1 6月の熱中症が増加中!? 早めの「暑熱順化」に取り組んでみませんか?
2025年に熱中症で救急搬送された人数は10万510人(消防庁「令和7年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況」)にのぼりました。2026年も引き続き、注意が必要です。
熱中症のピークは7月下旬から8月上旬ごろですが、2025年6月単月で見ても、搬送者数が1万7229人と、前年(2024年)の7275人から1万人近くも増加しています。熱中症対策をはじめる時期も、年々早まっているといえます。
一般的に、体が暑さに慣れるには数日から2週間程度が必要とされています(個人差あり)。そのため、暑くなってから急に水分・塩分の補給をするだけでは、対策として十分ではありません。
そこで、この記事でご提案するのが、
暑熱順化
です。暑熱順化とは、時間をかけながら暑さへの耐性を身に付けていくアプローチで、厚生労働省や環境省も推奨しています。具体的にはジョギングやウォーキングなどによって汗をかき、体を暑さに慣れさせていく、というものです。ぜひ今年から、夏の熱中症対策として取り入れてみてください。
暑熱順化のスタートは、本格的に暑くなるより少し前からが最適です。早速、ポイントを確認していきましょう!
2 なぜ、暑熱順化が熱中症予防になるのか?
熱中症を引き起こす要素は、図表1のように、環境・体・行動の3つに分類されます。

暑熱順化の仕組みを理解するにあたり特に注目したいのは、
「体」に分類される「暑さに慣れていない」状態
です。
体温が上がると、ヒトの体は
- 皮膚への血流を増やして体の表面から熱を逃がす(熱放散)
- 汗が蒸発することで熱を逃がす(気化熱)
ことによって体温を調節します。
しかし、体が暑さに慣れていない状態で気温が上昇すると、この体温調節がうまくできず、結果的に熱中症につながることがあります。具体的には、
- 暑熱順化ができていないせいで、熱放散が機能しにくくなる
- 汗をたくさんかくため気化熱による体温調節は機能するが、今度は水分・塩分が多く失われ、血液の流れが悪くなる
- その結果、体内に熱が急速にたまり、熱中症になってしまう
という構造になっています。

一方で、早いうちから暑熱順化に取り組んでいると、皮膚の血流量が増加しやすくなり、汗に含まれる塩分量も減るので、血液の流れが悪くなるリスクを低減できます。つまり、
暑熱順化を行うと、夏本番を迎えて気温が上昇しても、熱を逃がしやすくなり、体温調節がうまく機能する
のです。
3 暑熱順化のポイントと具体的な方法
1)暑熱順化のポイント3つ
暑熱順化のポイントは、次の3つです。
- 本格的に暑くなりそうな時期の2週間前から始める
- トレーニングを持続する
- 無理はしない
体が暑さに慣れるまでには時間がかかるので、気象庁の「2週間気温予報」などを確認しながら、本格的に暑くなりそうな時期の少し前からトレーニングを開始しましょう。
■気象庁「2週間気温予報」■
https://www.data.jma.go.jp/cpd/twoweek/
また、暑熱順化の効果はあまり続かないことにも注意しましょう。個人差はありますが、トレーニングを中断すると、数日で元の状態に戻ってしまいます。特に注意が必要なのが、梅雨寒の日が続いたり、夏休み中に涼しいところで過ごしたりして、運動を休んだとき。暑さへの耐性が弱まっているタイミングで一気に気温が上昇すると、熱中症になるリスクが高まります。
2)暑熱順化の具体的なやり方4選
暑熱順化において大切なのは、「脳と体を夏モードに切り替えること」。そして、暑さに備えた体をつくるためには、夏の暑さを再現して汗をかくことが肝要。ポイントは、
「やや暑い環境」で「ややきついと感じるくらいの運動」をすること
です。
厚生労働省「働く人の今すぐ使える熱中症ガイド」では、暑熱順化に有効な対策として次の4つの取り組みが推奨されています。なお、時間や頻度は全て目安なので、自身の年齢や体力、気温や室内の環境を考慮しながら取り組んでみましょう。

図表3の内容を、もう少し詳しく説明します。
1.歩く・走る
ウォーキングであれば30分、ジョギングであれば15分の運動を、週5回行うことが望ましいです。通勤でバスや電車を使っている人は1つ手前の駅から歩いたり、移動の際にできるだけ階段を利用したりするのも、汗をかくのに効果的です。
2.自転車
サイクリングであれば、30分の運動を週3回行うことが望ましいです。例えば、時速20キロメートルで走ると、10キロメートルほどの距離です。
3.適度な運動(筋トレ・ストレッチなど適度に汗をかくもの)
室内でできる取り組みとしては、筋トレやストレッチなどがあります。この場合、30分の運動を週5回から毎日実施することが望ましいです。
4.入浴・サウナ(お風呂はシャワーだけでなく、湯船につかる)
入浴であれば、2日に1回以上はしっかりと湯船に入ることが望ましいです。なお、サウナが暑熱順化に有効という意見もありますが、水分補給の状況によっては脱水症状を引き起こしたり、心臓に負担がかかったりする恐れがあるので注意が必要です。暑熱順化の基本は「やや暑い環境」で「ややきついと感じるくらいの運動」をすることです。あくまで暑さに慣れることが目的ですから、無理をしすぎて熱中症になっては本末転倒なので注意しましょう。
3)(補足)栄養補給で相乗効果を狙う
暑熱順化の効果を高めるには、栄養補給も大切です。例えば、
運動を行った後、30分~1時間以内に牛乳などの乳製品を摂取すること
などが推奨されています。
- 運動中には血中のグルコース(ブドウ糖)がエネルギーとして使われること
- 運動時に損傷した筋繊維を修復する際、アミノ酸を運ぶために糖質・たんぱく質が必要になること
などから、それらの栄養素を含む牛乳などの乳製品を運動後に摂取することは効果的なのです。
以上(2026年6月更新)
pj00712
画像:Something in my head-Adobe Stock




















