。結果、社員数は減るどころか約3倍になりました。特に経営者の方は、このすごさが分かるのではないでしょうか。
「誰がやっても同じ結果になる業務」について工程管理し、納期などルールを徹底し、効率化を図る。しかも進捗状況は全員で共有する。この方法は、ともすれば社員にとって厳しいだけのものになりかねません。しかし、小島代表が取り組んだ改革は、そうではないのが大きな特徴です。なぜなら、次のことも行っているからです。
- 効率化だけでなく、「高付加価値化」も同時に実現する
- 社員一人ひとりへの声かけも実践し続ける
以降では、改革の「肝」ともいえるこの2点についてみていきます。
4 「高付加価値化」で社員はワクワクできる
多くの企業が「時短」「効率化」だけを追い求めますが、小島代表はそれだけでは不十分だと語ります。
「生産性は、計算式で見ると『かけた時間や人』で『付加価値』を割る割り算なんです。時間や人の効率化だけ実施しても、生産性は上がらない。同時に付加価値を上げていく必要があります。そして結局、その生産性を上げることで賃上げが実現できるんです」
時間を減らすだけでは売上は上がりません。効率化して空いた時間で何をするか。どのようにして価値を高め売上を上げていくか。そこがとても重要だと小島代表は強調します。
例えばケーエフエスグループは、お客さまである法人の過去の数字をまとめるだけでなく、お客さまと共に未来を描く「未来会計(管理会計)」も提供し、現状とのギャップを埋めるよう伴走していく。そうしてお客さまに対する付加価値を高めてきました。
「高付加価値化」という言葉だけだと具体的に何をしていいか分からない社員が出てきそうですが、小島代表が社員に伝え、実際に浸透している考え方は次の通り、とても分かりやすいものです。
「1時間の中で、自分の付加価値を最大化するために何をすべきか」
例えば、1時間の中で、お客さまに合ったソリューションを提案してアップセルを図る、未来会計の取り組み事例を事例集にまとめ新規・既存のお客さまに配信する準備をする、などいろいろと考えられるでしょう。
「1時間の中で自分はお客さまのためにどのような付加価値を出せるか」、もっと直接的に「1時間の中でどのように売上に貢献できるか」というのは、社員にとってとても考えやすいですし、ワクワクして意欲的にもなってきます。
AIやアウトソーシングに任せられる業務は切り出し、社員は人間にしかできない付加価値を高めるコンサルティング業務などに注力し、売上に貢献できる仕組み。ケーエフエスグループは、これをやり続けて、労働時間を減らしながら、売上4倍という数字を実現してきたのです。
5 厳しいルールを支える「声かけ」「伴走」
ルール厳守を徹底することと同じくらい、いや、もしかしたらそれ以上に小島代表が大事にしてきたのが、「声かけ」による「伴走」です。代表は、「声かけは本当に重要です」と強調します。
「うちの会社は、今は残業がほとんどありません。1日8時間。それでも社員は皆、『忙しい』って言うんです。これってどういうことかと考えた時に私が思ったのは、やはり心の問題の『余裕』とスキルの問題の『余力』。これがすごく影響してきます」
気持ちがいっぱいいっぱいになってしまうと心に余裕がなくなり、仕事に追われている感覚になったり、困りごとを一人で抱え込んでしまったりしがちです。そこで小島代表は、社員が孤独に陥らないよう、組織全体に「声かけの連鎖」を作るよう率先して実践してきました。
代表自身が幹部に声をかけます。「困っていることはない?」「大丈夫か?」と、常に気にかける姿勢を示す。
すると、それを受けた幹部やマネージャーは、その接し方を真似て、自分の部下に同じように声をかけるようになります。
「進捗詰まってるところある?」
「いつでも隣にいるから、ちょっとしたことでもいいので相談してね」
そうして上司が部下に寄り添い、一緒に走る。そうして社員に心の余裕が出るようにします。
それと同時に、「スキルアップ」も大事です。社員のスキルを高めるよう、業務について、会計についてなどを教育していきスキルアップが実現できれば、「余力」が生まれます。
小島代表は、社員一人ひとりの「余裕」と「余力」を重視しており、「2割くらいは余裕、余力がある状態になるのがいいと思います。そのほうが社員も意欲的になりますし、幸せではないでしょうか」と語っています。
例えば、ケーエフエスグループの福島本部では、もし残業したい場合は、朝「残業申請」を出し、上司がOKを出さなければ残業することができません。これも単なる管理ではなく、「その仕事、本当に今日やる必要がある?」「今のスキルで本当に2時間で終わる?」とユニットリーダーが問いかけ、社員が自分の仕事に対してタイムマネジメントができるようになるまで指導する仕組みです。
もう一つ大事な仕組みがあります。同社では、毎月1日には、全社的に手を止めて全体会議をします。「今月のラインシート」を発行して「今月何をするか」が分かるようにします。そうすると、社員一人ひとりが今月何をしなければならないかが明確になり、マインドセットすることもできます。これも心の余裕につながっていきますし、難しそうなところはあらかじめ上司に相談することもできます。
できない人がいれば、切り捨てたりルールで縛ったりするのではなく、寄り添う。伴走する。スキルが足りないのであれば、その事実を認識させた上でスキルアップできるように指導し、とことん付き合います。
「一番は社員がやりがいを感じ、意欲があることが大事だと思っています。スキルは与えることができる。社員には、とことんつきあう。誰でも伸びるところはあります」
厳しさの中で、支援する姿勢を示し、実践しています。
この「徹底した声掛け」「伴走」があるからこそ、社員たちも改革という高い壁に挑むことができたのではないでしょうか。時間も労力もかかりますが、とても大事な点だと思います。
6 そして、改革後にかかってきた一本の電話
改革の道のりは決して平坦ではなく、大変なことも多々ありましたが無我夢中でやり続けてきた小島代表。着手から3年が過ぎたころには、社内もだいぶ改善され、売上も伸びてきていました。
