【賃金データ集】雇用形態別のモデル支給額

【賃金データ集】シリーズとは?

【賃金データ集】シリーズは、基本給や諸手当など賃金の主要な構成要素ごとの近年のトレンドを、モデル支給額を中心とした関連データとともに紹介します。経営者や実務家の方々が賃金支給水準の決定や改定を行う際の参考としてご活用ください。なお、モデル支給額などのデータを紹介する際は、基本的に出所に記載されている用語を使用するものとします。また、データは公表後に修正されることがあります。

この記事で取り上げるのは雇用形態別の「基本給」「賞与・期末手当」です。

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なお、以降で紹介する図表データのExcelファイルは、全てこちらからダウンロードできます。

こちらからダウンロード

1 雇用形態の概要

企業が労働者を雇用する際の労働条件(特に雇用契約の期間)の違いによる類型を、「雇用形態」と呼びます。一般的に、雇用形態は次のように大別されます。現在は、同一労働同一賃金の議論に見られるように、非正規雇用労働者の待遇改善が進められています。

  • 雇用契約期間に定めがなく、フルタイムで働く「正社員」(正規雇用労働者)
  • 正社員以外の「パート等」(非正規雇用労働者)

2 雇用形態別の労働者数

総務省「労働力調査」では、非正規雇用労働者を「パート・アルバイト、労働者派遣事業所の派遣社員、契約社員・嘱託、その他」に分類して集計しています。非正規雇用労働者数は、2025年時点で2128万人です。その中心はパート・アルバイトで、2025年は1512万人となっています。

また、現状、労働者の65歳までの就労機会を確保するための措置を講じることが企業に求められていますが、2021年4月1日より、改正高年齢者雇用安定法が施行され、企業は希望する従業員に、70歳まで働く機会を与える努力義務を負うことになりました。今後は契約社員・嘱託などがさらに増加するかもしれません。

雇用形態別の労働者数

3 厚生労働省の統計資料による短時間労働者のモデル支給額

ここでは、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」より、短時間労働者のモデル支給額を紹介します。

短時間労働者のモデル支給額

短時間労働者のモデル支給額

短時間労働者のモデル支給額

短時間労働者のモデル支給額

短時間労働者のモデル支給額

短時間労働者のモデル支給額

短時間労働者のモデル支給額

短時間労働者のモデル支給額

短時間労働者のモデル支給額

短時間労働者のモデル支給額

短時間労働者のモデル支給額

短時間労働者のモデル支給額

短時間労働者のモデル支給額

4 厚生労働省の統計資料による派遣労働者のモデル支給額

厚生労働省の統計資料による派遣労働者のモデル支給額

5 情報インデックス(この記事で紹介したデータの出所)

この記事で紹介した統計資料は次の通りです。調査内容は個別のURLからご確認ください。なお、内容はここ数年の公表実績に基づくものであり、調査年(度)によって異なることがあります。

■労働力調査■
https://www.stat.go.jp/data/roudou/

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■賃金構造基本統計調査■
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html

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■労働者派遣事業の事業報告の集計結果■
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000079194.html

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以上(2026年6月更新)

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画像:ChatGPT

2026年度版「助成金」受給&活用マニュアル(2026年7月号)

国の雇用政策の目的は、若者、女性、高年齢者、障害者など働く意欲のあるすべての人々が能力を発揮し、安心して働き、安定した生活を送ることができる社会の実現です。また、人手不足への対応が急務となるなかで、短時間労働者が「年収の壁」を意識せずに働くことができる環境づくりを支援しています。

これらの雇用政策を達成するための手段の1つが雇用保険の助成金です。

雇用・労働分野の助成金は大きく分けて「雇用関係助成金」と「労働条件等関係助成金」があります。前者は雇用の安定、仕事と家庭の両立支援、従業員の能力向上などを対象にしています。一方、後者は職場環境の改善、生産性向上に向けた取組みなどを対象としています。

本冊子では、これらの助成金のうち、中小企業にお勧めのものを中心に解説しています。

なお、助成金の詳細な要件については、個別に都道府県労働局やハローワークへ問い合わせて確認してください。

PDFはこちらをクリック!


【2026年7月号】ちょっと未来のニュース~制度改正、予定イベント&統計情報

少しだけ未来を見る、経営者のための月次ニュースレターです。7月、経営者が押さえておきたい法令・イベント・統計・政策の動きなどを紹介します。

1 制度改正編

7月に予定されている制度改正のうち、中小企業経営者が特に注意すべき2本を紹介します。

1)障害者雇用率の引き上げ(2026年7月1日~)

障害者雇用促進法では、常時雇用している社員数が一定以上の会社に対し、社員のうち身体障害者・知的障害者・精神障害者が占める割合を、一定の割合(障害雇用率)以上にするよう義務付けています。

障害雇用率は段階的に引き上げられています。これまでは、社員が40人以上の会社に対し、社員数の2.5%に相当する人数以上の障害者を常時雇用する義務が課せられていましたが、2026年7月1日からは、社員が37.5人以上の会社に対し、社員数の2.7%に相当する人数以上の障害者を常時雇用する義務が課せられます。

▶ 経営者のTo Do

  • 自社が障害者雇用促進法の「法定雇用率」義務付けの対象となるかどうか確認する
  • 障害者の労務管理を見直す(「障害者だから」という理由だけで差別をしていないか、障害者が働く上で必要な配慮(合理的配慮)ができているか など)
■高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用率制度」■
https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/q2k4vk000003mbma.html

2)旅券(パスポート)の申請手数料引き下げ(2026年7月1日〜)

旅券法、旅券法施行令の改正により、2026年7月1日以降の申請分から旅券(パスポート)の申請手数料が引き下げられます。これに伴って、2026年7月1日以降の申請分は、申請が受理された日から交付までに通常(約2週間)よりも時間を要することが想定されます。

旅券(パスポート)の申請手数料

▶ 経営者のTo Do

  • 旅券(パスポート)の有効期間を確認する
  • 海外渡航を予定しているが、旅券(パスポート)を取得していない、または有効期間が過ぎている場合、十分な余裕をもって申請する
■外務省「旅券手数料改定 関連情報」■
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ca/pss/pagew_000001_02493.html

2 イベント編

1)ワールドカップ2026 決勝トーナメント

4年に1度のサッカーの祭典、ワールドカップ2026。グループステージを突破した32チームによる決勝トーナメントが6月29日に始まり、7月20日には決勝戦を迎えます(いずれも日本時間)。

■JFA公式ウェブサイト■■
https://www.jfa.jp/samuraiblue/worldcup_2026/canadamexicousa2026/

2)富士山 山開き

富士山の開山期間は例年7月上旬~9月10日。この約2カ月間で、バスターミナルがある五合目には200万人以上、通行料の徴収など入山規制が行われるようになった今でも、山頂には20万人を超える登山客が訪れるといいます。

誰でも登って降りてこれると思うかもしれませんが、気温の変化や風の影響が非常に大きいため、十分な装備と準備が不可欠です。なお、2026年の開山予定は、吉田口・須走口が7月1日、富士宮口・御殿場口・山頂(お鉢めぐり)が7月10日です(6月25日時点)。

■富士山における適正利用推進協議会「富士登山オフィシャルサイト」■
https://www.fujisan-climb.jp/

3)メジャーリーグベースボール(MLB)オールスターゲーム2026

毎年7月に開催されるMLBオールスターゲーム。アメリカンリーグ、ナショナルリーグからファン投票や監督推薦などで選抜された名選手たちによる1試合限りの夢の競演です。

米国建国から250周年の節目に当たる今年のMLBオールスターゲームは、独立宣言採択の地フィラデルフィアのシチズンズ・バンク・パークで7月15日(日本時間)に開催されます。大谷翔平選手(ドジャース)ら、日本人メジャーリーガーの活躍も期待されます。

■MLB All-Star Game 2026■
https://www.mlb.com/all-star

4)第38回 ものづくり ワールド [東京]

7月1日〜3日にかけて、東京ビッグサイトにて開催される日本最大級の製造業の展示会です(主催:RX Japan)。IT、DX製品、部品、設備、装置、計測製品などを扱う企業(約2000社)が世界中から出展します。

