棚卸資産や固定資産の評価損は損金に算入できるのか?

1 評価損に関する財務と税務の違い

会社にはさまざまな資産があります。例えば、販売目的の棚卸資産、商品を製造するための機械装置、オフィス家具やパソコンなどの器具備品などです。これらの資産(棚卸資産を除く)は、通常1年以上の長期間にわたって使用し続けます。また、棚卸資産についても、売れ残った場合は在庫として、長期間保有し続けることがあります。

長い間、固定資産を使ったり、棚卸資産を保有したりすると、経年劣化はもちろん、新製品の発売や新技術の開発などによって価値が陳腐化することもあります。会計上、これらの価値の減少は「評価損」として財務諸表上に反映します。

一方、税務上は、原則として評価損は損金(税務上の費用)に算入できませんが、特定の事情がある場合は例外として、損金に算入できます。それは「もう売れそうにないから」「技術が古くなってしまったから」といった経営者の感覚で決めるものではなく、明確なルールがあるので、確認していきましょう。

2 棚卸資産の評価損は損金に算入できるのか?

1)棚卸資産の評価損を判断するルール

棚卸資産の評価損は、次のいずれかの事実によって価値が減少した場合に限り、損金に算入できます。

評価損の損金算入が認められる事由(棚卸資産)

このチャートを見ると、「著しく損傷した」や「著しく陳腐化した」という曖昧な表現になっていて判断に迷います。特に「陳腐化」の判断は難しいところですが、

資産そのものに欠陥が生じたわけではないが、経済的な環境の変化に伴ってその価値が著しく減少し、今後回復しないと認められる状態にあること

をいいます。

2)棚卸資産の評価損を損金に計上できるケース

「著しく陳腐化したこと」の例として、

流行がある季節商品で、これまでの実績などから、今後、通常の価額では販売することができないことが明らかな場合

があります。

例えば、はやり廃りが激しいアパレル商品や、モデルチェンジが早いパソコンなどが売れ残ってしまった場合、

「今後、通常の価額では販売することができない」という過去の実績

が必要となります。そのため、バーゲンセールで割引販売しても売れ残ってしまった事実を正確に記録しておくとよいでしょう。

なお、あくまでも「著しく陳腐化したこと」が要件なので、物価変動、過剰生産などを理由にバーゲンセールをしても、評価損は損金に算入できません。

3)必ず損金経理の処理をする(評価損として会計処理を行う)

棚卸資産の評価損を損金に算入するには、損金経理が要件となっています。損金経理とは、費用・損失として会計処理をすることをいいます。つまり、

評価損は損失(売上原価ではない)として財務諸表上に計上

しなければなりません。

この要件が問題となるのは、経営者や現場担当者が陳腐化して売れないと判断した商品を、誤って売上原価として計算してしまった場合です。会計上、この商品は、評価損として売上原価とは別に処理しなければなりませんが、売上原価に含まれてしまうことになります。

売上原価は、あくまで販売に対応した商品などの原価であり、評価損を含めて処理してはいけません。そのため、期末の在庫にカウントして、売上原価には含めず、評価損として別の項目で損益計算書に記載しなければなりません。最終的な利益(所得)に与える影響は同じであっても、会計上の処理を正確に行うようにしましょう。

3 固定資産の評価損は損金に算入できるのか?

1)固定資産の評価損を判断するルール

固定資産の評価損は、次のいずれかの事実によって価値が減少した場合に限り、損金に算入できます。なお、固定資産には、機械装置や器具備品のような有形固定資産だけでなく、ソフトウエアのような無形固定資産も含みます。

評価損の損金算入が認められる事由(固定資産)

棚卸資産と同様、固定資産も「著しい損傷」や「著しい変化」という曖昧な表現がなされているので、実務上の判断が難しくなります。

なお、「所在場所が著しく変化したこと」とは、地盤沈下や土壌汚染などが生じたことで地価が下落した場合などをいい、バブル崩壊やリーマンショックのような経済環境の悪化による地価変動などは含まれません。

また、会社が意図的に評価損の計上や、その金額を調整することを防ぐために、次のような事情に基づく評価損は損金に算入できません。

  • 過度の使用又は修理の不十分等により当該固定資産が著しく損耗していること
  • 当該固定資産について償却を行わなかったため償却不足額が生じていること
  • 当該固定資産の取得価額がその取得の時における事情等により同種の資産の価額に比して高いこと
  • 機械及び装置が製造方法の急速な進歩等により旧式化していること

2)固定資産に係る評価損の留意点

1.写真など価値が低下したことを客観的に証明できる資料を保存する

固定資産の評価損については、その固定資産の状態や使用状況などによって評価損を損金に算入できるか否かを判断します。税務調査などで、評価損の正当性を証明するためには、評価損を計上した時点の状況を正確に、かつ客観的に説明できなければいけません。固定資産がどのような状態にあるのか、写真や詳細な稼働記録など、価値が低下したことを客観的に証明できる資料を保存しておくことが大切です。

2.経済的な環境変化などを理由に評価損を計上しない

電化製品の新モデルが発売された場合など、既存の製造用機械装置の価値が著しく低下した場合(陳腐化)、その機械装置に係る評価損は損金に算入できません。

棚卸資産とは違い、固定資産は減価償却によって毎期費用計上されており、価値の低下は減価償却の範囲内で行うことになっています。

固定資産の価値が著しく低下した場合(陳腐化)には、評価損としてではなく、耐用年数の短縮(税務署長の承認が必要)により、その事業年度に損金算入できる減価償却費の額を増やす方法があります。