そんなある時、思いがけない人物から、代表宛に一本の電話が入ります。
それは、かつて厳しい指導を行った労基署の担当者からの電話でした。
当時、是正勧告の最中にその担当者は、小島代表にこう声をかけていたといいます。
「労基署が入りましたが、これを機にしっかり対応して改善に取り組めば、きっといい会社になりますよ」
その言葉は、予言のように現実となりました。
数年後、小島代表が自らの改革の軌跡を綴った書籍『残業だらけで倒産寸前だった会社の経営者になった私が、3年間で売上を3倍にできた理由』を出版した際、その労基署の担当者がわざわざ電話をかけてきてくれたのです。そしてこう言ったそうです。
「書籍を出したのを見ましたよ。本当によかったですね」
この労基署の担当者もまた、会社の更生と成長を願っていた一人でした。
小島代表の「やるしかない」という覚悟と思い、必死でやり抜いてきたことが、社員たちにも、そして労基署の担当者にも届いたということなのかもしれません。小島代表が教えてくれたこのエピソードは、とても印象的です。

写真:労基署担当者からの電話の
きっかけとなった小島代表の著書
7 経営者は何を大切にして、どこを目指すのがいいか
雨の日の労基署立ち入りから始まった10年。
改革を成し遂げ、そして今もやり続けている小島代表。効率化と高付加価値化を同時に実現し、生産性を上げて、残業なし&賃上げで社員に還元したいと語ります。
最後に、小島代表に、同じように残業が多いことで悩む中小企業の経営者にメッセージをお願いしました。
- 経営者自身が、「社員の豊かな生活」「理念の達成」といった「なんのために経営をしているか」ということを起点にして、どうすればいいかを自ら考え実践することが大事。働き方改革や法改正など外部環境の変化があるから、ということではなく。
- 社員が残業がなくて働いているほうが、皆笑顔で明るくて。そういう状況のほうが、豊かでいいと思う。
- 日本をよくするために、社員一人ひとりが豊かになること、こういうことを多くの経営者の方とともに実現できたらいいなと考えている。
こうした趣旨のことをメッセージとしてお話しくださいました。最後は、小島代表ご自身の言葉を、動画でそのままお伝えしたいと思います。ぜひ次の動画を見ていただければ幸いです。
小島代表が10年かけて証明し続けているのは、どんな状況からでも組織は変われること、そして「人を大切にする経営」こそが、結果として最強の成長戦略になり得るという事実でした。
■小島代表がメッセージとしてお話されている動画■
https://youtu.be/k7ROBZDpYEA
以上(2026年7月作成)
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画像:日本情報マート
「さば缶」日本一の都道府県はどこ? 意外な答えと豆知識
缶詰の王道「さば缶」や、暮らしに欠かせない「段ボール」。これらの出荷金額が最も多い都道府県をご存じですか?
さば缶の聖地では変わり種が開発されていたり、段ボールの聖地は「1300年続く紙作りの伝統」との深い関わりがあったりします。
この記事では、様々な品目の出荷金額1位を、クイズ形式でご紹介します。あなたはいくつ分かりますか?
1 トップの都道府県はどこ? 出荷金額クイズ!
2 60品目の出荷金額ランキング! 穴開き形式のミニクイズ
前章で紹介したもの以外に、60品目の出荷金額ランキング1~3位を紹介します。穴開き形式のミニクイズになっていますので、気になる人は表中の「答え」をクリックしてみてください。
(単位:百万円)
| 区分 | 第1位 | 第2位 | 第3位 |
|---|---|---|---|
| アイスクリーム | 答え | 群馬 59,835 |
静岡 32,351 |
| 魚肉ハム・ソーセージ(鯨肉製を含む) | 北海道 1,645 |
答え | - |
| 野菜漬物(果実漬物を含む) | 答え | 群馬 23,848 |
埼玉 22,823 |
| ルウ類 | 埼玉 12,124 |
答え | 新潟 5,721 |
| 食パン | 答え | 神奈川 39,476 |
埼玉 32,196 |
| 洋風めん | 答え | 愛知 11,869 |
千葉 11,020 |
| 焼酎 | 宮崎 89,715 |
鹿児島 86,073 |
答え |
| コーヒー | 兵庫 65,964 |
神奈川 42,999 |
答え |
| ペット用飼料 | 静岡 65,013 |
答え | 兵庫 17,126 |
| ポリエステル紡績糸(混紡を含む) | 愛知 1,535 |
答え | 滋賀県 544 |
| プレスフェルト生地(ニードルを含む)、不織布(乾式) | 答え | 愛媛 29,741 |
茨城 25,108 |
| 織物製成人女子・少女用ブラウス | 岐阜 1,750 |
答え | 大阪 855 |
| 綿織物製下着 | 答え | 京都 295 |
福島 261 |
| 羽毛ふとん | 埼玉 3,110 |
答え | 滋賀 1,742 |
| 木材チップ | 北海道 19,354 |
広島 10,685 |
答え |
| 普通合板 | 宮城 53,490 |
答え | 秋田 27,006 |
| 木箱 | 兵庫 7,322 |
答え | 愛知 5,210 |
| はし(木・竹製) | 答え | 大阪 1,167 |
奈良 621 |
| たんす | 福岡 2,989 |
答え | 兵庫 720 |
| 宗教用具 | 答え | 福岡 3,301 |
福島 3,295 |
| 建具(金属製を除く) | 徳島 16,896 |
大阪 14,150 |
答え |
| 製紙クラフトパルプ | 愛媛 11,765 |
答え | - |
| 壁紙、ふすま紙 | 埼玉 6,591 |
答え | 岐阜 |
| 祝儀用品 | 答え | 長野 2,884 |
大阪 482 |
| 重包装紙袋 | 答え | 埼玉 6,771 |
岡山 5,400 |
| とっ版印刷物(紙に対するもの) | 静岡 30,761 |