■ものづくり ワールド [東京] 公式サイト■
https://www.manufacturing-world.jp/tokyo/ja-jp.html

5)メンテナンス・レジリエンス2026

7月15日〜17日にかけて、東京ビッグサイトにて開催される「製造業」「土木・建設業」のメンテナンスと設備の維持管理・保全に特化した専門展示会です(主催:日本能率協会)。インフラ老朽化対策や激甚化する自然災害への備え、深刻な人手不足といった社会課題の解決を目指し、建設・土木業界、製造業、自治体などの関係者が一堂に会する大型展示会で、計11の専門展示会によって構成されています。

■メンテナンス・レジリエンス2026■
https://mente.jma.or.jp/

3 統計・政策情報編

7月は日銀短観(四半期ごと)の公表が行われる他、春闘(春季生活闘争)の妥結結果が固まる時期でもあります。図表2に、本章で取り上げる統計・政策文書の一覧を示します。

2026年7月公表予定の主な統計・政策文書

1)日銀短観(全国企業短期経済観測調査)6月調査

日本銀行が全国の企業などに直接アンケートを行い、景気が「良い」と答えた割合から「悪い」を引いた景況感(業況判断DI)を算出します。

2月末から数カ月にわたり長期化しているホルムズ海峡封鎖に伴うナフサショックや、円安などの影響が、経済活動にどの程度ダメージ(仕入価格の上昇・収益の圧迫)を与えているかが初めて明確なデータとして表れます。特に注目すべきは、中小企業の「仕入価格判断DI」と「販売価格判断DI」の乖離幅です。他の中小企業が原材料などの高騰分をどれくらい価格転嫁できているかを紐解くヒントとなります。

■日本銀行「短観(調査全容)一覧 2026年~」■
https://www.boj.or.jp/statistics/tk/zenyo/2026/index.htm

2)2026年春闘 第7回(最終)回答集計

連合(日本労働組合総連合会)から、2026年春闘の第7回(最終)回答集計が公表されます。賃上げ率・賃上げ額の最終的な「相場」が分かる他、組合員数300人未満の「中小組合」の賃上げ状況も別掲されるため、大手と中小の賃上げ格差を確認できます。

ここ数年、約30年ぶりともいわれる高水準の賃上げが続いており、2026年春闘では「こだわろう! くらしの向上 ひろげよう! 仲間の輪」をスローガンに、全体で賃上げ分3%以上、定昇相当分(賃金カーブ維持相当分)を含め5%以上の実現が目標として掲げられています。

■連合「2026年春闘」■
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/index2026.html

3)情報通信白書(令和8年版)

情報通信白書は、総務省が公表する、国内外のICT(インターネット・スマホ・通信インフラ・デジタル経済など)の動向や課題、国の情報通信政策の方向性をまとめた白書です。

近年は、爆発的な進化を遂げるAIの技術開発や導入の状況なども掲載されており、会社における今後のAI活用を考える際の参考にもなります。

■総務省「情報通信白書」■
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/index.html

4)中小企業実態基本調査(令和7年確報・令和6年度決算実績)

中小企業実態基本調査は、中小企業庁が、全国の約11万社の中小企業を対象に毎年実施する業種横断的な実態調査です。中小企業の従業者数、資産・負債・純資産、売上高・営業費用、設備投資とリースの状況など幅広い内容が分かります。

社長(個人事業主を含む)の年齢構成、就任経緯(創業者か親族内承継かなど)、事業承継の意向など、社長個人に踏み込んだ項目も記載されており、事業承継を検討する際の参考にもなります。

■中小企業庁「中小企業実態基本調査」■
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/kihon/index.html

4 話題のタネ

訪問時の雑談のきっかけに。7月ならではのトピックを集めました。

1)七夕は、天気が良くない?

毎年7月7日の「七夕」は、願いごとを書いた短冊を笹竹に飾り、星に祈りを捧げる日本の伝統的なイベントです。織姫と彦星が一年に一度、天の川を渡って会えるロマンチックな日とも言われていますが、梅雨まっただ中のこの時期、晴れる年は少ないようです。

気象庁の基準では、「1日の降水量が1.0mm未満」かつ「日平均雲量が8.5未満」の日を「晴れ」と定義していますが、過去の気象データを基に天気出現率(1991年〜2020年の30年間統計)を計算すると、例えば、東京の7月7日の晴天率は30.0%となります。

■気象庁「過去の気象データ検索」■
https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/index.php

2)「海の日」のルーツは?

毎年7月の第3月曜日は国民の祝日「海の日」。海の恩恵に感謝し、海洋国日本の繁栄を願う日です。

1876年に明治天皇が灯台巡視船「明治丸」で横浜港に帰着した7月20日が「海の日」のルーツで、今年は150年目の節目にも当たります。

■政府広報オンライン「2026年の祝日は?知ってそうで知らない『国民の祝日』とその趣旨や経緯」■
https://www.gov-online.go.jp/article/202112/entry-9910.html

3)土曜の丑の日、「完全養殖ウナギ」が食べられる日も近い?

2026年の「土用の丑の日」は7月26日。季節の変わり目である「土用」の期間に巡ってくる「丑の日」に、無病息災を願って「う」のつく食べ物を食べる風習は古くからあり、江戸時代、発明家として知られる平賀源内が土用の丑の日に「ウナギ」を食べる習慣を広めた説もあります。

今年は、水産庁の委託事業で生産された人工種苗のシラスウナギを成鰻まで養殖した「完全養殖ウナギ」の蒲焼きが試験販売され、話題となりました。なお、当初の販売期間は7月20日までの予定でしたが、既に完売状態となっています。

■水産研究・教育機構「完全養殖ウナギ蒲焼の試験販売」■
https://www.fra.go.jp/home/kenkyushokai/press/pr2026/20260520_press_unagi.html

以上(2026年6月作成)

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画像:日本情報マート

経営者169人アンケート! IT活用で業務効率化に成功した項目はどれ?

1 ITを活用した効率化、他社はどうなの? 何からすべき?

「ITを活用した業務効率化」……言葉で言うのは簡単ですが、導入すべき分野や項目は会社によってさまざま。いざ取り組んでみても、思ったほど業務効率化につながらないものだってあります。

この記事では、経営者を対象に実施した、ITを活用した業務効率化の取り組み状況についてのアンケート結果を、ランキング形式で紹介します。アンケートは2026年5月18日から5月20日にかけてインターネットで行い、経営者169人から回答を得ました。ITを活用した業務効率化に取り組んでいる企業、これから取り組もうと考えている企業の皆さんが、今、何に優先して取り組めばよいのかの判断材料にご活用ください。

なお、導入等の状況について聞いたのは次の21項目です。

(図表1)【導入等の状況を確認した項目】

社内でのハンコ・FAXの廃止 社内ネットワークの構築・整備 電子納税・電子申告
会議資料・議事録・稟議書の電子化 社員へのPC・タブレット端末の支給 社内コミュニケーションへのチャット・オンライン会議ツールの活用
経費申請・領収書・給与明細など社内経理書類の電子化 日報・点検記録・作業報告などの現場業務のデジタル化 生成AI(Gemini、ChatGPT、Claudeなど)の業務活用
決算書・申告書など財務・税務関連書類の電子化 社内データのクラウドへの保存・共有 顧客リスト・名刺のデジタル化および顧客管理システム(CRM)の活用
見積書・請求書・発注書など取引関連書類の電子化 情報セキュリティ対策の整備 オンライン商談(顧客への営業・接客)ツールの活用
電子契約サービスの活用(契約書のオンライン締結) 経費支払いのキャッシュレス化(法人カード・電子マネーなどの活用) WebサイトやSNS・デジタル広告を活用したマーケティング
出退勤・入退館管理のデジタル化、休暇・残業申請書類など労務関連書類の電子化 インターネットバンキングの活用(振込・口座管理・給与振込などのオンライン化) 社員研修・人事評価・採用活動へのオンラインツール活用

(出所:日本情報マート作成)

2 既に導入等をして成功している企業が多い項目

経営者169人のうち、ITを活用した業務効率化について

「既に導入等をして成功している項目がある」という人は119人(70.4%)