以上(2026年8月更新)
(監修 税理士 石田和也)

pj30245
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物価高懸念が9割超!消費者心理から探る中小企業の生き残り策 【経営者とっておきニュース】

内閣府は2026年8月24日、「消費者マインドアンケート調査(試行)」の令和8年8月分の集計結果を公表しました。本調査は7月21日から8月20日にかけて実施され、80名から回答を得たものです。

結果によると、1年後の物価見通しについて「上昇する」(61.3%)と「やや上昇する」(35.0%)の合計が96.3%と9割を超えました。一方、今後半年間の暮らし向きは「やや悪くなる」(32.5%)と「悪くなる」(20.0%)の合計が52.5%と約5割を占めており、生活者の厳しい心理状態が浮き彫りとなっています。あくまで試行とはいえ、今回のアンケート調査結果からは、生活者の間で「物価上昇が当たり前になる」という意識が定着している可能性が読み取れます。

今後も物価の上がりが続くとの見通しに対し、暮らし向きに明るい兆しを見出しにくい状況が、消費者の慎重な姿勢に拍車をかけています。こうした消費者心理の変化は、地域経済や中小企業に多面的な影響を与えます。

消費者目線では生活防衛の意識が一層強まり、物品やサービスの購入に当たって「本当に必要なものか」を厳格に見極めようとする動きが進みます。これにより、仕入価格高騰分を販売価格へ反映したい企業は「価格引き上げに伴う客離れ」に直面するリスクがあります。

価格転嫁が進まなければサプライチェーン全体でも利益率が悪化します。地域密着の中小企業は、大手企業との単純な価格競争に巻き込まれた場合、顧客の流出を防ぎきれなくなってしまう恐れがあります。消費者が価格に一層敏感になる中で、提示する価格に対する納得感が厳しく問われる局面を迎えています。

今後も消費者の物価高への懸念は拭えず、購買行動における慎重な姿勢は長引くことが予想されます。こうした環境下で中小企業が勝ち残るために意識すべき視点は、「単なるコスト転嫁の値上げではなく、顧客が実感できる付加価値の再定義」です。消費者が支出を厳選する今こそ、価格以上の価値や満足感を提供できているかを見直し、自社ならではの強みを顧客視点で磨き上げることが重要となります。


【ご注意点】この記事は生成AIを活用して作成したものです。文章の正確性は保証されておらず、誤りが含まれる場合があります。詳細については参照URLの情報を必ずご確認ください。
■内閣府 経済社会総合研究所「消費者マインドについてのアンケート調査(試行)」■
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/open_chosa/open_chosa.html

以上(2026年8月作成)

pj10155
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未払い賃金指導が2万件超! 中小企業が直視すべき労務管理の課題 【経営者とっておきニュース】

厚生労働省が公表した令和7年の「賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果」によると、全国の労働基準監督署が取り扱った不払い事案は2万2605件、対象労働者数は17万3016人、不払い金額は128億5782万円に上りました。

労働基準監督署の指導によって、全体の96.1%に当たる2万1731件(約110億円)が支払い解決に至っています。業種別の監督指導状況については、件数では商業や製造業が多く、対象労働者数や不払い金額では保健衛生業や製造業が多くなっています。

賃金不払いが発生する背景には、経営難や悪質なケースだけでなく、労働時間の集計ルールや制度に対する「社内慣習や知識不足による誤認」が存在します。

実際の是正事例では、「始業・終業前後15分間の一律切り捨て処理」を行っていた製造業者や、「固定残業代(20時間分)を超過した労働時間や深夜労働の割増賃金を支払っていなかった」卸売業者が指導を受けました。いずれも過去に遡って実態調査を行い、差額の割増賃金を支払う対応を行っています。なお、是正勧告に従わなかった結果、書類送検に至った悪質事例も発生しています。

適切な労働時間管理を怠るリスクは、企業経営にとって非常に甚大です。不払いが判明した場合、過去に遡った未払い賃金の再計算と追加支払いが必要となり、企業の資金繰りを大きく圧迫します。また、書類送検などで企業の社会的信用が失われれば、深刻な人材離れや採用難を引き起こし、ビジネスにおける継続性を脅かす要因となります。

今後も労働基準監督署による監督指導の徹底や、未払賃金立替払制度の適正運用が継続される見込みです。労働者のコンプライアンス意識の高まりを受け、これまで見過ごされてきた勤怠管理の「穴」が表面化するリスクは一段と高まっています。

意識すべき視点は、「自社の勤怠ルールが、法令ではなく“独自の慣行や思い込み”になっていないか」という点です。15分単位の切り捨てや固定残業代の放置といった「うっかりミス」を防ぐため、客観的なデータに基づく適正な労働時間の把握と運用の定期的な点検が不可欠です。


【ご注意点】この記事は生成AIを活用して作成したものです。文章の正確性は保証されておらず、誤りが含まれる場合があります。詳細については参照URLの情報を必ずご確認ください。
■厚生労働省「賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和7年)を公表します」■
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75588.html

以上(2026年8月作成)

pj10153
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9月は健診強化月間 迫るストレスチェック義務化への備え【経営者とっておきニュース】

厚生労働省は、毎年9月を「職場の健康診断実施強化月間」と位置付け、労働安全衛生法に基づく健康診断やストレスチェックの実施徹底に向けた集中的な啓発を行っています。

今年は、一般健康診断の実施や事後措置の徹底に加え、定期健診結果の報告における電子申請の推進、女性の健康課題への理解促進などが重点事項に挙げられています。特に、労働者数50人未満の小規模事業場に対するストレスチェックの義務化(2028年4月施行)や、治療と仕事の両立支援に関する努力義務化(2026年4月施行)など、中小企業に深く関わる制度改正の周知が強力に促されています。