答え | 滋賀 23,829 |
| 配合肥料 | 答え | 兵庫 9,698 |
新潟 6,103 |
| カーボンブラック | 答え | - | - |
| ふっ素樹脂 | 答え | - | - |
| ろうそく | 答え | 大阪 362 |
東京 197 |
| ワクチン、血清、保存血液 | 東京 40,662 |
答え | - |
| 口紅、ほお紅、アイシャドー | 答え | 静岡 11,343 |
埼玉 9,893 |
| 殺虫剤 | 答え | 北海道 5,699 |
新潟 4,902 |
| ガソリン | 答え | 神奈川 1,028,730 |
山口 557,273 |
| 合成皮革 | 静岡 51,838 |
答え | 大阪 4,139 |
| 自動車用プラスチック製品 | 愛知 710,447 |
静岡 196,932 |
答え |
| 強化プラスチック製容器・浴槽・浄化槽 | 答え | 三重 10,841 |
神奈川 9,491 |
| 再生プラスチック成形材料 | 茨城 37,120 |
答え | 栃木 17,393 |
| 紳士用革靴(23cm以上) | 答え | 奈良 1,600 |
新潟 1,577 |
| ガラス製飲料用容器 | 兵庫 15,681 |
答え | 愛知 7,791 |
| 道路用コンクリート製品 | 茨城 14,311 |
岐阜 13,131 |
答え |
| 陶磁器製和飲食器 | 岐阜 12,543 |
答え | 佐賀 4,186 |
| 再生骨材 | 答え | 埼玉 2,517 |
愛知 2,491 |
| 鍛工品 | 愛知 131,738 |
答え | 新潟 55,538 |
| アルミニウム・同合金ダイカスト | 答え | 愛知 85,614 |
静岡 82,414 |
| 食卓用ナイフ・フォーク・スプーン(めっき製を含む) | 答え | 岐阜 974 |
- |
| アルミニウム製台所・食卓用品 | 群馬 13,924 |
答え | 千葉 2,107 |
| ボルト、ナット | 答え | 大阪 136,939 |
岐阜 91,903 |
| エレベータ | 愛知 53,808 |
埼玉 10,359 |
答え |
| 飼料機器 | 答え | 北海道 2,796 |
鹿児島 1,301 |
| ダイヤモンド工具 | 答え | 兵庫 11,880 |
愛知 10,023 |
| 歯科材料 | 静岡 39,632 |
答え | 愛知 18,493 |
| プリズム | 答え | 東京 860 |
埼玉 77 |
| 理容用電気器具 | 答え | 長野 9,664 |
大阪 2,683 |
| 半導体・IC測定器 | 答え | 群馬 74,951 |
熊本 50,615 |
| 交通信号保安装置 | 神奈川 63,097 |
埼玉 42,221 |
答え |
| トラックボデー | 神奈川 89,678 |
答え | 愛知 24,105 |
| 貴金属製装身具(宝石、象牙、亀甲を含む) | 答え | 埼玉 20,945 |
京都 14,977 |
| プラスチック製ボタン | 群馬 1,135 |
答え | 奈良 294 |
| プラスチックモデルキット | 答え | 東京 755 |
茨城 532 |
| 漆器製台所・食卓用品 | 福井 4,844 |
答え | 石川 1,137 |
このサイトでは、【業種別データ】シリーズとして、上記のような出荷別ランキングの他に、様々な業種の動向を、事業所数・従業者数・現金給与総額・原材料使用額等・製造品出荷額等・付加価値額などのデータを基に紹介しています。こちらもぜひご確認ください。
以上(2026年7月作成)
pj50574
画像:日本情報マート
「会社の飲み会は労働時間ですよね?」と社員に聞かれたらどう返す?
目次
1 社員が自由に行動するか、会社から指示を受けて行動するか
会社が業務終了後に新人歓迎会や忘年会を開く際、時折「会社の飲み会は労働時間だから、残業代は出ますよね?」と尋ねてくる社員がいます。「そんなわけがないだろう!」と反論したくなるかもしれませんが、実は注意が必要です。
労働時間の基本ルールは、
- 社員が自由に利用できる時間は、労働時間にならない
- 会社から指示(黙示の指示も含む)を受けて行動する時間は、労働時間になる
なので、飲み会が「自由参加か、強制参加か」「業務との関連性があるか」などによって結論が変わってくるのです。「労働時間なのに賃金を支払わない」のは違法ですし、逆に「労働時間でない時間にまで賃金を支払う」のではコストがかさみます。
そして、会社の飲み会以外にも、始業時刻前の朝礼や着替え、セミナー、健康診断など、日常の中で労働時間かどうか判断に迷うケースはさまざまあります。判断が複雑なものもあるので、事例別にイメージをつかんだほうが無難です。以降でいくつかの事例について、法令や裁判例に基づく解釈を紹介するので参考にしてください。
2 会社の飲み会
会社の飲み会が労働時間に当たるかは、参加が自由かどうかで決まります。
- 「飲み会が自由参加」の場合、参加するかは社員次第なので、労働時間にならない
- 「飲み会が強制参加」の場合、会社から指示を受けて参加するので、労働時間になる
という判断になります。なお、明確に「強制参加」としていなくても、「欠席する社員にその理由を執拗に尋ねる」「参加しない場合に評価を下げる」「取引先接待や業務報告を兼ねている」など、
- 「暗に参加を指示している(黙示の指示)」と受け取れる場合、労働時間になる
と考えられます。
営業担当の社員が、上司から言われて取引先との飲み会に参加する場合も、基本的な考え方は同じです。取引上必要な接待で、上司の命令で飲み会に参加するなら労働時間になりますが、上司から「せっかく先方が誘ってくれているし、行ってみないか?」と誘われ、自分の意思で参加するレベルなら、実務的には労働時間には該当しないと判断するのが自然です。
ただし、飲み会自体が自由参加であっても、幹事として会場の手配や設営、進行などを会社から命じられて行う場合、その準備・運営に要した時間は労働時間になると考えられます。