でした。119人に聞いて分かった、既に導入して成功している企業が多い項目(複数回答)の上位5位は次の通りです。

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インターネットバンキングは最も導入率が高く、まだ経理担当者が銀行窓口に足を運んでいる企業は、早急に見直しを検討したほうがよさそうです。また、財務・税務関連書類の電子化や取引関連書類の電子化が上位に入っていることは、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応が中小企業にも着実に浸透してきたことの表れといえるでしょう。

3 多くの企業が取り組みたいと思っている項目

経営者169人のうち、ITを活用した業務効率化について

「まだ導入等をしていないが、早急に取り組みたいと思っている項目がある」という人は69人(40.8%)

でした。69人に聞いて分かった、早急に取り組みたいと思っている企業が多い項目(複数回答)の上位5位は次の通りです。

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最も注目すべきは、生成AIの業務活用が第1位に入ったことです。ChatGPTやGeminiなどの生成AIツールは2022年末以降に急速に普及し、今や中小企業の経営者にとっても身近な存在になりつつあります。「取り組みたい」という意欲は高いものの、後述の通り実際に業務活用できている企業はまだ少数派であり、関心の高さと実態のギャップが浮き彫りになっています。

4 取り組みたいけど難しいと思われている項目

経営者169人のうち、ITを活用した業務効率化について

「まだ導入等をしておらず、今後も導入等は難しいと思っている項目がある」という人は94人(55.6%)

でした。94人に聞いて分かった、導入するのが難しいと思っている企業が多い項目(複数回答)の上位5位は次の通りです。

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電子契約サービスは「早急に取り組みたい」項目の上位にも入っており、関心は高いが難しいと感じている企業が多い、まさに「頭の痛い課題」です。取引先などの対応状況に左右されるため、自社だけでは踏み出しにくいという事情もあるでしょう。

オンライン商談については、「対面でなければ伝わらない」という感覚がまだ根強く、特に人と人との関係性を重視する場面でのデジタル化には慎重な姿勢が続いているようです。

5 ITを活用した業務効率化について、特に課題だと感じていること(自由回答)

経営者169人のうち、ITを活用した業務効率化について

「特に課題だと感じていることがある」という人は35人(20.7%)

でした。最後に、35人に特に課題だと思っている内容を自由回答で答えてもらいましたので、一部紹介します。

  • DXの前に業務自体の見極めや合理化を進めなければいけない
  • うまくいかないケースも多いです
  • 効率が上がるかどうかの検証は難しい部分がある
  • 予算、スタッフ能力
  • 作業がアナログであること
  • 関わるものに高齢の方がいて対応が難しい
  • DX化に専任スタッフをつけることができない
  • 金融機関などで有印のものを提出しなければいけないケースが多いので
  • 相手側がそのスキルが無いと進まない
  • 共有のデータ化
  • 紙、ハンコが絶対だと考える人がいる
  • データ送付、保管の安全性ウィルス対策
  • 予算がつけられない
  • 人事考課
  • コストがかかりすぎる、使い分けが面倒
  • 社員のIT教育訓練
  • IT関連の人材不足が顕著なこと
  • 費用がかかる
  • 作業との連携
  • 稟議書の電子化
  • 生産性の向上
  • 人材の確保
  • 専門知識を有する担当者がいない
  • どこから始めたらよいか優先順位が分からない

以上(2026年6月更新)

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画像:sh240-Adobe Stock

総務のお仕事 12カ月 ダウンロードして使える「お仕事リスト」

1 実務の抜け漏れを防止するには?

総務(人事・経理・法務など)が担当する業務の多くは法令で義務付けられたもので、抜け漏れがあるとペナルティを受けるリスクがあります。中小企業には人事部や経理部など独立した部門がないことが多いですが、そうした状況でもすぐにやるべきことが分かるように、「総務のお仕事」を月ごとにまとめた便利なリストを作成しました。

(注)このリストは、3月末決算で、社会保険の保険者は全国健康保険協会(協会けんぽ)を想定した中小企業の主な業務をまとめたものです。

ダウンロードボタンをクリックすると、エクセル形式の一覧表がダウンロードできます。

こちらからダウンロード

お仕事リスト

お仕事リスト

こちらからダウンロード

2 総務のお仕事のポイント(対象:3月末決算の中小企業)

ここからは、4月から順に重要な実務とそのポイントを紹介していきます。実務の内容について別記事で詳しく紹介しているものもあるので、併せてご確認ください。

1)4月:新年度のスタートダッシュ、手続きも同時進行

1.入社手続き(4月入社の場合)

社員が入社したら、「労働条件通知書の交付」「社会保険・雇用保険の資格取得手続き」「雇入時健康診断の実施」などを行います。協会けんぽの保険料率は毎年変わる可能性があるので、忘れずに確認しておきましょう。

2.決算書の作成

1年分の取引に関する仕訳に決算整理仕訳(売上原価の算定、収益費用の見越し・繰延べ、減価償却の計上など)を加えて集計し、各勘定科目を決算日時点の数値に確定します。この数値をもとに、貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表などを作成します(キャッシュフロー計算書の作成義務は中小企業にはありません)。

3.3月決算法人の税務申告書の作成

2.で作成した決算書をもとに、法人税・法人住民税・法人事業税・消費税の「税務申告書」を作成します。中心となるのは法人税と消費税の申告書です。法人税は利益から法人税法上の所得を計算する必要があり、消費税は課税対象かどうかの判定など独自の計算が伴います。

2)5月:申告・納税をしっかり締める月

1.3月決算法人の確定申告

原則事業年度終了の日から2カ月が経過する日(3月末決算の場合は5月31日)までに、「確定申告書」を各提出先に提出します。「国税電子申告・納税システム(e-Tax)」や「地方税ポータルシステム(eLTAX)」を利用していれば、システム上での電子申告が可能です。

2.確定申告による法人税等および消費税の納付

原則事業年度終了の日から2カ月以内に、1.で申告した納税額を各納税先に納めます。e-TaxやeLTAXなら、ダイレクト納付やインターネットバンキングでの電子納税にも対応しています。

3)6月:賞与と株主総会、社外対応が重なる繁忙期

1.夏季賞与の支給、被保険者賞与支払届の提出

社会保険(健康保険・厚生年金保険)の被保険者に賞与を支給したら、支給日から5日以内に「被保険者賞与支払届」を所轄の日本年金機構事務センターに提出します。予定していた賞与を支給しなかった場合も、「賞与不支給報告書」を同センターに届け出ます。

賞与保険料は通常の社会保険料と合わせて支給月の翌月末に納付します。年2・3回支給する場合は、支給のたびに同じ手続きが必要です(年4回以上は対象外)。

2.定時株主総会の開催

中小企業の多くは「非公開会社(全株式の譲渡に会社の承認が必要な旨を定款に定めた会社)」です。非公開会社では、定時株主総会開催の1週間前までに「招集通知」を株主へ送付します。ただし、議決権を持つ全株主が同意した場合は省略可能です。

総会後は「議事録の作成」「決議通知書の発送」「計算書類の公告」なども行います。取締役の変更など登記が必要な事項があった場合は、2週間以内に所轄の法務局へ「変更登記の申請」をしてください。

4)7月:社会保険・労働保険、法定手続きの山場

1.算定基礎届の提出

毎年7月10日までに、被保険者の4~6月支給給与額を記載した「算定基礎届」を所轄の日本年金機構事務センターに提出します。これにより9月分からの社会保険料が改定されます(定時決定)。社会保険料は翌月末に納付するのが原則ですので、定時決定で標準報酬月額が変わった場合は、10月支給の給与から控除額を変更します。

なお、定期昇給など固定給の変動で標準報酬月額が2等級以上変わると、変動月から4カ月目から社会保険料が改定されます(随時改定)。例えば、末日締め翌月払いの会社が4月に定期昇給(昇給が反映された給与を支払うのは5月から)を行った結果、2等級以上の変動があったに該当する社員がいたら、5・6・7月の給与支払い後すみやかに「月額変更届」を提出します。

算定基礎届を作成する際、支払基礎日数が17日未満の月は算定対象から外れます(短時間労働者は11日未満)。4~6月に欠勤の多い社員がいるとミスが起きやすいので注意しましょう。

2.労働保険年度更新申告書の提出

毎年7月10日までに「労働保険年度更新申告書」を所轄の労働基準監督署に提出します(労働局への提出や電子申請も可能)。この申告書には、前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を記載します。