こうした施策の背景には、「攻めの予防医療」による健康寿命の延伸や、深刻な人手不足に直面する地域経済において労働力を確保・維持するという切実な課題があります。従業員が疾病やメンタル不調により長期間離職することは、企業にとって大きな経営リスクにつながるため、疾病の早期発見と予防対策の重要性が高まっています。

この動きは、企業の労務管理や地域経済に対して次のような影響を及ぼします。

  • 小規模事業場での体制整備:50人未満の事業場であっても健康診断や事後措置の徹底が求められており、今後はストレスチェック義務化に向けた事前の体制構築が必要となる
  • 労務手続きのデジタル化推進:健診結果報告等の電子申請義務化に伴い、業務プロセスの見直しと労務管理のDX対応が求められる
  • 地域資源や保険者との連携(コラボヘルス):医療保険者との情報連携や地域産業保健センターの活用により、自社単独では困難な手厚い健康管理を効率的に実施する環境が整う

今後は、従業員の健康管理を単なる「義務的なコスト」ではなく「持続可能な経営に向けた投資」と捉える企業が成果を伸ばす時代になると予想されます。治療と仕事の両立支援や検診の受診促進に早くから取り組むことが、企業の信頼性や採用力を高める要因になります。

意識すべき視点は、自社の健康管理体制を再点検し、無料の外部支援制度を積極的に使いこなす姿勢です。地域産業保健センターの専門家支援や国のポータルサイトなどを賢く活用することが、限られた人的資源の中で実効性の高い「健康経営」を実現する第一歩となります。


【ご注意点】この記事は生成AIを活用して作成したものです。文章の正確性は保証されておらず、誤りが含まれる場合があります。詳細については参照URLの情報を必ずご確認ください。
■厚生労働省「『職場の健康診断実施強化月間』(9月)について」■
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75713.html

以上(2026年8月作成)

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AI法務ガイドライン公表! 中小企業が知るべき活用策とリスク 【経営者とっておきニュース】

法務省は2026年8月21日、「ビジネス分野におけるAI等法務業務支援サービス提供と弁護士法第72条の関係について」の新たなガイドラインを公表しました。

新たなガイドラインは、2023年8月策定のガイドラインを補完・拡充したものです。近年普及が進む生成AI等を用いた契約書作成や法務リサーチ支援について、弁護士以外による法律事務の取り扱いを禁じる弁護士法第72条(非弁行為の禁止)との関係が整理され、紛争性のない通常の業務支援であれば、適切にガバナンス措置を講じることで原則として違法とならない旨が明示されています。

今回のガイドライン策定の背景には、生成AIの急速な進化と企業の法務DX需要の高まりがあります。法務人材の不足に悩む企業が増える一方、AIツールの利用が違法(非弁行為)にあたるリスクという「法的グレーゾーン」の存在が普及の障壁となっていました。

今回の明確化は、特に法務専任者が少ない中小企業や地方企業にとって大きな追い風となります。契約審査や法的リサーチの自動化・効率化を安心して進められるようになり、法務コストの削減やビジネスの推進スピード向上が期待できます。地元企業同士の取引においても、リスクの早期発見や契約トラブルの防止に寄与することでしょう。

一方で、サービスを提供する事業者には、日本の弁護士による監修や不適切利用の防止など、厳格なガバナンスが求められます。また利用する企業側も、AIの回答を盲信するのではなく、紛争リスクがある案件では適切に顧問弁護士へ相談するなど、「AIと専門家の役割分担」を意識したリテラシー構築が必要です。

法務省は今後、有識者検討会を立ち上げ、AI時代の司法の在り方を見据えたルールづくりを継続する方針です。これにより、リーガルテック市場の健全な発展と企業の効率化が加速すると予想されます。

意識すべき視点は、「AI利活用におけるガバナンスとリスク管理の徹底」です。業務効率化のためにAIを導入する際も、全自動の「代行者」ではなく自社の判断を助ける「補助ツール」と位置づけ、法的リスクを見極めながら専門家と連携して運用する姿勢が不可欠となります。


【ご注意点】この記事は生成AIを活用して作成したものです。文章の正確性は保証されておらず、誤りが含まれる場合があります。詳細については参照URLの情報を必ずご確認ください。
■法務省「AI等法務業務支援サービス提供と弁護士法第72条の関係に係るガイドライン等の公表について」■
https://www.moj.go.jp/housei/shihouseido/housei10_00134.html

以上(2026年8月作成)

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経営計画を成果につなげるポイント! 外部支援者と連携し、実行力を高める【経営者とっておきニュース】

東京商工リサーチが発表した2026年「経営計画の策定と実行に関するアンケート」調査(有効回答6047社)によると、過去に経営計画を策定した企業は62.1%に達しました。一方で、策定にあたって外部支援を「受けた」企業は21.4%にとどまっています。

外部支援を受けて経営計画を策定した後、計画の実行支援も受けた企業では、アクションプランの実行に「プラスの効果があった」との回答が81.0%、数値目標達成でも71.1%に上りました。経営計画を立てるだけでなく、外部支援者と連携して「実行段階」まで伴走を受けることが、成果につながる実態が明らかになりました。

市場環境の変化が激しい現代において、持続的な事業成長を実現するためには中長期的な計画が不可欠です。社内リソースだけで計画を実行しようとすると、日々の現場業務に追われて形骸化しやすいという課題があります。調査では、外部支援を受けた中小企業の55.7%がアクションプランを「半分以上実行した」と回答しており、自社単独の場合よりも計画が進みやすいことが分かります。