なお、余談ですが労働時間かどうかの判断と、労災保険の適用(業務上の災害かどうか)の判断は別物です。会社の懇親会での事故が労災と認められるケースもあるため、「労働時間でない=労災も関係ない」と決めつけないよう注意しましょう。
3 始業時刻前の朝礼や着替え
会社の中には、始業時刻前の朝礼や着替えについて「始業時刻は9時だが、朝礼は8時50分から行う」「始業時刻前に作業着への着替えを完了させ、始業時刻とともに業務を始める」といったルールを設けているところがあります。
始業時刻に仕事を始められるよう準備をしておくのは、社員としてのマナーですが、
始業前の準備行為を「マナーでなく社内ルール」としている場合、労働時間になる
とされています。具体的には、
- 朝礼への参加や始業時刻前の着替えがルール化され、それが常態化している場合
- 朝礼に参加しない社員や、始業時刻前に着替えを完了しない社員への罰則がある場合
- 朝礼に参加しないと、その日の業務を行うために必要な情報が得られない場合
- 着替えを完了しないと業務を行えず、会社の更衣室でなければ着替えが困難な場合
などがそうです。
過去の裁判例(最高裁第一小平成12年3月9日判決)でも、会社から義務付けられた作業服・保護具の装着時間や、更衣室から作業場までの移動時間が労働時間に当たると判断されました。着替えの他、始業前の清掃や体操、機械の立ち上げなども、会社が義務付けていれば同じ枠組みで労働時間とみなされます。
判断が難しいですが、始業前の準備行為については、「義務」ではなく「任意」であることを周知しておくのがよいかもしれません。義務付ける場合、就業規則等を改定して、朝礼や着替えにかかる時間分、始業時刻を前倒しする(または始業後に実施する)などの対応が必要になります。
4 仮眠
宿直のように1つの就業場所に長時間拘束される業務では、社員が現場で仮眠を取ることがあります。この仮眠については、
仮眠中、社員が会社の指揮命令下にあったかを基準に、労働時間になるかどうかを判断
します。例えば、ビルの管理会社の社員が、仮眠中でも、警報が鳴った際にすぐ対応するよう命じられている場合などは、
仮眠中も業務から完全には解放されているとはいえない(会社の指揮命令下にある)ので、労働時間になる
と考えられます。
実際、ビル管理会社の社員の仮眠時間について、警報や電話への対応が義務付けられていたことを理由に労働時間と認めた裁判例があります(最高裁平成14年2月28日判決)。
ちなみに、一部の業種では、仮眠が労働時間として扱われないケースもあります。例えば、トラックの運転手は、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」という告示により、
拘束時間(始業から終業までの時間)が「労働時間(作業時間+手待ち時間)」と「休憩時間(仮眠時間を含む)」に明確に区分されているので、仮眠は労働時間に当たらない
と考えられています。ただし、仮眠中であっても会社の指揮命令下に置かれているものと判断される場合(待機状態など)は労働時間となりますので、運用には注意が必要です。なお、改善基準告示は2024年4月1日から改正版が適用されており、拘束時間の上限や休息期間の基準が見直されています。
病院勤務の医師・看護師や、社会福祉施設勤務の職員は、常態としてほとんど労働する必要のない勤務に従事するなどの要件を満たす場合、
所轄労働基準監督署長の許可を得ることで、労働基準法の労働時間、休憩、休日に関する規定が適用されなくなる(深夜業の割増賃金の規定は適用される)
というルールがあります(宿日直許可)。ちなみに、医師・看護師などのように24時間対応が求められる職種では、「オンコール対応」といって緊急時に備えて自宅などで待機することが求められますが、
- オンコール対応の待機時間は、原則として労働時間には含まれない
- ただし、呼び出しの頻度や、呼び出された場合にどの程度迅速に病院に到着することが義務付けられているか、待機中の活動がどの程度制限されているかなどを踏まえ、労働時間とみなされることがある
という考え方になるようです。
「会社の指揮命令下にあるか」がポイントで、呼び出しの頻度・迅速な出勤義務・待機中の行動制限が強いほど労働時間と判断されやすくなります。企業側は就業規則や労使協定で待機手当や呼出時の賃金計算を明確化し、当事者側は待機の実態を記録しておくことが重要です。判断が難しい場合は、社労士や労基署へ相談しましょう。
5 セミナー・研修・勉強会
セミナー・研修・勉強会(以下「セミナー等」)は、受講内容などによって労働時間になるかの判断が異なります。例えば、
- 会社から参加が義務付けられている場合
- 業務を遂行する上で必須とされている内容を学ぶ場合(資格取得講座など)
- 参加しない場合に人事評価上の不利益があるなど、事実上参加が強制されている場合
などは労働時間になります。一方、社員が自己啓発やキャリアアップを目的に自分の意思で参加する場合、通常は労働時間になりません。
なお、雇入れ時の安全衛生教育など、労働安全衛生法で会社に実施が義務付けられている教育は、当然に労働時間となります。近年増えているeラーニングについても考え方は同じで、会社が受講を義務付けている場合や、受講しなければ業務に就けない場合は、視聴時間が労働時間になります。「自宅で好きな時間に見られるから、労働時間ではない」とはならないのです。
6 健康診断やストレスチェック
健康診断はその種類によって、労働時間になるかの判断が異なります。例えば、
一般健康診断(定期健康診断など)は、職種に関係なく実施され、業務と直接の関連がないので、労働時間に含めなくてもよい(ただし、円滑な受診のため、受診時間分の賃金は支払うのが望ましい)
とされています。一方、特定の有害な業務に従事する社員に対して行う特殊健康診断(有機溶剤健康診断など)は業務を遂行する上で実施が不可欠なので、労働時間になります。特殊健康診断は原則として所定労働時間内に行い、時間外に実施した場合は割増賃金の支払いが必要です。