また、当年度の概算保険料も原則7月10日までに納付します(前年度の概算保険料と確定保険料に過不足があれば調整します)。口座振替を申し込んでいる場合は9月6日(土日祝の場合は翌営業日)に引き落とされます。なお、概算保険料40万円以上など一定の要件を満たす場合は、3回の分割納付も可能です。

5)8月:少し息をつきつつ、点検と休暇管理を

1.夏季休暇などの取得予定の確認

夏季休暇は法律上の義務ではなく、会社が就業規則で定める「特別休暇」の一種です。「7~9月の3カ月間で3日まで取得可」などと定めるケースが一般的ですが、忙しさを理由に社員がなかなか休暇を取れないことがあります。会社のほうから各社員に取得予定を確認するなど、一声かけてあげるといいでしょう。

2.建物、設備、社有車などの点検

夏休み期間中も、建物・設備・社有車の点検がおろそかにならないよう注意が必要です。建築基準法・電気事業法・道路運送車両法などに基づく「法定点検」は、期限内に必ず実施します。

6)9月:下期に備える、健康と防災も忘れずに

1.定期健康診断、ストレスチェックの実施(9月実施の場合)

社員を雇用するすべての会社に、年1回以上の定期健康診断が義務付けられています。常時50人以上の会社はストレスチェックも年1回以上実施する義務があります(注)。

なお、社員数が常時50人以上の会社は、実施後すみやかに「定期健康診断結果報告書」および「ストレスチェック結果等報告書」を所轄の労働基準監督署に提出する必要がありす。

(注)ストレスチェックについては、2025年5月14日から3年以内に政令で定める日より、50人未満の会社にも実施義務が課せられます。

2.防災訓練の実施、BCPや備蓄の確認など

9月1日の「防災の日」に合わせて防災訓練を行う会社が多くあります。テレワーク中心の会社でも、災害伝言板やSNSを活用した安否確認訓練などで備えておきましょう。BCP(事業継続計画)の内容が古くなっていないか、備蓄(水・食料・ヘルメット・救急セットなど)の状態も合わせてチェックしておきましょう。

7)10月:最低賃金が変わる、年休付与も確認を

1.年次有給休暇の付与(4月入社の場合)

労働基準法により、「入社後6カ月以上継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した社員」には、年次有給休暇(以下「年休」)を付与します。例えば、4月1日入社の正社員の場合、10月1日付で10日の年休を付与します。以降は1年ごとに法定日数を付与しますが、年休は付与日から2年で時効消滅するため日数管理に注意しましょう。また、10日以上付与される社員には年5日以上の取得義務があります。付与のタイミングでルールを共有しておくとスムーズです。

2.地域別最低賃金(毎年10月改定)の確認

最低賃金には都道府県ごとの「地域別最低賃金」と特定産業の「特定最低賃金」があり、地域別最低賃金は毎年10月に改定されます(特定最低賃金は不定期)。地域別最低賃金は年々上昇しており(2025年10月時点の全国加重平均は1121円)。パート・アルバイトの賃金が下回っていないか、改定のたびに確認しましょう。

8)11月:賞与準備と中間納税、師走前の仕上げ

1.長時間労働の実態把握、改善

厚生労働省では毎年11月には「過重労働解消キャンペーン」が実施され、この時期は労働基準監督署の指導が強化されます。長時間労働の改善は年間を通じて取り組むべきことですが、特に11月は特に「勤怠打刻と実際の労働時間のズレがないか」をしっかり確認しておきましょう。

2.中間申告による法人税等および消費税の納付

前年度の確定申告税額が一定額を超えると、期中に「中間申告・納付」が必要になります。税目によって制度が異なるので注意しましょう。

法人税・法人住民税・法人事業税は、事業年度が6カ月を超える場合、原則として期首から6カ月経過後2カ月以内(3月末決算の場合は11月末)に中間申告・納付をします。

消費税については、確定申告時の消費税額によって中間申告の回数(なし・年1回、3回、11回)が変わってきます。この記事では、年1回のケースをモデルとしているため、11月末に消費税の中間申告・納付が必要です。

9)12月:年末調整と賞与、やることが詰まった月

1.年次有給休暇の取得推進

年末年始を休業にする会社は多いですが、仕事納めを前倒しできそうなら、その分を年休取得に充てるよう促すのも一つの方法です。年10日以上の年休が付与される社員(主に正社員)については、社員の意見を尊重しながら会社が時季を指定して年5日の年休を取得させる義務があります。取得が遅れている社員には、年末のタイミングでまとめて消化を促しましょう。

2.年末調整

年末調整は、1年分の源泉所得税を正確に計算し直すための手続きです。社員全員から

  • 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書
  • 給与所得者の保険料控除申告書
  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(扶養控除等申告書)

などを回収し、各自の所得控除を集計して正確な税額を算定します。すでに徴収した額との差額は、12月または1月支給の給与で精算します。

10)1月:税務書類の締め切りが集中する月

1.法定調書の提出

毎年1月31日までに、前年(1~12月)に行った一定の支払いを記載した「法定調書」を所轄の税務署に提出します。法定調書は全部で60種類あります。社員への給与なら「給与所得の源泉徴収票」、税理士などへの報酬なら「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」などが代表的です。

2.償却資産の固定資産税の申告

毎年1月31日までに、その年の1月1日時点で所有している償却資産を記載した「償却資産申告書」を各市区町村に提出します。償却資産とは、土地・建物以外で事業に使用する資産のうち、減価償却の対象となるものです。

11)2月:春に向けて賃上げと予算を固める

1.賃上げに関する情報収集

2月ごろになると春闘が本格化し、賃上げの話題が増えてきます。他社の動向を見ながら、自社の人件費負担を踏まえてた上で、どこまで対応するかを判断します。待遇の改善は、人材確保の観点からも重要な要素の1つです。

2.新年度の予算編成

新年度の利益目標を設定し、売上・費用の計画数値を固めます。当年度の業績見込みや経営者の意向、現場へのヒアリングをもとに数値を固めましょう。予算は全社で共有し、毎月の予実管理(進捗確認・差額分析など)につなげていきます。

12)3月:年度末の締め、退職・棚卸・36協定

1.退職手続き(3月退職の場合)

社員が退職したら、「社会保険・雇用保険の資格喪失手続き」「退職証明書の交付(必要な場合)」などを行います。退職金制度がある場合は、支払い手続きも忘れずに進めましょう。

2.36協定の締結・届け出(4月起算の場合)

社員に残業や休日出勤をさせるには、過半数労働組合(ない場合は過半数代表者)と労働基準法第36条に基づく労使協定(通称「36協定」)を締結し、所轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。366協定は、1月や4月を起算日に1年間の有効期間を定めるケースが多く、有効期間が切れた状態で残業や休日出勤を命じるのは違法です。有効期限が切れる前に内容を更新・届出し、社員に周知しておきましょう。また、協定で定めた上限を超える労働を命じることも違法です。協定内容はよく検討した上で締結しましょう。

3.期末棚卸の実施

期末時点の在庫を確定するため、帳簿上の棚卸(帳簿棚卸)と現物のカウント(実地棚卸)を実施します。在庫数量が確定することで、決算書に計上する売上原価が算定されます。

以上(2026年6月更新)

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画像:日本情報マート

経営のヒントとなる言葉(司馬遼太郎)

「小説というものは自分で考えだして書くべきもので、『純文学』とか『大衆文学』とかいうふうに概念で分けて書くものではありません。わたしはそうした概念で小説を書こうとしたことは一度もありません」(*)

出所:「司馬遼太郎の世界」(文藝春秋)

冒頭の言葉は、

「自らに“枠”を設けず、仕事に取り組むことが重要である」

ということを表しています。

司馬氏の作品は歴史を題材としたものが多く、執筆の際は関連した資料を徹底的に読み込み、取材を行うのが常でした。司馬氏は1人で資料収集や取材を行っていましたが、その圧倒的な取材力に、資料収集や取材を担当するアシスタントがいるのではないかという質問を受けることが度々あったそうです。

司馬氏のような人気作家の場合、一度に複数の連載を抱えることも少なくありません。そのため、アシスタントを使わず、1人で資料収集や取材を行うのは骨が折れることでしょう。しかし、自分で資料に当たり取材を行うことで、考えがまとまったり、作品に登場する人物への理解が深まったりするとして、司馬氏はその過程を重視していました。