外部支援者を積極的に活用して経営計画を実行に移せる企業ほど競争力を高めていくと見込まれます。計画を作って終わりにせず、外部の知見を採り入れながら改善を重ねる「伴走型経営」が企業の成長を左右すると予測されます。行政や金融機関には、地域や業界を超えた成功事例の共有と、企業が相談しやすい環境整備が期待されます。地域全体で企業を孤立させない支援ネットワークの構築が、地元経済の底上げに向けたカギとなります。

自社で明日から意識すべき視点は、「計画策定をゴールとせず、外部パートナーを巻き込んだ実行体制を整えること」です。自社だけで課題を抱え込まず、信頼できる専門家や金融機関を「実践のパートナー」として活用することが、成果を確実に手繰り寄せるポイントとなります。


【ご注意点】この記事は生成AIを活用して作成したものです。文章の正確性は保証されておらず、誤りが含まれる場合があります。詳細については参照URLの情報を必ずご確認ください。
■東京商工リサーチ TSRデータインサイト「『経営計画』策定率は62.1%、実行力にバラつき 外部支援者との連携は計画達成に『プラス』」■
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1203152_1527.html

以上(2026年8月作成)

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取引先との飲み代は損金になる? 交際費や会議の取り扱いと「1万円ルール」

1 交際費、会議費、福利厚生費の違いとは?

「取引先との食事会や、社員との懇親会をしたときの飲食費は経費で落ちるのか(損金に算入できるのか)」。とても気になるところです。

損金に算入できるとすると、候補は交際費、会議費、福利厚生費となりそうですが、税務上、それぞれの取り扱い(損金に算入または不算入)は厳密に決まっています。まずはそのルールを以下のチャートで確認してください。

なお、交際費は「交際接待費」と呼ばれることも多いですが、交際接待費は法律上の用語ではなく俗称です(正式には「交際費等」)。交際費には、文字通り、接待などに伴う費用も含まれるので、このように呼ばれるようになったのでしょう。

交際費や会議費の判断フローと取り扱い(原則)

このように、交際費や会議費は、それが会議に該当するのかどうか、参加者は社員のみかどうかなど支出ごとに判断することになっています。

以降で、交際費や会議費などの取り扱いついて個別に紹介していきます。なお、福利厚生費の取り扱いは以下の記事で紹介しているので、ご確認ください。

2 交際費は原則、損金に算入できないが…

1)交際費とは

税務上、交際費とは「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出する費用」をいいます。この記事では読みやすさを考慮し、税法上の交際費等を交際費と記載しています。

交際費の具体例には、取引先を接待するための飲食費、お中元やお歳暮代、手土産代などがあります。支出の対象は取引先などの社外の人に限られず、役員や社員など社内の人も含まれます。そのため、取引先と一緒に社員が数名参加して食事会をした場合は、取引先の分だけでなく、社員の分も交際費に該当します。

2)かつては「交際費の5000円ルール」だったが、今は「交際費の1万円ルール」に

交際費は基本的に損金に算入できません。ですが、「この費用って交際費になる?」と聞く人がいます。質問の意図は経費で落ちるか、つまり損金に算入できるかということですが、実は質問内容とその意図があべこべになっています。「この費用って交際費になる?」は、「この費用って経費で落ちないよね(損金にならないよね)?」という意味になってしまうからです。ですから、今後はシンプルに「この費用って経費で落ちる?」とするのがいいですね。

さて、交際費は基本的に損金に算入できないと説明しましたが、例外があります。

飲食費に該当する交際費は、

1人当たり1万円以下(2024年3月31日以前のものについては5000円以下)

であれば、交際費の範囲から除かれ、会議費などとして損金に算入できます。これが、いわゆる「交際費の1万円ルール」と呼ばれ、1人当たりの交際費を1万円以下に抑えれば損金に算入できることを示したビジネスの決まり文句となっています。

3)中小企業は交際費を全額損金に算入できる?

ここまで交際費の扱いを説明してきましたが、中小企業はあまり気にしなくてもよいでしょう。なぜなら、中小企業には次の「交際費課税の特例措置」があるからです。

  • 交際費課税の特例措置

資本金が1億円以下の中小企業は、取引先など社外の人との飲食費の50%までの金額(飲食費の金額を問わない。社内飲食費は除く)、もしくは飲食費に限らず年間800万円までの交際費のどちらか一方を選択し、損金に算入できる。

また、飲食費の中には、料理そのものだけでなく、テーブルチャージ、会場代など、飲食をするために必要な費用が含まれる。

中小企業の交際費が年間800万円を超えることはあまりないでしょう。そのため、多くの中小企業では、交際費の全額が損金に算入されています。むしろ、中小企業の場合は、金額以上に、その飲食や行為などの目的が業務内のものなのか、業務外(私用)のものなのかを判断するシーンが多くなります。

3 会議費は全額を損金に算入できる

税務上、会議費とは「会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用」をいいます。

取引先との商談、社内会議などで提供された飲食費、会議で使用された会場代や資料代などの費用が対象です。支出の対象者は、交際費と同様、クライアントや取引先、社員などが含まれます。

こうした会議費は、全額損金に算入できます。具体的な金額の基準はなく、「通常要する費用」が対象となります。前述した通り、1人当たり1万円以下(2024年3月31日以前のものについては5000円以下)の飲食費は、会議費として損金に算入できます。会社によっては、雑費など会議費以外の科目を用いていることもあります。

以降では、ビジネスでありがちなケースを取り上げ、交際費または会議費に該当するか否かを紹介していきます。

4 取引先とゴルフに行った際の費用は交際費に該当するのか?