次にストレスチェックの受検時間ですが、こちらは一般健康診断と同様、労働時間として扱わなくても問題ありません。ただし、受検しやすくするために賃金を支払うことが望ましいとされています。一方、長時間労働者やストレスチェックの高ストレス者に対する医師の面接指導は、会社の義務として実施するものなので、労働時間として扱うのが無難です。
7 鍵当番・解錠業務
交代制でオフィスや店舗の鍵を管理する「鍵当番」が、始業時刻の30分~1時間前に出勤して解錠しているケースがあります。この早出時間が労働時間に当たるかどうかは、
当番の社員が始業時刻ぎりぎりに出勤した場合、遅刻として不利益な取り扱いを受けるかどうか
が判断のポイントになります。遅れて出勤すると叱責を受けたり、評価が下がったりするような運用であれば、その早出時間は社員が自由に使える時間とはいえず、労働からの解放が保障されていない「手待ち時間」として労働時間になります。
鍵当番を置く場合は、当番の社員に早出分の手当を支給するか、シフトを組んで始業時刻そのものを前倒しするなど、早出時間を正式な労働時間として扱う体制を整えておくのが望ましいでしょう。
早出時間を労働時間として扱う場合、1日単位では30分程度でも、1日8時間・週40時間の法定労働時間を超えれば割増賃金の支払いが必要になります。また、労働時間は1分単位で把握・集計するのが原則で、日々の労働時間の端数を会社が一方的に切り捨てる処理は認められません(1カ月の合計に生じた30分未満の端数を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げる処理は例外的に可能です)。
以上(2026年7月更新)
(監修 社会保険労務士 柴田充輝)
pj00272
画像:ChatGPT
「個人情報保護法」とは?【かんたん個人情報保護法(1)】
1 個人情報保護法の目的は2つ
情報漏えいなどの事件が起きると、必ずと言っていいほど話題に挙がる「個人情報保護法」。とはいえ、「では、法律の内容を知っていますか?」と聞かれたら、答えられない人がほとんどかもしれません。そこで、この記事で法律の全体像やイメージを分かりやすく解説します。
まず、個人情報保護法は何のための法律なのかですが、その目的は大きく2つに分けられます。
- お客様をはじめとする個人の権利・利益を守る
- 個人情報を上手に活用してサービス品質の向上や業務効率化につなげる
「個人の権利・利益」と「個人情報の有用性」のバランスを取りながら、民間事業者や行政機関が個人情報を適正に取り扱うための基本的なルールを定めたのが個人情報保護法です。

2 どのような情報が個人情報に当たるのか
1)そもそも「個人情報」とは?
法令上の定義はさておき、実務上、個人情報とは、
生きている人の情報で、その人を特定できることになる情報は全て個人情報
と考えて差し支えないです。

氏名、住所、電話番号、メールアドレス、生年月日、顔写真、映像情報、音声情報、指紋、虹彩、マイナンバー、パスポート番号、運転免許証番号など、さまざまな情報が個人情報に当たります。
個人情報保護委員会の「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」に具体例が紹介されているので、興味のある方は確認してみてください。
■個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」■
https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/#a2
2)個人情報保護法の用語も押さえておこう
個人情報保護法では「個人情報」の他に、「個人情報データベース等」「個人データ」「保有個人データ」といった用語が使い分けられています。似たような用語ですが、それぞれ取り扱う際に守るべきことが違います(後述する「個人情報保護法の10のチェックポイント」を参照)。
それぞれの関係は次のようなイメージになります。

「個人情報」を取り扱う際は、取得・利用のルールを守らなければなりません。
「個人情報データベース等」とは、特定の個人情報を、コンピューター上で検索できるようにしたものや、紙媒体で整理・分類し、目次や索引を付けているもののことです。
「個人データ」とは、この個人情報データベース等を構成する個人情報のことです。個人データについては、保管・管理のルールや第三者提供のルールを守らなければなりません。
「保有個人データ」とは、個人データのうち、開示、内容の訂正・追加・削除、利用の停止・消去、第三者への提供の停止を行うことのできる権限を有するもののことです。保有個人データについては、開示請求等のルールを守らなければなりません。
個人情報保護委員会の次のFAQに「個人情報、個人データ、保有個人データの義務規定の差異」が紹介されているので、興味のある方は確認してみてください。
■個人情報保護委員会「『個人情報』と『個人データ』の違いは何か。」■
https://www.ppc.go.jp/all_faq_index/faq2-q2-3/
3 個人情報をどのように取り扱わなければならないのか
会社として最低限守るべきルールについて、個人情報保護委員会が中小企業向けに示している「個人情報保護法10のチェックポイント」を確認してみましょう。
| 分類 | チェック項目 | |
|---|---|---|
| 取得・利用 | 1 | 個人情報を取り扱うに当たって利用目的を決めていますか? |
| 2 | その利用目的は、本人に通知するか公表していますか? | |
| 保管・管理 | 3 | 個人情報の取り扱いのルールや責任者を決めていますか? |
| 4 | 個人情報の取り扱いについて社員に教育を行っていますか? | |
| 5 | 個人情報が含まれる書類や電子媒体について、誰でも見られる場所・盗まれやすい場所に放置していませんか? | |
| 6 | パソコンなどで個人情報を取り扱う場合、セキュリティ対策ソフトウエアをインストールして最新の状態にしていますか? | |
