1 3つのポイントで資料をアップデート!
皆さんはプレゼン資料などを作っていて、上司から「見づらい」 「伝わりにくい」と言われた経験はないでしょうか? 書いている内容自体は正しいのに、「デザイン」に問題があるせいで突っ返される。何とも歯がゆいですよね。
ただ、そこで「自分にはセンスがないんだ・・・・・・」 と諦めないでください。デザインには、
- 情報が整理されて見えるか
- 色や文字が見やすいか
- 無意識に不快感をあおっていないか
という、基本となる3つポイントがあり、この3点を意識するだけでも、資料の印象は大きく変わるのです。
この記事では、パワーポイントで資料を作ることを前提に、上の3つのポイントについて詳しく解説します。また、第5章では、
生成AIで「見やすい資料」を作るためのプロンプト例
も紹介します。
2 (ポイント1)情報が整理されて見えるか
書いてある内容は正しくても、その内容が整理されていなかったら相手には伝わりません。デザインには、「デザイン4原則」と呼ばれる基本的な考え方があり、次の順番で情報を整理していくのが正攻法です。
- Proximity(近接): 関連する情報同士を、近くにまとめて配置すること
- Alignment(整列) : 文字や図の位置をそろえること
- Repetition(反復):色、フォント、見出しの体裁などを繰り返し使うこと
- Contrast (コントラスト): 重要なところと、そうでないところに差をつけること
専門的に聞こえますが、内容はとてもシンプルです。例えば、図表1はTシャツの今期売上目標を表すポスターの例です。「良い例」(右)は 【デザイン4原則】を守っていますが、「良くない例」(左) は守っていません。

情報量は同じですが、伝わりやすさが段違いです。「良くない例」は、関連する情報(価格・今期売上枚数・今期売上目標)の配置が離れすぎていますし、文字や図の位置も、フォントの大きさも色もバラバラ、どこが重要なポイントなのか分かりません。一方、「良い例」の中には、図表2の通り、デザイン4原則が使用されています。

3 (ポイント2)色や文字が見やすいか
色は資料の印象を大きく左右します。本章では、「色の組み合わせ」と「色の印象」の2つにポイントを絞って解説していきます。
1)色の組み合わせ (明度と彩度)
まず意識したいのが、
です。図表3は文字とテキストボックスの色の組み合わせによって、
視認性(文字の読みやすさ)
がどのように変わるかを表したものです。

「良くない例」のように、明度の差が少ない色同士を組み合わせたり、文字と同色の浮き出しエフェクトをつけたりすると、文字が読みにくくなります(=視認性が低い)。一方、「良い例」のように、明度や彩度に差をつけたり、明度の高い色(白、黄色など)を文字色として使う際に、黒い浮き出しエフェクトをつけたりすると、文字が読みやすくなります(=視認性が高い)。
また、彩度が高すぎる色同士を組み合わせるのは避けましょう。
画面がチカチカする 「ハレーション」
が起きやすくなるからです。図表4はハレーションの一例です。

ハレーションが起こると、「良くない例」のように、目が疲れる色の組み合わせになってしまいます。一方、文字かテキストボックスのいずれか(または両方)の彩度を落とすと、「良い例」のように読みやすくなります。
色を組み合わせて資料を作ったり、色でアクセントをつけたりする際は、明度と彩度に気を配ることを習慣つけましょう。
2)色の印象
また、色にはそれぞれ印象もあります。上手に使いこなすことで、より効果的な伝え方をマスターできるでしょう。主な色の印象は図表5の通りです。

例えば、食品に関連するサービスの資料は、オレンジや赤など食欲を刺激する色でまとめるほうが、資料の内容がより効果的に伝わります。
3)色の組み合わせ
また、
資料に使用する色はなるべく少なくする
こともポイントです。
特別な意図がなく色を多用すると、図表6のように、強調したいポイントがいま一つ伝わらず、落ち着かない印象になってしまいます。

社内資料では、文字の色の他にはベースカラーを1色、サブカラーを1色、強調用に1色程度に色数を絞ると失敗しにくいでしょう。特に失敗しづらいのは、図表7のように、黒、白、グレーなどの無彩色+目立たせたいポイントに、もう1色を使用する組み合わせです。

さらにステップアップして、彩度のある色を2色以上使用した資料を作成する場合、図表8のような「色相環」を意識するとよいでしょう。色相環とは色相を環状に配置し、体系化したものを指します。

色相環で、対角に位置する色同士のことを「補色」と呼びます。例えば、ネイビーを基調とした資料にする場合、図表9のように対角にある黄色寄りのオレンジを差し色として使用すると、目立たせたい部分が強調されます。

また、色相環で隣り合っている色のことを「同系色」と呼びます。例えば、オレンジを基調とした資料にする場合、図表10のように隣り合っている黄色寄りのオレンジと赤色寄りのオレンジを使用すると、資料に統一感が生まれ見やすくなります。

さらに、グラフを多用したい場合などは、図表11のように色を1つ指定して彩度の濃淡でアクセントをつけると、まとまりがある資料になります。

4 (ポイント3)無意識に不快感をあおっていないか
見た人の不快感をあおるような資料は、当然避けたほうがよいでしょう。不快感を煽ってしまう原因は様々ですが、まず確認したいのが、「知らず知らずのうちにデザイン上のタブーを侵していないか」です。見た人に不快感を与える、あるいはトラブルを引き起こしがちなNGポイントについて解説していきます。
1)人物配置のタブー
図表12の「良くない例」には、タブーが4つも隠れています。どこが「ダメ」なのか、一度探してみてください。