取引先とゴルフをしたり、その流れで食事をしたりすることがあります。この場合の交際費と切り離し、食事代を会議費などとできるのでしょうか?

取引先とのゴルフのプレー代など、全ての費用は交際費に該当します。一連の行為のうち、「飲食」の費用だけを切り出して会議費などとすることはできません。

交際費の対象外となる飲食費(損金に算入できる飲食費)は、あくまで「飲食」が目的でなければならず、ゴルフなどが目的となっている場合はこれに該当しません。

5 取引先への手土産代は交際費に該当するのか?

取引先を訪問する際に、お菓子などの手土産を渡すことがあります。お中元やお歳暮代なども同様です。この場合の費用は交際費に該当するのでしょうか?

お菓子の購入代は交際費に該当します。ただし、食事会をしたお店の料理を手土産として持ち帰る場合、1人当たり1万円以下(2024年3月31日以前のものについては5000円以下)であれば、会議費などに該当します。

6 1次会と2次会の合計が、1人当たり1万円を超えたら交際費に該当するのか?

取引先との食事会で、1次会、2次会と続くことがあります。そこで、1次会と2次会の費用の合計が1人当たり1万円を超えた場合、会議費ではなく、交際費に該当するのでしょうか?

1次会と2次会の合計が1人当たり1万円を超えても、各店舗での支払いが1人当たり1万円以下であれば、交際費ではなく、会議費などに該当します(ここでいう1万円は、2024年3月31日以前のものについては5000円以下となります)。

ちなみに、「3次会までいくと、その費用は会議費などにできない」という話を聞きます。結論としては、3次会であっても条件さえ満たせば会議費などとして損金に算入できます。とはいえ、1次会、2次会、3次会と進むごとに参加人数は減り、個人的な付き合いの性質が強まってきます。ですから、業務外(私用)の費用として、会社の経費としては認められないケースも少なくありません。

7 会議の後の飲食費は、交際費に該当するのか?

会議の後に、参加メンバーで食事をすることがあります。この場合の費用は、会議費ではなく交際費に該当するのでしょうか?

会議の後の飲食費は会議費とはならず、交際費に該当すると考えられます。会議費は、あくまでも会議中の飲食が対象であり、会議後の飲食は懇親会や慰労会などの意味合いが強いからです。なお、会議の開催場所については具体的な定めがないので、飲食店で会議をしても問題ないと考えられます。

いずれにしても、会議費として損金に算入する場合、会議の実態が問われます。税務調査で指摘を受けたときのために、議事録などを残しておくとよいでしょう。

8 食事会に向かう際のタクシー代は交際費に該当するのか?

取引先を接待するお店までタクシーで移動したり、取引先に帰りの「お車代」を渡したりすることがあります。この場合の費用は旅費交通費ではなく、交際費に該当するのでしょうか?

取引先を接待するお店までタクシーで移動した場合のタクシー代や、帰りの際に渡した「お車代」は旅費交通費ではなく、交際費に該当します。これらの支払いは接待のために必要なものとみなされるからです。

9 被災した取引先に送った支援金は交際費に該当するのか?

2026年7月に発生した令和8年熊本地震など日本では地震などの災害が多く、取引先が被災してしまうケースもあるでしょう。被災した取引先に支援金を送った場合、交際費に該当するのでしょうか?

復旧や救援のための支援金は、基本的には交際費には該当せず、「災害見舞金」などに該当します。災害見舞金などは損金に算入できます。ただし、支援金の金額が被災状況や取引規模などから見て、あまりにも多額だと、贈与などに該当する恐れがあるので注意が必要です。

以上(2026年8月更新)
(監修 辻・本郷税理士法人 税理士 安積健)

pj30247
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営業活動に係る交通費や広告宣伝費は損金に算入できるか?

1 日々の営業活動で生じる費用のルール

営業活動では、さまざまな費用がかかります。例えば、取引先を訪問する際の旅費交通費、試供品などを提供する際の販売促進費、取引先を接待する際の交際費などです。

これらの費用は「販売費及び一般管理費」(以下「販管費」)と呼ばれ、基本的に、一部を除いて損金(税務上の費用)に算入できます。問題は、営業活動の範囲に関する明確な定義がなく、場合によっては損金に算入できないケースもあることです。

また、営業活動に係る費用は、交際費として処理すべきものか否か迷う項目が多くあります。基本的に交際費は損金に算入できないため、注意が必要です。

この記事では、営業担当者の日々の活動で発生することが多い費用について、損金算入に関する基本的なルールを紹介していきます。

2 損金に算入できる販管費(営業活動に係るもの)とは?

販管費とは、営業(販売)業務に係る費用と管理業務に係る費用の総称で、具体的には次のようなものがあります。

販売費及び一般管理費(販管費)の例

これらの費用は、税務上、次の要件を満たした場合に損金に算入できます。

販管費の損金算入要件と判断フロー

3月末決算の企業において、20X1年3月に発生した旅費交通費(出張費用)を当てはめてみると、次のようになります。

出張のために予約した航空券の対価として、航空会社に料金を支払わなければなりません(債務が成立)。

その後、飛行機に搭乗したことにより、輸送というサービスを受けます(支払い原因となる事実の発生)。

かつ、その料金は航空会社が提示する合理的な金額です(金額の合理的な算定)。

注意が必要なのは「期ズレ」です。仮にこの出張が4月のもので、3月中に航空券を購入した場合、その費用は20X1年3月期の損金には算入できません。なぜなら、支払い原因となる事実(この場合は、出張先に向かうための飛行機に搭乗)が発生していないからです。この場合の支出については旅費交通費(費用)ではなく、前払費用(資産)に計上します。