| 7 | 個人情報の取り扱いを委託する場合、契約を締結するなど、委託先に適切な管理を求めていますか? | |
| 第三者提供 | 8 | 本人以外に個人情報を提供する場合、本人に同意をとっていますか? |
| 9 | 本人以外に個人情報を提供したり、本人以外から個人情報を受け取る際、相手方や提供年月日などについて記録を残していますか? | |
| 開示請求等 | 10 | 本人から自分の個人情報を見せてほしいと言われたり、訂正してほしいと言われた際には、対応していますか? |
| (出所:個人情報保護委員会「(中小企業等向け)個人情報保護法10のチェックポイント (令和6年4月)」を基に作成) | ||
簡単に言うと、個人情報を取り扱うときに押さえておくべきポイントは次の4つです。
- 勝手に使わない
- なくさない。漏らさない
- 勝手に人に渡さない
- 問い合わせがあったら対応する
実際には、法令や個人情報保護委員会が定める各種ガイドラインで、個人情報の取り扱いに関するルールが決められています。
■個人情報保護委員会「法令・ガイドライン等」■
https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/
4 個人情報保護法に関する主な相談先、よくある質問
個人情報保護委員会は、AIチャットボットによる自動応答で個人情報保護法の基本的な事項を説明する「PPC質問チャット」を開設し、電話での相談窓口も設置しています。
■個人情報保護委員会「PPC質問チャット」■
個人情報保護法相談ダイヤル:03-6457-9849
※受付時間 9:30~17:30(土日祝日および年末年始を除く)
また、個人情報や特定個人情報の保護に関する「よくある質問」を横断的に探すための索引を掲載しています。
■個人情報保護委員会「お問合せ FAQ索引」■
https://www.ppc.go.jp/all_faq_index/
以上(2026年7月更新)
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画像:Tierney-Adobe Stock
社会人として押さえておきたい基本 シリーズ8本を一挙紹介【かんたん個人情報保護法】
目次
1 他人事ではない「個人情報保護法」
どんな会社でも、お客様や取引先、社員などの個人情報を取り扱います。昨今は会社の規模や業種を問わずランサムウエアが猛威を振るっていますが、そうしたサイバー攻撃を受けるなどして個人情報の漏えい等が発生した場合に、知らなかったという言い訳は通用しません。
一方で、個人情報の重要性は分かっているけど、「個人情報保護法」に基づく個人情報の取り扱いルールについては、正直よく知らないという人も多いはずです。
そこで、この【かんたん個人情報保護法】シリーズでは、「個人情報保護法」について前提知識のない一般社員の人向けに、社会人として身に付けておきたいベーシックな内容を、それぞれコンパクトにまとめて紹介します。コンプライアンス教育の一環として、また、より深く掘り下げて専門的な知識を身に付けるための第一歩として、ぜひお役立てください。
なお、2026年7月10日、個人情報保護法の改正案が参議院本会議で可決、成立しました。この改正は、公布の日から起算して2年を超えない範囲内で政令で定める日に施行されます。AI開発などの促進を図るため、統計作成目的での本人同意を不要とする特例が設けられたほか、悪質な違反に対する課徴金制度などが創設されましたが、このシリーズでは詳細は割愛します。
2 「個人情報保護法」の目的は? 「個人情報」って何?
まず、押さえておきたいのは、個人情報保護法とは何のための法律なのか、そもそも個人情報とは何なのかです。簡単に言うと、
- 個人情報保護法:「お客様をはじめとする個人の権利・利益を守ること」「個人情報を上手に活用してサービス品質の向上や業務効率化につなげること」を目的とした法律
- 個人情報:生きている人の情報で、その人を特定できることになる全ての情報
です。
次のコンテンツで、両者のもう少し詳しい説明と、個人情報をどのように取り扱わなければならないのか、最低限守るべきルールを10のチェックポイントとともに紹介します。
3 個人情報を取得・利用するときのルールは?
個人情報を取り扱う際は、個人情報保護法に基づく取得・利用のルールを守らなければなりません。例えば、
- 個人情報を取得するときは、不正の手段により行ってはならない
- 個人情報を利用するときは、利用目的をできる限り特定しなければならない
などの決まりがあります。
次のコンテンツで、個人情報を取得・利用するときのルールを紹介します。
4 個人データの取り扱いに関するルールは?
特定の個人情報を、コンピューター上で検索できるようにしたものや、紙媒体で整理・分類し、目次や索引を付けているもののことを「個人情報データベース等」といいます。そして、
個人情報データベース等を構成する個人情報のことを「個人データ」
といいます。個人データを取り扱う際は、個人情報保護法に基づく保管・管理のルールや、第三者提供のルールを守らなければなりません。例えば、
- 個人データを個人情報取扱事業者(会社)が自ら取り扱う場合、データ内容の正確性を保ち、必要がなくなったら消去しなければならない
- 個人データの取り扱いを外部に委託する場合、委託先が個人情報保護法などで定められている適切な「安全管理措置」を講じているか、あらかじめ確認しなければならない
などの決まりがあります。個人データを自ら取り扱うのか、外部に取り扱いを委託するかなどによって、守るべきルールが変わってくるので注意が必要です。
次のコンテンツで、個人データの取り扱いに関するルールを紹介します。
個人情報保護法を基に、個人情報を取り扱う際の基本ルールをまとめたシリーズです。今回は、個人データの漏えい等の報告等に関する対応について紹介します。
5 保有個人データについて問い合わせや苦情が来たら?