では、答えを見ていきましょう。「良くない例」に含まれているタブーは図表13の通りです。

人物の写真や人物を含むデザインなどでは、こうした要素は全て
人間の潜在的な恐怖をあおるもの
としてタブー視されています。見る人に不快感を与えることがありますので、ポイントに注意しながらトリミングをするか、きちんと全体を入れるかを意識しましょう。
2)記号、モチーフのタブー
記号やモチーフにも注意が必要です。特に、
- 赤十字
- 赤い集中線
- 六芒(ろくぼう)星
- 卍字(まんじ)
- 十字架
などは、宗教、医療、政治的な意味合いを連想させる場合があります。意図せず誤解を招く恐れがあるため、資料では使用を避けるのが無難です。特に、
「赤十字」やそれに類似したマークをデザインに使用することは、法律で禁止
されているので注意してください。
3)素材使用のタブー
1)や2)とは意味合いが異なりますが、
素材(画像、映像、図表、フォントなど)の入手や使用
にも注意が必要です。インターネットで見つけた素材を無断で使用すると、著作権の侵害になる恐れがあります。著作権とは、
画像・写真・動画・文章・音楽などを創作した人に与えられる権利のこと
です。著作権には、自分の作品であることを表示する権利、無断で作品を使用されない権利など、様々な権利が含まれます。プロが創作したものに限らず、個人がSNSで公開している画像などにも著作権はあるので、基本的に、
自分以外の人が創作した画像などを利用する場合、許可を得る必要がある
と覚えておきましょう。
なお、素材を有料で提供しているサイト(会社が契約しているもの)や、フリー素材を提供していることを明言しているサイトであれば、基本的には逐一許可を得なくても、資料に掲載することができます。
ただし、サイトによっては「使用時は『画像提供:○○』など著作権の表示が必要」「印刷物で利用する場合は、1万部以下までとする」「加工や改変の不可、範囲制限」など、一定の使用条件が設けられていることが多いので、条件は必ず確認しましょう。
5 生成AIで「見やすい資料」を作るためのプロンプト例
最近は、生成AIを使って資料のたたき案を作成できるようになってきました。例えばGensparkなどは、難しい操作を覚えなくても、文章で指示を出すだけで、スライド構成や文章案を考えてくれる便利なツールです。
ただし、生成AIは「何を、どんな条件で作るのか」をきちんと伝えないと、社内資料としては使いにくい内容になってしまうことがあります。そこで重要になるのが、
生成AIを動かすための「プロンプト(指示文)」
です。
ここでは、想定読者や枚数、使う色、資料で伝えたいポイントなどを項目ごとに整理した、超初心者向けのプロンプト例を紹介します。@の部分を埋めるだけで使えるので、生成AIに不慣れな人でも安心です。まずは完成版を作ろうとせず、たたき案のつもりで試してみてください。
■プロンプト例
あなたは、社内資料作成をサポートするデザイナー兼編集者です。以下の条件を必ず守り、見やすく・分かりやすい社内向け資料を作成してください。
【①テーマ】:@@@@@ [例:新商品(オレンジ味のグミ、若年層向け)の企画提案資料]
【②想定読者】:@@@@@ [例:直属の上司、チームメンバー]
【③枚数】:@@@@@ [例:3枚以内(表紙込み)]
【④用途】:@@@@@ [例:社内提案/PDF印刷/ミーティングでの配布]
【⑤1枚当たりの情報量】:@@@@@ [例:要点のみ簡潔に]
【⑥文字配置】:@@@@@ [例:本文は左寄せ、タイトルは中央または左寄せ]
【⑦使う色】:@@@@@ [例:オレンジ・黄色を基調に、無彩色は文字などに適宜使用]
【⑧強調色】:@@@@@ [例:赤]
【⑨フォント】:@@@@@ [例:ゴシック体]
【⑩デザインルール】:近接・整列・反復・コントラストを意識する
【⑪NG事項】:誇大表現、根拠のない数値、宗教的・政治的モチーフ、過度に派手なデザイン
【⑫資料で伝えたいポイント】:@@@@@[例:商品コンセプトを一言で明確にする/ターゲットと提供価値を具体化する/他商品との差別化ポイントを3点以内で示す]
【⑬参考資料】:@@@@@ [例:市場データ/社内方針資料]
【⑭備考】:@@@@@ [例:A4横組、後から人が修正・加筆する前提のたたき案として作成する]
例えば、このプロンプトの例部分を基にGensparkにスライド作成を任せると、5分程度でこのような資料を生成してくれます。なお、同じプロンプトを使用しても、同じ資料が生成されるわけではありませんので、ご留意ください。

生成された資料で守られている主要なデザインルールは、図表15の通りです。

しかし、やはり最後は人の目で確認することが大切です。

例えば、今回AIが生成した資料では、デザイン4原則のうち「反復」の考え方を用いて図表16のような修正を行うのがよいでしょう。
生成AIが作った資料を、この記事で紹介したポイントに沿って一度チェックしてみてください。少し人の手を加えるだけで、資料はぐっと見やすく、レベルアップします。
以上(2026年2月作成)
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画像:日本情報マート