期ズレは、決算日をはさんで生じるものです。決算月と決算月の翌月(3月末決算の場合は、3月と4月)の取引については、慎重に処理するようにしましょう。

3 交際費と迷いやすい主な項目

多くの販管費は前述の要件で、その事業年度の損金に算入するか否かを判断します。しかし、一部の販管費については、前述した要件とは別にルールが設けられているので、以下に紹介します。

なお、交際費も別にルールが設けられている費用ですが、こちらは以下の記事で詳しく解説しているので、ご確認ください。

1)広告宣伝費

広告宣伝費とは、商品やサービスの宣伝効果を期待して、不特定多数の一般消費者に対して行われる支出です。広告の掲載料などの他にも、キャンペーン賞品などで提供される旅行・観劇への招待費用、アンケートの謝礼などが含まれます。

広告宣伝費は損金に算入できますが、注意点もあります。

具体的には、同じ内容の支出であっても、特定の得意先を対象にしたものは広告宣伝費ではなく交際費になります。特に、業界の専門家や専門業者は不特定多数の一般消費者ではなく、特定の得意先等に該当するので注意しましょう。例えば、医薬品業者が医師や病院を対象にする場合や、化粧品業者が美容・理容業者を対象にする場合などが、このケースに該当します。

2)販売関連費

自社の商品を紹介するイベントに得意先を招待するなどの場合、その交通費や昼食代、宿泊費を負担することがあります。このような支出のうち、次のものは交際費には該当せず、損金に算入できます。

  • 自社の商品を詳しく説明するために、得意先などに自社の製造工場などを見学させる場合の交通費や食事代、宿泊費として通常要する費用
  • 不動産販売業者が、土地の販売に当たり一般の顧客を現地に案内する場合の交通費や食事代、宿泊費として通常要する費用
  • 旅行あっせん業者が、団体旅行のあっせんをするに当たって、旅行やスケジュールを決めるために、事前にその団体の責任者を旅行予定地に案内する場合の交通費や食事代、宿泊費として通常要する費用

ただし、イベントへの招待と併せて飲み会を行った場合、その飲食費は交際費として処理をしなければならないので、損金には算入できないのが原則です(中小企業は「交際費課税の特例措置」があるので、結果的に損金に算入できるケースが多いです)。

3)情報提供料

情報提供や、取引の仲介・あっせんなどのサービス(以下「情報提供等」)を本業としていない相手に、情報提供等の対価として金品を交付する場合があります。分かりやすくいうと「営業先の紹介」などのことで、新規に営業先を紹介してくれた相手に謝礼として金品を贈るケースなどです。このような支出のうち、次のものは交際費に該当せず、損金に算入できます。

  • その金品の交付があらかじめ締結された契約に基づくものであること
  • 提供を受けるサービス内容が契約において具体的に明らかにされており、かつ、これに基づいて実際にサービスを受けていること
  • その交付した金品の価額が、その提供を受けた役務の内容に照らし相当と認められること

4 交通反則金や海外視察の費用は損金に算入できるか?

前述した費用の他にも、注意が必要な営業活動に関する費用があります。ここでは、交通反則金と海外視察の費用を紹介します。

1)交通反則金

営業に社用車を使っている場合、駐車違反などの交通違反による罰金(以下「交通反則金」)が生じることがあります。交通反則金は、会計上は租税公課などの費用科目で処理されますが、税務上は損金に算入できません。法律違反による罰金が、税負担を減少させる要因になることはありません。

2)海外視察などに係る渡航費(一部観光した場合にも言及)

海外取引先の開拓や現地支社の設置などのために、海外視察をすることがあります。基本的に、海外視察に要した航空費や宿泊費などは全て損金に算入できますが、金額が高額すぎるとみなされた場合、その部分は役員であれば役員報酬として、社員であれば給与として取り扱われます。

役員の場合、損金に算入できる役員報酬は定期同額給与など一定の方法で支給されたものに限られます。そのため、金額が高額すぎるとみなされた部分は損金に算入できない役員報酬となります。

社員の場合、給与は損金に算入できるものの、従業員本人に対して所得税が課されます。高額すぎるかどうかの明確な基準はありませんが、通常の出張に比べて豪華すぎたり、業務上必要性の低いオプションなどを付けたりしないようにしましょう。

この他、視察と併せて、一部観光や個人的なゴルフなど業務以外の日程を組み入れた場合も注意が必要です。この場合の海外視察に要した支出は、期間ベースで、業務に関連する部分と関連しない部分に按分します。業務に関連する部分は旅費交通費として損金に算入できますが、業務に関連しない部分は役員報酬または給与となります。後々の税務調査などでの説明に備え、視察旅行後には視察報告書を作成し、保管しておくことをおすすめします。

5 使途が明らかでない費用は要注意!