会社が保有する個人データのことを「保有個人データ」といいます。正確な定義は、
個人情報取扱事業者(会社)が、開示、内容の訂正、追加または削除、利用の停止、消去、第三者への提供の停止を行うことのできる権限を有するもの
です。会社は、保有個人データを安全に管理するだけでなく、必要に応じてデータに関する社員からの問い合わせ等にも対応しなければなりません。例えば、
- 本人(または代理人)から「利用目的の通知」の求めや「開示」の請求があったら対応しなければならない
- 保有個人データの取り扱いに関する苦情の申出先を定め、本人の知り得る状態(ホームページへの掲載、本人の求めに応じて遅滞なく回答を行う等)にしておかなければならない
などの決まりがあります。
次のコンテンツで、保有個人データについての問い合わせ等への対応を紹介します。
6 おことわり
【かんたん個人情報保護法】シリーズの記事では、大枠を理解することを優先し、個人情報保護法や各種ガイドラインの条文を基に、その趣旨を逸脱しないかたちで意訳している部分があります。正確な条文は、法やガイドラインをご確認ください。
また、法やガイドラインでは、「仮名加工情報」「匿名加工情報」「個人関連情報」の取り扱いに関する義務も規定されていますが、本シリーズでは割愛します。
以上(2026年7月更新)
pj60358
画像:日本情報マート
デジタル遺品のトラブルを防ぐための 「1分」でできる一工夫
1 デジタルが欠かせないなら、「デジタル終活」も欠かせない
デジタルはすでに世の中に欠かせない存在になっています。コンビニのレジにも病院の受付にもQRコードを読み込むリーダーが設置されていますし、上場株を保有するならデジタルでの取引が必須条件となります。取引先への連絡手段としてもチャットやメールのほうが電話より利用している人が多いのではないでしょうか。
パソコンやスマートフォン(スマホ)、オンラインアカウントなどなど、好むと好まざるとにかかわらず、「デジタル資産」を全く持たない生活は不可能に近いでしょう。
であるならば、
万が一のときにデジタル資産で困らないようにする「デジタル終活」は誰にとっても欠かせないこと
だといえます。とりわけ、経営者の方はきちんと備えておかないと、社会的な信用問題に直結する恐れがあります。家族や社員、株主、取引先のためにも、日ごろからデジタル終活を実践しましょう。
2 必要最小限のデジタル終活は「スマホのスペアキー」
1)パスワードを書いた紙に修正テープを
最低限やっておくべきデジタル終活は何かと問われれば、誰に対しても「スマホのパスワードを紙に書いて残しておくことです」と答えます。スマホを持っていない方は、メインで使っているパソコンのパスワードと置き換えてください。

方法を具体的に解説しましょう。必要なものは名刺サイズの厚紙とペン、それに修正テープ、もしくはマスキングテープです。特別な道具は要りません。まずは厚紙にスマホの型番や特徴とパスワードを書き込みます。そして、パスワード部分にだけ修正テープを走らせます。一度だけでは透けてしまうので、2~3回重ねるのがコツです。厚紙を照明にかざすと裏側から文字が透けることもあるので、裏側にも同様に修正テープを重ねておきましょう。マスキングテープを使う場合も2枚重ねにすれば、文字が透けなくなります。

これで即席のスクラッチカードの出来上がりです。これを預金通帳や権利書などの重要な書類と一緒に保管しておけば、万が一の際もかなり高い確率で家族や社員に気付いてもらえるはずです。普段盗み見られる心配も、修正テープが抑えてくれます。誰かが削って盗み見たら厚紙に痕跡が残るので、気付いた時点で手元のスマホのパスワードを変更して作り直すだけです。

私はこれを「スマホのスペアキー」と名付けました。お手持ちの名刺を使えば、1分以内に作れそうではないですか?
作例のような専用カードを作るなら、筆者のホームページ(https://www.ysk-furuta.com/)でひな型を公開しているので、ぜひご利用ください。
2)なぜスマホなのか?――理由1:「スマホの財布化」
デジタル遺品になり得るものはさまざまな種類があります。その中で、なぜスマホを第一優先にすべきなのでしょうか。理由は2つあります。
ひとつは、スマホがデジタル遺品の要になりやすいことが挙げられます。通話やLINEのやりとりといったコミュニケーションの履歴が残るだけでなく、最近はネットバンキングや有価証券の取引の道具としても、パソコン以上に積極的に活用されています。
とりわけ近年目立っているのは、QRコード決済サービスです。スマホで使うことを前提に設計されたサービスで、業界大手の「PayPay」はサービス内に最大100万円分をチャージしておけます。スマホを最大100万円の財布として使えるわけですが、残高を残したまま持ち主に何かがあっても、残された人が現実の財布のようには抜き出すことはできません。
マイナンバーカードのスマホ実装も進んでいて、いまでは地方税や自動車税をスマホから納税することもできます。今後数年を見通しても、財産と個人情報の両面からみてスマホの存在感が高まっていくのは間違いなさそうです。
3)なぜスマホなのか?――理由2:「FBIでも開けない強固すぎる構造」
それでいて、スマホのロックは非常に強固です。それが2つ目の理由となります。
最新のスマホは指紋や瞳の虹彩、顔などの生体認証システムと、文字列などを使ったパスワードシステムを併用するロックが一般的です。どちらかの鍵さえあれば開けますが、どちらも手に入らないとお手上げになってしまいます。本人の身を不幸が襲って生体認証が使えなくなり、パスワードも本人の頭の中だけだったら……もうお手上げです。
ロックを解除する別の方法は、一切用意されていません。通信キャリアのショップやメーカーもマスターキーを提供していないので、相談しても無駄です。
比較的解析のノウハウが蓄積されているパソコンでも、この状態になると専門のサポートサービスでも難航するケースが増えています。ましてスマホとなると、解除を検討してくれるところは全国を見回しても片手で収まるほどしかありませんし、成功率はかなり低くなります。
象徴的なのが、2016年にFBIがアップル社を相手取って起こした連邦裁判です。前年に発生した銃乱射事件では、現場で射殺された犯人が同社のスマホ「iPhone」を所持していました。FBIはこのスマホの解析に乗り出しましたが、自力でのロック解除を断念。そこで製造元のアップル社に技術提供を要請したものの、その後の不正利用を不安視した同社が拒否したことで裁判に発展しました。
つまり、家電量販店や通信キャリアのショップに普通に並んでいるスマホは、一台一台が、FBIですら自力ではどうすることもできないほど強固なセキュリティー機能を有しているわけです。年々セキュリティー技術はハイレベルになっていることを考えると、2016年頃よりも現在のほうが難易度は数段増しているでしょう。ポケットに収まる地下金庫のような、アンバランスな存在といえます。
そんなスマホですが、いざというときにパスワードさえ伝わる仕組みを自分で作っておけば、不測の事態が起きても何の憂いもありません。そのために「スマホのスペアキー」を用意しておく必要があるのです。
3 日ごろから「求められるもの」と「隠すもの」に分ける
さて、スマホのスペアキーが役目を果たすときは、家族や社員が自分のデジタル環境に足を踏み入れるときでもあります。当たり前のことですが、ことデジタル環境においては、それを想定している人は意外と少ないようです。
ある女性から相談を受けました。法人成りした自営業の夫が急な不幸に見舞われたとのことで、仕事場に残された数台のパソコンを調べるためのアドバイスが欲しいといいます。法律面と技術面で基本的な情報を伝え、信頼できるデジタル遺品サポートを紹介したところ、連絡すべき相手や法人名義の預金口座など、あらかたの情報が拾い出せたそうです。しかし、仕事関連の隣にあったフォルダーからプライベートで収集していた画像が大量に見つかり、相当面食らったと後から教えてくれました。
プライベートなコレクションの中には、違法性が疑われるデータが出てきたという話も少なからず耳にします。その是非はさて置き、デジタル環境においても、日ごろから自分以外の誰かが足を踏み入れることを想定しながら使用する、という意識が必要なのは間違いないでしょう。
家族や社員がデジタル遺品を調べる動機は、金銭関連や進捗中の仕事の情報などの把握が第一に挙げられます。第二に家族写真などの思い出のデータを探したい欲求も強いことがよくあります。
そのように、残された側が求めるであろうデジタル遺品は、なるべく分かりやすいところに置いておくのが親切です。そして、隠しておきたいものがあるなら、その動線上に置かないように、日ごろから意識しておくのが鉄則です。

パソコンには隠しファイル機能がありますし、パスワード付きの外付けハードディスクに保存するといった手もあります。スマホも特定の写真を隠しフォルダーに収納するなどの工夫の余地はいくらでもありますが、何よりこの鉄則を守ることが大切です。残された側が必死に探すモチベーションを持たない領域なら、いくらでも自由に隠したり壁を作ったりできるでしょう。
ただ、ひとつ注意したいのは、閲覧履歴や通信履歴などは普通に使っているとどうしても痕跡が残るということです。また、バックアップ機能も十分に把握しておかないと、隠したいものの完全な隠蔽は難しいでしょう。デジタル環境をきちんと整理整頓するには、それなりの知識と使いこなしが必要になります。残念ながら、魔法のようなアイテムは存在しません。
以上(2026年7月更新)
pj60299
画像:metamorworks-Adobe Stock
【労災の落とし穴(建設業)】熱中症は労災になる? ならない?