しかし、どれほど資料収集や取材を行っても、全ての事象を明らかにできるわけではありません。また、司馬氏は歴史家ではなく小説家です。史実を踏まえてはいるものの、作品中の人物描写などは司馬氏の創作によるものもあります。

担当編集者を長く務めた和田宏(わだひろし)氏は、次のような言葉を司馬氏の口癖として紹介しています。

「事実(ファクト)をいくら積み上げても、真実(トゥルー)には至らない」(**)

現代に生きる読者にとって、作中に登場する歴史上の人物は縁遠い存在ですが、膨大な資料や綿密な取材を経て生まれた司馬氏の創作には、リアリティーや説得力があり、読者は歴史上の人物を具体的にイメージできるようになります。

体験した出来事ではないにもかかわらず、司馬氏がリアリティーや説得力を持った作品を執筆することができたのは、自分の作品に関連のある本や資料を徹底的に収集し、読み込んだからでしょう。

また、司馬氏が自分のフィールドである歴史小説にとどまらず、現代小説や推理小説などに至るまで、さまざまな本や資料に関心を持ち、目を通していたことも見逃せません。たとえ、執筆中の作品に関係のない情報であっても、常にさまざまな情報のインプットを欠かさなかったからこそ、必要なときに十分なアウトプットができ、手掛ける作品の世界観に厚みが増したのではないでしょうか。

このような司馬氏の仕事への取り組み方は、作家に限らず多くの人にとって参考になるものです。

市場の成熟化に伴って、顧客ニーズが細分化し続けている現在、企業にとって大勢の顧客から支持される商品開発は難しくなっています。こうした中、企業に求められるのは、顧客の声を逐一拾うのではなく、フラットな視点で多面的に情報を収集し、顧客ニーズを先取りした商品を開発することです。

そのためには、過去や常識などの枠にとらわれない、柔軟な視点が必要です。経営者が率先して枠にとらわれない姿勢を示し、枠を取り払って仕事に取り組む社員を支援する仕組みを設けて、奨励しましょう。

ただし、社員にとって既存の仕事の枠を大きく外れることは勇気を伴うものです。当初から大きく外れることは難しくても、少しずつ枠から外れて成果を生む経験を積ませましょう。そうした成功を積み重ねることで、組織は枠を飛び越えて、新たな一歩を踏み出す勇気を得ることができます。

司馬作品には、読者の心をつかみ、夢中になってページを読み進めてしまう力があります。それは、司馬遼太郎という知の巨人による、たゆまぬ努力によって生まれたものです。一個人の力では巨人に及ばないとしても、組織として充実したインプットを実践し、枠を飛び越えて仕事に取り組むことができれば、顧客が心を躍らせる優れた商品を生むことができるでしょう。

【本文脚注】

本稿は、注記の各種参考文献などを参考に作成しています。本稿で記載している内容は作成および更新時点で明らかになっている情報を基にしており、将来にわたって内容の不変性や妥当性を担保するものではありません。また、本文中では内容に即した肩書を使用しています。加えて、経歴についても、代表的と思われるもののみを記載し、全てを網羅したものではありません。

【経歴】

しばりょうたろう(1923~1996)。大阪府生まれ。大阪外国語学校(現大阪大学)蒙古語科卒。産経新聞社入社。1960年、作家に転身。作品は「梟(ふくろう)の城」「竜馬がゆく」など多数。

【参考文献】

(*)「司馬遼太郎の世界」(文藝春秋、2011年6月)
(**)「司馬遼太郎 この人この言葉」(文藝春秋、1997年3月)
「司馬遼太郎『街道をゆく』の思想」(関川夏央、小学館、2006年6月)
「司馬遼太郎が考えたこと 1~15」(司馬遼太郎、新潮社、2001年~2012年)
「司馬遼太郎という人」(磯田道史、プレジデント社、2014年12月)

以上(2026年6月作成)

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画像:日本情報マート

採用活動で応募者のSNS調査を行うことは是か非か?

1 SNS調査をこっそりと行うのはNG

社員がSNSに投稿した不適切な内容で「炎上」や「情報漏洩」が起きてしまったら、会社にもダメージが及ぶかもしれません。採用内定を会社都合で取り消したり、社員を解雇したりするのは容易ではないため、リスクをなるべく減らす目的で行われるのが

SNS調査やリファレンスチェック(以下「SNS調査など」)

です。

●SNS調査

履歴書や面接の情報を基に、応募者のSNSの実名アカウントを調べて、投稿内容を確認すること。そこから出身地や誕生日などが一致する匿名アカウントを探し、プロフィール情報やフォローしている友人などから応募者本人かどうかを判別し、投稿内容を確認することを「裏アカ調査」という

●リファレンスチェック

履歴書や面接の情報を基に、応募者の前職の勤務状況や人物像について関係者に問い合わせること(中途採用の場合)

SNS調査などをすれば、履歴書や面接からは分からない応募者の「素の人柄」を知ることができるかもしれません。とはいえ、SNSは私生活の投稿です。勝手に調べていいものか、という疑問は当然あるでしょう。

実際のところは、

SNS調査などは非常にグレーであり、こっそりと行うのはまずNG

です。この記事では、その理由を紹介します。

2 SNS調査などがグレーな理由

1)「SNS調査などに利用します」と通知する?

履歴書や面接を通じて得られる応募者の情報は「個人情報」です。個人情報を取得する際は、利用目的を特定した上で、その目的を通知または公表しなければなりません。本人から直接書面で取得する場合は、あらかじめ利用目的を明示します。

つまり、応募者の個人情報をSNS調査などに使うのであれば、その旨を通知または公表する必要があります。ただ、そのことを正直に伝えると応募者の反感を買いかねないため、あまり現実的とはいえません。

2)実名アカウントの閲覧まではOK。でもそれ以上はNG

厚生労働省職業安定局「募集・求人業務取扱要領(令和6年10月)」では、会社や採用募集代行業者が応募者の個人情報を収集する場合、次のような適法かつ公正な手段を取らなければならないとされています。

  • 本人から直接収集する
  • 本人の同意の下で本人以外の者から収集する
  • 本人により公開されている個人情報を収集する など

応募者が実名アカウントで、公開範囲を限定せずに投稿している内容を確認すること自体は問題ありません。ただし、それ以上進めて「裏アカ調査」やリファレンスチェックを行う場合は、応募者の同意が必要です。

3)採用活動で利用するなら、利用目的の通知または公表が必要

個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」では、

個人情報を含む情報がインターネット等に公開されている場合、単にこれを閲覧するだけで、転記等を行わないのであれば、個人情報を取得しているとはいえない

とされています。

公開アカウントの投稿を確認するだけなら、個人情報の取得には当たりません。ただし、「閲覧(見るだけ)」と「取得」の境界線には注意が必要です。閲覧した内容を評価シートに書き込んだり、データとして保存したりした時点で、個人情報の「取得」に該当します。採用の判断材料にする場合は、利用目的を特定した上で、その目的を通知または公表することが必要です。

「閲覧(見るだけ)」と「取得」の境界線

例えば、ディー・エヌ・エーグループの採用活動におけるプライバシーポリシーでは、利用目的の1つとして、

当社グループの採用選考に際し、候補者の適格性を評価するため(これには、バックグラウンドチェック、リファレンスチェック、その他の確認手続を含みます)

と記されています。「バックグラウンドチェック」と表記するなどの工夫もされています。

4)収集してはならない情報がある?