何のための支出なのかが明らかになっていない費用は、税務上、「使途秘匿金」と呼ばれます。具体的には、相当の理由がなく、その相手方の氏名・名称・住所・支出の理由などが帳簿書類に記載のない支出です(資産やサービスの購入対価として明らかであると税務署が認めた場合など、一定の要件を満たしたものは除く)。

使途秘匿金は、損金に算入できないだけでなく、別途その支出額自体に40%の法人税が課されます。例えば、50万円の使途秘匿金がある場合、その50万円は損金に算入できず、さらに20万円(50万円×40%)の法人税が課されます。

また、通常の法人税は黒字(所得がプラス)の企業にのみ課されるのに対し、使途秘匿金に関する法人税は赤字(所得がマイナス)の企業にも課される厳しいものです。

以上(2026年8月更新)
(監修 税理士 谷澤佳彦)

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画像:ChatGPT

生活道路の法定速度が変わります!(2026/9号)【交通安全ニュース】

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活用する機会の例

  • 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
  • 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
  • マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など

令和8年9月1日施行の改正道路交通法施行令により、最高速度の標識がない生活道路※1における自動車の法定速度が、60km/hから30km/hに引き下げられます。対象となる道路は、全国の道路のおよそ7割を占めると言われています。

今号では、制度改正の背景や対象となる道路の基準および取り組むべき安全運転のポイントをご紹介します。

生活道路の法定速度が変わります

※1 国土交通省の統計資料では「車道幅員5.5m未満の道路」を生活道路としています。
出典:警察庁・都道府県警察「広報啓発ポスター」https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/seikatsudouro/seikatsudoro.html
(2026年8月4日閲覧)

生活道路の危険性

近年、生活道路では「ゾーン30」および「ゾーン30プラス」※2 などの対策を講じられてきたものの、歩行者や自転車利用者の安全確保は、今なお重要な課題となっています。

◆歩行中・自転車乗車中の死傷者の割合

道路幅員別・状態別死傷者数によると、車道幅員5.5m未満の道路では、歩行中および自転車乗車中の死傷者が占める割合が、5.5m以上の道路に比べて約1.9倍高くなっています(図1)。

(図1)道路幅員別・状態別死傷者数(令和7年中)

歩行中・自転車乗車中の死傷者の割合

◆衝突速度と致死率の関係

自動車と歩行者の事故は、衝突時の速度が30km/hを超えるにつれて致死率が急激に上昇します(図2)。

(図2)自動車等の速度と歩行者の致死率

衝突速度と致死率の関係

生活道路は、歩行者や自転車利用者との事故が発生しやすい場所です。
さらに、自動車の速度が上がるほど、取り返しのつかない重大事故の発生確率が高まります。

※2「ゾーン30・ゾーン30プラス」については、警察庁「ゾーン30、ゾーン30プラスについて」を参照ください。https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/seibi2/kisei/zone30/zone30.html

(図1)出典:警察庁交通局 令和8年7月「生活道路におけるゾーン対策『ゾーン30』『ゾーン30プラス』の概要」より当社作成

(図2)出典:国土交通省「道路交通安全対策」より当社作成

対象となる道路の基準

道路標識または道路標示により最高速度が指定されている道路では、指定されている速度が最高速度となります。

対象となる道路の基準

法定速度の範囲内であっても、道路交通状況に応じて、安全な速度で走行しましょう。

今日からできる安全運転ポイント

生活道路の法定速度が変更されるこの機会に、私たちドライバーも日頃の運転行動を見直してみませんか。次の3つのポイントを実践し、生活道路を安全に走行しましょう。

今日からできる安全運転ポイント

出典:内閣府 交通安全イラスト集

①スピードメーターを確認しましょう!

速度が30km/h以下になっているか確認しましょう。

②「かもしれない」運転を徹底しましょう!

歩行者や自転車利用者などが急に飛び出してくるかも しれないと、いつでもブレーキを踏めるよう準備しておきましょう。

③「抜け道」利用はやめましょう!

渋滞を避けるために、生活道路を通り抜けるのは危険です。少し遠回りになっても、歩車分離が整備されている幹線道路を優先して走るように心がけましょう。

以上(2026年9月)

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画像:amanaimages

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【管理会計】戦略ごとに見る損益分岐点の活かし方

1 質問:ラーメン店はいくらの売り上げが必要か?

突然ですが、友人のAさんが独立して念願の夢であるラーメン店を開業することになりました。自己資金1000万円と銀行借入350万円で開業するとのこと。その他の条件は次の通りです(ここでは借入金の使途は考慮しません)。

  • 年間固定費:600万円(借入金の支払利息を含む)
  • 年間の元本返済額:70万円
  • 限界利益率:30%

Aさんからの質問は、

いくらの売上を上げれば利益がでるか?

ということです。単純に固定費の600万円と返済額の70万円だけに注目し、「670万円(600万円+70万円)を超えれば大丈夫」とアドバイスしたら大問題で、限界利益率(限界利益/売上高)に注目する必要があります。

まず、元本返済額は、キャッシュ・フローとして捉えます。元本返済は費用ではなく、税引き後の手元資金から行うものです。そのため、70万円の元本を返済するためには、税引後利益として70万円を確保する必要があります。法人税等の税率を30%とした場合、税引後利益を70万円確保するために必要な税引前利益は次の通りです。

税引前利益 100万円=税引後利益 70万円 ÷(1-0.3)

従って、Aさんに必要な売上高は次の通りです。

Aさんに必要な売上高

={固定費600万円+目標の税引前利益100万円}÷限界利益率30%

=2333万円

ラーメン店の年間売上高が2333万円以上になれば、Aさんは借入金の元本返済に充てる資金を事業から得ることができます。

このように、一定の目標利益を達成するために必要な売上高を管理会計では「目標利益達成売上高」といいます。なお、利益をゼロ(損益トントン)にする売上高は「損益分岐点売上高」といい、先ほどの例だと「固定費÷限界利益率=600万円÷30%=2000万円」になります。企業としては損益分岐点を上回るだけでは不十分であり、さらなる利益アップを図っていかなければなりません。この記事では、基本的な利益アップ戦略や応用事例を通じて、管理会計的な考え方を紹介します。