目次
この記事では、現役社労士が直面した小さな建設業の労災の事例として、「社員が日陰も休憩もほとんどない環境で熱中症になったのに、『本人の自己責任なので労災ではない』と判断してしまった会社」の話を紹介します(実際の会社が特定できないように省略したり、表現を変えたりしているところがあります)。
1 日陰も休憩もほとんどない環境なのに、熱中症になったら自己責任と言われた……
社員数10人の屋根工事会社に勤めるベテラン社員のAさん。夏場の猛暑日が続く中、Aさんは屋根のふき替え作業を長時間続けていました。現場には日陰がほとんどなく、しかも社長が「早く終わらせよう」とせかすため、水分補給も十分にできません。そんな環境で仕事をしていたAさんは、作業中に突然、めまいや吐き気を感じ、倒れてしまいました。
同僚がAさんを日陰に移動させ、社長に報告しましたが、社長は「体調管理が甘かったんだろう」「水分をちゃんと取っていたら、こんなことにはならなかったはず」と、Aさんの自己管理不足を責める始末……。さらに、「大した症状ではないだろう」と判断し、労災対応や医療機関への報告も行わず、Aさんを自宅で休ませるだけにとどめてしまいました。
2 会社の安全配慮義務が原因で熱中症になったのなら、労災になり得る
業務中の事故でけがをした場合、それが労災になるかどうかは、
- 業務遂行性:その事故は、「会社の支配・管理下にある」ときに発生したのか
- 業務起因性:その事故は、「業務と因果関係がある」といえるか
を基準に判断されます。
Aさんは、屋根のふき替え作業中に突然、めまいや吐き気を感じたので、業務遂行性は認められるでしょう。問題は、業務起因性ですが、会社には安全配慮義務(労働者が安全に働けるよう配慮する義務)があるため、
安全配慮義務を果たさなかったことで事故が発生したのであれば、業務との因果関係があるとして、業務起因性が認められる可能性が高い
です。屋外作業や高温多湿の環境が原因で起こる熱中症は、会社が管理すべき作業環境が大きく影響します。Aさんのケースでは、「休憩を十分に与える」などの安全対策が取られておらず、安全配慮義務を十分に果たしているとはいえないので、労災になり得ます。「本人の体調管理が甘かった」「水分をちゃんと取らなかった」では済まされないのです。
3 万が一の発症時は、すぐ医療機関を受診&労災の手続きを
熱中症は重篤化すると生命に関わる危険があります。2025年の職場における熱中症の死傷者数は1803人、うち建設業は292人で全体の16.2%を占めています(厚生労働省「2025年(令和7年)職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」)。
熱中症の疑いがある社員がいたら、まずは速やかに作業を中断させ、医療機関を受診するよう指示しましょう。なお、会社には、
- 熱中症の自覚症状がある場合や、熱中症の疑いがある同僚などを発見した場合に、そのことを会社に報告させる体制を整え、周知すること
- 熱中症のリスクがある作業を行う場合、症状の悪化を防ぐための措置やその手順を作業場ごとに定め、周知すること(作業から離脱する、身体を冷やす、必要に応じて医師の診察を受けさせる など)
が義務付けられています。違反した場合、労働安全衛生法により、6カ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になるので気を付けましょう。また、労災であれば、
4日以上の休業が発生した場合、労働基準監督署に「労働者死傷病報告」を遅滞なく提出しなければなりません。4日未満でも、四半期ごと(3カ月ごと)にまとめて報告が必要
です。こちらの違反は50万円以下の罰金の対象になります。
ここまでが、社員が熱中症になった場合の対応ですが、もちろん「予防」も大切です。
- 定期的な休憩時間の確保
- スポーツドリンクの用意
- 日除け・テントや遮光ネットの設置
- 冷却ベストやファン付き作業服の導入(作業服や保護具の通気性が悪い場合)
など、会社が取れる予防策は多岐にわたります。熱中症の初期症状(めまい、だるさ、吐き気、頭痛など)を社員に周知し、チーム全員で互いの体調をチェックし合えるようにするなど、安全衛生教育も不可欠です。
夏の建設現場は、何もしなくても熱中症になるリスクがあります。
社員の自己責任では片付けられない(会社が責任を問われる可能性がある)
ということを念頭に置いて、会社主導で積極的に対策を講じましょう。
以上(2026年7月更新)
pj00759
画像:ChatGPT