職業安定法では、事業主が求職者から情報を取得する場合につき、取得目的を制限しています。また、職業安定法に基づく指針(平成11年労働省告示第141号)では、以下の情報を原則として収集してはならない情報として定めています。

  • 人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となる恐れのある事項(家族の職業、収入、本人の資産などの情報、容姿、スリーサイズなど)
  • 思想および信条(人生観、生活信条、支持政党、購読新聞・雑誌、愛読書など)
  • 労働組合への加入状況

例外的に、収集目的を示した上で本人から収集できるケースもありますが、特別な職業上の必要性がある場合などに限られます。不用意に収集すると職業安定法に基づく改善命令や是正措置の勧告が発出されることがあり、改善命令に違反すると、罰則(6カ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金)の対象になるほか、改善命令や是正措置の勧告に従わなかった場合には会社名が公表され、さらにその公表により、ハローワークでの求人が不受理となったりするリスクもあります。

なお、これらの情報は、個人情報保護法の「要配慮個人情報」と一部重複しますが、

要配慮個人情報は本人の同意があれば収集できるのに対し、職業安定法に基づく指針の「収集してはならない情報」は、文字通り、原則として収集不可

となっている点に注意が必要です。

SNSには個人の考えなどを投稿することもあり、そこに「収集してはならない情報」が含まれる可能性は十分にあります。

5)調査代行業者への依頼やリファレンスチェックは個人情報の「第三者提供」

SNS調査などを代行する専門業者(以下「調査代行業者」)もいますが、調査代行業者への依頼は個人情報の「第三者提供」に当たります。調査代行業者が独自に調査した結果と、応募者の個人情報の突合は、企業の「委託」では不可能だからです。同様に、調査代行業者が調査結果を依頼元の企業に渡すことも第三者提供に当たります。

個人情報を第三者提供する場合は、あらかじめ本人の同意を得る必要があるほか、第三者提供に係る記録の開示請求手続への対応も必要です。

リファレンスチェックも同様です。履歴書や面接で得た個人情報を前職の企業に渡すことになるため、第三者提供に当たります。

6)内定後のSNS調査には特に注意が必要

内定を出した後に裏アカ調査をして不適切な投稿が見つかったとしても、それを理由に内定を取り消すことは容易ではありません。内定が成立した時点で、企業と応募者の間にはすでに労働契約が成立したと解するのが一般的だからです(始期付解約権留保付労働契約)。つまり、内定取消しは法律上「解雇」と同等に扱われます。採用内定時に知っていたら採用することがなかったであろう客観的に合理的で社会通念上相当と認められるような重大な事由でなければ、採用内定取り消しは無効となり、内定者から損害賠償請求や地位確認の訴訟を起こされるリスクがあります。

SNS調査を行うのであれば、内定を出す前のタイミングで実施するのが鉄則です。

3 SNS調査などがはらむリスク

利用目的を明らかにして本人の同意を得られれば、収集禁止情報に触れない範囲において、SNS調査などを実施すること自体は可能です。ただ、懸念は残ります。例えば、「バックグラウンドチェックをします」と説明されても、応募者は「裏アカ調査」をされると認識できないでしょう。また、志望先の企業からSNS調査などの同意を求められたとき、それを断るのは現実的に難しいかもしれません。

この他、同姓同名の別人の情報との取り違えや、悪意の第三者によるなりすましが起こらないかといったことも気になるところです。

日本労働組合総連合会「就職差別に関する調査2026」によると、採用試験を3年以内に受けた15~29歳の男女計1000人のうち、

  • 「採用選考過程において、企業からSNSアカウントを調査する旨の通知を受けたことがある」という回答が20.8%
  • 「採用選考過程において、企業からSNSアカウントを調査されたことがある」という回答が21.8%

となっています。

さらに、SNS調査などは「身元調査」にもなり得ます。調査の結果、目にしてしまった情報をもとに無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)が生じ、新たな就職差別につながる恐れもある点に注意が必要です。

以上(2026年8月更新)
(監修 弁護士 田島直明)

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オーナーからオフィス賃料の値上げ要求……交渉の余地はある?

1 「適正な賃料水準」を維持して自社の利益を守る

2026年6月現在、賃貸オフィス市況は「貸主(オーナー)優位」の局面になっています。例えば、東京では、人材獲得を急ぐ企業による優良ビルへの移転需要や、物価上昇などを背景に、31年ぶりの高値を記録。オーナー側から賃料の値上げ(増額)を打診される借主(テナント)も増えているといいます。

この記事では、こうしたインフレ局面において、オーナー側からの値上げ要求にただ従うのではなく、借地借家法に基づき「適正な賃料水準」を維持して自社の利益を守るための法的根拠と交渉のステップを見ていきます。

2 オフィス賃料の値上げ要求……何を根拠に交渉する?

オーナー側から「物価高」や「周辺相場の上昇」を理由に値上げを求められた際、借主(テナント)側にはどのような権利があり、どのような法的根拠に基づいて対抗できるのでしょうか。

1)まずは賃貸借契約書を確認する

オフィス賃料の値上げの打診があった場合、まずは賃貸借契約書の規定を最優先で確認しましょう。一般的な契約書には「経済事情の変動等により賃料が不相当となった場合、協議の上、改定することができる」といった賃料改定条項が設けられています。

ここで重要なのは、多くの契約書において値上げは「双方の協議(合意)」が前提となっている点です。オーナー側が一方的に通告しただけで自動的に賃料が上がるわけではありません。

なお、契約書に「更新時に賃料を〇%値上げする」といった自動値上げ特約が記載されている場合もあります。しかし、こうした特約があっても、実際の経済実態とかけ離れて不相当に高い金額になっている場合は、次に紹介する「借地借家法第32条第1項」の規定により、特約が無効とされるか、あるいは増額請求が制限される可能性があります。

2)借地借家法第32条第1項に基づいて対抗する

借地借家法第32条第1項(賃料増減額請求権)では、

  • 租税その他の負担の増減(固定資産税の上昇など)
  • 土地建物の価格の増減その他の経済事情の変動(物価や所得水準の変動)
  • 近傍同種の建物の賃料相場との比較

により、賃料が「近傍同種の建物の賃料と比較して不相当となったとき」に、「当事者(オーナー側とテナント側の両方)」は将来に向かって賃料を増やしたり減らしたりするよう求めることができると定めています。

オーナー側はこの規定を根拠に「増額」を求めてくるわけですが、同時にテナント側もこの規定を根拠に「現在の賃料は周辺相場と比較して妥当だから、増額は不相当だ」と主張することができます。

また、オーナー側から「値上げに応じないなら退去してくれ」と迫られても、普通借家契約であれば、賃料の不合意だけを理由に強制的に退去させることは基本的に認められません。協議がととのわない間は、テナント側は「自身が相当と認める金額(従前の賃料)」を支払っていれば、債務不履行(家賃滞納)にはなりません。

3 値上げ要求に対抗するためのポイントは?

実際にオーナー側からオフィス賃料の値上げを打診された際、良好な関係を維持しながら適正水準に抑えるためには事前の準備をしておきたいところです。

1)周辺の「継続賃料相場」を理解しておく

オーナー側は交渉の際、「周辺の新規募集賃料がこれだけ上がっている」というデータ(新規賃料)を出してくることが大半です。しかし、オフィス市場において「新規募集の相場」と「既存テナントの継続相場」は異なります。

  • 新規賃料: 空室に新しいテナントを入れる際の大幅に上昇した最新の相場
  • 継続賃料: すでに借りているテナントが更新する際の相場(急激な変動が抑えられる傾向がある)

テナント側は、現在のオフィス賃料が、周辺の「継続賃料の相場」と比べて妥当(適正)なのか、専門の不動産鑑定士のデータや仲介会社の情報を集めて客観的に見極めてみましょう。相場相応であれば、「現在の賃料は据え置きが妥当」と論理的に反論できます。

2)管理費・共益費の値上げ要請には「内訳」を求める

近年は、電気代の高騰やビルメンテナンスの人件費上昇を理由に、「管理費・共益費」の値上げを求められるケースも増えています。

この場合は、ただ拒絶するのではなく、オーナー側に対し「値上げをする合理的な根拠(エネルギー費や人件費の実際の上昇幅を示す資料)」の提示を求めましょう。オーナー側が出してきたコスト上昇の実績値と、値上げ要求額のバランスが崩れている場合は、上昇分に見合う適正な幅(例えば要求額の半額など)に落とし込む余地が生まれるかもしれません。

3)オーナー側に「空室リスク」と「入れ替えコスト」があることも意識する

貸し手優位とはいえ、オーナー側にとっても「既存テナントが退去し、次のテナントが決まるまでの空室期間」や「フリーレント(賃料無料期間)の提供」といった空室リスク、「原状回復費用」や「リーシング費用(テナント誘致にかかる仲介手数料や広告費など)」といった入れ替えコストは大きな負担です。