2 利益アップ戦略の管理会計的考え方

1)利益の仕組みから考えられる利益アップ戦略とは

利益(もうけ)とは、

限界利益(売上高-変動費)が固定費を上回ること

です。変動費と固定費とは、

  • 変動費:販売数量などに応じて増える材料費など
  • 固定費:販売数量に関係なく生じる人件費など

といったものです。

(図表1)利益アップの戦略

利益アップのためには、限界利益アップ、固定費ダウンの2つの戦略が考えられます。限界利益アップ戦略は、さらに売上単価アップ戦略、売上数量アップ戦略、限界利益率アップ戦略の3つに分けられます。

2)限界利益アップ戦略

1.売上単価アップ戦略

Aさんの例で、売上単価アップ戦略について考えます。初年度の売上高は次の通りで、目標売上高には達しませんでした。

(図表2)Aさんの初年度の売上高

そこで、平均単価を1割アップする売上単価アップ戦略を採用したとします。変動費率(70%)、売上数量(1万9500杯)に変化なしとして、売上高は次の通りとなります。売上単価1割アップにより、利益はマイナス15万円から43万5000円に増えます。

(図表3)売上単価アップ戦略による売上高

2.売上数量アップ戦略

次に売上数量アップ戦略を採用して、売上数量が約15%アップの2万2425杯になった場合の売上高は次の通りとなり、借入金の元本が返済可能な利益72万7000円が確保できます。なお、ここでは法人税等を考慮しません。

(図表4)売上数量アップ戦略による売上高

3.限界利益率アップ戦略

限界利益率アップ戦略を採用したら、売上高はどのようになるでしょうか。限界利益率アップは変動単価ダウン(低価格の原材料へ変更など)に他なりません。変動単価1割ダウンの場合は次の通りとなり、利益はマイナス15万円から121万5000円にアップします。

(図表5)限界利益率アップ戦略による売上高

3)固定費ダウン戦略

固定費ダウン戦略(人件費や減価償却費、賃借料などの削減)を採用して、固定費が1割ダウンした場合、売上高は次の通りとなり、利益はマイナス15万円から45万円にアップします。

(図表6)固定費ダウン戦略による売上高

3 応用事例1:どの商品がもうかるか

B社では、X、Y、Zの3種類の商品を販売しており、前年度の実績は次の通りです。どの商品が最ももうかり、重点を置いて販売したらよいかを考えてみましょう。

(図表7)B社の前年度の実績

多品種の商品を仕入れ、あるいは製造している会社では、どれが最ももうかる商品であり、重点を置いて販売すべきであるかを決定する場合、それぞれの商品に固定費を何らかの基準で配賦した後の、利益の大きさを基準にしていることが多いようです。

図表を見てみると、利益はX商品が60万円、Y商品がマイナス10万円、Z商品が30万円となり、これらの商品のうち最も利益がある商品はX商品ということになります。

しかし、固定費は期間に対応して発生するもので、商品をどれだけ販売しても変わらないものです。従って、売上高から変動費を差し引いた限界利益の大きいY商品がもうかるということになります。

次に限界利益率に注目して、限界利益が同じならば限界利益率の大きい商品に力を入れます。B社では、X商品にまず重点を置き、次にY商品に力を入れて販売することになります。

4 応用事例2:赤字商品は中止すべきか

C社では、Y、Zの2種類の商品を製造販売しています。Y商品は常に赤字で、今後も現状のように推移すると予想されています。そこでC社の社長は、Y商品の製造を中止すべきか検討中です。中止すべきか否かを考えてみましょう。

(図表8)C社の現状

Y商品の製造を中止した場合の採算は次の通りで、利益がマイナス160万円と悪化しています。

(図表9)Y商品の製造を中止した場合の採算

これはY商品が負担していた固定費320万円が、Y商品の製造を中止しても発生するからです。Y商品の製造を中止しても固定費は変わらないのに、Y商品の限界利益300万円がなくなったため、300万円の利益減になります。従って、限界利益がプラスならば、製造を中止すべきではありません。この判断は「固定費が変わらない(削減できない)」という前提が成立する場合に限られます。もしY商品に紐づく固定費(専用設備や専任スタッフなど)を削減できるのであれば、それを考慮したうえで判断する必要があります。

5 応用事例3:赤字受注をするかどうか

D社は、次の原価資料にある通り、すでにY、Z商品を1台ずつ販売しているとき、新たにZ商品について1台190万円で追加注文がありました。

Z商品の原価は210万円(変動費175万円+固定費35万円)なので、追加のZ商品単体でみると、赤字になります。しかし、自社の人員・設備に余力があり、受注しても値崩れの心配がない場合、この注文を受けるべきかどうかを考えてみましょう。

(図表10)D社の原価資料

Z商品を1個追加受注しても会社全体の固定費の合計は85万円で同じです。Z商品1個を190万円で追加受注しても、増加する費用は変動費の175万円だけです。そのため、会社全体では利益が15万円増加します。従って、受注したほうが有利となります。

(図表11)Z商品を追加受注した場合の原価資料

赤字受注に対する考え方は一様ではありません。赤字受注はその商品単体で製造の継続か中止かを判断するのではなく、会社全体の損益を考慮して決定すべきでしょう。

また、赤字商品でも生産量が増加すれば固定費が分散されて黒字転換できるものもあります。ただし、見込み通りに受注が伸びない場合には、生産を継続すれば赤字が積み上がるだけです。大切なのは、状況の変化を見ながら生産を中止する時期を適切に見極めることです。

以上(2026年9月更新)
(監修 税理士 石田和也)

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