テナント側は、「現在の賃料で長く、安定して入居し続けること」自体がオーナー側にとって大きなメリットであることを意識し、変に萎縮せずに交渉に臨みましょう。

4 これからのインフレ時代を見据えた契約対策

オフィス賃料交渉は、オーナー側とテナント側の利益がぶつかり合うものです。現在の市場環境において、テナント側がかたくなに値上げを拒み続けると、長年築いてきたオーナー側との信頼関係を壊しかねません。自社のコスト削減だけでなく、オーナー側の運営事情(物価高によるコスト増)にも一定の理解を示し、「お互いにとって妥当な着地点(適正な増額幅)」を模索するバランス感覚を持っておきたいところです。

今後新たに契約を結ぶ、あるいは再締結する場合には、将来的なインフレの進行を見据え、以下のような先手を打った契約条項の改定を検討しておくことが大切です。

  • 賃料改定の頻度制限: 「賃料の改定協議は3年に1回を上限とする」など、頻繁な値上げ打診を防ぐ
  • スライド幅の上限設定: 「物価変動に伴う賃料改定であっても、前回の賃料の〇%を上限とする」といったインフレキャップ(上限)を設ける

オフィス賃料は企業にとって最大の固定費の一つです。市場の波に飲まれることなく、法的な仕組みと正しいデータを用いて、持続可能なオフィス戦略を構築していきましょう。

以上(2026年6月作成)

pj60387
画像:ChatGPT

【熱中症対策】熱中症予防で使えるグッズを一挙紹介!

1 熱中症対策は「予防」が肝心!

最近はテレワークをする企業が減少し、出社機会が増えています。直接コミュニケーションを取ることができる環境は喜ばしいものの、真夏のオフィスでは個人に合わせて細かな室温調整をすることが難しいことから、熱中症のリスクが高まるのも事実です。また、今年も猛暑になる可能性が高く、営業や屋外での作業などに従事する従業員は、常に熱中症のリスクと隣り合わせの状況にあります。

この記事では、職場で使用できる熱中症対策グッズについて、最新の動向を交えて紹介します。具体的な分類は次の通りです。

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熱中症対策グッズは、水分や塩分を補給するもの、冷感を与えるものなどさまざまです。企業で支給したり、あるいは購入費用を補助したりして、熱中症になりにくい環境整備を進めることが大切です。

2 水分や塩分を補給するグッズ

熱中症対策の基本は、こまめな水分補給です。ただし、大量に汗をかいたときは体内の塩分やミネラルも失われるため、水分と併せて塩分の補給も必要です。そこで、次のようなグッズを用意しておくとよいでしょう。

1)目盛り付きのタンブラー・ウォーターボトル

一般的に、夏場の水分の摂取目安は1.2リットル/1日程度とされていますが、仕事中に自分で摂った水分を細かく把握しているケースは多くありません。

最近は自分がどれくらい水分を摂っているのか一目でわかる、目盛り付きのタンブラーやウォーターボトルなどが販売されています。容量は1リットル以上のものが多いので、

デスクの上に置くようにすれば、あまり水分を摂っていなさそうな従業員に水分補給を促すこともできる

でしょう。

2)塩分を含む食品

汗をかく状況で水分を補給する際には、一緒に塩分も補給するように呼びかけましょう。水分だけを摂取すると体内のミネラルのバランスが崩れるため、熱中症になる恐れがあります。

例えば、塩分は、塩あめ、塩分タブレット、梅干しなどで補給できます。また、スポーツドリンクは水分と塩分を同時に補給できる点で有効です。しかし、糖分が多量に含まれているケースもあるので、飲み過ぎには注意が必要です。最近は糖分が控えめなものも販売されています。

なお、スポーツドリンクは熱中症予防には効果がありますが、実際に脱水症状(初期)が出た場合には、水分や塩分を効率よく体内に吸収させる「経口補水液」を摂取することが推奨されています。

この他、厚生労働省「職場における熱中症防止のためのガイドライン」では、休憩場所にアイススラリー(流動性の氷状飲料)を用意することも推奨されています。暑さの厳しい環境で長時間作業に従事する従業員がいる場合は、導入を検討してみましょう。

3 風を送るグッズ

風通しが悪い場所では汗が蒸発しにくく、体温の調節につながらない発汗が増えて脱水状態に陥りやすくなります。そこで、空調設備の整っていない場所で従業員が作業するときには、次のようなグッズを用意しておくとよいでしょう。

1)空調服

腰や脇に小型のファンが付いた服です。長袖のジャケットから袖のないベストまで、さまざまな製品があります。専用のウエア、ファン、バッテリーをそろえる必要がありますが、空調服を着ることで、エアコンの使えない場所でも涼しく過ごせます。

空調服の中に着るインナーは、できるだけ吸汗性、透湿性、速乾性の高いものを選ぶことを心がけましょう。綿などの汗が乾きにくい素材のインナーを着ていると、体が冷えすぎてしまい、逆に体調が悪くなる場合もあるので注意しましょう。

2)扇風機

首に掛けたり、手に持ち歩いたりして使える小型の扇風機は、通勤中やオフィスでの細かな体感温度の調整方法として主流になってきました。最近では、ファンの中心部や持ち手に冷却プレートを配置し、冷たい風を送ったり、肌を直接冷やしたりできる製品もあります。

ただし、

気温が高く乾燥した環境で扇風機を使うと、汗が体から熱を奪う前に乾いてしまい、体温が上がり続ける恐れがある

ことには注意しましょう。そのため、扇風機を使用する際は、水を霧状に噴射するスプレー、濡れたタオルなどを併せて用意するようにしましょう。

4 冷感を与えるグッズ

首元、わきの下、足の付け根など、太い血管が体の表面近くを通るところを冷やすと、効率良く体温を下げることができ、熱中症の予防につながります。そこで、次のようなグッズを用意しておくとよいでしょう。

1)ネッククーラー

首元を冷やし、体温の上昇を抑えるネッククーラーは熱中症対策にも役立ちます。中に保冷剤や冷却ジェルを入れて使うスカーフのようなタイプや、USB端子につないで動く電動のタイプなどさまざまなものがあるので、テレワークや通勤などのシーンに合わせて使いやすいものを選ぶとよいでしょう。

2)ミスト冷房

水を細かい霧状にして噴出する装置です。周辺を水で濡らすことなく身体を冷やすことができます。屋外や工場で使用する大型のものに限らず、USB端子につないでデスク周りで使える小型の製品もあります。

3)アイスパック(氷のう)

アイスパック(氷のう)は、休憩時などに額や首筋に当てて体のクールダウンを図ることができる他、熱中症の症状が出た従業員への緊急対処としても使用できます。最近は魔法瓶構造になっているアイスパックも発売されています。従来のものより長時間、冷たさを維持できるので、職場に多めに常備しておくと、いざというときに安心です。

4)手のひらの冷却用グッズ(冷却グローブ・手のひら用保冷剤)

手のひらのAVA血管(体温調節に関わる血管)を効率的に冷やすグローブ型デバイスや、手のひら用の保冷剤もあります。手のひらを冷やすと深部体温の上昇を抑制できるので、新たな熱中症対策として有効です。

5 危険時に警告して知らせるグッズ

熱中症の初期症状は目まいやふらつきなど、「単に疲れているだけ」と誤解しやすいものが多く、対処が遅れてしまうことがあります。管理者がこまめに従業員の体調をチェックすることが一番ですが、見た目に表れなかったり、業務が忙しかったりするときには、従業員の体調不良に気が付けないケースもあるでしょう。

そこで、熱中症の危険が高まったことを、客観的に把握できる状況をつくり出すことが大切です。次のようなグッズを用意しておくと、熱中症が重症化する前に対処できます。

1)ウエアラブル端末

ウエアラブル端末は、リストバンドや腕時計などの機器を体に取り付けて脈拍を測り、熱中症の危険がある場合にアラームやバイブレーションなどで通知することが可能です。利用者本人だけでなく、管理者側(社内の健康管理の担当者など)で異常を検知できる製品もあるため、異常を確認した管理者が利$2F64者と連絡を取れば、重症化する前に健康への影響を防ぐことができます。

2)温湿度計・センサー

カバンなどに取り付けたり、屋内に据え置いたりして使用します。屋外で使用する場合、熱中症の危険性はWBGT値(暑さ指数。気温と湿度に加えて、日射や地面からの照り返しによる熱を含めた数値)で測ることができますので、リスクの高い環境を早めに察知し、対策を打つことができます。

3)スマートフォンアプリ

その日の気温、湿度、気象条件などを基に熱中症の危険を通知します。アプリによっては時間単位や地域を指定して熱中症の危険を確認でき、また無料で提供されているものもあります。

始業前や休憩ごとなどにチェックし、その日のリスクに合わせた熱中症対策を講じるとよいでしょう。

以上(2026年6月更新)

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画像:日本情報マート

「暑い派」VS「寒い派」エアコンバトル! 平和的解決のカギは?

1 「暑い派」VS「寒い派」バトルが夏と共にやってくる!

暑くなってきたこの時期に従業員がオフィスに集まると、 “あの”問題が勃発します。それは、

エアコン温度の「暑い」vs「寒い」バトル

です。こっそりエアコンの設定温度を下げた暑がりの従業員を、寒がりの従業員が背後からじっと見ていたり、寒がりの従業員に気をつかって暑がりの従業員が汗だくになりながらやせ我慢をしていたり……皆さんも、一度は経験があるのではないでしょうか。

今年も去年に引き続き猛暑となる予想ですが、オフィスでは一人ひとりの好みに合わせた室温の調整が難しいので、企業としては、エアコンが本格稼働する前に、何とかこのバトルの対策を講じておきたいところです。また、

快適に働くための環境づくりは、業務の生産性向上という面でもとても大切

でしょう。

そこでこの記事では、オフィスにおける適温や、「暑い派」「寒い派」それぞれへのケア方法など、猛暑の中でも従業員が快適に働けるようにするポイントを紹介していきます。

ちょっとした工夫や心掛けで業務中の快適さは一気に変わりますので、今一度オフィス環境について振り返ってみましょう。

2 「快適さ」はさまざまな要素で出来ている

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1)快適さでオフィスの生産性も変わる!

空気調和・衛生工学会(暖冷房・換気や給水・排水など、生活に密着した設備を専門に研究する学会)の研究によると、室温の変化がオフィスでの生産性も影響することが明らかになっています。同学会の研究者らが発表した論文によると、

空気温度が26.5度を超えると生産性が大きく低下する

そうです。こうしてみると、オフィスでの快適な環境を用意することは、従業員の生産性向上、ひいては企業の業績アップにもつながるといえるでしょう。

2)バトルの原因の名は「PMV」

まずは、快適なオフィス環境を整えるために知っておくと良い知識、

「PMV(Predicted Mean Vote)、予測平均温冷感申告」

についてご紹介します。PMVとは「快適さを表す国際規格」で、

  • 室温
  • 湿度
  • 着衣量
  • 放射(日当たりや熱からの距離)
  • 気流(直接エアコンの風が当たるかどうか)
  • 活動量(体を動かしているか)

によって、その数値が左右されます。

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「PMV」では、暑さ・寒さの度合いを「-3~+3」の値で示します。そして国際的な基準(ISO:国際標準化気候)では、約9割の人にとって「快適」な数値は、上図のように「-0.5~+0.5」と、かなり狭い範囲。オフィスで仕事をする大多数が快適と感じるには、PMVをこの狭い範囲に収める必要があります。

つまり、同じオフィスで働いていても、人によって感じる暑さ・寒さは異なるということです。これが「暑い派」vs「寒い派」のバトルの原因で、

快適なオフィス環境を整えるためには、エアコンの温度設定だけでなく、「PMV」を構成する指標のさまざまな要素を捉えて対策する必要がある

といえるでしょう。

3)バトル鎮火のためのロードマップ

次に、この「PMV」を快適温度範囲に近い数値で平均化するために、経営者が従業員のためにできることを紹介します。

ポイントは、次の3段階でオフィス環境を調整することです。

  • 【対・全体】まずは部屋全体で「室温」「湿度」の最低限の環境を整える
  • 【対・陣営ごと】次に「暑い派」「寒い派」それぞれの陣営の従業員について、体感温度に合わせて席の移動を許可することで、「気流」「放射」を調整する
  • 【対・個人】最後に個人の「着衣量」に柔軟に対応することで、「活動量」や個人の代謝の差に対して微調整をかける

次章以降で、1,から3.の各要素をコントロールする方法を解説していきます。

3 【対・全体】「室温」「湿度」をコントロール

一番に整えておかなければいけないのが、対・全体の環境。すなわち、エアコンや除湿機で直接コントロールできる「室温」「湿度」です。

オフィスの衛生管理を定めた法令「事務所衛生基準規則」では、室内にエアコンなどの空調設備がある場合「室の気温が18度以上28度以下、相対湿度が40%以上70%以下になるよう努めなければならない」と定められています。

ただし、これはエアコンの設定温度の話ではなく、オフィスの「室温」や「湿度」の基準

です。

たとえエアコンの設定温度が28度でも、人が多いと体温で室温が上がるため、実際の体感温度は従業員の人数などによっても大きく左右されます。そのため、設定温度だけに頼らず、実際の室温・湿度を計測したうえで対策することが大切です。温度計や湿度計の用意を検討してみるのもよいでしょう。

また、近年記録的な猛暑が確認されていますので、「室温28度、湿度70%以下を基準にしているから大丈夫」と安易に判断するのではなく、気象情報などを見ながら柔軟な対応を心がけましょう。

4 【対・陣営ごと】フリーアドレスで「気流」「放射」を操る

オフィス全体の温度・湿度を整えるだけでは、「暑い派」VS「寒い派」の根本的な解決には至りません。そこで、

この夏は、フリーアドレスで放射・気流を調整

してみましょう。フリーアドレスとは、「席を固定せず、空いている席を自由に使う働き方」のことです。

例えば、窓際は放射熱で他の席よりも暖かくなるため、寒がりの従業員に向いています。

「寒い派」陣営が窓の近くのデスクに、「暑い派」陣営が日陰のデスクに移動することで、2つの陣営に「放射」の差をもたらす

ことができます。なお、紫外線の問題もあるので、基本的には夏場のブラインドは下げておくのがベターです。

また、

「暑い派」陣営はエアコンの風が当たる場所に、「寒い派」陣営はエアコンの風が当たらない場所に移動することで、「気流」も調節可能

です。改めて天井を見上げ、エアコンの位置や風がよく当たる席を確認してみるのもよいでしょう。

業務上の都合でフリーアドレスを取り入れることができない場合、次のような方法で気流を調整できます。

  • エアコンにアクリル板を取り付け、「寒い派」の従業員に直接風が当たらないようにする
  • サーキュレーターを設置し、エアコンの冷たい空気を分散させる

5 【対・個人】「着衣量」を柔軟に! 個人差を調節

夏場のエアコン問題は、「暑い派」VS「寒い派」の小競り合いだけでは済まないことがあります。「暑い派」「寒い派」陣営のみに着目し、個々へのケアを怠ると、

  • 暑い派陣営の中でも一番の暑がりは「熱中症」
  • 寒い派陣営の中でも一番の寒がりは「冷房病(クーラー病、体が急激な温度差についていけず、自律神経に異常をきたす症状)」

などになってしまう恐れがあるのです。

また、「暑い」「寒い」の感じ方は、活動量や代謝など、エアコンでは調整できない個人差にも左右されます。そこで有効なのが、個々の「着衣量」で体感温度を調整するという方法です。

身近で分かりやすい例は、「クールビズ」。軽装にすることで体感温度を下げる取り組みで、ネクタイを外すだけでも体感が変わるといわれています。全員が同じ快適さを感じることは難しくても、各人ができる限り快適さと健康をかなえられるよう、ネッククーラー・ブランケットの使用を許可するなど、従業員一人ひとりが体調を整えやすい環境づくりを目指しましょう。

また、オフィスワークでは喉の渇きを感じにくいため、無自覚に脱水が進む「かくれ脱水」のリスクがあります。涼しく感じるオフィスでも、定期的に水分補給をするよう呼びかけましょう。こちらのコンテンツでは最新の熱中症対策グッズを紹介していますので、ぜひご確認ください。

以上(2026年6月更新)

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画像:日本情報マート